説明

車両骨格部材の補強構造

【課題】閉断面構造内で発泡した発泡性材料が孔部から漏れるのを防止又は抑制することができる車両骨格部材の補強構造を得る。
【解決手段】第二発泡接着材32は、発泡することによってシール部材30を第2パネル16側に押圧すると共に発泡した状態でシール部材30を補強部材26に結合させるので、取付孔16Aの周囲では、シール部材30の開口側の端部30Dと第2パネル16とが密着されてシール性が向上し、取付孔16Aへの第一発泡接着材28の侵入が遮られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉断面構造の車両骨格部材の内部に補強部材が配置される車両骨格部材の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
中空構造物の中空室内に発泡性材料を配設する構造がある(例えば、特許文献1参照)。このような構造では、例えば、発泡性材料の一側面から突出した係止クリップが中空構造物に設けられた取付孔に嵌め込まれている。
【特許文献1】特開2001−146176公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この構造では、中空室内で発泡した発泡性材料が取付孔から漏れてしまう可能性がある。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、閉断面構造内で発泡した発泡性材料が孔部から漏れるのを防止又は抑制することができる車両骨格部材の補強構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造は、孔部が形成された板部を備えた閉断面構造の車両骨格部材の内部に配置される補強部材と、前記補強部材と前記車両骨格部材との間に配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記車両骨格部材に結合させる第一発泡接着材と、前記車両骨格部材の内部に配置され、開口が形成された凹状部を備え、前記開口側の端部が前記孔部の周囲で前記板部に接した状態で前記第一発泡接着材の前記孔部への侵入経路を遮断する遮断手段と、前記補強部材と前記遮断手段との間に配設され、発泡することによって前記遮断手段を前記板部側に押圧すると共に発泡した状態で前記遮断手段を前記補強部材に結合させる第二発泡接着材と、を有する。
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造によれば、閉断面構造の車両骨格部材の内部に配置された補強部材は、発泡した状態の第一発泡接着材によって車両骨格部材に結合されているので、車両骨格部材は、その内部に結合された補強部材によって補強され、例えば、荷重を受けた際には閉断面の変形が防止又は抑制される。ここで、第二発泡接着材が発泡することによって遮断手段を板部側に押圧すると共に発泡した状態で遮断手段を補強部材に結合させ、また、遮断手段の開口側の端部は、車両骨格部材の板部における孔部の周囲に接した状態で第一発泡接着材の孔部への侵入経路を遮断するので、孔部の周囲では、遮断手段の開口側の端部と板部とが密着されてシール性が向上し、孔部への第一発泡接着材の侵入が遮られる。
【0007】
請求項2に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造は、請求項1記載の構成において、前記第二発泡接着材は、前記第一発泡接着材に比べて、低温で又は速い発泡速度で発泡して硬化する特性を備える。
【0008】
請求項2に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造によれば、第二発泡接着材は、第一発泡接着材に比べて、低温で又は速い発泡速度で発泡して硬化する特性を備えているので、製造時には第一発泡接着材が発泡する前に第二発泡接着材を発泡させることができる。ここで、第一発泡接着材よりも先に第二発泡接着材を発泡させることによって、まず遮断手段の開口側の端部が板部側に押圧されてシール性が高められた状態で第二発泡接着材が硬化することになるので、孔部への第一発泡接着材の侵入がより効果的に遮られる。
【0009】
請求項3に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造は、孔部が形成された板部を備えた閉断面構造の車両骨格部材の内部に配置される補強部材と、前記補強部材と前記車両骨格部材との間に配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記車両骨格部材に結合させる第一発泡接着材と、前記補強部材と前記車両骨格部材との間でかつ前記第一発泡接着材よりも前記孔部寄りに配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記板部における前記孔部の周囲に結合させ、前記第一発泡接着材の前記孔部への侵入経路を遮断する第二発泡接着材と、を有する。
