説明

車体下部構造

【課題】空力性能を低下させることなくフロアトンネル内の熱気を効率よく排出できる車体下部構造を得る。
【解決手段】隔壁30の幅方向上端側における排気管16と隔壁30との間隔D8は、隔壁30の幅方向下端側における排気管16と隔壁30との間隔D7よりも広く、更に、排気空間36におけるフロアトンネル14と隔壁34との間隔D9は間隔D8よりも広い。このため、冷却空間32において気流W1が受ける抵抗が上側ほど小さく、気流W1が円滑に上昇し、冷却空間32内における空気の滞留や取込部26側への逆流を防止又は効果的に抑制して排出部22から排出できる。しかも、排出される気流W1はフィン42によって整流されるため、車両10の走行時における空力性能を低下させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の下側で排気管を覆うアンダーカバー等を含む車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロアパネルには下方へ開口したフロアトンネルが形成されており、このフロアトンネルの内側に排気管が収容されている。さらに、フロアパネルの下側にはアンダーカバーが設けられており、フロアトンネルに収容された排気管がアンダーカバーにより覆われている。一方で、排気管には高温の排気ガスが通過することから、排気管の熱を逃がすため、下記特許文献1に開示されたアンダーカバー装置ではスライドカバーにより開閉される複数の放熱孔をアンダーカバーに設け、放熱孔を開放することで放熱している。
【特許文献1】特開平7−215074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されたアンダーカバー装置のアンダーカバーのように単に複数の放熱孔を形成しただけでは、冷却風の入口となる放熱孔と、熱気の出口となる放熱孔とが同じになるため熱気の排出効率が悪く、これを解消するため放熱孔を大きくしなくてはならない。しかしながら、放熱孔を大きくすることで車両走行時にアンダーカバーの下側を流れる気流が乱れ、車両の空力性能が悪くなる。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、空力性能を低下させることなくフロアトンネル内の熱気を効率よく排出できる車体下部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明に係る車体下部構造は、車両下方へ向けて開口した凹部を備え、前記凹部の内側にエンジンからの排ガスが通過する排気管が配置される車体フロアと、前記車体フロアの下側に設けられ、前記排気管の近傍で下方から外気を取り込む取込部が形成されると共に、前記取込部よりも前記排気管から離間した位置で前記取込部から取り込まれた前記外気を下方へ排気する排出部が形成されたアンダーカバーと、前記排気管の側方で前記取込部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した冷却空間と前記排出部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した排気空間とに前記凹部の内側を仕切ると共に、前記アンダーカバーよりも上方で前記冷却空間と前記排気空間とを連通させて前記取込部から取り込まれた外気を前記冷却空間及び前記排気空間を介して前記排出部に対流させる仕切部と、を備えている。
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車体下部構造では、車体フロアの凹部の内側を仕切部が仕切ることで形成された冷却空間内の空気は、凹部内を通過する排気管により加熱される。これにより、排気管が冷却されると共に冷却空間内にて上昇気流が発生する。このように上昇気流が発生することでアンダーカバーの取込部から外気が取り込まれ、取り込まれた外気によって更に排気管が冷却される。
【0007】
一方、車体フロアの凹部の内側を仕切部が仕切ることで上記の冷却空間とは別に形成された排気空間は、アンダーカバーよりも上側で冷却空間に連通しており、冷却空間内を上昇した熱気(すなわち、排気管を冷却した際に排気管に熱せられた空気)は仕切部により対流が生じさせられ、排気空間を通過してアンダーカバーの排出部から排気される。
【0008】
このように、本発明に係る車体下部構造では、冷却空間内で上昇気流が発生し、しかも、仕切部により対流が生じさせられることで、凹部内の空気が取込部側へ逆流しない。これにより、凹部の内側で空気が滞留せず、排気管を効率よく冷却できる。
【0009】
