説明

車体結合構造

【課題】ボディーパネル同士の結合工程の簡素化及び部品点数の削減による低コスト化を両立させることができる車体結合構造を得る。
【解決手段】ルームパーテションパネル10の上端部10Aが車両後方側へ折り曲げられると共に、アッパバックパネル12の前端部12Aが鉤状に車両下方側及び車両前方側へ折り曲げられることにより、レーザー溶接が可能な二面合わせの閉断面部18が形成されている。この閉断面部18の車両幅方向外側にはリヤサスペンションタワー20が配置されており、当該リヤサスペンションタワー20と閉断面部18の長手方向の端部とが、ストレーナ22の水平部22Bに一体に形成された三角形状の連結支持面26によって連結及び支持されている。従って、連結支持面26がバルクヘッドとしての役目を発揮し、断面崩れを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー溶接を利用した車体結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、左右のリヤサスペンションタワー間を車両幅方向に延在する閉断面部で結合した車体結合構造が開示されている。具体的には、ルームパーテションパネルの上端部側にアッパバック用リインフォースをスポット溶接で結合することにより、この部分に車両幅方向に延在する閉断面部を形成し、かかる閉断面部を介して左右のリヤサスペンションタワーを結合するようになっている。
【0003】
しかしながら、上記先行技術による場合、ルームパーテションパネルの上端部とアッパバック用リインフォースとをスポット溶接する構成であるため、溶接ガンを挿入するための作業穴をアッパバック用リインフォースに設けておく必要がある。このため、作業穴を設ける工程が増える分、コストアップに繋がると共に、剛性確保のための閉断面部に作業穴を形成すると、その分剛性が低下するという不利がある。特に、作業穴が閉断面部の稜線に跨る場合には、剛性低下量が更に増加する。
【0004】
この問題を解決するためには、スポット溶接に替えてボルト締結構造にすることも考えられるが、ボルト締結構造にする場合には、部品点数が増える他、ウエルドナットを予めパネルに溶接しておく工程やボルト締めする工程が増えるため、コストアップを招く。
【0005】
以上の問題を同時に解決するためには作業穴を必要としないレーザー溶接する方法があるが、特許文献1の板組みを採る場合、閉断面部の上下のレーザー溶接面が略平行な位置関係にあるため、一面合わせ(一方向合わせ)のレーザー溶接となる。しかし、レーザー溶接はレーザー溶接面をローラで加圧しながら溶接していく溶接方法であるため、閉断面部の上辺と下辺との長さにバラツキがあると、ローラで隙間を詰めた際に後側のアッパバック用リインフォースが逃げてしまい、溶接できないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2には、ルームパーテションパネルの上端部とアッパバックパネルの前端部とをレーザー溶接することにより、車両幅方向に延在する閉断面構造のチャンネル部を設け、更にチャンネル部内の所定位置にバルクヘッドを予めスポット溶接しておく構成が開示されている。この先行技術によれば、二面合わせのレーザー溶接となるため、溶接相手が逃げるという問題は解消される。
【0007】
しかしながら、この先行技術による場合、アッパバックパネルに車両前後方向に延びるビードを形成し、このビードと連続するようにアッパバックパネルの前端部に別部品であるバルクヘッドをスポット溶接にて予め接合しておく構成であるため、部品点数が増加すると共に組付工数も増加し、二面合わせによるレーザー溶接を採用したメリットが減殺される。
【特許文献1】特開平8−276865号公報
【特許文献2】特開2004−291771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、ボディーパネル同士の結合工程の簡素化及び部品点数の削減による低コスト化を両立させることができる車体結合構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明に係る車体結合構造は、第1ボディーパネルの端部と第2ボディーパネルの端部とを接合することにより長尺状の閉断面部が形成される車体結合構造であって、第1ボディーパネルと第2ボディーパネルとの第1接合面の接合方向と第1ボディーパネルと第2ボディーパネルの第2接合面の接合方向とが交差するように第1接合面及び第2接合面の向きが設定されると共に、前記閉断面部の長手方向の端部側に配置された第3ボディーパネルに、当該閉断面部側へ延設されて閉断面部の内側面に接合されると共に第1ボディーパネルが閉断面部の内方側へ変位するのを抑制する延設部を設けた、ことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の車体結合構造において、キャビンとラッゲージルームとを隔成するルームパーテションパネルの上端部と当該ルームパーテションパネルの上端部の車両後方側に略水平に配置されるアッパバックパネルの前端部とをそれぞれ折り曲げて接合することにより、左右のリヤサスペンションタワーを連結可能な位置に車両幅方向に沿って延在する閉断面部が形成される車体結合構造であって、前記ルームパーテションパネルの上端部とアッパバックパネルとが接合される第1接合面の接合方向と、前記アッパバックパネルの前端部とルームパーテションパネルとが接合される第2接合面の接合方向とが交差するように、第1接合面及び第2接合面の向きが設定されると共に、リヤサスペンションタワーとルームパーテションパネルの車両幅方向外側の端部とを連結するストレーナに、リヤサスペンションタワーの上面部に略水平に接合される水平部及びこの水平部から車両上方側へ折り曲げられてルームパーテションパネルの上端部に接合されて閉断面部を支持する連結支持面を設けた、ことを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2記載の車体結合構造において、請求項1記載の第3ボディーパネルに設けられた延設部又は請求項2記載のストレーナに設けられた連結支持面は、閉断面部をその長手方向に対して直交する方向で切断したときの断面積が徐変するように傾斜されている、ことを特徴としている。
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、第1ボディーパネルの端部と第2ボディーパネルの端部とを接合することにより、長尺状の閉断面部が形成される。
【0013】
ここで、本発明では、第1ボディーパネルと第2ボディーパネルとの第1接合面の接合方向と第1ボディーパネルと第2ボディーパネルの第2接合面の接合方向とが交差するように第1接合面及び第2接合面の向きが設定されているので、双方の接合面の方向が平行になる一面合わせではなく、双方の接合面の方向が交差する二面合わせの結合構造となる。このため、ローラで接合面を加圧しながら溶接するレーザー溶接を実施しても、接合相手となる部材が加圧方向へ逃げることはない。従って、スポット溶接やボルト接合に依らず、レーザー溶接を使うことができるので、作業工程が削減される。
【0014】
また、閉断面部の長手方向の端部側には第3ボディーパネルが配置されており、当該第3ボディーパネルに閉断面部側へ延設されて閉断面部の内側面に接合される延設部を設けたので、第1ボディーパネルが閉断面部の内方へ変位するのが抑制される。つまり、第3ボディーパネルに設けた延設部が、従来の別部品で配置されるバルクヘッドとしての機能を果たす。従って、別部品でバルクヘッドを配設する従来の車体結合構造に比べて、部品点数が削減される。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、キャビンとラッゲージルームとを隔成するルームパーテションパネルの上端部と当該ルームパーテションパネルの上端部の車両後方側に略水平に配置されるアッパバックパネルの前端部とをそれぞれ折り曲げて接合することにより、左右のリヤサスペンションタワーを連結可能な位置に車両幅方向に沿って延在する閉断面部が形成される。
【0016】
ここで、本発明では、ルームパーテションパネルの上端部とアッパバックパネルとが接合される第1接合面の接合方向と、アッパバックパネルの前端部とルームパーテションパネルとが接合される第2接合面の接合方向とが交差するように、第1接合面及び第2接合面の向きが設定されているので、双方の接合面の方向が平行になる一面合わせではなく、双方の接合面の方向が交差する二面合わせの結合構造となる。このため、ローラで接合面を加圧しながら溶接するレーザー溶接を実施しても、接合相手となる部材が加圧方向へ逃げることはない。従って、スポット溶接やボルト接合に依らず、レーザー溶接を使うことができるので、作業工程が削減される。
【0017】
また、リヤサスペンションタワーとルームパーテションパネルの車両幅方向外側の端部とを連結するストレーナに、リヤサスペンションタワーの上面部に略水平に接合される水平部及びこの水平部から車両上方側へ折り曲げられてルームパーテションパネルの上端部に接合されて閉断面部を支持する連結支持面を設けたので、閉断面部の断面変形が抑制される。つまり、ストレーナに設けた連結支持面が、従来の別部品で配置されるバルクヘッドとしての機能を果たす。従って、別部品でバルクヘッドを配設する従来の車体結合構造に比べて、部品点数が削減される。
【0018】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1記載の延設部又は請求項2記載の連結支持面が、閉断面部をその長手方向に対して直交する方向で切断したときの断面積が徐変するように傾斜されているので、閉断面部の断面積が急変することはない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車体結合構造は、ボディーパネル同士の結合工程の簡素化及び部品点数の削減による低コスト化を両立させることができるという優れた効果を有する。
