車両用操作入力装置
【課題】 ユーザーの望みに反するような操作ノブへの操作反力が生じないようにし、操作性に優れた選択入力操作が可能となる車両用操作入力装置を提供する。
【解決手段】 表示器3の表示面30上にポインタ31と2以上の選択領域6を有した選択肢画像60とを表示させ、ポインタ31の移動操作と、ポインタ31に指示された選択領域6を選択する選択入力操作とが可能な車両用操作入力装置1であって、移動操作に対し操作反力を付与させる反力発生部24,25を備え、制御部10は、選択肢画像60の表示領域を反力切替領域6Sとして設定し、その選択肢画像60内にポインタ31が進入した場合に、該ポインタ31を該選択肢画像60内の非選択の選択領域6Bへ移動させる移動操作が、該ポインタ31を該選択肢画像60内の選択中の選択領域6Aへ移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力発生部24,25の反力制御を行う。
【解決手段】 表示器3の表示面30上にポインタ31と2以上の選択領域6を有した選択肢画像60とを表示させ、ポインタ31の移動操作と、ポインタ31に指示された選択領域6を選択する選択入力操作とが可能な車両用操作入力装置1であって、移動操作に対し操作反力を付与させる反力発生部24,25を備え、制御部10は、選択肢画像60の表示領域を反力切替領域6Sとして設定し、その選択肢画像60内にポインタ31が進入した場合に、該ポインタ31を該選択肢画像60内の非選択の選択領域6Bへ移動させる移動操作が、該ポインタ31を該選択肢画像60内の選択中の選択領域6Aへ移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力発生部24,25の反力制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック型やボール型等の操作体を有したポインティングデバイスを用いて電子機器の動作を操作したり、ディスプレイ上において、その操作方向に対応してポインタ(位置指示画像)を移動させたりする操作入力装置、又は操作入力システムがある(特許文献1及び2)。これらは、ユーザーによってその操作部が操作されることにより、その操作方向に対応した座標を電子機器に出力するものである。このような操作部は、車両用のナビゲーション装置等で既に利用されており、操作部の操作によりディスプレイ上に表示される地図上のポインタを移動させて、位置指示、あるいは位置選択を行うことが可能とされている。
【0003】
こうした操作入力装置においては、ユーザーに操作触感を伝達するために、操作ノブに対し、該操作ノブを中立位置に復帰させたり、現在位置に保持させたりするための力(操作反力)を付与する技術がある。さらには、ディスプレイ上に連続隣接配置された操作ボタン画像に対する選択入力操作が容易となるように、ポインタが近接する操作ボタン画像の中心位置にポインタを引き込む引込力(操作反力)を付与する技術もある。後者の場合に想定されている操作ボタン画像は一般的に、一回のクリック毎に所定のアクションを実行させる、いわゆるプッシュボタンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2008−246263号公報
【特許文献2】特開2008−173757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、GUI(Graphical User Interface)のボタンには様々な種類のものがあり、単純にボタン中心への引込力を作用させるだけでは、かえって操作性を損ねてしまうものも存在する。例えば、複数の選択領域の中で択一的に選択するための選択入力操作がなされるラジオボタン等の場合、群をなす複数の選択領域は互いに近接しており、この場合、ユーザーが望まない側の選択領域(例えば既に選択中の選択領域)に向かって、操作ノブが引き込まれてしまう可能性がある。特に、このような選択入力操作をドライバーがブラインド操作の形で行う場合には、こうした引込力の作用に邪魔をされ、かえって望む選択入力操作がし難くなるという状況も考えうる。
【0006】
本発明の課題は、ユーザーの望みに反するような操作ノブへの操作反力が生じないようにし、操作性に優れた選択入力操作が可能となる車両用操作入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用操作入力装置は、
表示手段と、表示手段の表示面上に位置指示画像と2以上の選択領域を有した選択肢画像とを表示させる表示制御手段と、位置指示画像を移動操作するための移動操作部と、選択領域を選択する選択入力操作をするための選択操作部と、選択肢画像内において少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態を選択入力操作に応じて切り替える選択状態切替手段と、を備える車両用操作入力装置であって、
移動操作部に対し操作反力を付与させる反力付与手段と、
表示面上において、選択肢画像に含まれる全選択領域を包含する予め定められた反力切替領域を設定する反力切替領域設定手段と、
反力切替領域内に位置指示画像が進入した場合に、位置指示画像を、選択肢画像における非選択の選択領域へと移動させる移動操作が、選択肢画像における選択中の選択領域へと移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力付与手段の操作反力を制御する反力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記本発明は、選択肢として2以上の選択領域を有する選択肢画像内において、少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態が切り替わる画面表示を前提とするものであり、上記構成によれば、選択肢画像において非選択の選択領域を位置指示するためのポインタ移動操作が容易となる。本発明において前提とされた選択肢画像内においては、選択中の選択領域は既に選択されているため選択入力操作をする必要はなく、非選択の選択領域のみが操作対象となる。このため、操作対象である非選択の選択領域を位置指示するための操作が容易とされることで操作性が増す。さらには操作対象ではない選択中の選択領域に対する誤操作も防止できる。
【0009】
なお、ここでいう操作反力とは、移動操作部への操作に対し付与される抗力(操作方向とは逆向きに付与される力)と推力(操作方向と同じ向きに付与される力)のいずれであってもよい。
【0010】
本発明における反力制御手段は、反力切替領域内に位置指示画像が進入した場合に、反力切替領域内の選択肢画像に含まれる非選択の選択領域に引込中心点を設定する形で、移動操作部を引込中心点に向けて引き込む引込力を付与するように構成することができる。これにより、ある程度の強制力でもって移動操作がアシストされる。即ち、操作者が特に意識しなくとも位置指示画像が非選択の選択領域に引き込まれ、ほぼ自動的に非選択の選択領域が指示された状態となるため、操作者は、その状態で選択入力操作をするだけで選択状態を切り替えることができる。
【0011】
本発明における反力制御手段は、反力切替領域内に位置指示画像が進入したときに反力切替領域内に非選択の選択領域が複数ある場合には、位置指示画像の現在位置に最も近い位置にある非選択の選択領域を特定し、特定された非選択の選択領域に向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、反力付与手段の操作反力を制御するように構成することができる。これにより、最も近い非選択の領域を指示する操作が容易となる。
【0012】
本発明における表示制御手段は、表示面上に、反力切替領域を背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させることができる。反力切替領域が視認できるため、他の領域での移動操作を行う際には反力切替領域を意識しながら操作を行うことができるから、誤って反力切替領域内に位置指示画像を移動させてしまうミスが生じ難くなる。具体的にいえば、本発明における表示制御手段は、選択肢画像を表示面上の背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものであり、選択肢画像の表示領域と反力切替領域とを一致させることができる。表示面上に選択領域のみが表示されても、どれとどれが選択肢としての群をなすものかが分からないため、これらを背景画像と識別できる選択肢画像として表示することで、群をなす選択肢が識別可能となる。そして、この選択肢画像をそのまま反力切替領域として共通に使用すれば、表示を簡略化できる。
【0013】
本発明における表示制御手段は、表示面上に、選択肢画像に含まれる各選択領域を、各々の選択状態が視覚的に識別可能となる形で表示させるように構成することができる。これにより、操作者は、位置指示画像がどの選択領域に引き込まれるかを予測できるから、引き込まれた後の動作を想像する余裕が生まれ、次に行う操作(引き込まれた先での選択入力操作や、さらにそれを超えた先の領域への位置指示画像の移動操作)が迅速に可能となる。
【0014】
