説明

車両管理装置、車両管理方法、車両管理装置用プログラム、車両管理装置用記録媒体

【課題】車両電動アシスト付き自転車等の共同利用可能な車両を共同利用者に貸し出すにあたって、共同利用者の不正使用を防止することを目的とする。
【解決手段】自転車A1等に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用されると共に、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵された各自転車の専用鍵a1等を利用し、上記無線タグとの無線通信により、情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグ用リーダ・ライタb1等を設けた車両管理装置を利用することにより、共同利用者に対して専用鍵a1の貸出管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動アシスト付き自転車、動力用電池を持たない自転車、オートバイ、電動スクーター等の車両を共同利用するための共同利用システムに関し、特に、共同利用システムにおいて使用される車両の管理を行う車両管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マンションの集合住宅等を対象として、自転車や電動アシスト付き自転車等を共同利用するための共同利用システムが普及しつつある。この共同利用システムにより、マンション等の駐輪場の不足や、駅周辺における自転車の放置、盗難等の問題を解消すると共に、共同利用による各人の負担コストの軽減を図ることができる。
【0003】
ところが、共同利用を行うためには、車両の車輪をロックするロック装置の専用鍵(キー)の管理と貸し出し方法が問題になる。そのため、従来、図8に示すような鍵管理装置200を用いて鍵を管理すると共に、図9に示すような車両(ここでは、電動アシスト付き自転車300)を共同利用者に貸し出す方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。尚、図8は、電動アシスト付き自転車300の共同利用システムで使用される鍵管理装置200の外観を示す斜視図である。図9は、鍵管理装置200から離れた箇所に設置された駐車場に保管中の複数の電動アシスト付き自転車300のうちの一つについて、その保管中の様子を例示する斜視図である。
【0004】
図9に示すように、電動アシスト付き自転車300は、車体部分301と、この車体部分301に取り付けられたカゴの内部において車体部分301に固定された動力用電池(バッテリー)302から構成されている。駐車場には保管ポール303が固定され、電動アシスト付き自転車300の前輪が鍵管理装置200からの遠隔操作によって開閉される盗難防止用の駐輪機304を介して保管ポール303に取り付けられている。
【0005】
また、動力用電池302は、駐車場での保管中でも車体部分301から取り外されないような構成となっている。保管ポール303を通して引き出される充電用ケーブル305が動力用電池302に接続されることにより、駐車場において動力用電池302の充電が行われる。保管ポール303から引き出される充電用ケーブル305は、図示しない充電器に接続されており、充電用ケーブル305が動力用電池302に接続されると同時に充電が開始される。動力用電池302が満充電の状態に達すると、充電が自動的に停止される。動力用電池302が充電中であるか、その充電が終了したかを示すステータス信号が、図8に示す鍵管理装置200に送信される。尚、鍵管理装置200は、マンションなどの集合住宅の駐車場内やその片隅には設置されておらず、そのような駐輪場から離れた集合住宅の集会所や管理人室などに設置されている。
【0006】
また、図8に示すように、鍵管理装置200を収容する筐体202の正面パネルには、10個のキーホールダ挿入口K1,K2,K3・・・K10が形成されており、各キーホールダ挿入口K1〜K10には、先端に鍵が取付けられた矩形板状のキーホールダが挿入され、ロック状態で保持される。このように、貸出し対象の鍵が鍵管理装置200の正面パネル上に外部から見える状態で保持されているため、共同利用者は表示装置の案内画面などに頼ることなく、借り出せるキーがどれであるかを一見して判断することができる。
【0007】
また、各キーホールダ挿入口K1〜K10の真上には、この鍵が使用される電動アシスト付き自転車300に固定された動力用電池302の充電の状態を示す矩形状のランプ206a,206b,206c・・・206jが設置されている。ランプ206a〜206jのそれぞれは、対応の電動アシスト付き自転車300の動力用電池302が充電済みであれば緑色で、充電中であれば赤色で連続的な点灯が行われる。ランプ206a〜206jのそれぞれの上方には、貸出し対象の鍵の番号が算用数字で表示され、対応の算用数字が各鍵のキーホールダにも表示されている。
【0008】
また、正面パネルに配列されたランプ206a〜206jは、対応の電動アシスト付き自転車300が故障中であることを表示する場合にも使用される。即ち、対応の電動アシスト付き自転車300に、タイヤのパンク、ブレーキの不具合、ランプがつかない等の異常(故障)が発生すると、これに気付いた共同利用者は、この異常の発生をキー入力部207の所定のキーを操作することによって、異常状態を入力する。これにより、この入力を受けた鍵管理装置200は、対応のランプをその充電の状態とは無関係に赤色で点滅させることによって、対応の電動アシスト付き自転車300が貸出し停止状態にあることを、このシステムの共同利用者に知らせることができる。
【0009】
一方、鍵の貸出しを受けたり、借り出した鍵を返却しようとする共同利用者は、まず、磁気カードや非接触型のICカードなどで構成された自己のIDカードをIDカード挿入口203に挿入し、磁気カードの場合にはこれを上下に動かす(コスル)ことにより、この鍵管理装置200に識別子を読み取らせ、自己が正当な共同利用者であることをこの鍵管理装置200に認識させる。これにより、鍵管理装置200では、カード読取り部203が読取ったIDカードの識別子が共同利用者の識別子の一つと一致するか否かの判別により、この鍵管理装置200の操作者の正当性を検査する。そして、正当性を確認すると、共同利用者からの鍵の貸出し要求や返却要求などに応じて、各キーホールダに対するロック状態を解除させる。共同利用者は、ロック状態が解除されたキーホールダ挿入口から鍵を借り出し、あるいは借り出した鍵を返却することができる。尚、この貸出しの際、充電中や故障中のものについてはロック状態が解除されず、要求が拒否される。
【0010】
