説明

車両用居眠り防止装置

【課題】車両が停止状態にあって車両の通電状態がオフになっても携帯端末のアラーム(目覚まし)を起動することができ、さらに、運転者の好みに合わせてアラームの振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更でき、製造コストを削減できる車両用居眠り防止装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車両用居眠り防止装置は、自車両の運転者の眠気を判定し、自車両の停止を判定し、運転者の眠気があると判定しかつ自車両が停止していると判定した場合に、運転者の携帯端末に対して、運転者を覚醒するために携帯端末が備える覚醒手段を起動させる覚醒信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用居眠り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低覚醒状態(例えば、眠気を感じている状態)の運転者(ドライバ)に対して、車両に搭載されたブザーやシートに埋め込まれた振動体などを用いて運転者を覚醒状態に戻すよう刺激する技術が開発されている。しかしながら、車積専用部品である振動体を用いるため、制御ソフトの書き換えが困難であり、運転者の好みに合わせて振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更できなかった。また、振動体を搭載するため車両のコストが高くなり、高級車などに利用が限られていた。
【0003】
そのため、低覚醒状態の運転者を覚醒状態に戻すよう刺激する手段として携帯電話等を用いる技術が報告されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の車両用居眠り防止装置は、車両走行中に「運転者が眠気を感じている状態であること」を運転者自身に対して知らせる通知手段として、車載のスピーカの代わりに、Bluetooth(登録商標)機能搭載の携帯電話を用いている。
【0005】
また、特許文献2に記載のドライバ覚醒装置は、車室内に持ち込まれた運転者が所有する携帯電話の情報に含まれる機能使用履歴を参照して携帯電話のアラーム機能が使用された履歴を確認する。ドライバ覚醒装置は、アラーム機能の使用履歴が存在する場合において、現在時刻の前後1時間内に設定時間が存在すると判断された場合には、その設定時間に使用されたことがあるアラーム音データを携帯電話から取得する。そして、ドライバ覚醒装置は、車両走行中に、運転者の眠気を検出した場合、携帯電話から取得した運転者が日常使用しているアラーム音データを目覚まし音として車載のスピーカから出力する。
【0006】
また、特許文献3に記載の目覚し時計を装着した自動車は、運転者が仮眠を終える予定時刻をセットするのみで、セットした予定時刻が到来すれば音響的時刻信号を発し続け、運転者のドアを開けない限り止らないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−304705号公報
【特許文献2】特開2009−265818号公報
【特許文献3】特開平08−15458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の技術においては、車両が停止状態にある場合は車両の通電状態がオフになってしまうので、例えば運転者が仮眠中に目覚まし(アラーム)機能が働かず、運転者が寝過ごしてしまうという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、車両が停止状態にあって車両の通電状態がオフになっても携帯端末のアラーム(目覚まし)を起動することができ、さらに、運転者の好みに合わせてアラームの振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更でき、製造コストを削減できる車両用居眠り防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両用居眠り防止装置であって、自車両の運転者の眠気を判定する眠気判定手段と、上記自車両の停止を判定する停止判定手段と、上記眠気判定手段にて上記運転者の眠気があると判定し、かつ、上記停止判定手段にて上記自車両が停止していると判定した場合に、上記運転者の携帯端末に対して、上記運転者を覚醒するために上記携帯端末が備える覚醒手段を起動させる覚醒信号を送信する覚醒信号送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる車両用居眠り防止装置は、自車両の運転者の眠気を判定し、自車両の停止を判定し、運転者の眠気があると判定し、かつ、自車両が停止していると判定した場合に、運転者の携帯端末に対して、運転者を覚醒するために携帯端末が備える覚醒手段を起動させる覚醒信号を送信するので、車両が停止状態にあって車両の通電状態がオフになっても携帯端末のアラーム(目覚まし)を起動することができるという効果を奏する。