説明

車両用駆動装置

【課題】回転電機と出力部材とを互いに異なる軸上に配置する場合において、当該異なる軸間を駆動連結する駆動伝達系を構成するギヤ機構の軸や軸受の構成を簡略化し、全体を小型化することが可能な車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】回転電機MGl、MGrと出力部材Ol、Orとが互いに異なる軸上に配置されるとともに、当該異なる軸間を駆動連結するように駆動伝達系Tl、Trが配置され、2系統の駆動伝達系Tl、Trは、ケースDCに支持された2系統に共通の共通支持軸23と、2系統のそれぞれに含まれるギヤ機構13l、13rとを備え、2系統のギヤ機構13l、13rが、互いに独立に回転可能な状態で、各ギヤ機構13l、13rの内周に設けられた軸受34を介して共通支持軸23に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電動車両やハイブリッド車両等のように、回転電機を駆動力源として備える車両に用いる駆動装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電動車両やハイブリッド車両等のように、モータとして機能することが可能な回転電機を駆動力源として備える車両用駆動装置の構造に関しては各種の提案がなされており、2つの駆動輪のそれぞれについて駆動用の回転電機を独立に備えた構成が既に知られている。このような車両用駆動装置に関して、例えば下記の特許文献1には、以下のような構成が開示されている。
【0003】
この車両用駆動装置は、左右の駆動輪のそれぞれに連結される左右の出力部材と、各出力部材に駆動連結される左右の回転電機と、前記出力部材と前記回転電機との間にそれぞれ設けられる遊星歯車機構からなる左右の減速装置とを備え、これらを同軸上に配置して構成されている。この車両用駆動装置は、このように左右の駆動輪のそれぞれに対して独立に回転電機を備える構成としたことにより、左右の駆動輪を共通の回転電機により駆動する場合と比較して、回転電機を小型軽量化するとともに、駆動力の伝達効率を向上させている。また、この車両用駆動装置は、遊星歯車機構からなる左右の減速装置を備えることにより、回転電機の出力回転を適切に減速して出力部材に伝達し、必要な駆動力を確保している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−116542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の車両用駆動装置では、回転電機、減速装置、及び出力部材が同軸上に配置される構成とするために、回転電機の位置が規制される上に、装置全体が軸方向に大きくなり易い。したがって、車両への搭載に際しての制約が大きく、また駆動力を向上させるために回転電機を大型化する際にも寸法上の制約が大きい。また、このように装置全体が軸方向に大きいために、出力部材と駆動輪とを連結する車軸の軸長が短くなり易い。そのため、駆動輪の上下動に伴う車軸の振れ角が大きくなり、車軸に連結される出力部材を支持する軸受の負担が大きくなる。したがって、この軸受が耐久性を確保するために大型化することになり、装置全体の更なる大型化を招くことになる。更に、回転電機の位置が出力部材と同軸上に規制されるために、回転電機の搭載位置を下げて低重心化を図ることが困難であった。
【0006】
そこで、装置全体の軸方向寸法を短縮し、回転電機の搭載位置の自由度を高めることを可能とするために、回転電機と出力部材とを互いに異なる軸上に配置することも考えられる。しかし、そのような配置とした場合には、当該異なる軸間を駆動連結する駆動伝達系を構成するギヤ機構等の軸やその軸受の数が増加し易く、そのことが装置全体の大型化の要因となる。したがって、そのような駆動伝達系の軸や軸受の構造を工夫し、装置全体を小型化することが求められる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転電機と出力部材とを互いに異なる軸上に配置する場合において、当該異なる軸間を駆動連結する駆動伝達系を構成するギヤ機構の軸や軸受の構成を簡略化し、全体を小型化することが可能な車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る、回転電機と、駆動輪に連結される出力部材と、前記回転電機と前記出力部材とを駆動連結する駆動伝達系とを、2つの駆動輪のそれぞれについて互いに独立に2系統備えるとともに、これらを一体的に収容するケースを備える車両用駆動装置の特徴構成は、前記回転電機と前記出力部材とが互いに異なる軸上に配置されるとともに、当該異なる軸間を駆動連結するように駆動伝達系が配置され、2系統の前記駆動伝達系は、前記ケースに支持された2系統に共通の共通支持軸と、2系統のそれぞれに含まれるギヤ機構とを備え、2系統の前記ギヤ機構が、互いに独立に回転可能な状態で、各ギヤ機構の内周に設けられた軸受を介して前記共通支持軸に支持された点にある。
【0009】
なお、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本願では、「駆動連結」とは、駆動力の伝達が可能に連結された状態を示し、2つの部材間で駆動力の伝達を直接的に行う状態を含むほか、これら2つの部材間で1又は2以上の部材を介して駆動力の伝達を間接的に行う状態も含む。
【0010】
この特徴構成によれば、回転電機と出力部材とが互いに異なる軸上に配置されるとともに、当該異なる軸間を駆動連結するように駆動伝達系が配置されることにより、これらを同軸上に配置する場合と比較して、装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができ、出力部材から駆動輪までの距離も長く確保することができる。そして、2系統の駆動伝達系が、当該2系統に共通の共通支持軸により支持されたギヤ機構を備えているので、駆動伝達系を構成するギヤ機構の軸の構成を簡略化することができ、装置を小型化することが可能となる。更に、2系統のギヤ機構が、互いに独立に回転可能な状態で、各ギヤ機構の内周に設けられた軸受を介して共通支持軸に支持された構成となっているため、2系統のギヤ機構のそれぞれの両端部において回転軸の外周を軸受により支持する構成と比べて、2系統のギヤ機構を軸方向に互いに隣接して配置することが可能となる。また、この構成によれば、共通支持軸は回転不要であるため、ケースに対する当該共通支持軸の支持構造を簡略化することができる。したがって、装置の軸方向の寸法を小さくすることが可能となるので、車両への搭載性を高めることができる。
【0011】
ここで、一方の系統の前記回転電機、前記出力部材、及び前記駆動伝達系と、他方の系統の前記回転電機、前記出力部材、及び前記駆動伝達系とが、前記ケース内に互いに鏡対称に配置された構成とすると好適である。
【0012】
この構成によれば、2系統の駆動伝達系の対応するギヤ機構を同軸上に互いに対向させて配置することができる。したがって、上記のように、2系統に共通の共通支持軸に2系統のそれぞれに含まれるギヤ機構を支持させる構成を適切に実現することができる。また、この構成によれば、回転電機、出力部材、及び駆動伝達系を構成するギヤ機構のそれぞれについて、回転軸が鏡対称に配置されることになるので、ケースの軸支持構造を簡略化することができる。また、この構成によれば、一般的に鏡対称に配置される2つの駆動輪に対応させて、回転電機、出力部材、及び駆動伝達系を配置することができるので、車両への搭載性を高めることができる。
【0013】
また、前記回転電機と、前記出力部材と、前記ギヤ機構とが、それぞれの回転軸を互いに平行として配置されるとともに当該回転軸方向に互いに重複して配置された構成とすると好適である。
【0014】
この構成によれば、回転電機と、出力部材と、駆動伝達系に含まれるギヤ機構と同軸上に配置する場合と比較して、装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができ、出力部材から駆動輪までの距離も長く確保することができる。
【0015】
また、前記ケースは、前記共通支持軸を2系統の前記ギヤ機構の間で支持する中間支持構造を持たずに2系統の前記ギヤ機構を共通に収容する共通収容室を備える構成とすると好適である。
【0016】
この構成によれば、2系統のギヤ機構を互いに接近させて配置することができるので、装置の軸方向の寸法を小さくすることが可能となる。また、このような2系統のギヤ機構の間で共通支持軸を支持する中間支持構造を持たない構成は、上記のとおり、2系統のギヤ機構が、各ギヤ機構の内周に設けられた軸受を介して回転不要の共通支持軸に支持された構成としたことにより、容易に実現可能である。
【0017】
また、前記ギヤ機構は、前記回転電機の出力回転を減速して前記出力部材に伝達するカウンタ減速機構であり、前記カウンタ減速機構は、互いに一体回転する第一ギヤ及び第二ギヤを有し、前記第一ギヤは、前記回転電機の出力部に駆動連結され、前記第二ギヤは、前記出力部材に駆動連結された構成とすると好適である。
【0018】
この構成によれば、駆動伝達系がギヤ機構としてカウンタ減速機構を含むことにより、回転電機の出力回転を遊星歯車機構よりも大きい減速比で減速して出力部材に伝達することが可能となる。したがって、回転電機を高回転化することにより、必要な駆動力を確保したまま回転電機の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0019】