本発明における選択状態切替手段は、選択肢画像内において、選択入力操作により選択された選択領域のみが選択中となり、残余の選択領域が非選択中となるように、各選択領域の選択状態を切り替えるように構成することができる。
【0015】
本発明における反力切替領域は、表示面内における外周近傍領域に設定されるように構成することができる。反力切替領域が表示面の中央部に位置すると、反力切替領域内にポインタ等の位置指示画像が進入する確率は高くなる。位置指示画像によって反力切替領域内を指示したい場合には都合がよいかもしれないが、それ以外の位置を指示したい場合には、位置指示画像を、中央部の反力切替領域をあえて避けて移動させなければならなくなり、かえって邪魔になってしまう可能性がある。従って、反力切替領域は、表示面内において中心領域を除いた外周近傍領域に設けられていた方がよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両用操作入力装置の一例をなす実施形態の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】図1の車両用入力装置を車室内に配置した時の車室内外観図。
【図3】図1の操作デバイスの構成を概略的に示す断面図。
【図4】本発明の反力制御が適用される画面の表示例。
【図5】図4の画面において、反力切替領域内に指示位置が進入した場合の引込中心点の設定を説明する図。
【図6】反力切替領域内外における操作反力の設定を説明する図。
【図7】操作反力制御(引込制御)の流れを示すフローチャート。
【図8】非選択中の選択領域が複数ある選択肢画像における引込中心点の設定を説明する図。
【図9】図7とは異なる実施形態における操作反力制御(引込制御)の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の実施形態である車両用操作入力装置に適用可能な、図3の操作デバイスとは異なる操作デバイスの外観を概略的に示す斜視図。
【図11】図10の操作デバイスの分解斜視図。
【図12】図10の操作デバイスの構成を概略的に示すブロック図。
【図13】操作デバイスをステアリングホイールに配置した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の車両用操作入力装置の一例をなす実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態である車両用操作入力装置の構成を概略的に示すブロック図である。図1における車両用操作入力装置1は、表示器(表示手段)3と、その表示面30上にポインタ(位置指示画像)31と2以上の選択領域6からなる選択肢画像60とを表示させる制御部(表示制御手段)10とを備える。さらに、車両用操作入力装置1は、表示面30上でポインタ31を移動させる移動操作と選択領域6を選択する選択入力操作とが可能な操作デバイス2を備え、制御部10は、選択肢画像60内において少なくとも1以上の選択領域6が選択中となる形で各選択領域6の選択状態を操作デバイス2になされた選択入力操作に応じて切り替える(選択状態切替手段)。
【0019】
表示器3は、例えば周知の液晶表示装置等を用いることができる。制御部10から出力される表示制御信号に応じて、表示器3の表示面30上に、当該信号に基づく画面表示を実施する。表示面30上には、x軸方向とこれに直交するy軸方向とにより規定された二次元の表示座標系が設定されており、その表示座標系上に、指示位置Mや選択肢画像60の表示領域、さらには選択領域6等が設定される。
【0020】
操作デバイス2は、表示面30上に設定される指示位置Mを操作ノブ200の操作量に応じて移動させるポインティングデバイスとして機能する。具体的にいえば、操作デバイス2は、表示面30上に表示されたポインタ(位置指示画像)31を移動させる移動操作が可能な操作ノブ(移動操作部)200と、操作ノブ200のX方向およびY方向の操作量を検出する操作量検出部(XY操作量検出手段)21,22とを備えて構成される。
【0021】
図3は、操作デバイス2の断面図である。本実施形態の操作デバイス2はスティック状の操作軸部201の先端部に操作ノブ200が取り付けられ、その逆側が収納部204に差し込まれている。操作軸部201の途中には球状部202が形成され、収納部204に設けられている軸受23でこれを支持することにより、操作軸部201が収納部204に対して揺動自在に支承されている。
【0022】
即ち、操作ノブ200は二次元の操作自由度を有し、二次元の可動面内の所定範囲内で自在に動かすことができる。操作ノブ200の二次元可動面は表示面30の二次元座標系と対応関係が予め定められているので、当該二次元可動面内における操作ノブ200の存在位置に応じて、ポインタ31が表示面30上の位置が決まり、操作ノブ200が移動するとこれに応じてポインタ31も表示面30上を移動する。
【0023】
このスティック状の操作ノブ200を有する操作デバイス2は、自身の操作軸線Zの基準角度位置を有しており、操作時においては表示器3の表示面30上にて位置指示すべき方向に対応する方向に該操作軸線Zが基準角度位置から傾斜する。操作反力を発生させる反力発生部(反力付与手段)24,25は、操作部200に対し、操作が許容される方向に沿って力を付加することが可能なアクチュエータであり、収納部204内に設けられる。ここでの反力発生部24,25は、互いに直交するX軸,Y軸に対してそれぞれ設けられたモータであり、操作軸部201に対し図示しないギアを介して接続され、その回転運動を軸線方向(X軸,Y軸)に沿った直線運動に変換して操作軸部201に伝えることで、操作ノブ200に対して力を与える。これらの2つのモータ24,25は、制御部10からの駆動信号に基づき、操作ノブ200になされる移動操作に対し抗力又は推力(これらを総じて操作反力と称し、推力は負の操作反力とみなすものとする)を付加するように動作する。また、これらモータ24,25の回転軸には、X方向およびY方向の操作量(操作変位)及び操作方向を検出する操作量検出部(XY操作量検出手段)21,22をなすロータリエンコーダが連結している。ここでは、操作軸線Zを現在位置に保つための保持力が付与されるように、制御部10が2つのモータ24,25を制御しており、操作ノブ200を操作する際には、操作軸線Zを現在位置に保つ保持力に抗する形での操作となるため、操作者はその抗力を操作反力として受ける。なお、本発明における操作反力とは、上記のような保持力に抗する抗力に限られるものではなく、予め固定的に定められた中立角度位置に操作軸線Zを復帰させるように制御部10が2つのモータ24,25を制御して、操作ノブ200を操作する際にその復帰力に対する抗力やその逆の推力であってもよい。
【0024】
また、操作デバイス2は、操作ノブ200に対し選択領域6への選択入力操作(決定入力操作)が可能な選択操作部としても機能し、その操作による選択入力(決定入力)を検出する選択入力検出部23が制御部10に対し接続する。ここでは図3に示すように、操作ノブ200が操作軸線Z方向に押下操作可能に構成され、押下操作されるに伴い選択入力検出部23をなすタクトスイッチが押下されると、これが選択入力操作として制御部10に出力される。
【0025】
なお、操作デバイス2は、操作に対する抗力や推力が付与されるポインティングデバイスであればよく、操作ノブ200がスティック状のものであってもよいし、トラックボール型やコマンダ型の操作部であってもよい。また、選択入力操作のための選択操作部とポインタ31を移動させる移動操作部とが共通の操作ノブ200として構成されるのではなく、それぞれが別に設けられていてもよい。
【0026】
制御部10は、図示しないCPU,ROM,RAM等を有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMや図示しない外部記憶装置の所定記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行する形で各種の制御を実施する。車載LAN4を介して、他の車載機器5(5A,5B,・・・)の制御部とデータの授受が可能であるし、それら他の制御部の制御対象を駆動制御するための制御信号を送信して、該制御対象を駆動制御する等、各車載機器5の機器機能を使用することもできる。例えば、操作デバイス2から受信する操作情報に基づいて、車載LAN4を介して接続されているナビゲーション装置や、車両空調装置、カーオーディオなどの車載機器5に、対応する制御を実行させることができる。また、操作デバイス2から受信する操作情報に基づいて、表示器3の表示面30に、対応する画面に切り替えることもできる。
【0027】
また、制御部10は、表示器3に対し、背景画像上にポインタ31と、2以上の選択領域6からなる選択肢画像60とを有した所定操作画面を表示させるための表示情報を出力する。当該表示情報には、表示面30上の背景画像6Zや選択肢画像60等、上記所定操作画面を表示するための画像データが含まれるとともに、その他にも、操作デバイス2側から順次入力される操作情報が反映された表示位置データ等が含まれている。そして、上記所定操作画面では、背景画像6Zと選択肢画像60が視覚的に識別可能な画像により表示され、なおかつその選択肢画像60に属する各選択領域6が、各々の選択状態が視覚的に識別可能に切り替わる形で表示される。ここでは、図4に示すように、各選択領域6を有した選択肢画像60が、背景画像6Zに対し重畳表示されるとともに、それら選択用領域6のいずれかに選択中であることを示す選択中表示画像(黒丸画像)6aが重畳表示される。
