説明

車両用表示装置

【課題】高い操作性を備えた車両用表示装置の提供。
【解決手段】車両に搭載されたオーディオ装置51及びエアコン制御装置86等を操作するためのボタン画像2d,2eを表示する主表示領域42及び補完表示領域43が表示画面40aに並列して形成される車両用表示装置100であって、ボタン画像2d,2eの選択が可能なアクティブ表示領域を、補完表示領域43及び主表示領域42間において切り替えるための切替要求が、ユーザ操作により入力される操作装置30と、切替要求が操作装置30へ入力された場合に、非アクティブ表示領域に表示するボタン画像2eの明度及び彩度を、アクティブ表示領域に表示するボタン画像2dの明度及び彩度よりも低く調整する制御回路20と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて画像を表示する表示画面を備えた車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両の乗員に向けられた表示画面に、複数の画像を並列表示する装置が知られている。このような装置の一種として、例えば特許文献1に開示の表示装置では、画像を表示する複数のエリアが表示画面に並列して形成されている。また、特許文献2に開示の車載操作システムでも、画像を表示する複数の表示領域が表示画面に並列して形成されている(特許文献2 図8及び図9等参照)。
【0003】
また、特許文献2に開示の車載操作システムでは、車載された車載装置を操作するために選択するスイッチが各表示領域に表示されている。加えて、車載操作システムは、ユーザによってユーザ操作の入力される操作装置を備えている。このような車載システムでは、操作装置へのユーザ操作の入力によって、表示画面に表示されるスイッチの選択が可能なアクティブな表示領域が、表示画面に形成されている複数の表示領域のうちで切り替わる。ユーザは、アクティブな表示領域に表示されているスイッチを選択する操作を操作装置に入力することにより、車載操作システムに接続された種々の車載装置を操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−195056号公報
【特許文献2】特開2010−108255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献2に開示の車載操作システムでは、アクティブ表示領域に表示される選択可能なアクティブであるスイッチは、非アクティブ表示領域に表示される選択できない非アクティブなスイッチと、同程度の明度及び彩度にて各表示領域に表示されている。故に、非アクティブなスイッチも、アクティブなスイッチと同様に、ユーザの目を惹き付けてしまうこととなる。
【0006】
するとユーザは、選択可能なアクティブであるスイッチと、選択できない非アクティブなスイッチとを、見分けることができなくなる。故にユーザは、所望の操作を実施するために選択すべきスイッチを、アクティブなスイッチからだけではなく、選択できない非アクティブなスイッチも含めた中から探さなければならなくなる。以上により、ユーザは、所望のボタン画像を素早く見つけ出すことができなくなる場合があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い操作性を備えた車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両に搭載される表示画面を備え、車両に搭載された車載装置を操作するために選択するボタン画像を表示する複数の表示領域が表示画面に並列して形成される車両用表示装置であって、ボタン画像の選択が可能なアクティブ表示領域を、表示画面に形成されている複数の表示領域のうちで切り替えるための切替要求が、ユーザ操作により入力される入力手段と、アクティブ表示領域を切り替える切替要求が入力手段へ入力された場合に、非アクティブ表示領域に表示するボタン画像としての非アクティブボタン画像の明度及び彩度のうち少なくとも一方を、アクティブ表示領域に表示するボタン画像としてのアクティブボタン画像の明度及び彩度よりも低く調整する画像表示調整手段と、を備えることを特徴とする車両用表示装置とする。
【0009】
この発明によれば、ユーザ操作によって入力手段に入力される切替要求により、表示画面に並列して形成される複数の表示領域のうちで、ボタン画像の選択可能なアクティブ表示領域が切り替わる。この切り替えがなされると、非アクティブ表示領域に表示される非アクティブボタン画像は、アクティブ表示領域に表示されるアクティブボタン画像よりも、明度及び彩度のうち少なくとも一方を、画像表示調整手段によって低く調整される。故に、非アクティブボタン画像に対して、明度の又は彩度のいずれか一方の高いアクティブボタン画像は、当該非アクティブボタン画像よりもユーザの目を惹き付けることができる。
【0010】
以上によりユーザは、選択可能なアクティブボタン画像と、選択できない非アクティブボタン画像とを見分け易くなる。これによりユーザは、所望の操作を行うために選択すべきボタン画像を、アクティブボタン画像の中から探せばよくなる。以上により、ユーザは所望のボタン画像を素早く見つけ出すことができるようになる。したがって、高い操作性を備えた車両用表示装置の提供が可能になる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、複数の表示領域には、車載装置の状態情報を報知するためのステータス画像が表示され、画像表示調整手段は、アクティブ表示領域を切り替える切替要求が入力手段へ入力された場合であっても、非アクティブ表示領域に表示するステータス画像としての非アクティブステータス画像の明度及び彩度を、アクティブ表示領域に表示するステータス画像としてのアクティブステータス画像の明度及び彩度と実質的に同一となるよう調整することを特徴とする。
【0012】
この発明では、アクティブ表示領域が切り替えられても、画像表示調整手段は、非アクティブ表示領域に表示される非アクティブステータス画像の明度及び彩度を、アクティブ表示領域に表示されるアクティブステータス画像の明度及び彩度と実質的に同一となるよう調整する。このように、明度及び彩度が高いまま維持された非アクティブステータス画像は、ユーザの目を惹くことができる。故に、非アクティブステータス画像は、車載装置の状態情報を報知する作用を発揮し続けられる。加えて、ステータス画像としての非アクティブステータス画像は、ボタン画像ではないので、所望のボタン画像を見つけ出そうとするユーザの動作を妨げ難い。したがって、非アクティブステータス画像の明度及び彩度を高いまま維持することにより、車両用表示装置は、高い操作性を維持したまま、非アクティブ表示領域を活用した状態情報の報知を確実に行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、表示画面は、表示領域として、第一表示領域及び第一表示領域よりも表示面積の狭い第二表示領域を有し、画像表示調整手段は、第二表示領域から第一表示領域にアクティブ表示領域を切り替える切替要求が入力手段へ入力された場合に、非アクティブ表示領域としての第二表示領域に表示する非アクティブボタン画像の明度及び彩度のうち少なくとも一方を、アクティブ表示領域としての第一表示領域に表示するアクティブボタン画像よりも低く調整することを特徴とする。
