車両用座席
【課題】手動式で構造が簡単で、シートバックの傾き角度の把握が容易な車両用座席を提供する。
【解決手段】車両用座席は、シートバック14に取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバック14と一体に回動(矢印g1の方向)する爪部141と、爪部141の回動で弾かれる先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバック14が所定の傾き角度θgに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバック14が所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端142を有する歯145を複数配列している振動音源部146と、を備えている。振動音源部146は、一方側、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【解決手段】車両用座席は、シートバック14に取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバック14と一体に回動(矢印g1の方向)する爪部141と、爪部141の回動で弾かれる先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバック14が所定の傾き角度θgに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバック14が所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端142を有する歯145を複数配列している振動音源部146と、を備えている。振動音源部146は、一方側、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ(シートバック)を手動で倒すリクライニング装置を備えた車両用座席に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用座席には、シートバックの倒れる角度を調節できるものがある。例えば、リクライニング装置でシートバックの傾き角度を調節する際に、オルゴールを鳴らす座席がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図16は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のリクライニング装置201は、背もたれ202の下部を支持している揺動アーム203が座部204に枢軸205で傾動角度調節可能に取付けられ、揺動アーム203に取付けられたオルゴールのピン206で揺動アーム203に対向する保持プレートに取付けられたオルゴールの音響板を弾くので、オルゴールの発する所望の音で背もたれ202の傾動角度を容易に認識することができるというものである。
【0004】
しかし、特許文献1のリクライニング装置201では、リクライニング装置を操作した場合、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
例えば、背もたれ202の傾動角度が他者によって変更され、背もたれ202が後に倒れ過ぎている場合に、本人がリクライニング装置の操作レバーを引くと、リクライニング装置のロックは解除されると同時に、背もたれ202は、比較的高速で起き上がってくる。そして、オルゴールの所定の音を聞いてから操作レバーを戻すと、所望の傾動角度を過ぎてしまう場合がある。過ぎた場合は、1段階毎に操作レバーを小刻みに操作しつつ、オルゴールの音を確認しながら押し戻す必要があり、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
逆に、起き過ぎを心配すると、操作レバーを小刻みに操作しつつ、一音毎に背もたれ202を起こす必要があり、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
【0005】
また、ピン206を配置する揺動アーム203の面積が大きくなり、オルゴールを備えたリクライニング装置が大きくなるという問題がある。
さらに、揺動アーム203に対向するオルゴールの音響板によって、座席の左右方向の大きさが大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−155447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、手動式で構造が簡単で、シートバックの傾き角度の把握が容易な車両用座席を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバックの所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバックの所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、爪部が、傾動支点軸に直交で、爪先が傾動支点軸の下方へ向けて配置され、振動音源部が、複数の歯が座席の前後方向に配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されているので、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、振動音源部の音がだんだん高音になる。従って、シートバックを所定の傾き角度に戻すのが容易になるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されているので、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、振動音源部の音がだんだん低音になる。従って、シートバックを所定の傾き角度に戻すのが容易になるという利点がある。
【0013】
請求項3に係る発明では、爪部が、傾動支点軸に直交で、爪先が傾動支点軸の下方へ向けて配置され、振動音源部が、複数の歯が座席の前後方向に配列されているので、座席の左右方向(傾動支点軸の長手方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車両用座席(参考例1)の概要説明図である。
【図2】本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の正面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の分解図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】本発明の車両用座席(参考例1)の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
【図7】本発明の参考例2を説明する図である。
【図8】本発明の参考例3を説明する図である。
【図9】本発明の参考例4を説明する図である。
【図10】本発明の参考例5を説明する図である。
【図11】本発明の参考例6を説明する断面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】参考例6の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
【図14】本発明の実施例を説明する断面図である。
【図15】図14の15矢視図である。
【図16】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明するが、まず、参考例1〜参考例6を説明した後、最後に実施例を説明する。
図1は、本発明の車両用座席(参考例1)の概要説明図である。
車両用座席11は、車両12の運転席に配置された座席であり、第2シート部材であるところのシートバック14の傾き角度βを手動で調節できるものである。
【0016】
また、車両用座席11は、車体16の床をなすアンダボデー17にシートクッションフレーム18を取付けている第1シート部材(シートクッション)21と、シートクッション21にリクライニング装置(図に示していない)を介してシートバックフレーム22を取付けているシートバック14と、シートバックフレーム22の左下部に取付けられ且つ、シートクッションフレーム18の左上部に取付けられている抵抗装置24と、を備えている。25はシートベルトバックル、26は主にシートクッションフレーム18を覆うシートフレームカバーである。
【0017】
リクライニング装置は、既存の手動式のリクライニング装置であり、座席11の右側に取付けられ、例えば、右手で操作レバーを引き上げると、爪がラチェットから外れ、シートバック14は、ばね力によって抵抗装置24の傾動抵抗に抗して、最大前倒位置14f(最小角度θs)まで前倒する。操作レバーから右手を離すと、操作レバー用のばねで操作レバーは戻るとともに、爪はラチェットに掛かり、シートバック14を固定する。なお、操作レバーを引き上げている間は、爪はラチェットから離れている。
【0018】
また、リクライニング装置(図に示していない)は、シートバック14を最大前倒位置14f(最小角度θs)から最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)までの範囲(傾き角度β)で調節でき、標準傾き角度θgのときのシートバック標準位置14sを基準に前に4段階で前倒(矢印a1の方向)し、シートバック標準位置14sを基準に後に6段階で後倒(矢印a2の方向)する。
【0019】
「シートバック標準位置14s」とは、人間の標準体型を基準にして設定したシートバック14の望ましい傾き角度(標準傾き角度)θgのときの位置である。
なお、前倒4段階及び後倒6段階は、抵抗装置(参考例1)24と一致する。
【0020】
図2は、本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の正面図であり、フレームカバー26(図1参照)を取外した状態を示している。
抵抗装置(参考例1)24は、シートクッションフレーム18の左脚部31の後上部32に固定している第1抵抗機構33と、シートバックフレーム22の左枠部35(図4参照)の下部36に固定している第2抵抗機構37と、からなる。
【0021】
図3は、図2の3−3線断面図である。
図4は、本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の分解図である。
第1抵抗機構33は、後上部32に傾動支点軸41が取付けられ、傾動支点軸41から所定距離だけ下方に離して後上部32に基準軸42が取付けられ、傾動支点軸41に第1カラー43、第2カラー44及び抵抗部材45が順に嵌められ、傾動支点軸41にナット46が所定トルクでねじ込まれ、基準軸42に抵抗部材45が嵌められ、基準軸42にナット47が所定トルクでねじ込まれ、シートクッションフレーム18に一体的に固定されているものである。
【0022】
第2抵抗機構37は、シートバックフレーム22の左枠部35の下部36に取付けられているケース部48と、ケース部48にスライド自在(矢印a3の方向)に嵌合し、凸部であるところのスライドピン51と、スライドピン51を外方(矢印a4の方向)に押すばね52(図6参照)と、を備えている。
スライドピン51は、抵抗部材45の凹部53に嵌合している。
【0023】
図5は、図3の5−5線断面図であり、抵抗部材45の詳細を示している。図1〜図4を併用して説明する。
抵抗部材45は、円盤状の本体54の中心に傾動支点軸41に嵌合している支点孔55が形成され、本体54に基準軸42に嵌合している基準孔61が開けられ、本体54の外周に凹部53が形成されている。
【0024】
凹部53は、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63と、標準基準凹部63の一方側であるところの前側に所定のピッチ角Paで連なる第1〜第4前凹部71〜74と、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Paで連なる第1〜第6後凹部81〜86と、からなる。
第1〜第4前凹部71〜74と第1〜第4後凹部81〜84とは、標準基準凹部63の中心線87を対称基準線にして対称である。
【0025】
また、凹部53は、第1〜第4前凹部71〜74間及び第1〜第6後凹部81〜86間に形成されている山88の半径Rが一定で、標準基準凹部63の底の半径rのみが異なる。具体的に説明する。
【0026】
標準基準凹部63は、V字形であり、底の半径をrに設定し、標準基準凹部63の深さをHに設定した部位である。山88は二等辺三角形である。
第1前凹部71は、V字形であり、底の半径をraに設定し、第1前凹部71の深さをHaに設定した部位である。底の半径raは、ra>rである。第1前凹部71の深さHaは、Ha<Hである。
【0027】
第2〜第4前凹部72〜74は、それぞれ第1前凹部71と同じ形状である。
第4前凹部74の位置は、最大前倒位置14f(最小角度θs)に一致している。
第1〜第6後凹部81〜86は、それぞれ第1前凹部71と同じ形状である。
第6後凹部86の位置は、最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)に一致している。
つまり、標準基準凹部63の深さHのみが、第1〜第4前凹部71〜74の深さHa及び第1〜第6後凹部81〜86の深さHaより深い。
【0028】