また、取込部を特に大きくしなくても冷却空間に外気を取り込むことができ、しかも、外気の取り込みに際してアンダーカバーを動かすことがないため、車体下部での空気抵抗を効果的に低減でき、操縦安定性を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る車体下部構造は、車両下方へ向けて開口した凹部を備え、前記凹部の内側にエンジンからの排ガスが通過する排気管が配置される車体フロアと、前記車体フロアの下側に設けられ、前記排気管の近傍で下方から外気を取り込む取込部が形成されると共に、前記取込部よりも前記排気管から離間した位置で前記取込部から取り込まれた前記外気を下方へ排気する排出部が形成されたアンダーカバーと、前記排気管の側方で前記取込部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した冷却空間と前記排出部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した排気空間とに前記凹部の内側を仕切ると共に、前記アンダーカバーよりも上方で前記冷却空間と前記排気空間とを連通させる仕切部と、前記凹部と前記排気管との間に設けられ、前記上昇気流を前記排気空間へ誘導する誘導手段と、を備えている。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る車体下部構造では、車体フロアの凹部の内側を仕切部が仕切ることで形成された冷却空間内の空気は、凹部内を通過する排気管により加熱される。これにより、排気管が冷却されると共に冷却空間内にて上昇気流が発生する。このように上昇気流が発生することでアンダーカバーの取込部から外気が取り込まれ、取り込まれた外気によって更に排気管が冷却される。
【0012】
一方、車体フロアの凹部の内側を仕切部が仕切ることで上記の冷却空間とは別に形成された排気空間は、アンダーカバーよりも上側で冷却空間に連通しており、冷却空間内を上昇した熱気(すなわち、排気管を冷却した際に排気管に熱せられた空気)は誘導手段によって対流が生じさせられ、排気空間を通過してアンダーカバーの排出部から排気される。
【0013】
このように、本発明に係る車体下部構造では、冷却空間内で上昇気流が発生し、しかも、誘導手段により対流が生じさせられることで、凹部内の空気が取込部側へ逆流しない。これにより、凹部の内側で空気が滞留せず、排気管を効率よく冷却できる。
【0014】
また、取込部を特に大きくしなくても冷却空間に外気を取り込むことができ、しかも、外気の取り込みに際してアンダーカバーを動かすことがないため、車体下部での空気抵抗を効果的に低減でき、操縦安定性を向上できる。
【0015】
しかも、誘導手段が凹部と排気管との間に設けられることで、排気管の熱や冷却空間内で排気管を冷却するにあたって加熱された空気の熱が誘導手段により遮られる。これにより、誘導手段を介して排気管とは反対側への熱伝導が防止又は軽減される。
【0016】
なお、請求項1に記載の本発明では、仕切部が空気を誘導する構成であったが、請求項2に記載の本発明では空気を誘導する機能を仕切部が有していなくてもよいし、有していてもよい。
【0017】
請求項3に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記仕切部は、前記取込部と前記排出部との間で前記アンダーカバーに形成された開口部に対応して設けられ、前記開口部側へ向け開口した中空の凹形状に形成された第1隔壁と、前記第1隔壁の内側を前記冷却空間の側と前記排気空間の側とに仕切ると共に、仕切った両空間を上端側で連通させる第2隔壁と、を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の本発明に係る車体下部構造によれば、凹部の内側を仕切る第1隔壁は冷却空間内で排気管により熱せられた空気、すなわち、熱気により熱せられる。ここで、第1隔壁の内側は第2隔壁で仕切られ、熱気により熱せられた第1隔壁は第1隔壁内の冷却空間側の空間を通過する空気により冷却される。
【0019】
また、第1隔壁からの熱により第1隔壁内の空気が熱せられることで第1隔壁内の冷却空間の側で上昇気流が生じる。第2隔壁の上側では第2隔壁により仕切られた第1隔壁内の冷却空間側の空間と排気空間側の空間とが連通しているため、第1隔壁内の冷却空間の側で生じた上昇した空気は第1隔壁内の排気空間の側へ流れて排気される。
【0020】
このように、冷却空間内を通過する空気のみならず、第1隔壁内を通過する空気が間接的に排気管を冷却するため、排気管の冷却効率が向上する。
【0021】
請求項4に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記仕切部は、前記排気管と前記排気空間との間に複数の前記冷却空間を形成すると共に、複数の前記冷却空間の各々に対応した複数の前記取込部を形成することを特徴としている。
【0022】
請求項4に記載の本発明に係る車体下部構造では、仕切り部によって排気管と排気空間との間に複数の冷却空間が形成され、更に、これらの冷却空間の各々に対応した取込部が形成される。各冷却空間では排気管の熱が直接又は間接的に伝わって加熱され、これにより、各冷却空間において上昇気流が生じる。各冷却空間内で上昇した熱気は排気空間へ流れ、更に、排出部から排気される。
【0023】
このように、複数の冷却空間が形成されることで熱気の上昇気流が増加し、これらの上昇気流が排気空間を介して排出部から排気されるように対流することで、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバー等の冷却効率を向上できる。
【0024】
請求項5に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記冷却空間における前記仕切部と前記排気管との間隔を、車両下方から車両上方へ向けて広くなるように設定することを特徴としている。
【0025】