さらに、本発明にかかる車両用居眠り防止装置は、運転者の好みに合わせてアラームの振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更でき、かつ、製造コストを削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態における車両用居眠り防止装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態における携帯端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態における基本処理の一例を示すフロー図である。
【図4】図4は、本実施形態における目覚まし起動処理の一例を示すフロー図である。
【図5】図5は、車両用居眠り防止装置の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる車両用居眠り防止装置および携帯端末の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.構成]
まず、図1を参照し、車両用居眠り防止装置の構成について説明する。図1は、本実施形態における車両用居眠り防止装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1において、符号10は車両用居眠り防止装置であり、符号11はCPU等の制御部である。図1において、符号11aは眠気判定部であり、符号11bは停止判定部であり、符号11cは覚醒信号送信部である。図1において、符号12はROMおよびRAM等の記憶部であり、符号13は入出力制御インターフェース部であり、符号14は通信制御インターフェース部であり、符号15はディスプレイ等の表示部であり、符号16はタッチパネル等の入力部である。図1において、符号17は眠気検出部であり、符号17aはカメラであり、符号17bは心拍センサである。図1において、符号18は停止検出部であり、符号18aはシフトポジションセンサであり、符号18bは操作センサである。図1において、符号20は携帯端末である。
【0016】
図1において、制御部11の眠気判定部11aは、自車両の運転者の眠気を判定する。また、眠気判定部11aは、自車両の運転者の眠気があると判定した場合、眠気検出信号(眠気検出フラグ)を覚醒信号送信部11cへ出力する。
【0017】
ここで、眠気判定部11aは、入出力制御インターフェース部13を介して、眠気検出部17に接続されている。眠気検出部17は、運転者の顔を撮像するカメラ17a、および、電極から心筋収縮時に発生するパルス状の電圧(心電位)を検出する電位式の心拍センサ17bなどを備えていてもよい。眠気検出部17は、例えば、運転席前方の任意の位置、ステアリングホイール、シートベルト、車両シートのヘッドレスト、および、シートバックなどに設けられていてもよい。本実施形態において、眠気検出部17は、運転者の眠気に関連する状態(例えば、運転者の顔の位置、瞬き回数、開眼検知、運転者の心拍数、脳波、脈拍、血圧など)に応じた信号を眠気判定部11aに向けて出力するセンサとして機能してもよい。
【0018】
一例として、眠気検出部17がカメラ17aの場合における眠気判定部11aの処理について説明する。眠気判定部11aは、例えば、カメラ17aにより撮影された運転者の顔の撮影画像に基づいて、運転者の単位時間当りの瞬き回数(回数/分)を検出し、この瞬き回数が所定値以上となるとき、運転者に眠気が発生した(又は運転者の覚醒度が低い)として、自車両の運転者の眠気を判定してもよい。例えば、眠気判定部11aは、カメラ17aから出力される画像信号を運転者の顔の位置や向き、目の状態を特定できる画像信号に変換するとともに、予め記憶部12に記憶した運転者が正面を向いているときの顔の輪郭、目の輪郭、瞬きの回数などの基準データと実際の検出画像データとを比較してもよい。また、眠気判定部11aは、検出画像に運転者の顔が存在しない、顔が正面を向いていない、目をつむっている等の状況を所定期間継続して検出したときに、運転者が正常に運転することができない状態、すなわち眠気を帯びているまたは居眠り状態であると判断して、自車両の運転者の眠気を判定してもよい。
