説明

車体前部構造

【課題】フロントサイドフレームの剛性を確保できる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造10は、車体前後方向に延びる右フロントサイドフレーム11を備えている。右フロントサイドフレーム11は、車体前後方向に延出された圧縮荷重支えフレーム部31と、圧縮荷重支えフレーム部31から車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心側に湾曲状に張り出された曲げ荷重支えフレーム部とを備えている。曲げ荷重支えフレーム部31の下壁部52から側壁部53に渡って補強用のスチフナ18が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントサイドフレームに曲げ荷重支えフレーム部を備え、この曲げ荷重支えフレーム部が車体幅方向中心に向けて湾曲状に張り出された車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造のなかには、車体前部の骨格を構成するフロントサイドフレームに、車体前後方向に延出された軸荷重受け部材(以下、「圧縮荷重支えフレーム部」という)と、車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心側に湾曲状に張り出されたモーメント受け部材(以下、「曲げ荷重支えフレーム部」という)とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−290311号公報
【0003】
特許文献1の車体前部構造によれば、圧縮荷重支えフレーム部が車体前後方向に延出されることで、車体前方から車体後方に向けて作用する荷重を支えることが可能である。
さらに、曲げ荷重支えフレーム部が圧縮荷重支えフレーム部の中央部から車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心側に湾曲状に張り出されることで車体幅方向中心に向けて作用する荷重を支えることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、フロントサイドフレームは後端部でフロアフレームに結合(連結)されている。このフロアフレームは、フロントサイドフレームの下方に設けられている。
よって、フロントサイドフレームの後端部をフロアフレームに結合(連結)可能とするために、フロントサイドフレームの後部を車体後方に向けて下向きに湾曲形成させている。
【0005】
しかし、フロントサイドフレームの後部を下向きに湾曲形成した場合、湾曲形成した後部の剛性を確保することが難しくなる。
このため、フロントサイドフレームに車体前方から荷重が作用した場合、作用した荷重をフロントサイドフレームで支えることが難しいとされていた。
【0006】
本発明は、フロントサイドフレームの剛性を確保できる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体前部構造の骨格を構成するフロントサイドフレームに、車体前後方向に延出されて車体幅方向のいずれか一方に開口する断面略コ字状の圧縮荷重支えフレーム部と、前記圧縮荷重支えフレーム部から車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心側に湾曲状に張り出されて車体幅方向のいずれか一方に開口する断面略コ字状の曲げ荷重支えフレーム部とを備えた車体前部構造において、前記曲げ荷重支えフレーム部の断面略コ字状を形成する上下の壁部および側壁部のうち、前記下壁部から前記側壁部に渡って補強用のスチフナが設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記フロントサイドフレームの車体後方にフロアの骨材となるフロアフレームが設けられ、前記フロアフレームに前記曲げ荷重支えフレーム部の後端部を連結可能とするために、前記曲げ荷重支えフレーム部に、前記フロアフレームに向けて下向きに湾曲形成された部位を有し、前記湾曲形成された部位に前記補強用のスチフナが設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記補強用のスチフナは、前記フロントサイドフレームの下方にサブフレームを支持するサブフレーム取付部を備え、前記サブフレーム取付部は、前記サブフレームの締結部材を収容可能な空間を備えるためにカップ状に形成され、前記曲げ荷重支えフレーム部に設けることで、前記空間が閉塞されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記圧縮荷重支えフレーム部の開口部を塞ぐことで閉断面を形成する蓋部材と、前記フロントサイドフレームの後端部に前記フロアフレームを連結するアダプタと、を備え、前記補強用のスチフナが、前記アダプタに結合されるとともに、前記アダプタ近傍において前記曲げ荷重支えフレーム部、前記圧縮荷重支えフレーム部および前記蓋部材に結合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、曲げ荷重支えフレーム部を上下の壁部および側壁部で断面略コ字状を形成し、下壁部から側壁部に渡って補強用のスチフナを設けた。
よって、下壁部および側壁部が交差する稜線部をスチフナで補強して稜線部の剛性を高めることができる。
これにより、車体幅方向中心に作用する荷重を曲げ荷重支えフレーム部で支えることが可能になり、フロントサイドフレームの剛性を確保することができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、曲げ荷重支えフレーム部のうち、湾曲形成された部位に前記補強用のスチフナを設けた。よって、湾曲形成された部位の稜線部をスチフナで補強して稜線部の剛性を高めることができる。
