説明

車室内清掃システム

【課題】乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つ。
【解決手段】本発明の車室内清掃システム10は、車両12の停車状態を検出するためのイグニッションスイッチ64と、車室内に設けられたインストルメントパネル18に向けて空気を送出可能な送風ユニット14と、車室内の空気を吸引可能な空調装置16と、イグニッションスイッチ64によって車両の停車状態が検出された場合に送風ユニット14から空気を送出させると共に空調装置16によって車室内の空気を吸引させるためのECU72と、を備える。送風ユニット14から空気を送出してインストルメントパネル18の表面に付着している埃を吹き飛ばし、この埃を空調装置16で吸引することで車室内の清掃作業を行うことができ、しかも、この清掃作業は、車両が停車状態にあるときに自動的に行われる。従って、乗員が車室内の清掃作業を自ら行う必要が無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内清掃システムに係り、特に車室内の空気を吸引して車室内を清掃可能な構成を備えた車室内清掃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車室内清掃システムとしては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、掃除機能を有した自動車用空調装置の例が開示されている。この特許文献1に記載の例では、空調装置の車室内吸入口にゴミ吸引ユニットが接続されている。そして、空調装置のファンが回転されると、ゴミ吸引ユニットからゴミが吸い込まれ、このゴミが空調装置の排風用ダクトから車室外等に排出されるようになっている。
【特許文献1】実開昭62−64615号公報
【特許文献2】実開昭61−171659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、車室内の清掃を行うためには乗員が吸引ユニットを自ら操作する必要があり、車室内の清掃作業が煩わしいという不都合がある。従って、乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つことができるようにするためには改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つことができる車室内清掃システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車室内清掃システムは、車両の停車状態を検出するための停車状態検出手段と、車室内に設けられた車室部材に向けて空気を送出可能な送風手段と、車室内の空気を吸引可能な吸引手段と、前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合に前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させるための制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の車室内清掃システムでは、停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合には、制御手段の作動に伴って送風手段から車室部材に向けて空気が送出される。従って、車室部材の表面に例えば埃が付着していた場合には、この埃を送風手段から送出された空気によって車室部材の表面から吹き飛ばして除去することができる。
【0007】
また、このときには制御手段の作動に伴って車室内の空気が吸引手段に吸引される。従って、送風手段から送出された空気によって車室部材の表面から埃が吹き飛ばされて除去された場合でも、この埃を車室内の空気と一緒に吸引手段によって吸引することで車室内から排除することができる。これにより、車室部材の表面から除去された埃が再び車室部材の表面に付着することを抑制することができる。
【0008】
しかも、この一連の車室内の清掃作業は、上述の如く車両が停車状態にあるときに自動的に行われる。従って、乗員が車室内の清掃作業を自ら行う必要が無い。
【0009】
このように、請求項1に記載の車室内清掃システムによれば、乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つことができる。
【0010】
請求項2に記載の車室内清掃システムは、請求項1に記載の車室内清掃システムにおいて、前記吸引手段は、車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃を埃除去手段によって除去する内部循環動作を行い得る空調装置とされ、前記制御手段は、前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合に前記空調装置を内部循環動作するように作動させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の車室内清掃システムによれば、停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合には、制御手段によって制御されることによって吸引手段としての空調装置が内部循環動作するように作動され、車室内の空気が空調装置に吸引される。
【0012】
ここで、空調装置は、内部循環動作時には車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃を埃除去手段によって除去する構成とされている。従って、送風手段から送出された空気によって車室部材の表面から埃が吹き飛ばされて除去された場合でも、この埃を車室内の空気と一緒に空調装置によって吸引し埃除去手段によって除去することで車室内から排除することができる。これにより、車室部材の表面から除去された埃が再び車室部材の表面に付着することをより一層抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の車室内清掃システムは、請求項2に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段は、前記空調装置からの空調風を前記車室部材に向けて送出可能な構成とされている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の車室内清掃システムによれば、送風手段は、空調装置からの空調風を車室部材に向けて送出可能な構成とされている。従って、送風手段自体が空気を送出するための送風装置(例えば、ファンモータ等)を備える必要が無いので、送風手段の構成を簡素化することができる。
