説明

車両用計器システム及び車両用計器診断方法

【課題】計器や周辺部品を取り外すことなくセンサーから計器までの入力側回路の診断を行う車両用計器システムを提供する。
【解決手段】センサー10からの信号を制御部22に受信するための入力回路21中に、センサー10を計器20に対して切り離したり接続したりするためのスイッチ214を設けておく。故障診断時に、制御部22は、スイッチ214を閉じた状態及び開放した状態各々で検出端子221に入力される信号を検出し、これを診断ツール30に送信する。診断ツール30には、予め入力回路21の各素子の定格値等から基準信号を算出して記憶しておく。そして、診断ツール30において、制御部22から送信される検出信号と基準信号とを比較し、計器20の入力側回路(入力回路21及びセンサー10から計器20までの回路)が適切か否かをチェックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両において車両の所定の状態を検出してドライバ等の使用者に通知する車両用計器システムであって、特に、計器の故障の診断を行うことのできる車両用計器システム及びその車両用計器診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、ドライバに車両の状態を知らせるために、スピードメーター、タコメーター、トリップメーター、オドメーター、燃料計あるいは水温計等のメーター類や、エンジン、充電、半ドア、シートベルト、ABS ブレーキ、燃料残量、ハイビーム等の所定の状態を表示する表示灯や警告灯が備わっている。これらの計器は、ドライバが車両を安全かつ快適に使用するために重要であり、これらの計器が適正に作動しているか否かを適宜診断することが望ましい。
そのための装置として、例えばメーター等の表示装置に所定の診断用の制御信号を印加し、これにより各表示装置が適正に駆動されるか否か、すなわち制御信号に基づく適正な表示が行えているか否かを診断する診断装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−182473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の従来の診断装置は、表示装置としてのメーターとコントローラとの間の異常、すなわちコントローラの出力側の異常の有無を検出しているものであって、コントローラの入力側については何ら診断を行っていない。従って、センサーからコントローラまでの入力側回路に何らかの異常が生じた場合は、従来の診断装置ではこれを検出することはできなかった。そのため、そのような場合は、センサーとコントローラとを物理的に切り離して調査を行い回路の不具合を突き止めなければならず、故障の原因を特定するために多大な工数が必要であった。
また、異常の無いセンサーやコントローラ等を誤交換する可能性があり、その点においても作業効率が悪く、また作業コストが高くなる可能性があった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、計器や周辺部品を取り外すことなくセンサーからコントローラまでの計器の入力側回路についても適切にこれを診断することのできる車両用計器システム及び車両用計器診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る車両用計器システムは、車両の所望の状態を検出し、当該検出の結果に係る検出信号を出力するセンサーと、前記センサーから出力される検出信号に基づいて、前記検出の結果の前記車両の状態を車両の使用者が認識可能なように出力する計器部と、前記センサーを前記検出信号が前記計器部に入力されるように前記計器部に接続させる、又は、前記検出信号が前記計器部に入力されないように前記計器部から切り離すスイッチと、前記スイッチを前記接続状態とした時及び前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号に基づいて、前記計器部の入力側の故障診断を行う故障診断手段とを有する。
【0006】
このような構成の計器システムにおいては、スイッチを操作することによりセンサーを計器部に接続させたり切り離したりすることができ、また、各状態に応じた信号を計器部で検出することができる。従って、センサーを物理的に切り離すこと無く、計器部の入力側回路の故障診断が可能となる。
【0007】
好適には、前記故障診断手段は、前記計器部の入力側回路及び前記スイッチが所定の状態となった時に前記計器部で検出される信号値を基準信号として予め記憶しておき、前記スイッチを前記接続状態とした時、及び、前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号を、前記基準信号と比較することにより、前記計器部の入力側の故障診断を行う。
また好適には、前記故障診断手段は、前記計器部で検出される信号を前記基準信号と比較することにより、故障部位を特定する。
【0008】
