説明

車両用警報装置

【課題】 禁止設定を必要に応じて解除し、より安全な車両の運行を図ることができる車両用警報装置(レーダー探知機)を提供する。
【解決手段】 このレーダー探知機は、車両を運行するにあたり注意すべき信号として複数種類の外部信号を受信することができる。そして、各外部信号を受信したら、これらに応じた警報音を発生させる。その一方で、いくつかの外部信号については、受信しても警報音を発生させないように設定することもできる。しかし、取締りが強化されたときには外部信号が多く受信され、そのようなときに警報音が発生するように設定しておけば、運転者の交通安全意識を向上させることができるが、これを禁止してしまうと、運転者はその機会を逃してしまう。そのため、このレーダー探知機では、禁止設定がされていても、取締りが強化されたときには警報を行って、より安全な車両の運行ができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者は、警察が速度取締りを実施していると意識的にスピードを落とすので、速度取締りを実施していることを運転者に知らせれば車両の安全な運行を図ることができる。
そのため、緊急車両の接近や、速度取締りなどを行っていること等を検出すると、運転者に対し警報を行う車両用警報装置が、現在広く用いられている。
【0003】
この車両用警報装置100は、図10に示すように、具体的には、受信部110と、警報部120と、禁止部130とを備えている。
このうち受信部は、緊急車両の接近や、速度取締りなどを行っていることなど、車両の安全運行のために利用可能な複数種類の外部信号を車両の外部から受信する。この受信部は、具体的には、緊急車両で用いられている周波数帯の無線信号や、自動速度取締器(通称オービス)から発信されるマイクロ波等の信号を受信する。
【0004】
警報部は、この受信部で受信した各外部信号に基づいて、車両の運転者に対し複数種類の警報を行う。つまり、緊急車両で用いられている周波数対の無線信号や、オービスから発信されるマイクロ波信号を受信部が受信すると、この警報部120は、緊急車両が近づいている旨、あるいは、速度の取締りが行われている旨等を、音声信号等で警報する。
【0005】
禁止部130は、運転者の操作に従って、警報部による一つあるいは複数種類の警報を禁止する禁止設定を行う。運転者が居住している町など、車両を使用する環境の事情に通じている場合には、緊急車両の接近がめったにないことなどを運転者が知っており、このような場合にまで警報を行うと運転中わずらわしいことが多い。そのため、この禁止部130を操作することで必要に応じて警報を禁止するよう構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、警察では、運転者に安全運転意識を高めてもらうために、交通死亡事故「0」の日等を設け、取締りを強化することがある。このような場合、警察が路上に出て多くの場所で取締りを行うので、上述した車両用警報装置100を備えている車両では、頻繁に警報が行われ、運転者の安全意識が必然的に向上する。
【0007】
しかし、この禁止部130で警報が行われないように設定してしまうと、警報が行われないので、運転者は安全意識を高めるチャンスを逃してしまうという問題があった。
そこで本発明では、上述した問題点を解決し、禁止設定を必要に応じて解除し、より安全な車両の運行を図ることができる車両用警報装置100を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1記載の車両用警報装置は、車両を運行するにあたり注意すべき信号として受信することが予め設定された複数種類の外部信号を受信する受信手段と、この受信手段で受信した前記各外部信号に対応した警報を前記車両の運転者に対して実行する警報手段と、運転者の操作に従って、前記警報手段による一つあるいは複数種類の警報を禁止する禁止設定を行うことが可能な禁止手段とを備える車両用警報装置において、前記禁止設定を解除する条件である解除条件情報を記憶する解除条件記憶手段と、時間の経過と共に変化する判断情報を発生させる判断情報発生手段と、前記判断情報が前記解除条件情報に一致するか否かを判定する判定手段と、前記判断情報が前記解除条件情報に一致したら、前記禁止設定を解除する解除手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
この車両用警報装置では、禁止設定を解除する条件である解除条件情報を解除条件記憶手段に記憶させるとともに、車両用警報装置の動作中、時間の経過と共に変化する判断情報を判断情報発生手段に発生させている。そして、この車両用警報装置では、判断情報が解除条件情報に一致するか否かを判定手段によって判定し、判断情報が解除条件情報に一致したら、解除手段が禁止設定を解除している。そのため、この車両用警報装置では、禁止設定が行われていても、禁止設定が行われていると好ましくない状況を解除条件として設定しておけば、その状況が生じた時には、禁止設定をしたかしないかに関わらず警報が行われる。
【0010】
