説明

車両用画像制御装置

【課題】終了信号(シャット信号)SY1を、制御回路6の専用線以外を用いて、画像表示器1に供給することを目的とする。
【解決手段】画像表示器1の表示終了を指示する終了信号SY1の発生から画像表示器1の電力オフまでの間に、待ち時間Twが要求されるものにおいて、画像表示器1の表示終了時に、ハイ状態からロー状態に切り替わる切替り信号である照明制御信号LS1または運転信号(IG信号)20を信号反転させて終了信号SY1を生成し、画像表示器1に終了信号SY1を供給する反転回路10を有する。画像表示器1の照明回路7には、画像表示器1の表示終了に伴って制御回路6から上記照明制御信号LS1が供給される。反転回路10の電力は電源回路8から供給されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用画像制御装置に関するものである。特に、車室内に設置された画像表示器の制御において、終了信号(シャット信号とも言う)が必要な車両用画像制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示器を表示状態から非表示状態にしても画像表示器への電力(画像表示器電力)をすぐにオフにしないで、その間に必要な制御(オフシーケンス制御と言う)を実行するための、上記シャット信号を用いた画像表示器として、特許文献1に記載のTFT(Thin Film Transistor)を配置したアクティブマトリクス型液晶表示器が知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載のものとして、アクティブマトリクス型液晶表示器が知られている。この技術も同様にシャット信号を必要としており、一つのアクティブマトリクス型液晶表示装置でテレビ画面、または、カーナビゲーション画面を見るというように画面を切替えている。
【0004】
更に、特許文献3に記載のアクティブマトリクス型液晶表示器が知られている。この技術も同様にシャット信号を必要としており、画像表示器の駆動回路の耐久性を向上することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−40992号公報
【特許文献2】特開2003−44013号公報
【特許文献3】特開2002−280882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなTFTを配置した画像表示器を使用した車両用メータ内の画像表示器においては、例えば警告表示や積算走行距離計の表示を停止することが、車両から降車する前に行なわれる。この表示停止に当たって、いきなり画像表示器の電力を切らず、まずシャット信号を送信し、しばらくしてから電力を切り、上記オフシーケンス制御を実行する必要がある。
【0007】
このために、専門メーカから調達した画像表示器を成す液晶表示器に対して、車両電装品メーカ側にて、上記シャット信号を提供しなければならない。車両メータ内あるいはメータ外に置かれたこの種の画像表示器には、その他にも、ナビゲーションシステムや、空調制御装置、ラジオなどにも使用されており、シャット信号を供給する必要がある。
【0008】
発明者は、本発明の開発過程において、上述した特許文献1ないし3の技術に基づいて、画像表示器の要求仕様によって、表示終了時のオフシーケンス制御が必要な図8のような車両用画像制御装置を案出した。
【0009】
つまり、図8は、上記従来技術の考え方を用いて専用のシャット信号をマイクロプロセッサユニット(MPU)から成る制御回路で作り、画像表示器である液晶表示器(LCD)のモジュール(LCDモジュール)に供給している状態を示す本発明開発過程での車両用画像制御装置における電気回路図である。また、図9は図8の電気回路図に対応する電力及びシャット信号のタイミングチャートである。
【0010】
図8において、車両に搭載されたバッテリ12から直接的に電源回路(LCD電源回路)8に電力+Bからの電力が供給されている。また、車両を運転する運転スイッチ(キースイッチ、またはイグニッションスイッチとも呼ばれる)14がオンされたときに電力が供給される運転信号20がLCD電力回路8に供給されている。
【0011】
そして、LCD電力回路8から画像表示器(LCDモジュール)1に画像表示器電力PS1が供給されている。また、この場合、メータ用MPUを成す制御回路6から画像表示器1に専用のシャット信号SY1が供給される。13、15は第1、第2ダイオード、PBはプリント基板、Y2は画像表示器制御信号、Y3はオンオフ制御信号である。
【0012】
オフシーケンス制御は、図9に示すように画像表示器1の表示終了(LCD表示オン終了)後から画像表示器電力オフの間に、シャット信号SY1をアクティブにし、それに基づき画像表示器1内部の図示しないシステムドライバがオフ制御を開始するものである。
【0013】
図9ではLCD表示をオフにするタイミングから、通常は多少の遅れ時間T0を経て、シャット信号SY1が立ち上がる。なお、遅れ時間T0は特に必要なものではない。
【0014】