また、本発明に係る車両用計器診断方法は、車両の所望の状態をセンサーで検出し、前記センサーから出力される当該検出の結果に係る検出信号に基づいて、前記検出の結果の前記車両の状態を車両の使用者が認識可能なように出力する車両用計器の診断方法であって、前記センサーを前記検出信号が前記計器部に入力されるように前記計器部に接続させる、又は、前記検出信号が前記計器部に入力されないように前記計器部から切り離すスイッチを設け、前記スイッチを前記接続状態とした時及び前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号に基づいて、前記計器部の入力側の故障診断を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計器や周辺部品を取り外すことなくセンサーからコントローラまでの計器の入力側回路についても適切にこれを診断することのできる車両用計器システム及び車両用計器診断方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態の車両用計器システムについて図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態の計器システム1の構成を示す回路図である。
図1に示すように、計器システム1は、センサー10、計器20及び診断ツール30を有する。
なお、通常自動車には多種多様な複数のセンサー及びこれに対応する複数の表示部(メーターや警告灯等)が備わっているが、本実施形態では、そのうち任意の1つのセンサー、これに対応する1つの表示部を有する計器、及び、この1つのセンサー及び計器の診断を行うための診断ツール30を具備したシステムを例示して本発明を説明する。
【0011】
まず、計器システム1の構成について説明する。
センサー10は、自動車の所望の状態を検出する手段である。具体的には、例えば自動車の速度、エンジン回転数、走行距離、燃料残量、冷却水の水温、油圧、バッテリ充電量、シートベルト未着用状態、半ドア状態、パーキングブレーキの状態、ターンシグナルの状態、ヘッドランプ等のランプ類の状態、エアバック機構の状態、ABS機構の状態、アクティブサスペンション機構の状態、A/Tポジションあるいは4WD等の前後輪駆動状態等を検出するセンサーである。
センサー10は、そのような検出対象(被測定量)に応じた所定の物理量を計測あるいは検出し、電気的インピーダンスの変化に変換して出力する。ここでは特に、センサー10は、測定量を最終的に電圧信号(すなわち、電圧源としての抵抗値の変化)に変換して出力するものとする。
【0012】
計器20は、センサー10で検出された自動車の所望の状態を、所望の形態で自動車のドライバに通知するための信号処理手段及び表示手段である。
計器20は、入力回路21、制御部22及び表示部23を有する。
【0013】
入力回路21は、所望の検出対象の計測あるいは検出の結果としてのセンサー10の出力電圧(抵抗値)を、所望の特性(オフセットやレンジ等)の信号として制御部22に入力するインターフェイス回路である。入力回路21は、第1〜第3の抵抗211〜213及びスイッチ214が図示のごとく接続された回路であり、センサー10の出力信号を制御部22の検出端子221に入力する。
このうち、スイッチ214は、センサー10と計器20の制御部22との接続を切り離すためのスイッチである。スイッチ214は、制御部22のスイッチ制御端子222から出力される制御信号により駆動され、オン/オフが切り替えられる。スイッチ214は、計器システム1が診断モードで作動される時には開いた状態(オフ状態)とされ、センサー10からの出力信号が制御部22に入力されない状態とされる。また、計器システム1が通常モードで作動される時には閉じた状態(オン状態)とされ、センサー10からの出力信号が入力回路21を介して制御部22の検出端子に入力される。
【0014】
制御部22は、センサー10において検出された自動車の所定の状態を表示部23を介してドライバに通知するための信号処理手段である。
計器システム1が通常モードで作動されている場合、制御部22には、入力回路21を介してセンサー10から検出結果の信号が入力される。制御部22は、その検出結果の信号に基づいて表示部23の駆動信号を生成し、これを表示部23に印加する。これにより、センサー10での検出結果が、所望の形態で表示部23を介してドライバ等に通知される。
【0015】
また、計器システム1が診断モードで作動されている場合、制御部22は、通信ポート223を介して接続される診断ツール30と協働して、所定の診断動作を行う。具体的には、制御部22は、スイッチ制御端子222からスイッチ214に制御信号を印加し、スイッチ214のオン/オフを制御する。すなわち、センサー10を計器20に対して実質的に切り離したり、接続したりする。そして、その両方の状態において、検出端子221で検出される信号(電圧)を検出し、診断ツール30に送信する。この電圧信号に基づいて診断ツール30において計器20の診断処理が行われるが、これについては後に詳細に説明する。
【0016】
診断ツール30は、計器20の故障診断処理を行うための回路である。診断ツール30は、制御部31、記憶部32及び表示部33を有する。
