説明

車両用冷暖房装置および制御弁

【課題】良好な作動を確保可能な車両用冷暖房装置、およびその車両用冷暖房装置に好適な制御弁を提供する。
【解決手段】車両用冷暖房装置1は、圧縮機2、室外熱交換器5、室内蒸発器7および補助凝縮器3を備える。そして、暖房運転時において室外熱交換器5の下流側となる位置に過熱度制御弁32が設けられる。この過熱度制御弁32は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する主弁孔とが設けられたボディと、主弁孔に接離して弁開度を調整する主弁体を含む弁駆動体と、入口ポートと出口ポートとをつなぐ内部通路を流れる冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう主弁体を開閉駆動する感温部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置、およびその車両用冷暖房装置に好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両においてはエンジンの燃焼効率が向上したこともあり、熱源として利用してきた冷却水が暖房に必要な温度にまで上昇し難くなっている。一方、内燃機関と電動機を併用したハイブリッド車両においては内燃機関の稼働率が低いため、そのような冷却水の利用がさらに難しい。電気自動車に至っては内燃機関による熱源そのものがない。このため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用冷暖房装置は、圧縮機、室外熱交換器、蒸発器、室内熱交換器等を含む冷凍サイクルを有し、暖房運転時と冷房運転時とで室外熱交換器の機能が切り替えられる。暖房運転時においては室外熱交換器が蒸発器として機能する。その際、冷凍サイクルを冷媒が循環する過程で室内熱交換器が放熱し、その熱により車室内の空気が加熱される。一方、冷房運転時においては室外熱交換器が凝縮器として機能する。その際、室外熱交換器にて凝縮された冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。その際、除湿も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−240266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような車両用冷暖房装置において、蒸発器に十分な冷媒が供給されず、その出口側の過熱度(スパーヒート)が過大となるようなことがあると、その蒸発器に温度ムラが生じてしまう。車両用冷暖房装置の冷媒循環回路には一般に潤滑用のオイルが循環されるが、このような蒸発器の温度ムラが生じてしまうと、その蒸発器にオイルが滞留してしまうことも想定される。そうなると、圧縮機にも十分なオイルが供給されなくなり、その作動に支障をきたす可能性もある。
【0006】
本発明の目的の一つは、良好な作動を確保可能な車両用冷暖房装置、およびその車両用冷暖房装置に好適な制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の制御弁は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する主弁孔とが設けられたボディと、主弁孔に接離して弁開度を調整する主弁体を含む弁駆動体と、入口ポートと出口ポートとをつなぐ内部通路を流れる冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう主弁体を開閉駆動する感温部と、を備える。
【0008】
ここで、「感温部」は、入口ポートから導入される冷媒の温度と圧力を感知し、その入口ポートを介して導入される冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう主弁体を開閉駆動するものでもよい。あるいは、出口ポートから導出される冷媒の温度と圧力を感知し、その出口ポートを介して導出される冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう主弁体を開閉駆動するものでもよい。また、入口ポートと出口ポートとをつなぐ内部通路の中間部の冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう主弁体を開閉駆動するものでもよい。
【0009】
この態様によると、当該過熱度制御弁を通過する冷媒の過熱度を適正な値に制御できるようになる。このため、例えば当該過熱度制御弁を冷凍サイクルにおける蒸発器の下流側に設けることにより、その蒸発器内の温度ムラを低減することが可能となる。その結果、冷媒循環回路を流れるオイルの循環も良好に維持できるようになる。この態様の過熱度制御弁は、次述のような車両用冷暖房装置の冷凍サイクルにも好適である。
【0010】
本発明のある態様の車両用冷暖房装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、室外熱交換器とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器と、冷房運転時および暖房運転時に圧縮機から吐出された冷媒が補助凝縮器および室内蒸発器を順次経由して圧縮機に戻るように循環可能な第1冷媒循環通路と、暖房運転時に圧縮機から吐出された冷媒が補助凝縮器および室外熱交換器を順次経由して圧縮機に戻るように循環可能な第2冷媒循環通路と、冷房運転時に圧縮機から吐出された冷媒が室外熱交換器および室内蒸発器を順次経由して圧縮機に戻るように循環可能な第3冷媒循環通路と、補助凝縮器の下流側に設けられ、第1冷媒循環通路を介して室内蒸発器へ供給される冷媒の流量を調整する第1の弁と、補助凝縮器の下流側に設けられ、第2冷媒循環通路を介して室外熱交換器へ供給される冷媒の流量を調整する第2の弁と、第2冷媒循環通路に設けられ、室外熱交換器が室外蒸発器として機能するときの室外熱交換器の出口側の過熱度が設定過熱度となるよう冷媒の流量を調整する過熱度制御弁と、を備える。
【0011】
ここで、「補助凝縮器」は、室外熱交換器とは別に循環する冷媒を放熱させるものでよく、車室内に設けられた室内凝縮器であってもよいし、車室外に設けられた第2の室外凝縮器であってもよい。「第1の弁」および「第の2弁」は、アクチュエータによりその弁開度が調整されるものでもよい。例えば、ステッピングモータ等のアクチュエータにより弁開度が設定開度に制御されるものであってもよい。あるいは、ソレノイド等のアクチュエータにより、弁開度が供給電流値により設定される設定開度に制御されるものであってもよい。各弁は、アクチュエータの駆動により弁開度が比例的に変化する比例弁であってもよい。「設定過熱度」は、室外熱交換器における温度ムラを防止または抑制できるような値を適宜設定することができる。
【0012】
この態様によると、補助凝縮器にて凝縮された冷媒は、第1の弁および第2の弁の少なくとも一方を通過し、室内蒸発器および室外熱交換器のそれぞれに供給される。すなわち、第1の弁および第2の弁により室内蒸発器および室外熱交換器に供給される冷媒の流量の割合が調整される。これにより、室内蒸発器に適正量の冷媒を供給することが可能になる。また特に、過熱度制御弁によって室外蒸発器(室外熱交換器)の出口側の過熱度を適正に制御することができる。このため、その室外熱交換器内の温度ムラを低減することが可能となる。その結果、冷媒循環回路を流れるオイルの循環も良好に維持できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好な作動を確保可能な車両用冷暖房装置、およびその車両用冷暖房装置に好適な制御弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。
【図2】車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。
【図3】過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【図4】過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。
【図5】第2実施形態に係る過熱度制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る過熱度制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図7】第2実施形態に係る過熱度制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図8】第2実施形態に係る過熱度制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図9】第3実施形態に係る第1制御弁ユニットの具体的構成を表す断面図である。
【図10】第1制御弁ユニットの動作状態を表す説明図である。
【図11】第1制御弁ユニットの動作状態を表す説明図である。
【図12】第1制御弁ユニットの動作状態を表す説明図である。
【図13】第4実施形態に係る第1制御弁ユニットの構成および動作を表す断面図である。
【図14】第4実施形態に係る第1制御弁ユニットの構成および動作を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用冷暖房装置の概略構成を表すシステム構成図である。本実施形態は、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車の冷暖房装置として具体化したものである。
【0017】
車両用冷暖房装置1は、圧縮機2、室内凝縮器3、第1制御弁ユニット4、室外熱交換器5、第2制御弁ユニット6、蒸発器7およびアキュムレータ8を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。車両用冷暖房装置1は、冷媒としての代替フロン(HFC−134a)が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式の冷暖房装置として構成されている。
