説明

車両用表示装置

【課題】情報の更新がどの詳細情報表示器105A、105Bで行われたかを容易に判断する。
【解決手段】車両用表示装置は、運転者の前方に配置された複数の詳細情報表示器105A及び105Bと、運転者の前方に配置された、複数の詳細情報表示器105A及び105Bへの注意を喚起する報知用表示器104Aと、報知用表示器104Aを制御する制御部とを備える。報知用表示器104Aは、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して発光を制御する発光制御機構を備える。制御部は、情報の更新が行われた詳細情報表示器105A又は105Bへの注意を喚起するように、報知用表示器104Aを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報表示器を用いて車両の運転者へ情報を提示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に提示する情報種類の増加に伴い、複数の情報表示器を運転者の前方に配置し、情報の種類に応じて情報表示器を選択して表示させるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、複数の情報表示器として、ダッシュボードの運転者の正面位置に設置した情報表示器(インストルメント・パネル)、センターコンソールに配置された情報表示器、フロントガラスに虚像にて情報を表示する情報表示器(ヘッドアップディスプレイ)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−130867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運転者の前方に複数の情報表示器が配置されている場合、運転者は、情報の更新がどの情報表示器で行われたかを判断し難い場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記した問題点にかんがみ、情報の更新がどの情報表示器で行われたかを容易に判断することができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、その一態様として、運転者の前方に配置された複数の詳細情報表示器と、運転者の前方に配置された、複数の詳細情報表示器への注意を喚起する報知用表示器と、この報知用表示器を制御する制御部とを備える車両用表示装置であって、報知用表示器は、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して発光を制御する発光制御機構を備え、制御部は、情報の更新が行われた詳細情報表示器への注意を喚起するように、報知用表示器を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
上記した本発明によれば、情報の更新がどの詳細情報表示器で行われたかを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係わる車両用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態における、図1の報知用表示器104A、104B及び詳細情報表示器105A、105Bのレイアウトの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、図2の報知用表示器104A、104Bの具体的な構成の一例を示し、図3(a)がその正面図であり、図3(b)が図3(a)のB−B切断面における断面図であり、図3(c)が図3(a)のC−C切断面における断面図である。
【図4】図4(a)は、拡散板304によって拡散された各LED303A〜303Cの光の一例を示す正面図であり、図4(b)は、図4(a)に示す発光状態における、輝度と発光幅との関係の一例を示すグラフである。
【図5】図5(a)は、拡散板304にスリットを設けた場合の各LED303A〜303Cの光の一例を示す正面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す発光状態における、輝度と発光幅との関係の一例を示すグラフである。
【図6】図6(a)は、着座した運転者601が報知用表示器104A、104Bを視認した際の様子を模式的に示す側面図であり、図6(b)は図6(a)の上面図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)は、図2の報知用表示器104A、104Bが備える方向を示す機能を実現するための図3のLED303A〜303Cの輝度変化の一例をそれぞれ示すグラフである。
【図8】図8は、図1の車両用表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の第2の実施形態における、報知用表示器104A〜104C及び詳細情報表示器105A〜105Dのレイアウトの一例を示す概略図である。