これにより、車体幅方向中心に作用する荷重を曲げ荷重支えフレーム部で支えることが可能になり、フロントサイドフレームの剛性を確保することができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、補強用のスチフナにサブフレーム取付部を備えた。このサブフレーム取付部をカップ状に形成し、サブフレーム取付部に締結部材を収容可能な空間を備えた。
そして、この空間に締結部材を収容した状態で、曲げ荷重支えフレーム部にサブフレーム取付部を設けることでサブフレーム取付部の空間を閉塞可能とした。
これにより、曲げ荷重支えフレーム部をサブフレーム取付部で補強することができ、曲げ荷重支えフレーム部の剛性を一層高めることができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、補強用のスチフナをアダプタに結合するとともに、アダプタ近傍において曲げ荷重支えフレーム部、圧縮荷重支えフレーム部および蓋部材に結合した。
これにより、フロントサイドフレームの後端部を強固に結合することが可能になり、フロントサイドフレームの後端部の剛性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【0016】
図1は本発明に係る車体前部構造を示す側面図、図2は本発明に係る車体前部構造を示す平面図である。なお、図2においては車体前部構造の構成の理解を容易にするためにサブフレームを除去した状態で示す。
車体前部構造10は、車体前後方向に向けて延出された左右のフロントサイドフレーム11と、左右のフロントサイドフレーム11の前端部11aに車体幅方向に架け渡されたバンパビーム12と、左右のフロントサイドフレーム11の後端部11bにそれぞれ設けられた左右のアダプタ(アダプタ)14と、左右のアダプタ14を介して左右のフロントサイドフレーム11の後端部11bにそれぞれ連結された左右のフロアフレーム(フロアフレーム)16と、左右のフロントサイドフレーム11をそれぞれ補強する左右のスチフナ(スチフナ)18と、左右のフロントサイドフレーム11の下方に設けられたサブフレーム21とを備えている。
【0017】
なお、左右のフロントサイドフレーム11、左右のアダプタ14、左右のフロアフレーム16および左右のスチフナ18はそれぞれ左右対称の部材であり、以下右側部材について説明して左側部材の説明を省略する。
【0018】
サブフレーム21は、左右のフロントサイドフレーム11および左右のフロアフレーム16に設けられたサブフレーム取付手段22を介して左右のフロントサイドフレーム11および左右のフロアフレーム16に設けられている。
【0019】
サブフレーム取付手段22は、左右のフロントサイドフレーム11の前端部11aから下方に張り出された左右の前サブフレーム取付部23と、左右のフロントサイドフレーム11の後端部11bに設けられた左右の中央サブフレーム取付部(サブフレーム取付部)24と、左右のフロアフレーム16の前端部16aに設けられた左右の後サブフレーム取付部25とを備えている。
【0020】
左右の前サブフレーム取付部23、左右の中央サブフレーム取付部24および左右の後サブフレーム取付部25はそれぞれ左右対称の部材であり、図1に右側取付部のみを図示する。
【0021】
左右の前サブフレーム取付部23、左右の中央サブフレーム取付部24および左右の後サブフレーム取付部25にサブフレーム21が取り付けられている。
これにより、サブフレーム取付手段22で左右のフロントサイドフレーム11の下方にサブフレーム21が支持されている。
【0022】
なお、左右の中央サブフレーム取付部24は、左右のスチフナ18にそれぞれ備えられている。左右のスチフナ18については図13〜図15で詳しく説明する。
【0023】
図3は本発明に係るフロントサイドフレームおよびフロアフレームを示す斜視図である。
右フロントサイドフレーム11は、車体前部構造10(図1参照)の骨格を構成する部材で、車体前後方向に延出された圧縮荷重支えフレーム部31と、圧縮荷重支えフレーム部31の車体幅方向外側に設けられたカバーフレーム部(蓋部材)32と、圧縮荷重支えフレーム部31の車体幅方向内側に設けられた曲げ荷重支えフレーム部(荷重支えフレーム部)33とを備えている。
【0024】
この右フロントサイドフレーム11は後部に下向き湾曲部位28(図1も参照)が形成されている。
下向き湾曲部位28は、右フロアフレーム16に右アダプタ14を介して後端部11bを連結させるために、右フロアフレーム16に向けて下向きに湾曲形成された部位である。
【0025】
図4は図3の分解斜視図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図5のフロントサイドフレームを分解した状態を示す断面図である。
圧縮荷重支えフレーム部31は、車体前後方向に延出された部材である。
この圧縮荷重支えフレーム部31は、上下の壁部35,36および側壁部37で車体幅方向外方に開口するように断面略コ字状に形成され、上壁部35から上方に向けて上フランジ(上張出片)38が形成され、下壁部36から下方に向けて下フランジ(下張出片)39が形成されている。
【0026】
圧縮荷重支えフレーム部31は後部に圧縮下向き湾曲部位41(図4参照)を有する。
圧縮下向き湾曲部位41は、右フロアフレーム16の前端部16aに向けて下向きに湾曲形成された部位である。
圧縮荷重支えフレーム部31に圧縮下向き湾曲部位41を設けることで、圧縮荷重支えフレーム部31の後端部31aを右アダプタ14を介して右フロアフレーム16の前端部16aに連結させることが可能になる。