【0018】
車両用冷暖房装置1は、また、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。そして、この冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として並列に動作可能に構成され、また、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。すなわち、冷房運転時および暖房運転時に冷媒が循環する第1冷媒循環通路、暖房運転時にのみ冷媒が循環する第2冷媒循環通路、冷房運転時にのみ冷媒が循環する第3冷媒循環通路が形成される。
【0019】
第1冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→第2制御弁ユニット6→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第2冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→第2制御弁ユニット6→室外熱交換器5→第1制御弁ユニット4→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第3冷媒循環通路は、圧縮機2→第1制御弁ユニット4→室外熱交換器5→第2制御弁ユニット6→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。室外熱交換器5を流れる冷媒の流れは、第2冷媒循環通路が開放された場合と第3冷媒循環通路が開放された場合とで逆転する。つまり、室外熱交換器5における冷媒の入口と出口は、第2冷媒循環通路が開放された場合と第3冷媒循環通路が開放された場合とで切り替わる。
【0020】
具体的には、圧縮機2の吐出室につながる通路が分岐し、その一方である第1通路21が室内凝縮器3の入口につながり、他方である第2通路22が室外熱交換器5の一方の出入口につながっている。室内凝縮器3の出口につながる第3通路23は、その下流側で分岐し、その一方である第1分岐通路26が第4通路24を介して蒸発器7につながり、他方である第2分岐通路27が第5通路25を介して室外熱交換器5の他方の出入口につながっている。第4通路24と第5通路25とは、接続通路28により接続されている。また、第2通路22の中間部においてバイパス通路29が分岐し、アキュムレータ8ひいては圧縮機2につながっている。さらに、蒸発器7の出口につながる戻り通路30が、バイパス通路29と逆止弁33(後述する)の下流側にて接続され、アキュムレータ8ひいては圧縮機2につながっている。
【0021】
第1冷媒循環通路は、第1通路21,第3通路23,第1分岐通路26,第4通路24,戻り通路30を接続して構成される。第2冷媒循環通路は、第1通路21,第3通路23,第2分岐通路27,第5通路25,第2通路22,バイパス通路29を接続して構成される。第3冷媒循環通路は、第2通路22,第5通路25,接続通路28,第4通路24,戻り通路30を接続して構成される。そして、このような冷媒循環通路の切り替えを実現するために、圧縮機2と室外熱交換器5との接続部に第1制御弁ユニット4が設けられ、室内凝縮器3と室外熱交換器5と蒸発器7との接続部に第2制御弁ユニット6が設けられている。
【0022】
車両用冷暖房装置1は、空気の熱交換が行われるダクト10を有し、そのダクト10における空気の流れ方向上流側から室内送風機12、蒸発器7、室内凝縮器3が配設されている。室内凝縮器3の上流側には、エアミックスドア14が回動自在に設けられ、室内凝縮器3を通過する風量と室内凝縮器3を迂回する風量との比率が調節される。また、室外熱交換器5に対向するように室外送風機16が配置されている。
【0023】
圧縮機2は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示しないバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。この圧縮機2としては、レシプロ式、ロータリ式、スクロール式など、様々な形式の圧縮機を採用することができるが、電動圧縮機そのものは公知であるため、その説明については省略する。
【0024】
室内凝縮器3は、車室内に設けられ、室外熱交換器5とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧の冷媒が室内凝縮器3を通過する際に放熱する。エアミックスドア14の開度に応じて振り分けられた空気は、室内凝縮器3を通過する過程でその熱交換が行われる。
【0025】
室外熱交換器5は、車室外に配置され、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外送風機16は、吸い込み式の送風機であり、軸流ファンをモータにより回転駆動することにより外気を導入する。室外熱交換器5は、その外気と冷媒との間で熱交換をさせる。
【0026】
蒸発器7は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。すなわち、第2制御弁ユニット6を構成する各制御弁(後述する)の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器7を通過する際に蒸発する。ダクト10の上流側から導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却される。このとき冷却・除湿された空気は、エアミックスドア14の開度に応じて室内凝縮器3を通過するものと、室内凝縮器3を迂回するものとに振り分けられる。室内凝縮器3を通過する空気は、その通過過程で加熱される。室内凝縮器3を通過した空気と迂回した空気とが室内凝縮器3の下流側にて混合されて目標の温度に調整され、図示しない吹出口から車内に供給される。例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口等から車室内所定場所に向かって吹き出される。
【0027】
アキュムレータ8は、蒸発器から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。このため、仮に蒸発器7から想定以上の液冷媒が導出されたとしても、その液冷媒を液相部に溜めおくことができ、気相部の冷媒を圧縮機2に導出することができる。その結果、圧縮機2の圧縮動作に支障をきたすこともない。一方、本実施形態では、その液相部の冷媒の一部を圧縮機2に供給できるようにされており、圧縮機2に必要量の潤滑オイルを戻すことができるようになっている。
【0028】
第1制御弁ユニット4は、切替弁31、過熱度制御弁32および逆止弁33を含む。切替弁31は、第2通路22を開閉する弁部と、その弁部を駆動するソレノイドとを備える二方向電磁弁からなる。切替弁31の開弁により圧縮機2から第2通路22を介した室外熱交換器5への冷媒の流れが許容される。本実施形態では、切替弁31として、ソレノイドへの通電有無によって弁部を開閉させる開閉弁(オン/オフ弁)が用いられる。なお、切替弁31を弁部を駆動するアクチュエータはソレノイドでなくてもよく、ステッピングモータ等の電動機であってもよい。
【0029】
過熱度制御弁32は、暖房運転時において室外熱交換器5の出口側の過熱度(スーパーヒート)が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する制御弁である。本実施形態では、過熱度制御弁32として、室外熱交換器5の出口側の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過熱度制御弁32は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、室外熱交換器5の蒸発圧力を上昇させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。
【0030】
逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁32は、弁開度を大きくし、室外熱交換器5の蒸発圧力を低下させることにより、室外熱交換器5を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁32は、室外熱交換器5の出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。この過熱度制御弁32の具体的構成については後に詳述する。
【0031】
逆止弁33は、バイパス通路29において過熱度制御弁32側への冷媒の逆流を防止する機械式の弁として構成されている。逆止弁33は、前後差圧(逆止弁33の上流側圧力と下流側圧力との差圧)が設定値(予め設定する開弁差圧)を超えると自律的に開弁する差圧弁であってもよい。
【0032】
第2制御弁ユニット6は、過冷却度制御弁41(第1の過冷却度制御弁)、比例弁42、過冷却度制御弁43(第2の過冷却度制御弁)、逆止弁44を含む。過冷却度制御弁41は、室内凝縮器3から第3通路23を介して導入された冷媒を絞り膨張させて下流側に導出する「膨張装置」として機能するとともに、室内凝縮器3から蒸発器7および室外熱交換器5へ供給される冷媒の総流量を調整する「総流量弁」としても機能する。
【0033】