このシャット信号SY1が立ち上がってから、予め決定された待ち時間Twの間は、画像表示器1のメーカによって、画像表示器電力回路(LCD電力回路)8からの画像表示器電力PS1をオフしないように要求されている。
【0015】
つまり、待ち時間Tw(Wait時間)の後に、画像表示器電力回路8をオフすることが求められている。このように、LCD表示を行なわない表示オフ状態になっても、しばらくはLCD電力回路8から画像表示器電力PS1を供給し続け、必要なオフシーケンス処理を実行しなければならない。LCD電力回路8がオフされた後は、シャット信号SY1は、オンしていようがオフしていようがどちらでもかまわないD.C.(ドントケアー)状態として制御される。
【0016】
図8及び図9に示す構成では、シャット信号SY1は、システムを制御する電装品メーカが用意した、内部にマイクロプロセッサユニットを有した制御回路(MPUとも呼ばれる)6からの専用線で供給している。
【0017】
すなわち、制御回路6内にシャット信号SY1を作るためのソフトウェア及びハードウェアを用意し、シャット信号SY1が出力されるピン端子を用意している。このピン端子からプリント基板PB内の配線及びフレキシブル配線を介して画像表示器1にシャット信号SY1を供給する必要があった。従って、制御回路6のピン端子等のリソースを1つ割り当てる必要があった。
【0018】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、終了信号(シャット信号とも言う)を制御回路からの専用線以外を用いて画像表示器に供給することができる車両用画像制御装置を提供することを目的とする。
【0019】
そのために車両においては、運転スイッチを切り、画像表示器での例えば警告表示や積算走行距離計の表示を全面的に停止することが、車両から乗員が降車する前に行なわれる点、または、車両においては車室内が比較的暗く、画像表示器を見るときにバックライト等の照明を点灯して画像表示器の画像を見ることが通常であり、画像を見ないときはバックライト等の照明がオフされる点に発明者は着目した。
【0020】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、画像表示器の表示終了を指示する終了信号の発生から画像表示器への電力の供給停止までの間に待ち時間が要求される車両用画像制御装置において、画像表示器の画像表示を制御する制御回路、制御回路により制御されて画像表示器に電力を供給する電源回路、及び画像表示器の表示終了時にアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替わる切替り信号を、制御回路の外部にて、信号反転させて終了信号を生成し画像表示器に終了信号を供給する反転回路を有することを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、画像表示器の表示終了時にアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替わる切替り信号を、制御回路の外部にて、信号反転させて終了信号を生成し、画像表示器に終了信号を供給する反転回路を有するから、従来のように制御回路から直接、画像表示器に終了信号を供給する必要が無く、制御回路の専用の出力端子等のデバイスを省略することができる。代わりに、反転回路が必要となるが、このような反転回路は、容易に実装可能であり、混み合った制御回路の専用の出力端子を省略できる効果が大きい。
【0023】
請求項2に記載の発明では、画像表示器は照明回路を有し、該照明回路は、画像表示器の表示終了に伴って制御回路から照明制御信号が供給され、切替り信号は照明制御信号からなることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、照明制御信号が入力されて、該照明制御信号を信号反転させて終了信号を生成し、画像表示器に終了信号を供給する反転回路を有するから、従来のように制御回路から直接的に画像表示器に終了信号を供給する必要が無く、制御回路において専用の出力端子等のデバイスを省略することができる。代わりに、照明制御信号が入力される反転回路が必要となるが、このような反転回路は、容易に実装可能であり、混み合った制御回路の専用の出力端子を省略できる効果が大きい。
【0025】
請求項3に記載の発明では、反転回路の電力が、待ち時間経過後に電力供給を停止する電源回路から供給されていることを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、反転回路の電力が電源回路から供給されているから、電源回路が電力の供給を停止した後は、反転回路が電力を無駄に消費することが無くなる。
【0027】