【0027】
この圧縮荷重支えフレーム部31は、上壁部35および側壁部37が交差して形成された上稜線部42と、下壁部36および側壁部37が交差して形成された下稜線部43とを有している。
上稜線部42および下稜線部43は、図4に示すように、車体前後方向に延出されている。よって、車体前方から車体後方に向けて作用する荷重を圧縮荷重支えフレーム部31(主に、上下の稜線部42,43)で支えることができる。
すなわち、圧縮荷重支えフレーム部31は、車体前方から車体後方に向けて作用する荷重を支える軸荷重受け部材である。
【0028】
カバーフレーム部32は、車体前後方向に延出された帯状の板材である。
このカバーフレーム部32は、圧縮荷重支えフレーム部31の上フランジ38に上辺45が溶接され、圧縮荷重支えフレーム部31の下フランジ39に下辺46が溶接されている。
カバーフレーム部32が圧縮荷重支えフレーム部31に溶接されることで、圧縮荷重支えフレーム部31の開口部44がカバーフレーム部32で塞がれ、カバーフレーム部32および圧縮荷重支えフレーム部31で閉断面が形成されている。
【0029】
カバーフレーム部32はカバー下向き湾曲部位47(図4参照)を有する。
カバー下向き湾曲部位47は、右フロアフレーム16の前端部16aに向けて下向きに湾曲形成された部位である。
カバーフレーム部32にカバー下向き湾曲部位47を設けることで、カバーフレーム部32の後端部32aを右アダプタ14を介して右フロアフレーム16の前端部16aに連結させることが可能になる。
【0030】
曲げ荷重支えフレーム部33は、上下の壁部51,52および側壁部53で車体幅方向外方に開口するように断面略コ字状に形成され、上壁部51から上方に向けて上フランジ(上張出片)54が形成され、下壁部52から下方に向けて下フランジ(下張出片)55が形成され、上壁部51の後端部から上方に向けて上後フランジ56(図4参照)が形成され、側壁部53の後端部から車体幅方向中心20(図2参照)に向けて後横フランジ57(図4参照)が形成されている。
【0031】
曲げ荷重支えフレーム部33は後部に曲げ下向き湾曲部位58(図4参照)を有する。
曲げ下向き湾曲部位58は、右フロアフレーム16の前端部16aに向けて下向きに湾曲形成された部位である。
曲げ荷重支えフレーム部33に曲げ下向き湾曲部位58を設けることで、曲げ荷重支えフレーム部33の後端部33aを右アダプタ14を介して右フロアフレーム16の前端部16aに連結させることが可能になる。
【0032】
曲げ荷重支えフレーム部33は、圧縮荷重支えフレーム部31の略後半部31bに被せた状態で圧縮荷重支えフレーム部31に溶接されている。
この状態で、曲げ荷重支えフレーム部33の開口部59が圧縮荷重支えフレーム部31で塞がれ、圧縮荷重支えフレーム部31および曲げ荷重支えフレーム部33で閉断面が形成されている。
【0033】
この曲げ荷重支えフレーム部33は、上壁部51および側壁部53が交差して形成された上稜線部61と、下壁部52および側壁部53が交差して形成された下稜線部62とを有している。
【0034】
曲げ荷重支えフレーム部33は、図4に示す曲げ荷重支えフレーム部33の前端部33bが圧縮荷重支えフレーム部31の中央部31cに設けられ、前端部33bから後端部33aに向かうにしたがって(すなわち、車体後方に向かうにしたがって)車体幅方向中心20(図2参照)側に湾曲状に張り出されている。
【0035】
よって、上稜線部61および下稜線部62は、圧縮荷重支えフレーム部31の中央部31cから車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心20(図2参照)側に湾曲状に張り出されている。
これにより、車体前方において車体幅方向中心20(図2参照)に向けて荷重が発生した際に、荷重により生じる曲げモーメントを曲げ荷重支えフレーム部33(主に、上下の稜線部61,62)で支えることができる。
すなわち、曲げ荷重支えフレーム部33は、曲げモーメントを支えるモーメント受け部材である。
【0036】
図3に戻って、右フロアフレーム16は、右フロントサイドフレーム11の車体後方に設けられてフロア27(図2参照)の骨材となる部材である。
すなわち、右フロアフレーム16は、右フロントサイドフレーム11の後端部11bに右アダプタ14を介して前端部16aが連結されることで、右フロントサイドフレーム11(荷重支えフレーム部)の後端部11bから車体後方に向けて延出されている。
【0037】
この右フロアフレーム16は、前半部65が車体後方に向けて下り勾配に形成され、後半部66が車体後方に向けて略水平に形成されている。
前半部65から車幅方向外方に向けてアウトリガー67が張り出され、後半部66から車幅方向中心に向けてクロスメンバ取付部68aが設けられている。
クロスメンバ取付部68aは、クロスメンバ68(図2参照)が設けられる部位である。
【0038】
図7は図4の要部を拡大して示す分解斜視図、図8は本発明に係る車体前部構造の右アダプタを示す斜視図である。
右フロアフレーム16は、内外の壁部71,72および底壁部73で上方に開口するように断面略コ字状に形成され、内壁部71(図3も参照)から車体幅方向中心20(図2参照)に向けて内フランジ(内張出片)74が形成され、外壁部72から車体幅方向外方に向けて外フランジ(外張出片)75が形成されている。
【0039】
外フランジ75は、前端部75aが右アダプタ14(後述する)に溶接可能に折り曲げられている。
内外のフランジ74,75のうち、右フロアフレーム16の前半部65にダッシュボード81(図1参照)が載置されている。
