説明

車両用遠隔制御装置

【課題】車両の電源遮断を行うことができなくなる故障が生じてもエンジンを強制的に停止させる。
【解決手段】本発明は、車両に搭載されたエンジン40の始動及び停止を遠隔操作可能な車両用遠隔制御装置100であって、エンジン40の始動要求及び停止要求を送信するリモコン30と、始動要求を受けてエンジン40を始動させた状態で、所定の強制オフ時間が経過した場合及び停止要求を受信した場合、の少なくとも一方を満たす場合、エンジン40への燃料供給を停止させてエンジン40を停止させるエンジン制御手段10、20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたエンジンの始動及び停止を遠隔操作可能な車両用遠隔制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるエンジンの始動及び停止を、リモコンによる遠隔操作によって制御可能な遠隔始動装置(リモコンスタータ)が知られている。リモコンスタータは、例えば、運転者が車両に乗り込む前に遠隔操作によってエンジンを始動しておくことで、エンジンの運転に連動して作動する空調装置を作動させ、車室内を快適な温度にするといった用途に使用される。
【0003】
特許文献1には、リモコンスタータによってエンジン始動を行った後、所定時間以上エンジンの運転状態が継続した場合には、空調装置に異常が生じたと判定してイグニッション回路を遮断することで強制的にエンジン停止を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−93811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、車両の電源遮断を行うことができなくなる故障が生じた場合、イグニッション回路を遮断できないので、エンジンを強制的に停止させることができなくなる。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、車両の電源遮断を行うことができなくなる故障が生じてもエンジンを強制的に停止させることができる車両用遠隔制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、車両に搭載されたエンジンの始動及び停止を遠隔操作可能な車両用遠隔制御装置が提供される。車両用遠隔制御装置は、エンジンの始動要求及び停止要求を送信するリモコンと、始動要求を受けてエンジンを始動させた状態で、所定の強制オフ時間が経過した場合及び停止要求を受信した場合、の少なくとも一方を満たす場合、エンジンへの燃料供給を停止させてエンジンを停止させるエンジン制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、車両の電源遮断を行うことができなくなる故障が生じた場合、エンジンへの燃料供給が停止するので、強制的にエンジンを停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態における車両用遠隔制御装置のシステム構成図である。
【図2】本実施形態における車両用遠隔制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図5】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図7】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図8】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図9】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図10】本実施形態における車両用遠隔制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では図面を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における車両用遠隔制御装置100のシステム構成図である。車両用遠隔制御装置100は、エンジンコントロールモジュール(ECM)10と、ボディーコントロールモジュール(BCM)20と、リモコン30と、から構成される。
【0012】
ECM10は、シフトレバーの操作位置、車速、及びBCM20から送信される信号に基づいてエンジン40の始動及び停止を含む運転状態を制御する。
【0013】
BCM20は、車両の運転状態に基づいてECM10へとエンジン制御に関する信号を送信する。BCM20とECM10とは、車載LANとして機能するCAN通信によって相互接続されている。
【0014】
