説明

車両用電源装置

【課題】車両外部からメインバッテリに充電が行われているときに、補機バッテリの蓄電量の判定を誤ることなく、補機バッテリへ十分な充電が行える車両用電源装置を提供する。
【解決手段】車両外部から充電が可能なメインバッテリ4と、メインバッテリ4の出力電圧を降圧して出力するDC/DCコンバータ5と、DC/DCコンバータ5の出力電圧によって充電されるとともに補機負荷11に電力を供給する補機バッテリ8と、DC/DCコンバータ5を制御する制御部9とを備え、制御部9は、車両外部かメインバッテリ4に充電が行われているとき、DC/DCコンバータ5の出力する電流が所定の電流上限値を越えないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されているバッテリへ充電を行なう車両用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用電源装置として、車両外部から充電が可能なメインバッテリと、このメインバッテリの電圧を降圧して出力するDC/DCコンバータと、このDC/DCコンバータの出力電圧によって充電され、かつ、補機負荷に電力を供給する補機バッテリと、補機バッテリの電圧を測定する電圧センサと、制御装置とを備えたものがある。
【0003】
この制御装置は、車両運転時はDC/DCコンバータを連続運転させるように制御する。また、制御装置は、車両外部からメインバッテリに充電が行われているときは、DC/DCコンバータを駆動と停止を繰り返す間欠運転させるように制御する。
【0004】
この間欠運転は、電圧センサの出力が下限しきい値電圧まで低下した場合にDC/DCコンバータの運転を開始させ、センサの出力が上限しきい値電圧まで上昇した場合にDC/DCコンバータの運転を停止させるものである。なお、先行文献技術としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/011444号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車両用電源装置は、車両外部からメインバッテリに充電が行われているときにDC/DCコンバータを間欠動作させるものであった。このように動作をさせた場合、DC/DCコンバータが停止した状態から駆動した状態に遷移したときに電流値がパルス上に急峻に増加するパルス電流が補機バッテリに流れる。
【0007】
補機バッテリの電圧を測定する電圧センサは、通常、補機バッテリの内部抵抗に依存した見かけ上の電圧を測定する。すなわち、電圧センサは、補機バッテリの開放端電圧Eではなく、補機バッテリの内部抵抗rの影響による見かけ上の電圧V(V=E+rI、I:補機バッテリへの充電電流)を測定するため、パルス電流の影響により電圧センサが測定した電圧Vは実際の補機バッテリの出力電圧Eよりも高い電圧として測定される。
【0008】
このため、従来の車両用電源装置は、パルス電流による見かけの電圧上昇により電圧センサが測定した電圧が上限しきい値電圧より高くなりDC/DCコンバータが停止する。この結果、補機バッテリへの十分な充電が行われないという課題がある。
【0009】
そこで本発明は、車両外部からメインバッテリに充電が行われているときに、補機バッテリの蓄電量の判定を誤ることなく、補機バッテリへ十分な充電が行える車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用電源装置は、車両外部から充電が可能なメインバッテリと、前記メインバッテリの出力電圧を降圧して出力するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータの出
力電圧によって充電されるとともに補機負荷に電力を供給する補機バッテリと、前記DC/DCコンバータを制御する制御部とを備え、前記制御部は、車両外部から前記メインバッテリに充電が行なわれているとき、前記DC/DCコンバータの出力する電流が所定の電流上限値以下となるように制御するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、DC/DCコンバータの出力する電力が所定の電流値を越えないように制御することで補機バッテリを充電するものである。このため、DC/DCコンバータを停止させないのでパルス電流が発生せずに補機バッテリを充電することができる。
【0012】
以上のように本発明は、車両外部からメインバッテリに充電が行われているときに補機バッテリの蓄電量の判定を誤ることなく補機バッテリの蓄電量十分に確保することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における車両用電源装置のブロック図
【図2】DC/DCコンバータの動作状態を説明するための図
【図3】同動作を説明するためのフロー図
【図4】同動作を説明するためのフロー図
【図5】本発明の一実施の形態における車両用電源装置の動作を説明するためのタイミング図