また、内外のフランジ74,75のうち、右フロアフレーム16の後半部66にフロアパネル82(図1参照)が載置されている。
【0040】
右フロアフレーム16の前端部16aに、右アダプタ14を介して右フロントサイドフレーム11の後端部11b(図3参照)が結合(連結)されている。
右アダプタ14は、板状のプレートをプレス成形で折り曲げた連結用の部材である。
この右アダプタ14は、右フロントサイドフレーム(荷重支えフレーム部)11および右フロアフレーム16を仕切る仕切壁84と、仕切壁84に設けられて右フロントサイドフレーム11や右フロアフレーム16に結合された周壁85とを備えている。
【0041】
右アダプタ14の周壁85は、仕切壁84の上辺84aから車体後方に折り曲げられた上結合部86と、仕切壁84の下辺84bから車体後方に折り曲げられた下結合部87と、仕切壁84の内辺84cから車体後方に折り曲げられた内結合部88と、仕切壁84の外辺84dから車体後方に折り曲げられた外結合部89とを備えている。
【0042】
図9は図8の9矢視図である。
仕切壁84は、曲げ荷重支えフレーム部33の上下の壁部51,52および側壁部53と、圧縮荷重支えフレーム部31の側壁部37とで形成された矩形状の空間34(図7参照)を塞ぐように略矩形状に形成されている。
【0043】
この仕切壁84は、上下方向に所定間隔をおいて略水平に形成された上下の辺84a,84bと、上下の辺84a,84b間に形成された略鉛直状の内辺84cと、上下の辺84a,84b間に形成された傾斜状の外辺84dとで略矩形状に形成されている。
傾斜状の外辺84dは、下辺84bから上辺84aに向けて車体幅方向外方に傾斜角度θ1で傾斜するように形成されている。
【0044】
図10は図8の10矢視図である。
上結合部86は、曲げ荷重支えフレーム部33の上壁部51(図7参照)に沿うように略水平に折り曲げられた略三角形状の折曲片である。
【0045】
下結合部87は、曲げ荷重支えフレーム部33の下壁部52(図7参照)に沿うように車体後方に向けて下り勾配に折り曲げられた折曲片である。
この下結合部87は、略矩形状に形成され、外辺87aが車体後方に向けて平面視で略平行に形成され、内辺87bが車体後方に向けて平面視で車体幅方向中心20(図2参照)に向けて傾斜するように形成されている。
【0046】
図11は図8の11矢視図である。
内結合部88は、仕切壁84の内辺84cから車体後方に折り曲げられた内結合本体部91と、内結合本体部91の上辺91aから折り曲げられた内側上結合部(上結合部)92と、内結合本体部91の下辺91bから折り曲げられた内側下結合部93と、内結合本体部91の後辺91cから折り曲げられた内側後結合部94とを有する。
【0047】
内結合本体部91は、曲げ荷重支えフレーム部33の側壁部53(図7参照)に沿うように車体後方に向けて車幅方向中心に向けて傾斜角θ2(図10参照)で傾斜するように折り曲げられた折曲片である。
【0048】
内側上結合部92は、曲げ荷重支えフレーム部33の上壁部51(図7参照)に沿うように略水平に折り曲げられた折曲片である。
内側下結合部93は、下結合部87に沿うように折り曲げられ、下結合部87および曲げ荷重支えフレーム部33の下壁部52に溶接で結合される折曲片である。
【0049】
内側後結合部94は、内結合本体部91の後辺91cから車体幅方向中心20(図2参照)に向けて折り曲げられた折曲片である。
この内側後結合部94は、図11に示すように、内結合本体部91の上辺91aから下方に向けて鉛直に形成された内側上折曲片94aと、内側上折曲片94aの下端から車体後方に向けて下り勾配に形成された内側下折曲片94bとを有する。
【0050】
図8に戻って、外結合部89は、圧縮荷重支えフレーム部31の側壁部37およびカバーフレーム部32(図7参照)に沿うように車体後方に向けて折り曲げられた折曲片である。
この外結合部89は、仕切壁84の外辺84dから車体後方に折り曲げられた外結合本体部101と、外結合本体部101の上辺101aから鉛直方向に突出された外側上結合部102と、外結合本体部101の下辺101bから折り曲げられた外側下結合部103と、外結合本体部101の後辺101cから折り曲げられた外側後結合部104とを有する。
【0051】
外結合本体部101は、略前半部位106に対して略後半部位107が車体幅方向外方に僅かに張り出され、略前半部位106および略後半部位107の境界に段差部108が形成されている。
外側上結合部102は、上方に向けて略鉛直に突出された突片である。
【0052】
外側下結合部103は、下結合部87に沿うように折り曲げられ、下結合部87および曲げ荷重支えフレーム部33および下壁部52に溶接で結合される折曲片である。
【0053】
外側後結合部104は、外結合本体部101の後辺101cから車体幅方向外方に向けて傾斜状に折り曲げられた折曲片である。
この外側後結合部104は、車体後方に向けて下り勾配に形成された外側上折曲片104aと、外側上折曲片104aの下端から下方に向けて鉛直に形成された外側下折曲片104bとを有する。
【0054】
図12は本発明に係るアダプタにフロントサイドフレームおよびフロアフレームを結合する例を説明する斜視図、図13は本発明に係るアダプタにフロントサイドフレームおよびフロアフレームを結合した状態を示す側面図である。
図12に示すように、曲げ荷重支えフレーム部33に備えた上壁部51の後端部51aが、右アダプタ14の上結合部86および内側上結合部92にそれぞれ溶接(結合)されている。
【0055】
曲げ荷重支えフレーム部33に備えた下壁部52の後端部52aが、右アダプタ14の下結合部87および内側下結合部93(図10も参照)に重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