なお、抵抗装置24は、シートクッションフレーム18に第1抵抗機構33を取付けているが、第1抵抗機構33及び第2抵抗機構37の取付け位置は任意である。例えば、シートクッションフレーム18に第2抵抗機構37を取付け、シートバックフレーム22に第1抵抗機構33を取付けることも可能である。
【0029】
抵抗部材45は、傾動支点軸41に取付けられているが、軸以外のものに固定してもよい。
抵抗部材45は、円盤状であるが、扇形でもよく、山88の半径Rや標準基準凹部63の深さHや深さHaなど凹部53を確保する形態であればよく、本体54を含め、形状は任意である。
【0030】
図6(a)、(b)は、本発明の車両用座席(参考例1)の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。図1及び図5を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、抵抗装置24は節度感並びに打音を発生し、シートバック標準位置14sで大きな打音となる。大きな打音の位置で、操作レバーを戻すと、シートバック14はシートバック標準位置14sでロックされる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0031】
図6(a)において、例えば、座席11のシートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83から外れて、隣に連なる第2後凹部82に達したときに第2後凹部82へ向かって外方(矢印a6の方向)に飛び出すので、第2後凹部82を叩き、抵抗部材45とともに打音を発生させかつ、スライドピン51を内方(矢印a7の方向)に押す抵抗によって節度感を発生させる。
【0032】
(b)において、引き続き、シートバック14をシートバック標準位置14sに向けて起こし続けると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第1後凹部81を叩いて抵抗部材45とともに、第2後凹部82と同じ打音を発生させかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗によって第2後凹部82と同様な節度感を発生させる。
【0033】
さらに、起きて、標準基準凹部63に達すると、標準基準凹部63は、標準基準凹部63の深さが深いので、スライドピン51による打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる。つまり、使用者は、打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0034】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0035】
このように、車両用座席(参考例1)11では、第2シート部材(シートバック)14の傾動に対して抵抗力を発生する抵抗装置24を備え、抵抗装置24は、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに達したときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θg以外、例えば、第2前凹部72の位置や第2後凹部82の位置で発する打音並びに節度感とは異なる打音が発せられるとともに異なる節度感が付与されるので、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0036】
また、車両用座席(参考例1)11では、抵抗装置24は、第1シート部材(シートクッション)21に取付けられて、傾動支点軸41から所定半径の位置に形成された抵抗部材45を含む第1抵抗機構33と、第2シート部材(シートバック)14に取付けられて、抵抗部材45の凹部53に嵌合する凸部(スライドピン)51を含む第2抵抗機構37と、からなるので、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに達したときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θg以外で発する打音並びに節度感とは異なる打音がより確実に発せられるとともに異なる節度感がより確実に付与される。その結果、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0037】
車両用座席(参考例1)11では、第2シート部材(シートバック)14の傾動に対して抵抗力を発生する抵抗装置24を備えている。すなわち、第2シート部材(シートバック)14の傾動を手動式のリクライニング装置で行う。従って、電動式に比べ、構造が簡単になる。
【0038】
なお、抵抗部材45は、人間の標準体型を基準にシートバック標準位置14sを設定したが、個人の好みに応じてシートバック標準位置14s以外の位置にシートバック標準位置14sと同様の機能を配置することも可能である。
例えば、第2後凹部82を深さHまで深くした抵抗部材を採用し、抵抗部材45と交換することで、使用者の好みの傾き角度(第2後凹部82)を設定することができる。その際、深さHを標準基準凹部63と使用者の好みの位置(第2後凹部82)の2箇所に設置してもよいが、標準基準凹部63の深さをHaに変更するのが望ましい。その結果、第2シート部材(シートバック)14を使用者の好みの位置(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0039】
次に、参考例2〜参考例6を説明する。
図7は、本発明の参考例2を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0040】
参考例2の車両用座席11Bは、抵抗装置24B、第1抵抗機構33Bを備え、第1抵抗機構33Bは、抵抗部材45Bを備えていることを特徴とする。
【0041】
抵抗部材45Bは、円盤状の本体54Bの外周に凹部53Bを有する。
凹部53Bは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Bと、標準基準凹部63Bの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pb(Pb=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71B〜74Bと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pbで連なる第1〜第6後凹部81B〜86Bと、からなる。
第1〜第4前凹部71B〜74Bと第1〜第4後凹部81B〜84Bとは、標準基準凹部63Bの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0042】
また、凹部53Bは、山88Bの半径Rを一定に設定し、第1〜第4前凹部71B〜74Bの底の半径並びに第1〜第6後凹部81B〜86Bの底の半径及び標準基準凹部63Bの底の半径がrで、各底の半径を一定に設定している。
【0043】
抵抗部材45Bはまた、第2抵抗機構37のスライドピン51がシートバック標準位置14sに向かって(例えば、矢印a5の方向、矢印b1の方向)進行する際に上る第1〜第4前凹部71B〜74Bのそれぞれの傾斜面の傾斜角α1〜α4が異なるとともに、傾斜角α1〜α4をα1<α2<α3<α4に設定しているものである。
同様に、第1〜第6後凹部81B〜86Bのそれぞれの傾斜角α11〜α16が異なるとともに、傾斜角α11〜α16をα11<α12<α13<α14<α15<α16に設定している。
【0044】
なお、抵抗部材45Bでは、傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定してもよい。すなわち、スライドピン51がシートバック標準位置14sから離れる方向へ向かって進行する際に上る第1〜第4前凹部71B〜74Bのそれぞれの傾斜面に傾斜角α1〜α4を設定し、第1〜第6後凹部81B〜86Bのそれぞれの傾斜面に傾斜角α11〜α16を設定する。
【0045】
参考例2は、底の半径と標準基準凹部63Bの底の半径をrで一致させたが、参考例1と同様に、標準基準凹部63Bのみが深くなるようにしてもよい。
【0046】
次に、「参考例2」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、シートバック14を起こす抵抗が漸減する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0047】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Bの傾斜角α13の傾斜面を上がった後、傾斜角α13より傾斜角の小さい第2後凹部72Bの傾斜角α12の傾斜面を上がるので、傾斜角α13の傾斜面を上がるときの傾動抵抗より傾斜角α12の傾斜面を上がるときの傾動抵抗は小さくなる。
【0048】
同様に、傾斜角α12より傾斜角の小さい第1後凹部81Bの傾斜角α11の傾斜面を上がるので、傾斜角α12の傾斜面を上がるときの傾動抵抗より傾斜角α11の傾斜面を上がるときの傾動抵抗は小さくなる。
すなわち、シートバック標準位置14sにシートバック14が接近するのに伴い、シートバック14を傾動する傾動抵抗が次第に小さくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0049】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0050】
このように、参考例2の車両用座席11Bでは、凹部53Bは、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgのときに凸部であるところのスライドピン51が嵌合する標準基準凹部63Bと、標準基準凹部63Bの一方側に連なる第1〜第4前凹部71B〜74Bと、他方側に連なる第1〜第6後凹部81B〜86Bと、からなり、第1〜第4前凹部71B〜74B並びに第1〜第6後凹部81B〜86Bは、標準基準凹部63Bに向かう第2抵抗機構37の傾動抵抗を漸減するように第1〜第4前凹部71B〜74B間のそれぞれの形状(傾斜面の傾斜角度α1〜α4)が変化し、第1〜第6後凹部81B〜86B間のそれぞれの形状(傾斜面の傾斜角度α11〜α16)が変化しているので、標準基準凹部63B(標準傾き角度θg)へ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0051】
また、参考例2の車両用座席11Bでは、抵抗部材45Bの傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定してもよい。抵抗部材45Bの傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定すると、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgへ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が大きくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0052】
参考例2の車両用座席11Bでは、底の半径をraに設定し、標準基準凹部63Bの底の半径をrに設定し、標準基準凹部63Bのみが深くなるようにしてもよい。その結果、参考例1の車両用座席11と同様の効果を発揮する。つまり、標準基準凹部63Bは、標準基準凹部63Bの深さが深いから、打音が大きくなり、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0053】
次に、本発明の参考例3を説明する。
図8は、本発明の参考例3を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0054】
参考例2の車両用座席11Cは、抵抗装置24C、第1抵抗機構33Cを備え、第1抵抗機構33Cは、抵抗部材45Cを備えていることを特徴とする。
【0055】
抵抗部材45Cは、円盤状の本体54Cの外周に凹部53Cを有する。
凹部53Cは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Cと、標準基準凹部63Cの一方側であるところの前側に異なるピッチ角Pc1〜Pc4で連なる第1〜第4前凹部71C〜74Cと、他方側であるところの後側に異なるピッチ角Pc11〜Pc14で連なる第1〜第4後凹部81C〜84Cと、からなる。
第1〜第2前凹部71C〜72Cと第1〜第2後凹部81C〜82Cとは、標準基準凹部63Cの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0056】
また、凹部53Cは、山88Cの半径Rを一定に設定し、底の半径rを一定に設定し、標準基準凹部63Cの底の半径もrに設定している。
【0057】
抵抗部材45Cはまた、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc1〜Pc4をPc1<Pc2<Pc3<Pc4に設定し、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc11〜Pc14をPc11<Pc12<Pc13<Pc14に設定しているものである。
【0058】