また、前記回転電機の出力部は、前記回転電機のロータ軸と一体回転する回転電機出力ギヤを有し、2系統の前記駆動伝達系は、前記ケースに支持された2系統に共通の第二共通支持軸と、2系統のそれぞれに含まれて前記回転電機出力ギヤと前記第一ギヤとを駆動連結するアイドラギヤとを更に備え、2系統の前記アイドラギヤが、互いに独立に回転可能な状態で、各アイドラギヤの内周に設けられた軸受を介して前記第二共通支持軸に支持された構成とすると好適である。
【0020】
この構成によれば、回転電機出力ギヤと第一ギヤとを駆動連結するアイドラギヤを設けることにより、カウンタ減速機構を、回転電機の径方向外側に配置することが容易になる。したがって、一般的に回転軸方向に最も大きい回転電機の回転軸方向にカウンタ減速機構を配置する場合に比べて、装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができる。また、この構成によれば、2系統のアイドラギヤが、当該2系統に共通の第二共通支持軸により支持されているので、駆動伝達系を構成するアイドラギヤの軸の構成を簡略化することができ、装置を小型化することが可能となる。更に、2系統のアイドラギヤが、互いに独立に回転可能な状態で、各アイドラギヤの内周に設けられた軸受を介して第二共通支持軸に支持された構成となっているため、2系統のアイドラギヤのそれぞれの両端部において回転軸の外周を軸受により支持する構成と比べて、2系統のアイドラギヤを軸方向に互いに隣接して配置することが可能となる。更に、この構成によれば、第二共通支持軸は回転不要であるため、ケースに対する当該第二共通支持軸の支持構造を簡略化することができる。したがって、装置の軸方向の寸法を小さくすることが可能となるので、車両への搭載性を高めることができる。
【0021】
また、2系統の前記アイドラギヤは、同軸上に配置された2系統の前記回転電機の軸方向中間であって、これらの回転電機と径方向に重複する位置に配置され、各回転電機のロータ軸と一体回転する回転電機出力ギヤに噛み合う構成とすると好適である。
【0022】
この構成によれば、回転電機出力ギヤとカウンタ減速機構とを駆動連結するアイドラギヤを、2系統の回転電機の間に生じる空間に効率的に配置することができる。したがって、装置を小型化することが可能となる。
【0023】
また、前記ケースは、前記第二共通支持軸を2系統の前記アイドラギヤの間で支持する中間支持構造を持たずに2系統の前記アイドラギヤを共通に収容する第二共通収容室を備える構成とすると好適である。
【0024】
この構成によれば、2系統のアイドラギヤを互いに接近させて配置することができるので、装置の軸方向の寸法を小さくすることが可能となる。また、このような2系統のアイドラギヤの間で第二共通支持軸を支持する中間支持構造を持たない構成は、上記のとおり、2系統のアイドラギヤが、各アイドラギヤの内周に設けられた軸受を介して回転不要の第二共通支持軸に支持された構成としたことにより、容易に実現可能である。
【0025】
また、前記ケースは、2系統の前記回転電機の軸方向中間で双方の回転電機のロータ軸を支持する中間支持壁を備え、前記第二共通収容室は、前記中間支持壁の内部に設けられる構成とすると好適である。
【0026】
この構成によれば、2系統の回転電機の軸方向中間で双方の回転電機のロータ軸を支持する中間支持壁を有効に利用して、同軸上に配置された2系統の回転電機の軸方向中間であって、これらの回転電機と径方向に重複する位置に、2系統のアイドラギヤを適切に配置することができる。
【0027】
また、前記カウンタ減速機構を構成する前記第一ギヤと前記第二ギヤとは互いに隣接して配置され、前記第一ギヤは前記アイドラギヤに噛み合い、前記第二ギヤは前記出力部材と一体回転する駆動出力ギヤに噛み合う構成とすると好適である。
【0028】
この構成によれば、アイドラギヤに噛み合う第一ギヤと、出力部材と一体回転する駆動出力ギヤに噛み合う第二ギヤとを互いに隣接して配置することにより、カウンタ減速機構及び出力部材を配置するための装置の軸方向の寸法を小さくすることが可能となる。したがって、車両への搭載性を高めることができる。
【0029】
また、前記アイドラギヤは、ヘリカルギヤであり、前進駆動力が前記回転電機から前記出力部材へ伝達される際に、2系統の前記アイドラギヤに作用するスラスト力が互いに対向する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定された構成とすると好適である。
【0030】
この構成によれば、前進駆動力が回転電機から出力部材へ伝達される際に、2系統のアイドラギヤに作用するスラスト力が互いに打ち消しあう方法に作用することになるため、車両の主な駆動状態において、2系統のアイドラギヤに作用するスラスト力を支持するスラスト軸受の負荷を軽減することができる。したがって、スラスト軸受を小型化し、装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【0031】
また、前記カウンタ減速機構を構成する前記第一ギヤ及び前記第二ギヤは、いずれもヘリカルギヤであり、前進駆動力が前記回転電機から前記出力部材へ伝達される際に、2系統の前記第二ギヤに作用するスラスト力が互いに対向する方向となり、2系統の前記第一ギヤに作用するスラスト力が互いに離間する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定された構成とすると好適である。
【0032】
この構成によれば、減速前の第一ギヤに作用するスラスト力よりも減速後の第二ギヤに作用するスラスト力の方が大きいため、2系統のカウンタ減速機構に作用するスラスト力が互いに打ち消しあう方法に作用することになる。よって、車両の主な駆動状態において、2系統のカウンタ減速機構に作用するスラスト力を支持するスラスト軸受の負荷を軽減することができる。したがって、スラスト軸受を小型化し、装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
まず、本発明の実施形態に係る車両用駆動装置Dについて図面に基づいて説明する。本実施形態においては、車両用駆動装置Dを、電動車両(電気自動車)用の駆動装置に適用した場合を例として説明する。図1は、この車両用駆動装置Dの全体の構成を示す軸方向断面図である。図2は、この車両用駆動装置Dのスケルトン図である。図3は、図1のIII−III断面図である。図4は、この車両用駆動装置Dの駆動伝達系の構成を拡大して示す部分拡大図である。
【0034】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用駆動装置Dは、車両の駆動力源としてのモータ・ジェネレータMGl、MGrと、駆動輪Wl、Wrに連結される出力軸Ol、Orと、モータ・ジェネレータMGl、MGrと出力軸Ol、Orとを駆動連結する駆動伝達系Tl、Trとを、2つの駆動輪Wl、Wrのそれぞれについて互いに独立に2系統備えるとともに、これらを一体的に収容するケースDCを備えている。なお、本実施形態においては、モータ・ジェネレータMGl、MGrが本発明における「回転電機」に相当する。また、出力軸Ol、Orが本発明における「出力部材」に相当する。以下、この車両用駆動装置Dの各部の構成について詳細に説明する。
【0035】
1.装置の各部の配置構成
まず、この車両用駆動装置Dの各部の配置構成について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態においては、2つの駆動輪は、車両の前輪又は後輪となる左右の駆動輪である。そして、車両用駆動装置Dは、左右の駆動輪Wl、Wrをそれぞれ別系統の駆動系により駆動するために、左右一対のモータ・ジェネレータMGl、MGr、駆動伝達系Tl、Tr、及び出力軸Ol、Orを備えている。すなわち、車両用駆動装置Dは、左駆動輪Wlを駆動するための左系統として、左駆動輪Wlに連結される左出力軸Ol、左駆動輪Wlの駆動用の左モータ・ジェネレータMGl、及び左モータ・ジェネレータMGlと左出力軸Olとを駆動連結する左駆動伝達系Tlを備えている。また、車両用駆動装置Dは、右駆動輪Wrを駆動するための右系統として、右駆動輪Wrに連結される右出力軸Or、右駆動輪Wrの駆動用の右モータ・ジェネレータMGr、及び右モータ・ジェネレータMGrと右出力軸Orとを駆動連結する右駆動伝達系Trを備えている。そして、左系統を構成する左モータ・ジェネレータMGl、左駆動伝達系Tl、左出力軸Ol、及び左駆動輪Wlと、右系統を構成する右モータ・ジェネレータMGr、右駆動伝達系Tr、右出力軸Or、及び右駆動輪Wrとは、駆動力の伝達系統が切り離されており、互いの回転の影響を受けることなく独立に回転可能とされている。
【0036】
そして、左右2系統のそれぞれについて、モータ・ジェネレータMGl、MGr(各モータ・ジェネレータMGl、MGrの出力部を含む、以下同じ)と、出力軸Ol、Orと、駆動伝達系Tl、Trに含まれるカウンタ減速機構13l、13r(後述する)とが、それぞれの回転軸を互いに平行として配置されるとともに当該回転軸方向に互いに重複して配置されている。また、ここでは、左右2系統の駆動伝達系Tl、Trに含まれるアイドラギヤ12l、12rも、各系統のモータ・ジェネレータMGl、MGr及びカウンタ減速機構13l、13rと回転軸を互いに平行として配置されるとともに、回転軸方向に互いに重複して配置されている。更に、本実施形態においては、左右2系統のそれぞれについて、駆動伝達系Tl、Trに含まれるアイドラギヤ12l、12r及びカウンタ減速機構13l、13rが、前記回転軸方向において、モータ・ジェネレータMGl、MGrの軸方向長さ内に収まるように配置されている。これにより、車両用駆動装置Dの全体の前記回転軸方向の寸法を小さく抑えている。図2にも示されるように、本実施形態においては、この回転軸方向、すなわち互いに平行に配置されたモータ・ジェネレータMGl、MGr、出力軸Ol、Or、並びに駆動伝達系Tl、Trに含まれるアイドラギヤ12l、12r及びカウンタ減速機構13l、13rのそれぞれの回転軸に平行な方向は、車両の幅方向(左右の駆動輪Wl、Wrを結ぶ方向)と一致しており、この方向が車両用駆動装置Dの幅方向となる。そこで、以下では、上記回転軸方向及び車両用駆動装置Dの幅方向を指して、単に「装置幅方向」という。