従って、この車両用警報装置を用いれば、禁止設定が行われていても、禁止設定が行われていると好ましくない状況下においては、禁止設定したものについても警報がなされるので、車両の安全な運行を図ることができる。また、従来の背景技術の欄で説明したような取締りを強化しているときでも、禁止設定が行われていても警報がなされるので、運転者は交通安全意識を高める機会を逃すことがない。
【0011】
ところで、禁止設定が行われていたものが、上述したように解除されたままでいると、禁止設定が行われていたほうが好ましい状況になっても警報が行われることになる。
そこで、請求項2に記載したように、本発明の車両用警報装置は、判断情報が解除条件情報に一致したとして、禁止設定が解除された後に、判断情報が解除条件情報と一致しなくなったら、禁止設定を再設定する再設定手段を備えていることが好ましい。
【0012】
次に、判断情報としては、次のようなものが想定される。
第1の判断情報は、請求項3に記載した日時に関する判断情報である。
この場合、解除条件として、警察による取締りが強化される「交通事故0の日」や、「交通安全週間」が実施される日付に関する情報を記憶しておけば、これらの日に該当するときは、禁止設定が解かれ、外部信号として取締用の信号を受信したら警報が行われる。
【0013】
第2の判断情報は、請求項4に記載した車両の位置に関する判断情報である。車両の位置は、車両が運行されると時間の経過と共に変化する。
この場合、解除条件情報として、取締りが行われている地域など特定の地域の位置情報を設定すればよい。
【0014】
その他、判断情報としては天気情報を用い、解除条件情報として、天候が雨であるとの天気情報を設定してもよい。
次に、請求項5に記載したように、判断情報発生手段は、GPS衛星から位置測位用の信号を受信するGPS受信手段を備え、この位置測位用の信号に基づいて判断情報を発生させてもよい。この位置測位用の信号は、時間に関する信号を有しているので、受信した時刻を知ることができる。そのため、この位置測位用信号を用いれば、時間情報を発生させることができる。
【0015】
次に、請求項6に記載したように、解除条件情報は、運転者の操作に従って、解除条件記憶手段に入力する入力手段を備えていても良いことはもちろんである。このようにすれば、運転者のニーズに合わせて、様々な解除条件を設定できる。
【0016】
また、請求項7に記載したように、受信手段は、車両のスピードを計測するスピード計測器から発信される信号を外部信号の一つとして受信するものであってもよいことはもちろんである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
まず、このレーダー探知機1の外部構成について説明する。
ここで、図1は、レーダー探知機1の斜視図である。図2は、レーダー探知機の説明図で、(a)左側面図、(b)正面図、(c)背面図である。図3は、レーダー探知機の説明図で、(a)右側面図、(b)平面図、(c)裏面図である。
【0018】
本実施形態のレーダー探知機1は、図1〜図3に示すように、直方体状に形成された本体部10の長手方向の一端側に液晶式のモニタ部20が備えられている。
本体部10の上面には、太陽電池パネル12が取り付けられ、本体部10の下面には、スピーカから放音される複数の放音孔11(図3(c))が形成されている。
【0019】
またモニタ部20は、裏面側が本体部10に連結され、本体部10に対し上下方向に所定角度で首を振ることができる。そしてこのモニタ部20の表面側には、液晶式の表示部22が設けられ、さらに、運転者から見て表示部22の右側に、操作スイッチ24が取り付けられている。
【0020】
そして、このレーダー探知機1は、車両のサンバイザーやインパネの上に取り付けられる。
次に、このレーダー探知機1の内部構成について説明する。
【0021】
ここで、図4は、本実施形態のレーダー探知機1の内部構成を示すブロック図である。
このレーダー探知機1は、内部構成としては、前述した太陽電池パネル12、表示部22、操作スイッチ24の他に、制御部3、電源部12a、GPS受信部14、レーダ受信部16、無線受信部18、受信チャンネル制御部18a、復調部18b、スピーカ26、増幅部26aを備えている。
【0022】
制御部3は、CPU、ROM、RAM30等を備えるコンピュータ装置で、後述する解除処理、及び、警報処理を実行する。
電源部12aは、蓄電池を備えており、太陽電池パネル12がレーダー探知機1を動作させるために十分な電力を供給できるときは、太陽電池パネル12で発電された電力を制御部3等のレーダー探知機1全体に供給すると共に蓄電池を充電し、その一方で、十分な電力を供給できないときは、蓄電池に充電された電力を放電して、その放電した電力をレーダー探知機1に供給するよう構成されている装置である。この電源部12aを備えることにより、本実施形態のレーダー探知機1は、晴れているときは太陽電池パネル12から、雨等の時は蓄電池から電力の供給を受けることができるので、天候によらず使用することができる。
【0023】