【0010】
請求項3に記載する本発明の車両骨格部材の補強構造によれば、閉断面構造の車両骨格部材には板部に孔部が形成され、この車両骨格部材の内部に配置された補強部材は、発泡した状態の第一発泡接着材によって車両骨格部材に結合されているので、車両骨格部材は、その内部に結合された補強部材によって補強され、例えば、荷重を受けた際には閉断面の変形が防止又は抑制される。ここで、補強部材と車両骨格部材との間でかつ第一発泡接着材よりも孔部寄りには第二発泡接着材が配設されており、第二発泡接着材は、発泡した状態で補強部材を板部における孔部の周囲に結合させ、第一発泡接着材の孔部への侵入経路を遮断するので、孔部への第一発泡接着材の侵入が遮られる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、閉断面構造内で発泡した第一発泡接着材(発泡性材料)が孔部から漏れるのを防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【0012】
請求項2に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、閉断面構造内で発泡した第一発泡接着材(発泡性材料)が孔部から漏れるのをより効果的に防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【0013】
請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、閉断面構造内で発泡した第一発泡接着材(発泡性材料)が孔部から漏れるのを簡易な構成で防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造10について、図1及び図2に基づいて説明する。なお、車両骨格部材とは、車両(車体)の骨組みを構成する部材であって、例えば、フロントサイドメンバ、ピラー等が含まれる。
【0015】
図1には、車両骨格部材の補強構造10の全体構成が断面図にて示されている。この図に示されるように、車両骨格部材の補強構造10は、閉断面構造を成す車両骨格部材12の内部に補強部材26が接着された構造とされている。以下、具体的に説明する。
【0016】
車両骨格部材12は、金属板(例えば、鋼板等)で断面ハット形状に構成された第1パネル14を備えている。この第1パネル14のフランジ14Aには、車両骨格部材12の一部を構成する平板状の板部としての第2パネル16が溶接により接合されている。これによって、第1パネル14と第2パネル16とで閉断面18が形成されている。第2パネル16は、金属板(例えば、鋼板等)で構成され、孔部としての取付孔16Aが貫通形成されている。なお、図示は省略するが、車両骨格部材12は、図1で示す断面との直交方向を長手方向としている。
【0017】
第2パネル16には、閉断面18の内側に向けられた内向き面16Bで取付孔16Aの外周部にウエルドナット20(締結手段)が予め溶着されている。また、第2パネル16における外向き面16C(内向き面16Bの反対側の面)側からは、ボルト22(締結手段)がブラケット24(被締結部材)を貫通して取付孔16A内へ挿通されている。ボルト22はウエルドナット20に螺合されており、これによって、ブラケット24を締め付けている。すなわち、ウエルドナット20とボルト22とによって、ブラケット24が車両骨格部材12に締結されている。
【0018】
閉断面構造の車両骨格部材12の内部には、補強部材26が配置されている。補強部材26は、ブロック状に形成されたものであり、ブラケット24を締結する部分に対向する部分を含んで配設されている。なお、補強部材26は、軽量化を図るために樹脂製とされている。補強部材26の外周面26Bは、図1に示す断面において概ね車両骨格部材12の内面(閉断面18の内側に向けられた面)の近傍に位置し、補強部材26と車両骨格部材12との間には、第一発泡接着材28(第一発泡接着剤、主発泡接着材)が配設されている。第一発泡接着材28は、発泡性材料を含んで構成され、発泡した状態で補強部材26の外周面26Bのほぼ全域を車両骨格部材12に結合させている。これによって、車両骨格部材12が荷重を受けても、閉断面18の変形が防止又は抑制されるようになっている。
【0019】
また、補強部材26には、取付孔16A側へ向けて開口した凹部26Aが形成されている。この凹部26A内には、所定の剛性を備えた(本実施形態では樹脂製の)遮断手段としてのシール部材30が配設されている。シール部材30は、頂壁部30Aと、頂壁部30Aの周端部から連続した筒状の周壁部30Bとを含んで構成されており、全体としては、開口が形成された凹状部30Cを備えて第2パネル16側が開放された有底筒形状をなしている。
【0020】