【0037】
更に、本実施形態に係る車両用駆動装置Dでは、左右一対のモータ・ジェネレータMGl、MGr、駆動伝達系Tl、Tr、及び出力軸Ol、Orが、装置幅方向に互いに対向するように配置されている。これにより、左駆動輪Wlに対応する左系統を構成する、左モータ・ジェネレータMGl、左駆動伝達系Tl、及び左出力軸Olと、右駆動輪Wrに対応する右系統を構成する、右モータ・ジェネレータMGr、右駆動伝達系Tr、及び右出力軸Orとは、装置幅方向中央の面を基準として、ケースDC内に互いに鏡対称に配置されている。
【0038】
左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrは、それぞれ、ケースDCに固定されたステータStl、Strと、このステータStl、Strの径方向内側に回転自在に支持されたロータRol、Rorと、を有している。モータ・ジェネレータMGl、MGrは、それぞれ図示しないインバータを介してバッテリやキャパシタ等の蓄電装置に電気的に接続されている。そして、モータ・ジェネレータMGl、MGrは、それぞれ電力の供給を受けて駆動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、駆動輪Wl、Wrから伝達される駆動力により発電を行って電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果すことが可能とされている。本例では、モータ・ジェネレータMGl、MGrは、モータとして機能することにより、主に駆動力を発生させて左右の駆動輪Wl、Wrをそれぞれ回転駆動して車両を走行させる。すなわち、モータ・ジェネレータMGl、MGrは車両の駆動力源として機能する。但し、車両の減速時には、モータ・ジェネレータMGl、MGrは、ジェネレータとして機能し、車両の慣性力を電気エネルギとして回生することが可能である。
【0039】
そして、左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrは、互いに対向するように同軸上に配置されている。各モータ・ジェネレータMGl、MGrは、出力部として、ロータRol、Rorの軸であるロータ軸21l、21rと一体回転するモータ・ジェネレータ出力ギヤ(以下、「MG出力ギヤ」という)11r、11lをそれぞれ備えている。そして、このMG出力ギヤ11r、11lは、各モータ・ジェネレータMGl、MGrの回転軸方向における同じ系統の駆動輪Wl、Wrとは反対側、すなわち装置幅方向中央側に配置されている。具体的には、左MG出力ギヤ11lは、左モータ・ジェネレータMGlに対して軸方向で左駆動輪Wlとは反対側、すなわち装置幅方向中央側に配置され、右MG出力ギヤ11rは、右モータ・ジェネレータMGrに対して軸方向で右駆動輪Wrとは反対側、すなわち装置幅方向中央側に配置されている。そのため、これらのMG出力ギヤ11r、11lは、各モータ・ジェネレータMGl、MGrのロータ軸21l、21rにおける装置幅方向中央側の端部に、一体的に形成されている。これにより、左右のMG出力ギヤ11l、11rは、左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrの軸方向中間、言い換えれば、装置幅方向の中央部に互いに隣接して配置される。本実施形態においては、このMG出力ギヤ11r、11lが、本発明における回転電機出力ギヤに相当し、回転電機の出力部を構成する。
【0040】
また、図3に示すように、上下方向において、モータ・ジェネレータMGl、MGrの回転軸(ロータ軸21l、21r)は、出力軸Ol、Orよりも下方に配置されている。すなわち、この車両用駆動装置Dでは、重量物であるモータ・ジェネレータMGl、MGrの車両への搭載位置を出力軸Ol、Orに対して下方に下げていることにより、従来のように出力軸Ol、Orと同軸上にモータ・ジェネレータMGl、MGrを配置する場合と比べて、低重心化が図られている。
【0041】
左右の駆動伝達系Tl、Trは、左系統と右系統のそれぞれについて独立に、同じ系統のモータ・ジェネレータMGl、MGrと出力軸Ol、Orとの間を駆動連結するための機構である。ここでは、各駆動伝達系Tl、Trは、各系統のMG出力ギヤ11l、11rから駆動出力ギヤ16l、16rまでを駆動連結するギヤ列で構成されている。具体的には、図1及び図2に示すように、各系統の駆動伝達系Tl、Trは、それぞれ、アイドラギヤ12l、12rと、カウンタ減速機構13l、13rと、を有して構成されている。すなわち、この駆動伝達系Tl、Trでは、左右2系統のそれぞれにおいて、モータ・ジェネレータMGl、MGrからMG出力ギヤ11l、11rに伝達された回転駆動力は、アイドラギヤ12l、12rを介してカウンタ減速機構13l、13rに伝達され、当該カウンタ減速機構13l、13rにより減速されて駆動出力ギヤ16l、16rに伝達される。そして、駆動出力ギヤ16l、16rに伝達された回転駆動力は、これと一体回転する出力軸Ol、Orを介して駆動輪Wl、Wrに伝達される。
【0042】
アイドラギヤ12l、12rは、左系統と右系統のそれぞれについて、MG出力ギヤ11l、11rとカウンタ減速機構13l、13rの第一ギヤ14l、14rとを駆動連結するギヤ機構である。ここでは、左右のアイドラギヤ12l、12rは、それぞれ同じ系統のMG出力ギヤ11l、11rとカウンタ減速機構13l、13rとの双方に噛み合うことにより、これらを駆動連結する構成となっている。具体的には、左アイドラギヤ12lは、駆動伝達系の上流側(左モータ・ジェネレータMGl側、以下同じ)で左MG出力ギヤ11lに噛み合うとともに、下流側で左カウンタ減速機構13lの左第一ギヤ14lに噛み合い、これらの間を駆動連結するように設けられている。同様に、右アイドラギヤ12rは、駆動伝達系の上流側(右モータ・ジェネレータMGr側、以下同じ)で右MG出力ギヤ11rに噛み合うとともに、下流側で右カウンタ減速機構13rの右第一ギヤ14rに噛み合い、これらの間を駆動連結するように設けられている。
【0043】
上記のような噛み合いを実現するため、左アイドラギヤ12lは、装置幅方向において左MG出力ギヤ11lと同じ位置に配置され、右アイドラギヤ12rは、装置幅方向において右MG出力ギヤ11rと同じ位置に配置されている。よって、左右のアイドラギヤ12l、12rは、同じ系統のモータ・ジェネレータMGl、MGrに対して駆動輪Wl、Wrとは反対となる装置幅方向の中央部、言い換えれば、左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrの軸方向中間に、互いに隣接して配置される。また、図3によく示されているように、左右のアイドラギヤ12l、12rは、同軸上に配置された左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrと径方向に重複する位置に配置されている。すなわち、左右のアイドラギヤ12l、12rは、左右のモータ・ジェネレータMGl、MGrの軸方向中間であって、ステータStl、Strの外周面よりも径方向内側に生じる空間、言い換えれば、左モータ・ジェネレータMGlのステータStl及びロータRolと、右モータ・ジェネレータMGrのステータStr及びロータRorとに挟まれた円筒状の空間に配置されている。この車両用駆動装置Dでは、左右のアイドラギヤ12l、12rをこのように配置することにより、カウンタ減速機構13l、13rをモータ・ジェネレータMGl、MGrの径方向外側に配置し、車両用駆動装置Dの全体の軸方向の寸法を小さく抑えている。
【0044】
また、図1に示すように、左アイドラギヤ12lと右アイドラギヤ12rとは、ケースDCに支持された共通の軸であるアイドラ支持軸22の外周に、互いに独立に回転可能に支持されている。このようなアイドラギヤ12l、12rの支持構造については、後で詳細に説明する。
【0045】
カウンタ減速機構13l、13rは、左系統と右系統のそれぞれについて、モータ・ジェネレータMGl、MGrの出力回転を減速して出力軸Ol、Orに伝達するための機構である。そのために、左右のカウンタ減速機構13l、13rは、それぞれ同じ系統のアイドラギヤ12l、12rと駆動出力ギヤ16l、16rとを駆動連結するとともに、アイドラギヤ12l、12rの回転を減速して駆動出力ギヤ16l、16rに伝達するギヤ機構となっている。各カウンタ減速機構13l、13rは、互いに一体回転する第一ギヤ14l、14r及び第二ギヤ15l、15rをそれぞれ有する。そして、各第一ギヤ14l、14rは、同じ系統のモータ・ジェネレータMGl、MGrの出力部としてのMG出力ギヤ11l、11rに駆動連結され、各第二ギヤ15l、15rは、同じ系統の出力軸Ol、Orに駆動連結されている。具体的には、左第一ギヤ14lは左アイドラギヤ12lに噛み合うことにより、当該左アイドラギヤ12lを介して左MG出力ギヤ11lに駆動連結され、左第二ギヤ15lは左駆動出力ギヤ16lに噛み合うことにより、当該左駆動出力ギヤ16lを介して左出力軸Olに駆動連結されている。また、右第一ギヤ14rは右アイドラギヤ12rに噛み合うことにより、当該右アイドラギヤ12rを介して右MG出力ギヤ11rに駆動連結され、右第二ギヤ15rは右駆動出力ギヤ16rに噛み合うことにより、当該右駆動出力ギヤ16rを介して右出力軸Orに駆動連結されている。