【0015】
請求項4に記載の車室内清掃システムは、請求項3に記載の車室内清掃システムにおいて、前記空調装置は、空調風の全てを前記送風手段に供給可能な構成とされている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の車室内清掃システムによれば、空調装置は、空調風の全てを送風手段に供給可能な構成とされている。従って、送風手段から車室部材に向けて送出される空気の風量を増加させることができるので、車室部材の表面からの埃の除去性能を向上させることができ、ひいては、車室内の清掃能力を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段は、車室天井部に空気送出口を有する構成とされている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の車室内清掃システムによれば、送風手段は、車室天井部に空気送出口を有する構成とされている。従って、車室天井部のスペースを送風手段の空気送出口を配置するために有効に活用することができると共に、車室天井部から車室部材に向けて効果的に空気を送出することができる。
【0019】
請求項6に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段は、空気送出口に向かうに従って狭まる空気送出通路を有する構成とされている、ことを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の車室内清掃システムによれば、送風手段の空気送出通路は、空気送出口に向かうに従って狭まる構成とされている。従って、空気送出口から車室部材に向けて送出される空気の風速を高めることができるので、車室部材の表面からの埃の除去性能を向上させることができ、ひいては、車室内の清掃能力を向上させることができる。
【0021】
請求項7に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段は、前記車室部材としてのインストルメントパネルに向けて空気を送出可能な構成とされている、ことを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の車室内清掃システムによれば、送風手段は、車室部材としてのインストルメントパネルに向けて空気を送出可能な構成とされている。従って、インストルメントパネルの表面に例えば埃が付着していた場合には、この埃を送風手段から送出された空気によってインストルメントパネルの表面から吹き飛ばして除去することができる。
【0023】
特に、インストルメントパネルの表面に例えば埃が付着していた場合には、車室内外の光等が埃で反射する虞があるが、この埃を除去することで、車室内外の光等が埃で反射することを抑制することができる。
【0024】
請求項8に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段から送出される空気の送出方向を変更するための送風方向変更手段を備えた、ことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の車室内清掃システムによれば、送風方向変更手段によって送風手段から送出される空気の送出方向を変更することができる。従って、車室部材が大きい場合でも、送風手段から車室部材の広い範囲に向けて空気を送出することができるので、この車室部材の表面全体に付着した埃をより一層除去することができる。
【0026】
請求項9に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記制御手段は、前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させる車室内清掃モードと、車室内の清掃を禁止する清掃禁止モードとを取り得るように構成され、前記制御手段の動作モードを選択するための選択手段を備えた、ことを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の車室内清掃システムによれば、選択手段によって制御手段の動作モードが清掃禁止モードに選択された場合には、車室内の清掃が禁止される。一方、選択手段によって制御手段の動作モードが車室内清掃モードに選択された場合には、車室内の清掃が実行される。従って、乗員が選択手段によって制御手段の動作モードを車室内清掃モードと清掃禁止モードとに任意に選択することができるので、乗員が意図に合った操作を行うことができる。
【0028】
請求項10に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、車室内の乗員の有無を検出する乗員検出手段を備え、前記制御手段は、前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出され且つ前記乗員検出手段によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させる、ことを特徴とする。
【0029】
請求項10に記載の車室内清掃システムによれば、停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出されたことに加えて乗員検出手段によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に車室内の清掃作業が行われる。従って、乗員が車室内にいるときに清掃作業が行われることを回避することができる。
【0030】
請求項11に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段から送出される空気に芳香を付与するための芳香手段が取付可能とされている、ことを特徴とする。
