説明

車線指示線検知装置

【課題】車線に沿って路面に描かれた車線指示線にICタグが配置されているときに、そのICタグに車線指示線を特定する情報を予め記憶させておくことなく車線指示線を検知することができる車線指示線検知装置を提供する。
【解決手段】路面20に配置されたICタグ5の車両1に対する相対位置が、送信部が所定の電波を送信してから受信部がICタグ5の発信波を受信するまでの時間に基づいて演算される。路面20の所定の範囲で検知された全てのICタグ5が少なくとも一つの集合に分類され、一つの集合に属するICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5,51及び5,52の距離が第2の所定距離以上であり、最も離間する2つのICタグ5を結ぶ直線53から一つの集合に属する全てのICタグ5までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下である場合、一つの集合に属する全てのICタグ5が路面20に描かれた車線指示線22に含まれると推定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線に沿って路面に描かれた車線指示線を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−293054号公報には走行支援システムが記載されている。走行支援システムでは、路面に描かれたセンターラインや路肩側の白線に沿ってICタグを設置し、そのICタグにセンターラインや路肩側の白線等のラインの種類を識別可能なIDをそれぞれ書き込み、ICタグから情報を読み出す車載装置を車両に搭載する。
【0003】
また、特開2005−293348号公報には、一旦停止,信号機,カーブ(R100)などの道路環境情報が記録されたRFIDを利用したIDタグが道路塗料に混入された道路情報記録装置を舗装道路上に印刷し、IDタグ読取装置を持つ車両が、道路情報記録装置に対し励起信号を送信し、返信されたIDタグに書き込まれているID番号から道路環境情報を入手することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−293054号公報
【特許文献2】特開2005−293348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特開2005−293054号公報や上記特開2005−293054号公報の構成では、ICタグ(IDタグ)に記憶された識別情報に基づいて路面に描かれた線の種類を検知する。このため、ICタグには、路面に描かれる線の種類に応じてそれぞれに専用に設定した識別情報を記憶させる必要があり、かかる識別情報を全国的に共通化する必要があるとともに、車両には、ICタグの識別情報を読み取るための専用の装置を搭載する必要があり、かかる装置を車両間で共通化する必要があるため、煩雑である。
【0006】
従って、例えば、車線に沿って路面に描かれた車線指示線を車両で検知したい場合には、車線指示線専用の識別情報が記憶されたICタグを車線指示線のみに配置する必要があるとともに、車両にはICタグの識別情報を読み取るための専用の装置を搭載しなければならない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、車線に沿って路面に描かれた車線指示線にICタグが配置されているときに、そのICタグに車線指示線を特定する情報を予め記憶させておくことなく車線指示線を検知することが可能な車線指示線検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、車両に搭載され、所定の電波の受信に応じて発信波を発信するICタグが複数配置された車線指示線が車線に沿って描かれた路面を前記車両が走行するときに、車線指示線の存在を検知する車線指示線検知装置であって、送信手段と受信手段と位置演算手段と集合判定手段と距離判定手段と幅判定手段と車線指示線推定手段とを備える。
【0009】
送信手段は、路面のうち車両の進行方向及び進行方向の左右横方向へ拡がる所定の範囲へ、所定の電波を繰り返し送信する。受信手段は、路面の所定の範囲に配置された全てのICタグが発信した発信波をそれぞれ受信する。位置演算手段は、送信手段が所定の電波を送信してからICタグの発信波を受信手段が受信するまでの時間に基づいて、ICタグの車両に対する相対位置をICタグの位置として演算する。
【0010】
集合判定手段は、送信手段が所定の範囲へ所定の電波を繰り返し送信する時間間隔に受信手段が発信波を受信した全てのICタグについて、いずれか一つのICタグとそのICタグの位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグとが一つの集合に属すると判定するとともに、一つの集合に属するいずれかのICタグの位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグが一つの集合に属すると判定することにより、全てのICタグを少なくとも一つの集合に分類する。距離判定手段は、一つの集合に属するICタグのうち最も離間する2つのICタグの位置間の距離が第2の所定距離以上であるか否かを判定する。幅判定手段は、最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から一つの集合に属する全てのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定する。
【0011】
車線指示線推定手段は、最も離間する2つのICタグの位置間の距離が第2の所定距離以上であると距離判定手段が判定し、且つ、最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から一つの集合に属する全てのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であると幅判定手段が判定した場合、一つの集合に属する全てのICタグが路面に描かれた所定の一本の車線指示線に含まれると推定する。
【0012】
車線指示線は、断続的に延びる破線や連続線として白色等の塗料で路面に描かれる。
【0013】
ICタグには、車線指示線であることを示す識別情報が予め記憶されている必要はなく、他の用途の為の識別情報が記憶されたものであってもよい。また、車線指示線であることを示す識別情報が予め記憶されたICタグを用いてもよい。
【0014】
ICタグを車線指示線に配置するためには、例えば、車線指示線を路面に描く前に車線指示線を描く塗料にICタグを混入させて、ICタグを塗料と共に路面に塗付してもよい。ICタグが混入された塗料は、車線指示線以外(例えば、「止まれ」などの文字の標識や横断歩道など)を路面に描くときに使用してもよい。
【0015】
集合判定手段は、路面の所定の範囲の全てのICタグのうち、一つの集合に属する全てのICタグのいずれの位置からも第1の所定距離以上離間する位置に配置された複数のICタグがあれば、それらのICタグが他の一つの集合に属するか否かを上記一つの集合の判定と同様に判定してもよい。このようにして、集合判定手段は路面の所定の範囲の全てのICタグを複数の集合に分類してもよい。
【0016】
第1〜第3の所定距離は、例えば、路面に描かれる車線指示線の規格に基づいて設定する。第1の所定距離は、例えば、車線指示線が破線として路面に描かれる場合に塗料が塗付された線部分同士の間隔の距離以下に設定したり、車線の左右両端に車線指示線が描かれるときにはその車線指示線の間隔の距離以下に設定してもよい。第2の所定距離は、車線指示線の長手方向の距離に基づいて設定してもよく、例えば、車線指示線が破線として描かれる場合に塗料が塗付された線部分一つの長手方向の距離以下に設定してもよい。第3の所定距離は、車線指示線の幅方向の距離に基づいて設定してもよく、例えば、車線指示線の幅方向の距離以上の長さに設定してもよい。
【0017】
上記構成では、集合判定手段に分類されたICタグの集合毎に、長手方向の距離が第2の所定距離以上であって幅方向の距離が2つのICタグを結ぶ直線から両側方向へそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かが判定され、長手方向の距離が第2の所定距離以上であって幅方向の距離が第3の所定距離以下であると判定された場合に、一つの集合に属する全てのICタグが所定の一本の車線指示線に含まれると推定される。
【0018】
従って、路面の所定範囲に車線指示線が含まれている場合には、少なくとも一つの集合が長手方向に第2の所定距離以上の距離であって幅方向に第3の所定距離以下の距離であると判定され、この一つの集合に属する全てのICタグが所定の一本の車線指示線に含まれていると推定される。
【0019】
また、路面の所定範囲にICタグが配置された文字の標識や横断歩道が含まれている場合には、一つの集合が長手方向に第2の所定距離未満と判定されるか、長手方向に第2の所定距離以上あっても幅方向に第3の所定距離を超えると判定される。このため、その一つの集合に属するICタグは車線指示線に含まれないと推定される。
【0020】
また、車線指示線の判定には、ICタグの発信波のみが使用され、ICタグに記憶される識別情報は使用されない。従って、ICタグの識別情報の有無やその内容にかかわらず車線指示線を検知することができる。このため、車線指示線と車線指示線以外とに同じ識別情報が記憶された(又は識別情報が記憶されていない)ICタグが配置されていても車線指示線と車線指示線以外とを確実に区別することができる。例えば、ICタグが混入された塗料を使用して車線指示線を路面に描く場合に、車線指示線と車線指示線以外とを描く塗料を共通化しても車線指示線と車線指示線以外とを確実に区別することができる。この場合、車線指示線を路面に描くときと車線指示線以外とを路面に描くときとで塗料を使い分ける必要がないため、作業性を悪化させない。
【0021】
また、所定の範囲のICタグの位置が算出されるため、一つの集合に属する全てのICタグが所定の一本の車線指示線に含まれていると推定された場合には、その一つの集合の全てのICタグの位置に基づいて、所定の一本の車線指示線が描かれている位置(車両に対する相対位置)を求めることができる。
【0022】
また、一つの集合に属するICタグのうち位置間が最も離間する2つのICタグに基づいて長手方向の距離と幅方向の距離とが判定されるため、車線指示線に配置されるICタグは、例えば車線指示線に沿って列に配置された状態や等間隔に配置された状態である必要がない。従って、ICタグが混入された塗料が使用されて路面に車線指示線が描かれた場合のように、ICタグが車線指示線上に不規則に配置された状態であっても、車線指示線を確実に推定することができる。
【0023】
また、本発明の第2の態様の車線指示線検知装置は、第1の態様の車線指示線検知装置であって、車線指示線推定手段は、所定の一本の車線指示線が一の集合の全てのICタグのうち最も離間する2つのICタグの位置間の距離以上の長さを有すると推定する。
【0024】
上記構成では、一つの集合に属する全てのICタグが路面に描かれた所定の一本の車線指示線に含まれると推定されると、その所定の一本の車線指示線の長手方向の距離が、一つの集合の最も離間する2つのICタグの位置間の距離以上の長さであると推定される。
【0025】
また、本発明の第3の態様の車線指示線検知装置は、第1又は第2の態様の車線指示線検知装置であって、集合判定手段が所定の範囲の全てのICタグを第1の集合と第2の集合とを含む複数の集合に分類し、車線指示線推定手段が第1の集合に属する全てのICタグが第1の車線指示線に含まれ、第2の集合に属する全てのICタグが第2の車線指示線に含まれると推定した場合、車線指示線推定手段は、第1の集合に属するICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグと第2の集合に属するICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグとの4つのICタグについて、これら4つのICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、4つのICタグのうち最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるときに、第1の車線指示線と第2の車線指示線とが断続的に延びる一本の車線指示線の一部であると推定する。
【0026】
上記構成では、所定の範囲に存在が推定された第1の車線指示線と第2の車線指示線とについて、第1の車線指示線に含まれる最も離間する2つのICタグと第2の車線指示線に含まれる最も離間する2つのICタグとの4つのICタグに基づいて、これら4つのICタグが含まれる領域の幅方向の距離が第3の所定距離以下であるか否かが判定され、幅方向の距離が第3の所定距離以下であるとの肯定的な判定結果が得られたときに、第1の車線指示線と第2の車線指示線とが断続的に延びる一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0027】