【0046】
ここで、左右のカウンタ減速機構13l、13rのそれぞれにおいて、第二ギヤ15l、15rは、第一ギヤ14l、14rに対して径が小さく、歯数も少なく設定されている。これにより、第一ギヤ14l、14rの回転は、歯数の上で減速されて第二ギヤ15l、15rに伝達される。また、本実施形態においては、MG出力ギヤ11l、11rは第一ギヤ14l、14rに対して径が小さく、歯数も少なく設定されているため、MG出力ギヤ11l、11rからアイドラギヤ12l、12rを介して第一ギヤ14l、14rに回転が伝達される際にも回転は減速される。更に、第二ギヤ15l、15rは駆動出力ギヤ16l、16rに対して径が小さく、歯数も少なく設定されているため、第二ギヤ15l、15rから駆動出力ギヤ16l、16rに回転が伝達される際にも回転は減速される。したがって、この車両用駆動装置Dでは、左系統と右系統のそれぞれについて、MG出力ギヤ11l、11rの回転は、出力軸Ol、Orに伝達されるまでの間に3回減速される構成となっている。これにより、従来の遊星歯車機構を用いた減速機構よりも大幅に大きい減速比を得ることが可能となっている。
【0047】
上記のような噛み合いを実現するため、左第一ギヤ14lは、装置幅方向において左MG出力ギヤ11l及び左アイドラギヤ12lと同じ位置に配置され、右第一ギヤ14rは、装置幅方向において右MG出力ギヤ11r及び右アイドラギヤ12rと同じ位置に配置されている。よって、左右の第一ギヤ14l、14rは、同じ系統のモータ・ジェネレータMGl、MGrに対して駆動輪Wl、Wrとは反対となる装置幅方向の中央部に、互いに隣接して配置される。また、左右のカウンタ減速機構13l、13rのそれぞれにおいて、第一ギヤ14l、14rと第二ギヤ15l、15rとは、互いに隣接して配置されている。そして、第二ギヤ15l、15rは、カウンタ減速機構13l、13rの回転軸方向(装置幅方向)において第一ギヤ14l、14rより駆動輪Wl、Wr側に配置されている。すなわち、左第二ギヤ15lは、装置幅方向において左第一ギヤ14lより左駆動輪Wl側に配置され、右第二ギヤ15rは、装置幅方向において右第一ギヤ14rより右駆動輪Wr側に配置されている。
【0048】
また、図1に示すように、左カウンタ減速機構13lと右カウンタ減速機構13rとは、ケースDCに支持された共通の軸であるカウンタ支持軸23の外周に、互いに独立に回転可能に支持されている。このようなカウンタ減速機構13l、13rの支持構造については、後で詳細に説明する。
【0049】
以上のとおり、左系統を構成する左MG出力ギヤ11l、左アイドラギヤ12l、左第一ギヤ14lは、互いに装置幅方向において同じ位置に配置され、それにより、それぞれの回転軸に直交する方向に一列に配列されている。同様に、右系統を構成する右MG出力ギヤ11r、右アイドラギヤ12r、右第一ギヤ14rは、互いに装置幅方向において同じ位置に配置され、それにより、それぞれの回転軸に直交する方向に一列に配列されている。そして、装置幅方向の中央部において、左系統を構成する左MG出力ギヤ11l、左アイドラギヤ12l、左第一ギヤ14lは、右系統の対応するギヤと互いに隣接して配置されている。これにより、左右2系統の駆動力の伝達系統を装置幅方向の中央側に2列に並べて配置することとなり、車両用駆動装置Dの幅方向の寸法を小さく抑えることが可能となっている。
【0050】
左右の出力軸Ol、Orは、車両用駆動装置Dからの回転駆動力を駆動輪Wl、Wrへ出力するための軸であり、対応する駆動輪Wl、Wrに連結される。本実施形態においては、図1及び図2に示すように、左右の出力軸Ol、Orは、それぞれ、等速ジョイント17及び駆動軸18を介して、同じ系統の駆動輪Wl、Wrと一体回転するように連結される。また、出力軸Ol、Orの駆動輪Wl、Wrとは反対側の端部には、駆動出力ギヤ16l、16rが一体回転するように連結されている。ここでは、駆動出力ギヤ16l、16rは、出力軸Ol、Orの駆動輪Wl、Wrとは反対側の端部に外嵌され、当該出力軸Ol、Orの端部の外周面にスプライン係合されることにより、出力軸Ol、Orと一体回転するように固定されている。上記のとおり、左右の駆動出力ギヤ16l、16rは、同じ系統のカウンタ減速機構13l、13rの第二ギヤ15l、15rとそれぞれ噛み合うように設けられている。このような噛み合いを実現するため、左駆動出力ギヤ16lは、装置幅方向において左第二ギヤ15lと同じ位置に配置され、右駆動出力ギヤ16rは、装置幅方向において右第二ギヤ15rと同じ位置に配置されている。これにより、左右の駆動出力ギヤ16l、16rを、車両用駆動装置Dの幅方向中央部に配置することになるので、出力軸Ol、Orも車両用駆動装置Dの幅方向中央側に寄せて配置されることになる。したがって、車両用駆動装置Dの幅方向の寸法を小さく抑えることができるとともに、出力軸Ol、Orから駆動輪Wl、Wrまでの距離を長く確保することができる。
【0051】
ケースDCは、車両用駆動装置Dを構成する部品を一体的に収容するものであり、上述した左右2系統のモータ・ジェネレータMGl、MGr、駆動伝達系Tl、Tr、及び出力軸Ol、Orも一体的に収容される。上記のとおり、ケースDC内に収容される各部品は、装置幅方向中央の面を基準として鏡対称に配置される。したがって、ケースDCも装置幅方向中央の面を基準とする鏡対称の形状となるように形成されている。このようにすることにより、ケースDCに設けられる各軸の支持構造も左右対称な形状とすることができるので、ケースDCの構造を簡略化することが可能となっている。
【0052】
本実施形態においては、図1及び図3に示すように、ケースDCは、主ケースDCcと、左カバーDClと、右カバーDCrと、下カバーDCuとを有して構成されている。図1に示すように、主ケースDCcは、車両用駆動装置Dの構成を収容するケースDCの主要部であり、左モータ・ジェネレータMGlを収容する左モータ・ジェネレータ収容室(以下、「左MG収容室」という)43l、右モータ・ジェネレータMGrを収容する右モータ・ジェネレータ収容室(以下、「右MG収容室」という)43r、並びに左右の駆動伝達系Tl、Trを共通に収容する第一ギヤ機構収容室41及び第二ギヤ機構収容室42を有している。左カバーDClは、左MG収容室43lの左駆動輪Wl側(図1における左側)の開口部を覆うように主ケースDCcに取り付けられるカバーである。右カバーDCrは、右MG収容室43rの右駆動輪Wr側(図1における右側)の開口部を覆うように主ケースDCcに取り付けられるカバーである。下カバーDCuは、図3に示すように、主ケースDCcの下側開口部を覆うように取り付けられるカバーである。
【0053】
図1及び図3に示すように、ケースDCは、互いに対向するように設けられた左右のMG収容室43l、43rを囲む部分が、モータ・ジェネレータMGl、MGrの回転軸と同軸の円筒状に形成され、当該円筒状部分の下方に延出する部分及び当該円筒状部分から出力軸Ol、Or側へ延出する部分が略直方体形状に形成されている。そして、円筒状部分から出力軸Ol、Or側へ延出する部分は、第一ギヤ機構収容室41を囲むように形成されている。また、円筒状部分の下方に延出する部分は、主に、モータ・ジェネレータMGl、MGr及び駆動伝達系Tl、Trの潤滑及び冷却用のオイルの回収及び収容のための空間を内部に形成している。
【0054】
図1に示すように、ケースDC内における、左MG収容室43lと右MG収容室43rとの間は、中間支持壁44により区画されている。この中間支持壁44は、ロータ軸21l、21rの支持部から出力軸Ol、Or側では左右2つに分かれており、この中間支持壁44の内部、すなわち左右2枚の中間支持壁44の間に第二ギヤ機構収容室42が設けられている。この第二ギヤ機構収容室42には、左右2系統のMG出力ギヤ11l、11r及びアイドラギヤ12l、12rが共通に収容されている。このため、中間支持壁44には、左右のロータ軸21l、21rのそれぞれにおける装置幅方向の中央部近傍が支持されるとともに、左右のアイドラギヤ12l、12rを共通に支持するアイドラ支持軸22の両端部が支持される構成となっている。
【0055】
また、ケースDC内における、第二ギヤ機構収容室42より出力軸Ol、Or側には、当該第二ギヤ機構収容室42と連続する共通の空間を構成するように、第一ギヤ機構収容室41が形成されている。この第一ギヤ機構収容室41には、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13r及び駆動出力ギヤ16l、16rが共通に収容されている。このため、第二ギヤ機構収容室42を囲むケースDCの側壁45には、左右のカウンタ減速機構13l、13rを共通に支持するカウンタ支持軸23の両端部が支持されるとともに、左右の出力軸Ol、Or及びこれに外嵌された駆動出力ギヤ16l、16rが支持される構成となっている。なお、第一ギヤ機構収容室41内における装置幅方向の中央部には、左右の出力軸Ol、Or及び駆動出力ギヤ16l、16rを、装置幅方向の中央部で支持するための中央支持部46が設けられている。本実施形態においては、第一ギヤ機構収容室41が本発明における共通収容室に相当し、第二ギヤ機構収容室42が本発明における第二共通収容室に相当する。なお、車両用駆動装置Dを構成する各部の軸支持構造については、後で詳細に説明する。
【0056】
2.装置の各部の軸支持構造