【0031】
請求項11に記載の車室内清掃システムによれば、送風手段から送出される空気に芳香を付与するための芳香手段が取付可能とされている。従って、芳香手段が取付られた場合には、送風手段から送出される空気に芳香を付与することができるので、これにより、清掃後の車室内をより一層快適な状態とすることができる。
【0032】
請求項12に記載の車室内清掃システムは、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車室内清掃システムにおいて、前記送風手段に着脱可能に構成された送風ホースを備えた、ことを特徴とする。
【0033】
請求項12に記載の車室内清掃システムによれば、送風ホースを送風手段に取り付けたときには、この送風ホースの空気排出口から車室部材の任意の位置に空気を送出することができる。従って、車室部材において送風手段から空気が届きにくい箇所に付着した埃も除去することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上詳述したように、本発明によれば、乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の車室内清掃システムの一実施形態について説明する。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10が搭載された車両12が側面断面図にて示されており、図2A,図2B,図3,図4には、車室内清掃システム10に備えられた送風ユニット14の構成が示されている。
【0037】
なお、これらの図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車室内清掃システム10が搭載された車両12の車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側をそれぞれ示している。
【0038】
本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10は、例えば、乗用自動車等の車両12に好適に搭載されるものであり、図1に示されるように、送風手段としての送風ユニット14と、吸引手段としての空調装置16とを備えている。
【0039】
送風ユニット14は、空調装置16からの空調風を車室部材としてのインストルメントパネル18に向けて送出するためのものであり、ユニット本体部20と、連結ダクト22とを備えている。ユニット本体部20は、車室天井部24に設けられており、図2A,図2Bに示されるように、デフロスタ26とケース28とを備えている。
【0040】
デフロスタ26は、車両幅方向に延在する円柱状に構成されており、車両幅方向に延びる回転軸30によってケース28の下流側に回転可能に取り付けられている。デフロスタ26の内部には、図3に示されるように、空間部32が形成されており、この空間部32には、車両幅方向に延在する複数のフィン34が互いに平行な状態に並列されて配置されている。また、デフロスタ26には、上述のケース28の内部の空間部32と連通する空気取入口36と、車室内と連通する空気送出口38が開口されている。
【0041】
ケース28は、図2に示されるように、デフロスタ26側(すなわち空気の流れの方向の下流側)に向かうに従って拡径する筒状に構成されている。ケース28のデフロスタ26に対する反対側には、接続部40が形成されており、この接続部40は、連結ダクト22を介して後述する空調装置16と連結されている。なお、連結ダクト22は、車室天井部24及び図示しないAピラー部の内部を通じて接続部40から空調装置16へ配索されている。
【0042】
また、この送風ユニット14では、図4に示されるように、芳香手段としての芳香カートリッジ42と、可撓性を有する送風ホース44とが接続部40に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0043】
つまり、上述の接続部40には、図4に示されるように、上面部40Aに第一取付孔46が形成され、下面部40Bに第二取付孔48が形成されている。また、下面部40Bには、車室側に回動可能なドア50が設けられており、第二取付孔48は、ドア50によって開閉可能とされている。
【0044】
芳香カートリッジ42は、例えばフィトンチッド含有成分を半透膜で包んで構成された芳香部52と、第一取付孔46と嵌合される板状の第一取付部54とを備えている。そして、この芳香カートリッジ42は、車室側から第二取付孔48を介して接続部40の内部に挿入され、第一取付部54が第一取付孔46に嵌合されることで接続部40の上面部40Aに着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0045】
また、この芳香カートリッジ42は、接続部40の上面部40Aに取り付けられたときには、芳香部52が接続部40の内部に位置され、この芳香部52によって接続部40の内部を通過する空気に芳香を付与するようになっている。
【0046】
一方、送風ホース44は、第二取付孔48と嵌合される板状の第二取付部56を備えている。そして、この送風ホース44は、ドア50が開けられることで開放状態とされた第二取付孔48に第二取付部56が嵌合されることで接続部40の下面部40Bに車室側から着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0047】
なお、芳香カートリッジ42を使用しない場合には、芳香部52を有さない第一取付部54のみを第一取付孔46に嵌合し、この第一取付部54によって第一取付孔46を閉止しておけば良い。また、送風ホース44を使用しない場合には、送風ホース44を接続部40から取り外し、ドア50を閉じることで第二取付孔48を閉止しておけば良い。
【0048】
また、この接続部40の内部には、第二取付孔48に対する下流側に切替ダンパ58が設けられている。切替ダンパ58は、ドア50が開けられて送風ホース44が接続部40に取り付けられたときには、これに連動して接続部40と上述のデフロスタ26とを遮断状態とし、ドア50が閉じられて送風ホース44が接続部40から取り外されたときには、これに連動して接続部40とデフロスタ26とを連通状態とするように構成されている。