更に、鍵管理装置200では、鍵の貸出しや返却の状況を記録する。そして、鍵の返却時などに使用料金を算定し、料金明細の合計金額を更新すると共に、液晶パネルなどで構成される表示部205に今回の使用料金と、これまでの合計料金とを表示する。また、各共同利用者に定期的に配付される請求書は、このシステムの管理者などによって、各共同利用別の利用履歴情報と共に印字出力部208からプリントアウトされる。
【0011】
また、鍵管理装置200では、管理中の電動アシスト付き自転車300の故障台数が所定値に達すると、その旨を通報するメッセージをこのシステムの管理者や修理店などの所定の宛て先に自動転送させる。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−027060号公報(第3−4頁、第1図、第3図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鍵管理装置200は、単にキーホールダに対するロック状態を制御する構造であるため、共同利用者が故意に鍵が付いていないキーホールダを返したり、キーホールダとは別のものを返したり、或いはIDカードだけを通して鍵を返さなかったりしても、鍵管理装置200としては鍵が返却されたものであると認識するため、実際の利用時間よりも借りたことになっている時間を少なくしたり、借りた自転車を返却しなかったりといった不正使用を防止することが出来ないという問題が生じていた。
【0014】
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、車両電動アシスト付き自転車等の共同利用可能な車両を共同利用者に貸し出すにあたって、共同利用者の不正使用を防止することが可能な車両管理装置、車両管理方法、車両管理装置用プログラム、及び車両管理装置用記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理装置において、前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用され、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用鍵を管理する鍵管理手段と、前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記利用希望者の特定に使用するユニークな識別子を含んだ利用者情報の入力を受け付ける入力受付手段(S1参照)と、前記貸出車両に設けられているロック装置の専用鍵の無線タグに対し、前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報を書き込むと共に、前記車両の貸し出しを行うステーションの番号及び貸出日時を含んだ貸出情報を書き込む貸出情報書込手段(S7参照)と、前記貸出情報書込手段によって前記利用希望者の利用者情報及び前記貸出情報を書き込んだ専用鍵を前記鍵管理手段による管理から解放する管理解放手段(S8参照)と、前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記返却車両の特定に使用する車両番号を取得する車両番号取得手段(S12参照)と、前記返却車両に設けられているロック装置の鍵の無線タグに書き込まれている返却希望者の利用者情報及び貸出情報を読み出す貸出情報読出手段(S15参照)と、前記貸出情報読出手段によって読み出した返却希望者の利用者情報及び貸出情報を記憶すると共に、前記返却車両の特定に使用する車両番号と前記車両の返却を受けた返却日時とを含んだ返却履歴情報を記憶することにより、前記共同利用者の利用履歴を管理する利用履歴管理手段(S17参照)と、を有することを特徴とする車両管理装置である。
【0016】
ここで、本発明の「利用者情報」には、少なくとも共同利用者(利用希望者、返却希望者)の特定に使用するユニークな識別子を含んでいればよく、共同利用者の氏名、住所等の他の情報を含んでいてもよい(以下同様)。
【0017】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車両管理装置であって、更に、前記車両を貸し出し可能な全部又は一部の共同利用者に係る利用者情報を管理する利用者情報管理手段と、前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報と前記利用者情報管理手段で管理している利用者情報を照合し、前記利用希望者に前記車両を貸し出すことが可能か否かを判断する貸出判断手段(S2,S3参照)と、前記貸出判断手段によって貸し出し不可と判断した場合には、前記貸出情報書込手段による書き込み、又は前記管理解放手段による解放のうち何れかの処理を行わず、前記利用希望者に対して貸出不可である旨を告知する貸出不可告知手段(S9参照)と、を有することを特徴とする車両管理装置である。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の車両管理装置であって、更に、前記貸出情報読出手段によって読み出した貸出情報に含まれている貸出日時と前記車両の返却を受けた返却日時に基づいて、前記車両の利用時間を算出する利用時間算出手段(S16参照)を有すると共に、当該算出した利用時間を前記返却履歴情報に含めて前記利用履歴管理管理手段によって管理すること(S17参照)を特徴とする車両管理装置である。
【0019】
請求項4に係る発明は、前記入力受付手段は、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用カードから、前記車両の利用希望者及び返却希望者に係る利用者情報の無線入力を受け付けることが可能であること(S1,S18参照)を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両管理装置である。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の車両管理装置であって、更に、前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記入力受付手段によって受け付けた返却希望者に係る利用者情報(n’参照)と前記貸出情報読出手段によって読み出した利用希望者に係る利用者情報(n参照)とを照合し、利用希望者と返却希望者が一致しているか否かを判断する利用者一致判断手段(S19,S20参照)と、前記利用者一致判断手段によって一致していると判断した場合には、前記車両の返却を受け付けたステーションの番号を前記返却履歴情報に加えて利用履歴情報とし、前記専用カードに内蔵されている無線タグに書き込むことにより、前記共同利用者の利用履歴を当該共同利用者に通知する利用履歴通知手段(S21参照)と、を有することを特徴とする車両管理装置である。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5に記載の車両は、当該車両の走行に利用するする動力用モータと、当該動力用モータを駆動する充電可能な動力用電池を有するものであって、更に、前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記車両の動力用電池が所定以上の充電状態に達しているか否かを判断する充電状態判断手段(S4参照)を有し、充電状態に達していると判断した車両に係る専用鍵を前記管理解放手段により解放すること(S8参照)を特徴とする車両管理装置である。