次に、車両用駆動装置Dの各部の軸支持構造について説明する。図1及び図4に示すように、本実施形態においては、左モータ・ジェネレータMGlの左ロータ軸21l及び右モータ・ジェネレータMGrの右ロータ軸21r、並びに左出力軸Ol及び右出力軸Orは、それぞれ軸が外周面に設けられた軸受を介してケースDCに回転可能に支持された外径支持構造とされている。一方、左右の駆動伝達系Tl、Trを構成する、左アイドラギヤ12l及び右アイドラギヤ12r、並びに左カウンタ減速機構13l及び右カウンタ減速機構13rは、各ギヤ機構の内周に設けられた軸受を介して、ケースDCに固定支持された軸に対して回転可能に支持された内径支持構造とされている。以下、これらの各軸の支持構造についてそれぞれ説明する。
【0057】
左右2系統のモータ・ジェネレータMGl、MGrのロータ軸21l、21rは、それぞれ両端部においてロータ軸受31、32によりケースDCに支持されている。本実施形態においては、ロータ軸21l、21rは、軸方向における同じ系統の駆動輪Wl、Wrとは反対側すなわち装置幅方向中央側が、中央側ロータ軸受31を介してケースDCに回転可能に支持され、軸方向における同じ系統の駆動輪Wl、Wr側すなわち装置幅方向端部側が、端部側ロータ軸受32を介してケースDCに回転可能に支持されている。ここで、ロータ軸受31、32は、いずれもボールベアリングとしている。
【0058】
左右の中央側ロータ軸受31は、それぞれ左MG収容室43lと右MG収容室43rとの間を区画する中間支持壁44に支持されている。より詳しくは、ロータ軸21l、21rの支持部において左右2つに分かれた中間支持壁44のそれぞれに左右の中央側ロータ軸受31がそれぞれ支持されている。すなわち、左ロータ軸21lを支持する左側の中央側ロータ軸受31は左側の中間支持壁44に形成されたボス部に嵌め込まれて支持され、右ロータ軸21rを支持する右側の中央側ロータ軸受31は右側の中間支持壁44に形成されたボス部に嵌め込まれて支持されている。そして、これら左右の中央側ロータ軸受31が支持された左右2枚の中間支持壁44の間に第二ギヤ機構収容室42が形成されている。左右のロータ軸21l、21rの装置幅方向中央側の端部は、左右の中央側ロータ軸受31の内周面を貫通して第二ギヤ機構収容室42内に突出するように配置され、当該端部にそれぞれMG出力ギヤ11l、11rが形成されている。
【0059】
左右の端部側ロータ軸受32は、それぞれMG収容室43lの開口部を覆うカバーDCl、DCrに支持されている。より詳しくは、左側の端部側ロータ軸受32は、左カバーDClの内面の径方向中央部に形成されたボス部に嵌め込まれて支持され、右側の端部側ロータ軸受32は、右カバーDCrの内面の径方向中央部に形成されたボス部に嵌め込まれて支持されている。これら左右の端部側ロータ軸受32を介して、左右のロータ軸21l、21rにおける装置幅方向端部側の端部が、ケースDCに回転可能に支持されている。以上のとおり、モータ・ジェネレータMGl、MGrのロータRol、Rorは、ロータ軸21l、21rの外周面がロータ軸受31、32を介してケースDCに回転可能に支持される外径支持構造とされている。
【0060】
そして、ロータ軸受31、32は、モータ・ジェネレータMGl、MGrのステータStl、Strの径方向内側であって、モータ・ジェネレータMGl、MGrの回転軸方向(装置幅方向)におけるステータStl、Strのコイルエンド部Ceと重複する位置に配置されている。すなわち、中央側ロータ軸受31及び端部側ロータ軸受32は、いずれもステータStl、Strのコイルエンド部Ceに対して径方向内側であって、当該コイルエンド部Ceと装置幅方向に重複するように配置されている。ここで、コイルエンド部Ceとは、モータ・ジェネレータMGl、MGrのステータStl、Strを構成するコイルの内で、ステータコアから軸方向(装置幅方向)に突出した部分を指す。また、重複とは、ロータ軸受31、32の少なくとも一部が、軸方向(装置幅方向)においてコイルエンド部Ceと重複することを指す。ロータ軸受31、32をこのように配置することにより、ケースDC内におけるモータ・ジェネレータMGl、MGrのロータ軸21l、21rを配置するための軸方向寸法を小さくすることができる。本実施形態においては、モータ・ジェネレータMGl、MGrが設けられる部分が、車両用駆動装置Dの中で装置幅方向に最も大きい部分であるため、車両用駆動装置Dの全体の軸方向(装置幅方向)の寸法を小さくすることができる。
【0061】
左右2系統の出力軸Ol、Orは、当該出力軸Ol、Orの回転軸方向(装置幅方向)に異なる位置に配置された中央側出力軸受35及び端部側出力軸受36によりケースDCに支持されている。本実施形態においては、出力軸Ol、Orの装置幅方向中央側の端部に一体回転するように外嵌された駆動出力ギヤ16l、16rの円筒状のハブ部16bが、中央側出力軸受35及び端部側出力軸受36によりケースDCに回転可能に支持されることにより、出力軸Ol、Orが支持されている。そして、左右2系統の出力軸Ol、Or及びこれと一体回転する駆動出力ギヤ16l、16rは、それぞれ装置幅方向の中央側と端部側の2箇所において、出力軸受35、36によりケースDCに対して回転可能に支持されている。ここで、出力軸受35、36は、いずれもボールベアリングとしている。本実施形態においては、中央側出力軸受35が本発明における第一出力軸受に相当し、端部側出力軸受36が本発明における第二出力軸受に相当する。
【0062】
左右の中央側出力軸受35は、それぞれ出力軸Ol、Orの回転軸方向(装置幅方向)において左右の第一ギヤ14l、14rと重複する位置に配置されている。すなわち、左側の中央側出力軸受35は、左第一ギヤ14lと装置幅方向に重複する位置に配置され、右側の中央側出力軸受35は、左第一ギヤ14rと装置幅方向に重複する位置に配置されている。上記のとおり、左右の第一ギヤ14l、14rは、装置幅方向の中央部に互いに隣接して配置されているため、左右の中央側出力軸受35も、装置幅方向の中央部に互いに隣接して配置される。そこで、本実施形態においては、左右の中央側出力軸受35は、第一ギヤ機構収容室41内における装置幅方向の中央部に設けられた中央支持部46に左右両側から嵌め込まれて支持されている。そして、この中央側出力軸受35により、駆動出力ギヤ16l、16rのハブ部16bの小径化された装置幅方向中央側端部を支持することにより、出力軸Ol、Orを、装置幅方向中央側の位置においてケースDCの中央支持部46に対して回転可能に支持している。
【0063】
左右の端部側出力軸受36は、それぞれ駆動出力ギヤ16l、16rの径方向内側であって、出力軸Ol、Orの回転軸方向(装置幅方向)において左右の駆動出力ギヤ16l、16rと重複する位置に配置されている。すなわち、左右の端部側出力軸受36は、駆動出力ギヤ16l、16rの外径よりも径が小さく設定されており、左側の端部側出力軸受36は、左駆動出力ギヤ16lと装置幅方向に重複する位置に配置され、右側の端部側出力軸受36は、右駆動出力ギヤ16rと装置幅方向に重複する位置に配置されている。ここで、駆動出力ギヤ16l、16rは、ハブ部16bから径方向外側に延出されたウェブ部と、歯幅を確保するためにウェブ部に対して装置幅方向に拡大され、外周面に歯が形成されたリム部とを有している。左右の端部側出力軸受36は、駆動出力ギヤ16l、16rのウェブ部に対して駆動輪Wl、Wr側(装置幅方向端部側)に隣接し、ウェブ部から装置幅方向に延出されたリム部の径方向内側において当該リム部と装置幅方向に重複するように配置される。そのため、本実施形態においては、左右の端部側出力軸受36は、ケースDCの側壁45から第一ギヤ機構収容室41内側(装置幅方向中央側)へ延出されたボス部に嵌め込まれて支持されている。そして、この端部側出力軸受36により、駆動出力ギヤ16l、16rのハブ部16bにおけるウェブ部の駆動輪Wl、Wr側(装置幅方向端部側)に隣接する位置を支持することにより、出力軸Ol、Orを、中央側出力軸受35に対して装置幅方向端部側の位置においてケースDCの側壁45に対して回転可能に支持している。なお、ケースDCの側壁45から駆動輪Wl、Wr側(装置幅方向端部側)へ延出されたボス部の内径には、オイルシール47が配置されている。このオイルシール47により、ケースDC内の油が出力軸Ol、Orの支持部から外部に漏れ出すことが防止される。
【0064】
以上のとおり、出力軸Ol、Orは、その外周面が出力軸受35、36を介してケースDCに回転可能に支持される外径支持構造とされている。そして、中央側出力軸受35を第一ギヤ14l、14rと装置幅方向に重複する位置に配置したことにより、出力軸Ol、Orを駆動輪Wl、Wrから離れた位置において支持することが可能となるとともに、出力軸Ol、Orの支持部の装置幅方向の寸法を小さく抑えることが可能となっている。また、端部側出力軸受36を駆動出力ギヤ16l、16rの径方向内側であって、当該駆動出力ギヤ16l、16rと装置幅方向に重複する位置に配置したことにより、駆動出力ギヤ16l、16rの径方向内側の空間を有効に利用して端部側出力軸受36を配置することができるので、出力軸Ol、Orの支持部の装置幅方向の寸法を小さく抑えることが可能となっている。したがって、出力軸Ol、Orの支持部の装置幅方向寸法を小さく押えるとともに、出力軸Ol、Orの装置幅方向中央側を駆動輪Wl、Wrから離れた位置において支持することにより、出力軸Ol、Orから駆動輪Wl、Wrまでの距離を長く確保することが可能となっている。
【0065】