BCM20は、シフトレバーの操作位置、イグニッションスイッチのON/OFF状態、車速、運転者が乗車した状態でエンジン40を始動する際に操作するプッシュスイッチのON/OFF状態、及びブレーキスイッチのON/OFF状態をセンサなどから受信して、エンジン40の始動及び停止をECM10へと要求する。
【0015】
BCM20は、エンジン40始動を要求する場合にはエンジン40のイグニッション回路11を通電させるIGNON要求をECM10へと送信し、エンジン40停止を要求する場合にはエンジン40のイグニッション回路11の通電を遮断するIGNOFF要求をECM10へと送信する。また、エンジン40停止を要求する場合であって、車両の電源遮断を行うことができなくなる故障が生じた場合には、エンジン40への燃料供給を停止する燃料カット要求をECM10へと送信する。
【0016】
リモコン30は、運転者が携帯可能な送信ユニットであり、運転者の操作に応じて信号を電波や赤外線などを介して、受信ユニットとして機能するBCM20へ送信する。リモコン30の操作部には、エンジン始動ボタン31及びエンジン停止ボタン32が配置され、運転者の選択したボタン31、32に応じて信号がBCM20へと送信される。
【0017】
リモコン30を携帯する運転者は、車両に乗り込む直前(例えば5分前)にリモコン30を操作してエンジン40を遠隔始動し、エンジン40と連動して作動する空調装置を作動させることで、車室内の温度を適切な温度に調整することができる。
【0018】
BCM20は、リモコン30によってエンジン40が遠隔始動された後、所定時間(例えば10分)が経過しても車両の発進動作が行われない場合には、燃料消費量の増大を抑制するためエンジン40を自動的に停止させる。
【0019】
しかし、車両の電源を遮断できない故障が生じた場合には、BCM20からイグニッション回路11の通電を遮断する要求が送信されてもエンジン40が停止せず、エンジン運転状態が継続してしまう。また、運転者がリモコン30によってエンジン停止ボタン32を操作したとしても同様であり、エンジン運転状態が継続してしまう。
【0020】
そこで、このような場合には、BCM20は、エンジン40への燃料供給を停止する燃料カット要求をECM10へ送信する。ECM10は、BCM20から受信した燃料カット要求に応じてエンジン40への燃料供給を停止させる。
【0021】
以下、BCM20及びECM10において行う制御について説明する。図2は、BCM20及びECM10で行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0022】
ステップS1においてBCM20は、リモコン30による始動が行われたことを判定する。運転者がリモコン30を操作してエンジン40を遠隔始動した場合、リモコン30による始動が行われたと判定され、処理がステップS2へ進み、判定されない場合には処理が終了する。例えば、運転者が車室内のインストゥルメントパネル上等に配置されたエンジンスタートボタン(プッシュスイッチ)を押してエンジン40を始動した場合には、リモコン30による始動が行われたと判定されない。
【0023】
ステップS2においてBCM20は、リモコンスタータ始動中信号をON状態に切り換える。リモコンスタータ始動中信号は、リモコン30によってエンジン40を始動させたことを示す信号であり、エンジン40が停止するとOFF状態となる。
【0024】
ステップS3においてBCM20は、エンジン40の停止要求があることを判定する。エンジン40の停止要求があると判定されると処理がステップS4へ進み、判定されない場合には処理が再度ステップS3へ戻る。運転者がリモコン30のエンジン停止ボタン32を操作した場合、及びリモコン30によるエンジン40始動後所定の強制オフ時間が経過した場合、の少なくとも一方を満たす場合に、エンジン40の停止要求があると判定される。
【0025】
所定の強制オフ時間は、エンジン始動に連動する空調装置によって車室内の温度を快適な温度とすることができ、かつ無駄なアイドリング状態が継続することにならない程度の時間であり、例えば10分に設定される。
【0026】
ステップS4においてBCM20は、イグニッションOFF要求をECM10へ送信する。これを受けてECM10は、イグニッション回路11の通電を遮断する。
【0027】
ステップS5においてBCM20は、イグニッションOFF後、所定のエンジンオフ判定時間が経過したことを判定する。エンジンオフ判定時間が経過したと判定されると処理がステップS6へ進み、判定されない場合には処理が再度ステップS5へ戻る。エンジンオフ判定時間は、イグニッションOFFとなってからエンジン40がストール状態となったことを精度よく判定できる程度の時間に設定され、例えば10秒に設定される。
【0028】