【図10】図10は、図9の詳細情報表示器105Cとしての左側ドアミラー16Lの具体的な構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係わる車両用表示装置の概略構成を説明する。車両用表示装置は、2つ以上の詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・と、少なくとも1つの報知用表示器104A、104B、104C、・・・と、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・を制御する詳細情報表示制御部103と、報知用表示器104A、104B、104C、・・・を制御する報知表示制御部102と、車両用表示装置全体を制御するメインコントローラ101とを備える。
【0011】
詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・には、走行速度,エンジン回転数,燃料残量,冷却水温度,走行距離,ギヤポジション位置等の走行に必要な車両情報を表示する表示器、エアコン動作状態、ナビゲーション情報、オーディオ動作状態等の車載設備に関する情報を表示する表示器が含まれる。この他に、インストルメント・パネル内に設置された画像表示器や、ナビゲーションシステムのような画像や文字などを運転者に提示することのできる表示器も含まれる。このように、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・には、運転者の前方に配置され、且つ車両の運転者に対して車両の走行及び車載設備に関する情報を提示する表示器の総てが含まれる。
【0012】
報知用表示器104A、104B、104C、・・・は、運転者の前方に配置され、運転者に対して詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・への注意を喚起する機能を備える。
【0013】
詳細情報表示制御部103は、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・の各々に対して、無線或いは有線により電気的或いは光学的に通信可能に接続されている。また、詳細情報表示制御部103は、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・の各々に対して制御信号を送信することにより、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・の各々に表示される画像情報或いは文字情報を制御する。
【0014】
報知表示制御部102は、報知用表示器104A、104B、104C、・・・の各々に対して、無線或いは有線により電気的或いは光学的に通信可能に接続されている。また、報知表示制御部102は、報知用表示器104A、104B、104C、・・・の各々に対して制御信号を送信することにより、いずれの詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・への注意を喚起するかを制御する。
【0015】
メインコントローラ101は、車両情報や、車両に設置された各種センサー及び車両外部からの情報を、CAN(Controller Area Network)通信又は無線通信などの手段で取得し、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・に表示する内容を決定する。また、メインコントローラ101は、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103に対して、無線或いは有線により電気的或いは光学的に通信可能に接続されている。更に、メインコントローラ101は、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103に対して制御信号を送信することにより、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103を介して、詳細情報表示器105A、105B、105C、・・・及び報知用表示器104A、104B、104C、・・・を制御する。このように、本発明における「制御部」は、第1の実施形態におけるメインコントローラ101、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103を包括した構成に相当する。なお、メインコントローラ101、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103は、それぞれ、データの演算装置、データを一時的に記憶するレジスタやメモリ装置、及び周辺機器とのインターフェースを行う入出力装置を備えるマイクロプロセッシングユニット(MPU)を用いて構成可能である。或いは、メインコントローラ101、報知表示制御部102、及び詳細情報表示制御部103を1つのマイクロプロセッシングユニット(MPU)によって構成しても構わない。
【0016】
