説明

車両用ヒーター及びその制御方法

【課題】ウォッシャー液を加熱して運転席の周辺を加熱することができる車両用ヒーター及びその制御方法を提供する。
【解決手段】
ウォッシャー液が収容されるウォッシャー液タンクと、前記ウォッシャー液を加熱するウォッシャー液加熱装置と、前記ウォッシャー液の熱によって運転席の周辺を加熱する運転席のヒーターユニットと、前記の運転席のヒーターユニットと前記ウォッシャー液タンクの間でウォッシャー液が循環することができるように圧力を提供するポンプと、外部の温度を測定する温度センサーと、前記温度センサーによって測定された温度が温度設定値より大きければ前記ウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動する制御部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ヒーター及びその制御方法に係り、より詳しくはウォッシャー液を利用して運転席の周辺を加熱することができる車両用ヒーター及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン冷却水を熱源にする温水式ヒーターは運転席と乗客席にヒーターユニットが具備されていて、エンジンの温水(冷却水)をそれぞれのヒーターユニットに供給するために配管類及びその付属部品が必要である。すなわち、エンジンの温水が空気と熱交換されながら車の内部をヒーティングさせる。
【0003】
通常の乗用車の場合にはエンジンが車の前方に位置するので運転席の周辺を加熱するために長い配管を構成する必要がないが、バスの場合にはエンジンが車の後方に位置するのが一般的なのでエンジンから運転席まで温水配管を長く延長させなければならない。
特許文献1参照方。
【0004】
特に、大型バスの場合にはエンジンから運転席のヒーターユニットまでの配管の長さがおおよそ20m程度なので、このような配管は多くの材料費を発生させる。この場合配管にかかる材料費は車の一台当たりだいたい20〜40万ウォンに達する。さらに、このような配管の設置及び設計によって製造の作業效率が落ちる。
【0005】
しかし、年平均気温が高い東南アジア地方または中東地域では我が国(大韓民国)に比べてヒーターを使う回数や時間が少ない。また気温が零下に下がる場合がほとんどなくてヒーターで発生する熱の量が我が国(大韓民国)で使われる場合より小さくても問題がない。
【0006】
したがって、東南アジア地方または中東地域は、我が国(大韓民国)で使われる一般的な車のヒーターと違う方式のヒーターを製作して原価を節減し、生産性を進める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−193753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ウォッシャー液を加熱して運転席の周辺を加熱することができる車両用ヒーター及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明は、ウォッシャー液が収容されるウォッシャー液タンクと、前記のウォッシャー液を加熱するウォッシャー液加熱装置と、前記のウォッシャー液の熱によって運転席の周辺を加熱する運転席のヒーターユニットと、前記の運転席のヒーターユニットと前記のウォッシャー液タンクの間でウォッシャー液が循環されることができるように圧力を提供するポンプと、外部の温度を測定する温度センサーと、前記の温度センサーによって測定された温度が温度設定値より大きければ前記のウォッシャー液加熱装置及び前記のポンプを稼動する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記ウォッシャー液タンクに収容されたウォッシャー液の水位を測定する水位センサーを更に備えて、前記制御部は前記水位が水位設定値より大きければ前記ウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動することを特徴とする。
【0011】
そして、前記運転席のヒーターユニットは前記ウォッシャー液の熱を車の内部に伝達するブロワーを備えて、前記制御部は前記ブロワーが稼動される場合に前記ウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動することを特徴とする。
【0012】
本発明は温度を測定する温度測定段階と、ウォッシャー液タンクに収容されたウォッシャー液の水位を測定する水位測定段階と、前記温度が温度設定値より大きくて、前記水位が水位設定値より大きいと判断すればウォッシャー液を加熱してポンプを駆動してウォッシャー液を循環させて運転席の周辺を加熱するヒーティング段階と、を備えることを特徴とする。
【0013】
特に、前記のヒーティング段階の前に、運転席のヒーターユニットに設置されたブロワーを稼動するか否かの可否を判断する稼動判断段階を更に備えて、前記ヒーティング段階では前記ブロワーが稼動されると判断すれば、前記ウォッシャー液を加熱し、前記ポンプを駆動してウォッシャー液を循環させ運転席の周辺を加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転席の近くに位置したウォッシャー液を利用して運転席の周辺を加熱することができ、エンジンから冷却水を引っぱるための配管を長くする必要がなくなることから原価及び作業量を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は本発明による車両用ヒーターのブロック図を示す。