【0014】
一般に、ユーザによって注視されるのは、複数の表示領域のうちで表示面積の広い表示領域である。故に、第一表示領域よりも表示面積の狭い第二表示領域に表示されるボタン画像は、ユーザによって注視され難い傾向にある。そこで、表示面積の狭い第二表示領域に非アクティブボタン画像が表示される場合に、この非アクティブボタン画像の明度及び彩度のうち少なくとも一方を低下させるようにすれば、当該非アクティブボタン画像は、さらにユーザの目を惹き難いものとなる。
【0015】
以上によりユーザは、選択可能なアクティブボタン画像と、選択できない非アクティブボタン画像とをさらに見分け易くなる。故に、ユーザは、所望のボタン画像をアクティブボタン画像の中から、さらに素早く見つけ出すことができるようになる。したがって、さらに高い操作性を備えた車両用表示装置の提供が可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、第一表示領域に表示されるボタン画像を、車載装置から取得する画像取得手段をさらに備え、表示画面は、画像取得手段によって取得されるボタン画像を第一表示領域に表示し、画像表示調整手段によって生成されるボタン画像を第二表示領域に表示することを特徴とする。
【0017】
この発明では、並列する第一表示領域及び第二表示領域に、車載装置から取得されるボタン画像と、画像表示調整手段によって生成されるボタン画像とが表示される。このように、表示領域毎にボタン画像を生成する構成が異なると、ボタン画像は、その明度及び彩度のばらつきが大きくなり易い。すると、非アクティブボタン画像がアクティブボタン画像よりも高い明度又は彩度にて、表示画面に表示され、ユーザの目を惹いてしまう懸念が生じる。
【0018】
しかし、第二表示領域が非アクティブ表示領域となった場合には、非アクティブボタン画像は、画像表示調整手段によって明度及び彩度の少なくとも一方が低くされる。故に、アクティブボタン画像よりも非アクティブボタン画像がユーザの目を惹いてしまう事態は、未然に防がれ得る。このように、非アクティブボタン画像の明度及び彩度の少なくとも一方を低下させることにより、ユーザの操作性を向上させる効果は、異なる構成によってボタン画像が生成される形態で、顕著に発揮されるのである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、アクティブ表示領域は、入力手段へのユーザ操作の入力に応じて当該アクティブ表示領域内を移動し、アクティブボタン画像と重畳されることにより当該アクティブボタン画像を選択状態にするポインタ画像を表示することを特徴とする。
【0020】
この発明のように、入力手段へのユーザ操作の入力に応じてアクティブ表示領域内を移動するポインタ画像は、ユーザの目を惹き易い。故に、ポインタ画像がアクティブ表示領域に表示される形態では、ユーザは、ポインタ画像の表示されるアクティブ表示領域、ひいては当該アクティブ表示領域に表示されるアクティブボタン画像を注視するように仕向けられ得る。加えて、上述したように、非アクティブ表示領域において非アクティブボタン画像の明度又は彩度のいずれか一方が低下するよう調整されることとの相乗効果によれば、アクティブボタン画像は、さらにユーザの目を惹くことができる。
【0021】
以上により、ユーザは、非アクティブボタン画像との見分けが容易となったアクティブボタン画像の中から、さらに素早く所望のボタン画像を見つけ、ポインタ画像を重畳することにより、当該ボタン画像を選択状態とすることができるようになる。したがって、車両用表示装置の操作性は、さらに優れたものとなる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、入力手段は、アクティブ表示領域から当該アクティブ表示領域と並列する非アクティブ表示領域に向けて、ポインタ画像を移動させるユーザ操作を切替要求として受けることを特徴とする。
【0023】
上述したように、ユーザ操作の入力に応じて移動するポインタ画像は、ユーザの目を惹き易い。このポインタ画像を、アクティブ表示領域から非アクティブ表示領域に向けて移動させるユーザ操作を切替要求として入力手段が受ける形態とすることにより、ユーザは、現在アクティブ表示領域となっている表示領域を把握し易くなる。アクティブ表示領域の把握が容易になることにより、当該アクティブ表示領域に表示されるアクティブボタン画像に、ユーザの目が向き易くなる。加えて、上述したように、非アクティブ表示領域の非アクティブボタン画像の明度又は彩度のいずれか一方が低下するよう調整されることとの相乗効果によれば、アクティブボタン画像は、さらにユーザの目を惹くことができる。
【0024】
以上により、ユーザは、非アクティブボタン画像との見分けが容易となったアクティブボタン画像の中から、さらに素早く所望のボタン画像を見つけられるようになる。したがって、車両用表示装置の操作性は、さらに優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてナビゲーション画像が、補完画像として情報画像が表示された場合の表示画像を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてオーディオ画像が、補完画像として情報画像が表示された場合の表示画像を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による車両用表示装置によって生成される表示画像を説明するための図であって、主画像としてテレビ画像が、補完画像としてテレビ操作画像が表示された場合の表示画像を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による表示画面において、アクティブ表示領域の切り替えによって、非アクティブ表示領域の非アクティブボタン画像がトーンダウンする作動を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態による制御回路において、メイン制御部が実行する制御フローを示すフローチャートである。
【図7】図3の表示画像において、非アクティブ表示領域に表示される非アクティブボタン画像及び非アクティブステータス画像がトーンダウンされた場合の表示状態を説明するための図である。
【図8】図4の表示画像において、非アクティブ表示領域に表示される非アクティブボタン画像がトーンダウンされた場合の表示状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による車両用表示装置100の構成を概略的に示す構成図である。車両用表示装置100は、車両に搭載され、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aに図2等に示すような表示画像1を表示する装置である。図2〜図4に示すように、表示画像1は、表示画面40aに形成される主表示領域42及び補完表示領域43のそれぞれに、複数の画像の中から選択される主画像2a及び複数の画像の中から選択される補完画像2bを並列表示する。