請求項5に記載の本発明に係る車体下部構造では、冷却空間における仕切部と排気管との間隔が車両下方から車両上方へ向けて広くなる。このため、冷却空間内で生じた上昇気流が受ける抵抗は、上昇するに従い小さくなる。したがって、本発明に係る車体下部構造では、冷却空間内で生じた上昇気流は上昇し易く、冷却空間での空気の滞留や冷却空間内での対流が生じ難い。このため、冷却空間内で生じた上昇気流を確実に排気空間へ向かわせることができる。
【0026】
請求項6に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の本発明において、前記取込部の開口幅よりも前記排出部の開口幅を広く設定したことを特徴としている。
【0027】
請求項6に記載の本発明に係る車体下部構造では、取込部の開口幅よりも排出部の開口幅の方が広いため、凹部内に空気が取り込まれる際に空気が受ける抵抗よりも、凹部から排出される際に空気が受ける抵抗の方が小さい。このため、冷却空間内での空気の滞留や冷却空間内だけでの空気の対流が生じ難く、冷却空間内にて生じた上昇気流が確実に排気空間へ向かう。
【0028】
請求項7に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の本発明において、前記排気空間内に設けられ、前記排出部から流れ出る空気の向きを、車両走行状態で前記アンダーカバーの下側を流れる気流の向きへ整流する整流手段を備えることを特徴としている。
【0029】
請求項7に記載の本発明に係る車体下部構造では、排出部から流れ出る空気の向きが整流手段により車両走行状態でアンダーカバーの下側を流れる気流の向きへ整流される。このため、排出部から流れ出た空気はアンダーカバーの下側を流れる気流に吸引され、円滑に気流に乗って流れる。これにより、冷却空間から排気空間への空気の対流が促進され、更に、排出部から流れ出た空気が車両走行時にアンダーカバーの下側を流れる気流を乱すことを防止できる。
【0030】
請求項8に記載の本発明に係る車体下部構造は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の本発明において、前記冷却空間に設けられ、前記排気管の熱を吸収して発熱し、前記冷却空間内の空気を加熱する吸発熱手段を備えることを特徴としている。
【0031】
請求項8に記載の本発明に係る車体下部構造では、排気管の熱が吸発熱手段により吸収される。熱を吸収した吸発熱手段は発熱し、冷却空間内の空気を加熱する。このように、排気管のみならず吸熱手段によっても冷却空間内の空気が加熱されるため、上昇気流の発生が促進される。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車体下部構造では、取込部から凹部内に取り込んだ外気が、凹部内で滞留したり取込部に逆流したりすることなく排出部へ流れて排気されるため、アンダーカバーによる車体下部での空気抵抗の低減効果による操縦安定性の向上効果を低下させずに排気管を効率よく冷却できる。
【0033】
請求項2に記載の本発明に係る車体下部構造では、取込部から凹部内に取り込んだ外気が、誘導手段に誘導されることにより凹部内で滞留したり取込部に逆流したりすることなく排出部へ流れて排気されるため、アンダーカバーによる車体下部での空気抵抗の低減効果による操縦安定性の向上効果を低下させずに排気管を効率よく冷却できる。しかも、誘導手段を介して排気管とは反対側への熱伝導が防止又は軽減されることで、排気管の熱による車両室内や、排気管の周辺に設けられた各種部品や各種装置の温度上昇等を防止できる。
【0034】
請求項3に記載の本発明に係る車体下部構造では、冷却空間内を通過する空気のみならず、第1隔壁内を通過する空気が第1隔壁、ひいては冷却空間内の空気を冷却することで、間接的に排気管を冷却でき、排気管の冷却効率を向上できる。
【0035】
請求項4に記載の本発明に係る車体下部構造では、上昇気流の発生を増加させ、しかも、増加した上昇気流に対流を生じさせて排気空間を介して排出部へ向かわせるため、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバーの冷却効率を向上できる。
【0036】
請求項5に記載の本発明に係る車体下部構造では、冷却空間で生じた上昇気流が受ける抵抗は、上昇すると小さくなるため、冷却空間で生じた上昇気流を確実に冷却空間から排出して排気空間へ向かわせることができ、これにより、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバーの冷却効率を向上できる。
【0037】
請求項6に記載の本発明に係る車体下部構造では、空気が受ける抵抗は取込部から流入する際よりも排出部から排出される際の方が小さいため、冷却空間で生じた上昇気流を確実に冷却空間から排出して排気空間へ向かわせることができ、これにより、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバーの冷却効率を向上できる。
【0038】
請求項7に記載の本発明に係る車体下部構造では、冷却空間から排気空間への空気の対流が促進されるため、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバーの冷却効率を向上でき、しかも、排出部から流れ出た空気が車両走行時にアンダーカバーの下側を流れる気流を乱さないため操縦安定性の向上を向上できる。