【図6】本発明の一実施の形態における電流と電圧の関係を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態における車両用電源装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態における車両用電源装置のブロック図である。
【0015】
図1において、車両用電源装置1へは、コネクタ2を介して車両の外部から電気エネルギが供給される。この供給された電気エネルギはメインバッテリ4に蓄電されるとともに、DC/DCコンバータ5を経由して補機バッテリ8へ蓄電、および、補機負荷11へ供給される。
【0016】
車両用電源装置1は、DC/DCコンバータ5の出力電圧および出力電流を測定する電圧センサ6および電流センサ7を備えるとともに、この測定結果に基づいてDC/DCコンバータ5を制御する制御部9を備える。この制御部9にはイグニッションスイッチ10が接続される。以下、各部の構成を詳細に説明する。
【0017】
コネクタ2は、充電器3の入力側に接続され、車両外部から供給された電気エネルギを車両内部の充電器3へ供給するためのものある。例えば、コネクタ2は、家屋または所定の施設に設置された電源コンセントに挿入する電源プラグである。コネクタ2へはこの電源コンセントから電気エネルギが供給される。
【0018】
充電器3は、入力側はコネクタ2、出力側はメインバッテリ4、およびDC/DCコンバータ5に接続されている。充電器3は車両外部から供給された交流の電気エネルギを直流の電気エネルギに変換するともに変圧を行う。この変圧された電気エネルギは、主としてメインバッテリ4の充電に使用される。また、充電器3は、充電中か否かを表す充電器オン/オフ通知信号を制御部9へ出力する。
【0019】
メインバッテリ4は、充電器3の出力、及びDC/DCコンバータ5の入力に接続されている。このメインバッテリ4は、車両走行中の車輪駆動用モータや電動コンプレッサ、およ
び、後述するDC/DCコンバータ5への電気エネルギを供給するための蓄電池である。例えば、メインバッテリ4にはニッケル水素電池、リチウムイオン電池を用いることができる。メインバッテリ4の出力電圧は例えば400V程度である。
【0020】
DC/DCコンバータ5は、入力された電圧を変圧して出力するものである。DC/DCコンバータ5は、充電器3の出力とメインバッテリ4に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ5へは、コネクタ2により車両外部から供給された電気エネルギが充電器3を介して供給される。DC/DCコンバータ5は、補機バッテリ8および補機負荷11に電気エネルギの供給をおこなう。
【0021】
メインバッテリ4の電圧が補機バッテリ8の電圧よりも高いため、DC/DCコンバータ5は降圧を行う。
【0022】
DC/DCコンバータ5の出力電圧は制御部9が出力する制御信号によって制御される。制御信号は、例えばPWM(パルス幅変調)信号である。
【0023】
電圧センサ6は、DC/DCコンバータ5の出力端子間に配置されDC/DCコンバータ5の出力電圧(Vout)を測定するものである。DC/DCコンバータ5の出力端子と補機バッテリ8とは後述のように電流センサ7を介して電気的に接続されているが、電流センサ7の内部抵抗は非常に小さいため、Voutは補機バッテリ8の出力電圧と略同一となる。電圧センサ6は出力電圧Voutを測定した結果を電圧値信号として制御部9へ出力する。
【0024】
電流センサ7は、DC/DCコンバータ5と補機バッテリ8の間に直列に接続されている。DC/DCコンバータ5から補機バッテリ8および補機負荷11へ流れる電流を測定するものである。
【0025】
詳細には、電流センサ7の一端はDC/DCコンバータ5の出力と電気的に接続し、他端が補機バッテリ8および補機負荷11に電気的に接続する。電流センサ7は、DC/DCコンバータ5の出力電流(Iout)を検出して電流値信号として制御部9へ出力する。電流センサ7には、例えば、ホール素子電流センサやシャント抵抗と増幅回路を組み合わせた物を用いることができる。
【0026】
補機バッテリ8は、電流センサ7及び補機負荷11に接続されており、DC/DCコンバータ5から出力された電気エネルギを蓄電するものである。また、補機バッテリ8は蓄電している電気エネルギを補機負荷11へ供給する蓄電池ともなる。補機バッテリ8は、例えば、鉛バッテリである。補機バッテリ8の出力電圧は例えば12V程度である。
【0027】
制御部9は、充電器3が出力する充電通知信号、電圧センサ6が出力する電圧値信号、電流センサ7が出力する電流値信号、イグニッションスイッチ10が出力するイグニッションスイッチ信号に基づいてDC/DCコンバータ5へ出力するPWM制御するものである。
【0028】
イグニッションスイッチ10は、例えば、カーナビゲーション装置、カーオーディオなどのアクセサリ、および、パワーウインドウ、ETC(登録商標)、充電器3の冷却ファン、DC/DCコンバータ5の冷却ファン、ECU(Electronic Control
Unit)などの電装品への電源をオンまたはオフを指示するためのスイッチである。イグニッションスイッチ10がオンされるとアクセサリへの電源が入り、オフされるとアクセサリおよび電装品への電源が切断される。
【0029】