【0022】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の車両が複数台存在しているものであって、更に、前記充電状態判断手段によって所定以上の充電状態に達していると判断した場合には、前記複数台の車両の中から、前記所定以上の充電状態に達している車両のみが貸し出し可能である旨を前記利用希望者に通知して、前記利用希望者から利用希望の車両を受け付ける利用希望車両受付手段(S5参照)を有し、利用希望として受け付けた車両の専用鍵の無線タグに対し、前記貸出情報書込手段により前記貸出情報を書き込むこと(S7参照)を特徴とする車両管理装置である。
【0023】
請求項8に係る発明は、前記車両番号取得手段は、前記返却車両が当該返却車両の動力用電池を充電する充電器に充電用ケーブルを介して接続されることにより、前記返却車両から前記充電用ケーブルを介して前記車両番号を取得することが可能であること(S12参照)を特徴とする請求項6又は7に記載の車両管理装置である。
【0024】
請求項9に係る発明は、共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理方法において、前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用されると共に、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵された各車両の専用鍵を利用し、前記無線タグとの無線通信により、情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグ用リーダ・ライタを設けた車両管理装置を利用することにより、前記共同利用者に対して前記専用鍵の貸出管理を行うことを特徴とする車両管理方法である。
【0025】
請求項10に係る発明は、共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理装置に用いられる車両管理装置用プログラムであって、更に、前記車両管理装置が、前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用され、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用鍵を管理する鍵管理手段と、前記共同利用者が前記車両を利用した利用履歴を管理する利用履歴管理手段とを有する場合において、前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記利用希望者の特定に使用するユニークな識別子を含んだ利用者情報の入力を受け付ける入力受付手段(S1参照)と、前記貸出車両に設けられているロック装置の専用鍵の無線タグに対し、前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報を書き込むと共に、前記車両の貸し出しを行うステーションの番号及び貸出日時を含んだ貸出情報を書き込む貸出情報書込手段(S7参照)と、前記貸出情報書込手段によって前記利用希望者の利用者情報及び前記貸出情報を書き込んだ専用鍵を前記鍵管理手段による管理から解放する管理解放手段(S8参照)と、前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記返却車両の特定に使用する車両番号を取得する車両番号取得手段(S12参照)と、前記返却車両に設けられているロック装置の鍵の無線タグに書き込まれている返却希望者の利用者情報及び貸出情報を読み出す貸出情報読出手段と、前記貸出情報読出手段(S15参照)によって読み出した返却希望者の利用者情報及び貸出情報を記憶すると共に、前記返却車両の特定に使用する車両番号と前記車両の返却を受けた返却日時とを含んだ返却情報を前記利用履歴管理手段に記憶する利用履歴記憶手段(S17参照)と、としてコンピュータに機能させることを特徴とする車両管理装置用プログラム。
【0026】
ここで、本発明における「プログラム」とは、コンピュータによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものをいい、コンピュータのHD(Hard Disk)、CD−RW等にインストールされているものや、CD−ROM、DVD、FD、半導体メモリ、コンピュータのHDD等の各種記録媒体に記録されているものや、インターネット等の外部ネットワークを介して配信されるものも含まれる。
【0027】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の車両管理装置用プログラムを記録したことを特徴とする、コンピュータで読み取り可能な車両管理装置用記録媒体である。
【0028】
ここで、本発明における「記録媒体」とは、上記コンピュータで上記各手段を機能させるためのプログラムの読み取りに使用することができればよく、情報を媒体の物理的特性を利用してどのように記録するか等の物理的な記録方法には依存しない。例えば、FD(Flexible Disk)、CD−ROM(R,RW)(Compact Disc Read Only Memory(CD Recordable,CD Rewritable))、DVD−ROM(RAM,R,RW)(Digital Versatile Disk Read Only Memory(DVD Random Access Memory,DVD Recordable,DVD Rewritable))、半導体メモリ、MO(Magneto Optical Disk)、MD(Mini Disk)、磁気テープ等が該当する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図7を用いて、本発明の一実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本実施形態の共同利用システムに使用する電動アシスト付き自転車(以下、「自転車」という)をステーション(α)の駐車場に駐車している状態を示したイメージ図である。また、図2は、車両管理装置1の鍵管理部2の拡大図である。図3は、車両管理装置1と自転車A1の概略構成図である。図4は、車両管理装置1の鍵管理部2内に構築されている専用鍵用ロック装置50の断面図である。図5は、無線タグと無線タグリーダ・ライタの構成図である。図6は、車両管理装置1によって自転車を貸し出す処理を示した処理フロー図である。図7は、車両管理装置1によって自転車の返却を受け付ける処理を示した処理フロー図である。