シール部材30の開口側の端部30Dは、取付孔16Aの周囲で第2パネル16に接した状態で第一発泡接着材28の取付孔16Aへの侵入経路を遮断するようになっている(シール部の設定)。シール部材30の周壁部30Bは、補強部材26の凹部26Aの内周壁面126Aに面接触している。また、シール部材30の頂壁部30Aは、補強部材26の凹部26Aの底面226Aに対向して配置されている。
【0021】
補強部材26の凹部26Aの底面226Aと、シール部材30の頂壁部30Aとの間には、第二発泡接着材32(第二発泡接着剤)が配設されている。第二発泡接着材32は、発泡性材料を含んで構成され、第一発泡接着材28に比べて、低温で発泡して硬化する特性を備えており、発泡することによってシール部材30を第2パネル16側に押圧すると共に発泡した状態でシール部材30を補強部材26に結合させている。
【0022】
(接着時の状態変化及び作用・効果)
次に、補強部材26等の接着時における第一発泡接着材28及び第二発泡接着材32の状態変化と本実施形態の作用及び効果について図2を参照しながら説明する。
【0023】
図2(A)には、第一発泡接着材28及び第二発泡接着材32が発泡する前(加熱される前)の塗布状態が示されている。図2(A)に示されるように、補強部材26には、外周面26Bに第一発泡接着材28が塗布され、第一発泡接着材28の塗布層の表面と車両骨格部材12の内面との間には、所定の間隔が設けられている。また、補強部材26には、凹部26Aの底面226Aに第二発泡接着材32が塗布され、第二発泡接着材32の塗布層の表面とシール部材30の頂壁部30Aとの間には、所定の間隔が設けられている。
【0024】
シール部材30は、補強部材26の凹部26Aに嵌め込まれており、シール部材30の開口側の端部30Dは、車両骨格部材12の取付孔16Aの周囲で第2パネル16の内向き面16Bに接した状態とされている。この状態で第一発泡接着材28の取付孔16Aへの侵入経路がシール部材30によって遮断されるようになっている。また、補強部材26とシール部材30とは、第二発泡接着材32が発泡する前の状態では相対移動しないように設定され、第二発泡接着材32が発泡してシール部材30の頂壁部30Aが第二発泡接着材32から荷重を受けた状態では相対移動を許容するように設定されている。
【0025】
次に、図2(A)の状態で、車両骨格部材12の外部から加熱すると、図2(B)に示されるように、第一発泡接着材28が発泡する前に第二発泡接着材32が発泡してシール部材30の頂壁部30A側へ膨張する。これは、前述の通り、第二発泡接着材32が第一発泡接着材28に比べて低温で発泡して硬化する特性を備えているためである(発泡特性差を利用した時間差発泡)。
【0026】
第二発泡接着材32は、発泡することによって圧力を高めシール部材30を第2パネル16側に押圧すると共に発泡した状態で硬化してシール部材30を補強部材26に結合させるので、取付孔16Aの周囲では、シール部材30の開口側の端部30Dと第2パネル16とが密着され、シール性が高められた状態が維持されることになる。
【0027】
このため、第一発泡接着材28が発泡して補強部材26を車両骨格部材12に結合(図1参照)させる際には、取付孔16Aへの第一発泡接着材28の侵入が効果的に遮られる。その後、図1に示されるように、第一発泡接着材28が発泡して硬化すると、補強部材26が車両骨格部材12に結合され、車両骨格部材12は、その内部に結合された補強部材26によって補強され、例えば、荷重を受けた際には閉断面18の変形が防止又は抑制される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造10によれば、車両骨格部材12の閉断面構造内で発泡した第一発泡接着材28(発泡性材料)が取付孔16Aから漏れるのを防止又は抑制することができる。
【0029】
補足すると、例えば、発泡接着材が発泡することによって孔部から漏れて(あふれて)しまうような対比構造では、硬化後の発泡接着材の脱落による異音の発生、孔部の閉塞によるボルトの挿通不能(締結不能)、見栄えの悪化等の諸問題が発生し得る。これに対して、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造10では、このような諸問題の発生を防止又は抑制することができる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造40について、図3及び図4を用いて説明する。図3には、本発明の第2の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造40の全体構成が断面図にて示されており、図4には、接着時の状態変化が断面図にて示されている。これらの図に示されるように、車両骨格部材の補強構造40は、補強部材26(図1参照)に代えてクリップ付補強部材42を備えると共に、シール部材30(図1参照)をなくして第二発泡接着材32の配設位置を取付孔16Aの周囲にした点で、第1の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造10とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
