説明

車体前部構造

【課題】サスペンション支持部における車体剛性を効果的に強化した車体前部構造を提供する。
【解決手段】エンジンルームの側部に設けられ前後方向に略沿って延びるとともに後端部が車室10前端部に接続されたメインフレーム20と、メインフレームに対して車幅方向外側における高い位置に配置され前後方向に略沿って延びたサイドフレーム80と、メインフレームとサイドフレームとの間に設けられかつサスペンションのショックアブソーバ上端部が固定されるサスペンション支持部100とを備える車体前部構造であって、サスペンション支持部の前端部又は後端部に沿って配置されるとともに、一方の端部がサイドフレームに接続され他方の端部がメインフレームの上面部に略全幅にわたって接続されかつメインフレームの車幅方向外側の側面部に略全高にわたって接続された閉断面部S2,S3を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の車体前部構造に関し、特にサスペンション支持部を軽量かつ効果的に補強して操縦安定性を向上するものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば乗用車等の自動車の車体前部構造において、キャビン前方の隔壁であるトーボードからエンジンルームの側部に沿って延びたメインフレーム、及び、カウルトップからフードの両端部に沿って延びたサイドフレームを有する構造がよく知られている。このような車体前部構造において、メインフレームとサイドフレームとの間に、サスペンションのショックアブソーバ上端部を支持するタワー状のサスペンション支持部を設けることが知られている。
【0003】
上述したサスペンション支持部は、ショックアブソーバが発生する減衰力が入力され、またショックアブソーバとスプリングとを略同軸に配置した場合にはスプリング反力も入力される。また、ショックアブソーバをホイール位置決めのための支柱として用いるストラット式サスペンションの場合には、コーナリング時等におけるタイヤ力に起因する入力も受ける。このようなサスペンション支持部が車体の他の部分に対して相対変位すると、サスペンションジオメトリが変化してサスペンション性能が損なわれるため、サスペンション支持部の剛性を向上して走行時の車体変形を低減することが要求される。
【0004】
従来の車体前部構造として、例えば、特許文献1には、サスペンションタワーの下端(メインフレームとの接合部)に結合される補強部材の位置をサスペンションクロスメンバの取付部と合わせた車両のサスペンションタワー取付部構造が記載されている。
また、特許文献2には、サスペンションタワーの前後に沿ってアッパメンバ(サイドフレーム)の側面とサイドメンバ(メインフレーム)とを連結する閉断面部を有するサスペンションタワー構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−65167号公報
【特許文献2】特開平8−26138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された技術では、メインフレームとサイドフレームとの連結方法に連続性がなく結合損失が大きい。また、モーメントが最大となるメインフレームとの接合部が開断面となっていることから、結合剛性を高くすることが困難である。
これに対し、特許文献2に記載された技術はメインフレームの側面とサイドフレームとを閉断面によって連結していることから、特許文献1に記載された技術よりは結合損失を低減できるが、メインフレームの側面部にしか連結されていないことから、メインフレームの断面変形が大きくなって荷重伝達性に劣る。
本発明の課題は、サスペンション支持部における車体剛性を効果的に強化した車体前部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、エンジンルームの側部に設けられ前後方向に略沿って延びるとともに後端部が車室前端部に接続されたメインフレームと、前記メインフレームに対して車幅方向外側における高い位置に配置され前後方向に略沿って延びたサイドフレームと、前記メインフレームと前記サイドフレームとの間に設けられかつサスペンションのショックアブソーバ上端部が固定されるサスペンション支持部とを備える車体前部構造であって、前記サスペンション支持部の前端部又は後端部に沿って配置されるとともに、一方の端部が前記サイドフレームに接続され他方の端部が前記メインフレームの上面部に略全幅にわたって接続されかつ前記メインフレームの車幅方向外側の側面部に略全高にわたって接続された閉断面部を有することを特徴とする車体前部構造である。
ここで、閉断面部は、複数の閉断面部を途中に開断面部を介在させることなく連結した構成としてもよい。
【0008】