【0031】
図1に示すように、ステーション(α)では、複数の自転車(一例として、自転車A1,A2,A3を示し、これらの総称を以下「自転車A」と記載)が所定の駐車場所に駐車されている。このステーション(α)は、複数のステーションのうちの一つであり、各ステーションは鉄道駅のそばやバス停のそば等に開設されている。また、ステーション(α)には自転車Aの貸し出し及び返却の受け付けを管理するための車両管理装置1が設置されている。この車両管理装置1には、自転車Aに取り付けて充電するための複数の充電用ケーブル111が設けられており、駐車中の各自転車Aにそれぞれ接続されている。
【0032】
また、図2に示すように、車両管理装置1は、各自転車Aに対応した専用鍵(一例として、図3では専用鍵a1,a2,a3を示しているが、これらの総称として図2では「専用鍵a」と記載)の管理を行う鍵管理部2と、自転車Aの駐車位置毎に用意している複数の充電用ケーブル111が接続された充電部3とによって構成されている。
【0033】
更に、鍵管理部2には、各種メッセージを表示するためのモニタ4と、貸し出し可能な自転車Aの駐車位置を示した車両選択番号ボタン5と、後述のIC(Integrated Circuit)カード100の無線タグに対して情報の読み出し及び書き込みが可能なICカード用リーダ・ライタ6と、図示していない集中管理センタのサーバ・コンピュータや他のステーション(β)の車両管理装置1との間で情報の送受信を行うための通信アンテナ7と、各専用鍵aを挿入するための複数の挿入口8が構築されている。
【0034】
また、図3に示すように、各自転車Aは、人力(踏力)による駆動系以外と電動モータによる補助動力系を並設して構成され、人力(踏力)と補助動力を合成して出力するものであって、これには補助動力を発生するアシスト用モータ12と人力(踏力)の大きさに応じてモータ出力を制御するための自転車コントローラ13が設けられている。
【0035】
更に、自転車Aにおいては、不図示のバッテリボックスが脱着可能に装着されており、このバッテリボックス内には複数の充電式電池(2次電池)で構成される動力用電池14が収納されている。そして、充電用ケーブル111を接続することにより、車両管理装置1の充電器110から供給された電力を充電することができる。
【0036】
また、自転車Aには、CPU(Central Processing Unit)及びICメモリによって構成されたBMC(Battery Management Controller)15が設けられており、動力用電池の充電回数や充電状態を管理することができる。また、BMC15によって自転車A毎に予め定められているユニークな車両番号を充電用ケーブル111の一部を介して車両管理装置1に送信することができる。
【0037】
また、各自転車Aには、自己診断用センサ11が設けられており、自転車Aがアシスト用モータ12や動力用電池14等の異常(故障)を検出することができる。そして、上記アシスト用モータ12、電力用電池14、及び自己診断用センサ11は、自転車コントローラ13によって動作制御されている。
【0038】
尚、各自転車Aには、車輪のロックを行い、それぞれの対応した専用鍵aによって開錠することが可能な不図示のロック装置が設けられている。このロック装置は、ロック状態の場合には専用鍵Aを抜き取ることができ、開錠状態の場合には専用鍵Aを抜き取ることができないように構成されている。
【0039】
一方、車両管理装置1には、図3に示すように、上述のモニタ4、車両選択番号ボタン5、ICカード用リーダ・ライタ6だけでなく、通信装置9、各専用鍵用ロック装置(一例として、専用鍵用ロック装置50,50,50を示し、これらの総称を以下「自転車50」と記載)、専用鍵用リーダ・ライタ(一例として、専用鍵用リーダ・ライタb1,b2,b3を示し、これらの総称を以下「専用鍵用リーダ・ライタb」と記載)、PC(Personal Computer)カード用リーダ・ライタ40、通信アンテナ7の本体である携帯電話42、及び充電器110が設けられている。更に、車両管理装置1の図示していないメモリには、利用者登録DB(Data Base)20と利用履歴DB30が構築されている。
【0040】
このうち、通信装置9は、車両管理装置1が各自転車Aと充電用ケーブル111を介して情報(データ)通信を行うために使用する装置である。また、専用鍵用ロック装置50は、挿入口8に挿入された専用鍵aのロックを行うことで専用鍵aが挿入口8から抜けないようにすると共に、挿入口8に挿入されている専用鍵aのロック解除を行うことで専用鍵aが挿入口8から抜けるようにするための装置であり、詳細は図4を用いて後述する。また、専用鍵用リーダ・ライタbは、電波により専用鍵aの無線タグに対して情報の読み出し及び書き込みが可能な装置であり、詳細は図5を用いて後述する。
【0041】
また、利用者登録DB20は、自転車Aを貸し出し可能な全ての共同利用者に係るICカードのカードID(n)等の情報を記憶して管理するDBである。利用履歴DB30は、専用鍵aの無線タグに書き込まれているカードID(n)や自転車Aから取得した車両番号等の情報を記憶して管理するDBである。
【0042】
更に、PCカード用リーダライタ40は、利用履歴DB30に管理されている情報を収集する際に、この情報をPCカード41に書き込んだり、逆に利用者登録DB20に情報を記憶する際に、この情報をPCカード41から読み出したりする装置である。これにより、共同利用システムの管理者が、定期的にPCカード41を各ステーションに持ち込み、各種情報の収集及び記憶(管理)を行うことができる。また、共同利用システムの管理者がわざわざ移動しなくても、携帯電話42を使用したデータ通信によって、各種情報の収集及び記憶(管理)を行うこともできる。
【0043】
そして、上記各装置(4,5,6,9,40,42,50,b,110)の処理動作及びDB(20,30)との記録・読出処理は、車両管理装置1に設けられているコンピュータとしての制御装置10によって制御される。また、上記不図示のメモリには、後述のステップ(S1〜S9,S11〜S23)を実行するためのプログラム(p)が記録されている。尚、このプログラム(p)の記録、インストール作業は、車両管理装置1(制御装置10)で読み取り可能であって、上記プログラム(p)が記録されているCD−ROM等の記録媒体を利用することによって行うことも可能である。
【0044】
続いて、図4を用いて、専用鍵a及び専用鍵用ロック装置50について説明する。
【0045】
図4に示すように、専用鍵aは、それぞれ異なった形状の鍵本体101と、この鍵本体101を保持すると共に特定形状の切欠部が形成された被係止部102と、この被係止部102の基端に設けられると共に人間が把持するための把持部103によって構成されている。尚、専用鍵aに内部されている無線タグについては、図5を用いて後述する。
