説明

車両用電源装置

【課題】車両衝突の衝撃から電池及び電極端子を保護することが可能な車両用電源装置を提供する。
【解決手段】車両用の電源装置1は、積層された複数の電池セル2を含んで構成されている。積層された複数の電池セル2の積層方向の両端部にはエンドプレート3が設けられている。一対のエンドプレート3によって複数の電池セル2を両端部から挟み込んで、複数の電池セル2を一体的に拘束している。隣接する2つの電池セル2の間には、樹脂フレーム4が設けられている。電池セル2の電極端子21が設けられている面には、電極端子21を覆うようにプロテクタ6が設けられている。プロテクタ6は、エンドプレート3と樹脂フレーム4とに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電源装置に関し、特に、車両衝突の衝撃から電源装置を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車は、電池をケース内に収容している電源装置を搭載している。この電源装置からモータに電力を供給し、モータによって自動車を走行させている。モータによって自動車を走行させるため、電源装置は、例えば複数の電池を直列に接続して出力電圧を高くしている。例えば、積層された複数の電池において、隣接する2つの電池の+極の電極端子と−極の電極端子とを接続することにより、複数の電池を直列に接続する。
【0003】
上記のような電源装置を搭載した車両においては、車両衝突の衝撃により車体が変形し、車体の一部又は車両に搭載された車両機器が電池に接触し、電池及び電極端子が破損するおそれがある。ここで、図5を参照して、車体の一部が電源装置の電極端子に接触する様子について説明する。図5は、従来技術に係る電源装置を示す図であり、車体の一部が電源装置の電極端子に接触する様子を模式的に示す図である。一例として、車両の床下に電源装置100を搭載した場合について説明する。電源装置100は、電池110と、電池110を収容するケース120とを含んで構成されている。車両衝突が発生した場合、車両衝突の衝撃により車体の一部が変形してケース120を介して電池110に接触することがある。そのことにより、電池110及び電極端子111が破損するおそれがある。
【0004】
車両衝突が発生した場合に、その車両衝突の衝撃から電源装置を保護する様々な技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、車両に搭載された二次電池モジュールを車両衝突によって発生した衝撃から保護するフレーム構造体が開示されている。このフレーム構造体は、連結された下枠体と上枠体とを備えている。下枠体は、車両のサイドメンバに取り付けられる左右一対のサイドフレームと、左右のサイドフレームのフロント側を連結したフロントフレームと、リア側を連結したリアフレームとによって構成されている。上枠体は、左右一対の上枠サイドフレームと前後の上枠フロントフレーム及び上枠リアフレームとによって構成されている。そして、下枠体と上枠体とがフロントコーナー縦フレームとリアコーナー縦フレームとによって上下に連結されることで、フレーム構造体が形成される。このフレーム構造体においては、リアフレームの端部をリアコーナー縦フレームの溶接ブラケットにて挟み込み溶接連結し、サイドフレームのリア側端面をリアコーナー縦フレームに当接させつつ溶接ブラケットにて側面溶接することにより、フレーム構造体の内部に設置された電池モジュールの保護を図っている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、車両衝突が発生した場合にケースの上蓋が電池に接触しないように、電池を収容するケース内に突起が設けられた電源装置が開示されている。ケース内に設けられた突起はケースの上蓋を支持する。車両衝突によってケースの上方から荷重がかかった場合に、突起によってケースの上蓋を支持することにより、上蓋が電池に接触することを防止している。
【0006】
また、下記の特許文献3には、電池の−電極端子に電圧検出素子が接続された電源装置であって、車両衝突が発生した場合に電圧検出素子が電池と接触しないように、樹脂のカバーが電圧検出素子に設けられた電源装置が開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献4には、車両衝突が発生した場合に電池のカバーが電極端子に接触しないように、カバーの内側に突起部が設けられた電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−009178号公報
【特許文献2】特開2003−045392号公報
【特許文献3】特開2006−120487号公報
【特許文献4】特開2001−332232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の発明によると、車両衝突等が原因で車体が変形した場合に、車体の一部が各フレームの隙間を通って電池に接触し、電池や電極端子が破損するおそれがある。
【0010】
また、特許文献2に記載の発明によると、ケース内に設けられた突起によってケースの上蓋を支持するため、ケースの上蓋に加えられた荷重が突起を介して電池に伝わり、ケース内に設けられた電池に荷重がかかって破損するおそれがある。