左右2系統のアイドラギヤ12l、12rは、ケースDCに支持された左右2系統に共通のアイドラ支持軸22の外周に、互いに独立に回転可能に支持されている。この際、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rは、互いに独立に回転可能な状態で、各アイドラギヤ12l、12rの内周に設けられたアイドラ内周軸受33を介してアイドラ支持軸22に支持されている。アイドラ支持軸22は、回転不要であるため、ここではケースDCに固定支持されている。具体的には、アイドラ支持軸22は、その両端部が左右2枚の中間支持壁44のそれぞれにより支持され、第二ギヤ機構収容室42内を装置幅方向に渡されるように固定されている。すなわち、アイドラ支持軸22の左側端部は、左側の中間支持壁44に形成された円形凹部に嵌入され、アイドラ支持軸22の右側端部は、右側の中間支持壁44に形成された円形貫通孔に嵌入されている。また、右側の円形貫通孔の軸方向(装置幅方向)端部側開口を覆うようにアイドラ軸端押え部材37が取り付けられ、アイドラ支持軸22が軸方向(右側)に抜けないように押えられている。本実施形態においては、このアイドラ支持軸22が本発明における第二共通支持軸に相当する。
【0066】
アイドラ内周軸受33は、アイドラギヤ12l、12rの内周面と、アイドラ支持軸22の外周面との間に配置され、アイドラ支持軸22に対してアイドラギヤ12l、12rを回転可能に支持するラジアル軸受である。このアイドラ内周軸受33は、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rのそれぞれについて別個に設けられる。このように、左アイドラギヤ12lと右アイドラギヤ12rのそれぞれの内周面に、別個のアイドラ内周軸受33をそれぞれ設けることにより、共通のアイドラ支持軸22を用いながら、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rが互いに独立に回転可能に支持される。そして、このアイドラ内周軸受33の軸方向の幅は、各アイドラギヤ12l、12rの幅と同じ又はそれより小さく設定されている。このアイドラ内周軸受33としては、例えば、ラジアル型のニードルベアリング等が好適に用いられる。
【0067】
また、図4によく示されるように、左右のアイドラギヤ12l、12rの間、及び各アイドラギヤ12l、12rとケースDCの中間支持壁44との間には、スラスト軸受39が配置されている。これにより、互いに隣接して配置される左右のアイドラギヤ12l、12rの間、及び各アイドラギヤ12l、12rとケースDCの中間支持壁44との間が、所定間隔に保持されるとともに、相対回転可能な状態とされる。なお、このスラスト軸受39としては、例えば、スラストボールベアリングやスラストニードルベアリングの他、すべり軸受としてのスラストワッシャ等を用いることができる。
【0068】
以上のように、アイドラギヤ12l、12rは、その内周に設けたアイドラ内周軸受33によりアイドラ支持軸22に対して回転可能に支持する内径支持構造とされている。したがって、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rのそれぞれの両端部において回転軸の外周を軸受により支持する外径支持構造とする場合に比べて、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rの間で回転軸を支持する必要がないため、左右のアイドラギヤ12l、12rを軸方向に互いに隣接して配置することが可能となる。このため、ケースDCは、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rの間で軸を支持する中間支持構造を持たない一つの空間とされた第二ギヤ機構収容室42に、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rを共通に収容する構成となっている。更に、アイドラ支持軸22は、回転不要であってケースDCに固定支持されるため、当該アイドラ支持軸22の支持構造は非常に簡略化することが可能である。したがって、アイドラギヤ12l、12rを設けるための軸方向(装置幅方向)の寸法を非常に小さく抑えることが可能となり、車両用駆動装置Dの幅方向寸法の小型化が可能となっている。
【0069】
左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rは、ケースDCに支持された左右2系統に共通のカウンタ支持軸23の外周に、互いに独立に回転可能に支持されている。この際、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rは、互いに独立に回転可能な状態で、各カウンタ減速機構13l、13rの内周に設けられたカウンタ内周軸受34を介してカウンタ支持軸23に支持されている。カウンタ支持軸23は、回転不要であるため、ここではケースDCに固定支持されている。具体的には、カウンタ支持軸23は、その両端部がケースDCの左右の側壁45のそれぞれにより支持され、第一ギヤ機構収容室41内を装置幅方向に渡されるように固定されている。すなわち、カウンタ支持軸23の左側端部は、左側の側壁45に形成された円形凹部に嵌入され、カウンタ支持軸23の右側端部は、右側の側壁45に形成された円形貫通孔に嵌入されている。また、右側の円形貫通孔の軸方向(装置幅方向)端部側開口を覆うようにカウンタ軸端押え部材38が取り付けられ、カウンタ支持軸23が軸方向(右側)に抜けないように押えられている。本実施形態においては、このカウンタ支持軸23が本発明における共通支持軸に相当する。
【0070】
カウンタ内周軸受34は、カウンタ減速機構13l、13rの内周面と、カウンタ支持軸23の外周面との間に配置され、カウンタ支持軸23に対してカウンタ減速機構13l、13rを回転可能に支持するラジアル軸受である。ここで、カウンタ減速機構13l、13rの内周面とは、カウンタ減速機構13l、13rを構成する第一ギヤ14l、14r及び第二ギヤ15l、15r、並びにこれらを軸方向に連結する円筒状のハブ部の内周面を指す。このカウンタ内周軸受34は、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rのそれぞれについて別個に設けられる。このように、左カウンタ減速機構13lと右カウンタ減速機構13rのそれぞれの内周面に、別個のカウンタ内周軸受34をそれぞれ設けることにより、共通のカウンタ支持軸23を用いながら、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rが互いに独立に回転可能に支持される。本実施形態においては、左右2系統のそれぞれのカウンタ減速機構13l、13rについて、軸方向に2個ずつのカウンタ内周軸受34を配列して設けている。これにより、アイドラギヤ12l、12rと共通の軸受を用いて部品種別数を削減しながら、アイドラギヤ12l、12rよりも軸方向に長いカウンタ減速機構13l、13rを適切に支持することが可能となる。このカウンタ内周軸受34は、軸方向に2個配列した状態での幅が、各カウンタ減速機構13l、13rの幅と同じ又はそれより小さく設定されている。このカウンタ内周軸受34としては、アイドラ内周軸受33と同様の構造の軸受を用いることができ、例えば、ラジアル型のニードルベアリング等が好適に用いられる。
【0071】
また、図4によく示されるように、左右のカウンタ減速機構13l、13rの間、及び各カウンタ減速機構13l、13rとケースDCの側壁45との間には、スラスト軸受39が配置されている。これにより、互いに隣接して配置される左右のカウンタ減速機構13l、13rの間、及び各カウンタ減速機構13l、13rとケースDCの側壁45との間が、所定間隔に保持されるとともに、相対回転可能な状態とされる。なお、このスラスト軸受39としては、上記と同様の各種構成のものを用いることができる。
【0072】
以上のように、カウンタ減速機構13l、13rは、その内周に設けたカウンタ内周軸受34によりカウンタ支持軸23に対して回転可能に支持する内径支持構造とされている。したがって、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rのそれぞれの両端部において回転軸の外周を軸受により支持する外径支持構造とする場合に比べて、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rの間で回転軸を支持する必要がないため、左右のカウンタ減速機構13l、13rを軸方向に互いに隣接して配置することが可能となる。このため、ケースDCは、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rの間で軸を支持する中間支持構造を持たない一つの空間とされた第一ギヤ機構収容室41に、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rを共通に収容する構成となっている。更に、カウンタ支持軸23は、回転不要であってケースDCに固定支持されるため、当該カウンタ支持軸23の支持構造は非常に簡略化することが可能である。したがって、カウンタ減速機構13l、13rを設けるための軸方向(装置幅方向)の寸法を非常に小さく抑えることが可能となり、車両用駆動装置Dの幅方向寸法の小型化が可能となっている。
【0073】
3.各ギヤの歯面の方向