【0046】
これに対して、専用鍵用ロック装置50は、挿入口8の上部側(図4の上側)に、被係止部102の切欠部に嵌合可能な係止部51と、この係止部51を図4(c)に示す「Y2」方向に付勢するバネ52と、制御装置10からの制御によって駆動するモータ53と、一端がモータ53に接続されて他端が係止部51の基端に接続されたケーブル54によって構築されている。また、モータ53を駆動して、ケーブル54を図4(b)に示す「Y1」方向に引っ張ることにより、係止部51を「Y1」方向へバネ52の付勢に反して移動させることができる。更に、係止部51の先端部には、専用鍵aを挿入口8に押し入れることにより、被係止部102によって係止部51が「Y1」方向に移動するような片テーパ状面(ひづめ形状面)が形成されている。
【0047】
また、専用鍵用ロック装置50は、挿入口8の奥側(図4の右側)に、鍵本体101の先端によって圧入可能な圧入板55と、この圧入板を図4(a)に示す「X1」方向とは逆に付勢するバネ56によって構築されている。
【0048】
以上のような専用鍵用ロック装置50の構成により、図4(a)に示す如く、専用鍵aを挿入口8へ「X1」方向に差し込むと、図4(b)に示す如く、専用鍵aの被係止部102の一部が係止部51の片テーパ面に当接し、徐々に係止部51を「Y1」方向に押し上げながら、専用鍵aを挿入口8内に挿入することができる。そして、図4(c)に示すように、バネ56の付勢に反して更に押し込むと、一端「Y1」方向に押し上げられた係止部51が、バネ52の付勢によって「Y2」方向に押し下げられる。これによって、専用鍵aをロックすることができるため、不特定者が勝手に専用鍵aを挿入口8から引き抜くことができなくなる。
【0049】
また、専用鍵aのロックを解除する場合には、制御装置10による制御信号によってモータ53を駆動し、図4(d)に示すように、ケーブル54をバネ52の付勢に反して「Y3」方向に引っ張ることで、係止部51を「Y3」方向に移動させる。これにより、バネ56の付勢によって移動した圧入板55によって、専用鍵aが「X2」方向に移動するため、共同利用者が専用鍵aを取り出し易くなる。
【0050】
続いて、ICカード100に内蔵されている無線タグとICカード用リーダ・ライタ6との通信方法、及び専用鍵aに内蔵されている無線タグと専用鍵用リーダ・ライタbとの通信方法の原理に関し、図5に示す無線タグ60と無線タグリーダ・ライタ70を用いて説明する。
【0051】
図5に示すように、無線タグリーダ・ライタ70は、読出し(書込み)信号を送信するための送信部71、無線タグ60からの応答信号を受信して通信回線側(図5の左側)へデータ伝送するための受信部72、これら送信部71及び受信部72の送信若しくは受信動作を制御するための制御部73、及び無線タグ60との信号の送受信を行うためのアンテナ74を有している。
【0052】
また、無線タグ60は、読出し(書込み)信号に係る情報を記録するためのメモリ63、無線タグリーダ・ライタ70からの読出し(書込み)信号を受信すると共に、メモリ63内の情報を応答信号として無線タグリーダ・ライタ70へ送信するか、又はメモリ63内に情報を記録するための送受信部61、無線タグリーダ・ライタ70からの読出し(書込み)信号に係る電磁波を無線タグ60の動作を行うためのエネルギに変換するための電源整流部62、及び、送受信部61の送受信動作及びメモリ63への情報の書き込み若しくはメモリ63からの情報の読み出しを制御するための制御部64、並びに、無線タグリーダ・ライタ70との信号の送受信を行うためのループアンテナ65を有している。このように、無線タグ60は、無線タグリーダ・ライタ70からの電波のエネルギで動作するため、電池は不要である。
【0053】
このような構成により、無線タグリーダ・ライタ70のアンテナ74の通信エリアに無線タグ60が進入すると、無線タグ60では、アンテナ74から送信されている情報信号をループアンテナ65を介して送受信部61で受信すると共に、電源整流部62で無線タグ60の動作エネルギに変換し、無線タグ60の動作を開始する。
【0054】
ここで、送受信部61で受信した情報信号が読出信号のときには、メモリ63内の情報を読み出し、応答信号としてループアンテナ65から無線タグリーダ・ライタ70に送信する。また、送受信部61で受信した信号が書込信号のときには、メモリ63内に情報信号を書き込む。
【0055】
一方、無線タグリーダ・ライタ70では、無線タグ60からの応答信号をアンテナ74を介して受信部72で受信すると、情報信号を取り出して通信回線側(図5の左側)へ伝送することができる。
【0056】
続いて、図6及び図7を用いて、本実施形態に係る車両管理装置1の動作について説明する。尚、ここでは、共同利用システムに登録している共同利用者の1人が利用希望者(甲)としてステーション(α)で自転車A1を借り、同一人物が返却希望者(甲)として別のステーション(β)に自転車A1を返却する場合について説明する。
【0057】
まず、利用希望者(甲)が自己のICカード100を車両管理装置1のICカード用リーダ・ライタ6にかざすと、このICカード用リーダ・ライタ6は無線通信によってICカード100の無線タグからカードID(n)を読み取る(ステップS1)。
【0058】
次に、制御装置10では、読み取ったカードID(n)と、予め利用者登録DB20に管理されている全部の共同利用者のカードID(N)とを照合する(ステップS2)。そして、制御装置10では、カードID(n)がカードID(N)に含まれているか否かにより、利用希望者(甲)が共同利用システムに対する登録者であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0059】
次に、制御装置10で、カードID(n)がカードID(N)に含まれているため、利用希望者(甲)を共同利用システムの登録者であると判断した場合には(Yes)、貸し出し可能な自転車Aを選定する(ステップS4)。この選定は、制御装置10で充電器110を監視することにより、貸し出す時点で自転車Aの各動力用電池14が貸し出し可能な所定以上の充電状態に達しているか否かを判断し、所定以上の充電状態に達していると判断した自転車Aのみを貸し出し可能とする処理である。そして、全ての自転車Aの中から、所定以上の充電状態に達していると判断した自転車Aのみが貸し出し可能である旨を通知すべく、貸し出し可能な自転車Aに係る車両選択番号ボタンを点灯させる(ステップS5)。この車両選択番号ボタン5は、自転車A自体の番号ではなく、自転車Aの駐車場所の番号を示している。尚、ここでは、自転車(A1,A2,A3)が貸し出し可能であるとする。
【0060】