【0028】
なお、本実施形態における制御部10は、ポインタ31と選択肢画像60とが表示される所定操作画面上に、該選択肢画像60内において少なくとも1以上の選択領域6が選択中となる形で、選択入力操作に応じて、該選択肢画像60内の各選択領域6の選択状態が切り替える(選択状態切替手段)。ここでは、図4(b)及び(c)に示すように、選択肢画像60内の2つの選択領域6において、選択入力操作により選択された選択領域6のみが選択中(6A)となり、残余の選択領域6が非選択中(6B)となるように、選択状態が切り替わる。
【0029】
また、制御部10は、操作ノブ200に対し移動操作がなされると操作デバイス2から移動操作信号の入力を受け、その信号に基づいて、操作ノブ200になされた移動操作の操作量や操作方向等の移動操作情報を算出する。そして、算出された移動操作情報に基づいて、指示位置Mの移動速度・移動先座標を算出し、算出された移動速度・移動先座標に基づく表示制御信号を表示器3に出力して、指示位置Mを指し示すポインタ31を、上記操作画面上で移動させる。
【0030】
また、制御部10は、上記以外にも、操作ノブ200に対し付与される操作反力の制御を実行する。基本的には、操作ノブ200への操作によって操作ノブ200が現在位置からずれるに伴い、操作されている方向に抗する操作反力(粘性反力)が操作ノブ200に対し付与されるだけであるが、本実施形態においては、表示面30上に、表示されている選択肢画像60に含まれる全選択領域6を包含する予め定められた反力切替領域6Sを設定して(反力切替領域設定手段)、当該反力切替領域6S内にポインタ31が進入すると、該ポインタ31を、該選択肢画像60に含まれる非選択の選択領域6Bへと移動させる移動操作が、該選択肢画像60に含まれる選択中の選択領域6Aへと移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力発生部(反力付与手段)をなす各モータ24,25を駆動制御する(反力制御手段)。
【0031】
ここでは、図5に示すように、表示面30上において、選択肢画像60の表示領域を、付与される操作反力が残余の領域とは異なる反力切替領域6Sとして設定し、設定された反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合に、該選択肢画像60内の非選択の選択領域6Bの中心点N又はP(図5の場合は中心位置座標N(Xn,Yn))に引込中心点Q(Xq,Yq)を固定的に設定し、当該引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200を引き込み、当該引込中心点Q(Xq,Yq)からの離脱を妨げる引込力(ただし離脱は可能)が生ずるよう各モータ24,25を駆動制御する。これにより、ある程度の強制力でもって移動操作がアシストされる。即ち、操作者が特に意識しなくともポインタ31が非選択の選択領域6Bに強制的に引き込まれ、その非選択の選択領域6Bが指示された状態となる。
【0032】
また、ここでは、操作ノブ200に付与される操作反力の絶対値が、反力切替領域6S内の方が、反力切替領域6S外よりも大きくなるように設定されてもよい。これは、反力切替領域6S外における操作反力が移動操作に対し操作感を与えることを目的とする粘性の反力であるのに対し、反力切替領域6S内における操作反力が、指示位置Mを強制的移動させることを目的とする反力であるからである。なお、反力切替領域6Sの外では、軸線zを現在位置に保持する保持力が作用するので、現在の指示位置がそのまま引込中心点となっているともいえる。
【0033】
本実施形態においては、選択肢画像60の表示領域が、上記反力切替領域6Sと一致しており、背景画像6Zとは視覚的に識別可能な形で表示されている。また、反力切替領域6Sは、表示面30内における外周近傍領域に設定されており、ここでは、図4(a)に示すように、四角形状の表示面30上の角部付近に表示されている。
【0034】
以下、本実施形態における操作反力制御(引込み制御)について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、所定周期にて繰り返し実施される。
【0035】
まずS1において、制御部10は、現在の指示位置Mが反力切替領域(引込みエリア)6S内であるか否かを判定する。具体的には、表示用に自身の所定メモリ内に一次記憶されている、現在の指示位置Mの位置座標(Xm,Ym)と、反力切替領域6SのX方向及びY方向の境界座標(Xn−Xd1,Xn+Xd2),(Yn−Yd1,Yn+Yd2)とを読み出す。ここでの座標情報は画面解像度により与えられており、反力切替領域の境界座標情報は、選択対象「N」の中心点N(Xn,Yn)を基準点とし、これに基づいて算出されている。S1では、読み出した各情報から、以下の(1)及び(2)の式を満足するかを判定し、満足する場合には現在の指示位置Mが反力切替領域6S内であると判定してS2に進み、満足しない場合には現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にないと判定して本処理を終了する。なお、座標情報は画面解像度以外の他の方法で与えられてもよいし、境界座標情報も他の方法で算出されてもよい。
(1)Xn−Xd1<Xm<Xn+Xd2
(2)Yn−Yd1<Ym<Yn+Yd2
【0036】
続くS2では、制御部10が、現在の指示位置が内部にあるとされた反力切替領域6Sにおいて、その内部に2つ存在する選択領域6のうち非選択中の選択領域6Bを特定する。ここでは、選択対象「N」と選択対象「P」の二択であり、いずれか一方の選択領域6が非選択中(6B)、他方が選択中(6A)となっている。これら選択肢画像60に属する各選択領域6の選択状態は、制御部10自身の所定メモリ内に一次記憶されているので、これを読み出す形で判定を行う。
【0037】
S2にて、特定された非選択中の選択領域6(6B)が選択対象「P」であればS4に進み、引込中心点Q(Xq,Yq)を選択対象「P」の中心位置座標P(Xp,Yp)に設定する。他方、特定された非選択中の選択領域6(6B)が選択対象「N」であればS3に進み、引込中心点Q(Xq,Yq)を選択対象「N」の中心位置座標N(Xn,Yn)に設定する。その上でS5にて、設定された引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200が強制的に移動操作されるようなトルクを各モータ24,25に発生させる。そして、本処理を終了する。なお、本実施形態においては、現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にある場合において、制御部10が、現在の指示位置Mの位置座標(Xm,Ym)を、強制的に非選択の選択領域6Bの中心位置座標N又はP(図5(b)の場合は中心位置座標N(Xn,Yn))に設定し、現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にある限りは、強制設定された非選択状態の選択領域6Bの中心位置座標N又はPの位置に操作ノブ200を保持するための保持力を各モータ24,25によって付与している。これにより、操作ノブ200が非選択状態の選択領域6Bの中心位置座標N又はPに向けて引き込まれる。
【0038】
なお、本実施形態における操作デバイス2は、図2に示すように、表示器3とは異なる位置に設けられた遠隔操作手段として構成される。ここでは、表示器3の表示面30に設けられるタッチパネルやその周辺に設けられたハードスイッチ等のような主操作部に代わる遠隔操作が可能な遠隔操作部とされており、上記主操作部よりもユーザーの操作負担が小さくなるよう、予め定められた座席により近い位置に配置される。ここでは、図2に示すように、運転席と助手席に座したユーザー(搭乗者)がそれら各座席の背もたれにもたれた着座状態のまま双方のユーザーが操作可能となる位置に設けられた手元操作部とされている。具体的にいえば、操作デバイス2は、車両の左右両座席(ここでは運転席と助手席)の間に挟まれる領域(ここではセンターコンソール)Cに配置されている。他方、表示器3は、操作デバイス2よりも車両前方側のインストルメントパネルIの周辺に表示面(遠方表示面)30を有し、それら双方の座席に座したユーザーから視認可能な形で配置されている。また、操作デバイス2は、図13に示すように、ステアリングホイールSTに設けることもできる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、反力切替領域6S内に非選択の選択領域6が1つのみとされていたが、2以上あってもよい。具体的に言えば、図8に示すように、反力切替領域6S内にポインタ31(指示位置M)が進入したときに当該反力切替領域6S内に非選択の選択領域6Bが複数ある場合には、ポインタ31の現在位置Mに最も距離d(d4、d5)が短い位置にある非選択の選択領域6C(6B)を特定し、特定された非選択の選択領域6Cに向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、各モータ24,25を駆動制御することができる。この場合の操作反力制御(引込み制御)は、図9のようにすることができる。