次に、駆動力の伝達系統を構成する各ギヤの歯面の方向について説明する。本実施形態においては、MG出力ギヤ11l、11r、アイドラギヤ12l、12r、カウンタ減速機構13l、13rの第一ギヤ14l、14r及び第二ギヤ15l、15r、並びに駆動出力ギヤ16l、16rを、いずれもヘリカルギヤ(はすば歯車)としている。このように駆動力の伝達機構としてヘリカルギヤを用いる場合、各ギヤには歯面の傾斜方向に応じて軸方向の力であるスラスト力が作用する。この際、外径支持構造を採用するロータ軸21l、21rは、ロータ軸受31、32によりMG出力ギヤ11l、11rに作用するスラスト力を支持可能であり、同じく外径支持構造を採用する出力軸Ol、Orは出力軸受35、36により駆動出力ギヤ16l、16rに作用するスラスト力を支持可能である。これに対して、内径支持構造を採用するアイドラギヤ12l、12r及びカウンタ減速機構13l、13rでは、アイドラ内周軸受33又はカウンタ内周軸受34によってはスラスト力を支持することができないため、上記のとおりスラスト軸受39が設けられる。そこで、このようなスラスト軸受39の負荷を軽減すべく、アイドラギヤ12l、12r及びカウンタ減速機構13l、13rに作用するスラスト力が所定の方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向を設定している。
【0074】
図4には、前進駆動力がモータ・ジェネレータMGl、MGrから出力軸Ol、Orへ伝達される際の状態、すなわち前進駆動力の伝達状態で、各ギヤに作用するスラスト力の方向を矢印で示している。具体的には、図4では、左右のアイドラギヤ12l、12rに作用するスラスト力及びその反力として第一ギヤ14l、14rに作用するスラスト力の方向を矢印「f1」として示し、第二ギヤ15l、15rに作用するスラスト力及びその反力として駆動出力ギヤ16l、16rに作用するスラスト力の方向を矢印「f2」として示している。
【0075】
左右2系統のアイドラギヤ12l、12rは、前進駆動力の伝達状態で、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rに作用するスラスト力f1が互いに対向する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定されている。すなわち、前進駆動力の伝達状態で、左アイドラギヤ12lに作用するスラスト力f1が右アイドラギヤ12rへ向かう方向となり、右アイドラギヤ12rに作用するスラスト力f1が左アイドラギヤ12lへ向かう方向となるように、左右のアイドラギヤ12l、12rの歯面の傾斜方向が設定されている。具体的には、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rの歯面が、それぞれ他方のアイドラギヤ12l、12r側(幅方向中央側)へ向かうに従って、前進駆動力の伝達方向前方に位置するように傾斜方向が設定されている。したがって、左アイドラギヤ12lと右アイドラギヤ12rとの歯面の傾斜方向は互いに反対方向となる。また、本実施形態においては、左アイドラギヤ12lと右アイドラギヤ12rとの歯面の傾斜角度は同じとなるように設定されている。
【0076】
ここで、このような前進駆動力の伝達状態を基準として歯面の傾斜方向を設定するのは、このような状態が、車両用駆動装置Dとしては一般的に最も多く、かつモータ・ジェネレータMGl、MGrからも大きい駆動力が出力される状態だからである。このように各アイドラギヤ12l、12rの歯面の傾斜方向を設定することにより、車両用駆動装置Dとして最も多くかつ大きい駆動力が出力される状態で、左右2系統のアイドラギヤ12l、12rに作用するスラスト力が互いに打ち消しあう方向に作用することになる。この場合、主に左右のアイドラギヤ12l、12rの間に配置されたスラスト軸受39によりスラスト力f1が支持される。したがって、左右のアイドラギヤ12l、12rとケースDCとの間に配置されたスラスト軸受39の負荷を大幅に軽減することができる。よって、アイドラギヤ12l、12rの支持構造の全体として、スラスト軸受39の負荷を軽減することができるので、スラスト軸受39の小型化を図ることが可能となる。なお、後進駆動力がモータ・ジェネレータMGl、MGrから出力軸Ol、Orへ伝達される際や、車両の前進走行時に回生制動を行うために出力軸Ol、Orからモータ・ジェネレータMGl、MGrへ駆動力が伝達される際には、左右のアイドラギヤ12l、12rには、図示の方向とは反対に、互いに離間する方向のスラスト力が作用する。この場合には、主に左右のアイドラギヤ12l、12rとケースDCとの間に配置されたスラスト軸受39によりスラスト力が支持される。
【0077】
左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rは、前進駆動力の伝達状態で、左右2系統の第二ギヤ15l、15rに作用するスラスト力f2が互いに対向する方向となり、左右2系統の第一ギヤ14l、14rに作用するスラスト力f1が互いに離間する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定されている。すなわち、前進駆動力の伝達状態で、左第二ギヤ15lに作用するスラスト力f2が右第二ギヤ15rへ向かう方向となり、右第二ギヤ15rに作用するスラスト力f2が左第二ギヤ15lへ向かう方向となるように、左右2系統の第二ギヤ15l、15rの歯面の傾斜方向が設定されている。また、前進駆動力の伝達状態で、左第一ギヤ14lに作用するスラスト力f1が右第一ギヤ14rとは反対側へ向かう方向となり、右第一ギヤ14rに作用するスラスト力f1が左第一ギヤ14lとは反対側へ向かう方向となるように、左右2系統の第一ギヤ14l、14rの歯面の傾斜方向が設定されている。具体的には、左右2系統の第二ギヤ15l、15rの歯面が、それぞれ他方の第二ギヤ15l、15r側(幅方向中央側)へ向かうに従って、前進駆動力の伝達方向前方に位置するように傾斜方向が設定されている。また、左右2系統の第一ギヤ14l、14rの歯面は、上記左右2系統のアイドラギヤ12l、12rの歯面に適切に噛み合うように傾斜方向が設定されている。すなわち、左右2系統の第一ギヤ14l、14rの歯面は、それぞれ他方の第一ギヤ14l、14r側(幅方向中央側)へ向かうに従って、前進駆動力の伝達方向前方に位置するように傾斜方向が設定されている。また、本実施形態においては、左第一ギヤ14lと右第一ギヤ14rとの歯面の傾斜角度が同じとなるように設定され、左第二ギヤ15lと右第二ギヤ15rとの歯面の傾斜角度が同じとなるように設定されている。
【0078】
上記のとおり、第二ギヤ15l、15rの回転は、第一ギヤ14l、14rに対して減速されているため、第二ギヤ15l、15rが伝達する駆動力は第一ギヤ14l、14rが伝達する駆動力より大きい。そして、各ギヤに作用するスラスト力は、各ギヤが伝達する駆動力の大きさに比例するので、第二ギヤ15l、15rに作用するスラスト力f2は、第一ギヤ14l、14rに作用するスラスト力f1より大きい。そのため、第一ギヤ14l、14rと第二ギヤ15l、15rとが一体となったカウンタ減速機構13l、13rの全体としてみれば、第二ギヤ15l、15rに作用するスラスト力f2と同じ方向にスラスト力f3(=f2−f1)が作用することになる。したがって、上記のように第一ギヤ14l、14r及び第二ギヤ15l、15rのそれぞれの歯面の傾斜方向を設定することにより、車両用駆動装置Dとして最も多くかつ大きい駆動力が出力される前進駆動力の伝達状態で、左右2系統のカウンタ減速機構13l、13rに作用するスラスト力f3が互いに打ち消しあう方向に作用することになる。この場合、主に左右のカウンタ減速機構13l、13rの間に配置されたスラスト軸受39によりスラスト力f3が支持される。したがって、左右のカウンタ減速機構13l、13rとケースDCとの間に配置されたスラスト軸受39の負荷を大幅に軽減することができる。よって、カウンタ減速機構13l、13rの支持構造の全体として、スラスト軸受39の負荷を軽減することができるので、スラスト軸受39の小型化を図ることが可能となる。なお、後進駆動力がモータ・ジェネレータMGl、MGrから出力軸Ol、Orへ伝達される際や、車両の前進走行時に回生制動を行うために出力軸Ol、Orからモータ・ジェネレータMGl、MGrへ駆動力が伝達される際には、左右のカウンタ減速機構13l、13rには、図示の方向とは反対に、互いに離れる方向のスラスト力が作用する。この場合には、主に左右のカウンタ減速機構13l、13rとケースDCとの間に配置されたスラスト軸受39によりスラスト力が支持される。
【0079】
4.その他の実施形態
(1)上記の実施形態においては、本発明に係る車両用駆動装置Dを電動車両用の駆動装置であって、車両の前輪又は後輪となる左右の駆動輪を駆動する装置に適用する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、車両用駆動装置Dを4輪駆動車用の駆動装置として車両の前輪及び後輪の双方に適用することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、前輪用と後輪用の駆動装置を別体としてもよいし、一つのケース内に収容して一体的に構成してもよい。また、本発明に係る車両用駆動装置Dを、エンジン(内燃機関)又はエンジン及び回転電機の双方により前輪又は後輪が駆動される車両に適用し、これらにより駆動されない残りの車輪を本発明に係る車両用駆動装置Dにより駆動する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、本発明に係る車両用駆動装置Dは、ハイブリッド車両用の駆動装置となる。
【0080】