【0019】
また、一例として、眠気検出部17が心拍センサ17bの場合における眠気判定部11aの処理について説明する。眠気判定部11aは、ステアリングホイール又はシートベルト等に内蔵された心拍センサ17bを用いて、運転者の心拍数を検出し、この心拍数の変化に基づいて、自車両の運転者の眠気を判定してもよい。例えば、眠気判定部11aは、心拍センサ17bから出力される、運転者の心拍信号を取得して、取得した心拍信号に基づき、眠気発生と関連する自律神経活動の影響を受ける心拍数および心拍ゆらぎ等の心拍特徴量を抽出してもよい。また、眠気判定部11aは、抽出した心拍特徴量の変動分布を求め、求めた変動分布を用いて運転者の眠気度を判定して、自車両の運転者の眠気を判定してもよい。
【0020】
図1において、制御部11の停止判定部11bは、自車両の停止を判定する。また、停止判定部11bは、自車両が停止していると判定した場合、停止検出信号(停止検出フラグ)を覚醒信号送信部11cへ出力する。
【0021】
ここで、停止判定部11bは、入出力制御インターフェース部13を介して、停止検出部18に接続されている。停止検出部18は、シフトレバーのシフトポジションを検知するシフトポジションセンサ18a、および、各種操作部(サイドブレーキなど)の操作のオンオフ状態を検出する操作センサ18bなどを備えていてもよい。本実施形態において、停止検出部18は、車両の走行に関連する状態(例えば、シフトポジション、サイドブレーキのオンオフ状態など)に応じた信号を停止判定部11bに向けて出力するセンサとして機能してもよい。
【0022】
なお、入出力制御部インターフェース部13は、上述した眠気検出部17および停止検出部18の他、表示部15および入力部16の制御を行う。
【0023】
図1において、制御部11の覚醒信号送信部11cは、眠気判定部11aにて運転者の眠気があると判定し、かつ、停止判定部11bにて自車両が停止していると判定した場合に、運転者の携帯端末20に対して、運転者を覚醒するために携帯端末20が備える覚醒部21aを起動させる覚醒信号を送信する。例えば、覚醒信号送信部11cは、眠気判定部11aにて運転者の眠気があると判定した場合に出力される眠気検出信号(眠気検出フラグ)の入力を確認してもよい。また、覚醒信号送信部11cは、停止判定部11bにて自車両が停止していると判定した場合に出力される停止検出信号(停止検出フラグ)の入力を確認してもよい。また、覚醒信号送信部11cは、Bluetooth(登録商標)等により通信可能に接続された運転者の携帯端末20に対して、通信制御インターフェース部14を介して、運転者を覚醒するために携帯端末20が備える覚醒部21aを起動させる覚醒信号を送信してもよい。なお、覚醒信号の受信により起動される携帯端末20の覚醒部21aについては、携帯端末20の構成において後述する。
【0024】
次に、図2を参照し、携帯端末20の構成について説明する。図2は、本実施形態における携帯端末20の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2において、符号20は携帯端末であり、符号21はCPU等の制御部である。図2において、符号21aは覚醒部である。図2において、符号22はアラーム音等の音声データ等を記憶するROMおよびRAM等の記憶部であり、符号23は入出力制御インターフェース部であり、符号24は通信制御インターフェース部である。図2において、符号25は音声データを出力するスピーカ等の音声出力部であり、符号26は所定条件(アラーム時など)において振動するバイブレータである。図2において、符号27はディスプレイ等の表示部であり、符号28は入力キー等の入力部である。図2において、符号10は車両用居眠り防止装置である。
【0026】