請求項2の発明は、前記メインフレームの下部に結合される下部構造部材と、前記メインフレームの前記下部構造部材との結合部に設けられ前記メインフレームの断面変形を抑制する補強部材とを備え、前記閉断面部の前記メインフレーム側の端部は、前記メインフレームにおける前記補強部材が設けられる箇所に接続されることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造である。
請求項3の発明は、前記閉断面部の前記サイドフレーム側の端部は、前記サスペンション支持部の側部に回り込みかつ前記サイドフレームに沿わせて配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)サスペンション支持部の前端部又は後端部に沿って配置されるとともに、一方の端部がサイドフレームに接続され他方の端部がメインフレームの上面部に略全幅にわたって接続されかつメインフレームの車幅方向外側の側面部に略全高にわたって接続された閉断面部を設けたことによって、サスペンション支持部からメインフレーム及びサイドフレームに効率よく荷重を伝達し、サスペンション支持部周辺の車体剛性を効果的に向上できる。特に、閉断面部がメインフレームの上面部の略全幅及び側面部の略全高にわたって接続されることによって、これらの面の中間部分に荷重が集中する変局点が形成されず、メインフレームの断面変形を抑制できる。
また、曲げモーメントが大きくなる閉断面部とメインフレームとの接合箇所において、閉断面部がメインフレームの上面部及び側面部に接合されることによって、閉断面部の断面を確保してメインフレームと閉断面部との転びを防止することができる。
(2)閉断面部のメインフレーム側の端部は、メインフレームにおける補強部材が設けられる箇所に接続されることによって、閉断面部からメインフレームに荷重が伝達された際のメインフレームの断面変形をよりいっそう低減することができる。
また、閉断面部がメインフレームの補強箇所を介してクロスメンバに連結されることによって、サスペンション支持部のクロスメンバに対する相対変位を抑制し、サスペンションジオメトリの変化を防止して走行性能を向上できる。
(3)閉断面部のサイドフレーム側の端部は、サスペンション支持部の側部に回り込みかつサイドフレームに沿わせて配置されることによってサスペンション支持部のサイドフレームに対する支持剛性をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した車体前部構造の実施例における側面視図である。
【図2】実施例の車体前部構造を車幅方向内側(エンジンルーム側)の斜め前方かつ斜め上方から見た斜視図である。
【図3】実施例の車体前部構造を車幅方向外側の斜め後方かつ斜め下方から見た斜視図である。
【図4】図1のIV−IV部矢視断面図である。
【図5】図1のV−V部矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI部矢視断面図である。
【図7】図5のVII−VII部矢視断面図である。
【図8】実施例の車体前部構造におけるサスペンション支持部の分解斜視図である。
【図9】実施例の車体前部構造におけるサスペンション支持部及びクロスメンバのメインフレームへの結合構造を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、サスペンション支持部における車体剛性を効果的に強化した車体前部構造を提供する課題を、サスペンション支持部の前部に沿ってメインフレームの上面及び側面とサイドフレームとを結合する閉断面部を設け、メインフレームへの閉断面部の接合箇所をセパレータによって補強されたクロスメンバの取付箇所と略一致させるとともに、閉断面部のサイドフレーム側の端部をサスペンション支持部の側方へ回りこませる構成によって解決した。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を適用した車体前部構造の実施例について説明する。実施例の車体前部構造は、例えばキャビン前方にエンジンルームを有する乗用車に設けられるものである。
この車両は、キャビン10、メインフレーム20、クロスメンバ30、ロワメンバ40、サスペンションアーム50、ステアリングギアボックス60、スタビライザ装置70、サイドフレーム(アッパフレーム)80、サスペンション支持部100等を備えて構成されている。
【0013】
キャビン10は、乗員が収容される車室である。キャビン10の前端部には、エンジンルームとの間の隔壁であるトーボードが設けられている。
【0014】
メインフレーム20は、キャビン10の前方に設けられるエンジンルームの左右側部に設けられた構造部材である。メインフレーム20は、例えば略矩形状の閉断面を有し、その前半部は車両の前後方向に略沿って延びている。また、メインフレーム20の後半部は、略S字状に屈曲して形成され、トーボード前面からキャビン10の床下面(フロアパネル下面)にかけて、これらに沿わせて形成されている。