参考例3では、リクライニング装置のラチェット(図に示していない)は、ピッチをピッチ角Pc1〜Pc4及びピッチ角Pc11〜Pc14に一致させる。
【0059】
なお、抵抗部材45Cでは、ピッチ角Pc1〜Pc4、Pc11〜Pc14を逆に配置してもよい。すなわち、ピッチ角Pc1〜Pc4をPc1>Pc2>Pc3>Pc4に設定し、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc11〜Pc14をPc11>Pc12>Pc13>Pc14に設定する。
【0060】
次に、「参考例3」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、傾動する際の打音並びに節度感の間隔が漸減する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0061】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Cから外れて、隣に連なる第2後凹部82Cに嵌合する際に1回目打音とともに1回目節度感を発生させる。引き続き、第2後凹部82Cから外れて、第1後凹部81Cに嵌合する際に2回目打音とともに2回目節度感を発生させる。続けて、第1後凹部81Cから外れて、標準基準凹部63Cに嵌合する際に、1回目から2回目までの時間に比べ、短い時間で3回目打音とともに3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともにだんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0062】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0063】
このように、参考例3の車両用座席11Cでは、第1〜第4前凹部71C〜74Cと第1〜第4後凹部81C〜84Cは、標準基準凹部63Cに向かって(矢印c1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71C〜74C、第1〜第4後凹部81C〜84Cの間隔であるところのピッチ角Pc1〜Pc4、ピッチ角Pc11〜Pc14がだんだん小さくなるように設定されているので、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、打音や節度感(クリック感)の間隔の時間がだんだん短くなる感覚を得ることができる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0064】
なお、参考例3の車両用座席11Cでは、シートバック標準位置14sに向かって(例えば、矢印a5の方向、矢印c1の方向)ピッチ角がだんだん大きくなるように抵抗部材45Cのピッチ角Pc1〜Pc4をPc1>Pc2>Pc3>Pc4に設定し、ピッチ角Pc11〜Pc14をPc11>Pc12>Pc13>Pc14に設定してもよい。その結果、ピッチ角を漸減させた場合と同様の効果を発揮する。すなわち、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、傾動する際の打音並びに節度感の間隔の時間がだんだん大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0065】
参考例3は、各底の半径を一致させたが、参考例1と同様に、標準基準凹部63Cの底のみが深くなるようにしてもよい。その結果、参考例1の車両用座席11と同様の効果を発揮する。つまり、標準基準凹部63Cは、標準基準凹部63Cの深さが深いから、打音が大きくなり、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0066】
次に、本発明の参考例4を説明する。
図9は、本発明の参考例4を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0067】
参考例4の車両用座席11Dは、抵抗装置24D、第1抵抗機構33Dを備え、第1抵抗機構33Dは、抵抗部材45Dを備えていることを特徴とする。
【0068】
抵抗部材45Dは、円盤状の本体54Dの外周に凹部53Dを有する。
凹部53Dは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Dと、標準基準凹部63Dの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pd(Pd=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71D〜74Dと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pdで連なる第1〜第6後凹部81D〜86Dと、からなる。
第1〜第4前凹部71D〜74Dと第1〜第4後凹部81D〜84Dとは、標準基準凹部63Dの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0069】
また、凹部53Dは、山88Dの半径Rが一定で、標準基準凹部63Dの底の半径rを最小に設定している。具体的に説明する。
【0070】
標準基準凹部63Dは、底の半径をrに設定し、標準基準凹部63Dの深さをHに設定した部位である。
第1前凹部71Dは、底の半径をrd1に設定し、第1前凹部71Dの深さをHd1に設定した部位である。底の半径rd1は、rd1>rである。第1前凹部71Dの深さHd1は、Hd1<Hである。
【0071】
第2〜第4前凹部72D〜74Dは、それぞれの底の半径が異なり、第2〜第4前凹部72D〜74Dの深さHd2〜Hd4をH>Hd1>Hd2>Hd3>Hd4に設定している。
つまり、標準基準凹部63Dに向かって(矢印d1の方向)、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4がだんだん深くなるように設定されている。
【0072】
第1〜第6後凹部81D〜86Dは、それぞれの底の半径が異なり、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16をH>Hd11>Hd12>Hd13>Hd14>Hd15>Hd16に設定している。
つまり、標準基準凹部63Dに向かって(矢印a5の方向)、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16がだんだん深くなるように設定されている。
【0073】
なお、抵抗部材45Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16を逆に配置することも可能である。すなわち、深さHd1〜Hd4をH<Hd2<Hd3<Hd4に設定し、深さHd11〜Hd16をH<Hd11<Hd12<Hd13<Hd14<Hd15<Hd16に設定する。
【0074】
次に、「参考例4」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、打音の音程が変化する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0075】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Dから外れて、隣に連なる第2後凹部82Dに嵌合する際に1回目打音とともに1回目節度感を発生させる。引き続き、第2後凹部82Dから外れて、第1後凹部81Dに嵌合する際に、第2後凹部82Dの深さHd12より深さHd11が深いので、1回目打音とは異なる2回目打音を発するとともに、1回目節度感とは異なる2回目節度感を発生させる。
【0076】
続けて、スライドピン51は、第1後凹部81Dから外れて、標準基準凹部63Dに嵌合する際に、第1後凹部81Dの深さHd11より深さHが深いので、2回目打音とは異なる3回目打音を発するとともに、2回目節度感とは異なる3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともにだんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0077】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0078】
このように、参考例4の車両用座席11Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dと第1〜第6後凹部81D〜86Dは、標準基準凹部63Dに向かって(矢印d1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71D〜74D、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd1〜Hd4、深さHd11〜Hd16がだんだん深くなるように設定されているので、標準基準凹部63D(標準傾き角度θg)に接近するのに伴い、次第に打音の音程並びに節度感が変わる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0079】
また、参考例4の車両用座席11Dの抵抗部材45Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16を逆に配置してもよい。その結果、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgへ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に打音の音程並びに節度感が変わる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0080】
次に、本発明の参考例5を説明する。
図10は、本発明の参考例5を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0081】
参考例5の車両用座席11Eは、抵抗装置24E、第1抵抗機構33Eを備え、第1抵抗機構33Eは、抵抗部材45Eを備えていることを特徴とする。
【0082】
抵抗部材45Eは、円盤状の本体54Eの外周に凹部53Eを有する。
凹部53Eは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Eと、標準基準凹部63Eの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pe(Pe=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71E〜74Eと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Peで連なる第1〜第6後凹部81E〜86Eと、からなる。
第1〜第4前凹部71E〜74Eと第1〜第4後凹部81E〜84Eとは、標準基準凹部63Eの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0083】
また、抵抗部材45Eは、第1〜第4前凹部71E〜74Eの底の半径をr、第1〜第6後凹部81E〜86Eの底の半径をr、標準基準凹部63Eの底の半径をrに設定し、各底の半径をrで一定に設定している。
第1〜第4前凹部71E〜74E間にそれぞれ形成されている部位であるところの山の半径(半径rの中心から)Re1〜Re4は、Re1<Re2<Re3<Re4に設定している。
第1〜第6後凹部81E〜86E間にそれぞれ形成されている部位であるところの山の半径(半径rの中心から)Re11〜Re16は、Re11<Re12<Re13<Re14<Re15<Re16に設定している。
【0084】
つまり、第1〜第4前凹部71E〜74E間の山の高さは、底(半径r)からの高さであり、標準基準凹部63Eに向かって(矢印e1の方向)だんだん低くなっている。
第1〜第6後凹部81E〜86E間の山の高さは、底(半径r)からの高さであり、標準基準凹部63Eに向かって(矢印a5の方向)だんだん低くなっている。
【0085】
なお、抵抗部材45Eでは、各山の高さを逆に配置することも可能である。すなわち、標準基準凹部63Eに向かって山の高さをだんだん高くする。
【0086】
次に、「参考例5」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0087】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37Eのスライドピン51Eは、第3後凹部83Eから外れて、隣に連なる第2後凹部82Eに嵌合する際に、山によって1回目の押し戻し(矢印e2の方向)抵抗、つまり、傾動抵抗を発するとともに1回目節度感を発生させる。
【0088】
引き続き、スライドピン51は、第2後凹部82Eから外れて、第1後凹部81Eに嵌合する際に、1回目の山の高さより高さが低い山によって、1回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)より小さい2回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)を発するとともに、1回目節度感とは異なる2回目節度感を発生させる。
【0089】