図3に示されるように、車両骨格部材の補強構造40は、閉断面構造を成す車両骨格部材12の内部に補強部材としてのクリップ付補強部材42が接着された構造とされている。クリップ付補強部材42は、樹脂を一体に形成したものであり、ブロック状の本体部42Aの一面から突出部42Bが突出すると共に、この突出部42Bからさらにその突出方向に突出したクリップ部42Cが略T字形に形成されて弾性変形可能とされている。このクリップ付補強部材42は、本体部42A及び突出部42Bが車両骨格部材12の内部に配置されると共に、突出部42Bが第2パネル16の内向き面16Bに接した状態で、クリップ部42Cが取付孔16Aを貫通して第2パネル16に係止されている。
【0032】
クリップ付補強部材42の本体部42Aの外周面142Aは、図3に示す断面において車両骨格部材12の内面の近傍に位置し、クリップ付補強部材42と車両骨格部材12との間には、第一発泡接着材28が配設されている。第一発泡接着材28は、発泡した状態でクリップ付補強部材42を車両骨格部材12に結合させている。
【0033】
また、クリップ付補強部材42と車両骨格部材12との間でかつ第一発泡接着材28よりも取付孔16A寄りには、第二発泡接着材32が突出部42Bの外周側に配設されている。第二発泡接着材32は、発泡した状態でクリップ付補強部材42を第2パネル16における取付孔16Aの周囲に結合させ、第一発泡接着材28の取付孔16Aへの侵入経路を遮断するようになっている。
【0034】
(接着時の状態変化及び作用・効果)
次に、クリップ付補強部材42の接着時における第一発泡接着材28及び第二発泡接着材32の状態変化と本実施形態の作用及び効果について図4を参照しながら説明する。
【0035】
図4(A)には、第一発泡接着材28及び第二発泡接着材32が発泡する前(加熱される前)の塗布状態が示されている。図4(A)に示されるように、クリップ付補強部材42の本体部42Aの外周面142Aには、突出部42Bの近傍を除いた範囲に第一発泡接着材28が塗布されると共に、突出部42Bの近傍に(すなわち、第一発泡接着材28よりも取付孔16A寄りに)第二発泡接着材32が塗布されている。第一発泡接着材28及び第二発泡接着材32の各塗布層の表面と、車両骨格部材12の内面との間には、所定の間隔が設けられている。
【0036】
次に、図4(A)の状態で、車両骨格部材12の外部から加熱すると、図4(B)に示されるように、第一発泡接着材28が発泡する前に第二発泡接着材32が発泡する。これは、前述の通り、第二発泡接着材32が第一発泡接着材28に比べて低温で発泡して硬化する特性を備えているためである。
【0037】
このとき、第二発泡接着材32は、クリップ付補強部材42の突出部42Bの外周面に沿ってかつ突出部42B側とは反対側の空間へ膨張しながら第2パネル16側へ膨張する。また、第二発泡接着材32が膨張によって第2パネル16に至った後においては、第二発泡接着材32は、突出部42B側とは反対側の空間へ膨張可能となっているので、突出部42Bと第2パネル16との間(換言すれば取付孔16A側)への第二発泡接着材32の侵入が抑えられる。
【0038】
第二発泡接着材32は、発泡した状態でクリップ付補強部材42を第2パネル16における取付孔16Aの周囲に結合させ、第一発泡接着材28の取付孔16Aへの侵入経路を遮断するので、取付孔16Aへの第一発泡接着材28の侵入が遮られる。その後、図3に示されるように、第一発泡接着材28が発泡して硬化すると、クリップ付補強部材42が車両骨格部材12に安定的に結合され、車両骨格部材12は、その内部に結合されたクリップ付補強部材42によって補強され、例えば、荷重を受けた際には閉断面18の変形が防止又は抑制される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造40によれば、車両骨格部材12の閉断面構造内で発泡した第一発泡接着材28(発泡性材料)が取付孔16Aから漏れるのを簡易な構成で防止又は抑制することができる。
【0040】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、車両骨格部材12が金属製とされているが、車両骨格部材12は、例えば、繊維強化樹脂製の車両骨格部材等のような他の車両骨格部材であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、補強部材26及びクリップ付補強部材42は、樹脂製とされているが、補強部材は、例えば、繊維強化樹脂製や金属製の補強部材等のような他の補強部材であってもよい。
【0042】