【0020】
請求項2記載の本発明に係る車体結合構造は、ボディーパネル同士(ルームパーテションパネルとアッパバックパネルと)の結合工程の簡素化及び部品点数(バルクヘッド等)の削減による低コスト化を両立させることができるという優れた効果を有する。
【0021】
請求項3記載の本発明に係る車体結合構造は、閉断面部の断面積が急変するのを回避したので、荷重の入力に対して折れ難いという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、図1及び図2を用いて、本発明に係る車体結合構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0023】
図1には、本発明が適用されたリヤサスペンションタワー周りの車体結合構造の全体斜視図が示されている。また、図2には、図1の2−2線に沿った縦断面図が拡大して示されている。これらの図に示されるように、キャビンとラッゲージルームとの間には両者を仕切る第1ボディーパネルとしてのルームパーテションパネル10が所定角度傾斜した状態で配設(立設)されている。ルームパーテションパネル10の上端部10Aは、一般部10Bに対して車両後方側へ向けて所定角度折り曲げられている。なお、ルームパーテションパネル10の下端部10Dは、図示しないリヤフロアパネルに結合されている。
【0024】
一方、ルームパーテションパネル10の上端部10Aの車両後方側には、第2ボディーパネルとしてのアッパバックパネル12が略水平に配置されている。アッパバックパネル12の前端部12Aは車両下方かつ車両前方側へ向けて鉤状に折り曲げられている。具体的には、アッパバックパネル12の一般部12Fの前端部には車両下方側へ向けて若干屈曲された狭幅の屈曲部12Bが形成されており、更に屈曲部12Bの前端部から車両下方側へ向けて所定角度折り曲げられた後壁部12C(図2参照)が形成されている。後壁部12Cの下端部は更に車両前方側へ折り曲げられて下壁部12D(図2参照)とされており、下壁部12Dの前端部が車両下方側へ向けて若干屈曲されて端末部12Eとされている。
【0025】
上述したアッパバックパネル12の屈曲部12Bにルームパーテションパネル10の上端部10Aの先端部が当接されると共に、アッパバックパネル12の端末部12Eにルームパーテションパネル10の一般部10Bが当接された状態で、前者の当接面を第1接合面14(図2も参照)とし、又後者の当接面を第2接合面16(図2も参照)として、レーザー溶接によって溶接されることにより、ルームパーテションパネル10とアッパバックパネル12とが結合されている。なお、図1にレーザー溶接線を実線Pで示す。
【0026】
このとき、図2に示されるように、第1接合面14の接合方向α(ルームパーテションパネル10の上端部10Aの傾斜方向と同じである。)と第2接合面16の接合方向β(ルームパーテションパネル10の一般部10Bの傾斜方向と同じである。)とは平行にはならず、交差する方向とされており、このため二面合わせによるレーザー溶接が実施されるようになっている。
【0027】
上記構成により、ルームパーテションパネル10の上端部10A及び一般部10Bの上部とアッパバックパネル12の前端部12Aとで、車両幅方向に沿って延在する閉断面部18が形成されている。
【0028】
一方、図1に戻り、閉断面部18の長手方向の両端部側には、左右一対のリヤサスペンションタワー20が配置されている。リヤサスペンションタワー20の上面部20Aは通常のリヤサスペンションタワーよりも高い位置に配置されており、この実施形態では概ね閉断面部18の高さ方向中間部付近に配置されている。このリヤサスペンションタワー20とルームパーテションパネル10の車両幅方向の外側の端部10Cとは直接結合されるのではなく、第3ボディーパネルとしてのストレーナ22を介して連結されている。
【0029】
具体的には、ストレーナ22は、ルームパーテションパネル10の一般部10Bの延長上(略同一平面上)に位置して、リヤサスペンションタワー20の縦壁20Bの側面及びリヤホイールハウスインナ24の内側面並びにルームパーテションパネル10の車両幅方向外側の端部10Cに接合される本体部22Aと、ルームパーテションパネル10の一般部10Bと上端部10Aとの折れ線の位置から車両後方側へ折り曲げられて略水平に配置されリヤサスペンションタワー20の上面部20Aにスポット溶接される水平部22Bと、を含んで構成されている。
【0030】