【0028】
まず図1に基づいて、グローバルController Area Network(CAN)80及びローカルCAN81、操作装置30、並びにナビゲーション装置50、について説明する。尚、これらの装置等は、すべて車両に搭載されている。
【0029】
グローバルCAN80及びローカルCAN81は、所定のプロトコルを用いて、車載された装置間での情報のやり取りを実現するための車載ネットワークシステムである。グローバルCAN80及びローカルCAN81は、二本の通信線からなるバスに、種々の装置が接続されることにより構築されている。グローバルCAN80には、ナビゲーション装置50に加えて、車両の空調を制御するエアコン制御装置86、車両を統合制御する車両制御装置(図示しない)、車両に搭載された内燃機関を制御する機関制御装置(図示しない)等が接続されている。エアコン制御装置86は、車両情報として、例えばエアコン装置の現在の設定温度、風量、及び風向等の情報をグローバルCAN80に出力する。またローカルCAN81には、車両用表示装置100、ナビゲーション装置50、及び操作装置30等が接続されている。
【0030】
操作装置30は、主に車両の乗員である運転者等のユーザによる操作が入力される入力装置である。操作装置30は、表示画像1(図2等参照)に描画されたポインタ画像2c(図2等参照)の位置を当該表示画像1上において移動させるポインティングデバイス31、及び表示画像1に描画されたボタン画像2d,2e(図2等参照)を選択するための選択ボタン32等を有している。このポンタ画像2cは、操作装置30へのユーザ操作の入力に応じて表示領域内を移動し、ボタン画像2d,2eのいずれかと重畳されることにより当該ボタン画像2d,2eを選択状態にする。
【0031】
この操作装置30には、主表示領域42及び補完表示領域43(図2等参照)に表示される画像の種類を選択する選択要求、及びボタン画像2d,2eの選択が可能なアクティブ表示領域を、主表示領域42及び補完表示領域43の間において切り替えるための切替要求等が、運転者等によるユーザ操作により入力される。本実施形態では、操作装置30は、アクティブ表示領域から当該アクティブ表示領域と並列する非アクティブ表示領域に向けて、ポインタ画像2cを移動させるユーザ操作を切替要求として受ける。運転者等がポインティングデバイス31及び選択ボタン32を操作すると、当該操作による操作情報は、操作装置30によってローカルCAN81に出力され、ナビゲーション装置50及び車両用表示装置100等によって取得される。
【0032】
ナビゲーション装置50は、グローバルCAN80、ローカルCAN81、オーディオ装置51、及び車両用表示装置100等と接続されている。ナビゲーション装置50は、グローバルCAN80を通じて、上述したエアコン制御装置86等から車両情報を取得する。そしてナビゲーション装置50は、取得した車両情報をローカルCAN81に出力する。またナビゲーション装置50は、操作装置30によりローカルCAN81に出力された操作情報を取得する。加えてナビゲーション装置50は、車両の現在位置を測位するグローバル・ポジショニング・システム(GPS)受信機、方位を計測する電子コンパス等を備えている。
【0033】
オーディオ装置51は、車両に搭載される車載装置であって、CD(登録商標)及びDVD(登録商標)等の光学ディスク、又はハードディスクドライブ及びフラッシュメモリ等のストレージデバイスに記憶された音楽及び映像のコンテンツデータを再生する。オーディオ装置51は、現在再生している楽曲に関する楽曲情報又は映像に関する映像情報、並びに再生状態に関する再生状態情報等をナビゲーション装置50に出力する。これらの情報は、ナビゲーション装置50によって取得されるとともに、当該ナビゲーション装置50からローカルCAN81に出力される。尚、楽曲情報としては、例えば楽曲の曲名、アーティスト名、アルバム名、アルバムのアートワーク画像等がある。映像情報としては、映像のタイトル名、出演者名、アートワーク画像等がある。また、再生状態情報としては、楽曲又は映像の再生/停止状態、再生後の経過時間、楽曲のトラック番号又は映像のチャプター番号等がある。
【0034】
以上の構成によるナビゲーション装置50は、グローバルCAN80を通じて取得した車両情報と、GPS受信機及び電子コンパス等による測位情報に基づいて、目的地への誘導を行うことにより乗員の運転操作を支援するナビゲーション画像3a(図2参照)を生成する。加えてナビゲーション装置50は、ナビゲーション画像3aの他にも、オーディオ画像5a(図3参照)、テレビ画像9a(図4参照)、及び空調の状態情報を報知するためのエアコン情報画像(図示しない)等を生成する。尚、これら各画像3a,5a,9aの詳細については、後述する。
【0035】
ナビゲーション装置50は、通信線によって車両用表示装置100と接続されている。ナビゲーション装置50は、例えばGigabit Video Interface(GVIF)(登録商標)等の映像用の出力方式により、生成した各画像3a,5a,9a(図2〜図4参照)のうちいずれか一つの映像信号を、車両用表示装置100に逐次出力する。
【0036】
次に、車両用表示装置100の構成を説明する。車両用表示装置100は、制御回路20を上述した液晶ディスプレイ装置40及び操作装置30と共に備えている。
【0037】
制御回路20には、制御用マイコン25及び描画用マイコン26が実装されている。制御用マイコン25は、各種の演算処理を行うプロセッサ、当該演算処理に用いられるプログラム等が格納されたフラッシュメモリ、及び演算の作業領域として機能するRAM等によって構成されている。加えて制御用マイコン25は、ローカルCAN81と通信可能な通信用インターフェース(図示しない)と接続されている。
【0038】
描画用マイコン26は、画像処理を行うプロセッサ、当該画像処理に用いられるプログラム及び各種の画像データが格納されたROM又はフラッシュメモリ、及び演算の作業領域として機能するRAMを有している。また描画用マイコン26は、液晶ディスプレイ装置40に表示画像1(図2等参照)の映像信号を出力する映像出力インターフェース(図示しない)と接続されている。
【0039】
以上の構成による制御回路20は、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23を有している。
【0040】