【0039】
請求項8に記載の本発明に係る車体下部構造では、上昇気流の発生が促進されるため、冷却空間から排気空間への空気の対流が促進され、これにより、排気管や、排気管により加熱された仕切部やアンダーカバーの冷却効率を向上でき、しかも、吸熱手段が排気管の熱を吸収するため、仕切部の過熱を抑制又は防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
<第1の実施の形態の構成>
図2には本発明の第1の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両10を下方から見た概略的な斜視図が示されており、図1には車両10の要部の断面図が示されている。
【0041】
図2に示されるように、車両10は車体フロアとしてのフロアパネル12を備えている。図1に示されるように、フロアパネル12には凹部としてのフロアトンネル14が設けられている。フロアトンネル14は車両10の幅方向に沿ったフロアパネル12の略中央部で、車両10の前後方向に沿ったフロアパネル12の所定の範囲に形成されている。また、フロアトンネル14は車両10の下方へ向けて開口した凹形状とされており、車両10の下方へ向けて開口幅寸法が漸次広がるように湾曲している。
【0042】
フロアトンネル14の内側には排気管16が配置されている。排気管16のうち、少なくともフロアトンネル14の内側に収容された部分は車両10の前後方向に沿って長手の筒形状(本実施の形態では、断面楕円形の筒状)に形成されており、その基端部(前端部)は車両10のエンジン(図示省略)に接続されている。排気管16にはエンジンからの排気ガスが基端側(前端側)から先端側(後端側)へ向けて通過する。
【0043】
フロアトンネル14の内側に収容された部分では排気管16の車両10の上下方向に沿った外径寸法D1がフロアトンネル14の深さ寸法D2(フロアトンネル14の開口端からフロアトンネル14の上底までの車両10の上下方向に沿った寸法)よりも充分に小さく、フロアトンネル14に排気管16を収容した状態ではフロアトンネル14の上底と排気管16との間に間隔D3を有する空間が形成される。
【0044】
一方、フロアトンネル14の開口側(下側)にはアンダーカバー18が設けられている。アンダーカバー18は平面視長方形の平板状に形成されたカバー本体20を備えている。カバー本体20は車両10の前後方向に沿って長手方向とされており、また、車両10の幅方向に沿ったカバー本体20の幅寸法D4はフロアトンネル14の開口端における開口幅寸法D5よりも充分に短い。これにより、車両10の幅方向一方の側におけるフロアトンネル14の端部とカバー本体20の端部との間、及び、車両10の幅方向一方の側におけるフロアトンネル14の端部とカバー本体20の端部との間に開口幅寸法がD4とされた隙間が形成され、これらの隙間が排出部22とされる。
【0045】
一方、カバー本体20の幅方向略中央には開口部24が形成されている。開口部24は排気管16が開口幅の略中央に対向するように形成されており、開口部24の幅方向一端と排気管16との間、及び、開口部24の幅方向他端と排気管16との間はそれぞれ取込部26とされている。また、カバー本体20には一対の仕切部28が設けられている。仕切部28は第1隔壁としての隔壁30を備えている。隔壁30はカバー本体20の長手方向に沿って長手とされた板状に形成されている。一方の仕切部28を構成する隔壁30は、開口部24の幅方向一端から連続して形成され、他方の仕切部28を構成する隔壁30は、開口部24の幅方向他端から連続して形成されている。
【0046】
各仕切部28の隔壁30の他端側は、車両10の上下方向上方へ延ばされてフロアトンネル14の内側に入り込んでおり、各隔壁30は排気管16との間で冷却空間32を形成している。また、隔壁30はその長手方向を軸方向とする軸周りに適宜に湾曲している。このため、排気管16の径方向に沿った排気管16と隔壁30との間隔は車両10の上下方向に変化しており、隔壁30の幅方向下端側における排気管16と隔壁30との間隔D7は隔壁30の幅方向上端側における排気管16と隔壁30との間隔D8よりも狭く、排気管16と隔壁30との間隔は車両10の上方へ向けて漸次広がっている。
【0047】
一方、仕切部28は隔壁30と共に第1隔壁を構成する隔壁34を備えている。仕切部28は隔壁34を備えている。隔壁34はカバー本体20の長手方向に沿って長手とされた板状に形成されている。一方の仕切部28を構成する隔壁34は、カバー本体20の幅方向一端から連続して形成され、他方の仕切部28を構成する隔壁34は、カバー本体20の幅方向他端から連続して形成されている。また、各隔壁34の他端側は、車両10の上下方向上方へ延ばされてフロアトンネル14の内側に入り込んでおり、一方の隔壁34の幅方向他端部は一方の隔壁30の幅方向他端部に繋がり、他方の隔壁34の幅方向他端部は他方の隔壁30の幅方向他端部に繋がっている。
【0048】