本実施形態において、携帯端末20は、携帯電話、PHS、および、PDA等の携帯端末装置等であってもよい。また、本実施形態において、携帯端末20は、車両用居眠り防止装置10と連動可能なアプリケーション(目覚ましアプリケーション等)が事前にダウンロードされ、インストールされた状態であってもよい。また、記憶部22には、アラーム音等の音声データの他、アラームの振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などの設定情報が記憶されていてもよい。これにより、運転者は、入力部28を介して記憶部22に記憶された各種設定情報を変更することで、運転者の好みに合わせて振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更することができる。
【0027】
図2において、制御部21の覚醒部21aは、車両用居眠り防止装置10において、眠気判定部11aにて運転者の眠気があると判定しかつ停止判定部11bにて自車両が停止していると判定した場合に覚醒信号送信部11cにより送信される覚醒信号を受信する。また、覚醒部21aは、覚醒信号を受信した場合に、入出力制御インターフェース部23を介して音声出力部25およびバイブレータ26を作動させて運転者を覚醒させる。例えば、覚醒部21aは、携帯端末20の音声出力部25を介してアラーム音等の音声データを出力してアラーム(目覚まし)機能を実行し、運転者を覚醒させてもよい。また、覚醒部21aは、携帯端末20のバイブレータ26の振動によりアラーム機能を実行して、運転者を覚醒させてもよい。
【0028】
[2.動作]
続いて、上述した構成の車両用居眠り防止装置10および携帯端末20の処理の一例について図3および図4を参照して説明する。図3は、本実施形態における基本処理の一例を示すフロー図である。図4は、本実施形態における目覚まし起動処理の一例を示すフロー図である。
【0029】
まず、図3を参照し、本実施形態における車両用居眠り防止装置10および携帯端末20の基本処理の一例について説明する。
【0030】
図3において、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aは、自車両の運転者の眠気を判定し、停止判定部11bは、自車両の停止を判定する(ステップSA−1)。例えば、眠気判定部11aは、眠気検出部17(例えば、カメラ17aおよび心拍センサ17b等)から出力される、運転者の眠気に関連する状態(例えば、運転者の顔の位置、瞬き回数、開眼検知、運転者の心拍数、脳波、脈拍、血圧など)に応じた信号に基づき、自車両の運転者の眠気があるか否かを判定してもよい。また、停止判定部11bは、停止検出部18(例えば、シフトポジション18aおよび操作センサ18b等)から出力される、車両の走行に関連する状態(例えば、シフトポジション、サイドブレーキのオンオフ状態など)に応じた信号に基づき、自車両が停止しているか否かを判定してもよい。
【0031】
そして、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aが、自車両の運転者の眠気があると判定し、かつ、車両用居眠り防止装置10の停止判定部11bが、自車両が停止していると判定した場合(ステップSA−1:Yes)、眠気判定部11aが眠気検出信号(眠気検出フラグ)を覚醒信号送信部11cへ出力し、停止判定部11bが停止検出信号(停止検出フラグ)を覚醒信号送信部11cへ出力する。その後、ステップSA−2の処理へ移行する。
【0032】
一方、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aが、自車両の運転者の眠気がないと判定し、および/または、車両用居眠り防止装置10の停止判定部11bが、自車両が停止していないと判定した場合(ステップSA−1:No)、ステップSA−1の処理の前に戻る。その後、ステップSA−1にて、眠気判定部11aが車両の運転者の眠気があると判定し、かつ、停止判定部11bが自車両が停止していると判定する迄(すなわち、ステップSA−1:Yesとなる迄)、ステップSA−1の処理を繰り返し実行する。
【0033】
そして、車両用居眠り防止装置10の覚醒信号送信部11cは、ステップSA−1にて眠気判定部11aにより出力される眠気検出信号(眠気検出フラグ)の入力を確認し、かつ、ステップSA−1にて停止判定部11bにより出力される停止検出信号(停止検出フラグ)の入力を確認する。そして、覚醒信号送信部11cは、Bluetooth(登録商標)等により通信可能に接続された運転者の携帯端末20に対して、運転者を覚醒するために携帯端末20が備える覚醒部21aを起動させる覚醒信号を送信する(ステップSA−2)。