続けて、スライドピン51は、第1後凹部81Eから外れて、標準基準凹部63Eに嵌合する際に、2回目の山の高さより高さが低い山によって2回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)より小さい3回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)を発するとともに、2回目節度感とは異なる3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともに、だんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0090】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0091】
このように、参考例5の車両用座席11Eでは、第1〜第4前凹部71E〜74Eと第1〜第6後凹部81E〜86Eは、標準基準凹部63Eに向かって(矢印e1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71E〜74E間の山の高さ、第1〜第6後凹部81E〜86E間の山の高さがだんだん低くなるように設定されているので、標準基準凹部63E(標準傾き角度θg)に接近するのに伴い、次第に打音が変化するとともに、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0092】
次に、本発明の参考例6を説明する。
図11は、本発明の参考例6を説明する断面図であり、図3に対応する図である。
図12は、図11の12−12線断面図であり、抵抗部材45Fの詳細を示している。上記図1〜図5に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0093】
参考例6の車両用座席11Fは、抵抗装置24Fを備え、抵抗装置24Fは、第1抵抗機構33Fと、第2抵抗機構37Fと、からなる。
第1抵抗機構33Fは、抵抗部材45Fを備えていることを特徴とする。
【0094】
抵抗部材45Fは、円盤状の本体54Fの平面部131に形成された凹部53Fを有する。
凹部53Fは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Fと、標準基準凹部63Fの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pf(Pf=Pa)で彫込まれた第1〜第4前凹部71F〜74Fと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pfで彫込まれた第1〜第6後凹部81F〜86Fと、からなる。
第1〜第4前凹部71F〜74Fと第1〜第4後凹部81F〜84Fとは、標準基準凹部63Fの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0095】
標準基準凹部63Fは、穴であり、平面部131から深さJ(図に示していない)で彫込まれている。
第1前凹部71Fは、穴であり、深さJ1(J1<J)で彫込まれている。
第2〜第4前凹部72F〜74Fは、第1前凹部71Fと同様の穴である。
第1〜第6後凹部81F〜86Fは、第1前凹部71Fと同様の穴である。
第4前凹部74Fの位置は、最大前倒位置14f(最小角度θs)に一致している。
第6後凹部86Fの位置は、最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)に一致している。
【0096】
第2抵抗機構37Fは、シートバックフレーム22の左枠部35の下部36に取付けられているケース部48Fと、ケース部48Fにスライド自在(矢印f1の方向)に嵌合し、凸部であるところのスライドピン51Fと、スライドピン51Fを外方(矢印f2の方向)に押すばね132(図13参照)と、を備えている。
スライドピン51Fは、傾動支点軸41に平行に配置されて、傾動支点軸41に平行な方向(矢印f2の方向)へ向けて加わるばね132の力によって抵抗部材45Fの凹部53Fに嵌合している。
【0097】
次に、「参考例6」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、抵抗装置24Fは節度感並びに打音を発生し、シートバック標準位置14sで大きな打音となる。大きな打音の位置で、操作レバーを戻すと、シートバック14はシートバック標準位置14sでロックされる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0098】
図13(a)、(b)は、参考例6の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
(a)において、例えば、座席11Fのシートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37Fのスライドピン51Fは、第3後凹部83Fから外れて、隣の第2後凹部82Fに達したときに第2後凹部82Fへ向かって外方(矢印f3の方向)へ飛び出すので、第2後凹部82Fを叩き、抵抗部材45Fとともに打音を発生させかつ、スライドピン51Fを内方(矢印f4の方向)へ押す抵抗によって節度感を発生させる。
【0099】
(b)において、引き続き、シートバック14をシートバック標準位置14sに向けて起こし続けると、第2抵抗機構37Fのスライドピン51Fは、第1後凹部81Fを叩いて抵抗部材45Fとともに第2後凹部82Fと同様の打音を発生させかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗によって第2後凹部82Fと同様の節度感を発生させる。
さらに、起きて、標準基準凹部63Fに達すると、標準基準凹部63Fの深さが深いから、打音が大きくなりかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗による節度感が大きくなる。つまり、使用者は、打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0100】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0101】
参考例6の車両用座席11Fでは、凸部(スライドピン)51Fは、傾動支点軸41に平行な方向へ向けて加わる力が伝わる横凸部であり、第1〜第4前凹部71F〜74F並びに第1〜第6後凹部81F〜86Fは、横凸部51Fが嵌合する横凹部である。その結果、抵抗部材45Fの凹部(標準基準凹部63F、第1〜第4前凹部71F〜74F、第1〜第6後凹部81F〜86F)に凸部(スライドピン)51Fを押付けるための力が傾動支点軸41に平行な方向となり、傾動支点軸41に直交する方向に対してのサイズをコンパクトにすることができる。つまり、抵抗部材45Fの半径方向の外方(図11の矢印f5の方向、図12の矢印f5の方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【実施例】
【0102】
実施例に係る車両用座席を図14、図15で説明する。
図14は、本発明の実施例を説明する断面図であり、図3に対応する図である。
図15は、図14の15矢視図であり、実施例の正面図である。上記図1〜図3に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0103】
実施例の車両用座席11Gは、座席11Gのシートクッション21に対して座席11Gのシートバック14が相対的に傾動自在に連結されている。
また、車両用座席11Gは、第2シート部材であるところのシートバック14に取付けられて、傾動支点軸41を支点に第2シート部材(シートバック)14と一体に回動(矢印g1の方向)する爪部141と、爪部141の回動で弾かれる先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、且つ、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度に向けて、シートバック14が接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバック14が所定の傾き角度、例えば、標準傾き角度θg(シートバック標準位置14s)のときに弾いた音が最も高音になるように、先端142を有する歯145を複数配列している振動音源部146と、を備えている。
振動音源部146は、シートバック14の所定の傾き角度のときに爪部141によって弾かれる先端142を有する歯145から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【0104】
爪部141は、傾動支点軸41に直交で、爪先が傾動支点軸41の下方(矢印f6の方向)へ向けて配置されている。
振動音源部146は、具体的には、薄板本体151にシートバック標準位置14sに一致する基準位置Kが設定されて、基準位置Kから一方(車両前側)に向けて、だんだん低音になるように複数の歯145が配置され、基準位置Kから他方(車両後側)に向けて、だんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【0105】
なお、振動音源部146は、高音の歯が中央に形成され、低音の歯が両端に形成されているが、逆に形成することも可能である。中央に低音の歯、両端に高音の歯を形成する。
【0106】
実施例の車両用座席11Gでは、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、爪部141が振動音源部146の歯145を弾くので、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、振動音源部146の音がだんだん高音になる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0107】
実施例の車両用座席11Gでは、爪部141は、傾動支点軸41に直交で、爪先が傾動支点軸41の下方へ向けて1個配置され、振動音源部146は、先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、複数の歯145が座席の前後方向に配列されている。その結果、座席の左右方向(傾動支点軸41の長手方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【0108】
尚、本発明では、参考例1〜参考例6、実施例を組合わせることも可能である。
凹部53(53B〜53E)は、リクライニング装置の最大前倒位置14f(最小角度θs)まで形成しているが、凹部53の範囲は任意である。すなわち、リクライニング装置の最大前倒位置14f(最小角度θs)に凹部53の第4前凹部74(74B〜74E)を一致させたが、第4前凹部74(74B〜74E)の有無は任意であり、例えば、第1前凹部71(71B〜71E)のみでもよく、第1〜第4前凹部71(71B〜71E)〜74(74B〜74E)を形成しない形態でもよい。
なお、抵抗装置は、アームレストあるいはヘッドレスト等の角度調整に利用することもてきる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の車両用座席は、シートバックの傾き角度を手動で調節する座席や、シートバックの傾き角度を手動で調節する機会が多くなる座席に好適である。
【符号の説明】
【0110】
11G…車両用座席、14…第2シート部材(シートバック)、21…第1シート部材(シートクッション)、141…爪部、142…歯の先端、145…歯、146…振動音源部、θg…所定の傾き角度(標準傾き角度)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ(シートバック)を手動で倒すリクライニング装置を備えた車両用座席に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用座席には、シートバックの倒れる角度を調節できるものがある。例えば、リクライニング装置でシートバックの傾き角度を調節する際に、オルゴールを鳴らす座席がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図16は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のリクライニング装置201は、背もたれ202の下部を支持している揺動アーム203が座部204に枢軸205で傾動角度調節可能に取付けられ、揺動アーム203に取付けられたオルゴールのピン206で揺動アーム203に対向する保持プレートに取付けられたオルゴールの音響板を弾くので、オルゴールの発する所望の音で背もたれ202の傾動角度を容易に認識することができるというものである。
【0004】
しかし、特許文献1のリクライニング装置201では、リクライニング装置を操作した場合、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
例えば、背もたれ202の傾動角度が他者によって変更され、背もたれ202が後に倒れ過ぎている場合に、本人がリクライニング装置の操作レバーを引くと、リクライニング装置のロックは解除されると同時に、背もたれ202は、比較的高速で起き上がってくる。そして、オルゴールの所定の音を聞いてから操作レバーを戻すと、所望の傾動角度を過ぎてしまう場合がある。過ぎた場合は、1段階毎に操作レバーを小刻みに操作しつつ、オルゴールの音を確認しながら押し戻す必要があり、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