従って、例えば、一本の車線指示線が破線として路面に描かれ、路面の所定の範囲に一本の車線指示線の塗料が塗付された線部分が複数含まれ、各線部分に含まれるICタグに基づいて第1の車線指示線と第2の車線指示線との二本の車線指示線の存在が推定された場合、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、第1の車線指示線と第2の車線指示線とは、断続的に延びる一本の車線指示線の一部であると推定される。これにより、車線指示線が破線として路面に描かれている場合であっても、破線の複数の線部分を含む一本の車線指示線を検知することができる。また、第1の車線指示線と第2の車線指示線とが一本の車線指示線の一部であると推定されることにより、長手方向に2つの線部分とその間隔(少なくとも第2の所定距離の2倍に第1の所定距離を加算した距離)以上の距離を有する一本の車線指示線を検知することができる。
【0028】
また、上記2つの破線が(例えば、カーブ部分の車線に沿って路面に描かれた)湾曲した同じ一本の車線指示線の一部である場合であっても、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、第1の車線指示線と第2の車線指示線とは、断続的に延びる一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0029】
また、互いに交差又は平行して延びる二本の車線指示線がそれぞれ連続線や破線として路面に描かれ、路面の所定の範囲に二本の車線指示線のそれぞれの破線が1つずつ含まれる場合には、推定された第1の車線指示線と第2の車線指示線とについて上記4つのICタグのうち位置間が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離が第3の所定距離を超え、第1の車線指示線と第2の車線指示線とは、一本の車線指示線の一部ではないと推定される。
【0030】
また、第4の態様の車線指示線検知装置は、第1又は第2の態様の車線指示線検知装置であって、記憶手段と走行状態情報検知手段と現在位置演算手段とを備える。
【0031】
記憶手段は、一つの集合のICタグが所定の一本の車線指示線に含まれると車線指示線推定手段が推定する毎に、一つの集合の最も離間する2つのICタグの位置を順次記憶する。走行状態情報検知手段は、車両の走行状態情報を検知する。現在位置演算手段は、前回以前に記憶手段に位置が記憶された2つのICタグの現在のそれぞれの位置を、走行状態情報検知手段が検知した車両の走行状態情報に基づいて演算する。
【0032】
前回以前に記憶手段に位置が記憶された第1の2つのICタグと、今回記憶手段に位置が記憶された第2の2つのICタグとが存在する場合、車線指示線推定手段は、第1の2つのICタグについて現在位置演算手段が算出した現在の位置と、第2の2つのICタグの位置とに基づいて、これら4つのICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、4つのICタグのうち最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の距離以下であるときに、第2の2つのICタグを含む一つの集合に含まれると今回推定した所定の一本の車線指示線が、第1の2つのICタグを含む他の一つの集合が含まれる他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定する。
【0033】
走行状態情報検知手段は、例えば、車両の走行速度を検出する速度検出手段と、操舵角を検出する操舵角検出手段とを有する。
【0034】
現在位置演算手段は、走行状態情報検知手段が検知した走行状態情報に基づいて、例えば、前回所定の範囲を検知してから現在までの時間に車両が移動した距離及び方向を演算し、その演算した距離及び方向に基づいて、前回記憶手段に位置が記憶された2つのICタグの現在の位置を演算する。すなわち、記憶手段に位置が記憶された2つのICタグの現在の車両に対する相対位置を演算する。また、前回所定の範囲で検出されたICタグと今回所定の範囲で検出されたICタグとは、部分的又は完全に一致していてもよく、全て異なっていてもよい。
【0035】
上記構成では、今回所定の一本の車線指示線が推定されると、所定の一本の車線指示線に含まれる最も離間する2つのICタグの位置が記憶される。次に、前回以前に記憶手段に位置が記憶された2つのICタグが存在すると、その2つのICタグの現在の位置が演算される。次に、今回記憶手段に記憶された2つのICタグの位置と前回記憶手段に位置が記憶された2つのICタグの現在の位置とに基づいて、これら4つのICタグが含まれる領域の幅方向の距離が第3の所定距離以下であるか否かが判定され、幅方向の距離が第3の所定距離以下であるとの肯定的な判定結果が得られたときに、今回推定された所定の一本の車線指示線が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0036】
従って、例えば、前回以前に記憶手段にICタグの位置が記憶されたときと、今回記憶手段にICタグの位置が記憶されたときとで同一の車線を車両が走行している場合には、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0037】
また、走行状態情報検知手段の検知に基づいて車両の車幅方向の移動を認識することにより、前回記憶手段にICタグの位置が記憶されたときから今回記憶手段にICタグの位置が記憶されたときまでの間に旋回して走行している場合や、車線を変更して走行している場合であっても、路面の所定の範囲に、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続して描かれた車線指示線が含まれるときには、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0038】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線と今回推定された所定の一本の車線指示線とが(例えば、カーブ部分の車線に沿って路面に描かれた)湾曲した同じ一本の車線指示線の異なる部分を含むものである場合であっても、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定される。
【0039】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線と無関係な車線指示線(例えば、他の所定の一本の車線指示線に交差又は並行して延びる車線指示線)が路面の所定の範囲に含まれている場合には、その車線指示線が推定されて、その車線指示線に含まれる最も離間する2つのICタグの位置が記憶される。しかし、この場合には、上記4つのICタグのうち位置間が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離を超えていると算出される。このため、今回推定された所定の一本の車線指示線が前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部でないと推定され、今回推定された所定の一本の車線指示線が前回推定された他の所定の一本の車線指示線と無関係な車線指示線であると認識することができる。
【0040】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する車線指示線が路面の所定の範囲に含まれると共に、前回推定された他の所定の一本とは無関係な車線指示線とが路面の所定の範囲に含まれているときには、それぞれの車線指示線について、最も離間する2つのICタグの位置がそれぞれ記憶される。この場合、今回推定された一方の車線指示線については、前回推定された所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定されるが、今回推定された他方の車線指示線については、前回推定された所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部でないと推定される。従って、今回推定された一方の車線指示線が前回推定された他の所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定されるとともに、今回推定された他方の車線指示線については、前回推定された他の所定の一本の車線指示線と無関係な車線指示線であると認識することができる。
【0041】
また、本発明の第5の態様の車線指示線検知装置は、第1〜第4の態様の車線指示線検知装置であって、自動走行手段を備える。自動走行手段は、車線指示線判推定手段が推定した車線指示線に従って車両を走行させる。
【0042】
車線指示線推定手段は、所定の一本の車線指示線が、その所定の一本の車線指示線に含まれるICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線方向に延びていると推定する。
【0043】
自動走行手段は、例えば、最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線の両端のうち車両手前側端から車両前方側端へ車線指示線に従って車両を走行させるために、舵角を設定する。
【0044】
上記構成では、複雑な画像処理を必要とせず、簡単な処理によって車線指示線が延びる方向を推定することができる。
【0045】
また、例えば、破線として路面に描かれる車線指示線に基づいて第2及び第3の所定距離が設定された場合には、第3の所定距離が3m程度であり、第2の所定距離が0.1m程度であるため、最も離間する2つのICタグが、車線指示線において幅方向左右両側に離間している場合であっても、実際に車線指示線が延びる方向と2つのICタグの位置を結ぶ直線方向との角度のずれが増大することがない。
【0046】
また、第3の態様又は第4の態様の車線指示線検知装置に自動走行手段を備える場合のように、複数の車線指示線に含まれると推定されたICタグが、複数部分の車線指示線が連続する一本の車線指示線や断続的に延びる車線指示線と判定されて所定の一本の車線指示線に含まれると推定されることによって、車線指示線の長手方向の距離が極めて長く推定されるため、実際に車線指示線が延びる方向に対する推定される直線方向の角度のずれの発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、車線に沿って路面に描かれた車線指示線にICタグが配置されているときに、そのICタグに車線指示線を特定する情報を予め記憶させておくことなく車線指示線を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態に係る車線指示線検知装置が搭載された車両を示す模式図である。
【図2】図1の車両が路面を走行する状態を示す模式図である。
【図3】図1の車線指示線検知装置のブロック構成図である。
【図4】図1の車線指示線検知装置が検知した車線指示線と横断歩道とを示す平面図である。
【図5】図1の車線指示線検知装置が検知した複数の車線指示線を示す平面図である。
【図6】図1の車線指示線検知装置が検知した湾曲した車線指示線を示す平面図である。
【図7】図1の車線指示線検知装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理のうち複数線関係推定処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る車線指示線検知装置のブロック構成図である。
【図10】図9の車線指示線検知装置が連続線関係推定処理を実行する路面の例を示す平面図である。
【図11】図9の車線指示線検知装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る車線指示線検知装置のブロック構成図である。
【図13】第4の実施形態に係る車線指示線検知装置が搭載された車両を示す模式図である。
【図14】図13の車線指示線検知装置のブロック構成図である。
【図15】図13の車線指示線検知装置により車線推定処理が実行される路面の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の第1の実施形態を実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0050】