さらに、下壁部52の後端部52aが、下結合部87および外側下結合部103に重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
下結合部87には、右フロアフレーム16に備えた底壁部73の前端部73aが溶接(結合)されている。
【0056】
図13に示すように、曲げ荷重支えフレーム部33に備えた側壁部53の後端部53aが、内結合本体部91に車体幅方向中心20(図2参照)側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
さらに、曲げ荷重支えフレーム部33の後横フランジ57が、内側上折曲片94aに車体前方側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
【0057】
右フロアフレーム16に備えた内壁部71の前端部71aのうち、上半部71bが、内結合本体部91に車体幅方向外側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
さらに、内壁部71の前端部71aのうち、下半部71cが、内結合本体部91および側壁部53の後端部53aに車体幅方向外側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
加えて、右フロアフレーム16に備えた内フランジ74の前端部74aが、内側下折曲片94bに車体前方側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
【0058】
圧縮荷重支えフレーム部31に備えた側壁部37の後端部37aおよびカバーフレーム部32の後端部32a(図7参照)が、外結合本体部101の略前半部位106に車体幅方向外側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
さらに、カバーフレーム部32の後端部32a(図7参照)が、外結合本体部101の略後半部位107に車体幅方向外側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
【0059】
図12に示すように、右フロアフレーム16に備えた外壁部72の前端部72aが、略後半部位107に車体幅方向中心20(図2参照)側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
右フロアフレーム16に備えた外フランジ75の前端部75aが、外側下折曲片104bに車体幅方向中心20側から重ね合わされた状態で溶接(結合)されている。
【0060】
カバーフレーム部32に備えた上辺45の後端部45aが外側上結合部102に車体幅方向外側から重ね合わされ、曲げ荷重支えフレーム部33に備えた上フランジ54の後端部54aが外側上結合部102に車体幅方向外側から重ね合わされた状態で、後端部45a、外側上結合部102および後端部54aが溶接(結合)されている。
【0061】
以上説明したように、右アダプタ14の上結合部86および内側上結合部92に、曲げ荷重支えフレーム部33の上壁部51(具体的には、後端部51a)が溶接で結合されている。
また、右アダプタ14の下結合部87に、曲げ荷重支えフレーム部33の下壁部52(具体的には、後端部52a)が溶接で結合されている。
【0062】
さらに、右アダプタ14の内結合部88に、曲げ荷重支えフレーム部33の側壁部53(具体的には、後端部53a)が溶接で結合されている。
加えて、右アダプタ14の外結合部89に、圧縮荷重支えフレーム部31の側壁部37(具体的には、後端部37a)およびカバーフレーム部32の後端部32a(図7参照)が溶接で結合されている。
【0063】
一方、右アダプタ14の内結合部88に、右フロアフレーム16の内側壁71(具体的には、前端部71a)が溶接で結合されている。
また、右アダプタ14の外結合部89に、右フロアフレーム16の外側壁72(具体的には、前端部72a)が溶接で結合されている。
さらに、右アダプタ14の下結合部87に、右フロアフレーム16の底壁部73(具体的には、前端部73a)が溶接で結合されている。
【0064】
これにより、右フロントサイドフレーム11および右フロアフレーム16間に右アダプタ14が介設され、右アダプタ14を介して右フロントサイドフレーム11および右フロアフレーム16を容易に連結することができる。
【0065】
また、右フロントサイドフレーム11および右フロアフレーム16を連結(結合)する右アダプタ14に仕切壁84が設けられている。
よって、仕切壁84および周壁85で右アダプタ14をボックス状に形成することが可能になり右アダプタ14の剛性を確保することができる。
これにより、右アダプタ14で右フロントサイドフレーム11を補強するとともに右フロアフレーム16を補強することができ、右フロントサイドフレーム11や右フロアフレーム16の剛性を確保できる。
【0066】
さらに、右フロントサイドフレーム11および右フロアフレーム16を右アダプタ14を介して連結することで、右アダプタ14の形状を変えることで(すなわち、右アダプタ14を交換することで)、形状の異なる右フロアフレーム16に、同じ形状の右フロントサイドフレーム11を容易に連結することができる。
これにより、多種の車体構造に対応させて複数の右フロントサイドフレーム11を用意する必要がなく、部品点数を減らすことができ、かつコストを抑えることができる。
【0067】
また、右アダプタ14は、図10に示すように、内結合部88の内結合本体部91が車幅方向中心に向けて傾斜角θ2(図10参照)で傾斜するように折り曲げられている。