次に、図2を参照して、第1の実施形態における、図1の報知用表示器104A、104B及び詳細情報表示器105A、105Bのレイアウトの一例を説明する。特に、第1の実施形態では、2つの報知用表示器104A、104Bと、2つの詳細情報表示器105A、105Bを備える場合を例に取り、説明する。
【0017】
図2は車室内の中央から進行方向前方を見た時の外観を表す。ダッシュボード11の中央にセンタークラスター12が配置され、センタークラスター12の右側に着座する運転者の前方にはステアリングホイール13及びインストルメント・パネル14が配置されている。ダッシュボード11の右側端部には、右側フロントピラー15R及び右側ドアミラー16Rが配置され、ダッシュボード11の左側端部には、左側フロントピラー15L及び左側ドアミラー16Lが配置されている。
【0018】
詳細情報表示器105Aは、インストルメント・パネル14内に配置された、車両情報を表示することができるメーター内ディスプレイである。詳細情報表示器105Bは、センタークラスター12内に配置された、文字や画像を含むナビゲーション情報を表示するナビゲーションシステムである。
【0019】
詳細情報表示器105Aと詳細情報表示器105Bは、ほぼ水平方向に並んで配置され、報知用表示器104Aは、詳細情報表示器105Aと詳細情報表示器105Bとの間のダッシュボード11上に配置されている。換言すれば、詳細情報表示器105Aと詳細情報表示器105Bは、報知用表示器104Aを水平方向に挟み込むように配置されている。ただし、報知用表示器104Aは、詳細情報表示器105Aの外周と詳細情報表示器105Bの外周との接線により形成される領域内に配置されている必要はなく、詳細情報表示器105Aの中心を通る垂直線と詳細情報表示器105Bの中心を通る垂直線の間に配置されていればよい。
【0020】
報知用表示器104Bは、詳細情報表示器105Aの中心を通る垂直線よりも右側のダッシュボード11上に配置されている。報知用表示器104A、104Bは、詳細情報表示器105Aを挟み込むように設置されている。ただし、詳細情報表示器105Aは、報知用表示器104Aの外周と報知用表示器104Bの外周との接線により形成される領域内に配置されている必要はなく、報知用表示器104Aの中心を通る垂直線と報知用表示器104Aの中心を通る垂直線の間に配置されていればよい。
【0021】
図3(a)、図3(b)及び図3(c)を参照して、図2の報知用表示器104A、104Bの具体的な構成の一例を説明する。なお、報知用表示器104A、104Bは同じ構成を有している。筐体301の内部において、基板302は、基板302の一主表面が筐体301の開口面に対向するように固定されている。3つの発光ダイオード(LED)303A、303B、303Cが、基板302の一主表面上に、LED303A〜303Cの発光面を筐体301の開口面に対向させた状態で固定されている。筐体301の開口面は拡散板304により塞がれている。LED303A〜303Cから発せられた光は、拡散板304で例えば円形に拡散され、拡散板304を透過して車室内に向けて発光する。
【0022】
報知用表示器104A、104Bは、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して発光を制御する発光制御機構をそれぞれ備える。以下に、発光制御機構について説明する。各LED303A〜303Cの光は、拡散板304によって拡散され、図4(a)に示すように、輝度変化を生じさせて発光する。すなわち、運転者が拡散板304を視認した場合に、図4(a)に示すように、中心部の輝度が最も高く、同心円上に周方向に向かうにつれて輝度が徐々に低くなる(緩やかな輝度変化となる)ように発光した見え方となる。
【0023】
図4(b)は、図4(a)に示す発光状態における、輝度と発光幅との関係を示す図である。縦軸は輝度を示し、横軸は発光幅(発光が円形の場合は直径)を示す。図4(b)に示す発光幅は、5mm〜30mm程度に設定され、この範囲内で用途やデザインに応じて適宜設定される。
【0024】
図4(a)では、光点を中心に周方向の全方向に向けて緩やかな輝度変化をしているが、いずれか一方向(左右方向、上下方向等)にゆるやかに輝度が変化しているような表示形態であってもよい。例えば、図5(a)に示すように、拡散板304にスリットを設け、このスリットを介して各LED303A〜303Cから発せられた光を車室内に向け発光させる。これにより、発光による表示形態が左右を長手方向とする矩形となる。この結果、運転者が報知用表示器104A、104Bを視認した場合に、横方向に緩やかに輝度変化した表示形態が可能となる。
【0025】
図5(b)は、図5(a)に示す発光状態における輝度(縦軸)と発光幅(横軸)との関係を示す図である。このような表示形態の場合に、発光幅は、緩やかに輝度変化している方向に5mm〜30mm程度の大きさがあればよい。一方、横方向以外の他の方向(例えば縦方向)における発光幅は、横方向に比べて小さくてよい。
【0026】