ステップS6においてBCM20は、エンスト判定が非成立であることを判定する。エンスト判定が非成立であると判定されると処理がステップS7へ進み、判定されない場合には処理が終了する。エンスト判定(クランキングパーミッション)は、エンジン40がストール状態である場合、例えばエンジン40の回転速度が所定の低回転速度以下である場合に成立する。
【0029】
ステップS7においてBCM20は、エンジン40の燃料カット要求信号をECM10へ送信する。
【0030】
ステップS8においてECM10は、リモコンスタータ始動中信号がON状態であることを判定する。リモコンスタータ始動中信号がON状態であると判定されると処理がステップS9へ進み、判定されない場合には処理が終了する。
【0031】
ステップS9においてECM10は、走行レンジ(例えばDレンジ、Rレンジ)が未経験であることを判定する。走行レンジが未経験であると判定されると処理がステップS10へ進み、判定されない場合には処理が終了する。走行レンジが未経験であるとは、リモコン30によってエンジン40が遠隔始動されてから一度も走行レンジが設定されていないことを意味する。
【0032】
ステップS10においてECM10は、車速が未経験であることを判定する。車速が未経験であると判定されると処理がステップS11へ進み、判定されない場合には処理が終了する。車速が未経験であるとは、リモコン30によってエンジン40が遠隔始動されてから一度も車速が検出されていないことを意味する。
【0033】
ステップS11においてECM10は、CAN通信が正常であることを判定する。CAN通信が正常であると判定されると処理がステップS12へ進み、判定されない場合には処理が終了する。
【0034】
ステップS12においてECM10は、エンジン40の燃料カットを実施する。
【0035】
ステップS13においてECM10は、エンスト判定が成立していることを判定する。エンスト判定が成立していると判定されると処理がステップS14へ進み、判定されない場合には処理が再度ステップS13へ戻る。
【0036】
ステップS14においてECM10は、エンジン40の燃料リカバを実施する。
【0037】
次に、上記制御による作用について説明する。図3は、BCM20及びECM10による制御を実行した場合の動作タイムチャートである。
【0038】
図3のタイムチャートは、リモコン30によるエンジン40始動後であって強制オフ時間経過後にイグニッションOFF要求が指令されてもエンジン40が停止しない場合に、強制的に燃料カットを実施する場合について示している。
【0039】
駐車中の車両に対し、運転者がリモコン30のエンジン始動ボタン31を操作すると(時刻t1)、ECM10によってイグニッションがON状態となりエンジン40のクランキングが開始される。エンジン40が完爆すると、リモコンスタータ始動中信号がON状態となり、エンスト判定が非成立となる。
【0040】
エンジン40始動から強制オフ時間が経過すると、BCM20はイグニッションOFF要求を送信する(時刻t2)。イグニッションOFF要求からエンジンオフ判定時間が経過するまでの間にエンスト判定が成立しない場合、BCM20は燃料カット要求を送信する(時刻t3)。
【0041】
その後、リモコンスタータ始動中信号がON状態であること、走行レンジが未経験であること、車速が未経験であること、及びCAN通信が正常であることが判定されると、ECM10は燃料カットを実施する(時刻t4)。
【0042】
エンジン40は強制的に停止され、エンスト判定が成立すると、ECM10は燃料リカバを実施する(時刻t5)。さらに、BCM20による燃料カット要求が取り下げられ、リモコンスタータ始動中信号がOFF状態となる(時刻t6)。
【0043】
これにより、車両の電源が遮断できない故障が生じた場合であっても、エンジン40の運転を無駄に継続することを防止することができる。
【0044】
図4のタイムチャートは、リモコン30によるエンジン40始動後であって、強制オフ時間経過前に運転者がリモコン30のエンジン停止ボタン32を操作した場合について示している。
【0045】
運転者がリモコン30のエンジン始動ボタン31を操作すると(時刻t1)、ECM10によってイグニッションがON状態となりエンジン40のクランキングが開始される。エンジン40が完爆すると、リモコンスタータ始動中信号がON状態となり、エンスト判定が非成立となる。
【0046】
その後、運転者がリモコン30のエンジン停止ボタン32を操作すると、BCM20はイグニッションOFF要求を送信する(時刻t2)。イグニッションOFF要求からエンジンオフ判定時間が経過するまでの間にエンスト判定が成立しない場合、BCM20は燃料カット要求を送信する(時刻t3)。
【0047】
これにより、車両の電源が遮断できない故障が生じた場合であっても、運転者の要求に従ってエンジン40を停止させることができる。
【0048】