一方の隔壁34は、フロアパネル12の幅方向に沿ったフロアトンネル14の中央部よりも幅方向一方の側との間で排気空間36を形成しており、他方の隔壁34は、フロアパネル12の幅方向に沿ったフロアトンネル14の中央部よりも幅方向他方の側との間で排気空間36を形成している。また、隔壁34はその長手方向を軸方向とする軸周りに適宜に湾曲しており、これらの排気空間36におけるフロアトンネル14と隔壁34との間隔D9は、隔壁34の上端部近傍で隔壁34の幅方向上端側における排気管16と隔壁34との間隔D8よりも広く設定されている。また、仕切部28よりも上方で且つフロアトンネル14の上底部と排気管16との間には誘導手段としてのヒートインシュレータ38が設けられている。
【0049】
ヒートインシュレータ38はカバー本体20の長手方向に沿って長手とされた板状に形成されており、車両10の下方へ向けて開口した略凹形状に湾曲している。さらに、ヒートインシュレータ38の幅方向略中央部には分岐部40が形成されている。分岐部40は、その先端がフロアパネル12の幅方向に沿った排気管16の略中央部へ向けて突出するようにヒートインシュレータ38を湾曲又は屈曲することで形成されている。また、カバー本体20の幅方向両端部近傍には、整流手段としてのフィン42がフロアパネル12の長手方向に沿って所定間隔毎に設けられている。
【0050】
図1及び図3に示されるように、各フィン42は、フロアトンネル14以外でのフロアパネル12の下面に対する隔壁34の上端側から下端側へ向けて排気空間36内を通過する気流W1の向きの傾斜角度θを小さくし、且つ、フロアパネル12の幅方向中央側から幅方向外方側へ向けて排気空間36内を流れる気流の向きを車両10の後方へ変えるように適宜に湾曲させられている。
【0051】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0052】
本実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両10では、車両10が走行すると車両10のエンジンから高温の排気ガスが排気管16の基端(前端)側から先端(後端)側へ向けて通過し、この高温の排気ガスによって排気管16が熱せられる。加熱した排気管16は冷却空間32内の空気に晒されることで、この空気と排気管16との間で熱交換が成される。これにより、排気管16が冷却される。
【0053】
一方で、排気管16との熱交換により空気が加熱されることで、冷却空間32内で上昇気流W1が発生する。フロアパネル12の幅方向中央部よりも一方の側で排気管16により熱せられて冷却空間32内を上昇した空気(熱気)は、分岐部40によりフロアパネル12の幅方向中央部よりも他方の側へ向かうことなくフロアパネル12の幅方向一方の側の排気空間36へ誘導される。このように、排気空間36に誘導された熱気の気流W1は排気空間36を通過するとフィン42により向きがフロアパネル12に対して略平行で且つ車両10の後方に変えられて排出部22から排気される。
【0054】
また、このような気流W1が生じることで、カバー本体20よりも下側での空気圧と冷却空間32内の気圧との間に差異が生じると、取込部26から外気が冷却空間32内に取り込まれる。このように、外気が冷却空間32から取り込まれることで排気管16は更に冷却される。
【0055】
ここで、上記のように、隔壁30の幅方向上端側における排気管16と隔壁30との間隔D8は、隔壁30の幅方向下端側における排気管16と隔壁30との間隔D7よりも広く、したがって、冷却空間32において気流W1が受ける抵抗は車両10の上方ほど小さい。このため、冷却空間32内において気流W1は円滑に上昇し、冷却空間32内における空気の滞留や取込部26側への逆流が効果的に抑制される。
【0056】
さらに、冷却空間32内で上昇した気流W1はヒートインシュレータ38によって円滑に排気空間36へ誘導される。しかも、排気空間36におけるフロアトンネル14と隔壁34との間隔D9は隔壁30の幅方向上端側における排気管16と隔壁30との間隔D8よりも広い。したがって、冷却空間32の上側に上昇した後に逆流して冷却空間32に戻った場合に気流W1が受ける抵抗よりもよりも、冷却空間32の上側に上昇した後に排気空間36へ向かう際に気流W1が受ける抵抗の方が小さい。このため、冷却空間32内から上昇した気流W1は円滑に排気空間36に向かい、排気管16とフロアトンネル14の上底部との間における気流W1の滞留や冷却空間32への逆流が効果的に抑制される。
【0057】
このように、本実施の形態では、冷却空間32内や排気管16とフロアトンネル14の上底部との間における気流W1の滞留や冷却空間32への逆流を効果的に抑制して、取込部26から取り込まれ、冷却空間32、排気空間36を通過して排出部22から排出されるという気流W1を生じさせることができるため、排気管16を極めて効果的に冷却できる。しかも、このような気流W1を生じさせるにあたり、カバー本体20が積極的に可動することがないため、車両10の走行状態でカバー本体20の下側を流れる気流W2が乱されたり、空気抵抗が大きくなったりすることがなく、車両10の走行時における操縦安定性を向上できる。
【0058】
さらに、排気空間36を通過する際に、車両10の幅方向外方に対して下方へ傾斜した方向に向いていた気流W1は、フィン42によって車両10の幅方向外方に対する傾斜角度が小さくなり、しかも、車両10の後方側へ変えられるため、車両10の走行時にフロアパネル12の下側を流れる気流W2に乗せることができ、これによっても、気流W2が乱されたり、空気抵抗が大きくなったりすることがなく、車両10の走行時における操縦安定性を向上できる。