逆に、起き過ぎを心配すると、操作レバーを小刻みに操作しつつ、一音毎に背もたれ202を起こす必要があり、背もたれ202の傾動角度を調節し難いという問題がある。
【0005】
また、ピン206を配置する揺動アーム203の面積が大きくなり、オルゴールを備えたリクライニング装置が大きくなるという問題がある。
さらに、揺動アーム203に対向するオルゴールの音響板によって、座席の左右方向の大きさが大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−155447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、手動式で構造が簡単で、シートバックの傾き角度の把握が容易な車両用座席を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバックの所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、シートバックの所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、爪部が、傾動支点軸に直交で、爪先が傾動支点軸の下方へ向けて配置され、振動音源部が、複数の歯が座席の前後方向に配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されているので、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、振動音源部の音がだんだん高音になる。従って、シートバックを所定の傾き角度に戻すのが容易になるという利点がある。
【0012】
請求項2に係る発明では、シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になってシートバックが所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、振動音源部は、シートバックの所定の傾き角度のときに爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されているので、所定の傾き角度に向けて、シートバックが接近するのに伴い、振動音源部の音がだんだん低音になる。従って、シートバックを所定の傾き角度に戻すのが容易になるという利点がある。
【0013】
請求項3に係る発明では、爪部が、傾動支点軸に直交で、爪先が傾動支点軸の下方へ向けて配置され、振動音源部が、複数の歯が座席の前後方向に配列されているので、座席の左右方向(傾動支点軸の長手方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車両用座席(参考例1)の概要説明図である。
【図2】本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の正面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の分解図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】本発明の車両用座席(参考例1)の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
【図7】本発明の参考例2を説明する図である。
【図8】本発明の参考例3を説明する図である。
【図9】本発明の参考例4を説明する図である。
【図10】本発明の参考例5を説明する図である。
【図11】本発明の参考例6を説明する断面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】参考例6の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
【図14】本発明の実施例を説明する断面図である。
【図15】図14の15矢視図である。
【図16】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明するが、まず、参考例1〜参考例6を説明した後、最後に実施例を説明する。
図1は、本発明の車両用座席(参考例1)の概要説明図である。
車両用座席11は、車両12の運転席に配置された座席であり、第2シート部材であるところのシートバック14の傾き角度βを手動で調節できるものである。
【0016】
また、車両用座席11は、車体16の床をなすアンダボデー17にシートクッションフレーム18を取付けている第1シート部材(シートクッション)21と、シートクッション21にリクライニング装置(図に示していない)を介してシートバックフレーム22を取付けているシートバック14と、シートバックフレーム22の左下部に取付けられ且つ、シートクッションフレーム18の左上部に取付けられている抵抗装置24と、を備えている。25はシートベルトバックル、26は主にシートクッションフレーム18を覆うシートフレームカバーである。
【0017】
リクライニング装置は、既存の手動式のリクライニング装置であり、座席11の右側に取付けられ、例えば、右手で操作レバーを引き上げると、爪がラチェットから外れ、シートバック14は、ばね力によって抵抗装置24の傾動抵抗に抗して、最大前倒位置14f(最小角度θs)まで前倒する。操作レバーから右手を離すと、操作レバー用のばねで操作レバーは戻るとともに、爪はラチェットに掛かり、シートバック14を固定する。なお、操作レバーを引き上げている間は、爪はラチェットから離れている。
【0018】
また、リクライニング装置(図に示していない)は、シートバック14を最大前倒位置14f(最小角度θs)から最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)までの範囲(傾き角度β)で調節でき、標準傾き角度θgのときのシートバック標準位置14sを基準に前に4段階で前倒(矢印a1の方向)し、シートバック標準位置14sを基準に後に6段階で後倒(矢印a2の方向)する。
【0019】
「シートバック標準位置14s」とは、人間の標準体型を基準にして設定したシートバック14の望ましい傾き角度(標準傾き角度)θgのときの位置である。
なお、前倒4段階及び後倒6段階は、抵抗装置(参考例1)24と一致する。
【0020】
図2は、本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の正面図であり、フレームカバー26(図1参照)を取外した状態を示している。
抵抗装置(参考例1)24は、シートクッションフレーム18の左脚部31の後上部32に固定している第1抵抗機構33と、シートバックフレーム22の左枠部35(図4参照)の下部36に固定している第2抵抗機構37と、からなる。
【0021】
図3は、図2の3−3線断面図である。
図4は、本発明の車両用座席が備える抵抗装置(参考例1)の分解図である。
第1抵抗機構33は、後上部32に傾動支点軸41が取付けられ、傾動支点軸41から所定距離だけ下方に離して後上部32に基準軸42が取付けられ、傾動支点軸41に第1カラー43、第2カラー44及び抵抗部材45が順に嵌められ、傾動支点軸41にナット46が所定トルクでねじ込まれ、基準軸42に抵抗部材45が嵌められ、基準軸42にナット47が所定トルクでねじ込まれ、シートクッションフレーム18に一体的に固定されているものである。
【0022】
第2抵抗機構37は、シートバックフレーム22の左枠部35の下部36に取付けられているケース部48と、ケース部48にスライド自在(矢印a3の方向)に嵌合し、凸部であるところのスライドピン51と、スライドピン51を外方(矢印a4の方向)に押すばね52(図6参照)と、を備えている。
スライドピン51は、抵抗部材45の凹部53に嵌合している。
【0023】
図5は、図3の5−5線断面図であり、抵抗部材45の詳細を示している。図1〜図4を併用して説明する。
抵抗部材45は、円盤状の本体54の中心に傾動支点軸41に嵌合している支点孔55が形成され、本体54に基準軸42に嵌合している基準孔61が開けられ、本体54の外周に凹部53が形成されている。
【0024】
凹部53は、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63と、標準基準凹部63の一方側であるところの前側に所定のピッチ角Paで連なる第1〜第4前凹部71〜74と、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Paで連なる第1〜第6後凹部81〜86と、からなる。
第1〜第4前凹部71〜74と第1〜第4後凹部81〜84とは、標準基準凹部63の中心線87を対称基準線にして対称である。
【0025】
また、凹部53は、第1〜第4前凹部71〜74間及び第1〜第6後凹部81〜86間に形成されている山88の半径Rが一定で、標準基準凹部63の底の半径rのみが異なる。具体的に説明する。
【0026】
標準基準凹部63は、V字形であり、底の半径をrに設定し、標準基準凹部63の深さをHに設定した部位である。山88は二等辺三角形である。
第1前凹部71は、V字形であり、底の半径をraに設定し、第1前凹部71の深さをHaに設定した部位である。底の半径raは、ra>rである。第1前凹部71の深さHaは、Ha<Hである。
【0027】
第2〜第4前凹部72〜74は、それぞれ第1前凹部71と同じ形状である。
第4前凹部74の位置は、最大前倒位置14f(最小角度θs)に一致している。
第1〜第6後凹部81〜86は、それぞれ第1前凹部71と同じ形状である。
第6後凹部86の位置は、最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)に一致している。
つまり、標準基準凹部63の深さHのみが、第1〜第4前凹部71〜74の深さHa及び第1〜第6後凹部81〜86の深さHaより深い。
【0028】
なお、抵抗装置24は、シートクッションフレーム18に第1抵抗機構33を取付けているが、第1抵抗機構33及び第2抵抗機構37の取付け位置は任意である。例えば、シートクッションフレーム18に第2抵抗機構37を取付け、シートバックフレーム22に第1抵抗機構33を取付けることも可能である。
【0029】
抵抗部材45は、傾動支点軸41に取付けられているが、軸以外のものに固定してもよい。
抵抗部材45は、円盤状であるが、扇形でもよく、山88の半径Rや標準基準凹部63の深さHや深さHaなど凹部53を確保する形態であればよく、本体54を含め、形状は任意である。
【0030】
図6(a)、(b)は、本発明の車両用座席(参考例1)の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。図1及び図5を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、抵抗装置24は節度感並びに打音を発生し、シートバック標準位置14sで大きな打音となる。大きな打音の位置で、操作レバーを戻すと、シートバック14はシートバック標準位置14sでロックされる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0031】
図6(a)において、例えば、座席11のシートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83から外れて、隣に連なる第2後凹部82に達したときに第2後凹部82へ向かって外方(矢印a6の方向)に飛び出すので、第2後凹部82を叩き、抵抗部材45とともに打音を発生させかつ、スライドピン51を内方(矢印a7の方向)に押す抵抗によって節度感を発生させる。
【0032】
(b)において、引き続き、シートバック14をシートバック標準位置14sに向けて起こし続けると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第1後凹部81を叩いて抵抗部材45とともに、第2後凹部82と同じ打音を発生させかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗によって第2後凹部82と同様な節度感を発生させる。
【0033】
さらに、起きて、標準基準凹部63に達すると、標準基準凹部63は、標準基準凹部63の深さが深いので、スライドピン51による打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる。つまり、使用者は、打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0034】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0035】
このように、車両用座席(参考例1)11では、第2シート部材(シートバック)14の傾動に対して抵抗力を発生する抵抗装置24を備え、抵抗装置24は、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに達したときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θg以外、例えば、第2前凹部72の位置や第2後凹部82の位置で発する打音並びに節度感とは異なる打音が発せられるとともに異なる節度感が付与されるので、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0036】