図5及び図6のタイムチャートは、BCM20が燃料カット要求を送信してもECM10が燃料カットを実施しない場合について示している。
【0049】
図5に示すように、リモコン30によるエンジン40始動が行われてから(時刻t1)、BCM20が燃料カット要求を送信する(時刻t3)までの間に、シフトレンジが非走行レンジ(P、N)から走行レンジ(D、R)へと切り替えられると(時刻ta)、その後BCM20から燃料カット要求が送信されてもECM10は燃料カットを実施しない。
【0050】
図6に示すように、リモコン30によるエンジン40始動が行われてから(時刻t1)、BCM20が燃料カット要求を送信する(時刻t3)までの間に、車速が経験されると(時刻tb)、その後BCM20から燃料カット要求が送信されてもECM10は燃料カットを実施しない。
【0051】
図5、図6に示されるように、シフトレンジの切り換え又は車速の変化が生じた場合は、運転者が乗車していると判定できるので、このような場合には燃料カットを実施しないことで運転者の違和感を防止することができる。
【0052】
図7のタイムチャートは、燃料カットが実施された後に、BCM20による燃料カット要求のキャンセル、及びシフトレンジの切り換えが生じた場合について示している。
【0053】
ECM10による燃料カット指令が出力されてから(時刻t4)、BCM20による燃料カット要求がキャンセルされた場合には(時刻tc)、燃料カットを継続して実施する。これにより、燃料カットを開始した後は条件の変化にかかわらず確実にエンジン40を停止させることができる。
【0054】
また、ECM10による燃料カット指令が出力されてから(時刻t4)、シフトレンジが走行レンジ(D、R)に切り替えられた場合にも(時刻td)、燃料カットを継続して実施する。
【0055】
これにより、走行レンジで燃料供給が再開されて駆動力が立ち上がることによる車両の急発進を防止することができる。
【0056】
図8のタイムチャートは、ECM10による燃料カットによってエンジン40を強制的に停止させた後、運転者が乗車してエンジン40を始動させる場合について示している。時刻t6までは図3と同一である。
【0057】
リモコン30によってエンジン40を停止させた後は、再度リモコン30によってエンジン40始動操作を行っても、始動は行われない。運転者が乗車してブレーキペダルを踏み込んだ状態で、エンジンスタートボタン(プッシュスイッチ)を操作すると(時刻t7)、エンジン40が始動され、完爆判定がなされるとエンスト判定が非成立となる(時刻t8)。
【0058】
図9のタイムチャートは、リモコン30によるエンジン40始動時に、イグニッションがON状態となってからエンジン40が完爆したと判定されるまでの間に、リモコン30でエンジン40停止操作が行われた場合について示している。
【0059】
運転者がリモコン30のエンジン始動ボタン31を操作すると(時刻t1)、ECM10によってイグニッションがON状態となりエンジン40のクランキングが開始される。エンジン40が完爆したと判定されると、リモコンスタータ始動中信号がON状態となり、エンスト判定が非成立となる(時刻te)。エンジン40が完爆するまでの間に、運転者がエンジン32停止ボタンを操作した場合には(時刻tf)、BCM20は燃料カット要求を送信しない。すなわち、エンジン40始動は中止されることなく続行される。
【0060】
図10のタイムチャートは、BCM20が燃料カット要求を送信してからECM10が燃料カットを指令するまでの間に、シフトレンジが切り換えられた場合について示している。
【0061】
BCM20が燃料カット要求を送信してからECM10が燃料カットを指令するまでの間(例えば1秒間)に、シフトレンジが走行レンジ(D、R)へと切り替えられると、リモコンスタータ始動中信号をOFF状態とし(時刻tg)、ECM10は燃料カット指令を出力しない。
【0062】
これは、シフトレンジの切り替えが検出されたことで運転者が操作していると判定でき、このような場合には燃料カットを行う必要がないからである。
【0063】
以上のように本実施形態では、リモコン30によるエンジン40始動状態で、所定の強制オフ時間が経過した時、エンジン40への燃料供給を停止させてエンジン40を停止させる。また、エンジン停止要求を受信した時も同様に、エンジン40への燃料供給を停止させてエンジン40を停止させる。これにより、車両の電源遮断を行うことができない故障が生じた場合であっても、強制的にエンジン40を停止させることができる。よって、コストの増加を抑制しながら信頼性の高い遠隔制御装置を実現することができる。
【0064】
また、エンジン40を停止させるに際し、まずエンジン40のイグニッション回路11を遮断し、エンジンオフ判定時間経過してもエンジン40が停止しない場合にエンジン40への燃料供給を停止させる。これにより、システム故障等によって誤判定した場合におけるエンジン40の停止頻度を抑制することができる。