【0034】
そして、携帯端末20の覚醒部21aは、車両用居眠り防止装置10の覚醒信号送信部11cにより送信される覚醒信号を受信する(ステップSA−3)。本実施形態において、携帯端末20は、車両用居眠り防止装置10と連動可能なアプリケーションが事前にダウンロードされインストールされた状態にあるため、車両用居眠り防止装置10から送信される覚醒信号を受信することができる。
【0035】
そして、携帯端末20の覚醒部21aは、ステップSA−3において覚醒信号を受信した場合に、音声出力部25およびバイブレータ26を駆動させて運転者を覚醒させる(ステップSA−4)。例えば、覚醒部21aは、携帯端末20の音声出力部25を介してアラーム音等の音声データを出力してアラーム(目覚まし)機能を実行し、運転者を覚醒させてもよい。また、覚醒部21aは、携帯端末20のバイブレータ26の振動によりアラーム(目覚まし)機能を実行して、運転者を覚醒させてもよい。その後、処理を終了する。
【0036】
次に、図4を参照し、本実施形態における目覚まし起動処理の一例について説明する。
【0037】
図4において、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aは、自車両の運転者の眠気を判定する(ステップSB−1)。例えば、眠気判定部11aは、眠気検出部17(例えば、カメラ17aおよび心拍センサ17b等)から出力される、運転者の眠気に関連する状態(例えば、運転者の顔の位置、瞬き回数、開眼検知、運転者の心拍数、脳波、脈拍、血圧など)に応じた信号に基づき、自車両の運転者の眠気があるか否かを判定してもよい。
【0038】
そして、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aが、自車両の運転者の眠気があると判定した場合(ステップSB−1:Yes)、眠気検出信号(眠気検出フラグ)を覚醒信号送信部11cへ出力する。その後、ステップSB−2の処理へ移行する。
【0039】
一方、車両用居眠り防止装置10の眠気判定部11aが、自車両の運転者の眠気がないと判定した場合(ステップSB−1:No)、ステップSB−1の処理の前に戻る。その後、ステップSB−1にて、眠気判定部11aが車両の運転者の眠気があると判定する迄(すなわち、ステップSB−1:Yesとなる迄)、ステップSB−1の処理を繰り返し実行する。
【0040】
そして、車両用居眠り防止装置10の覚醒信号送信部11cは、ステップSB−1にて眠気判定部11aにより出力される眠気検出信号(眠気検出フラグ)の入力を確認する。そして、覚醒信号送信部11cは、Bluetooth(登録商標)等により通信可能に接続された運転者の携帯端末20に対して、運転者を覚醒するために携帯端末20が備える覚醒部21aを起動させる覚醒信号を送信する(ステップSB−2)。
【0041】
そして、携帯端末20の覚醒部21aは、車両用居眠り防止装置10の覚醒信号送信部11cにより送信される覚醒信号を受信する(ステップSB−3)。本実施形態において、携帯端末20は、車両用居眠り防止装置10と連動可能なアプリケーションが事前にダウンロードされインストールされた状態にあるため、車両用居眠り防止装置10から送信される覚醒信号を受信することができる。
【0042】
そして、携帯端末20の制御部21は、車両用居眠り防止装置10の停止判定部11bにより自車両が停止していると判定されたか否かを問い合わせて確認する(ステップSB−4)。例えば、携帯端末20の制御部21は、車両用居眠り防止装置10の停止判定部11bにより、停止検出部18(例えば、シフトポジション18aおよび操作センサ18b等)から出力される、車両の走行に関連する状態(例えば、シフトポジション、サイドブレーキのオンオフ状態など)に応じた信号に基づき、自車両が停止していると判定されたか否かを問い合わせて確認してもよい。すなわち、携帯端末20の制御部21は、シフトポジションセンサ18aによりシフトレバーが「P:パーキング」の位置にあり、かつ、操作センサ18bによりサイドブレーキがオンの状態にあるか否かを問い合わせて確認してもよい。ここで、ステップSB−4において、車両用居眠り防止装置10がECUとして構成される場合、ECUに接続されたシフトポジションセンサ18aおよび操作センサ18bにて検出された停止検出信号を、車両用居眠り防止装置10と連動可能なアプリケーションにより携帯端末20が自動で受信し、自車両が停止していると判定してもよい。