メイン制御部21は、制御用マイコン25の機能ブロックである。メイン制御部21の機能は、制御用マイコン25において所定のプログラムが実行されることにより、当該制御用マイコン25によって果たされる。メイン制御部21は、表示画像1において主画像2a及び補完画像2b(図2等参照)として表示される画像を、ローカルCAN81に出力された操作情報に基づいて決定する。そしてメイン制御部21は、映像描画部22及び映像合成部23に対して、表示画像1を生成するための指令を行う。加えてメイン制御部21は、補完画像2bにおいてポインタ画像2c(図2等参照)を描画する位置を、映像描画部22に対して指令する。さらにメイン制御部21は、映像描画部22が補完画像2bを生成するために要する情報、例えば車両情報、楽曲情報又は映像情報、再生状態情報、及び操作情報等を、ローカルCAN81を通じて取得し、映像描画部22に出力する。
【0041】
映像描画部22及び映像合成部23は、共に描画用マイコン26の機能ブロックである。映像描画部22及び映像合成部23の機能は、描画用マイコン26において所定のプログラムが実行されることにより、当該描画用マイコン26によって果たされる。
【0042】
映像合成部23は、車両に搭載されるナビゲーション装置50等によって生成される各画像3a,5a,9a(図2〜4参照)のうちのいずれか一つを主画像2aとして取得する。この各画像のうち、ナビゲーション画像3a及びオーディオ画像5aには、ボタン画像2d(図2及び図3参照)が含まれている。
【0043】
映像合成部23に取得される主画像2a(図2等参照)は、表示画像1(図2等参照)よりも少ない画素数にて生成される。そこで映像描画部22は、映像合成部23によって取得される主画像2aの画素数と、表示画像1の画素数との差を補完する補完画像2b(図2等参照)を生成する。映像描画部22は、メイン制御部21を通じて取得した各情報を用いて補完画像2b、並びに補完画像2bと重畳されるポインタ画像2c及びボタン画像2e(図2等参照)を生成する。補完画像2bとして生成される画像は、例えば、オーディオ及びエアコンに関する情報を表す情報画像5b(図2及び図3参照)及びテレビ操作画像9b(図4参照)等である。これらの補完画像2bは、映像合成部23に出力される。
【0044】
映像合成部23は、ナビゲーション装置50から取得する映像信号に基づく主画像2a(図2等参照)と、映像描画部22により生成される補完画像2b(図2等参照)とを合成する。これにより映像合成部23は、主画像2a及び補完画像2bが並列された表示画像1(図2等参照)を生成する。そして表示画像1の映像信号は、例えばLow Voltage Differential Signaling(LVDS)等の映像用の出力方式により、制御回路20から液晶ディスプレイ装置40に逐次出力される。以上により、表示画面40a(図2等参照)は、映像合成部23によって取得される主画像2aを主表示領域42(図2等参照)に表示し、映像合成部23によって生成される補完画像2bを補完表示領域43(図2等参照)に表示する。
【0045】
図1及び図2に示すように、液晶ディスプレイ装置40は、車両室内のインスツルメントパネルの中央部等に配置される表示器であって、表示画面40aに表示画像1を表示することにより運転者に種々の情報を提供する。液晶ディスプレイ装置40は、液晶パネル41及びバックライト45を有している。
【0046】
液晶パネル41の表示画面40aとなる部分には、例えば水平方向に1280の表示画素が、垂直方向に480の表示画素がそれぞれ配列されている。表示画面40aに配列される1280ドット×480ドットの表示画素のうち、800ドット×480ドットの表示画素が主表示領域42に属しており、480ドット×480ドットの表示画素が補完表示領域43に属している。このように、補完表示領域43は、主表示領域42よりも表示画面上における表示面積が狭くされている。また、バックライト45は、液晶パネル41を表示方向の裏面側から透過照明する。液晶ディスプレイ装置40は、制御回路20から出力された映像信号を取得し、液晶パネル41の各表示画素を制御することにより、当該映像信号に基づく表示画像1を表示する。
【0047】
図2〜図4は、以上の構成によって液晶ディスプレイ装置40に表示される表示画像1の複数の例である。以下、図2〜図4及び図1に基づいて、液晶ディスプレイ装置40に表示される表示画像1についてさらに詳細に説明する。
【0048】
まず、表示画像1、主画像2a、及び補完画像2bのそれぞれの画素数について説明する。表示画像1の画素数は、液晶ディスプレイ装置40の表示画素の数に対応しており、1280ドット×480ドットである。一方、主画像2aとして用いられるナビゲーション装置50で生成される画像の画素数は、表示画像1の画素数よりも少ない。具体的に、主画像2aの画素数は、800ドット×480ドットである。上述した主表示領域42に属する表示画素の数は、これら主画像2aの画素数に応じて規定されている。
【0049】
このように、ナビゲーション装置50は、表示画面40aの表示画素の数に対して、少ない画素数の画像しか生成することができない。故に、主画像2aと補完画像2bとを合成することにより、表示画像1の画素数と主画像2aの画素数との差は補完される。補完画像2bは、表示画面40aの表示画素の数と、主表示領域42に属する表示画素の数との差を補完するよう、480ドット×480ドットの画素数にて生成される。
【0050】
図2の主画像2aであるナビゲーション画像3aは、車両の現在位置を示す地図画像を主体に構成されている。このナビゲーション画像3aは、車両の現在地、進行方向、目的地までの所要時間等の情報を表示する。ナビゲーション画像3aには、ポインタ画像2c及びボタン画像2dが描画される。ポインタ画像2cとボタン画像2dとを表示上において重ねつつ選択ボタン32を押圧する操作が操作装置30に入力された場合、ナビゲーション画像3aには、地図画像の拡大又は縮小等の表示態様の変化が生じる。
【0051】
また、図2の補完画像2bである情報画像5bは、ローカルCAN81を通じて取得した楽曲情報及び再生状態情報、並びに車両情報に基づいて生成されており、オーディオ情報画像部5c及びエアコン情報画像部5dを有している。これらオーディオ情報画像部5c及びエアコン情報画像部5dは、補完表示領域43内において表示画面40aの鉛直方向に沿って並列されている。
【0052】
オーディオ情報画像部5cは、オーディオ装置51によって現在再生されている楽曲のタイトル、アルバム名等を報知するステータス画像2gを備えている。加えて、オーディオ情報画像部5cは、オーディオ装置51を操作することにより、音量の調整や楽曲の選択等を行うためのボタン画像2eを備えている。このボタン画像2eにポインタ画像2cを重畳しつつ選択ボタン32を押圧する操作が操作装置30に入力された場合、オーディオ装置51は、音量の調整及び楽曲の選択等を実施する。
【0053】
エアコン情報画像部5dは、エアコンの現在の設定情報、例えば風量、風向、設定温度等の情報を報知するステータス画像2gを備えている。加えて、エアコン情報画像部5dは、エアコン制御装置86を操作することにより、空調の設定温度や風量を変更するためのボタン画像2eを備えている。このボタン画像2eにポインタ画像2cを重畳しつつ選択ボタン32を押圧する操作が操作装置30に入力された場合、エアコン制御装置86は、設定温度や風量の変更を実施する。
【0054】