制御部31は、実際に計器20の故障診断処理を行う演算処理装置である。制御部31は、通信ポート311を介して計器20の制御部22と通信を行い、制御部22の制御を行うとともに制御部22から診断のための情報を獲得する。具体的には、計器20の入力回路21のスイッチ214をオン状態にした時に検出端子221で検出される信号(電圧)値、及び、スイッチ214をオフ状態にした時の検出端子221で検出される信号(電圧)値を制御部22から獲得する。それらの信号を獲得したら、記憶部32に記憶している基準の信号値(電圧値)とその獲得した信号を比較することにより、計器20の入力側回路に異常(故障)があるか否かの診断を行う。なお、診断ツール30におけるこの故障診断処理の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
【0017】
診断ツール30の記憶部32は、制御部31で行う故障診断処理で使用する(参照する)基準電圧の値を記憶しておく記憶部である。
また、診断ツール30の表示部33は、故障診断処理の結果を表示する表示部である。
【0018】
なお、診断ツール30の実現形態としては種々の形態が考えられる。
例えば、診断ツール30は携帯型の独立した装置であって、自動車の修理や検査の時にのみ整備者が搬送して設置するような形態の装置でもよい。
また、診断ツール30は実施には計器20とともに自動車に常に実装されており、故障診断を行う時にのみ有効にされて図示のごとく構成として利用される形態でもよい。
診断ツール30は、任意の形態で実現してよい。
【0019】
このような構成の計器システム1において行う計器20の故障診断処理について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。
図2は、計器システム1における計器20の故障診断処理の流れを示すフローチャートである。
例えば計器20に異常があると考えられる場合や定期的な検査等で、計器システム1の故障診断を行う場合、まず、診断ツール30を制御部22の通信ポート223に接続し、診断ツール30を稼動させる。これにより、診断ツール30と制御部22とが協働して行う診断処理が開始される(ステップS11)。
診断ツール30が稼動されると、診断ツール30から計器20に診断モードに移行するための所定の制御信号が送信される(ステップS12)。これを制御部22が受信し(ステップS22)、制御部22は診断モードに移行する(ステップS23)。
【0020】
制御部22は、診断モードに移行すると、まず、スイッチ制御端子222を介してスイッチ214に制御信号を印加し、スイッチ214をオン状態にする(ステップS24)。換言すれば、制御部22は、スイッチ214を、通常モードでの動作と同様にオン状態に維持する。その状態で、制御部22は、検出端子221から入力される信号(電圧)を検出し、第1の診断電圧v1として記憶する(ステップS25)。
【0021】
次に制御部22は、スイッチ制御端子222を介してスイッチ214に制御信号を印加し、スイッチ214をオフ状態にする(ステップS26)。これにより、センサー10は計器20から切り離された状態となる。この状態で、制御部22は、検出端子221から入力される信号(電圧)を検出し、第2の診断電圧v2として記憶する(ステップS27)。
そして、制御部22は、これら第1の診断電圧v1及び第2の診断電圧v2を、通信ポート223を介して診断ツール30に送信する(ステップS28)。
【0022】
診断ツール30においては、制御部22から送信される第1の診断電圧v1及び第2の診断電圧v2の情報を受信し(ステップS38)、以下、これらの診断電圧に基づいて計器20の異常診断を開始する(ステップS39)。
診断ツール30は、第1の診断電圧v1及び第2の診断電圧v2を、予め診断ツール30内に記憶している、あるいは診断ツール30において算出した基準電圧と比較することにより計器20の診断を行う。そのための基準電圧として、診断ツール30は、次式(1)〜(3)で表される第1〜第3の3つの基準電圧V1〜V3を用いる。
【0023】
【数1】

【0024】
【数2】

【0025】
【数3】

【0026】
式(1)〜式(3)において、R1〜R3は、各々計器20の入力回路21の第1〜第3の抵抗211〜213の定格抵抗値を示す。また、r1は、センサー10の抵抗値(出力値)であり、車両が停止している時や計測対象の装置が起動されていない時等で、実質的にセンサー10において計測が行われていない場合、あるいは、センサー10が所定の基準状態を計測している場合における抵抗値である。換言すれば、計器20が診断モードで動作される時のセンサー10の状態に対応する抵抗値である。
式(1)で示される基準電圧V1は、スイッチ214が閉じられた時(オン状態の時)の検出端子221の検出電圧(入力電圧)に相当する。
また、式(2)で示される基準電圧V2は、スイッチ214が閉じられており(オン状態であり)、センサー10のインピーダンスが無限大(センサー10が開放状態)の時の検出端子221の検出電圧に相当する。