【0049】
空調装置16は、図1に示されるように、例えば、インストルメントパネル18の内部に配置されており、埃除去手段としてのフィルタ60、ファン62、及び、図示しない複数の切替ダンパ等を備えている。
【0050】
そして、この空調装置16は、乗員の顔に向けて空調風を吹出するフェイス吹出動作、乗員の足元に空調風を吹出するフット吹出動作、乗員の顔及び足元に空調風を吹出するB/L吹出動作、フロントガラスに空調風を吹出するデフロスタ吹出動作、乗員の足元及びフロントガラスに空調風を吹出するF/D吹出動作、及び、空調風の全てを送風ユニット14に供給してこの空調風を送風ユニット14から送出させる空調風供給動作を行い得るようになっている。
【0051】
また、この空調装置16は、外気を導入して車室内に吹出する外気導入動作と、車室内の空気を循環させる内気循環動作とを行い得るようになっており、上述の空調風供給動作を行うときには、これと連動して内気循環動作を行い得るようになっている。さらに、この空調装置16は、内気循環動作時には、車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃をフィルタ60によって除去する構成とされている。
【0052】
図5には、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10の電気的な接続構成がブロック図にて示されている。
【0053】
この図に示されるように、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10は、上述の送風ユニット14及び空調装置16に加えて、停車状態検出手段としてのイグニッションスイッチ64と、乗員検出手段としての乗員検出センサ66と、選択手段としての動作モード選択スイッチ68と、送風方向変更手段としてのスイングモータ70と、制御手段としてのECU72とを備えている。
【0054】
イグニッションスイッチ64は、車両12のエンジンを始動状態とするオン状態と、このエンジンを停止状態とするオフ状態とに切り替えられるようになっている。そして、イグニッションスイッチ64は、乗員によってオン状態とされたときにはECU72にスイッチオン信号を出力し、乗員によってオフ状態とされたときにはECU72にスイッチオフ信号を出力する構成とされている。
【0055】
乗員検出センサ66は、車室内に設けられた赤外線センサ、超音波センサ、着座センサ等により構成されており、車室内に乗員が存在しているときにはECU72に乗員検出信号を出力し、車室内に乗員が存在してしないときにはECU72に乗員非検出信号を出力する構成とされている。
【0056】
動作モード選択スイッチ68は、乗員にECU72の動作モードをフェイス吹出モード、フット吹出モード、B/L吹出モード、デフロスタ吹出モード、F/D吹出モード、車室内清掃モードのいずれかより選択させるためのものであり、乗員による選択に応じてECU72に選択信号を出力する構成とされている。
【0057】
スイングモータ70は、例えば車室天井部24に設けられ、ECU72から出力された制御信号に応じて上述の送風ユニット14のデフロスタ26をケース28に対して往復回動させ、デフロスタ26から送出される空気の送出方向を変更する構成とされている。
【0058】
ECU72は、動作モード選択スイッチ68から出力された選択信号に応じて、フェイス吹出モード、フット吹出モード、B/L吹出モード、デフロスタ吹出モード、F/D吹出モード(以上、清掃禁止モードに相当)と、車室内清掃モードとを取り得る構成とされている。
【0059】
そして、このECU72は、フェイス吹出モード、フット吹出モード、B/L吹出モード、デフロスタ吹出モード、F/D吹出モードの各モードとされたときには、この各モードに対応する吹出口から空調風が吹出されるように空調装置16の吹出動作を制御する構成とされている。
【0060】
一方、ECU72は、動作モード選択スイッチ68によって車室内清掃モードが選択された場合には、上述のイグニッションスイッチ64及び乗員検出センサ66から出力された信号に応じて空調装置16及びスイングモータ70を次の如く作動させて車室内を清掃させる構成とされている。
【0061】
次に、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10の清掃動作と併せてその効果について説明する。
【0062】
図6には、ECU72の車室内清掃モードにおける動作を表すフローチャートが示されている。
【0063】
ECU72は、動作モード選択スイッチ68によって車室内清掃モードが選択された場合には、図6のフローチャートで示されるプログラムの処理を開始する。
【0064】
ECU72は、このプログラムの処理を開始すると、先ず、イグニッションスイッチ64の出力信号を入力し、イグニッションスイッチ64がオフ状態にあるか否か、すなわち、車両12が停車状態にあるか否かを判断する(ステップS1)。
【0065】
ここで、イグニッションスイッチ64がオン状態にある場合には、イグニッションスイッチ64からECU72にスイッチオン信号が出力される。従って、この場合、ECU72は、イグニッションスイッチ64からの出力信号に基づいてイグニッションスイッチ64がオン状態にあると判断する(ステップS1:NO)。そして、ECU72は、イグニッションスイッチ64がオフ状態にあると判断するまでステップS1の処理を繰り返し行う。
【0066】
一方、イグニッションスイッチ64がオン状態からオフ状態にされた場合には、イグニッションスイッチ64からECU72にスイッチオフ信号が出力される。従って、この場合、ECU72は、イグニッションスイッチ64からの出力信号に基づいてイグニッションスイッチ64がオフ状態にされたと判断する(ステップS1:YES)。続いて、ECU72は、乗員検出センサ66からの出力信号に基づいて車室内に乗員がいないかどうかを判断する(ステップS2)。
【0067】