【0041】
まず、S21は、上記図7のS1と同様である。続くS22では、制御部10が、現在の指示位置Mが内部にあるとされた反力切替領域6Sにおいて、その内部に存在する2以上の非選択中の選択領域6Bのうち最も近い位置にある非選択中の選択領域6C(6B)を特定する。ここでは、現在の指示位置の位置座標Mと、非選択中の各選択領域6Bの中心位置座標R4,R5の距離d4、d5をそれぞれ算出・比較し、距離dが短い方の非選択中の選択領域6Cを特定する。そして、S23では、特定された非選択中の選択領域6Cの中心位置座標を引込中心点Q(Xq,Yq)として設定し、S24(図7のS5と同様)にて、設定された引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200が強制的に移動操作されるような引込力を各モータ24,25に発生させる。なお、この処理も所定周期で繰り返し実施されるものとする。
【0042】
また、上記実施形態における反力発生部はモータとされているが、他の手段により反力を発生させる構成でも当然よい。
【0043】
また、上記実施形態においては、反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合に、該ポインタ31を非選択中の選択領域6Bへと強制的に移動させる引込力を発生させているが、少なくとも非選択中の選択領域6Bへポインタ31を移動させる移動操作が、選択中の選択領域6Aへポインタ31を移動させる移動操作よりも容易になればよい。例えば、操作ノブ200を移動させる方向とは逆向きに付与される抗力(操作反力)の大きさを、反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合には、少なくとも非選択中の選択領域6Bへポインタ31を移動させる移動操作の方が、選択中の選択領域6Aへポインタ31を移動させる移動操作よりも小さくするだけでもよい。この場合、非選択中の選択領域6Bへのポインタ31の移動操作に対し、通常よりも抗力(操作反力)が弱くなるので、そちらの方向へ操作が促されやすくなる。
【0044】
また、上記実施形態における選択肢画像60はラジオボタンを構成するものであるが、他の態様であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態における操作デバイス2は、2モータタイプの触感提示装置であったが、別のタイプのものでもよい。例えば、図10〜図12に示すような操作デバイス2とすることができる。
【0046】
図10〜図12に示す操作デバイス2は、固定部260と、操作体である可動部200’と、デバイス駆動部20とから構成されている。触覚提示装置111は、例えば、車両のステアリングなどに固定される。デバイス駆動部20は、固定部260に対する可動部200’の位置情報を制御部10に出力するとともに、制御部10からの駆動情報に応じて可動部200’がX−Y平面上で駆動する。
【0047】
固定部260は、フレーム部材290に、磁性材料である磁石26a、26b、26c、26dをX−Y平面上で略円環状に固定した構成とされている。磁石26a、26b、26c、26dは板状をなし、各磁石26a、26b、26c、26dはX−Y平面に直交する方向、矢印Z方向に磁極を有する。また、隣接するマグネットは互いに極性が異なるように配置されている。
【0048】
可動部200’は、回路基板270にホールIC280、及び、コイル27a、27b、27c、27d、デバイス駆動部(ドライブ回路)20を搭載した構成とされている。
【0049】
ホールIC280は、4つのホール素子28a、28b、28c、28dが搭載されている。ホール素子28a、28b、28c、28dは、ドライブ回路144に接続されている。ホール素子28a及びホール素子28cは、例えば、X軸方向に配列されている。ホール素子28b及びホール素子28dは、例えば、Y軸方向に配列されている。
【0050】
デバイス駆動部20は、ホール素子28aの出力とホール素子28cの出力との差分を出力する第一のアンプ(図示なし)と、ホール素子28bの出力とホール素子28dの出力との差分を出力する第二のアンプと、MCU、ドライバIC等で構成されている。第一のアンプの出力は、可動部200’の固定部260に対するX軸方向の位置に応じた信号であり、第二のアンプ151bの出力は、Y軸方向の位置に応じた信号であり、いずれもMPUに入力される。MCUは、それらのアンプから入力された信号に基づいて、固定部260に対する可動部200’の位置情報を作成し、制御部10に出力する一方で、制御部10から受け付ける駆動指示に基づいて、ドライバICに駆動信号を出力する。ドライバICは、MCUからの駆動信号に基づいてコイル27a、27b、27c、27dに駆動電流を供給する。
【0051】
コイル27a、27b、27c、27dは、磁石26a、26b、26c、26dに対向した配置されている。このとき、コイル27aは磁石26aと磁石26bにまたがって配置され、コイル27bは、磁石26bと磁石26cにまたがって配置され、コイル27cは、磁石26cと磁石26dにまたがって配置され、コイル27dは、磁石26dと磁石26aにまたがって配置されている。上記構成により磁石26a、26b、26c、26d及びコイル27a、27b、27c、27dによりX−Y平面上で平行に駆動されるボイスコイルモータが構成される。これにより、操作体である可動部200’はコイル27a、27b、27c、27dに駆動電流を流すことによりX−Y平面上で平行移動し、これにより、当該可動部200’を捜査する操作者に対し、既に述べた実施形態における操作反力と同様の操作反力(抗力や引込力)を付与することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用操作入力装置
10 制御部(表示制御手段)
2 操作デバイス
200 操作ノブ(移動操作部、選択操作部)
21,22 操作量検出部
23 選択入力検出部
24,25 反力発生部(反力付与手段)
3 表示器(表示手段)
30 表示面
31 ポインタ(位置指示画像)
5 車載機器
6 選択領域
6A 選択中の選択領域
6B 非選択中の選択領域
6S 反力切替領域
60 選択肢画像
M 指示位置
Q 引込中心点
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック型やボール型等の操作体を有したポインティングデバイスを用いて電子機器の動作を操作したり、ディスプレイ上において、その操作方向に対応してポインタ(位置指示画像)を移動させたりする操作入力装置、又は操作入力システムがある(特許文献1及び2)。これらは、ユーザーによってその操作部が操作されることにより、その操作方向に対応した座標を電子機器に出力するものである。このような操作部は、車両用のナビゲーション装置等で既に利用されており、操作部の操作によりディスプレイ上に表示される地図上のポインタを移動させて、位置指示、あるいは位置選択を行うことが可能とされている。
【0003】
こうした操作入力装置においては、ユーザーに操作触感を伝達するために、操作ノブに対し、該操作ノブを中立位置に復帰させたり、現在位置に保持させたりするための力(操作反力)を付与する技術がある。さらには、ディスプレイ上に連続隣接配置された操作ボタン画像に対する選択入力操作が容易となるように、ポインタが近接する操作ボタン画像の中心位置にポインタを引き込む引込力(操作反力)を付与する技術もある。後者の場合に想定されている操作ボタン画像は一般的に、一回のクリック毎に所定のアクションを実行させる、いわゆるプッシュボタンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2008−246263号公報
【特許文献2】特開2008−173757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、GUI(Graphical User Interface)のボタンには様々な種類のものがあり、単純にボタン中心への引込力を作用させるだけでは、かえって操作性を損ねてしまうものも存在する。例えば、複数の選択領域の中で択一的に選択するための選択入力操作がなされるラジオボタン等の場合、群をなす複数の選択領域は互いに近接しており、この場合、ユーザーが望まない側の選択領域(例えば既に選択中の選択領域)に向かって、操作ノブが引き込まれてしまう可能性がある。特に、このような選択入力操作をドライバーがブラインド操作の形で行う場合には、こうした引込力の作用に邪魔をされ、かえって望む選択入力操作がし難くなるという状況も考えうる。
【0006】
本発明の課題は、ユーザーの望みに反するような操作ノブへの操作反力が生じないようにし、操作性に優れた選択入力操作が可能となる車両用操作入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用操作入力装置は、