【0059】
また、上記のように、冷却空間32から上昇した気流W1は排気管16により熱せられているが、フロアトンネル14の上底部と排気管16との間にヒートインシュレータ38が介在していることで、ヒートインシュレータ38よりも上側に熱が伝わり難い。このため、フロアパネル12の上側、すなわち、車両10の室内や排気管16の周囲に設けられた各種部品や各種装置に、排気管16や気流W1の熱が伝わることを防止又は極めて効果的に抑制できる。
【0060】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0061】
図4には本発明の第2の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両50の構成が、前記第1の実施の形態を説明する図1に対応した断面図により示されている。
【0062】
この図に示されるように、本実施の形態では、冷却空間32に複数の吸熱翼52が設けられている。図5に示されるように、これらの吸熱翼52は、カバー本体20の長手方向(すなわち、車両50の前後方向)に沿って所定間隔毎に断続的に配置されている。吸熱翼52は、赤外線を吸収して放熱する材料により形成されており、このため、排気管16が熱を発すると、この熱の一部を吸熱翼52が吸収し、更に、吸収した熱を周囲に放出する。
【0063】
一方、図4に示されるように、本実施の形態では、排出部22に矩形の開口部54がカバー本体20の長手方向に沿って連続又は所定間隔毎に断続的に形成されている。この開口部54に対応してカバー本体20には隔壁56が設けられている。隔壁56は、隔壁30や隔壁34と共に前記第1の実施の形態の仕切部28に代わる仕切部55を構成している。隔壁56は基部58を備えている。基部58はカバー本体20に対して平行な平板状に形成されており、その一部がカバー本体20又はフロアパネル12に固定されている。
【0064】
車両50の幅方向内側での基部58の端部からは壁部60が立設されている。壁部60の先端側は冷却空間32と隔壁34との間の空間を冷却空間32側の空間62と、排気空間36側の空間64とに分けている。但し、壁部60の先端部は、隔壁30及び隔壁34の何れにも連結されておらず、壁部60の先端(上端)側で空間62と空間64とが連通している。
【0065】
<第2の実施の形態の作用、効果>
以上の構成の本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様に冷却空間32内を通過する気流W1と排気管16との間で熱交換が行なわれるのみならず、排気管16から放出された熱の一部が吸熱翼52に吸収される。吸熱翼52は排気管16が放出した熱を吸収して熱を放出し、これにより、気流W1が更に加熱される。すなわち、排気管16の熱を吸収した吸熱翼52が発熱することで、排気管16と吸熱翼52とが発熱体となるが、排気管16とは別に吸熱翼52が設けられることで、発熱体全体の表面積が増加し、気流W1との熱交換が促進される。これにより、排気管16を効果的に冷却できる。
【0066】
また、本実施の形態では、排気管16や気流W1、更には、吸熱翼52によって隔壁30が加熱されると、隔壁30が吸収した熱で空間62内の空気が加熱される。これにより、空間62内で上昇気流が生じると、この上昇気流は図4における気流W3となり、空間64を通過して開口部54の壁部60よりも排気空間36側からカバー本体20の下側に排出される。また、一方で、このように気流W3が生じると、カバー本体20よりも下方の空気が開口部54の壁部60よりも冷却空間32側から空間62に入り込む。このように、新たに空間62に取り込まれた空気により、冷却空間32が冷却され、上述した排気管16や気流W1、更には、吸熱翼52の熱を隔壁30で効果的に吸収でき、排気管16の冷却効率を向上できる。
【0067】
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0068】
図6には本発明の第3の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両80の構成が、前記第1の実施の形態を説明する図1に対応した断面図により示されている。
【0069】
この図に示されるように、本実施の形態では、前記第1の実施の形態におけるアンダーカバー18に代わりアンダーカバー82が設けられている。アンダーカバー82は車両80の前後方向に沿って長手方向のカバー本体84を備えている。カバー本体84は基本的に前記第1の実施の形態におけるカバー本体20と同じ構成であるが、車両80の幅方向に沿った開口寸法が前記第1の実施の形態における開口部24より大きな矩形の開口部86が開口部24に代わって形成されている。
【0070】
車両80の幅方向に沿った開口部86の両端からは仕切部87を構成する隔壁88がフロアトンネル14の内側へ向けて立設されている。隔壁88と排気管16との間には、隔壁88と共に仕切部87を構成する隔壁90が設けられており、更に、隔壁90と隔壁88との間には隔壁88や隔壁90と共に仕切部87を構成する隔壁92が設けられている。これにより、排気管16と隔壁90との間に第1取込部94を介してカバー本体84の下側の空間と連通した第1冷却空間96が形成され、隔壁90と隔壁92との間に第2取込部98を介してカバー本体84の下側の空間と連通した第2冷却空間100が形成される。