【0043】
そして、携帯端末20の制御部21は、自車両が停止していることを確認した場合(ステップSB−4:Yes)、例えば、シフトレバーが「パーキング」の位置にあり、かつ、サイドブレーキがオンの状態にある場合、ステップSB−5の処理へ移行する。一方、携帯端末20の制御部21は、自車両が停止していないと判定した場合(ステップSB−4:No)、例えば、シフトレバーが「パーキング」の位置になく、サイドブレーキがオフの状態にある場合、ステップSB−1の処理の前に戻る。
【0044】
そして、携帯端末20の制御部21は、ステップSB−3において車両用居眠り防止装置10から覚醒信号を受信し、かつ、ステップSB−4において自車両が停止していることを確認した場合、携帯端末20の音声出力部25およびバイブレータ26等を駆動させてアラーム機能を実現する目覚ましアプリケーションを起動する(ステップSB−5)。本実施形態において、目覚ましアプリケーションは、車両用居眠り防止装置10と連動可能なアプリケーションであってもよい。
【0045】
そして、携帯端末20の制御部21は、携帯端末20の表示部27に目覚ましアプリケーションの設定画面を表示する(ステップSB−6)。ここで、ステップSB−6において、車両用居眠り防止装置10の制御部11は、車両用居眠り防止装置10の表示部15に目覚ましアプリケーションの設定画面を表示してもよい。
【0046】
そして、携帯端末20の制御部21は、運転者(ドライバ)が携帯端末20の表示部27に表示された目覚ましアプリケーションの設定画面に従って、携帯端末20の入力キー等の入力部28を介して目覚ましの設定をオンにする操作を行ったか否かを判定する(ステップSB−7)。ここで、ステップSB−7において、車両用居眠り防止装置10の制御部11は、運転者が車両用居眠り防止装置10の表示部15に表示された目覚ましアプリケーションの設定画面に従って、車両用居眠り防止装置10のタッチパネル等の入力部16を介して目覚ましの設定をオンにする操作を行ったか否かを判定してもよい。
【0047】
そして、携帯端末20の制御部21は、運転者が目覚ましの設定をオンにする操作を行ったと判定した場合(ステップSB−7:Yes)、ステップSB−8の処理へ移行する。一方、携帯端末20の制御部21は、運転者が目覚ましの設定をオンにする操作を行っていないと判定した場合(ステップSB−7:No)、その後、処理を終了する。
【0048】
そして、携帯端末20の制御部21は、目覚まし起動までの時間の設定画面を携帯端末20の表示部27に表示する(ステップSB−8)。ここで、ステップSB−8において、車両用居眠り防止装置10の制御部11は、目覚まし起動までの時間の設定画面を車両用居眠り防止装置10の表示部15に表示してもよい。
【0049】
そして、携帯端末20の制御部21は、運転者(ドライバ)が携帯端末20の表示部27に表示された時間設定画面に従って、携帯端末20の入力キー等の入力部28を介して目覚まし起動までの時間(例えば、30分)を設定する操作を行ったか否かを判定する(ステップSB−9)。ここで、ステップSB−9において、車両用居眠り防止装置10の制御部11は、運転者が車両用居眠り防止装置10の表示部15に表示された時間設定画面に従って、車両用居眠り防止装置10のタッチパネル等の入力部16を介して目覚まし起動までの時間(例えば、30分)を設定する操作を行ったか否かを判定してもよい。この場合、車両用居眠り防止装置10の制御部11は、目覚まし起動までの時間(すなわち、目覚ましを何分後にかけるかを示す情報)を、車両用居眠り防止装置10と連動可能な目覚ましアプリケーションを有する携帯端末20へ送信してもよい。
【0050】
そして、携帯端末20の制御部21は、運転者が目覚まし起動までの時間を設定する操作を行ったと判定した場合(ステップSB−9:Yes)、ステップSB−10の処理へ移行する。一方、携帯端末20の制御部21は、運転者が目覚まし起動までの時間を設定する操作を行っていないと判定した場合(ステップSB−9:No)、ステップSB−8の処理に戻り、運転者が目覚まし起動までの時間を設定する操作を行ったと判定される迄(すなわち、ステップSB−9:Yesとなる迄)、ステップSB−8の処理を繰り返し実行する。