図1は第1の実施形態に係る車線指示線検知装置が搭載された車両を示す模式図であり、図2は図1の車両が路面を走行する状態を示す模式図であり、図3は図1の車線指示線検知装置のブロック構成図であり、図4は図1の車線指示線検知装置が検知した車線指示線と横断歩道とを示す平面図であり、図5は図1の車線指示線検知装置が検知した複数の車線指示線を示す平面図であり、図6は図1の車線指示線検知装置が検知した湾曲した車線指示線を示す平面図であり、図7及び図8は図1の車線指示線検知装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【0051】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車線指示線検知装置10は、路面20を走行する車両1に搭載される。
【0052】
路面20には、路面20を複数の車線に区画する車線指示線22が各車線に沿って描かれている。車線指示線22は、断続的に延びる破線や連続線として白色や橙色等の塗料で、車線の進行方向に向いた状態で車線の右端に描かれている。また、路面20には、車線指示線以外の、例えば「止まれ」などの文字の標識や横断歩道などが描かれている。
【0053】
図4に示すように、車線指示線22には、ICタグ5が配置されている。ICタグ5は、所定の電波の受信に応じて発信波を発信する受動(パッシブ)方式のものである。本実施形態では、ミリ波帯の電波を使用するICタグ5が使用されている。車線指示線22に配置されるICタグ5には、車線指示線22であることを示す識別情報が予め記憶されている必要はなく、他の用途の為の識別情報が記憶されたものであってもよい。また、車線指示線22であることを示す識別情報が予め記憶されたICタグ5を用いてもよい。
【0054】
本実施形態では、ICタグ5を車線指示線22に配置するために、車線指示線22を路面20に描く前に車線指示線22を描く塗料にICタグ5を混入させて、ICタグ5が塗料と共に路面20に塗付されている。また、ICタグ5が混入された塗料は、車線指示線以外が路面20に描かれるときにも共通のものが使用されている。ICタグ5は、単位量あたりの塗料に対して所定数量混入される。これに基づいて、ICタグ5が混入された塗料が塗付された路面20の単位面積あたりに配置されるICタグ5の数や、塗料が塗付された路面20においてICタグ5一つが配置される面積を算出することができる。本実施形態では、(車線指示線22の幅方向の距離と同じ長さの)0.2mを直径とする円の面積の路面20に塗付される量の塗料にICタグ5が複数(例えば5つ)含まれる割合で、ICタグ5が塗料に混入されている。なお、単位容量の塗料に対して混入されるICタグ5の数量を増加させると判定処理が増大するため、単に、多くのICタグ5を配置した方が望ましいわけではない。
【0055】
図3に示すように、車線指示線検知装置10は、ミリ波レーダ11と位置演算部15と集合判定部16と距離判定部18と幅判定部19と車線指示線推定部30とを備える。また、車線指示線検知装置10は、発信波判定部14と離間タグ特定部17とを備える。
【0056】
図2に示すように、ミリ波レーダ11は、車両1の前部に配置され、送信部12と受信部13とを有する。送信部12は、送信手段を構成し、路面20のうち車両1の進行方向及び進行方向の左右横方向へ拡がる所定の範囲へ、ミリ波周波数の所定の電波(図1に符号2で示す)を、所定の時間間隔(例えば2sec)で繰り返し送信する。本実施形態では、所定の範囲の進行方向の距離は、車線指示線22が破線として描かれる場合に塗料が塗付される線部分が3つ含まれる距離以上の長さである20mに設定される。また、所定の範囲の車幅方向の距離は、車線の幅の3倍以上の長さである12mに設定される。受信部13は、受信手段を構成し、路面20の所定の範囲に配置された全てのICタグ5が発信した発信波をそれぞれ受信する。また、受信部13は、所定の電波が路面20や構造物に反射した反射波も受信する。受信部13は、反射波及び反射波以外の電波が入力した車幅方向の角度を検知する。
【0057】
発信波判定部14は、受信部13が受信した発信波と反射波とを含む電波のうち、発信波を抽出する。本実施形態では、ICタグ5が所定の電波に対して所定の変調をした発信波を発信するため、受信部13が受信した電波に対して所定の変調がされているか否かを判定し、所定の変調がされている電波を発信波として抽出する。
【0058】
位置演算部15は、位置演算手段を構成し、送信部12が所定の電波を送信してからICタグ5の発信波を受信部13が受信するまでの時間と、その発信波が受信部13に入力した角度とに基づいて、ICタグ5の車両1に対する相対位置(路面20上の二次元座標)をICタグ5の位置として演算する。
【0059】
集合判定部16は、集合判定手段を構成し、集合判定処理を実行する。集合判定処理では、送信部12が所定の範囲へ所定の電波を繰り返し送信する所定の時間間隔に受信部13が発信波を受信した全てのICタグ5について、いずれか一つのICタグ5を一つの集合に属すると判定し、そのICタグ5の位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグ5が一つの集合に属すると判定するとともに、一つの集合に属するいずれかのICタグ5の位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグ5が一つの集合に属すると判定することにより、全てのICタグ5を少なくとも一つの集合に分類する。また、集合判定処理では、路面20の所定の範囲の全てのICタグ5のうち、一つの集合に属する全てのICタグ5のいずれの位置からも第1の所定距離以上離間する位置に配置された複数のICタグ5があれば、それらのICタグ5が他の一つの集合に属するか否かを上記一つの集合の判定と同様に判定することにより、路面20の所定の範囲の全てのICタグ5を複数の集合に分類する。また、本実施形態では、集合判定部16は上記集合判定処理を、路面20の所定の範囲で検知した全てのICタグ5の位置が算出された後に、所定の順序で実行する。具体的には、所定の範囲が車幅方向に複数の列に区分し、区分した右の列に位置が存在するICタグ5から左の列に位置が存在するICタグ5の順に集合判定処理を実行し、各列の手前に位置が存在するICタグ5から奥に位置が存在するICタグ5の順に集合判定処理を実行する。
【0060】
離間タグ特定部17と距離判定部18と幅判定部19とは、形状判定処理を実行する。本実施形態では、形状判定処理は、集合判定部16によって集合が一つ分類される毎に、その集合のICタグ5に対して実行される。
【0061】
離間タグ特定部17は、集合判定部16が分類した集合毎に、その一つの集合に属するICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を特定する。離間タグ特定部17は、集合に1つのICタグ5のみが属する集合には、最も離間する2つのICタグ5が同じ位置に存在するものとして判定し、1つのICタグ5を(最も離間する2つのICタグ5として)特定する。
【0062】
距離判定部18は、距離判定手段を構成し、離間タグ特定部17が特定した最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離以上であるか否かを判定する。
【0063】
幅判定部19は、幅判定手段を構成し、離間タグ特定部17が特定した最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から、その2つのICタグ5が属する一つの集合に属する全てのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定する。
【0064】
ここで、第1〜第3の所定距離は、例えば、路面20に描かれる車線指示線22の規格や、車線指示線以外の線の規格や、路面20にICタグ5が配置される間隔などに基づいて設定される。本実施形態では、第1の所定距離は、車線指示線22が破線として路面20に描かれる場合に塗料が塗付された線部分同士の間隔の距離と、車線の左右両端に車線指示線22が描かれる場合に両端の車線指示線22の間隔(車線の幅)の距離との短い方の距離以下に設定される。具体的には、線部分の間隔の距離が3mであって車線の幅が3.5mである場合を想定して3m以下である0.5mに設定される。また、第1の所定距離は、塗料が塗付された路面20においてICタグ5一つが配置される面積を有する円の直径よりも充分に長い距離に設定される。また、本実施形態では、第2の所定距離は、車線指示線22が破線として描かれる場合に塗料が塗付された線部分一つの長手方向の距離以下に設定される。具体的には、線部分一つの長手方向の距離が3mである場合を想定して3m以下である2.5mに設定される。また、本実施形態では、第3の所定距離は、車線指示線22の幅方向の距離以上の長さに設定される。具体的には、車線指示線22の幅方向の距離が0.2mである場合を想定して、0.2m以上である0.3mに設定される。また、第3の所定距離は、路面20に描かれた車線指示線以外の線の幅方向の距離未満の長さに設定される。
【0065】
車線指示線推定部30は、車線指示線推定手段を構成し、車線指示線推定処理を実行する。車線指示線推定処理では、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離以上であると距離判定部18が判定し、且つ、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から一つの集合に属する全てのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であると幅判定部19が判定した場合に、一つの集合に属する全てのICタグ5が路面20に描かれた所定の一本の車線指示線22に含まれると推定する。これにより、車線指示線検知装置10では、路面20の所定の範囲に車線指示線22が存在することを検知することができる。また、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離未満であると距離判定部18が判定した場合や、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から一つの集合に属するいずれかのICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超えていると幅判定部19が判定した場合には、その一つの集合に属するICタグ5は車線指示線22に含まれないと推定する。これにより、車線指示線検知装置10は、路面20の所定の範囲に車線指示線以外が存在することを検知することができる。
【0066】
以下、図4に従って、集合判定処理と形状判定処理と車線指示線推定処理とを説明する。図4には、ミリ波レーダ11によって検知された所定の範囲の一部の例を示す。図4に示すように、所定の範囲には車線指示線22と車線指示線以外の横断歩道23とが含まれている。また、図4にはICタグ5をICタグ5,51とICタグ5,52とICタグ5,54とICタグ5,55とICタグ5,56とICタグ5,58とのみ符号を示すが、図4に、これらと同様の円形で示すものは、符号を省略しているが、全てミリ波レーダ11によって検知されたICタグ5である。
【0067】
路面20の所定の範囲に配置されたICタグ5がミリ波レーダ11によって検知され、発信波判定部14によってICタグ5の発信波が抽出されて位置演算部15によってICタグ5の位置が算出されると、集合判定部16は、所定の範囲に配置された全てのICタグ5を集合に分類する。集合判定部16がICタグ5,51から一つの集合を分類すると、車線指示線22に配置された全てのICタグ5が一つの集合に分類される。離間タグ特定部17は、この一つの集合に属するICタグ5のうち、位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5がICタグ5,51及びICタグ5,52であると特定する。次に、距離判定部18は、この一つの集合に属するICタグ5のうち最も離間するICタグ5,51とICタグ5,52との位置間の距離が第2の所定距離以上であると判定する。また、幅判定部19は、この一つの集合に属するICタグ5のうち最も離間するICタグ5,51とICタグ5,52とを結ぶ直線53から一つの集合に属する全てのICタグ5の位置までの距離が、全て第3の所定距離以下であると判定する。これらにより、車線指示線推定部30は、一つの集合に属する全てのICタグ5が路面20に描かれた所定の一本の車線指示線22に含まれると推定する。
【0068】
また、集合判定部16が他の一つの集合としてICタグ5,54から一つの集合を分類すると、横断歩道23に配置された全てのICタグ5が一つの集合に分類される。離間タグ特定部17は、この一つの集合に属するICタグ5のうち、位置間の距離が最も離間する2つのICタグは、ICタグ5,55及びICタグ5,56であると特定する。次に、距離判定部18は、この一つの集合に属するICタグ5のうち最も離間するICタグ5,55とICタグ5,56との位置間の距離を第2の所定距離以上であると判定する。また、幅判定部19は、この一つの集合に属するICタグのうち最も離間するICタグ5,55とICタグ5,56とを結ぶ直線57から一つの集合に属するICタグ5のうち、例えばICタグ5,58が第3の所定距離を超えていると判定する。これらにより、車線指示線推定部30は、その一つの集合に属するICタグ5は車線指示線22に含まれないと推定する。