GPS受信部14は、グローバルポジショニングシステム(Global Positioning System)用の衛星(以下「GPS衛星」という)から発信される位置測位用の電波を受信する受信器である。位置測位用の電波には、この電波がGPS衛星から発射された時間を示す時間情報が乗せられているので、GPS受信部14は、GPS衛星から位置測位用の電波を受信すると、その電波を復調して時間情報を取り出し、その時間情報を制御部3に出力する。
【0024】
レーダ受信部16は、自動速度取締器(以下「オービス」という)等から、車両の速度を計測するため発信される特定の周波数のマイクロ波、その他の取締用信号を受信する受信器である。このレーダ受信部16は、取締用信号を受信すると、取締用信号を受信したことを示す信号を制御部3に出力する。
【0025】
無線受信部18は、入力されたチューニング命令により、受信した無線信号のうち、そのチューニングの命令によって指定された特定の周波数の無線信号を出力する受信器である。この無線受信部18は、受信した無線信号の受信レベルが予め定められた閾値を越えると、その無線信号を受信したことを制御装置3に知らせる受信有信号を出力する機能を備えている。後述する警報処理において制御部3は、この無線受信部18から受信有信号を入力したか否かにより、チューニングの命令によって指定された特定の周波数の無線信号を受信したか否かを判定する。
【0026】
復調部18bは、無線受信部18から出力された特定の周波数の無線信号を復調し、その復調された信号を出力する装置である。本実施形態では、復調される信号は音声信号であり、この音声信号は増幅部26aに出力される。
【0027】
受信チャンネル制御部18aは、制御部3から、特定の種類の信号を受信するよう指示する信号を入力すると、その種類に対応した信号を受信するための周波数に関する情報をチューニング命令として無線受信部18に出力する。受信する信号の種類によっては、複数のバンドにおよぶ信号もあるので、そのような場合、この受信チャンネル制御部18aは、その種類に対応する異なる周波数の信号を順次受信するよう、RAM30に設定情報として記憶された周波数の情報に基づいて、その周波数を示すチューニング命令を無線受信部18に対して順次出力する処理を行う。
【0028】
スピーカ26は、復調部18b、あるいは、制御部3から出力された音声信号に基づく音声を出力する装置である。
増幅部26aは、復調部18b、あるいは、制御部3から出力された音声信号を増幅する装置であり、スピーカ26は、この増幅部26aで増幅された音声信号に基づいて音声を出力する。
【0029】
次に、本実施形態のレーダー探知機1が動作しているときに、制御部3が備えているRAM30に記憶される情報について説明する。
ここで、図5は、設定情報の一覧表であり、図6は、解除条件情報の一覧表である。
【0030】
RAM30には、複数種類の情報を記憶する記憶領域が形成されている。
この記憶領域のうちの一つが、図5に示す、各外部信号について後述する警報処理で警報を行うか否か設定するための設定情報を記憶した領域である。
【0031】
この外部信号とは、車両を運行するにあたり注意すべき信号として受信することが予め設定された信号である。本実施形態では、外部信号とは、具体的には、取締用信号、カーロケ無線、350.1無線、デジタル無線、署活系無線、移動警電無線、警察ヘリテレ無線、JH無線、新救急無線、消防ヘリテレ無線、取締り特小無線、消防無線、レッカー無線で使用する信号である。
【0032】
この設定情報を記憶した領域には、各外部信号の種類ごとに、それらの信号を受信するために必要な周波数に関する情報等が記憶され、この周波数に関する情報等に関連して、それらの信号を受信するか否かを示す情報である禁止設定フラグ、それらの信号を受信したかを示す情報である受信フラグが記憶される。
【0033】
禁止設定フラグを立てるには、所定の指示をレーダー探知機1に対して行うと、操作用の表示が表示部22に対してなされるので、その表示部22の表示を見ながら運転者が操作スイッチ24を操作することにより、何れかの外部信号を指定することで、行うことができる。また、フラグを消すことも、運転者の操作により行うことができる。本実施形態では、例示的に、署活系無線、移動警電無線、警察ヘリテレ無線、取締り特小無線、レッカー無線に禁止フラグを運転者が操作スイッチ24を操作して立てたものを、図5では示している。
【0034】
RAM30の記憶領域の一つに記憶された解除条件情報について、図6を用いて説明する。
解除条件情報とは、警報を禁止する禁止設定を解除する条件となる情報のことである。
【0035】
この解除条件情報は、具体的には、交通死亡事故「0」の日や、取締強化週間が何日であるかを示す情報や、その他の情報が挙げられる。この解除条件情報は、予め記憶されていても良いし、運転者が操作スイッチ24を操作して入力してもよいし、携帯電話等から情報を取得するようにしてもよい。
【0036】
尚、これらの取り締まりが何時から何時の間まで行われるかを示す情報を、解除条件情報として記憶してもよいことはもちろんである。
RAM30の記憶領域には、上述した外部信号の情報や解除条件情報の他、様々な情報が記憶される。
【0037】
図示しない制御部3のROMには、取締用信号を受信したときの警報音に関する音データが記憶されている。
次に、レーダー探知機1の制御部3で実行される設定処理について説明する。