【0065】
さらに、リモコン30によるエンジン40始動が行われてから、BCM20が燃料カット要求を送信するまでの間に、シフトレンジが非走行レンジから走行レンジへと切り替えられた場合、又は車速が経験された場合には、燃料カットを禁止し、その後BCM20から燃料カット要求が送信されてもECM10は燃料カットを実施しない。これにより、システム故障等によって誤判定した場合における走行中のエンジン40停止を防止することができる。
【0066】
さらに、ECM10による燃料カット指令が出力された直後に、BCM20による燃料カット要求がキャンセルされた場合、又はシフトレンジが走行レンジに切り替えられた場合には、エンジン40が停止するまで燃料カットを継続して実施する。これにより、燃料カットを開始した後は条件の変化にかかわらずより確実にエンジン40を停止させることができる。
【0067】
さらに、リモコン30によるエンジン40始動を開始してからエンジン40が完爆するまでの間に、運転者がエンジン40停止ボタンを操作した場合には、燃料供給を停止することなく継続する。これにより、エンジン40始動を開始した直後の運転者の誤操作によるエンジン40停止を防止して、より確実にエンジン40を始動させることができる。
【0068】
本実施形態では、イグニッションのON状態、OFF状態をECM10によって実行したが、これに限られず、BCM20によって実行しても良い。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 ECM(エンジン制御手段、走行状態判定手段)
11 イグニッション回路
20 BCM(エンジン制御手段、走行状態判定手段)
30 リモコン
40 エンジン
100 車両用遠隔制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンの始動及び停止を遠隔操作可能な車両用遠隔制御装置であって、
前記エンジンの始動要求及び停止要求を送信するリモコンと、
前記始動要求を受けて前記エンジンを始動させた状態で、所定の強制オフ時間が経過した場合及び前記停止要求を受信した場合、の少なくとも一方を満たす場合、前記エンジンへの燃料供給を停止させて前記エンジンを停止させるエンジン制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用遠隔制御装置であって、
前記エンジン制御手段は、前記エンジンのイグニッション回路を遮断して前記エンジンを停止させ、前記エンジンが前記イグニッション回路を遮断してから所定のエンジンオフ判定時間経過しても前記エンジンが停止しない場合に、前記エンジンへの燃料供給を停止させる、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用遠隔制御装置であって、
前記車両が走行状態であることを判定する走行状態判定手段を備え、
前記エンジン制御手段は、前記エンジンへの燃料供給を停止させる前に前記車両が走行状態であると判定された場合、前記エンジンへの燃料供給の停止を禁止する、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用遠隔制御装置であって、
走行状態判定手段は、前記車両のシフトレンジが非走行レンジから走行レンジに切り換えられた場合、前記車両が走行状態であると判定する、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両用遠隔制御装置であって、
走行状態判定手段は、車速がゼロ以外である場合、前記車両が走行状態であると判定する、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の車両用遠隔制御装置であって、
前記エンジン制御手段は、前記エンジンへの燃料供給を停止させた後に、前記車両が走行状態であると判定された場合、前記エンジンが停止するまで前記エンジンへの燃料供給の停止を継続する、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の車両用遠隔制御装置であって、
前記エンジン制御手段は、前記始動要求を受けてから前記エンジンが完爆するまでの間に前記停止要求を受けた場合、前記エンジンが完爆するまで前記エンジンへの燃料供給の停止を禁止する、
ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−241662(P2012−241662A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114605(P2011−114605)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】