【0069】
また、車線指示線推定部30は、複数線関係推定処理を実行する。複数線関係推定処理では、車線指示線推定処理によって所定の範囲に複数の車線指示線22が存在すると推定されている場合に、複数推定された車線指示線22のうち二本の車線指示線22(一方を第1の車線指示線22として他方を第2の車線指示線22とする)が断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定できるか否かを判定する。具体的には、複数線関係推定処理では、複数推定されている車線指示線22のうち第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とを特定し、第1の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち離間タグ特定部17に特定された最も離間する2つのICタグ5と第2の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち離間タグ特定部17に特定された最も離間する2つのICタグ5との4つのICタグ5について、これら4つのICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がいずれも第3の所定距離以下であるときに、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定する。また、上記4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5のうち少なくとも一方のICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超えているときに、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが一本の車線指示線22の一部ではないと推定する。これにより、車線指示線検知装置10は、路面20の所定の範囲に異なる複数の車線指示線22が存在することを検知することができる。
【0070】
以下、図5及び図6に従って、複数線関係推定処理を説明する。図5及び図6には、ミリ波レーダ11によって検知された所定の範囲の一部の例を示す。図5に示すように、所定の範囲には、破線によって描かれた所定の一本の車線指示線22,24の塗料が塗付された線部分が二本含まれているとともに、他の所定の一本の車線指示線22,27が含まれている。また、図6の所定の範囲には、破線によって描かれた所定の一本の車線指示線22のうち湾曲した部分の線部分が二本含まれている。また、図5及び図6には、複数の集合に分類されたICタグ5のうち、各集合に含まれる最も離間するICタグ5のみを示す。
【0071】
図5に示すように、車線指示線推定処理において路面20の所定の範囲に複数の車線指示線22が存在すると推定されると、車線指示線推定部30は、複数線関係推定処理を実行する。所定の範囲に存在すると推定された複数の車線指示線22のうち、第1の車線指示線22として車線指示線22,24,25を設定して、第2の車線指示線22として車線指示線22,24,26を設定すると、第1の車線指示線22,24,25に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,59及びICタグ5,60と第2の車線指示線22,24,26に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,61及びICタグ5,62との4つのICタグ5のうち、位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を、ICタグ5,59及びICタグ5,62であると特定する。次に、ICタグ5,59及びICタグ5,62の位置を結ぶ直線63からICタグ5,60及びICタグ5,61の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であると判定する。これにより、第1の車線指示線22,24,25と第2の車線指示線22,24,26とが断続的に延びる一本の車線指示線22,24の一部であると推定する。
【0072】
また、所定の範囲に存在すると推定された複数の車線指示線22のうち、第1の車線指示線22として車線指示線22,24,25を設定して、第2の車線指示線22として車線指示線22,27を設定すると、第1の車線指示線22,24,25に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,59及びICタグ5,60と第2の車線指示線22,27に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,64及びICタグ5,65との4つのICタグ5のうち、位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を、ICタグ5,59及びICタグ5,65であると特定する。次に、ICタグ5,59及びICタグ5,65の位置を結ぶ直線66からICタグ5,60及びICタグ5,64の位置までの距離がどちらも第3の所定距離を超えていると判定する。これにより、第1の車線指示線22,24,25と第2の車線指示線22,27とが一本の車線指示線22の一部ではないと推定する。
【0073】
また、所定の範囲に存在すると推定された複数の車線指示線22のうち、第1の車線指示線22として車線指示線22,24,26を設定して、第2の車線指示線22として車線指示線22,27を設定した場合には、ICタグ5,61とICタグ5,62とICタグ5,64とICタグ5,65との4つのICタグ5のうち、最も離間する2つのICタグ5を、ICタグ5,61及びICタグ5,65の位置を結ぶ直線からICタグ5,62及びICタグ5,64の位置までの距離がどちらも第3の所定距離を超えていると判定し、第1の車線指示線22,24,26と第2の車線指示線22,27とが一本の車線指示線22の一部ではないと推定する。
【0074】
また、図6に示すように、所定の範囲に、破線によって描かれた所定の一本の車線指示線のうち湾曲した部分の線部分が二本含まれている場合であっても複数線関係推定処理が同様に実行される。図6に示すように、第1の車線指示線22として車線指示線22,28が設定され、第2の車線指示線22として車線指示線22,29が設定されると、第1の車線指示線22,28に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,67及びICタグ5,68と第2の車線指示線22,29に含まれるICタグ5のうち最も離間するICタグ5,69及びICタグ5,70との4つのICタグ5のうち、位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を、ICタグ5,67及びICタグ5,70であると特定する。次に、ICタグ5,67及びICタグ5,70の位置を結ぶ直線71からICタグ5,68及びICタグ5,69の位置までの距離が、図6に示す車線指示線22の湾曲状態では、それぞれ第3の所定距離以下である。これらにより、第1の車線指示線22,28と第2の車線指示線22,29とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定する。
【0075】
また、車線指示線推定部30は、線長推定処理を実行する。線長推定処理では、車線指示線推定処理や複数線推定処理によって所定の一本の車線指示線22が推定された場合に、その所定の一本の車線指示線22の長手方向の距離が、その所定の一本の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離以上の長さであると推定する。すなわち、線長推定処理では、車線指示線推定処理によって一つの集合に属する全てのICタグ5が路面20に描かれた所定の一本の車線指示線22に含まれると推定された場合、その所定の一本の車線指示線22の長手方向の距離が、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離以上の長さであると推定する。また、複数線推定処理によって第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定された場合、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とを含む一本の車線指示線22の長手方向の距離が、一本の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離以上の長さであると推定する。
【0076】
以下、図7及び図8に示すフローチャートに従って、本実施形態の車線指示線検知装置10が実行する処理を説明する。本処理は、車両1が走行状態のときに実行され、所定時間毎(例えば2sec毎)に処理される。
【0077】
図7に示すように、まず、ステップS1では、送信部12が所定の範囲へ所定の電波を繰り返し送信する所定の時間間隔に受信部13が受信した電波を取得する。次に、ステップS2では、ステップS1で受信した電波のうち、ICタグ5が発信した発信波を発信波判定部14が抽出する。次に、ステップS3では、ステップS2で抽出した発信波を受信した時間と受信した角度とに基づいて、ICタグ5の車両1に対する相対位置をICタグ5の位置として位置演算部15が演算する。
【0078】
次に、ステップS4〜S7では、集合判定部16が集合判定処理を実行する。ステップS4では(集合に分類されていない)一つのICタグ5を特定し、ステップS5へ移行して一つの集合(例えば001集合)に属すると判定する。次に、ステップS6では、ステップS5で一つの集合に属すると判定されたICタグ5の位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグ5が、所定の範囲に存在するか否かを判定し、存在すると判定するとステップS5へ戻り、そのICタグ5が一つの集合(001集合)に属すると判定する。また、ステップS6において、ステップS5で一つの集合に属すると判定されたICタグ5の位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグ5が、所定の範囲に存在しないと判定すると、一つの集合(001集合)に属する全てのICタグ5が分類され、ステップS7へ移行する。
【0079】
次に、ステップS7〜S9では、離間タグ特定部17と距離判定部18と幅判定部19とが形状判定処理を実行する。ステップS7では、一つの集合(001集合)に属するICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を離間タグ特定部17が特定してステップS8へ移行する。次に、ステップS8では、ステップS7で特定された最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離以上であるか否かを距離判定部18が判定し、最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離以上であると判定するとステップS9へ移行する。次に、ステップS9では、ステップS7で特定された最も離間する2つのICタグ5を結ぶ直線から、一つの集合(001集合)に属する全てのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを幅判定部19が判定し、全てのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であると判定するとステップS10へ移行する。また、ステップS8において最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離が第2の所定距離未満であると距離判定部18が判定した場合や、ステップS9において最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から一つの集合(001集合)に属するいずれかのICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超えていると幅判定部19が判定した場合には、ステップS11へ移行する。
【0080】
次に、ステップS10及びステップS11では、車線指示線推定部30が車線指示線推定処理を実行する。ステップS10では、一つの集合(001集合)に属する全てのICタグ5が所定の一本の車線指示線22に含まれると推定し、ステップS12へ移行する。また、ステップS11では、一つの集合(001)に属するICタグ5は車線指示線22に含まれないと推定し、ステップS12へ移行する。