【図2】は本発明による車両用ヒーターの制御流れ図を示す。
【図3】は本発明による車両用ヒーターの稼動を簡単に図示した概念図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下前記の目的を具体的に実現するため、本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明による車両用ヒーターのブロック図である。以下、図1を参照して説明する。
【0018】
本発明による車両用ヒーターはウォッシャー液を収容するウォッシャー液タンク12、前記ウォッシャー液を加熱するウォッシャー液加熱装置24、前記ウォッシャー液の熱によって運転席の周辺を加熱する運転席のヒーターユニット16、前記運転席のヒーターユニット16と前記ウォッシャー液タンク12の間でウォッシャー液を循環することができるように圧力を提供するポンプ22を備える。
【0019】
前記ウォッシャー液加熱装置24は前記ウォッシャー液タンク12内に配置することから、前記ウォッシャー液タンク12から延長される配管に配置することが可能である。前記ウォッシャー液加熱装置24はヒーティング素子で構成され、熱を発生することができる面状発熱体または線状発熱体などで構成することが可能である。
【0020】
前記運転席のヒーターユニット16はウォッシャー液を通過しながら空気と熱交換することができる熱交換機(未図示)、運転席の周辺に供給される暖かい空気量を調節することができるダンパー(未図示)などを備えることができる。また、前記運転席のヒーターユニット16は暖かいウォッシャー液と熱交換しながら暖かくなった空気を運転席の側に伝達することができるブロワー18を備える。勿論、前記ブロワー18は熱交換しない通常の空気を運転席の側に送ることもできる。
【0021】
又、車両用ヒーターは外部の温度を測定する温度センサー10及び前記ウォッシャー液タンク12に収容されたウォッシャー液の水位を測定する水位センサー14を備えることができる。この時、前記水位センサー14は前記ウォッシャー液タンク12内に設置するのが好ましい。
【0022】
車両用ヒーターは、前記温度センサー10によって測定した温度が温度設定値より大きければ前記ウォッシャー液加熱装置24及び前記ポンプ22を稼動する制御部20を備える。一方、前記制御部20は前記水位が水位設定値より大きければ前記ウォッシャー液加熱装置24及び前記ポンプ22を稼動することができる。上記以外にも前記制御部20は前記ブロワー18が稼動される場合に前記ウォッシャー液加熱装置24及び前記ポンプ22を稼動することができる。
【0023】
すなわち、前記制御部20は前記温度センサー10から温度に対する情報を伝受することができるし、前記水位センサー14から前記ウォッシャー液タンク12に収容されたウォッシャー液の水位情報を伝受することができる。また、前記制御部20は前記ブロワー18を稼動するか否かの可否に対する情報を伝受することができる。
【0024】
また、前記制御部20は伝受した情報にしたがって所定の条件を満足する場合には前記ポンプ22及び前記ウォッシャー液加熱装置24を稼動するようにできる。
【0025】
図2は本発明による車両用ヒーターの制御流れ図であり、図3は本発明による車両用ヒーターの稼動を簡単に図示した概念図である。以下、図2及び3を参照して車両用ヒーターの制御方法に対して説明する。
【0026】
まず運転席に運転者が座って、車を始動する。
【0027】
車が運行される時に外部の温度を測定する。ステップS10。この時の外部は車の外部またはウォッシャー液タンク12が設置された区画空間の外部すなわち、運転席の周辺とみなしてよい。
【0028】
そして、測定された温度が温度設定値より大きい値か否かを判断する。これは測定された温度が前記温度設定値より大きい場合には運転席の周辺の温度が低くならず運転席の周辺を加熱する必要がないからである。
【0029】
この時、前記温度設定値は車が運行される地域にいる人が寒さを感じる程度の温度として定義することができる。前記温度設定値は車が運行される地域によって変えることができるし、車の生産者によって車の製作時に設定することができる。また、前記温度設定値は車の運行者によって変更することも可能である。
【0030】
例えば前記温度設定値はおおよそ摂氏5℃から8℃の範囲内で設定することができる。
【0031】
測定された温度が前記温度設定値より大きければ、ウォッシャー液タンク12に収容されたウォッシャー液の水位を測定する。ステップS20。この時、水位は水位センサー14によって測定するのが好ましい。
【0032】
そして、測定された水位が水位設定値より大きい値か否かを判断する。もしウォッシャー液タンク12内に収容されたウォッシャー液の量が十分ではない場合には、前記ウォッシャー液加熱装置24でウォッシャー液を加熱しても、循環するウォッシャー液の量が少ないのでウォッシャー液の熱交換效率が落ちる。したがって、運転席の周辺を充分に加熱することができない。
【0033】
また、ウォッシャー液と空気が一緒に循環しながらウォッシャー液に圧力をかける場合、前記ポンプ22にかかる負荷が空気の圧縮性のため一定範囲内に維持されないで急変し、前記ポンプ22の作動に無理が生ずることがある。