【0011】
また、特許文献3に記載の発明によると、樹脂のカバーは電池に装着されているため、車両衝突が発生して樹脂のカバーに荷重が加わると、その樹脂のカバーを介して電池に荷重がかかって破損するおそれがある。
【0012】
また、特許文献4に記載の発明によると、電池のカバーの内側に設けられた突起部は、電池の電極端子に係合した固定部材に突き当たるため、その固定部材を介して電池に荷重がかかって破損するおそれがある。
【0013】
本発明の目的は、車両衝突の衝撃から電池及び電極端子を保護することが可能な車両用電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、車両に設けられる複数の電池と、前記複数の電池を挟んで一体的に拘束する拘束具と、前記複数の電池の電極端子を覆うように前記拘束具に取り付けられたプロテクタと、を有することを特徴とする車両用電源装置である。
【0015】
また、本発明に係る車両用電源装置であって、前記複数の電池と前記拘束具とを収容するケースを更に有し、前記プロテクタは前記ケースの内側に設けられている、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る車両用電源装置であって、前記拘束具は、前記複数の電池を両端部から挟み込むエンドプレート、又は、前記複数の電池の間に設けられている樹脂フレームのうちの少なくとも一方である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、電極端子を覆うようにプロテクタが設けられているため、車両衝突が発生した場合であっても、車体の一部はプロテクタに接触し、電池及び電極端子に接触することを防止することが可能となる。そのことにより、車両衝突の衝撃から電池及び電極端子を保護することが可能となる。また、プロテクタは拘束具に取り付けられているため、プロテクタに加わった荷重が電池に伝わり難くなり、車両衝突の衝撃から電池及び電極端子を保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る電源装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電源装置を示す側面図である。
【図3】車両衝突が発生した場合における電源装置と車体との位置関係を示す図であり、車両の側方から見た図である。
【図4】変形例に係る電源装置を示す側面図である。
【図5】従来技術に係る電源装置を示す図であり、車体の一部が電源装置の電極端子に接触する様子を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る電源装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電源装置を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る電源装置の側面図である。なお、説明を簡便にするために、図2においては、電池セル2、エンドプレート3、樹脂フレーム4、及びプロテクタ6のみを図示し、それら以外の構成については図示を省略している。
【0020】
本実施形態に係る電源装置1は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載され、車両に搭載されたモータに電力を供給する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る電源装置1は、並列に配置された複数の電池セル2を含んで構成されている。すなわち、複数の電池セル2が積層されている。積層された複数の電池セル2の積層方向(配列方向)の両端部にはエンドプレート3が設けられている。一対のエンドプレート3によって複数の電池セル2を両端部から挟み込んで、複数の電池セル2を積層方向に一体的に拘束する。なお、図1及び図2には、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3のみが図示されている。
【0021】
また、隣接する2つの電池セル2の間には、樹脂フレーム4が設けられている。この樹脂フレーム4によって電池セル2の位置決めが行われる。また、隣接する2つの電池セル2の間に樹脂フレーム4を設けることにより、2つの電池セル2の間に空気が入り込んで電池セル2が冷却される。また、数個の電池セル2ごとに樹脂フレーム4を設けてもよい。なお、エンドプレート3及び樹脂フレーム4が、複数の電池セル2を拘束する拘束具の一例に相当する。
【0022】
また、複数の電池セル2が積層方向(配列方向)に十分に拘束されるように、固定用のバー5が2つのエンドプレート3の間に掛け渡されている。
【0023】
電池セル2には、2つの電極端子21が間隔をおいて設けられている。2つの電極端子21のうちの一方の電極端子21が+極の電極端子であり、他方の電極端子21が−極の電極端子である。そして、隣接する2つの電池セル2の+極の電極端子21と−極の電極端子21とを接続部材によって接続することにより、複数の電池セル2が直列に接続される。なお、図1及び図2には、+極の電極端子21と−極の電極端子21とを接続する接続部材は図示されていない。電池セル2には、一例として、燃料電池を用いることができる。