【0071】
さらに、隔壁92と隔壁88との間に第3取込部102を介してカバー本体84の下側の空間と連通した第3冷却空間104が形成される。一方、第2取込部98の上端部には誘導壁106が連続して設けられている。誘導壁106は隔壁88の上端部よりも上方を通過して隔壁88を介して第3冷却空間104とは反対側の排気空間108に入り込んでいる。また、隔壁90の上端部には誘導壁110が連続して設けられている。誘導壁110は隔壁92の上端部よりも上方を通過して排気空間108に入り込んでいる。
【0072】
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0073】
本実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両80の走行中に排気管16を通過する高温の排気ガスにより排気管16が加熱されると、第1冷却空間96内の空気と排気管16との間で熱交換が成される。これにより、排気管16が冷却される。
【0074】
一方で、排気管16との熱交換により空気が加熱されることで、第1冷却空間96内で上昇気流W4が発生する。気流W4は分岐部40によりフロアパネル12の幅方向中央部よりも他方の側へ向かうことなくフロアパネル12の幅方向一方の側の排気空間108へ誘導される。このように、排気空間108に誘導された熱気の気流W4は排気空間108を通過するとフィン42により向きがフロアパネル12に対して略平行で且つ車両80の後方に変えられて排出部22から排気される。
【0075】
また、このような気流W4が生じることで、カバー本体20よりも下側での空気圧と第1冷却空間96内の気圧との間に差異が生じると、取込部26から外気が第1冷却空間96内に取り込まれる。このように、外気が第1冷却空間96から取り込まれることで排気管16は更に冷却される。
【0076】
また、上記のように、排気管16や加熱された第1冷却空間96内の空気により隔壁90が加熱されると、第2冷却空間100内の空気と隔壁90との間で熱交換が成される。これにより、隔壁90が冷却される。一方で、隔壁90との熱交換により空気が加熱されることで、第2冷却空間100内で上昇気流W5が発生する。気流W5は誘導壁110により排気空間108へ誘導される。このように、排気空間108に誘導された熱気の気流W5は気流W4と共に排気空間108を通過して排出部22から排気される。
【0077】
また、このような気流W5が生じることで、カバー本体20よりも下側での空気圧と第2冷却空間100内の気圧との間に差異が生じると、取込部26から外気が第2冷却空間100内に取り込まれる。このように、外気が第2冷却空間100から取り込まれることで隔壁90は更に冷却される。このように、隔壁90が冷却されることで、第1冷却空間96内の空気が冷却され、第1冷却空間96内の空気による排気管16が発する熱の吸収効率が向上する。
【0078】
また、上記のように、第2冷却空間100内の空気により隔壁92が加熱されると、第3冷却空間104内の空気と隔壁92との間で熱交換が成される。これにより、隔壁92が冷却される。一方で、隔壁92との熱交換により空気が加熱されることで、第3冷却空間104内で上昇気流W6が発生する。気流W6は誘導壁106により排気空間108へ誘導される。このように、排気空間108に誘導された熱気の気流W6は気流W4や気流W5と共に排気空間108を通過して排出部22から排気される。
【0079】
また、このような気流W6が生じることで、カバー本体20よりも下側での空気圧と第3冷却空間104内の気圧との間に差異が生じると、第3取込部102から外気が第3冷却空間104内に取り込まれる。このように、外気が第3取込部102から取り込まれることで隔壁92は更に冷却される。このように、隔壁92が冷却されることで、第2冷却空間100内の空気が冷却されるため、第2冷却空間100内の空気による隔壁90が帯びた熱の吸収効率が向上し、隔壁90が効果的に冷却される。このように、隔壁90が効果的に冷却されることで、隔壁90による第1冷却空間96内の空気が帯びた熱の吸収効率が向上し、第1冷却空間96内の空気が効果的に冷却される。これにより、第1冷却空間96内の空気による排気管16が発する熱の吸収効率が向上する。
【0080】
このように、本実施の形態では、第1冷却空間96、第2冷却空間100、及び第3冷却空間104を流れる複数本の気流W4、W5、W6が排気管16を直接又は間接的に冷却するため、排気管16の冷却効率を効果的に向上できる。
【0081】
なお、本実施の形態では、第1冷却空間96における排気管16と隔壁90との間隔、第2冷却空間100における隔壁90と隔壁92との間隔、及び、第3冷却空間104における隔壁92と隔壁88との間隔に関して特に説明していないが、これらの間隔は、前記第1の実施の形態と同様に、下側に比べて上側で広い方がよく、これにより、上昇気流W4、W5、W6の滞留や逆流を防止又は効果的に抑制できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両を斜め下方から見た図である。