表示手段と、表示手段の表示面上に位置指示画像と2以上の選択領域を有した選択肢画像とを表示させる表示制御手段と、位置指示画像を移動操作するための移動操作部と、選択領域を選択する選択入力操作をするための選択操作部と、選択肢画像内において少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態を選択入力操作に応じて切り替える選択状態切替手段と、を備える車両用操作入力装置であって、
移動操作部に対し操作反力を付与させる反力付与手段と、
表示面上において、選択肢画像に含まれる全選択領域を包含する予め定められた反力切替領域を設定する反力切替領域設定手段と、
反力切替領域内に位置指示画像が進入した場合に、位置指示画像を、選択肢画像における非選択の選択領域へと移動させる移動操作が、選択肢画像における選択中の選択領域へと移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力付与手段の操作反力を制御する反力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記本発明は、選択肢として2以上の選択領域を有する選択肢画像内において、少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態が切り替わる画面表示を前提とするものであり、上記構成によれば、選択肢画像において非選択の選択領域を位置指示するためのポインタ移動操作が容易となる。本発明において前提とされた選択肢画像内においては、選択中の選択領域は既に選択されているため選択入力操作をする必要はなく、非選択の選択領域のみが操作対象となる。このため、操作対象である非選択の選択領域を位置指示するための操作が容易とされることで操作性が増す。さらには操作対象ではない選択中の選択領域に対する誤操作も防止できる。
【0009】
なお、ここでいう操作反力とは、移動操作部への操作に対し付与される抗力(操作方向とは逆向きに付与される力)と推力(操作方向と同じ向きに付与される力)のいずれであってもよい。
【0010】
本発明における反力制御手段は、反力切替領域内に位置指示画像が進入した場合に、反力切替領域内の選択肢画像に含まれる非選択の選択領域に引込中心点を設定する形で、移動操作部を引込中心点に向けて引き込む引込力を付与するように構成することができる。これにより、ある程度の強制力でもって移動操作がアシストされる。即ち、操作者が特に意識しなくとも位置指示画像が非選択の選択領域に引き込まれ、ほぼ自動的に非選択の選択領域が指示された状態となるため、操作者は、その状態で選択入力操作をするだけで選択状態を切り替えることができる。
【0011】
本発明における反力制御手段は、反力切替領域内に位置指示画像が進入したときに反力切替領域内に非選択の選択領域が複数ある場合には、位置指示画像の現在位置に最も近い位置にある非選択の選択領域を特定し、特定された非選択の選択領域に向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、反力付与手段の操作反力を制御するように構成することができる。これにより、最も近い非選択の領域を指示する操作が容易となる。
【0012】
本発明における表示制御手段は、表示面上に、反力切替領域を背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させることができる。反力切替領域が視認できるため、他の領域での移動操作を行う際には反力切替領域を意識しながら操作を行うことができるから、誤って反力切替領域内に位置指示画像を移動させてしまうミスが生じ難くなる。具体的にいえば、本発明における表示制御手段は、選択肢画像を表示面上の背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものであり、選択肢画像の表示領域と反力切替領域とを一致させることができる。表示面上に選択領域のみが表示されても、どれとどれが選択肢としての群をなすものかが分からないため、これらを背景画像と識別できる選択肢画像として表示することで、群をなす選択肢が識別可能となる。そして、この選択肢画像をそのまま反力切替領域として共通に使用すれば、表示を簡略化できる。
【0013】
本発明における表示制御手段は、表示面上に、選択肢画像に含まれる各選択領域を、各々の選択状態が視覚的に識別可能となる形で表示させるように構成することができる。これにより、操作者は、位置指示画像がどの選択領域に引き込まれるかを予測できるから、引き込まれた後の動作を想像する余裕が生まれ、次に行う操作(引き込まれた先での選択入力操作や、さらにそれを超えた先の領域への位置指示画像の移動操作)が迅速に可能となる。
【0014】
本発明における選択状態切替手段は、選択肢画像内において、選択入力操作により選択された選択領域のみが選択中となり、残余の選択領域が非選択中となるように、各選択領域の選択状態を切り替えるように構成することができる。
【0015】
本発明における反力切替領域は、表示面内における外周近傍領域に設定されるように構成することができる。反力切替領域が表示面の中央部に位置すると、反力切替領域内にポインタ等の位置指示画像が進入する確率は高くなる。位置指示画像によって反力切替領域内を指示したい場合には都合がよいかもしれないが、それ以外の位置を指示したい場合には、位置指示画像を、中央部の反力切替領域をあえて避けて移動させなければならなくなり、かえって邪魔になってしまう可能性がある。従って、反力切替領域は、表示面内において中心領域を除いた外周近傍領域に設けられていた方がよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の車両用操作入力装置の一例をなす実施形態の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】図1の車両用入力装置を車室内に配置した時の車室内外観図。
【図3】図1の操作デバイスの構成を概略的に示す断面図。
【図4】本発明の反力制御が適用される画面の表示例。
【図5】図4の画面において、反力切替領域内に指示位置が進入した場合の引込中心点の設定を説明する図。
【図6】反力切替領域内外における操作反力の設定を説明する図。
【図7】操作反力制御(引込制御)の流れを示すフローチャート。
【図8】非選択中の選択領域が複数ある選択肢画像における引込中心点の設定を説明する図。
【図9】図7とは異なる実施形態における操作反力制御(引込制御)の流れを示すフローチャート。
【図10】本発明の実施形態である車両用操作入力装置に適用可能な、図3の操作デバイスとは異なる操作デバイスの外観を概略的に示す斜視図。
【図11】図10の操作デバイスの分解斜視図。
【図12】図10の操作デバイスの構成を概略的に示すブロック図。
【図13】操作デバイスをステアリングホイールに配置した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の車両用操作入力装置の一例をなす実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態である車両用操作入力装置の構成を概略的に示すブロック図である。図1における車両用操作入力装置1は、表示器(表示手段)3と、その表示面30上にポインタ(位置指示画像)31と2以上の選択領域6からなる選択肢画像60とを表示させる制御部(表示制御手段)10とを備える。さらに、車両用操作入力装置1は、表示面30上でポインタ31を移動させる移動操作と選択領域6を選択する選択入力操作とが可能な操作デバイス2を備え、制御部10は、選択肢画像60内において少なくとも1以上の選択領域6が選択中となる形で各選択領域6の選択状態を操作デバイス2になされた選択入力操作に応じて切り替える(選択状態切替手段)。
【0019】
表示器3は、例えば周知の液晶表示装置等を用いることができる。制御部10から出力される表示制御信号に応じて、表示器3の表示面30上に、当該信号に基づく画面表示を実施する。表示面30上には、x軸方向とこれに直交するy軸方向とにより規定された二次元の表示座標系が設定されており、その表示座標系上に、指示位置Mや選択肢画像60の表示領域、さらには選択領域6等が設定される。
【0020】
操作デバイス2は、表示面30上に設定される指示位置Mを操作ノブ200の操作量に応じて移動させるポインティングデバイスとして機能する。具体的にいえば、操作デバイス2は、表示面30上に表示されたポインタ(位置指示画像)31を移動させる移動操作が可能な操作ノブ(移動操作部)200と、操作ノブ200のX方向およびY方向の操作量を検出する操作量検出部(XY操作量検出手段)21,22とを備えて構成される。
【0021】
図3は、操作デバイス2の断面図である。本実施形態の操作デバイス2はスティック状の操作軸部201の先端部に操作ノブ200が取り付けられ、その逆側が収納部204に差し込まれている。操作軸部201の途中には球状部202が形成され、収納部204に設けられている軸受23でこれを支持することにより、操作軸部201が収納部204に対して揺動自在に支承されている。
【0022】
即ち、操作ノブ200は二次元の操作自由度を有し、二次元の可動面内の所定範囲内で自在に動かすことができる。操作ノブ200の二次元可動面は表示面30の二次元座標系と対応関係が予め定められているので、当該二次元可動面内における操作ノブ200の存在位置に応じて、ポインタ31が表示面30上の位置が決まり、操作ノブ200が移動するとこれに応じてポインタ31も表示面30上を移動する。