【0038】
ここで、図7は、設定処理のフローチャートである。
この設定処理(S1)は、後述する警報処理(S3)で行われる警報の種類について設定する処理で、レーダー探知機1の電源がONされるときに行われる処理である。
【0039】
このレーダー探知機は、電源がONされると、GPS受信部14が位置測位用の電波の受信を開始するので、S10の処理では、制御部3は、このGPS受信部14が受信した位置測位用の電波に乗っている時間情報の入力を行う。
【0040】
S12では、制御部3は、このS10で入力した時間情報から、この時間情報を受信した日付(以下「受信日」という)が、上述したRAM30の解除条件情報の記憶領域に記憶された「交通死亡事故0の日」や「取締強化週間」等の禁止設定解除日か否かを判定する。そして、この時間情報が示す受信日が、禁止設定解除日に一致するときは(S12:YES)、RAM30に記憶された設定情報(図5参照)から、禁止設定フラグ(図5参照)の有無にかかわらずすべての外部信号に対して警報を行う全警報設定が警報処理(S3)を行う条件としてセッティングされ(S14)、禁止設定解除日に一致しないときは(S12:NO)、禁止設定フラグを立てた外部信号に対しては警報を行わない制限警報設定が警報処理(S3)を行う条件としてセッティングされ(S16)、本処理(S1)を終了する。
【0041】
次に、警報処理について説明する。
ここで図8は、全警報設定がセッティングされた場合の警報処理(第1警報処理という)のフローチャートで、図9は、制限警報設定がセッティングされた場合の警報処理(第2警報処理という)のフローチャートである。
【0042】
全警報設定の警報処理では、制御部3は、図8に示すように、まず、S30の処理を実行する。
S30では、制御部3は、レーダ受信部16がオービスから取締用信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S30)で、取締用信号を受信していたら(S30:YES)、受信フラグを立てる処理(S31)を実行した後、受信していなかったら受信フラグを立てずに、S32を実行する。
【0043】
S32では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aにカーロケ無線を受信するよう指示し、無線受信部18からカーロケ無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S32)で、カーロケ無線を受信していたら(S32:YES)、受信フラグを立てる処理(S33)を実行した後、受信していなかったら(S32:NO)受信フラグを立てずに、S34を実行する。
【0044】
S34では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに350.1無線を受信するよう指示し、無線受信部18から350.1無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S34)で、350.1無線を受信していたら(S34:YES)、受信フラグを立てる処理(S35)を実行した後、受信していなかったら(S34:NO)受信フラグを立てずに、S36を実行する。
【0045】
S36では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aにデジタル無線を受信するよう指示し、無線受信部18からデジタル無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S36)で、デジタル無線を受信していたら(S36:YES)、受信フラグを立てる処理(S37)を実行した後、受信していなかったら(S36:NO)受信フラグを立てずに、S38を実行する。
【0046】
S38では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに署活系無線を受信するよう指示し、無線受信部18から署活系無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S38)で、署活系無線を受信していたら(S38:YES)、受信フラグを立てる処理(S39)を実行した後、受信していなかったら(S38:NO)受信フラグを立てずに、S40を実行する。
【0047】
S40では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに移動警電無線を受信するよう指示し、無線受信部18から移動警電無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S40)で、移動警電無線を受信していたら(S40:YES)、受信フラグを立てる処理(S41)を実行した後、受信していなかったら(S40:NO)受信フラグを立てずに、S42を実行する。
【0048】