また、車両用座席(参考例1)11では、抵抗装置24は、第1シート部材(シートクッション)21に取付けられて、傾動支点軸41から所定半径の位置に形成された抵抗部材45を含む第1抵抗機構33と、第2シート部材(シートバック)14に取付けられて、抵抗部材45の凹部53に嵌合する凸部(スライドピン)51を含む第2抵抗機構37と、からなるので、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに達したときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θg以外で発する打音並びに節度感とは異なる打音がより確実に発せられるとともに異なる節度感がより確実に付与される。その結果、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0037】
車両用座席(参考例1)11では、第2シート部材(シートバック)14の傾動に対して抵抗力を発生する抵抗装置24を備えている。すなわち、第2シート部材(シートバック)14の傾動を手動式のリクライニング装置で行う。従って、電動式に比べ、構造が簡単になる。
【0038】
なお、抵抗部材45は、人間の標準体型を基準にシートバック標準位置14sを設定したが、個人の好みに応じてシートバック標準位置14s以外の位置にシートバック標準位置14sと同様の機能を配置することも可能である。
例えば、第2後凹部82を深さHまで深くした抵抗部材を採用し、抵抗部材45と交換することで、使用者の好みの傾き角度(第2後凹部82)を設定することができる。その際、深さHを標準基準凹部63と使用者の好みの位置(第2後凹部82)の2箇所に設置してもよいが、標準基準凹部63の深さをHaに変更するのが望ましい。その結果、第2シート部材(シートバック)14を使用者の好みの位置(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0039】
次に、参考例2〜参考例6を説明する。
図7は、本発明の参考例2を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0040】
参考例2の車両用座席11Bは、抵抗装置24B、第1抵抗機構33Bを備え、第1抵抗機構33Bは、抵抗部材45Bを備えていることを特徴とする。
【0041】
抵抗部材45Bは、円盤状の本体54Bの外周に凹部53Bを有する。
凹部53Bは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Bと、標準基準凹部63Bの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pb(Pb=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71B〜74Bと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pbで連なる第1〜第6後凹部81B〜86Bと、からなる。
第1〜第4前凹部71B〜74Bと第1〜第4後凹部81B〜84Bとは、標準基準凹部63Bの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0042】
また、凹部53Bは、山88Bの半径Rを一定に設定し、第1〜第4前凹部71B〜74Bの底の半径並びに第1〜第6後凹部81B〜86Bの底の半径及び標準基準凹部63Bの底の半径がrで、各底の半径を一定に設定している。
【0043】
抵抗部材45Bはまた、第2抵抗機構37のスライドピン51がシートバック標準位置14sに向かって(例えば、矢印a5の方向、矢印b1の方向)進行する際に上る第1〜第4前凹部71B〜74Bのそれぞれの傾斜面の傾斜角α1〜α4が異なるとともに、傾斜角α1〜α4をα1<α2<α3<α4に設定しているものである。
同様に、第1〜第6後凹部81B〜86Bのそれぞれの傾斜角α11〜α16が異なるとともに、傾斜角α11〜α16をα11<α12<α13<α14<α15<α16に設定している。
【0044】
なお、抵抗部材45Bでは、傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定してもよい。すなわち、スライドピン51がシートバック標準位置14sから離れる方向へ向かって進行する際に上る第1〜第4前凹部71B〜74Bのそれぞれの傾斜面に傾斜角α1〜α4を設定し、第1〜第6後凹部81B〜86Bのそれぞれの傾斜面に傾斜角α11〜α16を設定する。
【0045】
参考例2は、底の半径と標準基準凹部63Bの底の半径をrで一致させたが、参考例1と同様に、標準基準凹部63Bのみが深くなるようにしてもよい。
【0046】
次に、「参考例2」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、シートバック14を起こす抵抗が漸減する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0047】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Bの傾斜角α13の傾斜面を上がった後、傾斜角α13より傾斜角の小さい第2後凹部72Bの傾斜角α12の傾斜面を上がるので、傾斜角α13の傾斜面を上がるときの傾動抵抗より傾斜角α12の傾斜面を上がるときの傾動抵抗は小さくなる。
【0048】
同様に、傾斜角α12より傾斜角の小さい第1後凹部81Bの傾斜角α11の傾斜面を上がるので、傾斜角α12の傾斜面を上がるときの傾動抵抗より傾斜角α11の傾斜面を上がるときの傾動抵抗は小さくなる。
すなわち、シートバック標準位置14sにシートバック14が接近するのに伴い、シートバック14を傾動する傾動抵抗が次第に小さくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0049】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0050】
このように、参考例2の車両用座席11Bでは、凹部53Bは、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgのときに凸部であるところのスライドピン51が嵌合する標準基準凹部63Bと、標準基準凹部63Bの一方側に連なる第1〜第4前凹部71B〜74Bと、他方側に連なる第1〜第6後凹部81B〜86Bと、からなり、第1〜第4前凹部71B〜74B並びに第1〜第6後凹部81B〜86Bは、標準基準凹部63Bに向かう第2抵抗機構37の傾動抵抗を漸減するように第1〜第4前凹部71B〜74B間のそれぞれの形状(傾斜面の傾斜角度α1〜α4)が変化し、第1〜第6後凹部81B〜86B間のそれぞれの形状(傾斜面の傾斜角度α11〜α16)が変化しているので、標準基準凹部63B(標準傾き角度θg)へ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0051】
また、参考例2の車両用座席11Bでは、抵抗部材45Bの傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定してもよい。抵抗部材45Bの傾斜角α1〜α4、α11〜α16を逆の傾斜面に設定すると、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgへ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が大きくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0052】
参考例2の車両用座席11Bでは、底の半径をraに設定し、標準基準凹部63Bの底の半径をrに設定し、標準基準凹部63Bのみが深くなるようにしてもよい。その結果、参考例1の車両用座席11と同様の効果を発揮する。つまり、標準基準凹部63Bは、標準基準凹部63Bの深さが深いから、打音が大きくなり、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0053】
次に、本発明の参考例3を説明する。
図8は、本発明の参考例3を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0054】
参考例2の車両用座席11Cは、抵抗装置24C、第1抵抗機構33Cを備え、第1抵抗機構33Cは、抵抗部材45Cを備えていることを特徴とする。
【0055】
抵抗部材45Cは、円盤状の本体54Cの外周に凹部53Cを有する。
凹部53Cは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Cと、標準基準凹部63Cの一方側であるところの前側に異なるピッチ角Pc1〜Pc4で連なる第1〜第4前凹部71C〜74Cと、他方側であるところの後側に異なるピッチ角Pc11〜Pc14で連なる第1〜第4後凹部81C〜84Cと、からなる。
第1〜第2前凹部71C〜72Cと第1〜第2後凹部81C〜82Cとは、標準基準凹部63Cの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0056】
また、凹部53Cは、山88Cの半径Rを一定に設定し、底の半径rを一定に設定し、標準基準凹部63Cの底の半径もrに設定している。
【0057】
抵抗部材45Cはまた、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc1〜Pc4をPc1<Pc2<Pc3<Pc4に設定し、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc11〜Pc14をPc11<Pc12<Pc13<Pc14に設定しているものである。
【0058】
参考例3では、リクライニング装置のラチェット(図に示していない)は、ピッチをピッチ角Pc1〜Pc4及びピッチ角Pc11〜Pc14に一致させる。
【0059】
なお、抵抗部材45Cでは、ピッチ角Pc1〜Pc4、Pc11〜Pc14を逆に配置してもよい。すなわち、ピッチ角Pc1〜Pc4をPc1>Pc2>Pc3>Pc4に設定し、シートバック標準位置14sから離れる方向へ順にピッチ角Pc11〜Pc14をPc11>Pc12>Pc13>Pc14に設定する。
【0060】
次に、「参考例3」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、傾動する際の打音並びに節度感の間隔が漸減する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0061】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Cから外れて、隣に連なる第2後凹部82Cに嵌合する際に1回目打音とともに1回目節度感を発生させる。引き続き、第2後凹部82Cから外れて、第1後凹部81Cに嵌合する際に2回目打音とともに2回目節度感を発生させる。続けて、第1後凹部81Cから外れて、標準基準凹部63Cに嵌合する際に、1回目から2回目までの時間に比べ、短い時間で3回目打音とともに3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともにだんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0062】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0063】
このように、参考例3の車両用座席11Cでは、第1〜第4前凹部71C〜74Cと第1〜第4後凹部81C〜84Cは、標準基準凹部63Cに向かって(矢印c1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71C〜74C、第1〜第4後凹部81C〜84Cの間隔であるところのピッチ角Pc1〜Pc4、ピッチ角Pc11〜Pc14がだんだん小さくなるように設定されているので、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、打音や節度感(クリック感)の間隔の時間がだんだん短くなる感覚を得ることができる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0064】
なお、参考例3の車両用座席11Cでは、シートバック標準位置14sに向かって(例えば、矢印a5の方向、矢印c1の方向)ピッチ角がだんだん大きくなるように抵抗部材45Cのピッチ角Pc1〜Pc4をPc1>Pc2>Pc3>Pc4に設定し、ピッチ角Pc11〜Pc14をPc11>Pc12>Pc13>Pc14に設定してもよい。その結果、ピッチ角を漸減させた場合と同様の効果を発揮する。すなわち、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、傾動する際の打音並びに節度感の間隔の時間がだんだん大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0065】
参考例3は、各底の半径を一致させたが、参考例1と同様に、標準基準凹部63Cの底のみが深くなるようにしてもよい。その結果、参考例1の車両用座席11と同様の効果を発揮する。つまり、標準基準凹部63Cは、標準基準凹部63Cの深さが深いから、打音が大きくなり、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことを把握することができる。