【0024】
電池セル2の電極端子21が設けられている面には、電極端子21を覆うようにプロテクタ6が設けられている。換言すると、電池セル2の電極端子21が設けられている面には、電極端子21が設けられている面を基準にして電極端子21の先端よりも高い位置にプロテクタ6が設けられている。プロテクタ6は、複数の電池セル2を拘束する拘束具に取り付けられている。図1及び図2に示す例では、一例として、複数の電池セル2を跨いでエンドプレート3と樹脂フレーム4との間にプロテクタ6が設けられている。プロテクタ6の一端はエンドプレート3に取り付けられ、プロテクタ6の他端は樹脂フレーム4に取り付けられている。このように、プロテクタ6は、電池セル2以外の部材であるエンドプレート3と樹脂フレーム4とに取り付けられて支持されている。なお、プロテクタ6が取り付けられた樹脂フレーム4は、プロテクタ6を介して荷重を受ける場合がある。そのため、図2に示すように、プロテクタ6が取り付けられる樹脂フレーム4は、プロテクタ6が取り付けられない樹脂フレーム4と比べて、配列方向の幅が広くなっていることが好ましい。プロテクタ6が取り付けられる樹脂フレーム4の幅をより広くすることにより、プロテクタ6が取り付けられる樹脂フレーム4の強度を高めることができる。
【0025】
図1に示すように、エンドプレート3には、プロテクタ6をねじ止めによって固定するためのねじ穴31が形成されている。また、樹脂フレーム4には、プロテクタ6をねじ止めによって固定するための図示しないねじ穴が形成されている。そして、プロテクタ6の一端に形成された図示しないねじ穴と、エンドプレート3に形成されたねじ穴31とにねじ61を通し、ねじ61を締め付けることにより、プロテクタ6の一端をエンドプレート3に取り付ける。また、プロテクタ6の他端に形成された図示しないねじ穴と、樹脂フレーム4に形成された図示しないねじ穴とに別のねじ61を通し、ねじ61を締め付けることにより、プロテクタ6の他端を樹脂フレーム4に取り付ける。このように、プロテクタ6は、エンドプレート3と樹脂フレーム4とに取り付けられて支持されている。図1及び図2に示す例では、エンドプレート3と樹脂フレーム4とが、プロテクタ6が取り付けられてプロテクタ6を支持する支持手段の一例として機能する。
【0026】
また、電源装置1は、図示しないケースを備えている。このケース内には、電池セル2、エンドプレート3、樹脂フレーム4、バー5、及びプロテクタ6が収容されている。すなわち、プロテクタ6は、ケースの内側に設けられている。
【0027】
なお、電極端子21の位置を避けてプロテクタ6を設けてもよい。上述したように、隣接する2つの電池セル2の+極の電極端子21と−極の電極端子21とが接続部材によって接続される。このように、2つの電極端子21を接続する接続部材が電極端子21に設けられる。電極端子21の位置を避けてプロテクタ6を設けた場合、電極端子21の接続部材の厚さを考慮してプロテクタ6をより高い位置に設置しなくても済むため、その分、電源装置1内においてより広いスペースを確保することができる。
【0028】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る電源装置1の作用及び効果について説明する。図3は、車両衝突が発生した場合における電源装置と車体との位置関係を示す図であり、車両の側方から見た図である。図3(a)は、本実施形態に係る電源装置1と車体との位置関係を示す図である。図3(b)は、従来技術に係る電源装置100と車体との位置関係を示す図である。一例として、車両の床下に電源装置を搭載した場合について説明する。
【0029】
車両衝突が発生した場合、車両衝突の衝撃により車体が変形し、車両のフロア200が車両の上方から下方(矢印Aの方向)に向けて折れ曲がり、電源装置1のケースが変形する場合がある。本実施形態に係る電源装置1によると、電極端子21はプロテクタ6によって覆われているため、図3(a)に示すように、変形した車体の一部(例えばフロア200)はケースを介してプロテクタ6に接触する。そのため、プロテクタ6の下に配置されている電極端子21にフロア200が接触することを防止することが可能となる。その結果、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。このように、ケースとは別にプロテクタ6を設けたことにより、ケースが変形した場合であっても、車両衝突の衝撃による電池セル2及び電極端子21の破損を防止することが可能となる。すなわち、電池セル2及び電極端子21は、ケースとプロテクタ6とによって二重に保護されていることになる。
【0030】
また、プロテクタ6は、エンドプレート3と樹脂フレーム4とに取り付けられて支持されているため、プロテクタ6が受けた荷重は、エンドプレート3と樹脂フレーム4とに伝わる。そのため、電池セル2及び電極端子21にはプロテクタ6が受けた荷重が伝わり難くなる。そのことにより、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。
【0031】