(2)上記の実施形態では、MG出力ギヤ11l、11rとカウンタ減速機構13l、13rとの間をアイドラギヤ12l、12rにより駆動連結する構成を例として説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、アイドラギヤ12l、12rに代えてチェーンや伝達ベルト等の他の駆動伝達機構を設けた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、アイドラギヤ12l、12r又はそれに相当する駆動伝達機構を備えず、MG出力ギヤ11l、11rとカウンタ減速機構13l、13rの第一ギヤ14l、14rとが直接噛み合うように駆動連結した構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。モータ・ジェネレータMGl、MGrの径が小さい、MG出力ギヤ11l、11rの径が大きい、第一ギヤ14l、14rの径が大きい場合等に、このような構成が可能となる。
【0081】
(3)上記の実施形態では、カウンタ減速機構13l、13rが、左右2系統の第二ギヤ15l、15rを、それぞれ同じ系統の第一ギヤ14l、14rに対して駆動輪Wl、Wr側に配置した構成である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、左右2系統の第一ギヤ14l、14rを、それぞれ同じ系統の第二ギヤ15l、15rに対して駆動輪Wl、Wr側に配置した構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成とした場合、上記実施形態の構成よりも更に駆動出力ギヤ16l、16rを装置幅方向中央側に配置することが可能となる。したがって、出力軸Ol、Orから駆動輪Wl、Wrまでの距離を更に長く確保することが可能となる。
【0082】
(4)上記の実施形態では、モータ・ジェネレータMGl、MGrのロータ軸21l、21r及び出力軸Ol、Orが、各軸をケースDCに回転可能に支持する外径支持構造とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、モータ・ジェネレータMGl、MGrの左右のロータRol、Rorが互いに独立に回転可能な状態で、各ロータRol、Rorの内周に設けられた軸受を介して、ケースDCに支持された共通支持軸に支持された内径支持構造とし、或いは、左右の出力軸Ol、Orが互いに独立に回転可能な状態で、各出力軸Ol、Orの内周に設けられた軸受を介して、ケースDCに支持された共通支持軸に支持された内径支持構造とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0083】
(5)上記の実施形態では、各ギヤをヘリカルギヤ(はすば歯車)とする場合を例として説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、これらの各ギヤをヘリカルギヤ以外のギヤ、例えば、平歯車又はやまば歯車等とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば電動車両やハイブリッド車両等のように、回転電機を駆動力源として備える車両に用いる駆動装置として、好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の全体の構成を示す軸方向断面図
【図2】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図
【図3】図1のIII−III断面図
【図4】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の駆動伝達系の構成を拡大して示す部分拡大図
【符号の説明】
【0086】
D:車両用駆動装置
MGl:左モータ・ジェネレータ(回転電機)
MGr:右モータ・ジェネレータ(回転電機)
Ol:左出力軸(出力部材)
Or:右出力軸(出力部材)
Wl:左駆動輪
Wr:右駆動輪
Tl:左駆動伝達系
Tr:右駆動伝達系
DC:ケース
11l:左MG出力ギヤ(回転電機出力ギヤ)
11r:右MG出力ギヤ(回転電機出力ギヤ)
12l:左アイドラギヤ
12r:右アイドラギヤ
13l:左カウンタ減速機構(ギヤ機構)
13r:右カウンタ減速機構(ギヤ機構)
14l:左第一ギヤ
14r:右第一ギヤ
15l:左第二ギヤ
15r:右第二ギヤ
16l:左駆動出力ギヤ
16r:右駆動出力ギヤ
21l:左ロータ軸
21r:右ロータ軸
22:アイドラ支持軸(第二共通支持軸)
23:カウンタ支持軸(共通支持軸)
33:アイドラ内周軸受
34:カウンタ内周軸受
41:第一ギヤ機構収容室(共通収容室)
42:第二ギヤ機構収容室(第二共通収容室)
44:中間支持壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、駆動輪に連結される出力部材と、前記回転電機と前記出力部材とを駆動連結する駆動伝達系とを、2つの駆動輪のそれぞれについて互いに独立に2系統備えるとともに、これらを一体的に収容するケースを備える車両用駆動装置であって、
前記回転電機と前記出力部材とが互いに異なる軸上に配置されるとともに、当該異なる軸間を駆動連結するように駆動伝達系が配置され、
2系統の前記駆動伝達系は、前記ケースに支持された2系統に共通の共通支持軸と、2系統のそれぞれに含まれるギヤ機構とを備え、
2系統の前記ギヤ機構が、互いに独立に回転可能な状態で、各ギヤ機構の内周に設けられた軸受を介して前記共通支持軸に支持された車両用駆動装置。
【請求項2】
一方の系統の前記回転電機、前記出力部材、及び前記駆動伝達系と、他方の系統の前記回転電機、前記出力部材、及び前記駆動伝達系とが、前記ケース内に互いに鏡対称に配置された請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記回転電機と、前記出力部材と、前記ギヤ機構とが、それぞれの回転軸を互いに平行として配置されるとともに当該回転軸方向に互いに重複して配置された請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記共通支持軸を2系統の前記ギヤ機構の間で支持する中間支持構造を持たずに2系統の前記ギヤ機構を共通に収容する共通収容室を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記ギヤ機構は、前記回転電機の出力回転を減速して前記出力部材に伝達するカウンタ減速機構であり、
前記カウンタ減速機構は、互いに一体回転する第一ギヤ及び第二ギヤを有し、
前記第一ギヤは、前記回転電機の出力部に駆動連結され、前記第二ギヤは、前記出力部材に駆動連結された請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記回転電機の出力部は、前記回転電機のロータ軸と一体回転する回転電機出力ギヤを有し、
2系統の前記駆動伝達系は、前記ケースに支持された2系統に共通の第二共通支持軸と、2系統のそれぞれに含まれて前記回転電機出力ギヤと前記第一ギヤとを駆動連結するアイドラギヤとを更に備え、
2系統の前記アイドラギヤが、互いに独立に回転可能な状態で、各アイドラギヤの内周に設けられた軸受を介して前記第二共通支持軸に支持された請求項5に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
2系統の前記アイドラギヤは、同軸上に配置された2系統の前記回転電機の軸方向中間であって、これらの回転電機と径方向に重複する位置に配置され、各回転電機のロータ軸と一体回転する回転電機出力ギヤに噛み合う請求項6に記載の車両用駆動装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記第二共通支持軸を2系統の前記アイドラギヤの間で支持する中間支持構造を持たずに2系統の前記アイドラギヤを共通に収容する第二共通収容室を備える請求項6又は7に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記ケースは、2系統の前記回転電機の軸方向中間で双方の回転電機のロータ軸を支持する中間支持壁を備え、
前記第二共通収容室は、前記中間支持壁の内部に設けられる請求項8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記カウンタ減速機構を構成する前記第一ギヤと前記第二ギヤとは互いに隣接して配置され、前記第一ギヤは前記アイドラギヤに噛み合い、前記第二ギヤは前記出力部材と一体回転する駆動出力ギヤに噛み合う請求項6から9のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項11】
前記アイドラギヤは、ヘリカルギヤであり、
前進駆動力が前記回転電機から前記出力部材へ伝達される際に、2系統の前記アイドラギヤに作用するスラスト力が互いに対向する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定された請求項6から10のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項12】
前記カウンタ減速機構を構成する前記第一ギヤ及び前記第二ギヤは、いずれもヘリカルギヤであり、
前進駆動力が前記回転電機から前記出力部材へ伝達される際に、2系統の前記第二ギヤに作用するスラスト力が互いに対向する方向となり、2系統の前記第一ギヤに作用するスラスト力が互いに離間する方向となるように、各ギヤの歯面の傾斜方向が設定された請求項5から11のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−48380(P2010−48380A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214634(P2008−214634)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】