過冷却度制御弁41は、室内凝縮器3の出口側の過冷却度(サブクール)が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC1)に近づくよう冷媒の流れを制御する制御弁である。本実施形態では、過冷却度制御弁41として、室内凝縮器3の出口側の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過冷却度制御弁41は、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SC1よりも大きくなると開弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。
【0034】
逆に、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SC1よりも小さくなると、過冷却度制御弁41は、閉弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。このように、過冷却度制御弁41は、その入口(室内凝縮器3の出口側)の過冷却度が設定値SC1となるよう自律的に動作する。
【0035】
比例弁42は、三方向電磁比例弁として構成され、第3通路23から第1分岐通路26と第2分岐通路27とに分岐する分岐点に設けられている。すなわち、比例弁42は、第1分岐通路26の開度を制御する第1比例弁と、第2分岐通路27の開度を制御する第2比例弁とを含む「複合弁」として構成されている。
【0036】
第1比例弁は、その弁部の開度が制御されることにより第1冷媒循環通路の開度を調整する。第2比例弁は、その弁部の開度が制御されることにより第2冷媒循環通路の開度を調整する。第1比例弁と第2比例弁は、各弁部を構成する弁体が一体に設けられ、一つのアクチュエータにて同時にリニア制御される。それにより、各弁部の開度の比率が制御される。すなわち、暖房運転時においては、過冷却度制御弁41により蒸発器7および室外熱交換器5へ供給される冷媒の総流量が調整され、その総流量が比例弁42によって設定された比率に振り分けられる。つまり、比例弁42は、アクチュエータの駆動量に応じて冷媒の流量を振り分ける「振分弁」として機能する。本実施形態では、比例弁42のアクチュエータがソレノイドからなるが、変形例においてはステッピングモータからなるものでもよい。
【0037】
過冷却度制御弁43は、冷房運転時において室外熱交換器5から第5通路25および接続通路28を介して導入された冷媒を絞り膨張させて蒸発器7側に導出する「膨張装置」として機能する。過冷却度制御弁43は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC2)に近づくよう冷媒の流れを制御する制御弁である。本実施形態では、過冷却度制御弁43として、冷房運転時における室外熱交換器5の出口側の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。過冷却度制御弁43は、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SC2よりも大きくなると開弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。
【0038】
逆に、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SC2よりも小さくなると、過冷却度制御弁43は、閉弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。このように、過冷却度制御弁43は、その入口(室外熱交換器5の出口側)の過冷却度が設定値SC2となるよう自律的に動作する。
【0039】
逆止弁44は、接続通路28において過冷却度制御弁43側への冷媒の逆流を防止する機械式の弁として構成されている。
【0040】
以上のように構成された車両用冷暖房装置1は、制御部100により制御される。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース等を備える。制御部100には、車両用冷暖房装置1に設置された図示しない各種センサ・スイッチ類からの信号が入力される。制御部100は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部100は、切替弁31や比例弁42の開閉制御のほか、圧縮機2,室内送風機12,室外送風機16およびエアミックスドア14の駆動制御も実行する。
【0041】
制御部100は、比例弁42の駆動回路に設定したパルス信号を出力する駆動信号出力部を有する。具体的には、制御部100にて演算され、設定されたデューティ比のパルス信号を出力するPWM出力部が設けられるが、その構成自体には公知のものが採用されるため、詳細な説明を省略する。制御部100は、車室内外の温度、蒸発器7の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて比例弁42の設定開度を決定し、その開度がその設定開度となるようソレノイドに電流を供給する。なお、変形例として比例弁42のアクチュエータをステッピングモータにより構成する場合には、その開度がその設定開度となるようステッピングモータに制御パルス信号を出力する。
【0042】
このような制御により、図示のように、圧縮機2は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。このとき、第2制御弁ユニット6における圧力は図示のようになる。すなわち、過冷却度制御弁41の上流側は高圧の上流側圧力P1となり、比例弁42における第1比例弁の下流側は低圧の下流側圧力P3となる。また、比例弁42における第2比例弁の下流側で過冷却度制御弁43の上流側は中間圧力P2となる。
【0043】
次に、本実施形態の冷凍サイクルの動作について説明する。図2は、車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。(A)は冷房運転時の状態を示し、(B)は暖房運転時の状態を示し、(C)は特定暖房運転時の状態を示し、(D)は特殊冷暖房運転時の状態を示している。ここでいう「冷房運転」は、冷房機能が暖房機能よりも大きく機能する運転状態であり、「暖房運転」は、暖房機能が冷房機能よりも大きく機能する運転状態である。また、「特定暖房運転」は、蒸発器7を機能させない暖房運転(実質的に冷房機能なし)である。「特殊冷暖房運転」は、室外熱交換器5を機能させない冷房運転および暖房運転である。
【0044】
各図の上段には冷凍サイクルの動作を説明するモリエル線図が示されている。その横軸がエンタルピーを表し、縦軸が各種圧力を表している。各図の下段には、冷凍サイクルの動作状態が示されている。図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、符号a〜gはモリエル線図のそれと対応している。また、図中の「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。なお、同図の下段は図1に対応するが、エアミックスドア14等の図示を省略するなど便宜上簡略表記されている。
【0045】
図2(A)に示すように、冷房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁31が開弁される。一方、第2制御弁ユニット6において比例弁42の第1比例弁が開弁され、第2比例弁が閉弁される。このとき、圧縮機2の出口の過熱度が大きいことから、過熱度制御弁32は閉弁状態を保つ。このため、バイパス通路29が遮断され、圧縮機2から吐出冷媒は室外熱交換器5に導かれるようになる。このとき、室外熱交換器5は室外凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、過冷却度制御弁41、比例弁42の第1比例弁、蒸発器7、アキュムレータ8を経由するように第1冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で切替弁31、室外熱交換器5、過冷却度制御弁43、蒸発器7、アキュムレータ8を経由するように第3冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0046】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、一方で室内凝縮器3を、他方で室外熱交換器5を経ることで凝縮される。そして、室内凝縮器3を経由した冷媒が過冷却度制御弁41にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒となって蒸発器7に導入される。このとき、過冷却度制御弁41は、室内凝縮器3の出口側(c点)の過冷却度が設定値SC1となるように弁部の開度を自律的に調整する。比例弁42の第2比例弁が閉じられているため、過冷却度制御弁41にて膨張された冷媒は、全て比例弁42の第1比例弁を通過して蒸発器7に供給される。
【0047】
また、室外熱交換器5を経由した冷媒が過冷却度制御弁43にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒となって蒸発器7に導入される。このとき、過冷却度制御弁43は、室内凝縮器3の出口側(f点)の過冷却度が設定値SC2となるように弁部の開度を自律的に調整する。なお、本実施形態では、これらの設定値SC1とSC2とが等しく設定されているが(「SC」と表記する)、変形例においては両者を異ならせてもよい。蒸発器7の入口に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を冷却する。このとき、蒸発器7から導出された冷媒は、アキュムレータ8を経て圧縮機2に導入されるが、そのとき圧縮機2に潤滑オイルを戻すようになる。
【0048】