請求項4に記載の発明では、画像表示器の表示の停止に伴って、照明制御信号がアクティブ状態であるハイ信号状態から非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わり、終了信号が逆に非アクティブ状態であるロー信号状態からアクティブ状態であるハイ信号状態に切り替わることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、画像表示器の表示の停止に伴って照明制御信号がアクティブ状態であるハイ信号状態から非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わる。このようにアクティブ状態でハイ信号となるアクティブハイの状態では、ハイ信号を維持するための反転回路の電力が大きくなるが、反転回路の電力が、待ち時間経過後に電力供給を停止する電源回路から供給されているため、電源回路が電力の供給を停止した後は、反転回路が電力を消費しない効果が大きい。
【0029】
請求項5に記載の発明では、更に、オン操作により画像表示器の表示を開始し、オフ操作以後に画像表示器の表示を終了する車両の運転スイッチを有し、切替り信号は、運転スイッチからの信号からなることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、運転スイッチからの信号を信号反転させて終了信号を生成し画像表示器に終了信号を供給する反転回路を有するから、従来のように制御回路から直接的に画像表示器に終了信号を供給する必要が無く、制御回路の専用の出力端子等のデバイスを省略することができる。代わりに、運転スイッチからの信号を反転する反転回路が必要となるが、このような回路は容易に実装可能であり、混み合った制御回路の専用の出力端子を省略できる効果が大きい。
【0031】
請求項6に記載の発明では、反転回路の電力が、待ち時間経過後に電力供給を停止する電源回路から供給されていることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、反転回路の電力が電源回路から供給されているから、電源回路が電力の供給を停止した後は、反転回路が電力を無駄に消費することが無くなる。
【0033】
請求項7に記載の発明では、画像表示器の表示の停止時に、運転スイッチからの信号がアクティブ状態であるハイ信号状態から非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わり、終了信号が逆に非アクティブ状態であるロー信号状態からアクティブ状態であるハイ信号状態に切り替わることを特徴としている。
【0034】
この発明によれば、画像表示器の表示の停止時に、運転スイッチからの信号がアクティブ状態であるハイ信号状態から非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わる。このようにアクティブ状態ではハイ信号となるアクティブハイの状態では、ハイ信号を維持するための反転回路の電力が大きくなるが、反転回路の電力が、待ち時間経過後に電力供給を停止する電源回路から供給されているため、電源回路が電力の供給を停止した後は、反転回路が電力を消費しない効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用画像制御装置における電力及びシャット信号供給状態を模式的に示す電気回路図である。
【図2】図1の画像表示器の模式的構成図である。
【図3】図1の電気回路図に対応する電力及びシャット信号等のタイミングチャートである。
【図4】図1の電気回路を、車両からの他の信号が図示されるように書き直した全体電気回路図である。
【図5】図1の画像表示器の画像表示例を示す表示画像図である。
【図6】本発明の第2実施形態を構成する車両用画像制御装置における電力及びシャット信号供給状態を模式的に示す電気回路図である。
【図7】図6の電気回路図に対応する電力及びシャット信号等のタイミングチャートである。
【図8】従来技術の考え方を用いて構成した本発明開発過程(非公知)での車両用画像制御装置における電力及びシャット信号供給状態を模式的に示す電気回路図である。
【図9】図8の電気回路図に対応する電力及びシャット信号等のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0037】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1ないし図5を用いて詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態を構成する車両用画像制御装置における電力及びシャット信号供給状態を模式的に示す電気回路図である。
【0039】
図2は図1の画像表示器の模式的構成図である。また、図3は図1の電気回路図に対応する電力及びシャット信号等のタイミングチャートである。図4は図1の電気回路を車両からの他の信号が図示されるように一部を書き直した全体電気回路図である。また、図5は図1の画像表示器の画像表示例を示す表示画像図である。
【0040】
この第1実施形態は、画像表示器の表示オフ時に状態が変化する信号を反転してシャット信号として代用するものであり、表示オフ時に状態が変化する信号として画像表示器を構成する液晶表示器(LCDモジュールとも呼ばれる)の照明制御信号を利用している。つまり照明制御信号がある場合に、照明制御信号を利用してシャット信号を生成するものである。
【0041】