一方、従来技術に係る電源装置100によると、図3(b)に示すように、プロテクタ6が設けられていないため、車両衝突時に車体の一部(例えばフロア200)が変形して電源装置100のケースを介して電池110に接触し、電池110や電極端子111が破損する場合がある。これに対して、本実施形態に係る電源装置1によると、上述したように、電池セル2及び電極端子21の破損を防止することが可能となる。
【0032】
プロテクタ6は、例えば機械的な強度が得られる樹脂で構成されていてもよいし、鉄やアルミニウム等の金属や合金で構成されていてもよい。車両衝突が発生し車体の一部や車両機器がプロテクタ6に接触してプロテクタ6が破損した場合に、破損したプロテクタ6が電極端子21に接触しても漏電が発生しないように、絶縁性の観点からプロテクタ6は樹脂で構成されていることが好ましい。
【0033】
次に、図4を参照して、変形例に係る電装装置について説明する。図4は、変形例に係る電源装置を示す側面図である。なお、説明を簡便にするために、図4においては、電池セル2、エンドプレート3、樹脂フレーム4、プロテクタ6、支持部材7、及びケース8のみを図示し、それら以外の構成については図示を省略している。
【0034】
図4に示すように、電池セル2、エンドプレート3、樹脂フレーム4、バー5(図4には図示されていない)、プロテクタ6、及び支持部材7は、ケース8内に収容されている。支持部材7は、ケース8の底面からケース8の上蓋の方向に向かって延びる柱状の部材であり、電池セル2から離れた位置に設置されている。例えば、支持部材7は、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3の近傍に設置されている。上述した実施形態に係る電源装置1では、プロテクタ6は、エンドプレート3と樹脂フレーム4とに取り付けられているが、この設置例は一例に過ぎない。別の例として、図4に示すように、プロテクタ6は、電池セル2から離れた位置に設置された支持部材7と、2つの電池セル2の間に設けられた樹脂フレーム4とに取り付けられてもよい。すなわち、プロテクタ6の一端を支持部材7に取り付け、プロテクタ6の他端を樹脂フレーム4に取り付けることにより、電池セル2を跨いで支持部材7と樹脂フレーム4との間にプロテクタ6を設けてもよい。また、上述した実施形態に係る電源装置1と同様に、プロテクタ6は、電池セル2の電極端子21を覆うように設けられている。図4に示す例では、支持部材7と樹脂フレーム4とが、プロテクタ6が取り付けられてプロテクタ6を支持する支持手段の一例として機能する。
【0035】
この変形例に係る電源装置によっても、上述した実施形態に係る電源装置1と同様の効果を奏することができる。すなわち、電極端子21を覆うようにプロテクタ6が設けられているため、車両衝突の衝撃により変形した車体の一部(例えばフロア)は、ケース8を介してプロテクタ6に接触する。そのことにより、プロテクタ6の下に配置されている電極端子21に車体の一部(例えばフロア)が接触することを防止することが可能となる。その結果、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。また、プロテクタ6は、支持部材7と樹脂フレーム4とに取り付けられて支持されているため、プロテクタ6が受けた荷重は、支持部材7と樹脂フレーム4とに伝わる。そのため、電池セル2及び電極端子21にはプロテクタ6が受けた荷重が伝わり難くなる。そのことにより、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。
【0036】
また、別の例として、図4に示すように、電池セル2の電極端子21が設けられている面を基準にし、その面から樹脂フレーム4を突出させ、その突出した部分(突出部41)をプロテクタとして用いてもよい。電池セル2の電極端子21が設けられている面を基準にして、突出部41の先端は電極端子21の先端よりも高い位置に配置されている。なお、隣接する2つの電池セル2の+極の電極端子21と−極の電極端子21とは接続部材によって接続されるため、隣接する2つの電池セル2の2つの電極端子21の間では、樹脂フレーム4を突出させない方が好ましい。このように突出部41をプロテクタとして用いた場合であっても、上述した実施形態に係る電源装置1と同様の効果を奏することができる。すなわち、電池セル2の電極端子21が設けられている面を基準にして、突出部41の先端が電極端子21の先端よりも高い位置に配置されているため、車両衝突の衝撃により変形した車体の一部(例えばフロア)は、ケース8を介して突出部41に衝突する。そのことにより、突出部41よりも高さが低い電極端子21に車体の一部(例えばフロア)が接触することを防止することが可能となる。その結果、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。また、車体の一部に接触する突出部41は、樹脂フレーム4の一部であるため、突出部41が受けた荷重は樹脂フレーム4に伝わる。そのため、電池セル2及び電極端子21には突出部41が受けた荷重が伝わり難くなる。そのことにより、車両衝突の衝撃から電池セル2及び電極端子21を保護することが可能となる。なお、各樹脂フレーム4に突出部41を形成してもよいし、任意の数の樹脂フレーム4ごとに突出部41を形成してもよい。
【0037】