この発光幅の大きさは、空間周波数に基づいて設定されている。この空間周波数は、図6(a)及び図6(b)に示すように、各LED303A〜303Cの発光幅(W)と角度(θ)とにより、W/θとして算出される。上記角度(θ)は、着座した運転者601が報知用表示器104A、104Bを視認したときに、運転者601のアイポイント(眼)602を基点とした各LED303A〜303Cの水平方向の発光幅(W)に対する水平方向における角度である。
【0027】
このように表現される空間周波数は、発光幅が5mm〜30mm程度の大きさであれば、運転者の着座位置や報知用表示器104A、104Bの配置位置を考慮し、運転者が周辺視で視認することが可能な表示形態とすることができる。ここで、周辺視とは、網膜の周辺部を使って視野の周辺部を漠然と見る視野であり、この周辺視は、動きや位置を捉えるのに適している。
【0028】
メインコントローラ101は、車載された各種センサーやカメラ類、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)、車間維持支援システムやインテリジェントクルーズコントロールシステム、ナビゲーションシステムなどの車両の走行を制御する車両走行制御装置から、各種情報を取得する。「各種情報」には、例えば燃料の残量低下、他車両の接近、経路案内情報が含まれる。これら各種情報は、燃料の残量低下、他車両の接近、経路案内情報の提示開始タイミングにおいて、すなわち後述する図8のステップS501において、メインコントローラ101に与えられる。
【0029】
メインコントローラ101は、報知用表示器104A、104Bにおける各LED303A〜303Cの発光を制御する機能を有する。メインコントローラ101は、取得された各種情報を読み込み、読み込んだ各種情報ならびに予め内部に保有する制御ロジック(プログラム)に基づいて、報知表示制御部102を介して、各LED303A〜303Cの輝度を制御する。
【0030】
各LED303A〜303Cの輝度の変化は、各LED303A〜303Cに供給される電流を制御することで実現される。例えば、公知の技術として知られている、パルス幅変調(PWM)方式を用いて各LED303A〜303Cを駆動制御する際に、そのデューティ比を変えることで輝度を変化させることが可能となる。このような手法は、例えばPWM方式によりLEDの電流を制御するように構成された、既存のLEDドライバユニットなどを用いることで実現することができる。なお、上記した発光制御機構は、輝度の替わりに色相を制御してもよい。
【0031】
図1の報知表示制御部102は、LED303A〜303Cの輝度を独立して変化させることができる。図7(a)〜図7(c)は、LED303A〜303Cの輝度の時間変化の一例をそれぞれ示す。例えば、異なる時刻(MAXA、MAXB、MAXC)において、LED303A〜303Cの輝度がそれぞれ極大値となるように、LED303A〜303Cに流す電流量を変化させる。すると、輝度はLED303A、LED303B、LED303Cの順番で大きくなり、運転者は光が右方向へ流れるように見える。LED303AとLED303Cとの順番を入れ替えることにより逆方向つまり左方向を示すことができる。このような輝度制御を行うことにより、報知用表示器104Aは、詳細情報表示器105Aまたは105Bへの注意を喚起することができる。なお、ここでは、3つのLEDを用いて1次元の方向を示す場合を示すが、LEDの数を増やし、所定のレイアウトに配置すれば、報知用表示器104A、104Bは2次元の複数の方向を示すことが可能となる。
【0032】
次に、図8を参照して、第1の実施形態に係わる車両用表示装置の動作の一例を説明する。
【0033】
ステップS501において、メインコントローラ101は、車両情報や、車両に設置された各種センサー及び車両外部からの情報を、CAN通信又は無線通信などの手段で取得する。本例では、車両の異常を知らせる情報を取得した場合を考える。
【0034】
ステップS502において、メインコントローラ101は、取得した情報を元に、処理を行い、詳細情報表示器105A、105Bに表示する内容を決定する。なお、表示する内容がない場合には、図8に示す処理動作は終了する。本例では、車両異常の種類を知らせるメッセージを表示することを決定する。
【0035】
ステップS503において、メインコントローラ101は、決定した表示内容を表示する詳細情報表示器105A、105B、すなわち情報の更新が行われる詳細情報表示器105A、105Bを選択する。具体的には、メインコントローラ101は、後述するテーブル(データ)を参照して、決定した表示内容に応じて複数の詳細情報表示器105A、105Bからいずれか1つの詳細情報表示器を選択する。詳細情報表示器の選択は、あらかじめメインコントローラ101の内部に記憶されているか、もしくはメインコントローラ101がアクセス可能な外部装置にあらかじめ記憶されている、表示内容と詳細情報表示器の対応関係を示すテーブル(データ)に基づいて、実行することができる。本例では、インストルメント・パネル14内に配置された詳細情報表示器105Aを、情報の更新が行われる詳細情報表示器として選択する。