ここで、イグニッションスイッチ64がオフ状態とされて車両12が停車状態とされた場合でも、車室内に乗員が残っている場合には、乗員検出センサ66からECU72に乗員検出信号が出力される。従って、この場合、ECU72は、乗員検出センサ66からの出力信号に基づいて車室内に乗員が存在していると判断する(ステップS2:NO)。そして、ECU72は、上述のステップS1の処理に戻る。
【0068】
一方、車両12が停車された状態で乗員が降車した場合には、乗員検出センサ66からECU72に乗員非検出信号が出力される。従って、この場合、ECU72は、乗員検出センサ66からの出力信号に基づいて車室内に乗員が存在してしないと判断する(ステップS2:YES)。そして、ECU72は、例えば約30秒間、空調装置16を空調風供給動作及び内気循環動作するように作動させると共に、スイングモータ70を作動させる(ステップS3)。
【0069】
これにより、空調装置16からの空調風の全てが送風ユニット14に供給され、この空調風が送風ユニット14からインストルメントパネル18に向けて送出される。また、このときには、スイングモータ70が作動されることで送風ユニット14のデフロスタ26が往復回動されるので、送風ユニット14からインストルメントパネル18の広い範囲に向けて空調風が送出される。
【0070】
従って、図1に示されるように、インストルメントパネル18の表面に例えば埃100が付着していた場合には、この埃100を送風ユニット14から送出された空調風によってインストルメントパネル18の表面から吹き飛ばして除去することができる。
【0071】
また、このときには空調装置16が内気循環動作することで車室内の空気が空調装置16に吸引される。ここで、空調装置16は、内部循環動作時には車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃をフィルタ60によって除去する構成とされている。
【0072】
従って、送風ユニット14から送出された空調風によってインストルメントパネル18の表面から埃100が吹き飛ばされて除去された場合でも、この埃100を車室内の空気と一緒に空調装置16によって吸引しフィルタ60によって除去することで車室内から排除することができる。これにより、インストルメントパネル18の表面から除去された埃100が再びインストルメントパネル18の表面に付着することを抑制することができる。これにより、車室内空間を快適にすることができる。
【0073】
しかも、この一連の車室内の清掃作業は、上述の如く車両12が停車状態にあるときに自動的に行われる。従って、乗員が車室内の清掃作業を自ら行う必要が無い。
【0074】
このように、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、乗員が車室内の清掃作業を自ら行わなくても車室内を清潔に保つことができる。
【0075】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、イグニッションスイッチ64によって車両12の停車状態が検出されたことに加えて乗員検出センサ66によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に車室内の清掃作業が行われる。従って、乗員が車室内にいるときに清掃作業が行われることを回避することができる。
【0076】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、動作モード選択スイッチ68によってECU72の動作モードが車室内清掃モードに選択された場合には、上述の如く車室内の清掃が実行され、それ以外のモードに選択された場合には、車室内の清掃が禁止される(車室内の清掃以外の空調風の吹出が行われる)。従って、乗員が動作モード選択スイッチ68によってECU72の動作モードを車室内清掃モードとそれ以外のモードとに任意に選択することができるので、乗員が意図に合った操作を行うことができる。
【0077】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、空調装置16は、空調風の全てを送風ユニット14に供給可能な構成とされている。従って、送風ユニット14からインストルメントパネル18に向けて送出される空調風の風量を増加させることができるので、インストルメントパネル18の表面からの埃100の除去性能を向上させることができ、ひいては、車室内の清掃能力を向上させることができる。
【0078】
特に、インストルメントパネル18の表面に例えば埃100が付着していた場合には、車室内外の光等が埃100で反射する虞があるが、この埃100を除去することで、車室内外の光等が埃100で反射することを抑制することができる。
【0079】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、スイングモータ70によって送風ユニット14から送出される空調風の送出方向を変更することができる。従って、インストルメントパネル18が大きい場合でも、送風ユニット14からインストルメントパネル18の広い範囲に向けて空調風を送出することができるので、このインストルメントパネル18の表面全体に付着した埃100をより一層除去することができる。
【0080】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、送風ユニット14は、車室天井部24にユニット本体部20を配置した構成とされている。従って、車室天井部24のスペースをユニット本体部20を配置するために有効に活用することができると共に、車室天井部24からインストルメントパネル18に向けて効果的に空調風を送出することができる。
【0081】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、送風ユニット14は、空調装置16からの空調風をインストルメントパネル18に向けて送出可能な構成とされている。従って、送風ユニット14自体が空気を送出するための送風装置(例えば、ファンモータ等)を備える必要が無いので、送風ユニット14の構成を簡素化することができる。
【0082】