図1及び図2において、車両用の画像表示器1を構成する特にアクティブマトリクス型液晶表示器は、図2の画像アレイ部2を有し、該画像アレイ部2には複数の信号線S1と複数の走査線G1が互いに交差するように配線されている。なお、図2では夫々一本のみの信号線S1と走査線G1のみを図示して他は省略している。
【0042】
これら信号線S1と走査線G1の交差部3には、スイッチング素子としての図示しない画素トランジスタが配設されている。また、信号線駆動回路4を有し、この信号線駆動回路4は、後述する外部駆動回路を含む制御回路6(メータ用マイクロプロセッサユニット、またはメータ用MPUとも呼ばれる)から供給される各種タイミング信号に従って、対応する信号線S1に映像信号を順次供給する。
【0043】
また、走査線駆動回路5を有し、この走査線駆動回路5は、複数の回路部で構成され、上記外部駆動回路を含む制御回路6から供給される各種タイミング信号に従って、走査線G1に走査信号を順次出力する。
【0044】
上記外部駆動回路を含む制御回路6から信号線駆動回路4には、水平スタート信号、水平クロック信号を供給し、走査線駆動回路5には垂直スタート信号、垂直クロック信号、表示モード切替信号を供給している。
【0045】
これらの信号は、図1及び図2において太い矢印Y2で示している。また、信号線駆動回路4には、後述するシャット信号SY1も供給されている。また、映像信号は、上述の外部駆動回路を経由して(又は経由せずに)、矢印Y2内のビデオバスにより信号線駆動回路4に供給されている。
【0046】
図1及び図2において、画像表示器1は照明回路7、及び図示しないバックライトが設けられ、制御回路6(MPU)からの照明制御信号LS1によってバックライトを点灯したり消灯したりしている。
【0047】
バックライトを点灯するのは、タイミング的には、図3のように、画像表示器1を画像表示状態(LCD表示オン)にすることに対応する。また、バックライトを消灯するのは画像表示器1を画像非表示状態(LCD表示オフ)にすることに対応する。
【0048】
図1において、車載のバッテリ12から第1ダイオード13を介して直接的に、あるいはイグニッションスイッチまたはキースイッチとも呼ばれることのある運転スイッチ14と第2ダイオード15を介してバッテリ12の電力線+B及び運転信号(IG信号)20が画像表示器電力回路(LCD電力回路とも言う)8に供給されている。
【0049】
画像表示器電力回路8は、制御回路6からの矢印Y3で示すオンオフ制御信号により電源オンと電源オフとが制御され、画像表示器電力PS1を画像表示器1に提供している。
【0050】
第1、第2ダイオード13、15と、画像表示器電力回路8と、制御回路6と、ロジックIC回路等からなる反転回路10(論理反転回路、論理否定回路またはNOT回路とも呼ばれる)は、プリント基板(コントローラとも総称される)PB内に実装されている。
【0051】
反転回路10は、画像表示器電力回路(LCD電力回路)8から矢印Y1に示すように電力が供給されている。反転回路10は、ロー信号「0」が入力されればハイ信号「1」を、「1」が入力されれば「0」を出力する。
【0052】
図3において、画像表示器1が画像表示状態(LCD表示オン)の状態からLCD表示オフの状態に移行するときに、バックライトを消灯させるために照明制御信号LS1がオフする。すなわち、ハイ信号からロー信号に切替る。
【0053】
照明制御信号LS1を図1の反転回路10が受けて、反転回路10の出力としてシャット信号SY1が生成され、図示しないフレキシブル配線を介して画像表示器1にシャット信号SY1が供給される。
【0054】
これにより、画像表示器1内では、ロー信号状態からアクティブ状態であるハイ信号状態に切り替わるシャット信号SY1(終了信号)によって、画像表示に必要な信号を論理回路で無効にする等の処理を行なうことが出来る。また、画像表示器1内では必要なオフシーケンス処理がなされる。
【0055】
このオフシーケンス処理がなされる間は、つまり、画像表示器1のメーカからLCD要求仕様により指定された図3の待ち時間Twの間は、画像表示器電力回路8が落ちないよう(電力供給が停止されないよう)に制御されている。
【0056】
画像表示器電力回路8が落ちて、画像表示器電力PS1がなくなると、図1の反転回路10にも矢印Y1のように電力が供給されなくなり、シャット信号SY1も無くなり、無駄にシャット信号SY1が出力され続けることが無い。また、制御回路6は、シャット信号SY1を取り出す専用配線ピンを必要としない。
【0057】
図4及び図5において、画像表示器1を成す液晶表示器の表示画面上には、自動車の走行速度を指示するスピードメータS、エンジンの回転速度を指示するタコメータT、エンジン冷却水温度を指示する水温計W、燃料タンク内の残存燃料量を指示するフューエルメータF等が形成されている。
【0058】
さらに、画像表示器1の表示画面上には、自動車各部の状態が運転者に注意を促すべき状態であることが検出されたときに、それを運転者に知らせるための各種警告表示画像が形成されている。
【0059】
例えば、自動車が備える乗降用ドアが開状態であることを知らせるための、ドアインジケータD、ライトコントロールスイッチがアッパービームポジションに切替えられていることを指示するアッパービームインジケータH等が表示される。