また、上記第1の実施形態では、遮断手段としてのシール部材30が有底筒形状とされているが、遮断手段は、例えば、筒状に形成されると共にその軸方向の中間部に筒内空間を隔てる隔壁部が形成された(図1と同様の断面視形状がH字状となる)筒体等のような他の遮断手段としてもよい。なお、遮断手段として前記筒体を適用する場合、例えば、補強部材に取付孔(孔部)側へ向けて突出した凸部を形成すると共に、前記筒体の凹状部とは反対側の凹部の内周壁面に、前記凸部の外周壁部を面接触させるように配置してもよい。
【0043】
また、遮断手段の開口側の端部は、孔部の周囲で板部に沿って屈曲されていても(例えば、図1のシール部材30(遮断手段)の断面視形状がハット形状になるようにしても)よい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、第二発泡接着材32は、第一発泡接着材28に比べて、低温で発泡して硬化する特性を備えているが、第二発泡接着材は、第一発泡接着材に比べて、速い発泡速度で発泡して硬化する特性(早期に硬化する特性)を備える第二発泡接着材であってもよい。
【0045】
さらにまた、上記第2の実施形態では、クリップ付補強部材42は、例えば、本体部42Aの突出部42B寄り部位に第2パネル16側へ一段突出した段部を設けてもよく、この段部とロアパネル(16)との間に第二発泡接着材(32)を配設してもよい。また、このような段部を設けた構成では、例えば、第二発泡接着材32に代えて、第一発泡接着材28よりも発泡率が低い低発泡率の第二発泡接着材を配設すると共に、第一発泡接着材28に代えて、第二発泡接着材よりも発泡率が高い高発泡率の第一発泡接着材を配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造における接着時の状態変化を示す断面図である。図2(A)は、第一発泡接着材及び第二発泡接着材が発泡する前の塗布状態を示す。図2(B)は、第二発泡接着材が発泡した状態を示す。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造の全体構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車両骨格部材の補強構造における接着時の状態変化を示す断面図である。図4(A)は、第一発泡接着材及び第二発泡接着材が発泡する前の塗布状態を示す。図4(B)は、第二発泡接着材が発泡した状態を示す。
【符号の説明】
【0047】
10 車両骨格部材の補強構造
12 車両骨格部材
16 第2パネル(板部)
16A 取付孔(孔部)
26 補強部材
28 第一発泡接着材
30 シール部材(遮断手段)
30C 凹状部
30D 開口側の端部
32 第二発泡接着材
40 車両骨格部材の補強構造
42 クリップ付補強部材(補強部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部が形成された板部を備えた閉断面構造の車両骨格部材の内部に配置される補強部材と、
前記補強部材と前記車両骨格部材との間に配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記車両骨格部材に結合させる第一発泡接着材と、
前記車両骨格部材の内部に配置され、開口が形成された凹状部を備え、前記開口側の端部が前記孔部の周囲で前記板部に接した状態で前記第一発泡接着材の前記孔部への侵入経路を遮断する遮断手段と、
前記補強部材と前記遮断手段との間に配設され、発泡することによって前記遮断手段を前記板部側に押圧すると共に発泡した状態で前記遮断手段を前記補強部材に結合させる第二発泡接着材と、
を有する車両骨格部材の補強構造。
【請求項2】
前記第二発泡接着材は、前記第一発泡接着材に比べて、低温で又は速い発泡速度で発泡して硬化する特性を備える請求項1記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項3】
孔部が形成された板部を備えた閉断面構造の車両骨格部材の内部に配置される補強部材と、
前記補強部材と前記車両骨格部材との間に配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記車両骨格部材に結合させる第一発泡接着材と、
前記補強部材と前記車両骨格部材との間でかつ前記第一発泡接着材よりも前記孔部寄りに配設され、発泡した状態で前記補強部材を前記板部における前記孔部の周囲に結合させ、前記第一発泡接着材の前記孔部への侵入経路を遮断する第二発泡接着材と、
を有する車両骨格部材の補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−274693(P2009−274693A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130615(P2008−130615)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】