ストレーナ22の水平部22Bの車両幅方向内側の端部には、側面視で三角形状とされた延設部としての連結支持面26が一体に形成されている。この連結支持面26は、車両正面視で斜め内側へ傾斜した状態となるように折り曲げられており、前側斜辺26C、後側斜辺26D、底辺26Eの三辺を有している。前側斜辺26Cからは更に車両幅方向へ折り曲げられた端末部26Aが形成されており、かかる端末部26Aがルームパーテションパネル10の上端部10Aの車両幅方向外側の端部10Cの裏面側に当接されてレーザー溶接により接合されている。なお、後側斜辺26D及び水平部22Bの後端側にも車両上方側へ折り曲げられた端末部26Bが形成されており、かかる端末部26Bはアッパバックパネル12の車両幅方向外側に隣接して配置される別のボディーパネル28に接合されている。
【0031】
上記結合構造とされることにより、ストレーナ22の連結支持面26が閉断面部18の車両幅方向外側に稜線Qを折ることなく隣接(連続)して配置され、閉断面部18を構成するルームパーテションパネル10の上端部10A側の車両幅方向外側の端部10Cを支える構造になっている。また、ストレーナ22と閉断面部18が斜め上方内側に傾斜した連結支持面26を介して連結されることにより、閉断面部18の断面積がストレーナ22との接合面で急変するのではなく、徐々に減少する徐変構造となっている。
【0032】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0033】
上記構成の本実施形態では、ルームパーテションパネル10の上端部10Aを車両後方側へ向けて折り曲げると共に、アッパバックパネル12の前端部12Aを屈曲部12Bを介して車両下方側及び車両前方側へ折り曲げて端末部12Eをルームパーテションパネル10の一般部10Bに当接させる構成を採ったので、閉断面部18の上端部側となる第1接合面14の接合方向αと閉断面部18の下端部側となる第2接合面16の接合方向βとが平行ではなく交差する二面合わせの結合構造となる。従って、ローラで接合面を加圧しながら溶接していくレーザー溶接を実施しても、接合相手となるアッパバックパネル12が加圧方向へ逃げることはない。従って、従来のようにスポット溶接をする場合の作業穴を設ける工程が不要となり、ボルト接合する場合のウエルドナットの溶接工程及びボルト締結工程が不要となる。その結果、ルームパーテションパネル10とアッパバックパネル12との接合に要する作業工程を削減することができる。また、ボルト接合する場合の部品点数の増加も生じない。
【0034】
また、本実施形態では、リヤサスペンションタワー20とルームパーテションパネル10の車両幅方向外側の端部10Cとを連結するストレーナ22に、リヤサスペンションタワー20の上面部20Aに略水平に接合される水平部22B及びこの水平部22Bから車両斜め上方内側へ折り曲げられてルームパーテションパネル10の上端部10A側の車両幅方向の外側の端部10Cに接合されて閉断面部18を支持する連結支持面26を一体に設けたので、レーザー溶接時等に閉断面部18が断面変形することが抑制される。つまり、ストレーナ22に設けた連結支持面26が、従来の別部品で配置されるバルクヘッドとしての機能を果たす。従って、別部品でバルクヘッドを配設する従来の車体結合構造に比べて、部品点数が削減される。
【0035】
以上を総括すると、本実施形態に係る車体結合構造によれば、ボディーパネル同士(ルームパーテションパネル10とアッパバックパネル12と)の結合工程の簡素化及び部品点数(バルクヘッド等)の削減による低コスト化を両立させることができる。
【0036】
さらに、上記構成の本実施形態では、連結支持面26が垂直面ではなく車両正面視で車両斜め上方内側へ傾斜した状態で配置されて閉断面部18に接合されるので、閉断面部18をその長手方向に対して直交する方向で切断したときの断面積が急変することはなく、徐々に減少する。換言すれば、本実施形態によれば、閉断面部18の断面積が急変するのを回避することができる。従って、荷重の入力に対して折れ難いという利点がある。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、図3及び図4を用いて、本発明に係る車体結合構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0038】
図3及び図4に示されるように、この第2実施形態に係る車体結合構造では、第1ボディーパネルとしてのルームパーテションパネル30の一般部30Aが、第2ボディーパネルとしてのアッパバックパネル32の高さまで延在されており、そのためルームパーテションパネル30の上端部30Bは車両後方側へ略水平に折り曲げられている。これに対応して、アッパバックパネル32も一般部32Aの前端から屈曲部を設けることなく、車両下方側へ折り曲げられた後、車両前方側へ折り曲げられて、先端部に端末部32Bが形成されている。なお、前端部32Cの後壁部32D(図4参照)はルームパーテションパネル30の一般部30Aと平行に配置されており、又前端部32Cの下壁部32E(図4参照)はルームパーテションパネル30の上端部30Bと平行に配置されている。従って、閉断面部34の断面形状は、平行四辺形とされている。
【0039】