【0051】
そして、携帯端末20の制御部21は、目覚まし起動までの設定時間になった(例えば、30分経過した)か否かを判定する(ステップSB−10)。
【0052】
そして、携帯端末20の制御部21は、目覚まし起動までの設定時間になった(例えば、30分経過した)と判定した場合(ステップSB−10:Yes)、ステップSB−11の処理へ移行する。一方、携帯端末20の制御部21は、目覚まし起動までの設定時間になっていないと判定した場合(ステップSB−10:No)、ステップSB−10の処理の前に戻り、目覚まし起動までの設定時間になったと判定される迄(すなわち、ステップSB−10:Yesとなる迄)、ステップSB−10の処理を繰り返し実行する。
【0053】
そして、携帯端末20の覚醒部21は、ステップSB−10において目覚まし起動までの設定時間になった(例えば、30分経過した)と判定した場合、音声出力部25およびバイブレータ26を駆動させて運転者を覚醒させる(ステップSB−11)。例えば、覚醒部21aは、携帯端末20の音声出力部25を介してアラーム音等の音声データを出力してアラーム(目覚まし)機能を実行し、運転者を覚醒させてもよい。また、覚醒部21aは、携帯端末20のバイブレータ26の振動によりアラーム(目覚まし)機能を実行して、運転者を覚醒させてもよい。その後、処理を終了する。
【0054】
[3.実施例]
続いて、図5を参照し、車両用居眠り防止装置の実施例について説明する。図5は、車両用居眠り防止装置の実施例を示す図である。
【0055】
図5において、符号40はナビゲーションシステムであり、符号20は携帯端末であり、符号30は眠気検出システムである。
【0056】
本実施例において、車両用居眠り防止装置は、例えば、PND(Portable Navigation Device)等のナビゲーションシステム40と、眠気検出システム30との連携により構成される。一般にナビゲーションシステム40等は、充電式の電池を備えているため、車両が停止状態にあって車両の通電状態がオフになっても携帯端末20のアラーム(目覚まし)を起動することができる。また、本実施例において、ナビゲーションシステム40は、車両の停止状態を検出するため、図示しないが、シフトポジションセンサ18aおよび操作センサ18b等からの信号を受信できるよう構成される。
【0057】
本実施例において、眠気検出システム30は、ナビゲーションシステム40とは別筐体で構成される。また、眠気検出システム30は、図示しないが、CPU等の制御部、ROMおよびRAM等の記憶部、カメラ17a、および、心拍センサ17b等を少なくとも備える。また、眠気検出システム30は、自車両の運転者の眠気を検出した場合、ナビゲーションシステム40へ、眠気を検出したことを示す信号を送信する。
【0058】
図5に示すように、ナビゲーションシステム40は、眠気検出システム30に接続され、携帯端末20とBluetooth(登録商標)等により通信可能に接続されている。また、携帯端末20には、車両用居眠り防止装置と連動するアプリケーションが予めダウロードされている。ここで、ナビゲーションシステム40は、車両停車を検出し、眠気検出システム30にて運転者の眠気が検出されると、携帯端末20へドライバの眠気検出フラグ、および、目覚ましを何分後にかけるか等の情報を送信する。そして、携帯端末20は、ナビゲーションシステム40から送信されるドライバの眠気検出フラグ、および、目覚ましを何分後にかけるか等の情報を受信して、音およびバイブレーション等によりドライバを刺激する覚醒手段を起動する。
【0059】
これにより、車載の眠気検出システム30が運転者の眠気を検出し、さらにナビゲーションシステム40が車両停車を検出した時には、車載のナビゲーションシステム40が携帯電話等の携帯端末20と通信して当該携帯端末20の目覚し(アラーム)アプリケーションなどの覚醒手段を起動し、すなわち、携帯端末20を覚醒手段とするので、車両の通電状態がオフになってもアラームを起動することができる。また、例えば、低覚醒状態の運転者がサービスエリアなどで仮眠をとる際に、車載のナビゲーションシステム40と携帯端末20を用いて目覚ましをかけることができる。
【0060】