さらに、外結合部89の外結合本体部101は車体後方に向けて折り曲げられている。
よって、右アダプタ14は、図10に示すように、内外の結合部88,89間の間隔が前端部間隔D1から後端部間隔D2になるように、車体前方から車体後方へ向けて徐々に大きくなるように形成されている。
【0068】
内外の結合部88,89には、右フロアフレーム16の内外の壁部71,72がそれぞれ結合されている。
よって、右フロアフレーム16の内外の壁部71,72間の間隔D3(図12参照)を車体後方へ向けて大きく広げることができる。
【0069】
ここで、右フロアフレーム16の内外の壁部71,72には、図1に示すダッシュボード81やフロアパネル82などの載置部材が載置可能な内外のフランジ(内外の張出片)74,75が形成されている。
内外のフランジ74,75間の間隔D4は、右フロアフレーム16の内外の壁部71,72の間隔D3と同様に、車体後方へ向けて大きく広げられている。
【0070】
内外のフランジ74,75間の間隔D4を大きく広げることで、内外のフランジ74,75によりダッシュボード81やフロアパネル82(図1参照)を広範囲に渡って支えることができる。
これにより、内外のフランジ74,75でダッシュボード81やフロアパネル82を強固に支えることができ、結合強度(剛性)を高めることができる。
【0071】
また、右アダプタ14は、右フロントサイドフレーム11や右フロアフレーム16に結合する周壁85を上下の結合部86,87および内外の結合部88,89などで形成した。
よって、上結合部86および内結合部88が交差する凸角部(上内側角部)が除去され、上結合部86および内結合部88が切り離されている。
また、上結合部86および外結合部89が交差する凸角部(上外側角部)が除去され、上結合部86および外結合部89が切り離されている。
【0072】
さらに、下結合部87および内結合部88が交差する凸角部(下内側角部)が除去され、下結合部87および内結合部88が切り離されている。
加えて、下結合部87および外結合部89が交差する凸角部(下外側角部)が除去され、下結合部87および外結合部89が切り離されている。
【0073】
これにより、図8に示すように、上結合部86および内結合部88間に上内側空間(空間)111を確保でき、上結合部86および外結合部89間に上外側空間(空間)112を確保できる。
さらに、下結合部87および内結合部88間に下内側空間(空間)113(図9参照)を確保でき、下結合部87および外結合部89間に下外側空間(空間)114を確保できる。
【0074】
このように、右アダプタ14の周壁85に上内側空間111、上外側空間112、下内側空間113および下外側空間114を確保することで、右アダプタ14の軽量化が図れ、かつ、右アダプタ14を一枚の板材からプレス成形で容易に折り曲げることができる。
【0075】
図13に示すように、右フロントサイドフレーム11に補強用の右スチフナ18が設けられている。
右スチフナ18は、曲げ荷重支えフレーム部33の曲げ下向き湾曲部位58を補強するスチフナ本体部19と、スチフナ本体部19に設けられた中央サブフレーム取付部24とを備えている。
【0076】
図5〜図6、図12に戻って、曲げ下向き湾曲部位58は、上壁部51の後部に設けられた湾曲上壁部51b、下壁部52の後部に設けられた湾曲下壁部52b、および側壁部53の後部に設けられた湾曲側壁部53bで形成されている。
湾曲側壁部53bおよび湾曲下壁部52bが交差する部位に凸状の湾曲下稜線部62aが形成されている。
湾曲下稜線部62aは、曲げ荷重支えフレーム部33の下稜線部62の後部に設けられた部位である。
【0077】
スチフナ本体部19は、曲げ荷重支えフレーム部33の曲げ下向き湾曲部位58のうち、湾曲下壁部52bから湾曲側壁部53bに渡って設けられている。
スチフナ本体部19は、湾曲側壁部53bに沿って設けられたスチフナ側部121と、湾曲下壁部52bに沿って設けられたスチフナ下部122とを有する(図14も参照)。
このスチフナ本体部19は、スチフナ側部121およびスチフナ下部122で断面略L字状に形成されている。
【0078】
曲げ荷重支えフレーム部33の湾曲側壁部53bおよび湾曲下壁部52bにスチフナ本体部19が設けられることで、曲げ荷重支えフレーム部33の湾曲下稜線部62aがスチフナ本体部19で補強されている。
よって、湾曲下稜線部62aの剛性(すなわち、曲げ荷重支えフレーム部33の剛性)を高めることができる。
これにより、車体前方において車体幅方向中心20(図2参照)に向けて作用する荷重を、曲げ荷重支えフレーム部33で支えることが可能になり、右フロントサイドフレーム11の剛性を確保することができる。
【0079】
図14は本発明に係るスチフナを示す斜視図、図15は図13の15−15線断面図である。
中央サブフレーム取付部24は、サブフレーム21(図1参照)の中央取付ブラケット29をボルト124およびナット125(締結部材)で支える部材である。
中央サブフレーム取付部24は、カップ状に形成されたカップ本体部127と、カップ本体部127に設けられた接合部128とを有する。
【0080】
カップ本体部127は、スチフナ下部122の後端122aから車体後方に向けて下り勾配に設けられたカップ前壁131と、カップ前壁131の後端131aから車体後方に向けて略水平に設けられたカップ底部132と、カップ底部132の後端132aから車体後方に向けて上り勾配に設けられたカップ後壁133と、これらの壁131,132,133の各内辺(すなわち、車体幅方向中心20側の辺)に設けられたカップ側壁134とを有する。
【0081】