【0066】
次に、本発明の参考例4を説明する。
図9は、本発明の参考例4を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0067】
参考例4の車両用座席11Dは、抵抗装置24D、第1抵抗機構33Dを備え、第1抵抗機構33Dは、抵抗部材45Dを備えていることを特徴とする。
【0068】
抵抗部材45Dは、円盤状の本体54Dの外周に凹部53Dを有する。
凹部53Dは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Dと、標準基準凹部63Dの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pd(Pd=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71D〜74Dと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pdで連なる第1〜第6後凹部81D〜86Dと、からなる。
第1〜第4前凹部71D〜74Dと第1〜第4後凹部81D〜84Dとは、標準基準凹部63Dの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0069】
また、凹部53Dは、山88Dの半径Rが一定で、標準基準凹部63Dの底の半径rを最小に設定している。具体的に説明する。
【0070】
標準基準凹部63Dは、底の半径をrに設定し、標準基準凹部63Dの深さをHに設定した部位である。
第1前凹部71Dは、底の半径をrd1に設定し、第1前凹部71Dの深さをHd1に設定した部位である。底の半径rd1は、rd1>rである。第1前凹部71Dの深さHd1は、Hd1<Hである。
【0071】
第2〜第4前凹部72D〜74Dは、それぞれの底の半径が異なり、第2〜第4前凹部72D〜74Dの深さHd2〜Hd4をH>Hd1>Hd2>Hd3>Hd4に設定している。
つまり、標準基準凹部63Dに向かって(矢印d1の方向)、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4がだんだん深くなるように設定されている。
【0072】
第1〜第6後凹部81D〜86Dは、それぞれの底の半径が異なり、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16をH>Hd11>Hd12>Hd13>Hd14>Hd15>Hd16に設定している。
つまり、標準基準凹部63Dに向かって(矢印a5の方向)、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16がだんだん深くなるように設定されている。
【0073】
なお、抵抗部材45Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16を逆に配置することも可能である。すなわち、深さHd1〜Hd4をH<Hd2<Hd3<Hd4に設定し、深さHd11〜Hd16をH<Hd11<Hd12<Hd13<Hd14<Hd15<Hd16に設定する。
【0074】
次に、「参考例4」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、打音の音程が変化する。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0075】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37のスライドピン51は、第3後凹部83Dから外れて、隣に連なる第2後凹部82Dに嵌合する際に1回目打音とともに1回目節度感を発生させる。引き続き、第2後凹部82Dから外れて、第1後凹部81Dに嵌合する際に、第2後凹部82Dの深さHd12より深さHd11が深いので、1回目打音とは異なる2回目打音を発するとともに、1回目節度感とは異なる2回目節度感を発生させる。
【0076】
続けて、スライドピン51は、第1後凹部81Dから外れて、標準基準凹部63Dに嵌合する際に、第1後凹部81Dの深さHd11より深さHが深いので、2回目打音とは異なる3回目打音を発するとともに、2回目節度感とは異なる3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともにだんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0077】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0078】
このように、参考例4の車両用座席11Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dと第1〜第6後凹部81D〜86Dは、標準基準凹部63Dに向かって(矢印d1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71D〜74D、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd1〜Hd4、深さHd11〜Hd16がだんだん深くなるように設定されているので、標準基準凹部63D(標準傾き角度θg)に接近するのに伴い、次第に打音の音程並びに節度感が変わる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0079】
また、参考例4の車両用座席11Dの抵抗部材45Dでは、第1〜第4前凹部71D〜74Dの深さHd1〜Hd4、第1〜第6後凹部81D〜86Dの深さHd11〜Hd16を逆に配置してもよい。その結果、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgへ向けてシートバック14を傾動させて戻すときに、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに接近するのに伴い、次第に打音の音程並びに節度感が変わる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0080】
次に、本発明の参考例5を説明する。
図10は、本発明の参考例5を説明する図であり、図5に対応する図である。上記図1〜図6に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0081】
参考例5の車両用座席11Eは、抵抗装置24E、第1抵抗機構33Eを備え、第1抵抗機構33Eは、抵抗部材45Eを備えていることを特徴とする。
【0082】
抵抗部材45Eは、円盤状の本体54Eの外周に凹部53Eを有する。
凹部53Eは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Eと、標準基準凹部63Eの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pe(Pe=Pa)で連なる第1〜第4前凹部71E〜74Eと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Peで連なる第1〜第6後凹部81E〜86Eと、からなる。
第1〜第4前凹部71E〜74Eと第1〜第4後凹部81E〜84Eとは、標準基準凹部63Eの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0083】
また、抵抗部材45Eは、第1〜第4前凹部71E〜74Eの底の半径をr、第1〜第6後凹部81E〜86Eの底の半径をr、標準基準凹部63Eの底の半径をrに設定し、各底の半径をrで一定に設定している。
第1〜第4前凹部71E〜74E間にそれぞれ形成されている部位であるところの山の半径(半径rの中心から)Re1〜Re4は、Re1<Re2<Re3<Re4に設定している。
第1〜第6後凹部81E〜86E間にそれぞれ形成されている部位であるところの山の半径(半径rの中心から)Re11〜Re16は、Re11<Re12<Re13<Re14<Re15<Re16に設定している。
【0084】
つまり、第1〜第4前凹部71E〜74E間の山の高さは、底(半径r)からの高さであり、標準基準凹部63Eに向かって(矢印e1の方向)だんだん低くなっている。
第1〜第6後凹部81E〜86E間の山の高さは、底(半径r)からの高さであり、標準基準凹部63Eに向かって(矢印a5の方向)だんだん低くなっている。
【0085】
なお、抵抗部材45Eでは、各山の高さを逆に配置することも可能である。すなわち、標準基準凹部63Eに向かって山の高さをだんだん高くする。
【0086】
次に、「参考例5」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。図1〜図6を併用して説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0087】
例えば、座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37Eのスライドピン51Eは、第3後凹部83Eから外れて、隣に連なる第2後凹部82Eに嵌合する際に、山によって1回目の押し戻し(矢印e2の方向)抵抗、つまり、傾動抵抗を発するとともに1回目節度感を発生させる。
【0088】
引き続き、スライドピン51は、第2後凹部82Eから外れて、第1後凹部81Eに嵌合する際に、1回目の山の高さより高さが低い山によって、1回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)より小さい2回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)を発するとともに、1回目節度感とは異なる2回目節度感を発生させる。
【0089】
続けて、スライドピン51は、第1後凹部81Eから外れて、標準基準凹部63Eに嵌合する際に、2回目の山の高さより高さが低い山によって2回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)より小さい3回目の押し戻し抵抗(傾動抵抗)を発するとともに、2回目節度感とは異なる3回目節度感を発生させる。その結果、打音並びに節度感がともに、だんだん変化していく感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0090】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0091】
このように、参考例5の車両用座席11Eでは、第1〜第4前凹部71E〜74Eと第1〜第6後凹部81E〜86Eは、標準基準凹部63Eに向かって(矢印e1又は矢印a5の方向)、それぞれの第1〜第4前凹部71E〜74E間の山の高さ、第1〜第6後凹部81E〜86E間の山の高さがだんだん低くなるように設定されているので、標準基準凹部63E(標準傾き角度θg)に接近するのに伴い、次第に打音が変化するとともに、次第に傾動抵抗が小さくなる。従って、所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに第2シート部材(シートバック)14をセットしたことをより確実に把握することができる。
【0092】
次に、本発明の参考例6を説明する。
図11は、本発明の参考例6を説明する断面図であり、図3に対応する図である。
図12は、図11の12−12線断面図であり、抵抗部材45Fの詳細を示している。上記図1〜図5に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0093】
参考例6の車両用座席11Fは、抵抗装置24Fを備え、抵抗装置24Fは、第1抵抗機構33Fと、第2抵抗機構37Fと、からなる。
第1抵抗機構33Fは、抵抗部材45Fを備えていることを特徴とする。
【0094】
抵抗部材45Fは、円盤状の本体54Fの平面部131に形成された凹部53Fを有する。
凹部53Fは、シートバック標準位置14sにシートバック14をセットする標準基準凹部63Fと、標準基準凹部63Fの一方側であるところの前側に所定のピッチ角Pf(Pf=Pa)で彫込まれた第1〜第4前凹部71F〜74Fと、他方側であるところの後側に所定のピッチ角Pfで彫込まれた第1〜第6後凹部81F〜86Fと、からなる。
第1〜第4前凹部71F〜74Fと第1〜第4後凹部81F〜84Fとは、標準基準凹部63Fの中心線87を対称基準線にして対称である。
【0095】
標準基準凹部63Fは、穴であり、平面部131から深さJ(図に示していない)で彫込まれている。
第1前凹部71Fは、穴であり、深さJ1(J1<J)で彫込まれている。
第2〜第4前凹部72F〜74Fは、第1前凹部71Fと同様の穴である。
第1〜第6後凹部81F〜86Fは、第1前凹部71Fと同様の穴である。
第4前凹部74Fの位置は、最大前倒位置14f(最小角度θs)に一致している。
第6後凹部86Fの位置は、最大後倒位置14r(最大傾き角度θm)に一致している。
【0096】
第2抵抗機構37Fは、シートバックフレーム22の左枠部35の下部36に取付けられているケース部48Fと、ケース部48Fにスライド自在(矢印f1の方向)に嵌合し、凸部であるところのスライドピン51Fと、スライドピン51Fを外方(矢印f2の方向)に押すばね132(図13参照)と、を備えている。