図3の主画像2aであるオーディオ画像5aは、オーディオ装置51から取得した楽曲情報に基づいてナビゲーション装置50により生成されている。オーディオ画像5aは、オーディオ装置51によって現在再生されている楽曲のタイトル、アルバム名等を報知するステータス画像2fを備えている。加えて、オーディオ画像5aは、オーディオ装置51を操作することにより、音量の調整や楽曲の選択等を行うためのボタン画像2dを備えている。このボタン画像2dにポインタ画像2cを重畳しつつ選択ボタン32を押圧する操作が操作装置30に入力された場合、オーディオ装置51は、音量の調整及び楽曲の選択等を実施する。このオーディオ画像5aは、補完画像2bである情報画像5bのオーディオ情報画像部5cと実質的に同一の画像である。尚、図3の補完画像2bである情報画像5bは、図2において説明した補完画像2bと同一のものである。
【0055】
図4の主画像2aであるテレビ画像9aは、ナビゲーション装置50によって生成されている。このテレビ画像9aと並列される補完画像2bは、当該テレビ画像9aを操作するためのテレビ操作画像9bである。テレビ操作画像9bは、ナビゲーション装置50から取得した受信情報に基づいて映像描画部22により生成される。テレビ操作画像9bは、テレビ画像9aに表示されているテレビ放送の放送局名及びチャンネル番号を報知するステータス画像2g及び、ナビゲーション装置50を操作することにより受信する放送局を変更するためのボタン画像2eを備えている。このボタン画像2eにポインタ画像2cを重畳しつつ選択ボタン32を押圧する操作が操作装置30に入力された場合、ナビゲーション装置50は、受信する放送局の変更を実施する。
【0056】
次に、図5及び図1に基づいて、車両用表示装置100の作動を説明する。本実施形態では、主表示領域42及び補完表示領域43の境界線41aを跨いで、主表示領域42及び補完表示領域43のうちの一方から他方へポインタ画像2cの表示位置を移動させることにより、アクティブ表示領域が切り替わる。以下、上述した主表示領域42及び補完表示領域43間におけるアクティブ表示領域の切り替えと、当該切り替えに伴う表示態様の変化について詳細に説明する。
【0057】
まず、図5(a)に示すように、補完画像2bを表示する補完表示領域43がアクティブ表示領域であって、当該補完表示領域43にポインタ画像2cが表示された状態とする。この状態では、表示画面40aは、映像合成部23によって取得されるボタン画像2dを主表示領域42に表示し、メイン制御部21によって生成されるボタン画像2eを補完表示領域43に表示している。これらボタン画像2d及びボタン画像2eは、互いに明度及び彩度が実質的に同一となるよう調整されている。
【0058】
この状態下、図5(b)に示すように、境界線41aを跨ぎ、補完表示領域43から主表示領域42に向けてポインタ画像2cの表示位置を移動させるユーザ操作が操作装置30へ入力される。このユーザ操作により操作装置30に入力される切替要求によって、ポインタ画像2cによるボタン画像2d,2eの選択が可能なアクティブ表示領域が、主表示領域42及び補完表示領域43間で切り替わる。具体的には、主表示領域42がアクティブ表示領域に切り替わると共に、補完表示領域43が非アクティブ表示領域に切り替わる。
【0059】
このような切替要求が操作装置30へ入力された場合、非アクティブ表示領域となった補完表示領域43に表示されるボタン画像2eは、選択できない非アクティブボタン画像となる。一方、アクティブ表示領域となった主表示領域42に表示されるボタン画像2dは、選択可能なアクティブボタン画像となる。故に、図5(c)に示すように、非アクティブボタン画像であるボタン画像2eの明度及び彩度は、アクティブボタン画像であるボタン画像2dの明度及び彩度よりも低く調整される(以下、トーンダウン)。一方、オーディオ情報画像部5c及びエアコン情報画像部5dの各ステータス画像2gの明度及び彩度は、非アクティブ表示領域に切り替えられる前のまま維持される。尚、図5(c),(d)のオーディオ情報画像部5c及びエアコン情報画像部5dにおいて、トーンダウンされているボタン画像2eは、破線にて図示されている。
【0060】
これにより、非アクティブ表示領域に表示される場合の非アクティブステータス画像としてのステータス画像2gの明度及び彩度と、アクティブ表示領域に表示される場合のアクティブステータス画像としてのステータス画像2gの明度及び彩度とが実質的に同一となる。また、非アクティブ表示領域となった補完表示領域43から消えるとともに、アクティブ表示領域となった主表示領域42に現れるポインタ画像2cは、操作装置30に入力されるユーザ操作に応じて主表示領域42を移動可能となる。
【0061】
さらに、主表示領域42がアクティブ表示領域である状態下から、図5(d)に示すように、境界線41aを跨ぎ、主表示領域42から補完表示領域43に向けてポインタ画像2cの表示位置を移動させるユーザ操作が操作装置30へ入力される。この切替要求によって、補完表示領域43がアクティブ表示領域に切り替わると共に、主表示領域42が非アクティブ表示領域に切り替わる。
【0062】
以上の切り替えによって、図5(e)に示すように、オーディオ情報画像部5c及びエアコン情報画像部5dの各ボタン画像2eは、トーンダウンを解除され、主表示領域42に表示されているボタン画像2dと同程度の明度及び彩度にて表示される。また、非アクティブ表示領域となった主表示領域42から消えるとともに、アクティブ表示領域となった補完表示領域43に現れるポインタ画像2cは、操作装置30(図1参照)に入力されるユーザ操作に応じて補完表示領域43を移動可能となる。
【0063】
次に、操作装置30に入力される切替要求により、アクティブ表示領域が主表示領域42及び補完表示領域43間で切替られる処理について、図6に基づいて説明する。図6において説明する処理は、運転手等のユーザが車両のアクセサリー(ACC)電源をONにすることにより、メイン制御部21によって実施される。メイン制御部21による処理は、車両のACC電源がOFFにされるまで繰り返される。
【0064】
ステップS101では、補完表示領域43がアクティブ表示領域である旨の情報をローカルCAN81に出力し、ステップS102に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、補完表示領域43がアクティブ表示領域である旨の情報を取得することにより、非アクティブ表示領域である主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対するポインタ画像2cの重畳を行わない。
【0065】
ステップS102では、補完画像2bにポインタ画像2cを重畳する指令を映像描画部22に出力し、S103に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、初期位置として、例えば補完画像2bの中央に、ポインタ画像2cを重畳する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43にポインタ画像2cが表示される(図5(a)参照)。