[4.本実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態では、自車両の運転者の眠気を判定し、自車両の停止を判定し、運転者の眠気があると判定し、かつ、自車両が停止していると判定した場合に、運転者の携帯端末20に対して、運転者を覚醒するために携帯端末20が備える覚醒手段を起動させる覚醒信号を送信するので、車両が停止状態にあって車両の通電状態がオフになっても携帯端末20のアラーム(目覚まし)を起動することができ、さらに、運転者の好みに合わせてアラームの振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更でき、製造コストを削減できる。
【0061】
また、上述した実施形態において、眠気検出部17がカメラ17aおよび心拍センサ17bを有し、眠気判定部11aによって運転者の状態を画像や心拍数により判断する構成を用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、眠気検出部17としては、この他種々の構成のものを広く適用することができる。例えば、眠気判定部11aは、眠気検出部17にて舵操作が所定期間継続して行われていない状態を検知して、運転者が正常に運転することができない、すなわち眠気を帯びている状態にあるまたは居眠り状態にあると判断するようにしてもよい。また、眠気判定部11aは、眠気検出部17にて、運転者の心拍数の他、運転者の呼吸数を検出し、心拍数と呼吸数の2つの検出値に基づいて運転者の覚醒度を判定して行うようにしてもよい。この場合、心拍数は、運転席前方の任意の位置の他、運転席シート等に内蔵した超音波センサ等により検出することができ、呼吸数はシートベルト内に組み込んだ圧力センサ等により胸の動きを測定して検出することができる。そして、眠気判定部11aは、心拍数と呼吸数との比が、基準範囲から外れたときに運転者が眠気を帯びた状態にあると判断してもよい。
【0062】
また、上述した実施例において、車両用居眠り防止装置が、ナビゲーションシステム40として構成される例について述べたが、車両用居眠り防止装置は、ECUとして構成されていてもよい。この場合、ECUは、少なくとも、眠気検出システム30(例えばカメラ17aおよび心拍センサ17b等)、シフトポジションセンサ18a、ならびに、操作センサ18bに接続される。また、ECUは、Bluetooth(登録商標)機能等を有する携帯端末20と通信可能に接続され、ECUにて検出した運転者の眠気の状態、および、車両の停止状態を携帯端末20へ自動で送信するよう構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる車両用居眠り防止装置は、自動車製造産業に有用である。特に、車両の通電状態がオフになってもアラームを起動可能にし、運転者の好みに合わせて振動の強さや、周波数、音の大きさ、音色などを自由に変更可能にし、コストを削減するのに適している。
【符号の説明】
【0064】
10 車両用居眠り防止装置
11 制御部
11a 眠気判定部
11b 停止判定部
11c 覚醒信号送信部
12 記憶部
13 入出力制御インターフェース部
14 通信制御インターフェース部
15 表示部
16 入力部
17 眠気検出部
17a カメラ
17b 心拍センサ
18 停止検出部
18a シフトポジションセンサ
18b 操作センサ
20 携帯端末
21 制御部
21a 覚醒部
22 記憶部
23 入出力制御インターフェース部
24 通信制御インターフェース部
25 音声出力部
26 バイブレータ
27 表示部
28 入力部
30 眠気検出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の運転者の眠気を判定する眠気判定手段と、
上記自車両の停止を判定する停止判定手段と、
上記眠気判定手段にて上記運転者の眠気があると判定し、かつ、上記停止判定手段にて上記自車両が停止していると判定した場合に、上記運転者の携帯端末に対して、上記運転者を覚醒するために上記携帯端末が備える覚醒手段を起動させる覚醒信号を送信する覚醒信号送信手段と、
を備えたことを特徴とする車両用居眠り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−203869(P2011−203869A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68883(P2010−68883)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】