【0081】
次にステップS12では、ステップS3で位置が算出されたICタグ5のうち、集合に分類されていないICタグ5があるか否かを判定し、集合に分類されていないICタグ5があると判定すると、ステップS4へ戻り、集合に分類されていない他の一つのICタグ5を他の一つの集合(例えば002集合)に分類してその後の処理を実行する。また、ステップS12において、集合に分類されていないICタグ5がないと判定すると、所定の範囲の全てのICタグ5についての集合の分類が終了した状態であり、ステップS13へ移行して複数線関係推定処理を実行する。
【0082】
図8に示すように、ステップS14では、所定の範囲に複数の車線指示線22が存在すると推定されているか否かを判定し、複数の車線指示線22が存在すると推定されている場合には、ステップS15へ移行する。ステップS15では推定された複数の車線指示線22のうち一本の車線指示線22を第1の車線指示線22として設定し、ステップS16へ移行して、ステップS16では推定された複数の車線指示線22のうち他の一本の車線指示線22を第2の車線指示線22として設定して、ステップS17へ移行する。また、ステップS14において複数の車線指示線22が存在しないと推定されている場合には、図7に示すフローチャートへ戻って本処理を終了する。
【0083】
次に、ステップS17では、第1の車線指示線22に含まれるICタグ5のうちステップS7で特定された最も離間する2つのICタグ5と第2の車線指示線22に含まれるICタグ5のうちステップS7で特定された最も離間する2つのICタグ5との4つのICタグ5について、これら4つのICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を特定し、ステップS18へ移行する。次に、ステップS18では、上記4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がいずれも第3の所定距離以下である場合には、ステップS19へ移行して第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定する。また、ステップS18において、最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5のうち少なくとも一方のICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超えている場合には、ステップS20へ移行して第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが一本の車線指示線22の一部ではないと推定する。
【0084】
ステップS19又はステップS20での推定がされると、ステップS21へ移行して、所定の範囲に存在すると推定されている複数の車線指示線22に、現在設定されている第1の車線指示線22との関係が推定されていない車線指示線22が存在するか否かを判定し、第1の車線指示線22との関係が推定されていない車線指示線22が存在する場合には、ステップS16へ戻り、第1の車線指示線22との関係が推定されていない一本の車線指示線22が第2の車線指示線22として設定されて、その後の処理が実行される。また、ステップS21において、現在設定されている第1の車線指示線22との関係が推定されていない車線指示線22が存在しない場合には、ステップS22へ移行して、所定の範囲に存在すると推定されている複数の車線指示線22に、第1の車線指示線22に設定されていない車線指示線22が二本以上存在するか否かを判定し、二本以上存在すると判定するとステップS15へ戻り、第1の車線指示線22に設定されていない一本の車線指示線22が第1の車線指示線22として設定される。また、ステップS22において、第1の車線指示線22に設定されていない車線指示線22が一本しか存在しないと判定した場合には、所定の範囲に存在すると推定されている複数の車線指示線22の二本ずつの組み合わせの関係が全て推定されている状態であるため、図7に示すフローチャートへ戻って本処理を終了する。
【0085】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0086】
本実施形態では、ICタグ5は、ミリ波帯の電波を使用するものを用いたが、これに限らず、他の周波数帯域の電波を使用するものを用いてもよい。
【0087】
また、本実施形態では、送信部12及び受信部13としてミリ波レーダ11を使用するが、これに限らず、例えば、送信部12と受信部13とが別々の装置であってもよく、それらが離間して配置された構成であってもよい。また、送信部12や受信部13が複数配置された構成であってもよい。また、送信部12及び受信部13は、ICタグ5と同じ周波数帯の電波を使用するものであればよく、ICタグ5がミリ波帯以外の周波数帯の電波を使用する場合にはその周波数帯の電波を使用する送信部12及び受信部13を用いればよい。
【0088】
また、本実施形態では、所定の範囲は、進行方向の距離が線部分が3つ含まれる距離以上の長さで、車幅方向の距離が車線の幅の3倍以上の長さの形状であるが、これに限らず、例えば、自車両1が走行する車線の車線指示線22が描かれているであろう領域(本実施形態では車幅方向左側前方)に広い形状であってもよい。
【0089】
また、本実施形態では、受信部13が受信した電波のうち、ICタグ5が発信した発信波とそれ以外の電波とを区別するが、これに限らず、受信部13が受信した電波すべてに対して、各処理を実行してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、路面20の所定の範囲の全てのICタグ5のうち、他のいずれのICタグ5の位置からも第1の所定距離以上離間する単一のICタグ5について、単一のICタグ5のみが属する集合として分類するが、これに限らず、路面20の所定の範囲の全てのICタグ5のうち、2つ以上のICタグ5の位置が第1の所定距離未満の距離であるときにそれらのICタグ5が一つの集合に属すると判定し、他のいずれのICタグ5の位置からも第1の所定距離以上離間する単一のICタグ5については集合に属しないICタグ5と判定する構成であってもよい。
【0091】
また、本実施形態では、路面20の所定の範囲で検知した全てのICタグ5について複数の列に区分して所定の順序で集合判定処理を実行するが、これに限らず、路面20の所定の範囲で検知した全てのICタグ5のうち車線指示線22が存在するであろう領域のICタグ5の集合判定処理を優先して実行してもよい。例えば、今回又は前回以前に推定された他の車線指示線22が延びている方向から所定角度の範囲に位置するICタグ5から優先して集合判定処理を実行してもよい。このように車線指示線22が存在する可能性が高い領域のICタグ5の集合判定処理を優先して実行することにより、車線指示線22を検知する処理を実質的に高速化することができる。
【0092】
また、本実施形態では、所定の範囲のICタグ5の集合が一つ分類される毎に、その集合のICタグ5に対して形状判定処理を実行するが、これに限らず、所定の範囲で検知された全てのICタグ5が集合に分類された後で、形状判定処理を実行してもよい。また、この場合に、所定の範囲に一本の車線指示線22が存在する推定されると、その車線指示線22が延びている方向から所定角度の範囲に位置する集合を優先して形状判定処理を実行してもよい。また、所定の範囲で検知された全てのICタグ5を集合判定部16が集合に分類した後で、前回以前に推定された車線指示線22が延びる方向から所定角度の範囲に位置する集合を優先して形状判定処理を実行してもよい。このように、車線指示線22が存在する可能性が高い領域の集合の形状判定処理を優先して実行することにより、車線指示線22を検知する処理を実質的に高速化することができる。
【0093】
また、本実施形態では、車線指示線以外が存在すると検知した場合に具体的に何が路面20に描かれているかを検知しないが、これに限らず、車線指示線以外が存在すると検知した場合に何が路面20に描かれているかを具体的に検知してもよい。
【0094】
また、本実施形態では、ICタグ5が識別情報を記憶している場合であっても、その識別情報を使用しないが、これに限らず、ICタグ5に識別情報を予め記憶させるとともに、ICタグ5の識別情報を読み取る読取部を受信部13と一体又は別体として車両1に設けてICタグ5の識別情報を使用してもよい。例えば、複数のICタグ5にそれぞれ異なる識別情報を予め記憶させるとともに、車両1に設けられた読取部が読み取ったICタグ5の識別情報に基づいて、個々のICタグ5の位置と識別情報とを関連付けて記憶部43に記憶し、ICタグ5が前回以前に存在した位置から今回存在する位置への移動を検知することができる。また、個々のICタグ5の移動を検知することによって、ICタグ5の車両1に対する相対速度を算出することができ、ICタグ5が路面20に配置されていることを正確に認識することができる。
【0095】
また、本実施形態では、複数線推定処理によって所定の範囲に存在すると推定された二本の車線指示線22が、断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定できるか否かを判定するが、複数線推定処理において、さらに、これら二本の車線指示線22が所定の間隔で離間しているか否かを判定してもよい。具体的には、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22との間隔の距離が第4の所定距離未満であるか否かをそれぞれに含まれるICタグ5の位置に基づいて判定し、間隔の距離が第4の所定距離未満である場合には破線である車線指示線22の一部であると推定し、間隔の距離が第4の所定距離以上である場合には連続する別の車線指示線22であると推定してもよい。第4の所定距離とは、車線指示線22が破線として描かれる場合に塗料が塗付される線部分同士の間隔であり、例えば3mとして設定する。
【0096】
また、本実施形態では、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5を結ぶ直線から一つの集合に属するいずれかのICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超えていた場合には、車線指示線22でないと推定したが、例えば、一つの集合に属する全てのICタグ5のうち第3の所定距離を超えるものの数が所定割合以下で存在する場合に、一つの集合に属するICタグ5が車線指示線22に含まれるとみなす処理を加えてもよい。この構成により、例えば、車線指示線22に配置されたICタグ5のうち少数が車線指示線22から物理的に剥離してしまったときであっても車線指示線22と認識することができる。
【0097】
また、推定された所定の一本の車線指示線22が車両1の進行方向(直進方向に対して所定角度の範囲の方向を含む)へ延びているか否かを判定し、延びているときに所定の一本の車線指示線22が現在走行中の車線の車線指示線22であると推定してもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態では、集合判定部16に分類されたICタグ5の集合毎に、長手方向の距離が第2の所定距離以上であって幅方向の距離が2つのICタグ5を結ぶ直線から両側方向へそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かが判定され、長手方向の距離が第2の所定距離以上であって幅方向の距離が第3の所定距離以下であると判定された場合に、一つの集合に属する全てのICタグ5が所定の一本の車線指示線22に含まれると推定される。
【0099】
従って、路面20の所定範囲に車線指示線22が含まれている場合には、少なくとも一つの集合が長手方向に第2の所定距離以上の距離であって幅方向に第3の所定距離以下の距離であると判定され、この一つの集合に属する全てのICタグ5が所定の一本の車線指示線22に含まれていると推定される。
【0100】
また、路面20の所定範囲にICタグ5が配置された文字の標識や横断歩道が含まれている場合には、一つの集合が長手方向に第2の所定距離未満と判定されるか、長手方向に第2の所定距離以上あっても幅方向に第3の所定距離を超えると判定される。このため、その一つの集合に属するICタグ5は車線指示線22に含まれないと推定される。
【0101】
また、車線指示線22の判定には、ICタグ5の発信波のみが使用され、ICタグ5に記憶される識別情報は使用されない。従って、ICタグ5の識別情報の有無やその内容にかかわらず車線指示線22を検知することができる。このため、車線指示線22と車線指示線以外とに同じ識別情報が記憶された(又は識別情報が記憶されていない)ICタグ5が配置されていても車線指示線22と車線指示線以外とを確実に区別することができる。例えば、ICタグ5が混入された塗料を使用して車線指示線22を路面20に描く場合に、車線指示線22と車線指示線以外とを描く塗料を共通化しても車線指示線22と車線指示線以外とを確実に区別することができる。この場合、車線指示線22を路面20に描くときと車線指示線以外とを路面20に描くときとで塗料を使い分ける必要がないため、作業性を悪化させない。