【0036】
ステップS504において、メインコントローラ101は、情報の更新が行われる詳細情報表示器105A、105Bへの注意を、どの報知用表示器104A、104Bを用いて喚起するかを決定し、且つ決定された報知用表示器104A、104Bが示す方向を決定する。メインコントローラ101は、あらかじめ、車室内における報知用表示器104A、104Bと詳細情報表示器105A、105Bのレイアウトデータを記憶し、このレイアウトデータに基づいて、使用する報知用表示器104A、104B及び報知用表示器104A、104Bが表示する方向を決定することができる。本例では、詳細情報表示器105Aを情報の更新が行われる詳細情報表示器として選択している。よって、メインコントローラ101は、使用する報知用表示器は報知用表示器104A、104Bであり、報知用表示器104Aが示す方向は右方向であり、報知用表示器104Bが示す方向は左方向であると決定する。
【0037】
S505において、メインコントローラ101は、報知用表示器104A、104Bが詳細情報表示器105Aへの注意を喚起するように、報知表示制御部102を介して、S504ステップで決定した報知用表示器104A、104Bを制御する。本例では、報知用表示器104Aは右方向を表示し、報知用表示器104Bは左方向を表示する。これにより、メインコントローラ101は、情報が更新されたこと、及び情報が更新された詳細情報表示器が詳細情報表示器105Aであることを運転者に提示することができる。また、報知用表示器104A、104Bは、詳細情報表示器105Aを挟み込むように設置され、2つの報知用表示器104A、104Bは、情報の更新が行われた詳細情報表示器105Aへの注意を連携して喚起する。これにより、運転者は情報の更新があった詳細情報表示器を容易に特定することができる。
【0038】
ステップS506において、メインコントローラ101は、S503で決定した詳細情報表示装置105A、105Bが、S502にて決定した表示内容を表示するように、詳細情報表示制御部103を介して、詳細情報表示装置105A、105Bを制御する。本例では、インストルメント・パネル14内に配置された詳細情報表示器105Aに車両異常の種類を知らせるメッセージが表示される。
【0039】
以上の動作により、運転者は、報知用表示器104Aに表示される右方向の表示および報知用表示器104Bに表示される左方向の表示から、情報が更新された詳細情報表示装置として詳細情報表示装置105Aを容易に特定し、詳細情報表示装置105Aに表示された車両異常の種類を知らせるメッセージを瞬時に取得することができる。
【0040】
次に、第1の実施形態に係わる車両用表示装置の動作の他の例を説明する。本例では、ステップS501において、車両に接続した携帯電話を介して、ショートメッセージを受信した場合を考える。ステップS502において、メインコントローラ101は、表示内容として、ショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を決める。
【0041】
ステップS503において、メインコントローラ101は、センタークラスター12内に配置された詳細情報表示器105Bを、情報の更新が行われる詳細情報表示器として選択する。ステップS504において、メインコントローラ101は、使用する報知用表示器は報知用表示器104Aであり、報知用表示器104Aが示す方向は左方向であると決定する。
【0042】
ステップS505において、メインコントローラ101は、報知用表示器104Aが詳細情報表示器105Bへの注意を喚起するように、報知表示制御部102を介して、報知用表示器104Aを制御する。具体的には、報知用表示器104Aが左方向を表示するように制御する。使用しない報知用表示器104Bには何も表示されない。これにより、メインコントローラ101は、情報が更新されたこと、及び情報が更新された詳細情報表示器が詳細情報表示器105Bであることを運転者に提示することができる。
【0043】
次に、ステップS506において、メインコントローラ101は、S503で決定した詳細情報表示装置105Bが、S502にて決定した表示内容を表示するように、詳細情報表示制御部103を介して、詳細情報表示装置105Bを制御する。本例では、センタークラスター12内に配置された詳細情報表示器105Bに、ショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を知らせるメッセージが表示される。
【0044】
以上の動作により、運転者は、報知用表示器104Aに表示される左方向の表示から、情報が更新された詳細情報表示装置として詳細情報表示装置105Bを容易に特定し、詳細情報表示装置105Bに表示されたショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を知らせるメッセージを瞬時に取得することができる。