スライドピン51Fは、傾動支点軸41に平行に配置されて、傾動支点軸41に平行な方向(矢印f2の方向)へ向けて加わるばね132の力によって抵抗部材45Fの凹部53Fに嵌合している。
【0097】
次に、「参考例6」の第2シート部材(シートバック)の傾き角度を調節するときの機構を説明する。
図1に示している座席11のシートバック14が、シートバック標準位置14sより倒れている場合、リクライニング装置の操作レバーを引き上げて、背中でシートバック14を調節すると、抵抗装置24Fは節度感並びに打音を発生し、シートバック標準位置14sで大きな打音となる。大きな打音の位置で、操作レバーを戻すと、シートバック14はシートバック標準位置14sでロックされる。従って、シートバック14の傾き角度の把握が容易になる。
具体的に説明する。
【0098】
図13(a)、(b)は、参考例6の傾き角度を調節するときの機構を説明する図である。
(a)において、例えば、座席11Fのシートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、第2抵抗機構37Fのスライドピン51Fは、第3後凹部83Fから外れて、隣の第2後凹部82Fに達したときに第2後凹部82Fへ向かって外方(矢印f3の方向)へ飛び出すので、第2後凹部82Fを叩き、抵抗部材45Fとともに打音を発生させかつ、スライドピン51Fを内方(矢印f4の方向)へ押す抵抗によって節度感を発生させる。
【0099】
(b)において、引き続き、シートバック14をシートバック標準位置14sに向けて起こし続けると、第2抵抗機構37Fのスライドピン51Fは、第1後凹部81Fを叩いて抵抗部材45Fとともに第2後凹部82Fと同様の打音を発生させかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗によって第2後凹部82Fと同様の節度感を発生させる。
さらに、起きて、標準基準凹部63Fに達すると、標準基準凹部63Fの深さが深いから、打音が大きくなりかつ、スライドピン51を内方に押す抵抗による節度感が大きくなる。つまり、使用者は、打音が大きくなりかつ、節度感が大きくなる感覚を得ることができる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのがより容易になる。
【0100】
なお、シートバック14がシートバック標準位置14sより前に倒れているときも、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときと同様の効果を発揮する。
【0101】
参考例6の車両用座席11Fでは、凸部(スライドピン)51Fは、傾動支点軸41に平行な方向へ向けて加わる力が伝わる横凸部であり、第1〜第4前凹部71F〜74F並びに第1〜第6後凹部81F〜86Fは、横凸部51Fが嵌合する横凹部である。その結果、抵抗部材45Fの凹部(標準基準凹部63F、第1〜第4前凹部71F〜74F、第1〜第6後凹部81F〜86F)に凸部(スライドピン)51Fを押付けるための力が傾動支点軸41に平行な方向となり、傾動支点軸41に直交する方向に対してのサイズをコンパクトにすることができる。つまり、抵抗部材45Fの半径方向の外方(図11の矢印f5の方向、図12の矢印f5の方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【実施例】
【0102】
実施例に係る車両用座席を図14、図15で説明する。
図14は、本発明の実施例を説明する断面図であり、図3に対応する図である。
図15は、図14の15矢視図であり、実施例の正面図である。上記図1〜図3に示す参考例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0103】
実施例の車両用座席11Gは、座席11Gのシートクッション21に対して座席11Gのシートバック14が相対的に傾動自在に連結されている。
また、車両用座席11Gは、第2シート部材であるところのシートバック14に取付けられて、傾動支点軸41を支点に第2シート部材(シートバック)14と一体に回動(矢印g1の方向)する爪部141と、爪部141の回動で弾かれる先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、且つ、第2シート部材(シートバック)14が所定の傾き角度に向けて、シートバック14が接近するのに伴い、音がだんだん高音になってシートバック14が所定の傾き角度、例えば、標準傾き角度θg(シートバック標準位置14s)のときに弾いた音が最も高音になるように、先端142を有する歯145を複数配列している振動音源部146と、を備えている。
振動音源部146は、シートバック14の所定の傾き角度のときに爪部141によって弾かれる先端142を有する歯145から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【0104】
爪部141は、傾動支点軸41に直交で、爪先が傾動支点軸41の下方(矢印f6の方向)へ向けて配置されている。
振動音源部146は、具体的には、薄板本体151にシートバック標準位置14sに一致する基準位置Kが設定されて、基準位置Kから一方(車両前側)に向けて、だんだん低音になるように複数の歯145が配置され、基準位置Kから他方(車両後側)に向けて、だんだん低音になるように複数の歯145が配置されている。
【0105】
なお、振動音源部146は、高音の歯が中央に形成され、低音の歯が両端に形成されているが、逆に形成することも可能である。中央に低音の歯、両端に高音の歯を形成する。
【0106】
実施例の車両用座席11Gでは、シートバック14がシートバック標準位置14sより後に倒れているときに、操作レバーを引き、背中でシートバック14をシートバック標準位置14sに向けて(矢印a5の方向)調節し始めると、爪部141が振動音源部146の歯145を弾くので、シートバック標準位置14sに向けて、シートバック14が接近するのに伴い、振動音源部146の音がだんだん高音になる。従って、第2シート部材(シートバック)14を所定の傾き角度(標準傾き角度)θgに戻すのが容易になる。
【0107】
実施例の車両用座席11Gでは、爪部141は、傾動支点軸41に直交で、爪先が傾動支点軸41の下方へ向けて1個配置され、振動音源部146は、先端142が爪部141の軌跡143に沿って円弧状に配列されて、複数の歯145が座席の前後方向に配列されている。その結果、座席の左右方向(傾動支点軸41の長手方向)に対してのサイズをコンパクトにすることができる。
【0108】
尚、本発明では、参考例1〜参考例6、実施例を組合わせることも可能である。
凹部53(53B〜53E)は、リクライニング装置の最大前倒位置14f(最小角度θs)まで形成しているが、凹部53の範囲は任意である。すなわち、リクライニング装置の最大前倒位置14f(最小角度θs)に凹部53の第4前凹部74(74B〜74E)を一致させたが、第4前凹部74(74B〜74E)の有無は任意であり、例えば、第1前凹部71(71B〜71E)のみでもよく、第1〜第4前凹部71(71B〜71E)〜74(74B〜74E)を形成しない形態でもよい。
なお、抵抗装置は、アームレストあるいはヘッドレスト等の角度調整に利用することもてきる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の車両用座席は、シートバックの傾き角度を手動で調節する座席や、シートバックの傾き角度を手動で調節する機会が多くなる座席に好適である。
【符号の説明】
【0110】
11G…車両用座席、14…第2シート部材(シートバック)、21…第1シート部材(シートクッション)、141…爪部、142…歯の先端、145…歯、146…振動音源部、θg…所定の傾き角度(標準傾き角度)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、
前記シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、
前記爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、前記シートバックの所定の傾き角度に向けて、前記シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になって前記シートバックが前記所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、前記先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、
前記振動音源部は、前記シートバックの前記所定の傾き角度のときに前記爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする車両用座席。
【請求項2】
座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、
前記シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、
前記爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、前記シートバックの所定の傾き角度に向けて、前記シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になって前記シートバックが前記所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、前記先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、
前記振動音源部は、前記シートバックの前記所定の傾き角度のときに前記爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする車両用座席。
【請求項3】
前記爪部が、前記傾動支点軸に直交で、爪先が前記傾動支点軸の下方へ向けて配置され、
前記振動音源部が、前記複数の歯が座席の前後方向に配列されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用座席。
【請求項1】
座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、
前記シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、
前記爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、前記シートバックの所定の傾き角度に向けて、前記シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん高音になって前記シートバックが前記所定の傾き角度のときに弾いた音が最も高音になるように、前記先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、
前記振動音源部は、前記シートバックの前記所定の傾き角度のときに前記爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん低音になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする車両用座席。
【請求項2】
座席のシートクッションに対して座席のシートバックが相対的に傾動自在に連結されている車両用座席であって、
前記シートバックに取付けられて、傾動支点軸を支点にシートバックと一体に回動する爪部と、
前記爪部の回動で弾かれる先端が爪部の軌跡に沿って円弧状に配列されて、且つ、前記シートバックの所定の傾き角度に向けて、前記シートバックが接近するのに伴い、音がだんだん低音になって前記シートバックが前記所定の傾き角度のときに弾いた音が最も低音になるように、前記先端を有する歯を複数配列している振動音源部と、を備え、
前記振動音源部は、前記シートバックの前記所定の傾き角度のときに前記爪部によって弾かれる先端を有する歯から、一方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていると共に、他方側に向けてだんだん高温になるように複数の歯が配置されていることを特徴とする車両用座席。
【請求項3】
前記爪部が、前記傾動支点軸に直交で、爪先が前記傾動支点軸の下方へ向けて配置され、
前記振動音源部が、前記複数の歯が座席の前後方向に配列されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用座席。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−153365(P2012−153365A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91644(P2012−91644)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2006−212422(P2006−212422)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2006−212422(P2006−212422)の分割
【原出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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