【図3】整流手段としてのフィンとその近傍を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両の要部を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両の要部を下方から見た図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る車体下部構造を適用した車両の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
10 車両
12 フロアパネル(車体フロア)
14 フロアトンネル(凹部)
16 排気管
18 アンダーカバー
22 排出部
26 取込部
28 仕切部
30 隔壁(第1隔壁)
32 冷却空間
34 隔壁(第1隔壁)
36 排気空間
38 ヒートインシュレータ(誘導手段)
42 フィン(整流手段)
50 車両
52 吸熱翼(吸発熱手段)
55 仕切部
56 隔壁(第2隔壁)
80 車両
82 アンダーカバー
87 仕切部
94 第1取込部(取込部)
96 第1冷却空間(冷却空間)
98 第2取込部(取込部)
100 第2冷却空間(冷却空間)
102 第3取込部(取込部)
104 第3冷却空間(冷却空間)
108 排気空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下方へ向けて開口した凹部を備え、前記凹部の内側にエンジンからの排ガスが通過する排気管が配置される車体フロアと、
前記車体フロアの下側に設けられ、前記排気管の近傍で下方から外気を取り込む取込部が形成されると共に、前記取込部よりも前記排気管から離間した位置で前記取込部から取り込まれた前記外気を下方へ排気する排出部が形成されたアンダーカバーと、
前記排気管の側方で前記取込部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した冷却空間と前記排出部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した排気空間とに前記凹部の内側を仕切ると共に、前記アンダーカバーよりも上方で前記冷却空間と前記排気空間とを連通させて前記取込部から取り込まれた外気を前記冷却空間及び前記排気空間を介して前記排出部に対流させる仕切部と、
を備える車体下部構造。
【請求項2】
車両下方へ向けて開口した凹部を備え、前記凹部の内側にエンジンからの排ガスが通過する排気管が配置される車体フロアと、
前記車体フロアの下側に設けられ、前記排気管の近傍で下方から外気を取り込む取込部が形成されると共に、前記取込部よりも前記排気管から離間した位置で前記取込部から取り込まれた前記外気を下方へ排気する排出部が形成されたアンダーカバーと、
前記排気管の側方で前記取込部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した冷却空間と前記排出部を介して前記アンダーカバーの下方と連通した排気空間とに前記凹部の内側を仕切ると共に、前記アンダーカバーよりも上方で前記冷却空間と前記排気空間とを連通させる仕切部と、
前記凹部と前記排気管との間に設けられ、前記上昇気流を前記排気空間へ誘導する誘導手段と、
を備える車体下部構造。
【請求項3】
前記仕切部は、
前記取込部と前記排出部との間で前記アンダーカバーに形成された開口部に対応して設けられ、前記開口部側へ向け開口した中空の凹形状に形成された第1隔壁と、
前記第1隔壁の内側を前記冷却空間の側と前記排気空間の側とに仕切ると共に、仕切った両空間を上端側で連通させる第2隔壁と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記仕切部は、前記排気管と前記排気空間との間に複数の前記冷却空間を形成すると共に、複数の前記冷却空間の各々に対応した複数の前記取込部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項5】
前記冷却空間における前記仕切部と前記排気管との間隔を、車両下方から車両上方へ向けて広くなるように設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項6】
前記取込部の開口幅よりも前記排出部の開口幅を広く設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項7】
前記排気空間内に設けられ、前記排出部から流れ出る空気の向きを、車両走行状態で前記アンダーカバーの下側を流れる気流の向きへ整流する整流手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の車体下部構造。
【請求項8】
前記冷却空間に設けられ、前記排気管の熱を吸収して発熱し、前記冷却空間内の空気を加熱する吸発熱手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の車体下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−131052(P2007−131052A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323877(P2005−323877)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】