【0023】
このスティック状の操作ノブ200を有する操作デバイス2は、自身の操作軸線Zの基準角度位置を有しており、操作時においては表示器3の表示面30上にて位置指示すべき方向に対応する方向に該操作軸線Zが基準角度位置から傾斜する。操作反力を発生させる反力発生部(反力付与手段)24,25は、操作部200に対し、操作が許容される方向に沿って力を付加することが可能なアクチュエータであり、収納部204内に設けられる。ここでの反力発生部24,25は、互いに直交するX軸,Y軸に対してそれぞれ設けられたモータであり、操作軸部201に対し図示しないギアを介して接続され、その回転運動を軸線方向(X軸,Y軸)に沿った直線運動に変換して操作軸部201に伝えることで、操作ノブ200に対して力を与える。これらの2つのモータ24,25は、制御部10からの駆動信号に基づき、操作ノブ200になされる移動操作に対し抗力又は推力(これらを総じて操作反力と称し、推力は負の操作反力とみなすものとする)を付加するように動作する。また、これらモータ24,25の回転軸には、X方向およびY方向の操作量(操作変位)及び操作方向を検出する操作量検出部(XY操作量検出手段)21,22をなすロータリエンコーダが連結している。ここでは、操作軸線Zを現在位置に保つための保持力が付与されるように、制御部10が2つのモータ24,25を制御しており、操作ノブ200を操作する際には、操作軸線Zを現在位置に保つ保持力に抗する形での操作となるため、操作者はその抗力を操作反力として受ける。なお、本発明における操作反力とは、上記のような保持力に抗する抗力に限られるものではなく、予め固定的に定められた中立角度位置に操作軸線Zを復帰させるように制御部10が2つのモータ24,25を制御して、操作ノブ200を操作する際にその復帰力に対する抗力やその逆の推力であってもよい。
【0024】
また、操作デバイス2は、操作ノブ200に対し選択領域6への選択入力操作(決定入力操作)が可能な選択操作部としても機能し、その操作による選択入力(決定入力)を検出する選択入力検出部23が制御部10に対し接続する。ここでは図3に示すように、操作ノブ200が操作軸線Z方向に押下操作可能に構成され、押下操作されるに伴い選択入力検出部23をなすタクトスイッチが押下されると、これが選択入力操作として制御部10に出力される。
【0025】
なお、操作デバイス2は、操作に対する抗力や推力が付与されるポインティングデバイスであればよく、操作ノブ200がスティック状のものであってもよいし、トラックボール型やコマンダ型の操作部であってもよい。また、選択入力操作のための選択操作部とポインタ31を移動させる移動操作部とが共通の操作ノブ200として構成されるのではなく、それぞれが別に設けられていてもよい。
【0026】
制御部10は、図示しないCPU,ROM,RAM等を有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMや図示しない外部記憶装置の所定記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行する形で各種の制御を実施する。車載LAN4を介して、他の車載機器5(5A,5B,・・・)の制御部とデータの授受が可能であるし、それら他の制御部の制御対象を駆動制御するための制御信号を送信して、該制御対象を駆動制御する等、各車載機器5の機器機能を使用することもできる。例えば、操作デバイス2から受信する操作情報に基づいて、車載LAN4を介して接続されているナビゲーション装置や、車両空調装置、カーオーディオなどの車載機器5に、対応する制御を実行させることができる。また、操作デバイス2から受信する操作情報に基づいて、表示器3の表示面30に、対応する画面に切り替えることもできる。
【0027】
また、制御部10は、表示器3に対し、背景画像上にポインタ31と、2以上の選択領域6からなる選択肢画像60とを有した所定操作画面を表示させるための表示情報を出力する。当該表示情報には、表示面30上の背景画像6Zや選択肢画像60等、上記所定操作画面を表示するための画像データが含まれるとともに、その他にも、操作デバイス2側から順次入力される操作情報が反映された表示位置データ等が含まれている。そして、上記所定操作画面では、背景画像6Zと選択肢画像60が視覚的に識別可能な画像により表示され、なおかつその選択肢画像60に属する各選択領域6が、各々の選択状態が視覚的に識別可能に切り替わる形で表示される。ここでは、図4に示すように、各選択領域6を有した選択肢画像60が、背景画像6Zに対し重畳表示されるとともに、それら選択用領域6のいずれかに選択中であることを示す選択中表示画像(黒丸画像)6aが重畳表示される。
【0028】
なお、本実施形態における制御部10は、ポインタ31と選択肢画像60とが表示される所定操作画面上に、該選択肢画像60内において少なくとも1以上の選択領域6が選択中となる形で、選択入力操作に応じて、該選択肢画像60内の各選択領域6の選択状態が切り替える(選択状態切替手段)。ここでは、図4(b)及び(c)に示すように、選択肢画像60内の2つの選択領域6において、選択入力操作により選択された選択領域6のみが選択中(6A)となり、残余の選択領域6が非選択中(6B)となるように、選択状態が切り替わる。
【0029】
また、制御部10は、操作ノブ200に対し移動操作がなされると操作デバイス2から移動操作信号の入力を受け、その信号に基づいて、操作ノブ200になされた移動操作の操作量や操作方向等の移動操作情報を算出する。そして、算出された移動操作情報に基づいて、指示位置Mの移動速度・移動先座標を算出し、算出された移動速度・移動先座標に基づく表示制御信号を表示器3に出力して、指示位置Mを指し示すポインタ31を、上記操作画面上で移動させる。
【0030】
また、制御部10は、上記以外にも、操作ノブ200に対し付与される操作反力の制御を実行する。基本的には、操作ノブ200への操作によって操作ノブ200が現在位置からずれるに伴い、操作されている方向に抗する操作反力(粘性反力)が操作ノブ200に対し付与されるだけであるが、本実施形態においては、表示面30上に、表示されている選択肢画像60に含まれる全選択領域6を包含する予め定められた反力切替領域6Sを設定して(反力切替領域設定手段)、当該反力切替領域6S内にポインタ31が進入すると、該ポインタ31を、該選択肢画像60に含まれる非選択の選択領域6Bへと移動させる移動操作が、該選択肢画像60に含まれる選択中の選択領域6Aへと移動させる移動操作よりも容易となるよう、反力発生部(反力付与手段)をなす各モータ24,25を駆動制御する(反力制御手段)。
【0031】
ここでは、図5に示すように、表示面30上において、選択肢画像60の表示領域を、付与される操作反力が残余の領域とは異なる反力切替領域6Sとして設定し、設定された反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合に、該選択肢画像60内の非選択の選択領域6Bの中心点N又はP(図5の場合は中心位置座標N(Xn,Yn))に引込中心点Q(Xq,Yq)を固定的に設定し、当該引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200を引き込み、当該引込中心点Q(Xq,Yq)からの離脱を妨げる引込力(ただし離脱は可能)が生ずるよう各モータ24,25を駆動制御する。これにより、ある程度の強制力でもって移動操作がアシストされる。即ち、操作者が特に意識しなくともポインタ31が非選択の選択領域6Bに強制的に引き込まれ、その非選択の選択領域6Bが指示された状態となる。
【0032】
また、ここでは、操作ノブ200に付与される操作反力の絶対値が、反力切替領域6S内の方が、反力切替領域6S外よりも大きくなるように設定されてもよい。これは、反力切替領域6S外における操作反力が移動操作に対し操作感を与えることを目的とする粘性の反力であるのに対し、反力切替領域6S内における操作反力が、指示位置Mを強制的移動させることを目的とする反力であるからである。なお、反力切替領域6Sの外では、軸線zを現在位置に保持する保持力が作用するので、現在の指示位置がそのまま引込中心点となっているともいえる。
【0033】
本実施形態においては、選択肢画像60の表示領域が、上記反力切替領域6Sと一致しており、背景画像6Zとは視覚的に識別可能な形で表示されている。また、反力切替領域6Sは、表示面30内における外周近傍領域に設定されており、ここでは、図4(a)に示すように、四角形状の表示面30上の角部付近に表示されている。
【0034】
以下、本実施形態における操作反力制御(引込み制御)について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、所定周期にて繰り返し実施される。
【0035】