一方、図2(B)に示すように、暖房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁31が閉弁される。一方、第2制御弁ユニット6において比例弁42の第1比例弁および第2比例弁がともに開弁され、両比例弁の開度の比率が調整されることで、蒸発器7および室外熱交換器5に向かう冷媒の流量が振り分けられる。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、過冷却度制御弁41、比例弁42の第1比例弁、蒸発器7、アキュムレータ8を経由するように第1冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、過冷却度制御弁41、比例弁42の第2比例弁、室外熱交換器5、過熱度制御弁32、アキュムレータ8を経由するように第2冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0049】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され。そして、過冷却度制御弁41にて断熱膨張された冷温・低圧の気液二相冷媒が比例弁42により振り分けられ、その振り分けられた一方の冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発し、振り分けられた他方の冷媒が室外熱交換器5に供給されて蒸発する。このとき、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率が、第1比例弁と第2比例弁の開度の比率により制御される。それにより、蒸発器7での蒸発量を確保でき、除湿機能を確保することができる。また、潤滑オイルを蒸発器7に滞留させることなく圧縮機2へ戻すことができる。なお、過冷却度制御弁43の入口側は過冷却状態にないため、過冷却度制御弁43は閉弁状態を維持する。
【0050】
この暖房運転においては除湿運転を良好に行うことが必要となるが、その除湿制御の概要については以下のとおりである。すなわち、図2(B)に示すように、過冷却度制御弁41により室内凝縮器3の出口における所定の過冷却度SCが維持されることで(c点)、室内凝縮器3における凝縮能力が適正に維持され、効率の良い熱交換が行われる(d点)。一方、アキュムレータ8によって圧縮機2の入口の冷媒の状態が常に飽和蒸気圧曲線上に保持される(a点)。一方、蒸発器7の出口の冷媒の状態(e点)は、室外熱交換器5の出口の冷媒の状態(g点)とバランスするように変化する。
【0051】
すなわち、蒸発器7の出口における冷媒の湿り度は、室外熱交換器5の出口における冷媒の過熱度とバランスする。このとき、室外熱交換器5における外部からの熱吸収量は、この過熱度制御弁32の絞り量により調整される。すなわち、過熱度制御弁32は、室外熱交換器5の出口側の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、閉弁方向に動作して室外熱交換器5における蒸発圧力Poを上昇させる。その結果、室外熱交換器5の蒸発圧力Poと蒸発器7の蒸発圧力Peとの差圧Poeが発生する。それにより、室外熱交換器5を通過する冷媒の温度が高くなり外気との熱交換量が少なくなるため、過熱度は小さくなる方向に変化する。
【0052】
逆に、その過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、開弁方向に動作して室外熱交換器5における蒸発圧力Poを低下させる。それにより、室外熱交換器5を通過する冷媒の温度が低くなり外気との熱交換量が多くなるため、過熱度は大きくなる方向に変化する。このように、室外熱交換器5の出口側の過熱度が設定過熱度SHとなるよう過熱度制御弁32が自律的に動作するため、室外熱交換器5の出口側の過熱度が過大になるのが防止される。それにより、室外熱交換器5の温度ムラを抑制することができ、室外熱交換器5に潤滑オイルが滞留することを防止または抑制することができる。
【0053】
制御部100は、室外熱交換器5に潤滑オイルを滞留するとして予め設定された条件が成立した場合、圧縮機2の回転数に応じて第2比例弁の開度を大きくして室外熱交換器5の出口側まで湿り度を有する冷媒を流すようにして潤滑オイルの循環を確保する。その場合、過熱度制御弁32が開弁方向に動作して過熱度を戻そうとするが、その感温部が感知するまでのタイムラグがあるため、その湿り度のある冷媒とともに潤滑オイルを導出することが可能になる。なお、本実施形態では、室外熱交換器5において過熱度が発生させる例を示したが、蒸発器7において過熱度を発生させる仕様とする場合には、蒸発器7の下流側に過熱度制御弁32と同様の制御弁を設けてもよい。
【0054】
また、図2(C)に示すように、特定暖房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁31が閉弁される。一方、第2制御弁ユニット6において比例弁42の第1比例弁が閉弁され、第2比例弁が開弁される。このため、冷媒は蒸発器7を通過せず、蒸発器7は実質的に機能しなくなる。つまり、室外熱交換器5のみが蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3、比例弁42の第2比例弁、室外熱交換器5、過熱度制御弁32、アキュムレータ8を経由するように第2冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。なお、過冷却度制御弁43の入口側は過冷却状態にないため、過冷却度制御弁43は閉弁状態を維持する。
【0055】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され、過冷却度制御弁41にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、室外熱交換器5を通過して蒸発される。室外熱交換器5を通過した冷媒は、過熱度制御弁32およびアキュムレータ8を経て圧縮機2に戻る。すなわち、冷温・低圧の冷媒が蒸発器7にて熱交換されないため、車室内に導入された空気は室内凝縮器3により加熱されるのみとなる。このように、一時的に蒸発器7に低温・低圧の液冷媒が供給されなくなるため、ダクト10を通過する空気により蒸発器7が温められる。制御部100は、外部温度等に応じて外部環境が極低温であると判定すると、暖房運転から特定暖房運転に適宜切り替えることにより、蒸発器7が凍結するのを防止または抑制する。
【0056】
また、図2(D)に示すように、特殊冷暖房運転時においては、第1制御弁ユニット4において切替弁31が閉弁される。また、第2制御弁ユニット6において比例弁42の第1比例弁が開弁され、第2比例弁が閉弁される。このため、冷媒は室外熱交換器5を通過せず、室外熱交換器5は実質的に機能しなくなる。つまり、蒸発器7のみが蒸発器として機能する内気循環の状態となる。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3、過冷却度制御弁41、比例弁42の第1比例弁、蒸発器7、アキュムレータ8を経由するように第1冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。このとき、室外熱交換器5の蒸発圧力Poが圧縮機2の吸入圧力Psよりも低くなるが、逆止弁44によって過冷却度制御弁43側への冷媒の逆流は防止され、また、逆止弁33によって切替弁31側への冷媒の逆流も防止される。
【0057】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され、過冷却度制御弁41にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器7を通過して蒸発される。蒸発器7を通過した冷媒は、アキュムレータ8を経て圧縮機2に戻る。車室内に導入された空気は、蒸発器7を経由して冷却・除湿され、室内凝縮器3により加熱されることでその温度調整が行われる。このような特殊冷暖房運転は、外部からの吸熱が困難な場合、例えば車両が極寒状況におかれた場合などに有効に機能する。
【0058】
次に、第1制御弁ユニット4の具体的構成および動作について説明する。上述のように、第1制御弁ユニット4は、切替弁31、過熱度制御弁32、逆止弁33を含む。なお、本実施形態の切替弁31については一般的な二方向電磁弁を用いることができ、逆止弁33については一般的な機械式の弁を用いることができるため、ここでは過熱度制御弁32の構成および動作について説明する。
【0059】
図3および図4は、過熱度制御弁の具体的構成および動作を表す断面図である。図3は、過熱度制御弁32の閉弁状態を示し、図4は過熱度制御弁32の開弁状態を示している。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
【0060】
図3に示すように、過熱度制御弁32は、有底筒状のボディ50に主弁52とパイロット弁54とを同軸状に収容して構成される。ボディ50は、金属素材を切削加工して形成され、その一方の側部には高圧の冷媒を導入する入口ポート56が設けられ、他方の側部には低圧の冷媒を導出する出口ポート58が設けられている。ボディ50の上端開口部は、円板状の封止部材59により封止されている。封止部材59は、シール用のOリング57を介装させた状態でボディ50に加締め接合されており、封止部材59とボディ50との間隙を介した冷媒の漏洩が確実に防止される。ボディ50の内部中央には上方に突出した円ボス状の区画壁60が設けられている。区画壁60は、ボディ50内を高圧側の圧力室62と低圧側の圧力室64とに区画している。圧力室62は入口ポート56に連通し、圧力室64は出口ポート58に連通している。
【0061】
区画壁60の環状の内周部により主弁孔66が形成され、その上流側開口端部により主弁座68が形成されている。圧力室62には段付円筒状の弁駆動体70が配設されている。弁駆動体70の下部には、主弁座68に着脱して主弁52を開閉する主弁体71が一体に設けられている。弁駆動体70の下端面の外周部近傍からは下方に向けて複数の脚部72が延設されており(同図には1つのみ表示)、主弁孔66の内周面によって摺動可能に支持されている。