このカップ本体部127は、カップ前壁131、カップ底部132、カップ後壁133およびカップ側壁134でカップ状(凹状)に形成されることで、ボルト124およびナット125を収納可能な収容空間(空間)136が備えられている。
【0082】
カップ底部132は、略平坦状に形成されるとともに、略中央に取付孔132bが形成されている。
カップ底部132の上面には、取付孔132bと同軸上にナット(締結部材の一方)125が鉛直方向を向いて溶接されている。
カップ側壁134は、上端部134aの前端がスチフナ側部121の後端に設けられ、上端部134aが湾曲側壁部53bに溶接で結合されている。
【0083】
接合部128は、カップ前壁131の外辺(車体外側の辺)に設けられた前接合片141と、カップ底部132の外辺(車体外側の辺)に設けられた底接合片142と、カップ後壁133の後端に設けられた後接合片143とを有する。
前接合片141は、曲げ荷重支えフレーム部33の下フランジ55、圧縮荷重支えフレーム部31の下フランジ39およびカバーフレーム部32の下辺46に溶接で結合されている。
【0084】
また、底接合片142は、前接合片141と同様に、曲げ荷重支えフレーム部33の下フランジ55、圧縮荷重支えフレーム部31の下フランジ39およびカバーフレーム部32の下辺46に溶接で結合されている。
さらに、後接合片143は、曲げ荷重支えフレーム部33の湾曲下壁部52bおよび右アダプタ14の下結合部87(図13参照)に溶接で結合されている。
【0085】
これにより、補強用のスチフナ18が、右アダプタ14(下結合部87)に結合されるとともに、右アダプタ14近傍において曲げ荷重支えフレーム部33、圧縮荷重支えフレーム部31およびカバーフレーム部32に結合されている。
これにより、右フロントサイドフレーム11の後端部11bを右アダプタ14(下結合部87)に強固に結合することが可能になり、右フロントサイドフレーム11の後端部11bの剛性を確保することができる。
【0086】
また、カップ側壁134の上端部134aおよび接合部128が、右フロントサイドフレーム11の曲げ下向き湾曲部位58に溶接で結合されることで、曲げ下向き湾曲部位58にカップ本体部127が設けられる。
右フロントサイドフレーム11の曲げ下向き湾曲部位58にカップ本体部127(中央サブフレーム取付部24)が設けられることで、カップ本体部127の収容空間136が閉塞されている。
これにより、曲げ荷重支えフレーム部33を中央サブフレーム取付部24で補強することができ、曲げ荷重支えフレーム部33の剛性を一層高めることができる。
【0087】
図13に戻って、中央サブフレーム取付部24の後接合片143が湾曲下壁部52bを介して右アダプタ14の下結合部87に溶接で結合されている。
中央サブフレーム取付部24は、ボルト124およびナット125を介してサブフレーム21(図1参照)の中央取付ブラケット29を懸架する部位である。
よって、中央サブフレーム取付部24には鉛直方向下向きに比較的大きな荷重が作用する。
【0088】
このため、中央サブフレーム取付部24の後接合片143を右アダプタ14の下結合部87で強固に支える必要がある。
そこで、図12に示すように、右アダプタ14の下結合部87に、内結合部88の内側下結合部93を溶接で結合するとともに、外結合部89の外側下結合部103を溶接で結合した。
これにより、右アダプタ14の下結合部87の剛性が高められ、下結合部87で中央サブフレーム取付部24の後接合片143を強固に支えることができる。
【0089】
つぎに、車体前部構造10に車体前方から後方に向けて荷重F1が作用する例を図16に基づいて説明する。
図16は本発明に係る車体前部構造に車体前方から荷重が作用した例を説明する図である。
車体前方から後方に向けてバンパビーム12(想像線で示す)に荷重F1が作用する。作用した荷重F1でバンパビーム12が実線で示す後方位置Pまで変形する。
よって、バンパビーム12を介して右フロントサイドフレーム11の前端部11aに圧縮荷重F2および曲げ荷重F3が作用する。
【0090】
圧縮荷重F2は、右フロントサイドフレーム11を圧縮しようとする荷重である。
曲げ荷重F3は、右フロントサイドフレーム11を車体幅方向中心20側に曲げようとする荷重である。右フロントサイドフレーム11に曲げ荷重F3が作用することで、右フロントサイドフレーム11に曲げモーメントMが発生する。
【0091】
圧縮荷重F2は、圧縮荷重支えフレーム部31(主に、上稜線部42、下稜線部43)で支えられる。
上稜線部42および下稜線部43は、車体前後方向に延出されているので圧縮荷重F2を良好に支えることができる。
【0092】
曲げモーメントMは曲げ荷重支えフレーム部33(主に、上稜線部61、下稜線部62)で支えられる。
上稜線部61および下稜線部62は、圧縮荷重支えフレーム部31の中央部31cから車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心20側に湾曲状に張り出されている。
よって、荷重支えフレーム部33(主に、上稜線部61、下稜線部62)で曲げモーメントMを良好に支えることができる。
【0093】
ここで、下稜線部62の湾曲下稜線部62aが右スチフナ18のスチフナ本体部19で補強されている。よって、湾曲下稜線部62aの剛性(すなわち、曲げ荷重支えフレーム部33の剛性)が高められる。
これにより、曲げ荷重支えフレーム部33で曲げモーメントMを一層良好に支えることができる。
【0094】
なお、前記実施の形態では、圧縮荷重支えフレーム部31を車体幅方向外方に開口させた例について説明したが、これに限らないで、車体幅方向中心に向けて開口させることも可能である。
【0095】
また、前記実施の形態では、曲げ荷重支えフレーム部33を車体幅方向外方に開口させた例について説明したが、これに限らないで、車体幅方向中心に向けて開口させることも可能である。