また、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10によれば、送風ユニット14には、送風ユニット14から送出される空調風に芳香を付与するための芳香カートリッジ42が取付可能とされている。従って、送風ユニット14に芳香カートリッジ42が取付られた場合には、送風ユニット14から送出される空調風に芳香を付与することができるので、これにより、清掃後の車室内をより一層快適な状態とすることができる。
【0083】
しかも、その芳香には、フィトンチッド成分が含まれているので、車室内を除菌できると共に乗員に例えば癒し等の効果を付与することができる。
【0084】
なお、本発明の一実施形態に係る車室内清掃システム10では、図4に示される送風ホース44を送風ユニット14に取り付けたときには、例えば図示しない取付センサからECU72に取付信号が出力される。そして、この場合、ECU72は、イグニッションスイッチ64及び乗員検出センサ66の出力信号にかかわらず、動作モード選択スイッチ68によって車室内清掃モードが選択されたことに応じて空調装置16を空調風供給動作及び内気循環動作するように作動させる。
【0085】
これにより、空調装置16からの空調風が送風ホース44から送出されるので、この送風ホース44の空気排出口45からインストルメントパネル18の任意の位置に空調風を送出することができる。従って、インストルメントパネル18において送風ユニット14から空気が届きにくい箇所に付着した埃100も除去することができる。これにより、車室内空間をより一層快適にすることができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0087】
例えば、上記実施形態において、送風ユニット14は、空調装置16から空調風の供給を受けて、この空調風をインストルメントパネル18に向けて送出する構成とされていたが、例えば、図7に示されるように構成されていても良い。
【0088】
すなわち、図7に示される変形例において、送風ユニット14は、ファンモータ74を備え、このファンモータ74からの空気をインストルメントパネル18に向けて送出する構成とされている。なお、この変形例において、空調装置16は、内気循環動作時には、空調吹出口76から車室内に空調風を吹出して車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃100をフィルタ60によって除去する構成とされている。このように、送風ユニット14と空調装置16とが独立して作動されるように構成されていても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、送風ユニット14から送出された空調風によってインストルメントパネル18の表面から吹き飛ばされた埃100が空調装置16によって吸引されて車室内から排除されるように構成されていたが、例えば、図8,図9に示されるように構成されていても良い。
【0090】
すなわち、図8に示される変形例のように、車室内に吸引手段としての空気清浄機78が配置され、インストルメントパネル18の表面から吹き飛ばされた埃100が空気清浄機78によって吸引されて車室内から排除されるように構成されていても良い。
【0091】
また、図9に示される変形例のように、車室内に吸引手段としての排気装置80が配置され、インストルメントパネル18の表面から吹き飛ばされた埃100が排気装置80によって吸引されて車室外に排出されるように構成されていても良い。
【0092】
また、上記実施形態において、デフロスタ26に備えられたフィン34の間の空気送出通路82は、空気の流れの方向に沿って一定の断面積で構成されていたが(図3参照)、例えば、図10に示されるように構成されていても良い。
【0093】
すなわち、図10に示される変形例では、デフロスタ26に備えられたフィン34の間の空気送出通路82は、空気送出口38に向かうに従って狭まる構成とされている。この構成によれば、空気送出口38からインストルメントパネル18に向けて送出される空調風の風速を高めることができるので、インストルメントパネル18の表面からの埃100の除去性能を向上させることができ、ひいては、車室内の清掃能力を向上させることができる。
【0094】
なお、この場合に、フィン34の空気の流れの方向における寸法Lを長く確保すると、清流効果が高まり、空調風を特定の方向に送出することができるようになり好適である。
【0095】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチ64によって車両12の停車状態が検出され且つ乗員検出センサ66によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に、車室内の清掃作業が1回だけ行われるように構成されていたが、例えば、車両12を長時間駐車する場合に車室内の清掃作業が三日に一回ぐらいの割合で複数回行われるように構成されていても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチ64を用いて車両12の停車状態が検出されるように構成されていたが、例えば、シフトレバーがパーキングポジションにあることを検出するためのシフトポジション検出センサや、車速センサ等を用いて車両12の停車状態が検出されるように構成されていても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、イグニッションスイッチ64によって車両12の停車状態が検出され且つ乗員検出センサ66によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に車室内の清掃作業が自動的に行われるように構成されていたが、マニュアル操作スイッチを設け、乗員がマニュアル操作スイッチを操作したことに応じて車室内の清掃作業が行われるように構成されていても良い。
【0098】
また、上記実施形態において、送風ユニット14は、デフロスタ26がケース28に対して回動可能に取り付けられた構成とされていたが、デフロスタ26がケース28に固定された上でフィン34がデフロスタ26に対して回動可能に取り付けられた構成とされていても良い。
【0099】