次に、利用希望者(甲)が、自転車A1を借りるために、車両選択番号ボタン「1」を押すと、貸し出しを行う自転車が確定し、制御装置10によって、カードID(n)と貸出履歴情報(I1)を利用履歴DB30に記憶して管理する(ステップS6)。この貸出履歴情報(I1)には、自転車A1を利用希望者(甲)に貸し出した日時(以下、「貸出日時」という)が含まれている。
【0061】
次に、車両管理装置1では、制御装置10によって専用鍵用リーダ・ライタb1を制御し、専用鍵用リーダ・ライタb1から専用鍵a1にカードID(n)と貸出情報(i)を書き込む(ステップS7)。この貸出情報(i)には、貸し出しを行ったステーション(α)を特定するためのステーション番号と、貸出日時が含まれている。
【0062】
次に、車両管理装置1では、制御装置10によって専用鍵a1をロックしている専用鍵ロック装置50のロックを解除することにより、専用鍵a1を専用鍵用ロック装置50による管理から解放する(ステップS8)。これにより、利用希望者(甲)は、図2に示す挿入口8から専用鍵a1を引き抜いて、自転車A1のところまで行き、自転車A1に設けられている車輪のロック装置に差し込んでロックを解除することで、自転車A1を利用することができる。
【0063】
一方、上記ステップS3において、制御装置10で、カードID(n)が全てのカードID(N)に含まれていないため、利用希望者(甲)を共同利用システムの登録者でないと判断した場合には(No)、利用希望者(甲)に対して貸出不可である旨を告知すべく、モニタ4でエラー表示を行う(ステップS9)。尚、このエラー表示は、「貸し出し不可」の文字を表示したり、駐車位置番号ボタンを点滅させたり、更に、上記表示又は点滅に合わせて警告音を鳴らしてもよい。
【0064】
続いて、利用希望者(甲)と同一人物である返却希望者(甲)が、自転車A1を借りたステーション(α)とは別のステーション(β)に自転車A1を返す場合について説明する。
【0065】
ステーション(β)の車両管理装置1では、貸し出されていた自転車の充電を開始するため、制御装置10により自転車が充電器110に接続されているか否かを判断している(ステップS11)。そして、充電器110に接続されていると判断した場合には(Yes)、下記ステップS12に進み、接続されていないと判断した場合には(No)、このステップS11の処理を繰り返し行う。このような状況下で、返却希望者(甲)がステーション(β)の空いている駐車場に自転車A1を持って行き、自転車A1に設けられている車輪のロック装置のロックを行って専用鍵a1を抜くと共に、充電用ケーブル111を自転車A1に接続する。すると、上記ステップS11において、自転車A1が充電器110に接続されていると判断することになり(Yes)、自転車A1から充電ケーブル111の一部を介して送られて来る自転車A1の車両番号を受信する(ステップS12)。
【0066】
次に、車両管理装置1では、車両番号を送信してきた自転車A1に対して充電を開始する返却希望者(甲)に知らせるため、モニタ4で充電開始の表示を行うと共に、自転車A1の駐車場所に対応した車両選択番号ボタン5を点灯又は点滅させる(ステップS32)。そして、返却希望者(甲)が点灯又は点滅している車両選択番号ボタン5に対応した挿入口8に専用鍵a1を挿入すると、上述の如く、図6(a)、(b)、(c)の順序でロック装置50が作動して、専用鍵a1のロックを行う(ステップS14)。ここでは、返却希望者(甲)が挿入した挿入口8は、図3に示す専用鍵用ロック装置50が設けられている挿入口であるとして説明する。
【0067】
次に、車両管理装置1の専用鍵用リーダ・ライタb2では、専用鍵a1の無線タグに書き込まれているカードID(n)及び貸出情報(i)を読み出す(ステップS15)。そして、この読み出した貸出情報(i)に含まれている貸出日時と、ステーション(β)の車両管理装置1で自転車A1の返却を受けた返却日時に基づいて、前記車両の利用時間を算出する(ステップS16)。この利用時間は、共同利用者が自転車Aを利用した際の利用料金の計算に使用される。
【0068】
次に、上記ステップS15によって読み出した返却希望者(甲)のカードID(n)と、後述の返却履歴情報(I2)を利用履歴DB30に記憶することにより、共同利用者としての返却希望者(甲)の利用履歴を管理する(ステップS17)。ここで、返却履歴情報(I2)には、上記ステップS12により得た車両番号と、上記ステップS15により得た貸出情報(i)と、上記ステップS16により得た利用時間及び返却日時とが含まれている。
【0069】
また、ステーション(β)の車両管理装置1では、自転車を返却した共同利用者に利用履歴を通知するため、この共同利用者のICカードに利用履歴情報(I3)を書き込む処理を行うことができる。この利用履歴情報(I3)は、共同利用者が自己の自転車利用履歴を自己管理するために用いられる情報であり、上記返却履歴情報(I2)と、この返却を行ったステーション(β)を特定するための返却ステーション番号とが含まれている。
【0070】
そこで、車両管理装置1では、利用履歴情報(I3)を書き込むICカードが、自転車を返却した共同利用者のものであるか否かを判断すべく、ICカードからカードIDを読み出し(ステップS18)、実際に返却された専用鍵からのカードIDと照合して(ステップS19)、自転車を返却した共同利用者と、利用履歴情報(I3)を通知する予定の共同利用者とが一致しているか否かを判断する(ステップS20)。
【0071】
このような状況下で、返却希望者(甲)が自己のICカード100’を車両管理装置1のICカード用リーダ・ライタ6にかざすと、このICカード用リーダ・ライタ6は、ICカード100’からカードID(n’)を読み出す(ステップS18)。
【0072】
次に、車両管理装置1の制御装置10によって、このカードID(n’)と、上記ステップS15によって専用鍵a1から読み出したカードID(n)とを照合する(ステップS19)。そして、カードIDが一致しているか否かを判断することにより、自転車A1を返却した共同利用者(返却希望者(甲))とICカード100’をかざした共同利用者が一致しているか否かを判断する(ステップS20)。
【0073】
次に、上記ステップS20において一致していると判断した場合には(Yes)、ICカード用リーダ・ライタによってICカード100’に利用履歴情報(I3)を書き込む(ステップS21)。そして、ICカード100’をかざした共同利用者(返却希望者(甲))に対して自転車A1の返却処理が全て完了した旨を知らせるべく、モニタ4で返却が完了した旨の表示を行う(ステップS22)。尚、この返却が完了した旨の表示は、「返却終了」の文字を表示させたり、「返却が終了しました」といった電子音声を出力するようにしてもよい。
【0074】