【0034】
前記水位設定値は車のウォッシャー液タンク12の大きさによって変えることができるし、車の生産者によって車の製作の時に設定することができる。また、前記水位設定値は車の運行者によって任意に変更することもできる。
【0035】
例えば前記水位設定値はおおよそウォッシャー液タンク12の全体量の5分の1に設定することができる。
【0036】
測定された水位が前記水位設定値より大きければ、ブロワー18が作動するのがよいかどうかを判断する。ステップS30。前記ブロワー18は運転席に空気を伝達する機能を遂行するので、ブロワー18が作動するということは使用者が運転席に風が出るように操作するということを意味する。又、前記ブロワー18が作動するということは使用者が運転席のヒーターユニット16を稼働させるということを意味する。
【0037】
前記ブロワー18が作動してよいと判断されると、前記ウォッシャー液加熱装置24に電源を供給してウォッシャー液を加熱する。そして、ポンプ22を駆動させて前記ウォッシャー液タンク12と前記運転席のヒーターユニット16の間で加熱されたウォッシャー液が循環するようにする。
【0038】
そうすれば、加熱されたウォッシャー液は前記運転席のヒーターユニット16内の熱交換機を通過しながら空気と熱交換し、加熱された空気はブロワー18によって運転席に向けて排出される。すなわち、運転席に排出される加熱空気が運転席の周辺を加熱するようになる。
【0039】
一方、前記運転席のヒーターユニット16の内部を通ったウォッシャー液はまた前記ウォッシャー液タンク12に流入する。従って、全体的にウォッシャー液の量は変化しないで一定に維持することができる。
【0040】
勿論、S10、S20、S30のステップで、それぞれの所定の条件を満足しなければ車両用ヒーターを加熱する必要がないと判断して運転席の周辺を加熱しない。
【0041】
本発明は上述した実施例に限定されない。本発明は発明に属する分野において通常の知識を有する者により技術的範囲内において容易に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、ウォッシャー液を加熱して運転席の周辺を加熱することができる車両用ヒーターの分野に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
10:温度センサー
12:ウォッシャー液タンク
14:水位センサー
16:運転席のヒーターユニット
18:ブロワー
20:制御部
22:ポンプ
24:ウォッシャー液加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォッシャー液が収容されるウォッシャー液タンクと、前記ウォッシャー液を加熱するウォッシャー液加熱装置と、前記ウォッシャー液の熱によって運転席の周辺を加熱する運転席のヒーターユニットと、前記運転席のヒーターユニットと前記ウォッシャー液タンクの間でウォッシャー液が循環することができるように圧力を提供するポンプと、外部の温度を測定する温度センサーと、前記温度センサーによって測定された温度が温度設定値より大きければ前記のウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動する制御部と、を備えることを特徴とする車両用ヒーター。
【請求項2】
前記ウォッシャー液タンクに収容されたウォッシャー液の水位を測定する水位センサーを更に備えて、
前記制御部は前記水位が水位設定値より大きければ前記ウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒーター。
【請求項3】
前記運転席のヒーターユニットは前記ウォッシャー液の熱を車の内部に伝達するブロワーを備えて、
前記制御部は前記ブロワーが稼動される場合に前記ウォッシャー液加熱装置及び前記ポンプを稼動することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヒーター。
【請求項4】
温度を測定する温度測定段階と、ウォッシャー液タンクに収容されたウォッシャー液の水位を測定する水位測定段階と、前記温度が温度設定値より大きくて、前記水位が水位設定値より大きいと判断されればウォッシャー液を加熱し、ポンプを駆動してウォッシャー液を循環させて運転席の周辺を加熱するヒーティング段階と、を備えることを特徴とする車両用ヒーター制御方法。
【請求項5】
前記ヒーティング段階の前に、
運転席のヒーターユニットに設置されたブロワーを稼動するか否かの可否を判断する稼動判断段階を更に備えて、
前記ヒーティング段階では前記ブロワーが稼動されると判断すれば、前記ウォッシャー液を加熱し、前記ポンプを駆動してウォッシャー液を循環させて運転席の周辺を加熱することを特徴とする請求項4に記載の車両用ヒーター制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−83478(P2010−83478A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214847(P2009−214847)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】