【0045】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、メインコントローラ101は、情報の更新が行われた詳細情報表示器105Bへの注意を喚起するように、報知用表示器104Aを制御する。これにより、報知用表示器104Aは、運転者に対し、詳細情報表示器105B内の情報の更新を気付かせると同時に、複数ある詳細情報表示器105A、105Bのうち、どの詳細情報表示器に更新があったかを指示することができる。よって、運転者は、情報の更新がどの詳細情報表示器105A、105Bで行われたかを容易に判断でき、更新のあった情報をすばやく取得することができる。
【0046】
また、図3(a)〜図3(c)及び図7に示したように、報知用表示器104A、104Bは方向を示す機能を有する。このため、より少ない数の報知用表示器104A、104Bで、詳細情報表示器105A、105Bへの注意を喚起することができ、報知用表示器104A、104Bの設置エリアが縮小し、報知用表示器104A、104Bの製造コストが低減される。
【0047】
また、2つの報知用表示器104A、104Bが、詳細情報表示器105Aを挟み込むように設置されている。すなわち、2つの報知用表示器104A、104Bに挟まれた位置に詳細情報表示器105Aが配置され、2つの報知用表示器104A、104Bの外側に詳細情報表示器105Bが設置される。よって、運転者は情報の更新が行われた詳細情報表示器105Aの位置を、より狭い範囲に絞り込むことができるので、更新のあった情報を更に容易に取得することができる。
【0048】
また、2つの報知用表示器104A、104Bが、情報の更新が行われた詳細情報表示器105Aへの注意を連携して喚起する。すなわち、2つの報知用表示器104A、104Bが連携して方向を表示することにより、挟み込んだ位置にある詳細情報表示器105Aを指示し、もしくは外側の詳細情報表示器105Bを指示する。これにより、運転者は情報の更新があった詳細情報表示器105A、105Bを容易に特定することができ、その結果、情報の取得が容易になる。特に、外側の詳細情報表示器105Bを容易に特定することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、3つの報知用表示器104A〜104C、4つの詳細情報表示器105A〜105Dを備える車両用表示装置について説明する。第2の実施形態に係わる車両用表示装置の概略構成は、図1と同じであり説明を省略する。
【0050】
図9を参照して、第2の実施形態における、報知用表示器104A〜104C、詳細情報表示器105A〜105Dのレイアウトの一例を説明する。図9は、図2と同様に、車室内の中央から進行方向前方を見た時の外観を表す。報知用表示器104Cは、詳細情報表示器105Bの中心を通る垂直線よりも左側のダッシュボード11上に配置されている。なお、報知用表示器104Cは、図3(a)〜図3(c)に示した報知用表示器104A、104Bと同じ構成を有し、図7と同様な輝度制御が可能である。
【0051】
第2の実施形態では、左側ドアミラー16Lを詳細情報表示器105Cとして使用し、右側ドアミラー16Rを詳細情報表示器105Dとして使用する。すなわち、詳細情報表示器105C、105Dは、ドアミラー16L、16Rを介して運転者により視認される車両の後方及び後側方の像を、運転者に対して提示する。また、ドアミラー16L、16Rは、例えば後述する図10に示すように、車両の後方及び後側方の像に重畳して、映像情報を付加する機能をそれぞれ有していてもよい。この場合、メインコントローラ101は、詳細情報表示制御部103を介してこの映像情報を制御し、詳細情報表示器105C、105Dは、この映像情報を運転者に対して提示することができる。
【0052】
報知用表示器104Aと報知用表示器104Cは、詳細情報表示器105Bを水平方向に挟み込むように配置されている。すなわち、報知用表示器104Aの中心を通る垂直線と報知用表示器104Cの中心を通る垂直線の間に、詳細情報表示器105Bが配置されている。詳細情報表示器105Cは、報知用表示器104Cの中心を通る垂直線よりも左側に配置され、詳細情報表示器105Dは、報知用表示器104Bの中心を通る垂直線よりも右側に配置されている。
【0053】
図10を参照して、車両の後方及び後側方の像に重畳して、映像情報を付加する機能を有する左側ドアミラー16Lの具体的な構成の一例を説明する。なお、説明は省略するが、右側ドアミラー16Rにつても、同様な構成によって映像情報を重畳して付加する機能が実現可能である。左側ドアミラー16Lは、アーム部を介して車両の左ドア701に固定される樹脂製のドアミラーボディ702を備えている。このドアミラーボディ702は、車両の後部側に向けて開放された開口部を有するカップ状に形成されている。そして、ドアミラーボディ702の開口部を塞ぐように、板状のミラーアッセンブリ710が配置されている。ミラーアッセンブリ710は、ドアミラーボディ3内に配置された内装フレーム(図示せず)に装着されており、この内装フレームは、ドアミラーボディ702に固定されている。
【0054】