【0102】
また、所定の範囲のICタグ5の位置が算出されるため、一つの集合に属する全てのICタグ5が所定の一本の車線指示線22に含まれていると推定された場合には、その一つの集合の全てのICタグ5の位置に基づいて、所定の一本の車線指示線22が描かれている位置(車両1に対する相対位置)を求めることができる。
【0103】
また、一つの集合に属するICタグ5のうち位置間が最も離間する2つのICタグ5に基づいて長手方向の距離と幅方向の距離とが判定されるため、車線指示線22に配置されるICタグ5は、例えば車線指示線22に沿って列に配置された状態や等間隔に配置された状態である必要がない。従って、ICタグ5が混入された塗料が使用されて路面20に車線指示線22が描かれた場合のように、ICタグ5が車線指示線22上に不規則に配置された状態であっても、車線指示線22を確実に推定することができる。
【0104】
また、本実施形態では、所定の範囲に存在が推定された第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とについて、第1の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5と第2の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5との4つのICタグ5に基づいて、これら4つのICタグ5が含まれる領域の幅方向の距離が第3の所定距離以下であるか否かが判定され、幅方向の距離が第3の所定距離以下であるとの肯定的な判定結果が得られたときに、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0105】
従って、例えば、一本の車線指示線22が破線として路面20に描かれ、路面20の所定の範囲に一本の車線指示線22の塗料が塗付された線部分が複数含まれ、各線部分に含まれるICタグ5に基づいて第1の車線指示線22と第2の車線指示線22との二本の車線指示線22の存在が推定された場合、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とは、断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定される。これにより、車線指示線22が破線として路面20に描かれている場合であっても、破線の複数の線部分を含む一本の車線指示線22を検知することができる。また、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが一本の車線指示線22の一部であると推定されることにより、長手方向に2つの線部分とその間隔(少なくとも第2の所定距離の2倍に第1の所定距離を加算した距離)以上の距離を有する一本の車線指示線22を検知することができる。
【0106】
また、上記2つの破線が(例えば、カーブ部分の車線に沿って路面20に描かれた)湾曲した同じ一本の車線指示線22の一部である場合であっても、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とは、断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0107】
また、互いに交差又は平行して延びる二本の車線指示線22がそれぞれ連続線や破線として路面20に描かれ、路面20の所定の範囲に二本の車線指示線22のそれぞれの破線が1つずつ含まれる場合には、推定された第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とについて上記4つのICタグ5のうち位置間が最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離が第3の所定距離を超え、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とは、一本の車線指示線22の一部ではないと推定される。
【0108】
また、本実施形態では、車線指示線22の長手方向や幅方向の距離、延びる方向の各判定にICタグ5の位置を使用することによって、簡単な処理によって車線指示線22を検知することができる。特に、一つの集合の全てのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置という少ない情報によって、長手方向の距離や延びる方向を判定することができるため、処理を高速化することができる。
【0109】
また、ICタグ5を塗料に混入し、塗料と共にICタグ5を路面20に塗付するため、ICタグ5を路面20に配置するために作業が増大することがない。
【0110】
また、車線指示線22が破線として描かれている場合の塗料が塗付された線部分の長手方向の距離よりも第2の所定距離を短く設定し、車線指示線22の幅方向の距離よりも第3の所定距離を長く設定しているため、車線指示線22がカーブを描いている場合であっても所定の条件のカーブまでは車線指示線22を確実に検知することができる。また、路面20上の車線指示線以外の線の幅方向の距離よりも短い長さであれば、第3の所定距離を長く設定することによって、より鋭角のカーブであっても車線指示線22を確実に検知することができる。
【0111】
また、ミリ波帯の電波で車線指示線22を検知するため、昼間と夜間や晴天時と雨天時などの条件の違いがあっても検知性能に差が生じ難い車線指示線検知装置10を提供することができる。
【0112】
また、本発明の送信手段及び受信手段を構成するミリ波レーダ11は、車両1に搭載するACC(自動追従走行装置)と共通化して使用することができる。つまり、ミリ波レーダ11に入力する信号のうち、ICタグ5の発信波によって車線指示線22を検知するとともに、反射波によって前方の他車両を検知する。本実施形態の処理によって検知した車線指示線22の位置とACCの処理によって検知した他車両との位置を重ね合わせる処理を実行することによって、他車両が走行する車線と自車両1が走行する車線との関係を認識することができる。具体的には、前方の車線がカーブである状態や、他の車線が隣接する状態を検知することによって、前方を走行する他車両が車幅方向へ移動したときに、カーブに沿って移動しているのか隣の車線に移動しているのかなど、前方を走行する他車両の走行状態を正確に認識することができる。また、単一の検知装置によって、車線指示線22及び他車両の両方を検知することができるため、ACCの処理においてカメラ等のセンサーフュージョンを行うことなく他車両の走行状態を認識可能となるので、追従精度を向上するとともに、コストの増大を抑えることができる。
【0113】
次に、本発明の第2の実施形態を実施形態を図9〜図11に基づいて説明する。
【0114】
図9は第2の実施形態に係る車線指示線検知装置のブロック構成図であり、図10は図9の車線指示線検知装置が連続線関係推定処理を実行する路面の例を示す平面図であり、図11は図9の車線指示線検知装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【0115】
図9に示すように、第2の実施形態の車線指示線検知装置82は、第1の実施形態の車線指示線検知装置10の構成に加えて、速度検出部41と操舵角検出部42と記憶部43とをさらに備えるとともに、第1の実施形態の車線指示線推定部10に代えて車線指示線推定部92を備える。本実施形態の車線指示線推定部92は、第1の実施形態の車線指示線推定部10が実行する全ての処理に加えて、連続線関係推定処理を実行する。第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0116】
本実施形態では、今回所定の範囲で検出された車線指示線22が、前回以前に存在が推定された車線指示線22から連続する一本の車線指示線22であるか、又は前回以前に存在が推定された車線指示線22とは無関係な車線指示線22であるかを判定する。ここで、今回所定の範囲で検出されたICタグ5と前回所定の範囲で検出されたICタグ5とは、部分的又は完全に一致していてもよく、全て異なっていてもよい。
【0117】
速度検出部41と操舵角検出部42とは、走行状態情報検知手段を構成し、車両1の走行状態情報を検知する。本実施形態では、車両1の走行状態情報として、速度検出部41が車両1の走行速度を検出し、操舵角検出部42が操舵角を検出する。
【0118】
記憶部43は、記憶手段を構成し、車線指示線推定部92が所定の一本の車線指示線22を推定する毎に、その所定の一本の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置を順次記憶する。すなわち、一つの集合のICタグ5が所定の一本の車線指示線22に含まれると車線指示線推定部92が推定する毎に、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置を順次記憶する。また、二本の車線指示線22が含まれる所定の一本の車線指示線22が存在すると車線指示線推定部92が推定する毎に、その所定の一本の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置を順次記憶する。また、前回以前に記憶部43に位置が記憶されたICタグ5の現在の位置が算出されたときに、そのICタグ5の現在の位置を記憶する。
【0119】
本実施形態では、記憶部43には、最大で過去4回前に推定された車線指示線22の位置を含む情報までが記憶され、最も新たに推定された車線指示線22の位置を含む情報が、最も前に推定された車線指示線22の位置を含む情報に代えて記憶される。すなわち、記憶部43には、今回推定された車線指示線22のICタグ5の位置が記憶されるまでは、1回前に推定された車線指示線22のICタグ5の位置と、1回前と2回前とに推定された車線指示線22を含む車線指示線22のICタグ5の位置と、1回前〜3回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22のICタグ5の位置と、1回前〜4回前とに推定された車線指示線22を含む車線指示線22のICタグ5の位置とが記憶されている。次に、今回車線指示線22が推定されることによって、今回推定された車線指示線22のICタグ5の位置が、1回前〜4回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22のICタグ5の位置に代えて記憶される。今回車線指示線22が推定されなかった場合には、今回車線指示線22が推定されなかったことを示す情報が、1回前〜4回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22のICタグ5の位置に代えて記憶される。
【0120】
また、記憶部43には、ICタグ5の位置とともに、所定の範囲を検知した時間(時刻)が関連付けて記憶される。また、記憶部43には、前回所定の範囲を検知してから今回所定の範囲を検知するまでに速度検出部41と操舵角検出部42とが検出した車両1の走行速度及び操舵角が記憶される。
【0121】
現在位置演算部15は、現在位置演算手段を構成し、現在位置演算処理を実行する。現在位置演算処理では、記憶部43に記憶された前回所定の範囲を検知した時間と今回所定の範囲を検知した時間とに基づいて、その間の車両1の走行状態情報である走行速度と操舵角とを記憶部43から読み出し、かかる走行速度と操舵角とに基づいて、前回所定の範囲を検知してから今回所定の範囲を検知するまでの間に車両1が移動した距離及び方向を演算する。前回所定の範囲を検知してから今回所定の範囲を検知するまでの間に車両1が移動した距離及び方向は、例えば、左方向へ0.1メートル、前方へ10.5メートルなどと算出される。次に、その演算した距離及び方向に基づいて前回記憶部43に記憶されたICタグ5の今回所定の範囲を検知したときの位置(以下、現在の位置という)を演算する。すなわち、記憶部43に位置が記憶されたICタグ5の今回所定の範囲を検知したときの車両1に対する相対位置を演算する。
【0122】
現在位置演算部15は、前回以前に記憶部43に位置が記憶されたICタグ5の位置として、1回前に推定された車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置と、1回前と2回前とに推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置と、1回前〜3回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置とについて、これらのICタグ5の位置の現在の位置を演算する。