S42では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに警察ヘリテレ無線を受信するよう指示し、無線受信部18から警察ヘリテレ無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S42)で、警察ヘリテレ無線を受信していたら(S42:YES)、受信フラグを立てる処理(S43)を実行した後、受信していなかったら(S42:NO)受信フラグを立てずに、S44を実行する。
【0049】
S44では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aにJH無線を受信するよう指示し、無線受信部18からJH無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S44)で、JH無線を受信していたら(S44:YES)、受信フラグを立てる処理(S45)を実行した後、受信していなかったら(S44:NO)受信フラグを立てずに、S46を実行する。
【0050】
S46では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに新救急無線を受信するよう指示し、無線受信部18から新救急無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S46)で、新救急無線を受信していたら(S46:YES)、受信フラグを立てる処理(S47)を実行した後、受信していなかったら(S46:NO)受信フラグを立てずに、S48を実行する。
【0051】
S48では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに消防ヘリテレ無線を受信するよう指示し、無線受信部18から消防ヘリテレ無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S48)で、消防ヘリテレ無線を受信していたら(S48:YES)、受信フラグを立てる処理(S49)を実行した後、受信していなかったら(S48:NO)受信フラグを立てずに、S50を実行する。
【0052】
S50では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに取締特小無線を受信するよう指示し、無線受信部18から取締特小無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S50)で、取締特小無線を受信していたら(S50:YES)、受信フラグを立てる処理(S51)を実行した後、受信していなかったら(S50:NO)受信フラグを立てずに、S52を実行する。
【0053】
S52では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aに消防無線を受信するよう指示し、無線受信部18から消防無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S52)で、消防無線を受信していたら(S52:YES)、受信フラグを立てる処理(S53)を実行した後、受信していなかったら(S52:NO)受信フラグを立てずに、S54を実行する。
【0054】
S54では、制御部3は、受信チャンネル制御部18aにレッカー無線を受信するよう指示し、無線受信部18からレッカー無線を受信したことを示す信号を受信したかを判定する処理を実行する。この処理(S54)で、レッカー無線を受信していたら(S54:YES)、受信フラグを立てる処理(S55)を実行した後、受信していなかったら(S54:NO)受信フラグを立てずに、S56を実行する。
【0055】
S56では、S30〜S55の処理を行うことにより、受信フラグが立っているか否かを判定し、受信フラグが立っていなければ(S56:NO)、再びS30からの処理を実行する。一方、受信フラグが立っていた場合は(S56:YES)、制御部3は、S58の処理を実行する。
【0056】
S58では、制御部3は、立っている受信フラグのうち、ステップ数の最も小さい処理で立てられた受信フラグを消去すると共に、その消去した受信フラグについて警報する警報処理を行う。具体的には、レーダ受信部16がオービスから取締用信号を受信したことを示す受信フラグが立てられていた場合には、制御部3に記憶された警報音をスピーカ26から出力する。そのほかの外部信号については、その外部信号を復調した音声信号に基づき、その音声を警報音としてスピーカから出力する処理を行う。
【0057】
このS58の処理を実行している間、制御部3は、操作スイッチ24が操作されていないか(S60)を判定する。この判定(S60)で、操作があったと判定されたら(S60:YES)、警報を中止し、再びS56の処理を実行する。そして、S56において、別の受信フラグが立っていた場合(S56:YES)、その受信フラグに対応する外部信号が復調され、その復調した音声をスピーカ26から発する警報処理(S58)が実行される。一方、操作がないと判定された場合は(S60:NO)、警報処理(S58)を継続する。
【0058】
その後全ての立てられた受信フラグについて警報処理(S58)が実行されたら、S56でフラグがない(S56:NO)と判定されるので、再びS30の処理を実行する。
次に、全警報設定がなされているときの警報処理(第2警報処理)について説明する。