ミラーアッセンブリ710は、入射する光の一部を反射し、他の一部を透過するハーフミラー703と、ハーフミラー703に積層された拡散膜704とを備える。拡散膜704は、入射する光を通過すると同時に拡散させることができる。ドアミラーボディ702側から見て、拡散膜704、ハーフミラー703の順に積層されている。
【0055】
ドアミラーボディ702の内部には映像を拡散膜704に投射するプロジェクタ705が固定されている。プロジェクタ705から射出した光PJAは、拡散膜704を透過すると同時に拡散される。そして、拡散膜704を透過した光の一部がハーフミラー703を透過する。これにより、プロジェクタ705により投射された画像や映像を運転者に提示することができる。なお、運転者は、車両の後方及び後側方の像を、ハーフミラー703の反射光によって視認することができる。このようにして、左側ドアミラー16Lが、車両の左後方の像に重畳して、映像情報を付加することができる。
【0056】
次に、図8を参照して、第2の実施形態に係わる車両用表示装置の動作の一例を説明する。本例では、ステップS501において、車両に接続した携帯電話を介して、ショートメッセージを受信した場合を考える。ステップS502において、メインコントローラ101は、表示内容として、ショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を決める。
【0057】
ステップS503において、メインコントローラ101は、センタークラスター12内に配置された詳細情報表示器105Bを、情報の更新が行われる詳細情報表示器として選択する。ステップS504において、メインコントローラ101は、使用する報知用表示器は報知用表示器104A及び報知用表示器104Cであり、報知用表示器104Aが示す方向は左方向であり、報知用表示器104Cが示す方向は右方向であると決定する。
【0058】
ステップS505において、メインコントローラ101は、報知用表示器104A及び報知用表示器104Cが詳細情報表示器105Bへの注意を喚起するように、報知表示制御部102を介して、報知用表示器104A及び報知用表示器104Cを制御する。具体的には、報知用表示器104Aが左方向を表示し、報知用表示器104Cが右方向を表示するように制御する。使用しない報知用表示器104Bには何も表示されない。これにより、メインコントローラ101は、情報が更新されたこと、及び情報が更新された詳細情報表示器が詳細情報表示器105Bであることを運転者に提示することができる。また、報知用表示器104A、104Cは、詳細情報表示器105Bを挟み込むように設置され、2つの報知用表示器104A、104Cは、情報の更新が行われた詳細情報表示器105Bへの注意を連携して喚起する。これにより、運転者は情報の更新があった詳細情報表示器105Bを容易に特定することができる。
【0059】
ステップS506において、メインコントローラ101は、センタークラスター12内に配置された詳細情報表示器105Bに、ショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を知らせるメッセージを表示させる。
【0060】
以上の動作により、運転者は、報知用表示器104Aに表示される左方向の表示及び報知用表示器104Cに表示される右方向の表示から、情報が更新された詳細情報表示装置として詳細情報表示装置105Bを容易に特定し、詳細情報表示装置105Bに表示されたショートメッセージの受信を知らせるメッセージと、ショートメッセージの送信者を知らせるメッセージを瞬時に取得することができる。
【0061】
次に、第2の実施形態に係わる車両用表示装置の動作の他の例を説明する。本例では、ステップS501において、車両に備えられたセンサーが、自車両の左後方に他車両を検知した場合を考える。この場合、運転者の注意を自車両の左後方に位置する他車両へ向けるため、ステップS502において、メインコントローラ101は、表示内容として、左側ドアミラー16Lを介して運転者により視認される車両の左後方の像を決める。
【0062】
ステップS503において、メインコントローラ101は、詳細情報表示器105C(左側ドアミラー16L)を、情報の更新が行われる詳細情報表示器として選択する。ステップS504において、メインコントローラ101は、使用する報知用表示器は報知用表示器104Cであり、報知用表示器104Cが示す方向は左方向であると決定する。
【0063】
ステップS505において、メインコントローラ101は、報知用表示器104Cが詳細情報表示器105C(左側ドアミラー16L)への注意を喚起するように、報知表示制御部102を介して、報知用表示器104Cを制御する。具体的には、報知用表示器104Cが左方向を表示するように制御する。使用しない報知用表示器104A、104Bには何も表示されない。これにより、メインコントローラ101は、情報が更新されたこと、及び情報が更新された詳細情報表示器が詳細情報表示器105C(左側ドアミラー16L)であることを運転者に提示することができる。
【0064】