一方、上記ステップS20において共同利用者が一致していないと判断した場合には(No)、ICカード100’をかざした共同利用者に対して、利用履歴情報(I3)を通知不可である旨を告知すべく、モニタ4でエラー表示を行う(ステップS23)。尚、このエラー表示は、「利用履歴通知不可」の文字を表示したり、この表示に合わせて警告音を鳴らすようにしてもよい。また、上記ステップS23の処理後は、再び上記ステップS18の処理から行う。
【0075】
以上説明したように本実施形態によれば、専用鍵自体に無線タグを設け、車両管理装置で無線タグを利用した専用鍵の認証を行うことができるため、偽物の専用鍵が返却されたり、全く専用鍵が返却されなかったりするという不正使用を防止することができる。
【0076】
また、自転車を貸し出す際に、誰が借りたかを示すカードID(n)と、どこでいつ借りたかを示す貸出情報(i)を専用鍵の無線タグに書き込んでおき、自転車を返却する際に、このカードID(n)と貸出情報(i)を読み出して利用することにより、自転車を貸し出すステーション(α)と自転車を返却するステーション(β)が異なっても自転車を返却する、いわゆる「乗り捨て」を可能にすることができる。
【0077】
更に、自転車を貸し出す際のカードID(n)と貸出情報(i)は、自転車を借りた共同利用者によって別のステーションまで運ばれることになるため、異なったステーション間で、カードID(n)と貸出情報(i)の送受信を行うための電子ネットワークを構築しなくても、いわゆる「乗り捨て」を可能にすることができる。
【0078】
尚、共同利用者が利用可能なステーション数に応じて、共同利用料を段階的に定めてもよい。この場合、共同利用できないステーションの車両管理装置1における利用者登録DB20には、全部の共同利用者のカードID(N)を管理する必要はなく、利用可能な一部の共同利用者のカードIDのみを管理してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ステップS1,S18において、ICカード100を使って共同利用者の認証を行ったが、これに限るものではなく、共同利用者(利用希望者(甲)又は返却希望者(甲))が手動で暗証番号やID等を車両管理装置1に入力することで、共同利用者の認証を行うようにしてもよい。
【0080】
更に、上記実施形態では、ステップS12において、充電用ケーブル111を介して自動的に車両番号を取得することとしたが、これに限るものではなく、共同利用者(返却希望者(甲))が、自ら手動で車両番号を車両管理装置1に入力するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、共同利用者を特定するための利用者情報の一例としてカードID(n)を使用したが、これに限るものではなく、共同利用者の氏名、住所等を含めてもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、専用鍵自体に無線タグを設け、車両管理装置で無線タグを利用した専用鍵の認証を行うことができるため、偽物の専用鍵が返却されたり、全く専用鍵が返却されなかったりするという不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一本実施形態に係る共同利用システムに使用する電動アシスト付き自転車をステーション(α)の駐車場に駐車している状態を示したイメージ図。
【図2】車両管理装置1の鍵管理部2の拡大図。
【図3】車両管理装置1と自転車A1の概略構成図。
【図4】車両管理装置1の鍵管理部2内に構築されている専用鍵用ロック装置50の断面図。
【図5】無線タグと無線タグリーダ・ライタの構成図。
【図6】車両管理装置1によって自転車を貸し出す処理を示した処理フロー図。
【図7】車両管理装置1によって自転車の返却を受け付ける処理を示した処理フロー図。
【図8】従来の発明に係る鍵管理装置200を示した図。
【図9】従来の発明に係る電動アシスト付き自転車300の駐車場所を示した図。
【符号の説明】
1 車両管理装置
2 鍵管理部
3 充電部
4 モニタ
5 車両選択番号ボタン
6 ICカード用リーダ・ライタ
7 通信アンテナ
8 挿入口
9 通信装置
10 制御装置
20 利用者登録DB〔利用者情報管理手段の一例〕
30 利用履歴DB〔利用履歴管理手段の一例〕
100 ICカード〔専用カードの一例〕
A 自転車
a 専用鍵
b 専用鍵用リーダ・ライタ
(n) カードID
(N) 全てのカードID
(i) 貸出情報(ステーション番号、貸出日時)
(I1) 貸出情報(貸出日時)
(I2) 返却履歴情報(貸出情報(i)、返却日時、利用時間、車両番号)
(I3) 利用履歴情報(返却履歴情報(I2)、返却ステーション番号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理装置において、
前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用され、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用鍵を管理する鍵管理手段と、
前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記利用希望者の特定に使用するユニークな識別子を含んだ利用者情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記貸出車両に設けられているロック装置の専用鍵の無線タグに対し、前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報を書き込むと共に、前記車両の貸し出しを行うステーションの番号及び貸出日時を含んだ貸出情報を書き込む貸出情報書込手段と、
前記貸出情報書込手段によって前記利用希望者の利用者情報及び前記貸出情報を書き込んだ専用鍵を前記鍵管理手段による管理から解放する管理解放手段と、
前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記返却車両の特定に使用する車両番号を取得する車両番号取得手段と、
前記返却車両に設けられているロック装置の鍵の無線タグに書き込まれている返却希望者の利用者情報及び貸出情報を読み出す貸出情報読出手段と、
前記貸出情報読出手段によって読み出した返却希望者の利用者情報及び貸出情報を記憶すると共に、前記返却車両の特定に使用する車両番号と前記車両の返却を受けた返却日時とを含んだ返却履歴情報を記憶することにより、前記共同利用者の利用履歴を管理する利用履歴管理手段と、
を有することを特徴とする車両管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理装置であって、更に、
前記車両を貸し出し可能な全部又は一部の共同利用者に係る利用者情報を管理する利用者情報管理手段と、
前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報と前記利用者情報管理手段で管理している利用者情報を照合し、前記利用希望者に前記車両を貸し出すことが可能か否かを判断する貸出判断手段と、