イグニッションスイッチ10は、イグニッションスイッチ10がオンされているか、オフされているかをあらわす信号(以下、「イグニッションスイッチ信号」と称す)を制御
部9へ出力する。
【0030】
補機負荷11は電気エネルギを消費する各種車載機器である。補機負荷11は、電流センサ7及び補機バッテリ8と電気的に接続されている。DC/DCコンバータ5および補機バッテリ8から供給される電気エネルギを駆動用電源として用いる。
【0031】
補機負荷11は、上述したアクセサリおよび電装品である。
【0032】
以上のように構成された車両用電源装置について、図2〜図6を用いてその処理動作を説明する。図2はDC/DCコンバータ5の動作状態を説明するための状態遷移図である。この図2を用いて本実施の形態における車両用電源装置のモードの遷移ついて説明する。
【0033】
図2の「充電停止モード」は、イグニッションスイッチ信号がオフ、かつ、充電器オン/オフ通知信号がオフの状態であり、充電器3よりメインバッテリ4への充電が行われず、駐車中を想定したモードである。
【0034】
また、図2の「充電中モード」は、イグニッションスイッチ信号がオフ、充電器オン/オフ通知信号がオンの状態であり、コネクタ2より、充電器3に電気エネルギが供給され、メインバッテリ4への充電中をしているモードである。また、DC/DCコンバータ5は、充電器3からメインバッテリ4への充電動作を阻害しないレベルで補機バッテリ8へ電気エネルギを供給する。
【0035】
また、図2の「イグニッションオンモード」は、イグニッションスイッチ信号がオンの状態であり、補機負荷11である電装品を駆動するため、メインバッテリ4より供給される電気エネルギをDC/DCコンバータ5より変圧して、後段の補機バッテリ8、および補機負荷11へ供給するモードである。
【0036】
次に、遷移方法に関して説明する。充電停止モード時、充電器オン/オフ通知信号がオフからオンに遷移すると、充電器3は充電動作に入るため、充電中モードに遷移する。
【0037】
充電中モード時、充電器オン/オフ通知信号がオンからオフに遷移すると、充電器3は充電動作を停止するため充電停止モードに遷移する。
【0038】
充電停止モード時、イグニッションスイッチ信号がオフからオンに遷移すると、電装品が駆動されるため、DC/DCコンバータ5の電流上限値を切り替えるため、イグニッションオンモードに遷移する。
【0039】
また、イグニッションオンモード時、イグニッションスイッチ信号がオンからオフに遷移すると、電装品が駆動を止めるため、DC/DCコンバータ5の電流上限値を切り替えるため、充電停止モードに遷移する。
【0040】
次に、図3、図4を用いて本発明の一実施の形態における車両用電源装置の動作を説明する。図3、図4は本発明の一実施の形態における車両用電源装置の制御部9の動作を説明するためのフロー図である。
【0041】
図3のスタートは充電停止モードであるとして説明する。最初に制御部9は、イグニッションスイッチ信号によりイグニッションスイッチ10がオンされているか否かを判定する(S01)。
【0042】
イグニッションスイッチ10がオフ(S01でNO)されているとき、制御部9は充電
器オン/オフ通知信号により充電器3が充電中か否かを判定する。
【0043】
充電器3が充電中でない場合(S02でNO)、制御部9はDC/DCコンバータ5は動作を停止し(S03)、処理を終了(エンド)する。
【0044】
充電器3が充電中である場合(S02でYES)、すなわち、図2の「充電中モード」であるとき、制御部9は電流上限値としてIref2を設定する(S04)。なお、この電流上限値Iref2は、10A程度の値である。
【0045】
ここで、電流上限値とは、DC/DCコンバータ5から補機バッテリ8および補機負荷11へ流れる電流値がこの値を超えないように制御するためのパラメータである。具体的には、制御部9が電流センサ7により出力された電流値信号を受信し、この値に基づいてDC/DCコンバータ5を制御することで実現する。詳細な制御については後述する。
【0046】
S04の次に、制御部9はDC/DCコンバータ5が動作しているか否かを判定する(S05)。DC/DCコンバータ5が動作しているとき(S05でYES)、制御部9はPWM処理のサブルーチン(S07)を実行する。
【0047】
一方、DC/DCコンバータ5が動作していないとき(S05でNO)、制御部9はDC/DCコンバータ5をオン(S06)した後、PWM処理のサブルーチン(S07)を実行する。PWM処理のサブルーチンの終了後、制御部9は処理を終了(エンド)した後、再度処理をスタートに戻す。
【0048】
イグニッションスイッチ10がオン(S01でYES)されているとき(イグニッションオンモード)には、制御部9は充電器3が動作しているか否かを判定する(S08)。
【0049】
充電器3が動作しているときは(S08でYES)、制御部9は充電器3をオフする。イグニッションスイッチ10がオンしている状態は車両が走行開始する可能性が高いため充電器3による充電を中止する必要があるからである。
【0050】