まずS1において、制御部10は、現在の指示位置Mが反力切替領域(引込みエリア)6S内であるか否かを判定する。具体的には、表示用に自身の所定メモリ内に一次記憶されている、現在の指示位置Mの位置座標(Xm,Ym)と、反力切替領域6SのX方向及びY方向の境界座標(Xn−Xd1,Xn+Xd2),(Yn−Yd1,Yn+Yd2)とを読み出す。ここでの座標情報は画面解像度により与えられており、反力切替領域の境界座標情報は、選択対象「N」の中心点N(Xn,Yn)を基準点とし、これに基づいて算出されている。S1では、読み出した各情報から、以下の(1)及び(2)の式を満足するかを判定し、満足する場合には現在の指示位置Mが反力切替領域6S内であると判定してS2に進み、満足しない場合には現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にないと判定して本処理を終了する。なお、座標情報は画面解像度以外の他の方法で与えられてもよいし、境界座標情報も他の方法で算出されてもよい。
(1)Xn−Xd1<Xm<Xn+Xd2
(2)Yn−Yd1<Ym<Yn+Yd2
【0036】
続くS2では、制御部10が、現在の指示位置が内部にあるとされた反力切替領域6Sにおいて、その内部に2つ存在する選択領域6のうち非選択中の選択領域6Bを特定する。ここでは、選択対象「N」と選択対象「P」の二択であり、いずれか一方の選択領域6が非選択中(6B)、他方が選択中(6A)となっている。これら選択肢画像60に属する各選択領域6の選択状態は、制御部10自身の所定メモリ内に一次記憶されているので、これを読み出す形で判定を行う。
【0037】
S2にて、特定された非選択中の選択領域6(6B)が選択対象「P」であればS4に進み、引込中心点Q(Xq,Yq)を選択対象「P」の中心位置座標P(Xp,Yp)に設定する。他方、特定された非選択中の選択領域6(6B)が選択対象「N」であればS3に進み、引込中心点Q(Xq,Yq)を選択対象「N」の中心位置座標N(Xn,Yn)に設定する。その上でS5にて、設定された引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200が強制的に移動操作されるようなトルクを各モータ24,25に発生させる。そして、本処理を終了する。なお、本実施形態においては、現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にある場合において、制御部10が、現在の指示位置Mの位置座標(Xm,Ym)を、強制的に非選択の選択領域6Bの中心位置座標N又はP(図5(b)の場合は中心位置座標N(Xn,Yn))に設定し、現在の指示位置Mが反力切替領域6S内にある限りは、強制設定された非選択状態の選択領域6Bの中心位置座標N又はPの位置に操作ノブ200を保持するための保持力を各モータ24,25によって付与している。これにより、操作ノブ200が非選択状態の選択領域6Bの中心位置座標N又はPに向けて引き込まれる。
【0038】
なお、本実施形態における操作デバイス2は、図2に示すように、表示器3とは異なる位置に設けられた遠隔操作手段として構成される。ここでは、表示器3の表示面30に設けられるタッチパネルやその周辺に設けられたハードスイッチ等のような主操作部に代わる遠隔操作が可能な遠隔操作部とされており、上記主操作部よりもユーザーの操作負担が小さくなるよう、予め定められた座席により近い位置に配置される。ここでは、図2に示すように、運転席と助手席に座したユーザー(搭乗者)がそれら各座席の背もたれにもたれた着座状態のまま双方のユーザーが操作可能となる位置に設けられた手元操作部とされている。具体的にいえば、操作デバイス2は、車両の左右両座席(ここでは運転席と助手席)の間に挟まれる領域(ここではセンターコンソール)Cに配置されている。他方、表示器3は、操作デバイス2よりも車両前方側のインストルメントパネルIの周辺に表示面(遠方表示面)30を有し、それら双方の座席に座したユーザーから視認可能な形で配置されている。また、操作デバイス2は、図13に示すように、ステアリングホイールSTに設けることもできる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。以下、上記実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、反力切替領域6S内に非選択の選択領域6が1つのみとされていたが、2以上あってもよい。具体的に言えば、図8に示すように、反力切替領域6S内にポインタ31(指示位置M)が進入したときに当該反力切替領域6S内に非選択の選択領域6Bが複数ある場合には、ポインタ31の現在位置Mに最も距離d(d4、d5)が短い位置にある非選択の選択領域6C(6B)を特定し、特定された非選択の選択領域6Cに向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、各モータ24,25を駆動制御することができる。この場合の操作反力制御(引込み制御)は、図9のようにすることができる。
【0041】
まず、S21は、上記図7のS1と同様である。続くS22では、制御部10が、現在の指示位置Mが内部にあるとされた反力切替領域6Sにおいて、その内部に存在する2以上の非選択中の選択領域6Bのうち最も近い位置にある非選択中の選択領域6C(6B)を特定する。ここでは、現在の指示位置の位置座標Mと、非選択中の各選択領域6Bの中心位置座標R4,R5の距離d4、d5をそれぞれ算出・比較し、距離dが短い方の非選択中の選択領域6Cを特定する。そして、S23では、特定された非選択中の選択領域6Cの中心位置座標を引込中心点Q(Xq,Yq)として設定し、S24(図7のS5と同様)にて、設定された引込中心点Q(Xq,Yq)に向けて操作ノブ200が強制的に移動操作されるような引込力を各モータ24,25に発生させる。なお、この処理も所定周期で繰り返し実施されるものとする。
【0042】
また、上記実施形態における反力発生部はモータとされているが、他の手段により反力を発生させる構成でも当然よい。
【0043】
また、上記実施形態においては、反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合に、該ポインタ31を非選択中の選択領域6Bへと強制的に移動させる引込力を発生させているが、少なくとも非選択中の選択領域6Bへポインタ31を移動させる移動操作が、選択中の選択領域6Aへポインタ31を移動させる移動操作よりも容易になればよい。例えば、操作ノブ200を移動させる方向とは逆向きに付与される抗力(操作反力)の大きさを、反力切替領域6S内にポインタ31の指示位置Mが進入した場合には、少なくとも非選択中の選択領域6Bへポインタ31を移動させる移動操作の方が、選択中の選択領域6Aへポインタ31を移動させる移動操作よりも小さくするだけでもよい。この場合、非選択中の選択領域6Bへのポインタ31の移動操作に対し、通常よりも抗力(操作反力)が弱くなるので、そちらの方向へ操作が促されやすくなる。
【0044】
また、上記実施形態における選択肢画像60はラジオボタンを構成するものであるが、他の態様であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態における操作デバイス2は、2モータタイプの触感提示装置であったが、別のタイプのものでもよい。例えば、図10〜図12に示すような操作デバイス2とすることができる。
【0046】
図10〜図12に示す操作デバイス2は、固定部260と、操作体である可動部200’と、デバイス駆動部20とから構成されている。触覚提示装置111は、例えば、車両のステアリングなどに固定される。デバイス駆動部20は、固定部260に対する可動部200’の位置情報を制御部10に出力するとともに、制御部10からの駆動情報に応じて可動部200’がX−Y平面上で駆動する。
【0047】
固定部260は、フレーム部材290に、磁性材料である磁石26a、26b、26c、26dをX−Y平面上で略円環状に固定した構成とされている。磁石26a、26b、26c、26dは板状をなし、各磁石26a、26b、26c、26dはX−Y平面に直交する方向、矢印Z方向に磁極を有する。また、隣接するマグネットは互いに極性が異なるように配置されている。
【0048】
可動部200’は、回路基板270にホールIC280、及び、コイル27a、27b、27c、27d、デバイス駆動部(ドライブ回路)20を搭載した構成とされている。
【0049】
ホールIC280は、4つのホール素子28a、28b、28c、28dが搭載されている。ホール素子28a、28b、28c、28dは、ドライブ回路144に接続されている。ホール素子28a及びホール素子28cは、例えば、X軸方向に配列されている。ホール素子28b及びホール素子28dは、例えば、Y軸方向に配列されている。
【0050】
デバイス駆動部20は、ホール素子28aの出力とホール素子28cの出力との差分を出力する第一のアンプ(図示なし)と、ホール素子28bの出力とホール素子28dの出力との差分を出力する第二のアンプと、MCU、ドライバIC等で構成されている。第一のアンプの出力は、可動部200’の固定部260に対するX軸方向の位置に応じた信号であり、第二のアンプ151bの出力は、Y軸方向の位置に応じた信号であり、いずれもMPUに入力される。MCUは、それらのアンプから入力された信号に基づいて、固定部260に対する可動部200’の位置情報を作成し、制御部10に出力する一方で、制御部10から受け付ける駆動指示に基づいて、ドライバICに駆動信号を出力する。ドライバICは、MCUからの駆動信号に基づいてコイル27a、27b、27c、27dに駆動電流を供給する。