前記貸出判断手段によって貸し出し不可と判断した場合には、前記貸出情報書込手段による書き込み、又は前記管理解放手段による解放のうち何れかの処理を行わず、前記利用希望者に対して貸出不可である旨を告知する貸出不可告知手段と、
を有することを特徴とする車両管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両管理装置であって、更に、
前記貸出情報読出手段によって読み出した貸出情報に含まれている貸出日時と前記車両の返却を受けた返却日時に基づいて、前記車両の利用時間を算出する利用時間算出手段を有すると共に、当該算出した利用時間を前記返却履歴情報に含めて前記利用履歴管理管理手段よって管理することを特徴とする車両管理装置。
【請求項4】
前記入力受付手段は、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用カードから、前記車両の利用希望者及び返却希望者に係る利用者情報の無線入力を受け付けることが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両管理装置であって、更に、
前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記入力受付手段によって受け付けた返却希望者に係る利用者情報と前記貸出情報読出手段によって読み出した利用希望者に係る利用者情報とを照合し、利用希望者と返却希望者が一致しているか否かを判断する利用者一致判断手段と、
前記利用者一致判断手段によって一致していると判断した場合には、前記車両の返却を受け付けたステーションの番号を前記返却履歴情報に加えて利用履歴情報とし、前記専用カードに内蔵されている無線タグに書き込むことにより、前記共同利用者の利用履歴を当該共同利用者に通知する利用履歴通知手段と、
を有することを特徴とする車両管理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の車両は、当該車両の走行に利用するする動力用モータと、当該動力用モータを駆動する充電可能な動力用電池を有するものであって、更に、
前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記車両の動力用電池が所定以上の充電状態に達しているか否かを判断する充電状態判断手段を有し、充電状態に達していると判断した車両に係る専用鍵を前記管理解放手段により解放することを特徴とする車両管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両が複数台存在しているものであって、更に、
前記充電状態判断手段によって所定以上の充電状態に達していると判断した場合には、前記複数台の車両の中から、前記所定以上の充電状態に達している車両のみが貸し出し可能である旨を前記利用希望者に通知して、前記利用希望者から利用希望の車両を受け付ける利用希望車両受付手段を有し、利用希望として受け付けた車両の専用鍵の無線タグに対し、前記貸出情報書込手段により前記貸出情報を書き込むことを特徴とする車両管理装置。
【請求項8】
前記車両番号取得手段は、前記返却車両が当該返却車両の動力用電池を充電する充電器に充電用ケーブルを介して接続されることにより、前記返却車両から前記充電用ケーブルを介して前記車両番号情報を取得することが可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の車両管理装置。
【請求項9】
共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理方法において、
前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用されると共に、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵された各車両の専用鍵を利用し、
前記無線タグとの無線通信により、情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグ用リーダ・ライタを設けた車両管理装置を利用することにより、
前記共同利用者に対して前記専用鍵の貸出管理を行うことを特徴とする車両管理方法。
【請求項10】
共同利用者に貸し出し可能な車両を管理する車両管理装置に用いられる車両管理装置用プログラムであって、
更に、前記車両管理装置が、前記車両に設けられた車輪のロック装置の開錠に使用され、電波により情報の読み出し及び書き込みが可能な無線タグが内蔵されている専用鍵を管理する鍵管理手段と、前記共同利用者が前記車両を利用した利用履歴を管理する利用履歴管理手段とを有する場合において、
前記車両の利用希望者に前記車両を貸し出すにあたり、前記利用希望者の特定に使用するユニークな識別子を含んだ利用者情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記貸出車両に設けられているロック装置の専用鍵の無線タグに対し、前記入力受付手段によって受け付けた利用希望者の利用者情報を書き込むと共に、前記車両の貸し出しを行うステーションの番号及び貸出日時を含んだ貸出情報を書き込む貸出情報書込手段と、
前記貸出情報書込手段によって前記利用希望者の利用者情報及び前記貸出情報を書き込んだ専用鍵を前記鍵管理手段による管理から解放する管理解放手段と、
前記車両の返却希望者から車両の返却を受けるにあたり、前記返却車両の特定に使用する車両番号を取得する車両番号取得手段と、
前記返却車両に設けられているロック装置の鍵の無線タグに書き込まれている返却希望者の利用者情報及び貸出情報を読み出す貸出情報読出手段と、
前記貸出情報読出手段によって読み出した返却希望者の利用者情報及び貸出情報を記憶すると共に、前記返却車両の特定に使用する車両番号と前記車両の返却を受けた返却日時とを含んだ返却情報を前記利用履歴管理手段に記憶する利用履歴記憶手段と、
としてコンピュータに機能させることを特徴とする車両管理装置用プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の車両管理装置用プログラムを記録したことを特徴とする、コンピュータで読み取り可能な車両管理装置用記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−157876(P2004−157876A)
【公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−324382(P2002−324382)
【出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】