【0060】
図5においては、分り易さのために、スピードメータS、タコメータT、水温計W、フューエルメータF、ドアインジケータD、アッパービームインジケータHをすべて描画しているが、実際は、スピードメータS、タコメータT、水温計W、フューエルメータFは、図1の運転スイッチ(イグニッションスイッチ)14がオン状態のときのみに表示される。
【0061】
また、ドアインジケータDとアッパービームインジケータHは、それぞれの条件が成立しているときのみ表示される。
【0062】
この場合、画像表示器1上には警告画像としてのドアインンジケータDが形成されるとともに、照明回路7によりバックライトが点灯される。それによりドアインジケータDが発光表示される。
【0063】
画像表示器1は、その背後に配置された光源であるバックライトにより透過照明されて発光表示される。バックライトは、詳しくは、供給された電力を光に変換する発光ダイオード(図示せず)と発光ダイオードが発する光を、画像表示器1の全域を均一な明るさで照射するように、画像表示器1の背面に導く導光体(図示せず)とから構成されている。
【0064】
導光体は、透光性材質、たとえば、無色透明のアクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂等から形成されている。バックライトが画像表示器1の全域を均一且つ十分な明るさで透過照明するために、発光ダイオードは複数個用いられている。
【0065】
上述したドアインジケータDの警告表示は、自動車のドアの開閉状態を検出する検出手段であるドアスイッチ43a〜43e(図4)から発せられる検出信号に基づいて行われている。ドアスイッチ43a〜43eとしては、たとえば単純な押しボタンスイッチが用いられている。
【0066】
ドアスイッチ43a〜43eは、自動車が備えるすべての乗降用ドアに対して個別に装着されている。また、自動車によっては、乗降用ドアに加えて荷物用ドアを備えるものがある。この荷物ドアに対してもドアスイッチ43eが装着されている。
【0067】
コントローラを成すプリント基板PBは、図4に示すように、常時バッテリ12に接続されている。また、プリント基板PBは、運転スイッチ14からの信号線が、運転スイッチ14のオン/オフを検知可能なように接続されている。
【0068】
また、プリント基板PBへは、自動車の走行速度を検出する車速センサ45、エンジンの回転速度を検出する回転センサ46、エンジン冷却水温度を検出する温度センサ47、燃料タンク内の残存燃料量を検出する液面センサ48、前照灯がアッパービームで点灯中であることを検出するためのライトコントロールスイッチ49等が、それぞれの検出信号を入力可能に接続されている。
【0069】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0070】
この第2実施形態は、表示オフ時に状態が変化する信号を反転してシャット信号として代用するものであり、表示オフ時に状態が変化する信号として車両の運転信号つまりキースイッチ信号を反転してシャット信号として代用している。
【0071】
図6は、本発明の第2実施形態を構成する車両用画像制御装置における電力及びシャット信号供給状態を模式的に示す電気回路図である。図7は図6の電気回路図に対応する電力及びシャット信号等のタイミングチャートである。
【0072】
内燃機関の駆動力で走行する車両の場合には、運転スイッチとして通常はイグニッションスイッチ(以下IGスイッチともいう)が知られている。図6のように、車両の運転スイッチ14のオフで、図7のようにLCD表示をオフするような仕様の場合は、運転スイッチ14からの運転信号(IG信号)20を、プリント基板PB上に実装されたロジックIC回路等から成る反転回路10で論理反転しシャット信号SY1として用いれば、運転スイッチ14オフ時(IG信号オフ時)に自動的にシャット信号SY1がアクティブになる。
【0073】
図6のように、反転回路10には、画像表示器電力回路8から矢印Y1のように電力が供給されており、運転スイッチ14からの運転信号20を論理反転してシャット信号SY1を形成している。反転回路10は、シャット信号SY1を生成するのみならず、電圧レベルを画像表示器(LCDモジュール)1の要求に適合させるバッファ機能も備えている。
【0074】
図7に示すように、車両の乗員が降車時等において、運転スイッチ14をオフし、運転信号20がオフすると、シャット信号SY1が立ち上がる。これによって、画像表示器1内では必要なオフシーケンス処理がなされる。
【0075】
このオフシーケンス処理の間(待ち時間Twの間)は、画像表示器1に対する電力(LCD電力とも言う画像表示器電力PS1)がオフしないようにすることが、画像表示器1のメーカからのLCD要求仕様に定められている。従って、待ち時間Twの間は、画像表示器電力回路8からの画像表示器電力PS1の電圧が落ちないように(電力オフとならないように)制御されている。
【0076】