左側ドアミラー16Lが、車両の左後方の像に重畳して映像情報を付加する機能を有する場合、ステップS506において、メインコントローラ101は、詳細情報表示器105C(左側ドアミラー16L)に、自車両の左後方に他車両が存在することを運転者に知られるための映像情報を表示させる。なお、左側ドアミラー16Lが、車両の左後方の像に重畳して映像情報を付加する機能を有していない場合、ステップS506は実施しない。
【0065】
以上の動作により、運転者は、報知用表示器104Cに表示される左方向の表示から、情報が更新された詳細情報表示装置として詳細情報表示装置105C(左側ドアミラー16L)を容易に特定し、詳細情報表示装置105C(左側ドアミラー16L)に表示された車両の左後方の像と、車両の左後方の像に重畳して付加された映像情報とを瞬時に取得することができる。
【0066】
本例と同様に、自車両の右後方に他車両を検出した場合には、運転者は、報知用表示器104Bに表示される右方向の表示から、詳細情報表示器105D(右側ドアミラー16R)を特定し、詳細情報表示装置105D(右側ドアミラー16R)に表示された車両の右後方の像と、車両の右後方の像に重畳して付加された映像情報を取得することができる。
【0067】
図3(a)〜図3(c)及び図7に示したように、報知用表示器104A〜104Cは方向を示す機能を有する。これにより、より少ない数の報知用表示器104A〜104Cで、詳細情報表示器105A、105Bへの注意を喚起することができ、報知用表示器104A〜104Cの設置エリアが縮小し、報知用表示器104A〜104Cの製造コストが低減される。
【0068】
また、2つの報知用表示器104A、104Cが、詳細情報表示器105Bを挟み込むように設置されている。すなわち、2つの報知用表示器104A、104Cに挟まれた位置に詳細情報表示器105Bが配置され、2つの報知用表示器104A、104Cの外側に詳細情報表示器105Cが設置される。よって、運転者は情報の更新が行われた詳細情報表示器105Bの位置を、より狭い範囲に絞り込むことができるので、更新のあった情報を更に容易に取得することができる。
【0069】
また、2つの報知用表示器104A、104Cが、情報の更新が行われた詳細情報表示器105Bへの注意を連携して喚起する。すなわち、2つの報知用表示器104A、104Cが連携して方向を表示することにより、挟み込んだ位置にある詳細情報表示器105Bを指示し、もしくは外側の詳細情報表示器105Cを指示する。これにより、運転者は情報の更新があった詳細情報表示器105A、105Cを容易に特定することができ、その結果、情報の取得が容易になる。特に、外側の詳細情報表示器105Cを容易に特定することができる。
【0070】
上記のように、本発明は、第1〜第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0071】
例えば、第1の実施の形態では、図2に示したように、2つの報知用表示器104A、104Bを備える場合を説明したが、報知用表示器104Bを用いなくても構わない。報知用表示器104Aが示す方向を切り替えることにより、情報の更新が行われた詳細情報表示器105A又は詳細情報表示器105Bへの注意を喚起することができる。
【符号の説明】
【0072】
101…メインコントローラ(制御部)
102…報知表示制御部(制御部)
103…詳細情報表示制御部(制御部)
104A〜104C…報知用表示器
105A〜105D…詳細情報表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の前方に配置された複数の詳細情報表示器と、
運転者の前方に配置された、前記複数の詳細情報表示器への注意を喚起する報知用表示器と、
該報知用表示器を制御する制御部と、を備え、
前記報知用表示器は、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して発光を制御する発光制御機構を備え、
該制御部は、情報の更新が行われた詳細情報表示器への注意を喚起するように、前記報知用表示器を制御する
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記報知用表示器は方向を示す機能を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
複数の前記報知用表示器が、前記詳細情報表示器を挟み込むように設置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記複数の報知用表示器が、情報の更新が行われた前記詳細情報表示器への注意を連携して喚起することを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210901(P2012−210901A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78461(P2011−78461)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】