【0096】
さらに、前記実施の形態では、サブフレーム21を連結する締結部材としてボルト124およびナット125を用いた例について説明したが、これに限らないで、リベットなどの他の締結部材を用いることも可能である。
【0097】
また、前記実施の形態で示した左右のフロントサイドフレーム11、左右のアダプタ14、左右のフロアフレーム16、左右のスチフナ18、サブフレーム21、左右の中央サブフレーム取付部24、フロア27、圧縮荷重支えフレーム部31、カバーフレーム部32、曲げ荷重支えフレーム部33、上壁部51、下壁部52、側壁部53、曲げ下向き湾曲部位58などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、フロントサイドフレームの曲げ荷重支えフレーム部が車体幅方向中心に向けて湾曲状に張り出された車体前部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る車体前部構造を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体前部構造を示す平面図である。
【図3】本発明に係るフロントサイドフレームおよびフロアフレームを示す斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】図5の右フロントサイドフレームを分解した状態を示す断面図である。
【図7】図4の要部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係る車体前部構造の右アダプタを示す斜視図である。
【図9】図8の9矢視図である。
【図10】図8の10矢視図である。
【図11】図8の11矢視図である。
【図12】本発明に係るアダプタにフロントサイドフレームおよびフロアフレームを結合する例を説明する斜視図である。
【図13】本発明に係るアダプタにフロントサイドフレームおよびフロアフレームを結合した状態を示す側面図である。
【図14】本発明に係るスチフナを示す斜視図である。
【図15】図13の15−15線断面図である。
【図16】本発明に係る車体前部構造に車体前方から荷重が作用した例を説明する図である。
【符号の説明】
【0100】
10…車体前部構造、11…左右のフロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)、11b…フロントサイドフレームの後端部、14…左右のアダプタ(アダプタ)、16…左右のフロアフレーム(フロアフレーム)、18…左右のスチフナ(スチフナ)、21…サブフレーム、24…左右の中央サブフレーム取付部(サブフレーム取付部)、27…フロア、31…圧縮荷重支えフレーム部、32…カバーフレーム部(蓋部材)、33…曲げ荷重支えフレーム部(サイドフレーム部)、33a…曲げ荷重支えフレーム部の後端部、44…開口部、51…上壁部、52…下壁部、53…側壁部、58…曲げ下向き湾曲部位(フロアフレームに向けて下向きに湾曲形成された部位)、124…ボルト(締結部材の他方)、125…ナット(締結部材の一方)、136…収容空間(空間)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部構造の骨格を構成するフロントサイドフレームに、車体前後方向に延出されて車体幅方向のいずれか一方に開口する断面略コ字状の圧縮荷重支えフレーム部と、前記圧縮荷重支えフレーム部から車体後方に向かうにしたがって車体幅方向中心側に湾曲状に張り出されて車体幅方向のいずれか一方に開口する断面略コ字状の曲げ荷重支えフレーム部とを備えた車体前部構造において、
前記曲げ荷重支えフレーム部の断面略コ字状を形成する上下の壁部および側壁部のうち、前記下壁部から前記側壁部に渡って補強用のスチフナが設けられたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記フロントサイドフレームの車体後方にフロアの骨材となるフロアフレームが設けられ、
前記フロアフレームに前記曲げ荷重支えフレーム部の後端部を連結可能とするために、前記曲げ荷重支えフレーム部に、前記フロアフレームに向けて下向きに湾曲形成された部位を有し、
前記湾曲形成された部位に前記補強用のスチフナが設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記補強用のスチフナは、
前記フロントサイドフレームの下方にサブフレームを支持するサブフレーム取付部を備え、
前記サブフレーム取付部は、
前記サブフレームの締結部材を収容可能な空間を備えるためにカップ状に形成され、
前記曲げ荷重支えフレーム部に設けることで、前記空間が閉塞されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記圧縮荷重支えフレーム部の開口部を塞ぐことで閉断面を形成する蓋部材と、
前記フロントサイドフレームの後端部に前記フロアフレームを連結するアダプタと、を備え、
前記補強用のスチフナが、
前記アダプタに結合されるとともに、前記アダプタ近傍において前記曲げ荷重支えフレーム部、前記圧縮荷重支えフレーム部および前記蓋部材に結合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−116004(P2010−116004A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289782(P2008−289782)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】