また、式(3)で示される基準電圧V3は、スイッチ214が開放されている時(オフ状態の時)の検出端子221の検出電圧に相当する。
【0027】
以下、診断ツール30における異常診断処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
図4は、診断ツール30における異常診断処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
診断ツール30は、まず、第1の診断電圧v1が第1の基準電圧V1と等しいか否かをチェックする(ステップS41)。第1の診断電圧v1は、スイッチ214を閉じた状態で制御部22の検出端子221で実際に検出した電圧値であり、第1の基準電圧V1は、同じ状態でセンサー10の出力値(r1)及び入力回路21の各素子の定格値(R1〜R3)から算出した理論的な電圧値である。計器20の入力回路21の回路が正常であれば、これらの値は一致するはずである。従って、まずこの値を比較する。
【0029】
ステップS41において第1の診断電圧v1と第1の基準電圧V1とが等しい場合は、次に、第2の診断電圧v2が第3の基準電圧V3と等しいか否かをチェックする(ステップS42)。第2の診断電圧v2は、スイッチ214を開放した状態で制御部22の検出端子221で実際に検出した電圧値であり、第3の基準電圧V3は同じ状態で入力回路21の各素子の定格値(R1及びR2)から算出した理論的な電圧値である。入力回路21の回路が正常であれば、特にこの場合は入力回路21の第1の抵抗211及び第2の抵抗212の直列回路部分に短絡や絶縁等の異常がなく正常であれば、第2の診断電圧v2と第3の基準電圧V31とは一致するはずである。従って、次にこの値を比較する。
【0030】
ステップS42において第2の診断電圧v2と第3の基準電圧V3とが等しい場合は、スイッチ214を閉じた状態及び開放した状態の両状態において検出端子221から制御部22に入力される電圧値は正常なので、入力回路21は正常であるとの判定(診断)を行う(ステップS45)。
【0031】
ステップS42において第2の診断電圧v2と第3の基準電圧V3とが異なる場合は、第1の抵抗211及び第2の抵抗212の直列回路に何らかの異常がある、すなわち、例えばこの直列回路が断線していたり、他のライン(電源ラインや信号ライン)と短絡をしていたり、あるいは各抵抗の抵抗値が変化していたりする等の異常が発生していると考えられる。従って、この場合は、入力回路21に異常があるとの判定(診断)を行う(ステップS46)。
【0032】
一方、ステップS41において第1の診断電圧v1と第1の基準電圧V1とが異なる場合は、次に、第1の診断電圧v1が電源電圧Vccと等しいか否かをチェックする(ステップS43)。第1の診断電圧v1が電源電圧Vccと等しくなっている状態は、センサー10の出力から計器20の入力回路21の検出端子221に至るラインのいずれかで電源ラインへの短絡が発生している可能性が高い。従って、この場合は、入力回路21に異常があるとの判定(診断)を行う(ステップS46)。
【0033】
ステップS43において、第1の診断電圧v1が電源電圧Vccと等しい状態ではなかった場合は、次に、第1の診断電圧v1が第2の基準電圧V2と等しいか否かをチェックする(ステップS44)。前述したように、第2の基準電圧V2は、スイッチ214を閉じた状態でセンサー10のインピーダンスが無限大となっている時に検出端子221で検出される電圧値に相当する。従って、これらの値が等しくなっている状態は、センサー10から計器20への出力ラインに断線等が生じていたり、あるいはセンサー10自体に異常が発生している可能性が高く、いずれにしても適切な状態ではない。従って、この場合も、計器20の入力側回路に異常があるとの判定(診断)を行う(ステップS46)。
【0034】
ステップS44において、第1の診断電圧v1と第2の基準電圧V2とが異なる場合は、制御部22の検出端子221への入力側において電源ラインへの短絡も発生しておらず(ステップS43)、センサー10での断線も生じておらず(ステップS44)、第1の診断電圧v1と第1の基準電圧V1とが異なってはいたものの(ステップS41)、これは計測対象の変動等によりセンサー10の抵抗値が予め想定して設定している抵抗値r1と異なったこと起因すると考えることもできる。すなわち、この診断の範囲内では計器20の入力側に異常は無く正常であると見ることもできる。従って、このような場合は、異常は無いと判定(診断)する(ステップS46)。
【0035】
このようにして、診断ツール30において、計器20の入力側に異常は無い(ステップS45)、あるいは異常がある(ステップS46)との判定が行われたら、診断ツール30及び制御部22における一連の計器診断処理を終了する。すなわち、診断ツール30からの制御信号に基づいて、計器20の診断モードは解除され、通常の動作モードに設定される。
【0036】
このように本実施形態の計器システム1においては、センサー10と計器20とを切り離すこと無く、計器20の入力側回路について故障の診断を行うことができる。すなわち、計器20の検査を容易に、部品の誤交換等が発生する可能性無く、適切に行うことができる。