【0062】
一方、弁駆動体70の上端部には半径方向外向きに延出するフランジ部74が設けられ、ボディ50の内周面に摺動可能に支持されている。フランジ部74の外周面にはシール用のOリング76が嵌着されている。フランジ部74は、圧力室62を高圧室78と背圧室80とに区画する。弁駆動体70の上端部開口部を封止するようにパワーエレメント82が設けられている。パワーエレメント82は、入口ポート56から導入される冷媒の温度と圧力を感知してパイロット弁54ひいては主弁52を開閉駆動するものである。
【0063】
また、フランジ部74には、高圧室78と背圧室80とを連通する小断面のオリフィス84(「リーク通路」として機能する)が設けられている。なお、高圧室78と圧力室64とを主弁52を介してつなぐ通路が過熱度制御弁32における「主通路」を構成し、高圧室78と圧力室64とをパイロット弁54を介してつなぐ通路が過熱度制御弁32における「副通路」を構成する。
【0064】
弁駆動体70の内部中央には、半径方向内向きに延出した区画壁86が設けられている。区画壁86は、背圧室80と圧力室64とを区画しており、その環状の内周部によりパイロット弁孔88が形成されている。そして、パイロット弁孔88の背圧室80側の開口端部によりパイロット弁座90が形成されている。背圧室80にはパイロット弁体92が配設され、そのパイロット弁体92がパイロット弁座90に着脱してパイロット弁54を開閉する。弁駆動体70の下端開口部からは円ボス状の区画壁93が下方に延設されており、その区画壁93と区画壁86とに囲まれた空間が圧力室94を形成している。このように区画壁93を下方に延出させることにより、弁駆動体70の位置にかかわらず、圧力室94に下流側の圧力Poutが確実に導入される。
【0065】
圧力室94の下端開口部にはリング状のアジャスト部材96が圧入され、圧力室94には有底円柱状の作動ロッド98が設けられている。作動ロッド98は、その一端側がパイロット弁孔88を貫通してパイロット弁体92に接続されている。すなわち、パイロット弁体92の下半部には軸線方向に沿って挿通孔99が形成され、作動ロッド98の上半部が内挿されるように接続されている。作動ロッド98の底部の外周部には、圧力室94において冷媒を流通させるための連通溝97が形成されている。作動ロッド98の底部とアジャスト部材96との間には、作動ロッド98を介してパイロット弁体92を開弁方向に付勢するスプリング102が介装されている。このアジャスト部材96の圧入量によりスプリング102の荷重が調整されている。
【0066】
パイロット弁体92は、下方に向かって段階的に縮径する段付円柱状をなし、その下端部がテーパ状に形成されてパイロット弁座90に着脱する。パイロット弁体92の軸線方向中間部は弁駆動体70の上端部内周面に摺動可能に支持され、その外周面に形成された複数の連通溝104(同図には1つのみ表示)によってパイロット弁孔88と背圧室80とが連通されている。パイロット弁体92は、円板状の底部にてパワーエレメント82に接続されている。
【0067】
パワーエレメント82は、中空のハウジング106と、ハウジング106内を密閉空間S1と開放空間S2とに仕切るように配設されたダイアフラム108(「感圧部材」に該当する)とを含んで構成されている。ハウジング106は、アッパーハウジング110およびロアハウジング112からなる。ダイアフラム108は、ステンレス等の金属薄板からなる。パワーエレメント82は、アッパーハウジング110とロアハウジング112との間にダイアフラム108を挟んだ状態でその接合部の外周に沿ってTIG溶接等が施されることにより形成される。パワーエレメント82は、その外周部がフランジ部74の上端部に加締められるようにして弁駆動体70に固定されている。パワーエレメント82と封止部材59との間には、ハウジング106を介して弁駆動体70を閉弁方向に付勢するスプリング113(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0068】
密閉空間S1は感温室を構成し、アッパーハウジング110内に基準圧力を保持するための基準ガスなどが充填された後、その上面中央に設けられた孔をボール状の封体114にて封止することにより密閉されている。本実施形態においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガス(HFC−134a)と窒素ガスとの混合ガスが用いられる。なお、変形例においては、基準ガスとして、冷凍サイクルを循環する冷媒ガスと同種類のガスを用いてもよい。ダイアフラム108の下面にはパイロット弁体92の底部の上端面が当接する。ロアハウジング112の下端面には開口部が設けられており、背圧室80と開放空間S2とを連通させている。このため、ダイアフラム108の下面には、背圧室80の中間圧力Ppが付与されるようになる。
【0069】
このような構成において、入口ポート56を介して導入された上流側圧力Pinの冷媒は、一方で主弁52を経て減圧膨張されて下流側圧力Poutとなり、他方でオリフィス84を経て背圧室80にて中間圧力Ppとなり、パイロット弁54を経て下流側圧力Poutとなる。中間圧力Ppは、パイロット弁54の開閉状態によって変化する。
【0070】
ここで、パワーエレメント82は、背圧室80の冷媒の温度と圧力を感知し、入口ポート56を介して導入される冷媒の過熱度が設定値(例えば5deg)に近づくように動作し、弁部の開度を調整する。すなわち、パワーエレメント82は、暖房運転時において過熱度制御弁32の入口側(つまり、室外熱交換器5の出口側)の過熱度が設定過熱度SHとなるように動作し、主弁52の開度を調整する。すなわち、弁駆動体70は、上流側圧力Pinと中間圧力Ppとの差圧(Pin−Pp)による開弁方向の力、中間圧力Ppと下流側圧力Poutとの差圧(Pp−Pout)による閉弁方向の力、スプリング113による閉弁方向の付勢力とが釣り合う位置にて静止する。その力の釣り合いに際し、中間圧力Ppは、パワーエレメント82の動作によるパイロット弁54の開閉状態に応じて変化する。パワーエレメント82の基準圧力室の圧力は、入口ポート56から導入される冷媒の過熱度に対応して変化する。それにより、入口ポート56から導入される冷媒の過熱度が設定過熱度SHに近づくようパイロット弁54の開度が変化し、主弁52の開度が調整される。
【0071】
すなわち、図4に示すような過熱度の制御状態において、上流側の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、パワーエレメント82が高温を感知してパイロット弁54の閉弁方向に動作する。その結果、パイロット弁54の弁開度が小さくなるため中間圧力Ppが上昇し、弁駆動体70が閉弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが上昇するため、その上流側での熱交換量が少なくなり、過熱度が小さくなる方向に変化する。具体的には、図2(B)に示した室外熱交換器5の蒸発圧力Poが上昇するために外部の空気との温度差が小さくなり、その蒸発量が減少する。それにより、室外熱交換器5の出口側の過熱度が小さくなる。
【0072】
逆に、過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、パワーエレメント82が低温を感知してパイロット弁54の開弁方向に動作する。その結果、パイロット弁54の弁開度が大きくなるため中間圧力Ppが低下し、弁駆動体70が開弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが低下するため、その上流側での熱交換量が増加し、過熱度が大きくなる方向に変化する。具体的には、図2(B)に示した室外熱交換器5の蒸発圧力Poが低下するために外部の空気との温度差が大きくなり、その蒸発量が増加する。それにより、室外熱交換器5の出口側の過熱度が大きくなる。このようにして過熱度が設定過熱度SHに保たれるようになる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、過熱度制御弁の構成が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図5〜図8は、第2実施形態に係る過熱度制御弁の構成および動作を表す断面図である。図5は主弁の閉弁状態を示し、図6は主弁の開度制御状態を示し、図7は主弁の全開状態を示し、図8は逆止弁の閉弁状態を示している。
【0074】
本実施形態の過熱度制御弁232は、図1に示した過熱度制御弁32と逆止弁33とを合わせた機能を有する。図5に示すように、過熱度制御弁232は、有底筒状のボディ250に主弁252とパイロット弁254とを同軸状に収容して構成され、主弁252が逆止弁としても機能する。パワーエレメント82は、上流側の圧力室62ではなく下流側の圧力室64に配設されている。パワーエレメント82は、出口ポート58から導出される冷媒の温度と圧力を感知して動作する。
【0075】
ボディ250の上端開口部は、円板状の封止部材251が圧入されて封止されている。ボディ50に設けられた区画壁60の内周部により主弁孔66が形成され、その上流側開口端部により主弁座68が形成され、下流側開口端部により副弁座268が形成されている。また、ボディ250の下端開口部を封止するように、有底円筒状の封止部材259が設けられている。封止部材259はボディ250の下半部にわたって上方に延出しており、その内周面によってガイド部260が形成されている。封止部材259の内部は、出口ポート58に連通している。
【0076】
弁駆動体270は、段付円筒状の本体271と、本体271の上端部に設けられた主弁体272と、本体271の下端部に設けられた区画部材273とを有する。区画部材273は、圧力室64を背圧室80と低圧室275とに区画する。弁駆動体270の下端開口部を封止するようにパワーエレメント82が設けられている。弁駆動体270は、区画部材273の外周面がガイド部260に摺動するようにして弁部の開閉方向に動作する。区画部材273の外周面とガイド部260との間にはOリング76が介装されている。