【0015】
また、メインフレーム20の内部には、図9等に示すように、パイプナット21、セパレータ22が固定されている。
パイプナット21は、クロスメンバ30を固定するボルトが挿入され締結される管筒である。パイプナット21は、その中心軸を鉛直方向に略沿わせて配置されている。パイプナット21は、例えば前後方向に離間して1対が設けられている。パイプナット21は、メインフレーム20の下面に溶接によって接合されている。
セパレータ22は、各パイプナット21の前後にそれぞれ設けられ、メインフレーム20の内部を前後に仕切る仕切り板である。セパレータ22は、図4に示すように、その上端部及び側端部がメインフレーム20の内面に例えばスポット溶接によって接合されている。セパレータ22は、パイプナット21近傍におけるメインフレーム20の断面変形を抑制する補強部材である。
【0016】
クロスメンバ30は、左右のメインフレーム20の前半部にわたして配置される横梁状の構造部材である。クロスメンバ30の左右両端部は、それぞれ左右のメインフレーム20の下面部に結合される。クロスメンバ30は、メインフレーム20の前半部における下面部から下方へ突き出している。
クロスメンバ30には、後述するようにサスペンションアーム50及びステアリングギアボックス60が装着され、また図示しないエンジン及びトランスミッション等のパワートレーンが弾性体を有するマウントを介して結合される。
【0017】
ロワメンバ40は、メインフレーム20の下側に配置され、車両の前後方向に略沿って配置された梁状の構造部材(サブフレーム)である。
【0018】
サスペンションアーム50は、車体に対して前後方向に略沿った軸周りに揺動可能に取り付けられ、前輪W(図5等参照)を支持する図示しないハウジングの下端部を支持するものである。
【0019】
ステアリングギアボックス60は、例えばラックアンドピニオン機構を備え、図示しないステアリングホイールの回転がステアリングシャフト等を介して入力され、これを車幅方向の往復運動に変換するものである。
【0020】
スタビライザ装置70は、車両の旋回時等に左右前輪のサスペンションが逆相方向へストロークした際に、復元力を発生してロールを抑制するものである。
スタビライザ装置70は、スタビライザバー71、スタビライザブッシュ72、ブラケット73等を備えて構成されている。
【0021】
サイドフレーム80は、キャビン10の前端部隔壁における上部に設けられたバルクヘッドから前方側へ図示しないフードの両端部に沿って延びた梁状の部材である。
【0022】
サスペンション支持部100は、マクファーソンストラット式サスペンションのストラットS(図5等参照)の上端部を支持する部分である。サスペンション支持部100は、メインフレーム20とサイドフレーム80との間に形成されている。ストラットは、コイルスプリング及びその内径側に一部が挿入されたショックアブソーバをユニット化したものであって、その下端部にはハウジングが固定される。
図8に示すように、サスペンション支持部100は、ブラケットアッパ110、ブラケットロワ120、ホイルエプロン130、サイドフレームアッパ140、サイドフレームロワ150、サイドフレームアウタ160、セパレータ170、リインホースアッパ180、リインホースロワ190、リインホースフロント200、リインホースリア210等を備えて構成されている。
これらの各部材は、鋼板をプレス加工して形成され、相互にスポット溶接等によって接合されている。
【0023】
ブラケットアッパ110は、ストラットのトップマウント部が固定される受け面部であって、円環状かつ平板状の取り付け面部の外周縁部を下方へフランジ状に折り曲げて形成されている。取付面部は、ストラットのトップマウント部から上方へ突き出した固定用ボルトが挿入されるボルト孔が例えば3つ、周方向に分散して形成されている。
【0024】
ブラケットロワ120は、ブラケットアッパ110の車幅方向内側の外周縁部とメインフレーム20の車幅方向外側の上端部とを連結する部材である。ブラケットロワ120は、ブラケットアッパ110の前縁部及び後縁部にも回りこんで形成され、水平面で切って見た断面形状は、車幅方向外側が開いた略コの字状となっている。
【0025】
ホイルエプロン130は、ブラケットロワ120の後端部に接合され、前輪Wを収容するホイールハウスの一部を構成する部分である。
【0026】
サイドフレームアッパ140、サイドフレームロワ150、サイドフレームアウタ160は、図5に示すように、協働してブラケットアッパ110の車幅方向外側に車両前後方向に延びた閉断面部S1を形成するものである。この閉断面部S1は、サイドフレーム80の一部を構成する。
サイドフレームアッパ140は、閉断面部S1の上面部及び車幅方向内側の側面部の上部を構成する部分である。
サイドフレームロワ150は、閉断面部S1の下面部及び車幅方向内側の側面部の下部を構成する部分である。