【0123】
車線指示線推定部92が実行する連続線関係推定処理では、前回以前に記憶部43に位置が記憶された第1の2つのICタグ5と、今回記憶部43に位置が記憶された第2の2つのICタグ5とが存在する場合、第1の2つのICタグ5について現在位置演算部15が算出した現在の位置と、第2の2つのICタグ5の位置とに基づいて、これら4つのICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がいずれも第3の距離以下であるときに、第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定する。
【0124】
また、上記4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置の少なくとも一方までの距離が第3の距離を超えているときには、第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部ではないと推定する。これにより、車線指示線検知装置82では、今回推定された所定の一本の車線指示線22が前回以前に推定された他の所定の一本の車線指示線22と無関係な車線指示線22であると判定する。また、本実施形態では、連続線関係推定処理では、第1の2つのICタグ5として、記憶部43に位置が記憶された複数の車線指示線22のICタグ5のうち、最も以前の車線指示線22を含む車線指示線22の2つのICタグ5から順に特定する。
【0125】
以下、図10に従って、連続線関係推定処理を説明する。図10には、今回記憶部に位置が記憶されたICタグ5と前回記憶部に位置が記憶されたICタグの現在の状態とを含む路面の平面図の例を示す。図10に示すように、路面には、前回推定された車線指示線22,60,61(一点鎖線で示す)と、今回推定された車線指示線22,60,62(二点鎖線で示す)とを含む所定の一本の車線指示線22,60が描かれている。また、図10には、各車線指示線に含まれるICタグ5のうち、それぞれ記憶部43に位置が記憶された最も離間する2つのICタグ5のみを示す。
【0126】
車線指示線推定処理では、前回記憶部43に位置が記憶された第1の2つのICタグ5,72及びICタグ5,73と、今回記憶部43に位置が記憶された第2の2つのICタグ5,74及びICタグ5,75とが存在する場合、図10に示すように、第1の2つのICタグ5,72及びICタグ5,73について現在位置演算部15が算出した現在の位置と、第2の2つのICタグ5,74及びICタグ5,75の位置とに基づいて、これら4つのICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5が、ICタグ5,72とICタグ5,75であると特定する。次に、ICタグ5,72及びICタグ5,75の位置を結ぶ直線76からICタグ5,73及びICタグ5,74の位置までの距離が、図10に示す車線指示線2,60の場合、それぞれ第3の所定距離以下であると判定する。これにより、第2の2つのICタグ5,74及びICタグ5,75を含む今回推定された車線指示線22,60,62が、第1の2つのICタグ5,72及びICタグ5,73を含む車線指示線22,60,61から連続する一本の車線指示線22,60の一部であると推定する。
【0127】
連続線関係推定処理において第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む前回以前に推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定されると、記憶部43には、今回と1回前と推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置と、今回〜2回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置と、今回〜3回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置とが記憶される。また、今回推定された車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置は書き換えられずに記憶されている。
【0128】
また、本実施形態において車線指示線推定部92が実行する線長推定処理では、連続線関係推定処理によって第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む前回以前に推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定された場合、他の所定の一本の車線指示線22から所定の一本の車線指示線22まで連続する一本の車線指示線22の長手方向の距離が、上記4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置間の距離以上の長さであると推定する。
【0129】
以下、図11に示すフローチャートに従って本発明の第2の実施形態の車線指示線検知装置82が実行する連続線関係推定処理を説明する。本処理は、車両1が走行状態のときに実行され、所定時間毎(例えば2sec毎)に処理される。
【0130】
まず、ステップS31では、前回記憶部43に位置が記憶された第1の2つのICタグ5が存在するか否かを現在位置演算部15が判定し、前回記憶部43に位置が記憶された第1の2つのICタグ5が存在する場合には、ステップS32へ移行して、前回所定の範囲を検知した時間と今回所定の範囲を検知した時間とを記憶部43から読み出し、読み出した時間の情報に基づいて、前回所定の範囲を検知した時間から今回所定の範囲を検知した時間までの間の車両1の走行状態情報である走行速度と操舵角とを記憶部43からさらに読み出し、ステップS33へ移行する。また、ステップS31において、前回記憶部43に位置が記憶された第1の2つのICタグ5が存在しない場合には、本処理を終了する。
【0131】
次に、ステップS33では、ステップS32で読み出した車両1の走行状態情報に基づいて、前回所定の範囲を検知した時間から今回所定の範囲を検知した時間までの間に車両1が移動した距離及び方向を演算し、ステップS34へ移行する。ステップS34では、ステップS33で算出された車両1が移動した距離及び方向に基づいて、第1の2つのICタグ5の現在の位置を演算し、ステップS35へ移行する。
【0132】
次に、ステップS35では、今回記憶部43に位置が記憶された第2の2つのICタグ5が存在するか否かを判定し、今回記憶部43に位置が記憶された第2の2つのICタグ5が存在する場合には、ステップS36へ移行する。ステップS36では、ステップS34で算出された第1の2つのICタグ5の現在の位置と第2の2つのICタグ5の位置とに基づいて、これら4つのICタグ5のうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグ5を特定してステップS37へ移行する。また、ステップS35において、今回記憶部43に位置が記憶された第2の2つのICタグ5が存在しない場合には、本処理を終了する。
【0133】
次に、ステップS37では、上記4つのICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定し、最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がいずれも第3の所定距離以下であると判定した場合には、ステップS38へ移行して、第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定してステップS40へ移行する。また、ステップS37において、最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置の少なくとも一方までの距離が第3の距離を超えていると判定した場合には、ステップS39へ移行して、第2の2つのICタグ5を含む今回推定された所定の一本の車線指示線22が、第1の2つのICタグ5を含む他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部ではないと推定してステップS40へ移行する。
【0134】
ステップS40では今回記憶部43に位置が記憶された他の第2の2つのICタグ5が存在するか否かが判定され、他の第2の2つのICタグ5が存在する場合には、ステップS36へ戻り、他の第2の2つのICタグ5について処理が実行される。また、ステップS40において、他の第2の2つのICタグ5が存在しない場合には、ステップS41へ移行して前回記憶部43に位置が記憶された他の第1の2つのICタグ5が存在するか否かが判定され、他の第1の2つのICタグ5が存在する場合には、ステップS34へ戻り、他の第1の2つのICタグ5について処理が実行される。また、ステップS41において、他の第1の2つのICタグ5が存在しない場合には、前回記憶部43に位置が記憶された車線指示線22に含まれるICタグ5と今回記憶部43に位置が記憶された車線指示線22に含まれるICタグ5との全ての組み合わせについての関係が推定されているため、本処理を終了する。
【0135】
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。
【0136】
本実施形態では、今回車線指示線22が推定されたか否かにかかわらず前回以前に推定された車線指示線22のICタグ5の現在の位置を演算するが、これに限らず、例えば、今回車線指示線22が推定されなかったときには前回以前に推定された車線指示線22のICタグ5の現在の位置を演算せず、その後の回で車線指示線22が推定されたときにその回以前に推定された車線指示線22のICタグ5の現在の位置を演算する構成であってもよい。
【0137】
また、本実施形態では、記憶部43には、所定の一本の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5のみを記憶するが、これに限らず、記憶部43には、車線指示線22に含まれる全てのICタグ5の位置を記憶してもよい。この場合、連続線関係推定処理では、前回以前に推定された所定の一本の車線指示線22に含まれる全てのICタグ5の現在の位置と、今回推定された車線指示線22に含まれる全てのICタグ5の位置とに基づいて、最も離間する2つのICタグ5を結ぶ直線から二本の車線指示線22に含まれる全てのICタグ5が第3の所定距離以下であるか否かを判定してもよい。
【0138】
また、本実施形態では、今回推定された車線指示線22に含まれるICタグ5が記憶された状態で、3回前に推定された車線指示線22を含む車線指示線22に含まれるICタグ5までが記憶されているが、これに限らず、今回推定された車線指示線22に含まれるICタグ5が記憶された状態で、少なくとも前回推定された車線指示線22に含まれるICタグ5が記憶されていればよい。
【0139】
また、本実施形態では、車両1の走行速度と操舵角とに基づいて現在の位置を演算するが、これに限らず、例えば、GPSによって車両1の位置を逐次検知し、路面20の所定の範囲を検知した時刻とそのときの位置とを関連付けて記憶部43に記憶してもよい。
【0140】
以上説明したように、本実施形態では、今回所定の一本の車線指示線22が推定されると、所定の一本の車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置が記憶される。次に、前回以前に記憶部43に位置が記憶された2つのICタグ5が存在すると、その2つのICタグ5の現在の位置が演算される。次に、今回記憶部43に記憶された2つのICタグ5の位置と前回記憶部43に位置が記憶された2つのICタグ5の現在の位置とに基づいて、これら4つのICタグ5が含まれる領域の幅方向の距離が第3の所定距離以下であるか否かが判定され、幅方向の距離が第3の所定距離以下であるとの肯定的な判定結果が得られたときに、今回推定された所定の一本の車線指示線22が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0141】
従って、例えば、前回以前に記憶部43にICタグ5の位置が記憶されたときと、今回記憶部43にICタグ5の位置が記憶されたときとで同一の車線を車両1が走行している場合には、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線22が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0142】