【0059】
この第2警報処理では、制御部3は、図9に示すように、S30〜S54のうち、フラグが立っている外部信号に対応する処理が行われない。
本実施形態では、S38、S40、S42、S50、S54の処理が実行されない。
【0060】
この第2警報処理では、これらの処理が実行されない他は、第1警報処理と処理内容は変らないので、詳細については説明を省略する。
以上説明したレーダー探知機1を用いると以下のような作用効果がある。
【0061】
本実施形態のレーダー探知機1は、禁止設定フラグを立てて禁止設定を行っているが、この禁止設定を解除する条件である解除条件情報として、RAM30に「交通死亡事故「0」の日や、取締強化週間等の情報を記憶している。また、レーダー探知機1は、動作中、GPS受信部14がGPS衛星から位置測位用の電波を受信することによって、判断情報である時間情報を発生させている。そして、このレーダー探知機1では、判断情報が解除条件情報に一致するか否かを判定し、判断情報が解除条件情報に一致したら(S12:YES)、禁止設定を解除して第1警報処理を実行している。そのため、このレーダー探知機1では、禁止設定が行われていても、禁止設定が行われていると好ましくない状況を解除条件として設定しておけば、その状況が生じた時には、禁止設定をしたかしないかに関わらず警報が行われる。
【0062】
従って、このレーダー探知機1を用いれば、禁止設定が行われていても、禁止設定が行われていると好ましくない状況下においては、車両を運行するにあたり注意すべき信号として受信することが予め設定された複数種類の外部信号を受信したときには、警報がなされるので、車両の安全な運行を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態のレーダー探知機1では、判断情報が解除条件情報に一致したとして、禁止設定が解除された後に、一旦レーダー探知機1の電源を切って再び起動して、設定処理(S1)を実行したときに、判断情報が解除条件情報と一致しないと判断したら(S30:NO)、禁止設定を再設定して第2警報処理を実行している。そのため、本実施形態のレーダー探知機1では、交通死亡事故「0」の日等が経過すると、自動的に禁止設定がなされるので、禁止設定が解除された後に、再び禁止設定を行う手間をことなく、簡単に再設定できる。
【0064】
尚、レーダ受信部16、無線受信部18、受信チャンネル制御部18aが、本発明の受信手段に相当する。
スピーカ26、復調部18b、S58の処理を実行する制御部3が、本発明の警報手段に相当する。
【0065】
操作スイッチ24が操作されると禁止フラグを立てる処理を実行する制御部3、S16の処理を実行する制御部3が、本発明の禁止手段に相当する。
本実施形態のレーダー探知機1は、本発明の車両用警報装置に相当する。
【0066】
交通死亡事故「0」の日等を記憶するRAM30が、本発明の解除条件記憶手段に相当する。
時間情報を発生させるGPS受信部14が、本発明の判断情報発生手段に相当する。
【0067】
S12に相当する処理を実行する制御部3が、本発明の判定手段に相当する。
S12,S14に相当する処理を実行する制御部3が、本発明の解除手段に相当する。
以上本発明の一実施形態ついて説明したが、本発明はこの実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、判断処理(S1)を電源がONするごとに行って、設定を変更していたが、時間情報が解除条件情報に一致するか常に監視し、時間情報が解除条件情報に一致したら禁止設定を解除して第1警報処理を実行し、その後時間情報が解除条件情報と一致しなくなったら禁止設定を再設定して第2警報処理を実行するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、GPSから時間情報を得ているが、レーダー探知機1内で時間情報を発生させてもよいし、その場合時間の正確性を向上させるため、標準電波を利用してもよい。その他、時間情報を得る方法はどのような方法でもよい。
【0070】
上記実施形態では、判断情報として時間情報を使用しているが、時間の経過と共に変化する情報であればどのようなものでもよく、例えば、車両を運行していればその位置が刻々変化するので、この場合判断情報としては車両の位置情報でもよい。このように、判断情報として位置情報を利用する場合、解除条件情報としては、取締りが行われている地域や場所、あるいは、その周辺等を示す位置情報を設定しておき、車両の位置情報がこれらの位置情報に一致したら禁止設定を解除して第1警報処理を実行し、一致していたものが不一致となったら、禁止設定を再設定して第2警報処理を実行するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、判断情報として時間情報を使用しているが、時間の経過と共に変化する情報であればどのようなものでもよく、例えば、天候に関する天気情報でもよい。このように、判断情報として天気情報を利用する場合、解除条件情報としては、雨天である場合を設定しておき、車両の位置情報がこれらの位置情報に一致したら禁止設定を解除し、一致していたものが不一致となったら、禁止設定を再設定するようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、消防無線等を受信したとき、その音声を出力するよう構成しているが、別途用意した警報音を出力するようにしてもよい。