【0066】
ステップS103では、ローカルCAN81を通じて、操作装置30に入力されるポインタ画像2cの位置を表示画面上において移動させるためのユーザ操作による操作情報を取得し、ステップS104に進む。
【0067】
ステップS104では、ステップS103で取得した操作情報に基づいて、補完画像2bにおいてポインタ画像2cの重畳される位置を、映像描画部22に出力し、ステップS105に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bにおいてポインタ画像2cが重畳される位置を変更する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、ポインタ画像2cは、操作装置30に入力された移動要求の操作に応じて、アクティブ表示領域である補完表示領域43内を移動する。
【0068】
ステップS105では、ステップS104によって移動したポインタ画像2cが、主画像2aと補完画像2bとの境界線41aに位置しているかを判定する。ポインタ画像2cの表示位置が境界線41aから外れていた場合、ステップS103に戻る。一方、ポインタ画像2cが境界線41aに位置していた場合、ステップS106に進む。
【0069】
ステップS106では、アクティブ表示領域を補完表示領域43から主表示領域42へ切り替えるため、主表示領域42がアクティブ表示領域である旨の情報をローカルCAN81に出力し、ステップS107に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、主表示領域42がアクティブ表示領域である旨の情報を取得することにより、主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対して、ポインタ画像2cの重畳を開始する。これにより、表示画面40aの主表示領域42には、ポインタ画像2cが現れる。(図5(b)参照)。
【0070】
ステップS107では、補完画像2bへのポインタ画像2cの重畳を中止する指令、及びボタン画像2eをトーンダウンさせる指令を映像描画部22に出力し、ステップS108に進む。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bへのポインタ画像2cの重畳を中止するとともに、ボタン画像2eの明度及び彩度を低下させる調整を行う。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43からポインタ画像2cが消える。加えて、非アクティブボタン画像となったボタン画像2eは、トーンダウンする(図5(c)参照)。以上の処理により、アクティブ表示領域は、補完表示領域43から主表示領域42に切り替えられる。
【0071】
ステップS108では、ステップS103と同様に、ローカルCAN81を通じて、操作装置30に入力されるポインタ画像2cの位置を表示画面上において移動させるためのユーザ操作による操作情報を取得し、ステップS109に進む。このとき、ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて取得した、ユーザ操作による操作情報に基づいて、ポインタ画像2cを重畳する位置を変更する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、ポインタ画像2cは、操作装置30に入力されたユーザ操作に応じて、アクティブ表示領域である主表示領域42内を移動する。
【0072】
ステップS109では、ステップS109によって移動したポインタ画像2cが、主画像2aと補完画像2bとの境界線41aに位置しているかを判定する。ポインタ画像2cの表示位置が境界線41aから外れていた場合、ステップS108に戻る。一方、ポインタ画像2cが境界線41aに位置していた場合、ステップS110に進む。
【0073】
ステップS110では、アクティブ表示領域を主表示領域42から補完表示領域43へ切り替えるため、補完表示領域43がアクティブ表示領域である旨の情報をローカルCAN81に出力し、ステップS111に進む。ナビゲーション装置50は、ローカルCAN81を通じて、補完表示領域43がアクティブ表示領域である旨の情報を取得することにより、主表示領域42に表示される例えばナビゲーション画像3aに対するポインタ画像2cの重畳を中止する。これにより、表示画面40aの主表示領域42から、ポインタ画像2cが消える。(図5(d)参照)。
【0074】
ステップS111では、ポインタ画像2cの描画を開始する指令、及びボタン画像2eのトーンダウンを解除する指令を映像描画部22に出力する。そして、ステップS103に戻り、当該ステップS103からステップS111までの処理を繰り返す。映像描画部22は、メイン制御部21からの指令に基づいて、補完画像2bへのポインタ画像2cの重畳を開始するとともに、ボタン画像2eの明度及び彩度を低下させる調整を中止する。これにより、液晶ディスプレイ装置40の表示画面40aでは、補完表示領域43にポインタ画像2cが現れる。加えて、アクティブボタン画像となったボタン画像2eは、補完表示領域43に通常のトーンにて表示される(図5(e)参照)。
【0075】
ここまで説明した本実施形態では、切替要求により、非アクティブボタン画像となったボタン画像2eは、アクティブボタン画像となったボタン画像2dよりも明度及び彩度が低くなるよう調整される。非アクティブボタン画像に対して、明度及び彩度の高いアクティブボタン画像は、当該非アクティブボタン画像よりも運転者等の目を惹き付けることができる。
【0076】
以上により運転者等は、選択可能なアクティブボタン画像と、選択できない非アクティブボタン画像とを見分け易くなる。これにより運転者等は、所望の操作を行うために選択すべきボタン画像2dを、アクティブボタン画像の中から探せばよくなる。以上により、運転者等は、所望のボタン画像2dを素早く見つけ出すことができるようになる。したがって、高い操作性を備えた車両用表示装置100の提供が可能になる。
【0077】
また、本実施形態のように、複数の表示領域のうちで表示面積の広い主表示領域42は、運転者等によって注視され易い。対して、主表示領域42よりも表示面積の狭い補完表示領域43に表示されるボタン画像2eは、運転者等によって注視され難い。そこで、表示面積の狭い補完表示領域43に表示されるボタン画像2eが非アクティブボタン画像となる場合に、このボタン画像2eの明度及び彩度を低下させるようにすれば、非アクティブボタン画像であるボタン画像2eは、さらに運転者等の目を惹き難いものとなる。
【0078】
加えて本実施形態では、操作装置30へのユーザ操作の入力に応じて移動するポインタ画像2cは、運転者等の目を惹き易い。故に、ポインタ画像2cがアクティブ表示領域に表示される形態では、運転者等は、ポインタ画像2cの表示されるアクティブ表示領域、ひいては当該アクティブ表示領域に表示されるアクティブボタン画像を注視するように仕向けられ得る。
【0079】