【0077】
主弁体272は、段付円筒状をなし、その下半部が本体271に圧入されている。主弁体272は、圧力室62に配置され、主弁座68に着脱して主弁252を開閉する。区画部材273は、大径の円筒状をなし、本体271の下部に螺合されて固定されている。本体271と区画部材273との間にはシール用のOリング274が介装されている。区画部材273の上面中央部にはリング状の弾性体(本実施例ではゴム)からなる弁部材276が嵌着されている。弁部材276は弁体を構成し、圧力室64側から副弁座268に着脱して内部通路を遮断する。すなわち、弁駆動体270は、逆止弁としても機能する。
【0078】
区画部材273には、背圧室80の一部を構成する連通路278と、その連通路278と出口ポート58とを連通させるオリフィス84(リーク通路)が形成されている。なお、圧力室62と低圧室275とを主弁252を介してつなぐ通路が過熱度制御弁232における「主通路」を構成し、圧力室62と低圧室275とをパイロット弁254を介してつなぐ通路が過熱度制御弁232における「副通路」を構成する。
【0079】
弁駆動体270の内部通路279の下端部には、半径方向内向きにやや縮径したパイロット弁孔88が設けられている。そして、パイロット弁孔88の背圧室80側の開口端部によりパイロット弁座90が形成されている。背圧室80にはパイロット弁体280が配設され、そのパイロット弁体280がパイロット弁座90に着脱してパイロット弁254を開閉する。
【0080】
パイロット弁体280は、段付円筒状の本体281の上端拡径部にリング状の弾性体(本実施例ではゴム)からなる弁部材282を嵌着し、その弁部材282を本体281との間に挟むように軸部材283を組み付けて構成される。軸部材283は、本体281に挿通され、その一端が加締められることにより本体281に固定されている。弁部材282は、軸部材283の他端により係止されて本体281からの脱落が防止されている。
【0081】
パイロット弁体280とダイアフラム108との間には、有底段付円筒状の伝達部材285が配設されている。伝達部材285は、その底部がダイアフラム108に当接し、その内方にパイロット弁体280の下半部を摺動可能に支持するガイド孔286が形成されている。パイロット弁体280は、伝達部材285の上端面に係止されることにより、その下方への変位が規制されている。
【0082】
パイロット弁体280と伝達部材285との間には、パイロット弁体280を閉弁方向に付勢するスプリング288(「付勢部材」として機能する)が介装されている。一方、伝達部材285と弁駆動体270との間には、伝達部材285をパイロット弁254の開弁方向に付勢するスプリング290(「付勢部材」として機能する)が介装されている。パワーエレメント82と封止部材259との間には、ハウジング106を介して弁駆動体270を主弁252の開弁方向に付勢するスプリング113(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0083】
このような構成において、入口ポート56を介して導入された上流側圧力Pinの冷媒は、一方で主弁252を経て減圧膨張されて下流側圧力Poutとなり、他方で内部通路279およびパイロット弁254を経て背圧室80にて中間圧力Ppとなり、オリフィス84を経て下流側圧力Poutとなる。中間圧力Ppは、パイロット弁254の開閉状態によって変化する。
【0084】
本実施形態において、パワーエレメント82は、背圧室80の冷媒の温度と圧力を感知し、出口ポート58を介して導出される冷媒の過熱度が設定値(例えば5deg)に近づくように動作し、弁部の開度を調整する。すなわち、パワーエレメント82は、暖房運転時において過熱度制御弁232の出口側の過熱度が設定過熱度SHとなるように動作し、主弁252の開度を調整する。なお、図2(B)にも示されるように、過熱度制御弁232の出口側の過熱度は入口側の過熱度にほぼ等しくなるため、このように過熱度制御弁232の出口側の過熱度を調整しつつも、実質的には過熱度制御弁232の入口側、つまり室外熱交換器5の出口側の過熱度を調整することになる。
【0085】
弁駆動体270は、上流側圧力Pinと下流側圧力Poutとの差圧(Pin−Pout)による閉弁方向の力と、中間圧力Ppと下流側圧力Poutとの差圧(Pp−Pout)による開弁方向の力と、スプリング113による開弁方向の付勢力とが釣り合う位置にて静止する。その力の釣り合いに際し、中間圧力Ppは、パワーエレメント82の動作によるパイロット弁254の開閉状態に応じて変化する。パワーエレメント82の基準圧力室の圧力は、下流側の冷媒の過熱度に対応して変化する。それにより、出口ポート58から導出される冷媒の過熱度が設定過熱度SHに近づくようパイロット弁254の開度が変化し、主弁252の開度が調整される。
【0086】
すなわち、図6に示すような過熱度の制御状態において、下流側の過熱度が設定過熱度SHよりも大きくなると、パワーエレメント82が高温を感知してパイロット弁254の閉弁方向に動作する。その結果、パイロット弁54の弁開度が小さくなるため中間圧力Ppが減少し、弁駆動体270が主弁252の閉弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが上昇するため、その上流側での熱交換量が少なくなり、過熱度が小さくなる方向に変化する。
【0087】
逆に、過熱度が設定過熱度SHよりも小さくなると、パワーエレメント82が低温を感知してパイロット弁254の開弁方向に動作する。その結果、パイロット弁54の弁開度が大きくなるため中間圧力Ppが上昇し、弁駆動体270が開弁方向に動作する。その結果、上流側圧力Pinが低下するため、その上流側での熱交換量が増加し、過熱度が大きくなる方向に変化する。このようにして過熱度が設定過熱度SHに保たれるようになる。
【0088】
なお、図7に示すように、弁駆動体270が主弁252の開弁方向に動作し、出口ポート58と連通路278とが弁駆動体270の外周部を介して連通する位置まで上昇すると、その外周部の開口面積はオリフィス84の流路断面と比べて相当大きくなる。つまり、背圧室80の圧力の減少率が大きくなるため、弁駆動体270の開弁方向への力は、それ以上増大し難くなる。このため、上流側圧力Pinが下流側圧力Poutよりも高い状態においては、弁駆動体270はそれ以上、主弁252の開弁方向へは動作しない。このため、図示の状態が主弁252の全開状態となる。
【0089】
一方、図2(D)に示した状態のように、上流側圧力Pinよりも下流側圧力Poutが高くなろうとすると、図8に示すように、中間圧力Ppと上流側圧力Pinとの差圧(Pp−Pin)による力が加わるため、弁部材276が副弁座268に着座して逆止弁を閉弁させる。このため、出口ポート58から入口ポート56への冷媒の逆流が防止される。
【0090】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、第1制御弁ユニットとして、切替弁、過熱度制御弁および逆止弁が一体に構成された点を除き、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図9は、第3実施形態に係る第1制御弁ユニットの具体的構成を表す断面図である。
【0091】
本実施形態の第1制御弁ユニット304は、切替弁31、過熱度制御弁332および逆止弁33が共用のボディ350を有するように一体化されている。ボディ350には、圧縮機2の吐出室につながる入口ポート354、室外熱交換器5の出入口につながる出入口ポート356、アキュムレータ8の入口につながる出口ポート58が設けられている。ボディ350の中央部には、段付円筒状の弁座形成部材352が圧入されている。弁座形成部材352の内周部により弁孔366が形成され、その上端開口部に主弁座68が形成され、下端開口部に副弁座268が設けられている。弁孔366は、主弁座68側にて出入口ポート356に連通し、副弁座268側にて出口ポート58に連通している。弁座形成部材352とボディ350との間には、シール用のOリング368が設けられている。
【0092】
過熱度制御弁332は、その主弁370が図3の主弁52に近似した構造を有し、パイロット弁372が、図5のパイロット弁254に近似した構造を有する。弁駆動体374は、その本体と区画部材とをOリング274を介して螺合した二重構造を有し、その下端部が主弁体376を構成する。主弁体376は、弾性体からなる弁部材にて構成され、主弁座68に着脱して主弁370を開閉する。弁駆動体374にはその軸線に沿ったパイロット通路が設けられ、そのパイロット通路の上流側端部にパイロット弁孔88が形成され、その上流側開口端部にパイロット弁座90が形成されている。
【0093】
パイロット弁体380は段付円柱状をなし、その大径側の端面がパワーエレメント82のダイアフラム108に当接する。パイロット弁体380のダイアフラム108とは反対側には弾性体からなる弁部材が嵌着されており、パイロット弁体380は、その弁部材がパイロット弁座90に着脱してパイロット弁372を開閉する。弁駆動体374とパイロット弁体380との間には、パイロット弁体380をパイロット弁372の開弁方向に付勢するスプリング290が介装されている。
【0094】
逆止弁33は、圧力室64に配置された有底円筒状の弁体382を有する。弁体382の底部外周部には、弾性体(本実施形態ではゴム)からなるリング状の弁部材384が嵌着されており、その弁部材384が副弁座268に着脱することにより逆止弁33を開閉する。弁体382の底部から上方に向けて複数の脚部385が延設され、弁座形成部材352の内周面に摺動可能に支持されている。また、弁体382の下半部は、ボディ350に設けられた円ボス状のガイド部386に摺動可能に支持されている。すなわち、弁体382は、その上下において支持されつつ弁部の開閉方向に動作する。弁体382とボディ350との間には、弁体382を閉弁方向に付勢するスプリング388が介装されている。なお、弁体382の下半部には内外を連通する連通孔389が形成され、弁体382の背圧室に冷媒を導入可能に構成されている。