また、計器システム1においては、スイッチ214の状態に応じて検出した2つの検出信号(検出電圧)(第1の診断電圧v1及び第2の診断電圧v2)と、センサー10から計器20までの入力回路21を含む回路の状態に応じて予め算出した3つの基準信号(基準電圧)(第1〜第3の基準電圧V1,V2及びV3)とを適宜比較して故障の検出・診断をしている。そのため、どの検出信号とどの基準信号との比較の際に異常を検出したかによって、故障の部位を特定することができる。従って、故障検出後の部品交換等の対策も容易にとることができる。
【0037】
なお、本実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
【0038】
例えば、センサー10から計器20までの入力回路21を含む回路の構成は、図1に例示したものに限らず、任意の構成でよい。
また、故障診断のために予め算出される基準電圧は、本実施形態のような3つの基準電圧に限られるものではない。例えば、考えられる故障に対応するようにして、任意の基準電圧を設定してよい。
また、センサー10から計器20までの入力側回路におけるスイッチ214の配置についても、図1に示す例に限られるものではない。入力回路21の回路構成等に応じて任意の配置でよい。実質的に、センサー10がハイインピーダンス状態に切断された状態に設定可能な配置であれば、任意の配置でよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の計器システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した計器システムの計器及び診断ツールで行われる故障診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1に示した計器システムの診断ツールで行われる計器の入力側回路の異常の有無を判定するための手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1…計器システム
10…センサー
20…計器
21…入力回路
211〜213…第1〜第3の抵抗
214…スイッチ
22…制御部
221…検出端子
222…スイッチ制御端子
223…通信ポート
23…表示部
30…診断ツール
31…制御部
311…通信ポート
32…記憶部
33…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の所望の状態を検出し、当該検出の結果に係る検出信号を出力するセンサーと、
前記センサーから出力される前記検出信号に基づいて、前記検出の結果に係る前記車両の状態を当該車両の使用者が認識可能なように出力する計器部と、
前記センサーを、前記検出信号が前記計器部に入力されるように前記計器部に接続させる、又は、前記検出信号が前記計器部に入力されないように前記計器部から切り離すスイッチと、
前記スイッチを前記接続状態とした時及び前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号に基づいて、前記計器部の入力側の故障診断を行う故障診断手段と
を有することを特徴とする車両用計器システム。
【請求項2】
前記故障診断手段は、
前記計器部の入力側回路及び前記スイッチが所定の状態となった時に前記計器部で検出される信号値を基準信号として予め記憶しておき、
前記スイッチを前記接続状態とした時及び前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号を前記基準信号と比較することにより、前記計器部の入力側の故障診断を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用計器システム。
【請求項3】
前記故障診断手段は、前記計器部で検出される信号を前記基準信号と比較することにより、故障部位を特定することを特徴とする請求項2に記載の車両用計器システム。
【請求項4】
車両の所望の状態をセンサーで検出し、前記センサーから出力される当該検出の結果に係る検出信号に基づいて、前記検出の結果に係る前記車両の状態を当該車両の使用者が認識可能なように出力する車両用計器の診断方法であって、
前記センサーを、前記検出信号が前記計器部に入力されるように前記計器部に接続させる、又は、前記検出信号が前記計器部に入力されないように前記計器部から切り離すスイッチを設け、
前記スイッチを前記接続状態とした時及び前記スイッチを前記切り離し状態とした時に各々前記計器部で検出される信号に基づいて、前記計器部の入力側の故障診断を行う
ことを特徴とする車両用計器診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−242845(P2006−242845A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61019(P2005−61019)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】