また、上記実施形態において、送風ユニット14は、インストルメントパネル18に向けて空気を送出可能な構成とされていたが、インストルメントパネル18以外の車室部材(例えば、車両シートやドアトリム等)に向けて空気を送出可能な構成とされていても良い。
【0100】
また、上記実施形態において、送風ユニット14は、車室天井部24に設けられていたが、車室天井部24以外の場所に設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態に係る車室内清掃システムが搭載された車両の側面断面図である。
【図2A】本発明の一実施形態における送風ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図2B】本発明の一実施形態における送風ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における送風ユニットに備えられたデフロスタの側面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における送風ユニットの要部分解拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車室内清掃システムの電気的な接続構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるECUの動作を表すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
10 車室内清掃システム
14 送風ユニット(送風手段)
16 空調装置(吸引手段)
18 インストルメントパネル(車室部材)
38 空気送出口
42 芳香カートリッジ(芳香手段)
44 送風ホース
60 フィルタ(埃除去手段)
64 イグニッションスイッチ(停車状態検出手段)
66 乗員検出センサ(乗員検出手段)
68 動作モード選択スイッチ(選択手段)
70 スイングモータ(送風方向変更手段)
72 ECU(制御手段)
78 空気清浄機(吸引手段)
80 排気装置(吸引手段)
82 空気送出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停車状態を検出するための停車状態検出手段と、
車室内に設けられた車室部材に向けて空気を送出可能な送風手段と、
車室内の空気を吸引可能な吸引手段と、
前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合に前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させるための制御手段と、
を備えたことを特徴とする車室内清掃システム。
【請求項2】
前記吸引手段は、車室内の空気を循環させつつ循環空気中の埃を埃除去手段によって除去する内部循環動作を行い得る空調装置とされ、
前記制御手段は、前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出された場合に前記空調装置を内部循環動作するように作動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車室内清掃システム。
【請求項3】
前記送風手段は、前記空調装置からの空調風を前記車室部材に向けて送出可能な構成とされている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車室内清掃システム。
【請求項4】
前記空調装置は、空調風の全てを前記送風手段に供給可能な構成とされている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車室内清掃システム。
【請求項5】
前記送風手段は、車室天井部に空気送出口を有する構成とされている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項6】
前記送風手段は、空気送出口に向かうに従って狭まる空気送出通路を有する構成とされている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項7】
前記送風手段は、前記車室部材としてのインストルメントパネルに向けて空気を送出可能な構成とされている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項8】
前記送風手段から送出される空気の送出方向を変更するための送風方向変更手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させる車室内清掃モードと、車室内の清掃を禁止する清掃禁止モードとを取り得るように構成され、
前記制御手段の動作モードを選択するための選択手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項10】
車室内の乗員の有無を検出する乗員検出手段を備え、
前記制御手段は、前記停車状態検出手段によって車両の停車状態が検出され且つ前記乗員検出手段によって車室内に乗員がいないことが検出された場合に前記送風手段から空気を送出させると共に前記吸引手段によって車室内の空気を吸引させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項11】
前記送風手段から送出される空気に芳香を付与するための芳香手段が取付可能とされている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。
【請求項12】
前記送風手段に着脱可能に構成された送風ホースを備えた、
ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車室内清掃システム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−166772(P2009−166772A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9288(P2008−9288)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】