【0095】
切替弁31は、通電の有無により弁部を開閉するパイロット作動式のオン・オフ電磁弁として構成されている。切替弁31は、弁本体401とソレノイド402とを組み付けて構成される。弁本体401は、ボディ350に対して主弁405とパイロット弁406とを同軸状に収容して構成される。ボディ350の内部には、入口ポート354と高圧室78とを連通する主弁孔420が形成され、その上流側開口端部により主弁座422が形成されている。
【0096】
主弁孔420の上流側(入口ポート354側)の圧力室357には、段付円筒状の弁駆動体424が配設されている。弁駆動体424の先端部に設けられた弁体425が主弁座422に着脱して主弁405を開閉する。弁体425は、弾性体(本実施形態ではゴム)からなる。弁駆動体424の先端部の外周縁近傍からは複数の脚部432が延設されており(同図には1つのみ表示)、主弁孔420の内周面によって摺動可能に支持されている。
【0097】
一方、弁駆動体424の後端部(図の右端部)には半径方向外向きに延出するフランジ部434が設けられ、ボディ350の内周面に摺動可能に支持されている。フランジ部434の外周面にはシール用のOリング436が嵌着されている。フランジ部434は、圧力室357を高圧室438と背圧室440とに区画する。また、フランジ部434から後方に向けて複数の脚部442が延設されており(同図には1つのみ表示)、ソレノイド402の内部まで延出している。
【0098】
なお、高圧室438と高圧室78とを主弁405を介してつなぐ通路が切替弁31における「主通路」を構成し、高圧室438と高圧室78とをパイロット弁406を介してつなぐ通路が切替弁31における「副通路」を構成する。
【0099】
弁駆動体424の内部中央には、その軸線方向に背圧室440と高圧室78とを連通させるパイロット通路444が形成され、そのパイロット通路444の背圧室440側の端部がパイロット弁孔446を形成している。そして、パイロット弁孔446の上流側開口端部により弁座449が形成されている。後述のように、パイロット弁406を構成するパイロット弁体450が、制御状態に応じて弁座449に着脱してパイロット弁孔446を開閉する。
【0100】
パイロット弁体450は、長尺状の本体を有し、後述する第1プランジャ471に圧入固定されている。パイロット弁体450の先端には、弾性体(本実施形態ではゴム)からなるリング状の弁部材451が嵌着されている。パイロット弁体450は、背圧室440に配置され、弁座449に着脱してパイロット弁406を開閉する。弁駆動体424の側部には、小断面のリーク通路460が形成され、高圧室438と背圧室440とを連通させている。弁駆動体424の側部には、リーク通路460を外方から囲むようにフィルタ455が設けられ、背圧室440への異物の侵入を防止している。
【0101】
以上のような構成において、入口ポート354から導入される圧力Pdは、リーク通路460を経ることで背圧室440にて中間圧力Pp2となる。この中間圧力Pp2は、パイロット弁406の開閉状態によって変化する。
【0102】
一方、ソレノイド402は、ボディ350の右端開口部を封止するように取り付けられた有底円筒状のスリーブ470を有する。スリーブ470内には、第1プランジャ471(「第1の可動鉄心」に該当する)および第2プランジャ472(「第2の可動鉄心」に該当する)が軸線方向に対向配置されるように収容されている。スリーブ470の外周部にはボビン473が設けられ、そのボビン473に電磁コイル474が巻回されている。そして、電磁コイル474を外部から覆うようにケース476が設けられている。スリーブ470は、ケース476を軸線方向に貫通している。電磁コイル474からは通電用のハーネス478が引き出されている。
【0103】
第1プランジャ471は、円筒状をなし、その外周部には軸線方向に延びる複数のスリット481(同図にはその1つを表示)が設けられている。前述の弁駆動体424の脚部442は、このスリット481を介して右方に延出している。パイロット弁体450は、その右半部が第1プランジャ471の軸線にそって圧入されている。すなわち、パイロット弁体450は、第1プランジャ471と一体的に動作する。
【0104】
第2プランジャ472は、円筒状をなし、その内部中央に隔壁が設けられている。第2プランジャ472は、その左端面にて脚部442の右端面に当接してこれを支持する。第1プランジャ471と第2プランジャ472との間には、第1プランジャ471を介してパイロット弁体450を閉弁方向に付勢するスプリング484(「付勢部材」に該当する)が介装されている。第2プランジャ472とスリーブ470との間には、第2プランジャ472を介して弁駆動体424を閉弁方向に付勢するスプリング486が介装されている。すなわち、弁駆動体424は、第2プランジャ472と一体的に動作可能となっている。
【0105】
次に、第1制御弁ユニット304の動作について説明する。図10〜図12は、第1制御弁ユニットの動作を表す説明図である。図10は、ソレノイド402がオンにされた制御状態を示す。図11,図12および既に説明した図9は、ソレノイド402がオフにされた状態を示す。図10は図2(A)に対応する。図9および図11は図2(B)および(C)に対応し、主弁の開度が互いに異なる状態を示す。図12は図2(D)に対応する。
【0106】
すなわち、冷房運転時には、図10に示すように、切替弁31においてソレノイド402がオン(通電状態)にされるため、ソレノイド力によって第1プランジャ471と第2プランジャ472との間に吸引力が作用するため、パイロット弁体450が開弁方向に付勢され、パイロット弁406が開弁状態となる。それにより、背圧室440の中間圧力Pp2が低下するため、弁駆動体424に差圧(Pd−Pp2)が大きく作用するようになり、弁駆動体424が開弁方向に駆動される。このため、主弁405が開弁状態となる。つまり、切替弁31は開弁状態となる。
【0107】
その結果、吐出圧力Pdの高圧冷媒が主弁孔420を介して高圧室78に導入され、出入口ポート356を介して室外熱交換器5側に導出される。このとき、過熱度制御弁332においては、オリフィス84を介して背圧室80に高圧の冷媒が導入される。一方、圧縮機2から吐出された吐出圧力Pdの冷媒は高温であるため、パワーエレメント82はパイロット弁体380を閉弁方向に駆動し、パイロット弁372も閉弁状態に維持される。このため、中間圧力Ppが高くなり、弁駆動体374が閉弁方向に駆動されて主弁370は閉弁状態となる。つまり、過熱度制御弁332は閉弁状態となる。なお、逆止弁33は、弁体382に実質的に前後差圧が作用しないため、スプリング388の付勢力によって閉弁状態となる。このようにして、図2(A)に示した冷媒の循環が実現される。
【0108】
暖房運転時には、図11および図9に示すように、切替弁31においてソレノイド402がオフ(非通電状態)にされるため、スプリング484の付勢力によりパイロット弁体450が閉弁方向に動作し、パイロット弁406は閉弁状態となる。その結果、背圧室440の中間圧力Pp2が高く維持され、また、スプリング486によって弁駆動体424が閉弁方向に付勢されているため、主弁405も閉弁状態となる。つまり、切替弁31は、閉弁状態を維持する。
【0109】
一方、室外熱交換器5から導出された蒸発圧力Poの冷媒が出入口ポート356を介して導入されるため、過熱度制御弁332がその過熱度を設定過熱度SHに近づけるように動作する。すなわち、蒸発圧力Poの冷媒がオリフィス84を介して背圧室80に導入され、パワーエレメント82がその冷媒の温度と圧力を感知して動作する。このとき、パイロット弁372が開弁するため、中間圧力Ppが低下する。このため、弁駆動体374に差圧(Po−Pp)が大きく作用するようになり、弁駆動体374が開弁方向に駆動される。このため、主弁370が開弁状態となる。このときの主弁370の開度は、室外熱交換器5の出口側の過熱度を設定過熱度SHに近づけるよう自律的に変化する。また、このように主弁370が開弁することで弁体382に前後差圧が大きく作用し、逆止弁33は開弁状態となる。このようにして、図2(B)に示した冷媒の循環が実現される。
【0110】
また、特定暖房運転時には、ソレノイド402がオフにされるため、切替弁31は閉弁状態を維持する。一方、室外熱交換器5から導出された蒸発圧力Poの冷媒が出入口ポート356を介して導入される。ただし、この場合、図2(C)にも示したように、第1冷媒循環通路が遮断され、室内凝縮器3から導出された冷媒が全て室外熱交換器5を通過することになるため、室外熱交換器5における熱交換量が大きくなり、蒸発圧力Poが相当低くなる。このため、パワーエレメント82が低温を感知してパイロット弁372が大きく開弁し、中間圧力Ppが相当低くなる。その結果、主弁370はほぼ全開状態となる。また、このように主弁370が開弁することで弁体382に前後差圧が作用し、逆止弁33も開弁状態となる。このようにして、図2(C)に示した冷媒の循環が実現される。
【0111】
特殊冷暖房運転時には、図12に示すように、ソレノイド402がオフにされるため、切替弁31は閉弁状態を維持する。一方、図2(D)にも示したように、第2冷媒循環通路が遮断され、室内凝縮器3から導出された冷媒が全て蒸発器7を通過することになるため、室外熱交換器5における圧力が相当低くなる。このとき、出入口ポート356を介して冷媒が導入されないため、スプリング113の付勢力によって弁駆動体374が閉弁方向に駆動され、主弁370は閉弁状態となる。一方、弁体382には逆圧がかかり、逆止弁33が閉弁状態となるため、冷媒の逆流は防止される。このようにして、図2(D)に示した冷媒の循環が実現される。