上記実施形態では、RAM30に複数の記憶領域を形成したが、レーダー探知機1に対して着脱可能な外付けのROMにこれらの記憶領域を形成し、制御部3はこのROMから各種情報を読み込むとともに各種情報を書き込むことができるよう、上記実施形態のレーダー探知機1を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態のレーダー探知機の斜視図である。
【図2】本実施形態のレーダー探知機の説明図で、(a)左側面図、(b)正面図、(c)背面図である。
【図3】本実施形態のレーダー探知機の説明図で、(a)右側面図、(b)平面図、(c)裏面図である。
【図4】本実施形態のレーダー探知機の内部構成を示すブロック図である。
【図5】設定情報の一覧表である。
【図6】解除条件情報の一覧表である。
【図7】本実施形態のレーダー探知機で実行される設定処理のフローチャートである。
【図8】本実施形態のレーダー探知機で実行される警報処理(第1警報処理)のフローチャートである。
【図9】本実施形態のレーダー探知機で実行される警報処理(第2警報処理)のフローチャートである。
【図10】従来の車両用警報装置の内部構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1…レーダー探知機、3…制御部、10…本体部、11…放音孔、12…太陽電池パネル、12a…電源部、14…GPS受信部、16…レーダ受信部、18…無線受信部、18a…受信チャンネル制御部、18b…復調部、20…モニタ部、22…表示部、24…操作スイッチ、26…スピーカ、26a…増幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運行するにあたり注意すべき信号として受信することが予め設定された複数種類の外部信号を受信する受信手段と、
この受信手段で受信した前記各外部信号に対応した警報を前記車両の運転者に対して実行する警報手段と、
運転者の操作に従って、前記警報手段による一つあるいは複数種類の警報を禁止する禁止設定を行うことが可能な禁止手段と
を備える車両用警報装置において、
前記禁止設定を解除する条件である解除条件情報を記憶する解除条件記憶手段と、
時間の経過と共に変化する判断情報を発生させる判断情報発生手段と、
前記判断情報が前記解除条件情報に一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判断情報が前記解除条件情報に一致したら、前記禁止設定を解除する解除手段と
を備えることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用警報装置において、
前記判断情報が前記解除条件情報に一致したとして、前記禁止設定が解除された後に、前記判断情報が前記解除条件情報と一致しなくなったら、前記禁止設定を再設定する再設定手段を備えることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかに記載の車両用警報装置において、
前記判断情報発生手段は、日時に関する判断情報を発生させることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の車両用警報装置において、
前記判断情報発生手段は、前記車両が運行されることによって時間の経過と共に変化する前記車両の位置に関する判断情報を発生させることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の車両用警報装置において、
前記判断情報発生手段は、GPS衛星から位置測位用の信号を受信するGPS受信手段を備え、この位置測位用の信号に基づいて前記判断情報を発生させることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の車両用警報装置において、
運転者の操作に従って、前記解除条件記憶手段に前記解除条件情報を入力する入力手段を備えることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項7】
請求項1〜5の何れかに記載の車両用警報装置において、
前記受信手段は、車両のスピードを計測するスピード計測器から発信される信号を前記外部信号の一つとして受信することを特徴とする車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−178211(P2007−178211A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375616(P2005−375616)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(391019681)株式会社コムテック (11)
【Fターム(参考)】