【0051】
コイル27a、27b、27c、27dは、磁石26a、26b、26c、26dに対向した配置されている。このとき、コイル27aは磁石26aと磁石26bにまたがって配置され、コイル27bは、磁石26bと磁石26cにまたがって配置され、コイル27cは、磁石26cと磁石26dにまたがって配置され、コイル27dは、磁石26dと磁石26aにまたがって配置されている。上記構成により磁石26a、26b、26c、26d及びコイル27a、27b、27c、27dによりX−Y平面上で平行に駆動されるボイスコイルモータが構成される。これにより、操作体である可動部200’はコイル27a、27b、27c、27dに駆動電流を流すことによりX−Y平面上で平行移動し、これにより、当該可動部200’を捜査する操作者に対し、既に述べた実施形態における操作反力と同様の操作反力(抗力や引込力)を付与することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用操作入力装置
10 制御部(表示制御手段)
2 操作デバイス
200 操作ノブ(移動操作部、選択操作部)
21,22 操作量検出部
23 選択入力検出部
24,25 反力発生部(反力付与手段)
3 表示器(表示手段)
30 表示面
31 ポインタ(位置指示画像)
5 車載機器
6 選択領域
6A 選択中の選択領域
6B 非選択中の選択領域
6S 反力切替領域
60 選択肢画像
M 指示位置
Q 引込中心点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、前記表示手段の表示面上に位置指示画像と2以上の選択領域を有した選択肢画像とを表示させる表示制御手段と、前記位置指示画像を移動操作するための移動操作部と、前記選択領域を選択する選択入力操作をするための選択操作部と、前記選択肢画像内において少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態を前記選択入力操作に応じて切り替える選択状態切替手段と、を備える車両用操作入力装置であって、
前記移動操作部に対し操作反力を付与させる反力付与手段と、
前記表示面上において、前記選択肢画像の全選択領域を包含する予め定められた反力切替領域を設定する反力切替領域設定手段と、
前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入した場合に、前記位置指示画像を、前記選択肢画像の非選択の選択領域へと移動させる前記移動操作が、前記選択肢画像の選択中の選択領域へと移動させる前記移動操作よりも容易となるよう、前記反力付与手段の操作反力を制御する反力制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項2】
前記反力制御手段は、前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入した場合に、前記反力切替領域に包含される選択肢画像の非選択の選択領域に引込中心点を設定する形で、前記移動操作部に対し前記引込中心点に向けて引き込む引込力を付与するものである請求項1記載の車両用操作入力装置。
【請求項3】
前記反力制御手段は、前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入したときに前記反力切替領域内に非選択の前記選択領域が複数ある場合には、前記位置指示画像の現在位置に最も近い位置にある非選択の選択領域を特定し、特定された非選択の選択領域に向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、前記反力付与手段の操作反力を制御するものである請求項1又は請求項2に記載の車両用操作入力装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示面上に、前記反力切替領域を背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記選択肢画像を前記表示面上の背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものであり、前記選択肢画像の表示領域と前記反力切替領域とが一致している請求項4に記載の車両用操作入力装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示面上に、前記選択肢画像に含まれる各選択領域を、各々の選択状態が視覚的に識別可能となる形で表示させるものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項7】
前記選択状態切替手段は、前記選択肢画像内において、前記選択入力操作により選択された選択領域のみが選択中となり、残余の選択領域が非選択中となるように、各選択領域の選択状態を切り替えるものである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項8】
前記反力切替領域は、前記表示面内における外周近傍領域に設定される請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項1】
表示手段と、前記表示手段の表示面上に位置指示画像と2以上の選択領域を有した選択肢画像とを表示させる表示制御手段と、前記位置指示画像を移動操作するための移動操作部と、前記選択領域を選択する選択入力操作をするための選択操作部と、前記選択肢画像内において少なくとも1以上の選択領域が選択中とされる形で各選択領域の選択状態を前記選択入力操作に応じて切り替える選択状態切替手段と、を備える車両用操作入力装置であって、
前記移動操作部に対し操作反力を付与させる反力付与手段と、
前記表示面上において、前記選択肢画像の全選択領域を包含する予め定められた反力切替領域を設定する反力切替領域設定手段と、
前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入した場合に、前記位置指示画像を、前記選択肢画像の非選択の選択領域へと移動させる前記移動操作が、前記選択肢画像の選択中の選択領域へと移動させる前記移動操作よりも容易となるよう、前記反力付与手段の操作反力を制御する反力制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項2】
前記反力制御手段は、前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入した場合に、前記反力切替領域に包含される選択肢画像の非選択の選択領域に引込中心点を設定する形で、前記移動操作部に対し前記引込中心点に向けて引き込む引込力を付与するものである請求項1記載の車両用操作入力装置。
【請求項3】
前記反力制御手段は、前記反力切替領域内に前記位置指示画像が進入したときに前記反力切替領域内に非選択の前記選択領域が複数ある場合には、前記位置指示画像の現在位置に最も近い位置にある非選択の選択領域を特定し、特定された非選択の選択領域に向かう方向に移動させる移動操作が、残余の方向に向かう移動操作よりも容易となるよう、前記反力付与手段の操作反力を制御するものである請求項1又は請求項2に記載の車両用操作入力装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示面上に、前記反力切替領域を背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記選択肢画像を前記表示面上の背景画像とは視覚的に識別可能な形で表示させるものであり、前記選択肢画像の表示領域と前記反力切替領域とが一致している請求項4に記載の車両用操作入力装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示面上に、前記選択肢画像に含まれる各選択領域を、各々の選択状態が視覚的に識別可能となる形で表示させるものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項7】
前記選択状態切替手段は、前記選択肢画像内において、前記選択入力操作により選択された選択領域のみが選択中となり、残余の選択領域が非選択中となるように、各選択領域の選択状態を切り替えるものである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【請求項8】
前記反力切替領域は、前記表示面内における外周近傍領域に設定される請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−232958(P2011−232958A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102636(P2010−102636)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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