【0112】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1制御弁ユニットの構成が若干異なる点を除き、第3実施形態と同様である。このため、第3実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図13および図14は、第4実施形態に係る第1制御弁ユニットの構成および動作を表す断面図である。図13は、切替弁31においてソレノイド402がオンにされた状態を示し、図10に対応する。図14は、切替弁31においてソレノイド402がオフにされた直後の状態を示す。
【0113】
図13に示すように、本実施形態の第1制御弁ユニット404は、切替弁31が閉弁したときに、主弁370の開弁に先立って速やかに第2冷媒循環通路を開放可能な開閉弁410が設けられている。すなわち、弁座形成部材352の上端近傍の側面に内外を連通する弁孔412が設けられ、その外側開口端部により弁座413が形成されている。一方、弁座形成部材352の上端部を囲むように環状の弁体414が設けられている。弁体414は、弁孔412との対向位置に弾性体からなる弁部材416が嵌着され、外方から弁座413に着脱して開閉弁410を開閉する。ボディ350における出入口ポート356の近傍には、リング状のばね受け部材418が嵌着され、そのばね受け部材418と弁体414との間に、弁体414を閉弁方向に付勢するスプリング419が介装されている。一方、切替弁31における弁駆動体424の先端には、開閉弁410を開弁方向に駆動する駆動部421が形成されている。
【0114】
このような構成において、切替弁31が閉弁すると、図14に示すように、駆動部421が弁体414を開弁方向に押圧する。それにより、弁部材416が弁座413から離間して開閉弁410を開弁させる。すなわち、仮に開閉弁410がなくとも室外熱交換器5から冷媒が導入されることにより過熱度制御弁332は開弁されることになるが、冷媒の循環が変化してその圧力が導入されるまでにタイムラグがある。本実施形態によれば、切替弁31の閉弁と同時に第2冷媒循環通路を速やかに開放することができ、このタイムラグを補うことができ、冷媒の流れを速やかに変更できるといったメリットがある。
【0115】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0116】
上記実施形態では、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車に適用した例を示したが、内燃機関を搭載した自動車や、内燃機関と電動機を同載したハイブリッド式の自動車に提供することが可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、圧縮機2として電動圧縮機を採用した例を示したが、エンジンの回転を利用して容量可変を行う可変容量圧縮機を採用することもできる。
【0117】
上記実施形態の過熱度制御弁32,232,332においては、冷媒の圧力と温度を感知する感圧部材としてダイアフラムを用いる例を示した。感圧部材としてはこのほか、ベローズ等のように圧力を感知して伸縮するものを採用することもできる。しかし、過冷却度制御弁のコンパクト化を実現するうえでは薄膜状の感圧部材であるダイアフラムを採用するほうが好ましい。
【0118】
上記実施形態においては、補助凝縮器として室内凝縮器を設ける例を示した。変形例においては、補助凝縮器を室外熱交換器とは別に設けられる熱交換器として構成してもよい。その熱交換器は、例えば車室外に配置され、エンジンの冷却水を利用して熱交換を行うものでもよい。具体的には、図1における圧縮機2と第2制御弁ユニット6との間に熱交換器を設ける一方、ダクト10内に放熱器を配置し、これら熱交換器と放熱器とを冷却水の循環回路にて接続してもよい。その循環回路には冷却水を汲み上げるポンプを設けてもよい。このようにすれば、圧縮機2から第2制御弁ユニット6へ向かう高温の冷媒と、循環回路を循環する冷却水との間で熱交換を行うことができる。このような構成においても、圧縮機2から吐出された冷媒を熱交換器により凝縮させて第2制御弁ユニット6に供給することが可能となる。
【符号の説明】
【0119】
1 車両用冷暖房装置、 2 圧縮機、 3 室内凝縮器、 4 第1制御弁ユニット、 5 室外熱交換器、 6 第2制御弁ユニット、 7 蒸発器、 8 アキュムレータ、 31 切替弁、 32 過熱度制御弁、 33 逆止弁、 41 過冷却度制御弁、 42 比例弁、 43 過冷却度制御弁、 44 逆止弁、 50 ボディ、 52 主弁、 54 パイロット弁、 56 入口ポート、 58 出口ポート、 66 主弁孔、 68 主弁座、 70 弁駆動体、 71 主弁体、 82 パワーエレメント、 84 オリフィス、 88 パイロット弁孔、 90 パイロット弁座、 92 パイロット弁体、 100 制御部、 232 過熱度制御弁、 250 ボディ、 252 主弁、 254 パイロット弁、 268 副弁座、 270 弁駆動体、 271 本体、 272 主弁体、 280 パイロット弁体、 304 第1制御弁ユニット、 332 過熱度制御弁、 350 ボディ、 354 入口ポート、 356 出入口ポート、 366 弁孔、 370 主弁、 372 パイロット弁、 374 弁駆動体、 376 主弁体、 380 パイロット弁体、 382 弁体、 401 弁本体、 402 ソレノイド、 404 第1制御弁ユニット、 405 主弁、 406 パイロット弁、 410 開閉弁、 412 弁孔、 413 弁座、 414 弁体、 420 主弁孔、 422 主弁座、 424 弁駆動体、 425 弁体、 444 パイロット通路、 446 パイロット弁孔、 449 弁座、 450 パイロット弁体、 480 開閉弁、 S1 密閉空間、 S2 開放空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する主弁孔とが設けられたボディと、
前記主弁孔に接離して弁開度を調整する主弁体を含む弁駆動体と、
前記入口ポートと前記出口ポートとをつなぐ内部通路を流れる冷媒の温度と圧力を感知し、その冷媒の過熱度が設定過熱度となるよう前記主弁体を開閉駆動する感温部と、
を備えることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記入口ポートと前記出口ポートとを直接つなぐ主通路を、前記主弁孔に接離して開閉する前記主弁体を有し、前記弁駆動体が前記主通路と背圧室とを区画するように設けられる主弁と、
前記入口ポートと前記出口ポートとを前記背圧室を介してつなぐ副通路の開度を、副弁孔に接離して調整可能なパイロット弁体を有し、そのパイロット弁体が前記感温部に作動連結されることにより前記主弁体の開閉駆動力を生成するパイロット弁と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、
車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、
前記室外熱交換器とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器と、
冷房運転時および暖房運転時に前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器および前記室内蒸発器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第1冷媒循環通路と、
暖房運転時に前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器および前記室外熱交換器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第2冷媒循環通路と、
冷房運転時に前記圧縮機から吐出された冷媒が前記室外熱交換器および前記室内蒸発器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第3冷媒循環通路と、
前記補助凝縮器の下流側に設けられ、前記第1冷媒循環通路を介して前記室内蒸発器へ供給される冷媒の流量を調整する第1の弁と、
前記補助凝縮器の下流側に設けられ、前記第2冷媒循環通路を介して前記室外熱交換器へ供給される冷媒の流量を調整する第2の弁と、
前記第2冷媒循環通路に設けられ、前記室外熱交換器が室外蒸発器として機能するときの前記室外熱交換器の出口側の過熱度が設定過熱度となるよう冷媒の流量を調整する過熱度制御弁と、
を備えることを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項4】
前記過熱度制御弁は、
上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、
前記弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、
前記入口ポートから導入される冷媒の温度と圧力を感知し、前記室外熱交換器の出口側の過熱度が前記設定過熱度となるよう前記弁体を開閉駆動する感温部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の車両用冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−255856(P2011−255856A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134117(P2010−134117)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000133652)株式会社テージーケー (280)
【Fターム(参考)】