なお、電源装置にプロテクタ6のみを設置してもよいし、突出部41のみを形成してもよい。また、図4に示すように、プロテクタ6と突出部41とを併用してもよい。
【0038】
また、本実施形態及び変形例では、エンドプレート3、樹脂フレーム4、又は支持部材7のうちの少なくとも1つによって、プロテクタ6を支持してもよい。
【0039】
例えば、エンドプレート3のみによってプロテクタ6を支持してもよい。この場合、プロテクタ6の一端を、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3に取り付け、プロテクタ6の他端を、一対のエンドプレート3のうちの他方のエンドプレート3に取り付ける。このように、プロテクタ6の両端部を複数の電池セル2の両端部に設けられたエンドプレート3に取り付け、複数の電池セル2を跨ぐようにプロテクタ6を設けてもよい。
【0040】
また、樹脂フレーム4のみによってプロテクタ6を支持してもよい。この場合、プロテクタの一端を第1の樹脂フレーム4に取り付け、プロテクタ6の他端を第1の樹脂フレーム4とは異なる位置に配置された第2の樹脂フレーム4に取り付ける。また、3つ以上の樹脂フレーム4によってプロテクタ6を支持してもよい。
【0041】
また、支持部材7のみによってプロテクタ6を支持してもよい。この場合、一対のエンドプレート3のように、一対の支持部材7をケース8内に設ける。例えば、図4に示すように、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3の近傍に第1の支持部材7を設け、図示しない他方のエンドプレート3の近傍に図示しない第2の支持部材7を設ける。すなわち、複数の電池セル2の両端部の近傍にそれぞれ支持部材7を設置する。そして、プロテクタ6の一端を第1の支持部材7に取り付け、プロテクタ6の他端を第2の支持部材7に設ける。このように、プロテクタ6の両端部を、複数の電池セル2の両端部の近傍にそれぞれ設けられた支持部材7に取り付け、複数の電池セル2を跨ぐようにプロテクタ6を設けてもよい。
【0042】
また、エンドプレート3と支持部材7とによって、プロテクタ6を支持してもよい。この場合、図4に示すように、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3の近傍に支持部材7を設ける。そして、プロテクタ6の一端を支持部材7に設け、プロテクタ6の他端を、一対のエンドプレート3のうちの他方のエンドプレート3に取り付ける。このように、プロテクタ6の両端部を複数の電池セル2の両端部に設けられたエンドプレート3と支持部材7とに取り付け、複数の電池セル2を跨ぐようにプロテクタ6を設けてもよい。
【0043】
また、エンドプレート3と樹脂フレーム4と支持部材7とにプロテクタ6を取り付け、エンドプレート3と樹脂フレーム4と支持部材7とによってプロテクタ6を支持してもよい。
【0044】
なお、1つのプロテクタ6を設けてもよいし、複数のプロテクタ6を設けてもよい。例えば、すべての電池セル2を跨ぐ1つのプロテクタ6を設けてもよい。上述したように、プロテクタ6の一端を、一対のエンドプレート3のうちの一方のエンドプレート3に取り付け、プロテクタ6の他端を、一対のエンドプレート3のうちの他方のエンドプレート3に取り付けることにより、すべての電池セル2を跨ぐようにプロテクタ6を設けることができる。また、任意の数の電池セル2ごとにプロテクタ6を設けてもよい。例えば、車両衝突が発生した場合に、車体の一部又は車両機器と、電池セル2又は電極端子21とが接触しやすい場所にプロテクタ6を設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 電源装置、2 電池セル、3 エンドプレート、4 樹脂フレーム、5 バー、6 プロテクタ、7 支持部材、8 ケース、21 電極端子、31 ねじ穴、41 突出部、61 ねじ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる複数の電池と、
前記複数の電池を挟んで一体的に拘束する拘束具と、
前記複数の電池の電極端子を覆うように前記拘束具に取り付けられたプロテクタと、
を有することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電源装置であって、
前記複数の電池と前記拘束具とを収容するケースを更に有し、
前記プロテクタは前記ケースの内側に設けられている、
ことを特徴とする車両用電源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用電源装置であって、
前記拘束具は、前記複数の電池を両端部から挟み込むエンドプレート、又は、前記複数の電池の間に設けられている樹脂フレームのうちの少なくとも一方である、
ことを特徴とする車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−8524(P2013−8524A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139674(P2011−139674)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】