一方、第3ボディーパネルとしてのストレーナ36の水平部36Aの車両幅方向内側には、側面視で矩形状とされた延設部としての連結支持面38が車両斜め上方内側へ傾斜した状態で延設されている。そして、この連結支持面38の車両幅方向内側の端部に形成された端末部38Aが、ルームパーテションパネル30の上端部30Bの下面側に入り込み、レーザー溶接によって接合されている。
【0040】
このようなルームパーテションパネル30とアッパバックパネル32との板組みを採用しても二面合わせになりレーザー溶接の実施が可能となる。また、この場合、連結支持面38が三角形状ではなく矩形状とされるが、閉断面部34の断面崩れを抑制するバルクヘッドとしての機能を発揮するため、前述した第1実施形態と同様の作用並びに効果が得られる。
【0041】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上述した第1及び第2実施形態では、左右一対のリヤサスペンションタワー20周りの車体結合構造に対して本発明を適用したが、これに限らず、本発明が解決しようとする課題と同じ課題を有する部位であれば本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態に係る車体結合構造の全体構成を車両前方側から観て示す全体斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿って閉断面部を切断したときの縦断面図である。
【図3】第2実施形態に係る車体結合構造の全体構成を車両前方側から観て示す全体斜視図である。
【図4】図3の4−4線に沿って閉断面部を切断したときの縦断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ルームパーテションパネル(第1ボディーパネル)
10A 上端部
10C 車両幅方向外側の端部
12 アッパバックパネル(第2ボディーパネル)
12A 前端部
14 第1接合面
16 第2接合面
18 閉断面部
20 リヤサスペンションタワー
20A 上面部
22 ストレーナ(第3ボディーパネル)
22A 水平部
26 連結支持面(延設部)
30 ルームパーテションパネル(第1ボディーパネル)
30A 上端部
32 アッパバックパネル(第2ボディーパネル)
32C 前端部
34 閉断面部
36 ストレーナ(第3ボディーパネル)
38 連結支持面(延設部)
α 第1接合面の接合方向
β 第2接合面の接合方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ボディーパネルの端部と第2ボディーパネルの端部とを接合することにより長尺状の閉断面部が形成される車体結合構造であって、
第1ボディーパネルと第2ボディーパネルとの第1接合面の接合方向と第1ボディーパネルと第2ボディーパネルの第2接合面の接合方向とが交差するように第1接合面及び第2接合面の向きが設定されると共に、
前記閉断面部の長手方向の端部側に配置された第3ボディーパネルに、当該閉断面部側へ延設されて閉断面部の内側面に接合されると共に第1ボディーパネルが閉断面部の内方側へ変位するのを抑制する延設部を設けた、
ことを特徴とする車体結合構造。
【請求項2】
キャビンとラッゲージルームとを隔成するルームパーテションパネルの上端部と当該ルームパーテションパネルの上端部の車両後方側に略水平に配置されるアッパバックパネルの前端部とをそれぞれ折り曲げて接合することにより、左右のリヤサスペンションタワーを連結可能な位置に車両幅方向に沿って延在する閉断面部が形成される車体結合構造であって、
前記ルームパーテションパネルの上端部とアッパバックパネルとが接合される第1接合面の接合方向と、前記アッパバックパネルの前端部とルームパーテションパネルとが接合される第2接合面の接合方向とが交差するように、第1接合面及び第2接合面の向きが設定されると共に、
リヤサスペンションタワーとルームパーテションパネルの車両幅方向外側の端部とを連結するストレーナに、リヤサスペンションタワーの上面部に略水平に接合される水平部及びこの水平部から車両上方側へ折り曲げられてルームパーテションパネルの上端部に接合されて閉断面部を支持する連結支持面を設けた、
ことを特徴とする車体結合構造。
【請求項3】
請求項1記載の第3ボディーパネルに設けられた延設部又は請求項2記載のストレーナに設けられた連結支持面は、閉断面部をその長手方向に対して直交する方向で切断したときの断面積が徐変するように傾斜されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−307993(P2007−307993A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138289(P2006−138289)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】