サイドフレームアッパ140及びサイドフレームロワ150の車幅方向内側の端部には、車幅方向内側へ突き出したフランジ部が設けられ、これらのフランジ部は重ね合わせた状態でブラケットアッパ110の上面部に載せられ、スポット溶接によって接合されている。
【0027】
サイドフレームアウタ160は、閉断面部S1の車幅方向外側の側面部を構成する部分である。サイドフレームアウタ160の上端部及び下端部には溶接しろであるフランジが形成され、これらはサイドフレームアッパ140及びサイドフレームロワ150の車幅方向外側の端部にそれぞれ接合されている。
セパレータ170は、サイドフレームアッパ140、サイドフレームロワ150、サイドフレームアウタ160によって形成される閉断面部S1の内部に設けられる仕切り板であって、この閉断面部S1の断面変形を抑制するものである。
【0028】
リインホースアッパ180及びリインホースロワ190は、ブラケットロワ120等と協働してブラケットアッパ110の前側に、メインフレーム20とサイドフレーム80とを連結する閉断面部S2を形成するものである。
リインホースアッパ180は、閉断面部S2の上面部、車幅方向内側の側面部及び前面部の一部を構成する。また、リインホースロワ190は、閉断面部S2の下面部、車幅方向外側の側面部及び前面部の一部を構成する。また、ブラケットロワ120の前面部は、閉断面部S2の後面部を構成する。
【0029】
この閉断面部S2のサイドフレーム80側の端部は、図4に示すように、閉断面部S1の前端部と連続して形成されている。また、閉断面部S2のメインフレーム20側の端部は、メインフレーム20の車幅方向外側の側面部にその全高にわたって接続されている。
【0030】
リインホースフロント200は、図4等に示すように、メインフレーム20の上面部と、これよりも上方に配置された閉断面部S2(リインホースアッパ180)の車幅方向内側の端部とを連結する部材である。リインホースフロント200は、閉断面部S2の車幅方向内側の端部とメインフレーム20の上面部とを連結する閉断面部S3を形成する。
リインホースフロント200は、図4に示すように、車両前方から見た形状が略三角形のガセット状に形成されている。また、リインホースフロント200は、その外周縁部に設けられた溶接しろ(フランジ)部を除く主要部を水平面で切って見た断面形状が、車幅方向外側が開いた略コの字状とされ、上述した閉断面部S3はこの内側に設けられる。
リインホースフロント200は、メインフレーム20の上面部に対してその全幅にわたって接合されている。
【0031】
本実施例においては、このような構成によって、閉断面部S2及び閉断面部S3を連結して構成され、一方の端部がサイドフレーム80に連結され、他方の端部がメインフレーム20の上面部に全幅にわたって接続されかつメインフレーム20の車幅方向外側の側面部に全高にわたって接続された閉断面部が形成される。
【0032】
リインホースリア210は、ブラケットロワ120の後部におけるメインフレーム20との接合部近傍に設けられ、ブラケットロワ120の側面部とメインフレーム20の上面部との間に設けられたガセット状の部材である。リインホースリア210とブラケットロワ120との間には、図6に示すように、閉断面部S4が形成される。
【0033】
ここで、本実施例においては、図9に示すように、リインホースフロント200とメインフレーム20との接合箇所、及び、リインホースリア210とメインフレーム20との接合箇所を、上述したメインフレーム20とセパレータ22との接合箇所と一致させている。すなわち、リインホースフロント200の前側及び後側の接合箇所は、前側のパイプナット21の前後に配置されたセパレータ22の上端部と重ねて配置されている。また、リインホースリア210の前側及び後側の接合箇所は、後側のパイプナット21の前後に配置されたセパレータ22の上端部と重ねて配置されている。
【0034】
これらの接合箇所においては、各リインホース200,210及びセパレータ22のフランジ部でメインフレーム20の上面部を挟みこんでスポット溶接を行い、これらを接合している。
このような構成とすることによって、本実施例では、閉断面部S1を含むサイドフレーム80から閉断面部S2、S3を経由してメインフレーム20に連結され、さらにここからクロスメンバ30まで連結された強固な構造体が形成される。
【0035】
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)サスペンション支持部100の前端部に沿って配置され、一方の端部がサイドフレーム80に接続され他方の端部がメインフレーム20の上面部に全幅にわたって接続されかつメインフレーム20の車幅方向外側の側面部に全高にわたって接続された閉断面部S2,S3を設けたことによって、サスペンション支持部100からメインフレーム20及びサイドフレーム80に効率よく荷重を伝達し、サスペンション支持部100周辺の車体剛性を効果的に向上できる。特に、閉断面部S2,S3がメインフレーム20の上面部全幅及び側面部全高にわたって接続されることによって、これらの面の中間部分に荷重が集中する変局点が形成されず、メインフレーム20の断面変形を抑制できる。