さらに本実施形態では、ポインタ画像2cを移動させるユーザ操作を切替要求として操作装置30が受ける形態とすることにより、運転者等は、現在アクティブ表示領域となっている表示領域を把握し易くなる。アクティブ表示領域を把握し易くなることにより、アクティブ表示領域に表示されるアクティブボタン画像に、運転者等の目を確実に向けさせることができる。
【0080】
これらの、非アクティブボタン画像であるボタン画像2eを運転者の目を惹き難いものにすると共に、アクティブボタン画像に運転者等の目を向けさせることによる相乗効果によれば、アクティブボタン画像は、さらに運転者等の目を惹くことができるようになる。以上により、運転者等は、非アクティブボタン画像との見分けが容易となったアクティブボタン画像の中から、さらに素早く所望のボタン画像を見つけ、ポインタ画像を重畳することにより、当該ボタン画像を選択状態とすることができるようになる。したがって、車両用表示装置の操作性は、さらに優れたものとなる。
【0081】
また加えて本実施形態では、非アクティブ表示領域に表示される非アクティブステータス画像の明度及び彩度は、アクティブ表示領域に表示されるアクティブステータス画像の明度及び彩度と実質的に同一となるよう調整される。このように、明度及び彩度が高いまま維持された非アクティブステータス画像は、運転者等の目を惹くことができるので、車載装置の状態情報を報知する作用を発揮し続けられる。加えて、ステータス画像2gは、ボタン画像2d,2eではないので、所望のボタン画像2dを見つけ出そうとする運転者等の動作を妨げ難い。したがって、非アクティブステータス画像の明度及び彩度を高いまま維持することにより、車両用表示装置100は、高い操作性を維持したまま、非アクティブ表示領域を活用した状態情報の報知を確実に行うことができる。
【0082】
さらに加えて本実施形態では、並列する主表示領域42及び補完表示領域43に、ナビゲーション装置50から取得されるボタン画像2dと、映像描画部22によって生成されるボタン画像2eとが表示される。このように、表示領域毎にボタン画像2d,2eを生成する構成が異なると、ボタン画像2d,2eは、その明度及び彩度がばらつき易くなる。すると、非アクティブボタン画像がアクティブボタン画像よりも高い明度又は彩度にて、表示画面に表示され、運転者等の目を惹いてしまう懸念が生じる。
【0083】
しかし、補完表示領域43が非アクティブ表示領域となった場合には、非アクティブボタン画像であるボタン画像2eは、明度及び彩度が低く表示される。故に、アクティブボタン画像であるボタン画像2dよりもボタン画像2eが運転者等の目を惹いてしまう事態は、未然に防がれ得る。このように、非アクティブボタン画像の明度及び彩度を低下させることにより運転者等の操作性を向上させる効果は、異なる構成によってボタン画像2d,2eが生成される形態で、顕著に発揮されるのである。
【0084】
尚、上記実施形態において、制御回路20が請求項に記載の「画像表示調整手段」に相当し、映像合成部23が請求項に記載の「画像取得手段」に相当し、操作装置30が請求項に記載の「入力手段」に相当し、主表示領域42が請求項に記載の「第一表示領域」に相当し、補完表示領域43が請求項に記載の「第二表示領域」に相当し、ナビゲーション装置50、オーディオ装置51、エアコン制御装置86、及び車両用表示装置100が請求項に記載の「車載装置」に相当する。
【0085】
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0086】
上記実施形態では、補完表示領域43が非アクティブ表示領域に切替られた場合に、非アクティブボタン画像となったボタン画像2eの明度及び彩度を共に低下させることにより、運転者等による操作性の向上を図っていた。しかし、主表示領域42が非アクティブ表示領域に切替られた場合に、主表示領域42に表示されるボタン画像2dの明度及び彩度が低下する構成であってもよい。また、非アクティブボタン画像は、明度及び彩度が共に低くされる必要は無く、明度及び彩度のいずれか一方のみの低下によって、運転者等の目を惹かないようにされてもよい。
【0087】
上記実施形態では、ステータス画像2gは、非アクティブ表示領域に表示されるものであっても、明度及び彩度が維持されていた。しかし、例えば、図7に示すように、アクティブ表示領域である主表示領域42にオーディオ画像5aが表示され、非アクティブ表示領域である補完表示領域43に情報画像5bが表示された場合、オーディオ情報画像部5cのステータス画像2gは、トーンダウンされることが望ましい。これは、オーディオ画像5aのアクティブステータス画像であるステータス画像2fと、情報画像5bの非アクティブステータス画像であるステータス画像2gとが、相互に関連する情報を表すためである。このように、ステータス画像によって表される情報が重複した場合、一方をトーンダウンさせることにより、運転者等は、ステータス情報も素早く把握できるようになる。尚、図7の情報画像5bにおいて、トーンダウンされている部分は、破線にて図示されている。
【0088】
上記実施形態では、情報画像5bのボタン画像2eをトーンダウンした例を用いて説明した。しかし、トーンダウンされるボタン画像2eは、情報画像5bに含まれるものに限られない。例えば、図8に示すように、テレビ画像9aと並列表示されるテレビ操作画像9bのボタン画像2eがトーンダウンされてもよい。尚、図7と同様に、図8のテレビ操作画像9bにおいて、トーンダウンされているボタン画像2eは、破線にて図示されている。
【0089】
上記実施形態では、表示画面40a上において表示面積の狭い補完表示領域43に表示されるボタン画像2eをトーンダウンさせていた。しかし、トーンダウンされるのは、表示面積の狭い表示領域に表示されるボタン画像に限られない。例えば、補完表示領域43よりも表示面積の広い主表示領域42に表示されるボタン画像2dを、主表示領域42が非アクティブ表示領域となった場合に、トーンダウンする形態であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、車両用表示装置100は、ナビゲーション装置50によって生成されたボタン画像2dを含む主画像2aを取得するとともに、映像描画部22によってボタン画像2eを含む補完画像2bを生成し、これら主画像2a及び補完画像2bを表示画面40aに並列表示していた。しかし、これらボタン画像2d,2eを含む主画像2a及び補完画像2bは、共に映像描画部22によって生成されてもよい。又は、主画像2a及び補完画像2bは、共に車両用表示装置100に接続されたナビゲーション装置50等の車載装置から取得されてもよい。
【0091】
上記実施形態では、アクティブ表示領域から非アクティブ表示領域にポインタ画像2cを移動させるユーザ操作が、主表示領域42及び補完表示領域43間においてアクティブ表意時領域を切り替える切替要求とされていた。しかし、切替要求の入力は、ポインタ画像2cを移動させるユーザ操作によるものでなくてもよい。例えば、操作装置30に設けられた切り替えのためのボタンを押圧するユーザ操作の入力が、主表示領域42及び補完表示領域43間においてアクティブ表示領域を切り替える切替要求とされてもよい。又は、例えばタッチパネル等によってボタン画像を選択する形態の車両用表示装置においては、主表示領域又は補完表示領域を押圧することによって、アクティブ表示領域が切り替えられもよい。