充電器3が動作していないときは(S08でNO)、制御部9は電流上限値としてIref1を設定した後(S10)、処理をS05に進める。なお、この電流上限値Iref1は、100A程度の値である。上述したIref2と、このIref1との関係は後に説明する。
【0051】
次にサブルーチン(S07)について図4を用いて説明する。
【0052】
制御部9はDC/DCコンバータ5の出力電流(Iout)が電流上限値以下であるか否かを判断する(S11)。Ioutが電流上限値より大きい場合(S11でYES)、制御部9はDC/DCコンバータ5に対してPWMのデューティを狭めるPWM処理制御をおこなう。デューティを狭めることにより、DC/DCコンバータ5は出力するIoutを減少させる。
【0053】
Ioutが電流上限値以下である場合(S11でYES)、制御部9はDC/DCコンバータ5の出力電圧(Vout)が所定の電圧上限値以下であるか否かを判断する(S12)。なお、この電圧上限値は、14V程度の値である。
【0054】
Voutが所定の電圧上限値より大きい場合(S12でNO)、制御部9は定電圧制御を維持しながら負荷電流の状況によりデューティを広げたり、狭めたりするPWM処理制御をDC/DCコンバータ5に対しておこなう(S14)。この制御によりVoutがほぼ電
圧上限値となる。
【0055】
一方、Voutが所定の電圧上限値以下である場合(S12でYES)、制御部9はDC/DCコンバータ5に対してPWMのデューティを広げるPWM処理制御をおこなう。デューティを広げることにより、DC/DCコンバータ5はVoutを増加させる。制御部9はVoutが電圧上限値に達すると、この電圧上限値を維持するようにPWM処理制御をおこなう。
【0056】
次にサブルーチン処理(S07)に関して図5を用いて詳細に説明する。図5は本発明の一実施の形態における車両用電源装置の動作を説明するためのタイミング図である。
【0057】
図5において、T01〜T02の区間は、DC/DCコンバータ5の動作はオフしており、T02〜T06の区間はDC/DCコンバータ5は動作している。T02〜T03の区間は、DC/DCコンバータ5が動作を開始する区間である。
【0058】
電圧センサ6の電圧値、および電流センサ7の電流値は、所定の電流上限値、電圧上限値より低いので、S11はYES、S12ではYESと判断された後、S13のデューティを広げるPWM処理制御が行われる。
【0059】
T03〜T04の区間では、DC/DCコンバータ5の一定負荷電流の条件下で、出力電圧Voutが電圧上限値に達し、定電圧制御を維持するようにPWM制御をおこなっている区間である。
【0060】
T04〜T05の区間では、DC/DCコンバータ5は、電流上限値以下での負荷電流値Ioutにて、定電圧制御を維持する区間であり、負荷電流の状況によりデューティを広げるたり、狭めたりするPWM処理制御をおこなう。
【0061】
T03〜T04、T04〜T05の区間に関して、S11がYES、次のS12ではNOと判断された後、S14の定電圧制御を維持しながら負荷電流の状況によりデューティを広げたり、狭めたりするPWM処理制御が行われる。
【0062】
T05〜T06の区間では、電流上限値以上の負荷電流値を要求されるが、定電流制御を維持し、電圧値Voutが下がるため、出力電力を制限する区間であり、S11でNOと判断され、定電流制御を維持し、S15のデューティを狭めるPWM処理制御が行われる。
【0063】
次に、図6を用いて上述したIref2と、このIref1との関係を説明する。図6は本発明の一実施の形態における電流と電圧の関係を説明するための図である。
【0064】
図2のS04で充電中に設定する電流上限値Iref2より、図2のS10で走行中に設定する電流上限値Iref1は大きい値である。走行中はイグニッションスイッチ10がオンされているため、充電中と比べてより多くの電力を必要とする。そのため電流上限値を充電中と比べて大きく設定しないとアクセサリおよび電装品へ電力が供給できなくなる場合があるからである。
【0065】
このように充電中の電流上限値を切替ることで、走行中はアクセサリおよび電装品へ電力供給を強化するとともに、充電中は補機負荷11への電力供給を抑えてメインバッテリ4への充電を阻害しないようにすることができる。
【0066】
以上のように本実施の形態は、DC/DCコンバータ5の出力に電流センサ7を備え、
DC/DCコンバータ5の出力電流(Iout)が電流上限値以下となるように制御することにより、DC/DCコンバータ5を停止させないのでパルス電流を発生させない。
【0067】
この結果、補機バッテリ8の内部抵抗、補機バッテリ8に流れるパルス電流に依存した見かけ上の電圧を測定することによる補機バッテリ8の蓄電量の判定誤りを防止し、補機バッテリ8の蓄電量を十分に確保することができるという効果を奏する。
【0068】
さらに、DC/DCコンバータ5の出力電流を電流上限値以下に制御することで、DC/DCコンバータ5のオン/オフに起因したメインバッテリ4の電圧リップルおよび電流リップルを発生させず、メインバッテリ4の満充電判定を正確に行なうことができる。
【0069】