また、曲げモーメントが大きくなる閉断面部S2とメインフレーム20との接合箇所において、閉断面部S2がメインフレーム20の側面に接合されるとともに、閉断面部S2と連結された閉断面部S3がメインフレーム20の上面に接合されることによって、閉断面部S2,S3の断面を確保してメインフレーム20と閉断面部S2,S3との転びを防止することができる。
(2)閉断面部S2,S3のメインフレーム20側の端部は、メインフレーム20におけるセパレータ22が設けられる箇所に接続されることによって、閉断面部S2,S3からメインフレーム20に荷重が伝達された際のメインフレーム20の断面変形をよりいっそう低減することができる。
また、閉断面部S2,S3がメインフレーム20の補強箇所を介してクロスメンバ30に連結されることによって、サスペンション支持部100のクロスメンバ30に対する相対変位を抑制し、サスペンションジオメトリの変化を防止して走行性能を向上できる。
(3)閉断面部S2のサイドフレーム80側の端部は、サスペンション支持部100の側部に設けられかつサイドフレーム80に沿わせて配置された閉断面部S1と連続して形成されることによってサスペンション支持部100のサイドフレーム80に対する支持剛性をさらに向上できる。
【0036】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車体前部構造における詳細な構成、各部材の形状や構造(パネル組等)は上述した実施例に限定されず、適宜変更することができる。
(2)実施例ではサスペンション支持部の前側に沿ってサイドフレームとメインフレームを連結する閉断面部を設けているが、これに限らず、サスペンション支持部の後側に設けてもよい。さらに、サスペンション支持部の前後に設けてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 キャビン 20 メインフレーム
30 クロスメンバ 40 ロワメンバ
50 サスペンションアーム 60 ステアリングギアボックス
70 スタビライザ装置 71 スタビライザバー
72 スタビライザブッシュ 73 ブラケット
80 サイドフレーム 100 サスペンション支持部
110 ブラケットアッパ 120 ブラケットロワ
130 ホイルエプロン 140 サイドフレームアッパ
150 サイドフレームロワ 160 サイドフレームアウタ
170 セパレータ 180 リインホースアッパ
190 リインホースロワ 200 リインホースフロント
210 リインホースリア
S ストラット W 前輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの側部に設けられ前後方向に略沿って延びるとともに後端部が車室前端部に接続されたメインフレームと、
前記メインフレームに対して車幅方向外側における高い位置に配置され前後方向に略沿って延びたサイドフレームと、
前記メインフレームと前記サイドフレームとの間に設けられかつサスペンションのショックアブソーバ上端部が固定されるサスペンション支持部と
を備える車体前部構造であって、
前記サスペンション支持部の前端部又は後端部に沿って配置されるとともに、一方の端部が前記サイドフレームに接続され他方の端部が前記メインフレームの上面部に略全幅にわたって接続されかつ前記メインフレームの車幅方向外側の側面部に略全高にわたって接続された閉断面部を有すること
を特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記メインフレームの下部に結合される下部構造部材と、
前記メインフレームの前記下部構造部材との結合部に設けられ前記メインフレームの断面変形を抑制する補強部材とを備え、
前記閉断面部の前記メインフレーム側の端部は、前記メインフレームにおける前記補強部材が設けられる箇所に接続されること
を特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記閉断面部の前記サイドフレーム側の端部は、前記サスペンション支持部の側部に回り込みかつ前記サイドフレームに沿わせて配置されること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−247599(P2010−247599A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97654(P2009−97654)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】