【0092】
上記実施形態では、主画像2a又は補完画像2bとして、ナビゲーション画像3a及びオーディオ画像5a等を例に説明した。しかし、主画像2a及び補完画像2bは、情報を乗員に報知するための種々の画像であれば、上記実施形態において例示された画像に限定されない。例えば、オーディオ装置51に携帯型の音楽プレーヤーや携帯電話等の通信機器が接続されている場合、これらの機器を操作装置30により操作するための操作画像が、主画像2a又は補完画像2bとして表示画面40aに表示されてもよい。
【0093】
上記実施形態では、制御回路20は、制御用マイコン25及び描画用マイコン26という二つのマイコンの機能ブロックとして、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23を有していた。しかし、制御回路20の構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23は、制御回路に実装された一つのマイコンの機能ブロックであってもよい。又は、プログラムの実行によらないアナログ回路によって、メイン制御部21、映像描画部22、及び映像合成部23が制御回路に構成されていてもよい。
【0094】
上記実施形態では、グローバルCAN80に出力された情報は、ナビゲーション装置50により一旦取得された後、当該ナビゲーション装置50からローカルCAN81に出力されることにより、制御回路20に取得されていた。しかし、制御回路20は、グローバルCAN80と直接接続されて、ローカルCAN81を通じてではなく、グローバルCAN80を通じで情報を取得してもよい。
【0095】
上記実施形態では、液晶ディスプレイ装置40は、1280ドット×480ドットの表示画素を備える表示装置であった。しかし、液晶ディスプレイ装置の表示画素の数は、上記実施形態に限定されない。車両用表示装置は、さらに表示画素の数が多い液晶ディスプレイ装置を備えていてもよい。また、車両用表示装置は、液晶ディスプレイ装置に替えて、プラズマディスプレイパネルや有機ELディスプレイを用いた表示装置を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 表示画像、2a 主画像、2b 補完画像、2c ポインタ画像、2d,2e ボタン画像、2f,2g ステータス画像、3a ナビゲーション画像、3b ナビゲーション画像、5a オーディオ画像、5b 情報画像、5c オーディオ情報画像部、5d エアコン情報画像部、9a テレビ画像、9b テレビ操作画像、20 制御回路(画像表示調整手段)、21 メイン制御部、22 映像描画部、23 映像合成部(画像取得手段)、25 制御用マイコン、26 描画用マイコン、30 操作装置(入力手段)、40 液晶ディスプレイ装置、40a 表示画面、41 液晶パネル、41a 境界線、42 主表示領域(第一表示領域)、43 補完表示領域(第二表示領域)、45 バックライト、50 ナビゲーション装置(車載装置)、51 オーディオ装置(車載装置)、80 グローバルCAN、81 ローカルCAN、86 エアコン制御装置、100 車両用表示装置(車載装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示画面を備え、前記車両に搭載された車載装置を操作するために選択するボタン画像を表示する複数の表示領域が前記表示画面に並列して形成される車両用表示装置であって、
前記ボタン画像の選択が可能なアクティブ表示領域を、前記表示画面に形成されている前記複数の表示領域のうちで切り替えるための切替要求が、ユーザ操作により入力される入力手段と、
前記アクティブ表示領域を切り替える前記切替要求が前記入力手段へ入力された場合に、非アクティブ表示領域に表示する前記ボタン画像としての非アクティブボタン画像の明度及び彩度のうち少なくとも一方を、前記アクティブ表示領域に表示する前記ボタン画像としてのアクティブボタン画像の明度及び彩度よりも低く調整する画像表示調整手段と、を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記複数の表示領域には、前記車載装置の状態情報を報知するためのステータス画像が表示され、
前記画像表示調整手段は、前記アクティブ表示領域を切り替える前記切替要求が前記入力手段へ入力された場合であっても、前記非アクティブ表示領域に表示する前記ステータス画像としての非アクティブステータス画像の明度及び彩度を、前記アクティブ表示領域に表示する前記ステータス画像としてのアクティブステータス画像の明度及び彩度と実質的に同一となるよう調整することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示画面は、前記表示領域として、第一表示領域及び前記第一表示領域よりも表示面積の狭い第二表示領域を有し、
前記画像表示調整手段は、前記第二表示領域から前記第一表示領域に前記アクティブ表示領域を切り替える前記切替要求が前記入力手段へ入力された場合に、前記非アクティブ表示領域としての前記第二表示領域に表示する前記非アクティブボタン画像の明度及び彩度のうち少なくとも一方を、前記アクティブ表示領域としての前記第一表示領域に表示する前記アクティブボタン画像よりも低く調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記第一表示領域に表示される前記ボタン画像を、前記車載装置から取得する画像取得手段をさらに備え、
前記表示画面は、前記画像取得手段によって取得される前記ボタン画像を前記第一表示領域に表示し、前記画像表示調整手段によって生成される前記ボタン画像を前記第二表示領域に表示することを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示画面は、前記入力手段への前記ユーザ操作の入力に応じて前記アクティブ表示領域内を移動し、前記アクティブボタン画像と重畳されることにより当該アクティブボタン画像を選択状態にするポインタ画像を、前記アクティブ表示領域に表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記入力手段は、前記アクティブ表示領域から当該アクティブ表示領域と並列する前記非アクティブ表示領域に向けて、前記ポインタ画像を移動させる前記ユーザ操作を前記切替要求として受けることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−58995(P2012−58995A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201311(P2010−201311)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】