なお、本実施の形態において、補機バッテリ8の入力端に電流センサをさらに備えることができる。この電流センサを制御部9の制御に利用してもよい。例えば、この電流センサの測定結果により、補機バッテリ8が充電、放電のいずれを行っているかを検出することができる。
【0070】
放電を行っている場合、電流上限値を上昇させる処理を制御部9が行うようにできる。これにより、補機バッテリ8のバッテリ上がりを回避することができる。また、この電流センサを補機負荷11の入力端に設けることも可能である。
【0071】
なお、充電器3の入力側に電圧センサをさらに備えることができる。この電圧センサの測定結果を、充電器3の充電器オン/オフ通知信号として用いることができる。
【0072】
なお、S03でDC/DCコンバータ5をオフするようにしているが、これを次のように制御してもよい。DC/DCコンバータ5のオフしている期間が一定期間継続している場合、DC/DCコンバータ5をオンする。
【0073】
例えば、一ヶ月経過しても一度もDC/DCコンバータ5がオンとなっていない状態であるため、バッテリ上がりの恐れがあるのでDC/DCコンバータ5を駆動する。これにより、駐車中の補機負荷11駆動による補機バッテリ8のバッテリあがりを防止できるという効果を奏する。
【0074】
なお、充電器3が満充電判定を行っている際、DC/DCコンバータ5を停止させる処理を追加してもよい。このようにすることにより、DC/DCコンバータ5によって発生するノイズがなくなるため、充電器3がメインバッテリ4の満充電判定をする際、より正確な判定ができるという効果を奏する。
【0075】
なお、制御部9は、電流上限値を離散的な値ではなく連続的な値(アナログ値)で可変制御してもよい。これによりきめ細かい定電流制御が可能となる。補機バッテリ8が放電しないような最低限の定電流制御を行なうことで、充電器3の供給する電気エネルギをメインバッテリ4へ蓄電を増加させることができるという効果を奏する。
【0076】
なお、DC/DCコンバータ5の入力端に電圧センサおよび電流センサをさらに備えることができる。入力電圧と入力電流の積を出力電圧で除することにより出力電流を推定することができる。この推定した出力電流をもとに制御部9が制御を行ってもよい。
【0077】
なお、電流上限値をメインバッテリ4の電圧に応じて変更してもよい。制御部9はメインバッテリ4の電圧が所定の電圧値以下である場合、電流上限値を下げるようにする。このようにすることにより、DC/DCコンバータ5の出力がより制限され、メインバッテリ4の充電量を増加させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように本発明は、補機バッテリの蓄電量十分に確保することができ、車両に搭載されているバッテリへ充電を行なう車両用電源装置等として有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 車両用電源装置
2 コネクタ
3 充電器
4 メインバッテリ
5 DC/DCコンバータ
6 電圧センサ
7 電流センサ
8 補機バッテリ
9 制御部
10 イグニッションスイッチ
11 補機負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部から充電が可能なメインバッテリと、
前記メインバッテリの出力電圧を変圧して出力するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータの出力電圧によって充電されるとともに補機負荷に電力を供給する補機バッテリと、
前記DC/DCコンバータを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、車両外部から前記メインバッテリに充電が行なわれているとき、前記DC/DCコンバータの出力する電流が所定の電流上限値以下となるように制御することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
前記補機バッテリが電力を供給する補機負荷は、充電器の冷却ファン、前記DC/DCコンバータが備える冷却ファン、カーナビゲーション装置、カーオーディオ、および、パワーウインドウの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置。
【請求項3】
前記補機バッテリの入力端に電流センサをさらに備え、
前記制御部は、この電流センサの測定結果により前記補機バッテリが充電、放電のいずれを行っているかを検出し、放電を行っている場合に前記所定の電流上限値を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記メインバッテリの出力電圧が所定の電圧値以下である場合、前記所定の電流上限値を下げることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16116(P2012−16116A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148740(P2010−148740)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】