画像表示器電力回路8がオフ状態となり、LCD電力PS1がなくなると、反転回路10にも電力が供給されなくなり、シャット信号SY1も無くなる。このようにすれば、制御回路(MPU)6は、シャット信号SY1を取り出す専用配線ピンを必要としない。
【0077】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の実施形態では、画像表示器として、TFT液晶を使用した液晶表示器(LCD)を使用したが、その他の表示デバイスを用いた表示装置においても、表示オフ時におけるオフシーケンス処理のために、シャット信号が必要な画像表示器であるならば、本発明を適応することができる。また、メータ用表示装置を例に説明したが、車両内の空調制御装置、ナビゲーション装置等、その他の車両用画像制御装置にも使用できることは勿論である。
【0078】
また、待ち時間Twは、画像表示器のメーカの仕様時間と一致させる必要は無い。仕様時間以上の長さの待ち時間Twが設定されればよい。また、シャット信号が出た場合に、必ず画像表示器オフ(LCD表示オフ)とする必要は無い。緊急時等において、しばらくシャット信号をブロックしても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、画像表示器の表示停止時にシャット信号がハイ信号となってアクティブとなるアクティブハイの例を示したが、画像表示器の仕様によっては、画像表示器の表示停止時にシャット信号がロー信号となってアクティブとなるアクティブローであっても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 画像表示器
2 画像アレイ部
4 信号線駆動回路
5 走査線駆動回路
6 制御回路
7 照明回路
8 画像表示器電力回路(LCD電力回路)
10 反転回路
12 バッテリ
14 運転スイッチ
20 運転信号
G1 走査線
LS1 照明制御信号
S1 信号線
SY1 表示終了を指示する終了信号(シャット信号)
Tw 待ち時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示器の表示終了を指示する終了信号の発生から画像表示器への電力の供給停止までの間に待ち時間が要求される車両用画像制御装置において、
前記画像表示器の画像表示を制御する制御回路、
前記制御回路により制御されて前記画像表示器に電力を供給する電源回路、及び
前記画像表示器の表示終了時にアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替わる切替り信号を、前記制御回路の外部にて、信号反転させて前記終了信号を生成し前記画像表示器に前記終了信号を供給する反転回路を有することを特徴とする車両用画像制御装置。
【請求項2】
前記画像表示器は照明回路を有し、該照明回路は、前記画像表示器の表示終了に伴って前記制御回路から照明制御信号が供給され、
前記切替り信号は照明制御信号からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用画像制御装置。
【請求項3】
前記反転回路の電力が、前記待ち時間経過後に電力供給を停止する前記電源回路から供給されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用画像制御装置。
【請求項4】
前記画像表示器の表示の停止に伴って、前記照明制御信号が前記アクティブ状態であるハイ信号状態から前記非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わり、前記終了信号が逆に前記非アクティブ状態である前記ロー信号状態から前記アクティブ状態である前記ハイ信号状態に切り替わることを特徴とする請求項3に記載の車両用画像制御装置。
【請求項5】
更に、オン操作により前記画像表示器の表示を開始し、オフ操作以後に前記画像表示器の表示を終了する車両の運転スイッチを有し、
前記切替り信号は、前記運転スイッチからの信号からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用画像制御装置。
【請求項6】
前記反転回路の電力が、前記待ち時間経過後に電力供給を停止する前記電源回路から供給されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用画像制御装置。
【請求項7】
前記画像表示器の表示の停止時に、前記運転スイッチからの信号が前記アクティブ状態であるハイ信号状態から前記非アクティブ状態であるロー信号状態に切り替わり、前記終了信号が逆に前記非アクティブ状態である前記ロー信号状態から前記アクティブ状態である前記ハイ信号状態に切り替わることを特徴とする請求項6に記載の車両用画像制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−71672(P2012−71672A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217516(P2010−217516)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】