また、操舵角検出部42の検出した操舵角に基づいて車両1の車幅方向の移動を認識することにより、前回記憶部43にICタグ5の位置が記憶されたときから今回記憶部43にICタグ5の位置が記憶されたときまでの間に旋回して走行している場合や、車線を変更して走行している場合であっても、路面20の所定の範囲に、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続して描かれた車線指示線22が含まれるときには、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線22が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0143】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22と今回推定された所定の一本の車線指示線22とが(例えば、カーブ部分の車線に沿って路面20に描かれた)湾曲した同じ一本の車線指示線22の異なる部分を含むものである場合であっても、上記肯定的な判定結果が得られることを条件に、今回推定された所定の一本の車線指示線22が、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定される。
【0144】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22と無関係な車線指示線22(例えば、他の所定の一本の車線指示線22に交差又は並行して延びる車線指示線22)が路面20の所定の範囲に含まれている場合には、その車線指示線22が推定されて、その車線指示線22に含まれる最も離間する2つのICタグ5の位置が記憶される。しかし、この場合には、上記4つのICタグ5のうち位置間が最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線から他の2つのICタグ5の位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離を超えていると算出される。このため、今回推定された所定の一本の車線指示線22が前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部でないと推定され、今回推定された所定の一本の車線指示線22が前回推定された他の所定の一本の車線指示線22と無関係な車線指示線22であると認識することができる。
【0145】
また、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する車線指示線22が路面20の所定の範囲に含まれると共に、前回推定された他の所定の一本とは無関係な車線指示線22とが路面20の所定の範囲に含まれているときには、それぞれの車線指示線22について、最も離間する2つのICタグ5の位置がそれぞれ記憶される。この場合、今回推定された一方の車線指示線22については、前回推定された所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定されるが、今回推定された他方の車線指示線22については、前回推定された所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部でないと推定される。従って、今回推定された一方の車線指示線22が前回推定された他の所定の一本の車線指示線22から連続する一本の車線指示線22の一部であると推定されるとともに、今回推定された他方の車線指示線22については、前回推定された他の所定の一本の車線指示線22と無関係な車線指示線22であると認識することができる。
【0146】
次に、本発明の第3の実施形態を実施形態を図12に基づいて説明する。
【0147】
図12は第3の実施形態に係る車線指示線検知装置のブロック構成図である。
【0148】
図12に示すように、第3の実施形態の車線指示線検知装置83は、第2の実施形態の車線指示線検知装置82の構成に加えて自動走行制御部31を備えるとともに、第2の実施形態の車線指示線推定部92に代えて車線指示線推定部93を備える。本実施形態の車線指示線推定部93は、第2の実施形態の車線指示線推定部92が実行する全ての処理に加えて、線方向推定処理を実行する。第1又は第2の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0149】
車線指示線推定部93が実行する線方向推定処理では、車線指示線推定処理や複数線推定処理、或いは線関係推定処理によって所定の一本の車線指示線22が推定された場合に、その所定の一本の車線指示線22が、その所定の一本の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線方向に延びていると推定する。すなわち、線方向推定処理では、車線指示線推定処理によって一つの集合に属する全てのICタグ5が路面20に描かれた所定の一本の車線指示線22に含まれると推定された場合、その所定の一本の車線指示線22が、一つの集合の最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線方向に延びていると推定する。また、線方向推定処理によって第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とが断続的に延びる一本の車線指示線22の一部であると推定された場合、第1の車線指示線22と第2の車線指示線22とを含む一本の車線指示線22が、その一本の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線方向に延びていると推定する。
【0150】
自動走行制御部31は、自動走行手段を構成し、車線指示線判推定部が推定した車線指示線22に従って車両1を走行させる。本実施形態では、車線指示線22が車線の進行方向右端に描かれているため、検知した車線指示線22が車両1の車幅方向右側に位置するように操舵角を設定する。自動走行制御部31は、車線指示線推定部92が推定した車線指示線22に含まれるICタグ5のうち最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線と車両1の走行速度とに基づいて逐次、必要な舵角を設定し、最も離間する2つのICタグ5の位置を結ぶ直線の両端のうち車両1手前側端から車両1前方側端へ、車両1を走行させる。
【0151】
なお、本実施形態では、線方向推定処理を実行する場合には、第3の所定距離を、車線指示線22の幅方向の距離と同じか僅かに長い距離に設定することによって、直線として描かれている車線指示線22が延びている方向をより正確に推定することができる。
【0152】
以上説明したように、本実施形態では、複雑な画像処理を必要とせず、簡単な処理によって車線指示線22が延びる方向を推定することができる。
【0153】
また、例えば、破線として路面20に描かれる車線指示線22に基づいて第2及び第3の所定距離が設定された場合には、第3の所定距離が3m程度であり、第2の所定距離が0.1m程度であるため、最も離間する2つのICタグ5が、車線指示線22において幅方向左右両側に離間している場合であっても、実際に車線指示線22が延びる方向と2つのICタグ5の位置を結ぶ直線方向との角度のずれが増大することがない。
【0154】
また、連続線関係推定処理や複数線推定処理によって、複数の車線指示線22に含まれると推定されたICタグ5が、複数部分の車線指示線22が連続する一本の車線指示線22や断続的に延びる車線指示線22と判定されて所定の一本の車線指示線22に含まれると推定された場合には、車線指示線22の長手方向の距離が極めて長く推定されるため、実際に車線指示線22が延びる方向に対する推定される直線方向の角度のずれの発生を抑えることができる。
【0155】
次に、本発明の第4の実施形態を実施形態を図13〜図15に基づいて説明する。
【0156】
図13は第4の実施形態に係る車線指示線検知装置が搭載された車両を示す模式図であり、図14は図13の車線指示線検知装置のブロック構成図であり、図15は図13の車線指示線検知装置により車線推定処理が実行される路面の例を示す平面図である。
【0157】
図14に示すように、第4の実施形態の車線指示線検知装置83は、第3の実施形態の車線指示線推定部93に代えて車線指示線推定部94を備える。車線指示線推定部94は、第3の実施形態の車線指示線推定部93が実行する全ての処理に加えて、車線推定処理を実行する。第1〜第3の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0158】
本実施形態では、路面21には車線の進行方向左右両端に車線指示線22が描かれている。車線指示線推定部92は、車線推定処理を実行する。車線推定処理では、所定の範囲に二本の車線指示線22が推定され、それら二本の車線指示線22が略平行に描かれているときに、それら二本の車線指示線22の間を車線と推定する。
【0159】
以下、図15に従って、車線推定処理を説明する。図15には、ミリ波レーダ11によって検知された所定の範囲の一部の例を示す。図15に示すように、所定の範囲には、破線によって描かれた所定の一本の車線指示線22,24の塗料が塗付された線部分が二本含まれている。また、図15には、複数の集合に分類されたICタグ5のうち、各集合に含まれる最も離間するICタグ5のみを示す。
【0160】
図15に示すように、車線指示線推定部94が実行する車線推定処理では、具体的には、まず、所定の範囲に存在すると推定された車線指示線22が複数あるか否かを判定し、所定の範囲に存在すると推定された車線指示線22が複数あると判定されると、一の車線指示線22,63と他の車線指示線22,64との二本の車線指示線22を特定する。次に、一の車線指示線22に含まれるICタグ5のうち離間タグ特定部17が特定した最も離間する2つのICタグ5,77及びICタグ5,78を結ぶ直線である第1の直線65に対して、最も離間する2つのICタグ5,77及びICタグ5,78の位置から垂直方向に第4の所定距離の位置66を、第1の直線65の両側方に特定する。第4の所定距離は、車線の幅方向の距離に基づいて設定され、本実施形態では3.6mに設定されている。
【0161】
次に、特定された位置66から第5の所定距離以下の範囲68のうち、第1の直線の一方の側方に、他の車線指示線22,64に含まれるICタグ5のうち離間タグ特定部17が特定した最も離間する2つのICタグ5,79及びICタグ5,80を通過する直線である第2の直線67が存在するか否かを判定する。第5の所定距離は、車線指示線22の幅方向の距離に基づいて設定され、本実施形態では0.2mに設定されている。
【0162】
図15に示すように、特定された位置66から第5の所定距離以下の範囲68のうち、第1の直線の一方の側方に、第2の直線67が存在する場合には、一の車線指示線22,63と他の車線指示線22,64とが進行方向に所定間隔(本実施形態では3.1〜3.9m)で、平行に描かれている車線を区画する二本の車線指示線22であると推定し、二本の車線指示線22の間を車線と推定する。
【0163】
また、自動走行制御部31は、二本の車線指示線22の中央に車両1を走行させる。
【0164】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0165】
1:車両
5:ICタグ
10:車線指示線検知装置
12:送信部(送信手段)
13:受信部(受信手段)
15:位置演算部(位置演算手段)
16:集合判定部(集合判定手段)
18:距離判定部(距離判定手段)
19:幅判定部(幅判定手段)
20:路面
22:車線指示線
30:車線指示線推定部(車線指示線推定手段)
41:速度検出部(走行状態情報検知手段)
42:操舵角検出部(走行状態情報検知手段)
43:記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、所定の電波の受信に応じて発信波を発信するICタグが複数配置された車線指示線が車線に沿って描かれた路面を前記車両が走行するときに、前記車線指示線の存在を検知する車線指示線検知装置であって、
前記路面のうち前記車両の進行方向及び当該進行方向の左右横方向へ拡がる所定の範囲へ、前記所定の電波を繰り返し送信する送信手段と、
前記路面の前記所定の範囲に配置された全てのICタグが発信した発信波をそれぞれ受信する受信手段と、
前記送信手段が前記所定の電波を送信してからICタグの発信波を前記受信手段が受信するまでの時間に基づいて、当該ICタグの前記車両に対する相対位置を当該ICタグの位置として演算する位置演算手段と、
前記送信手段が前記所定の範囲へ前記所定の電波を繰り返し送信する時間間隔に前記受信手段が発信波を受信した前記全てのICタグについて、いずれか一つのICタグとそのICタグの位置からの距離が第1の所定距離未満の位置にあるICタグとが一つの集合に属すると判定するとともに、当該一つの集合に属するいずれかのICタグの位置からの距離が前記第1の所定距離未満の位置にあるICタグが当該一つの集合に属すると判定することにより、前記全てのICタグを少なくとも一つの集合に分類する集合判定手段と、
前記一つの集合に属するICタグのうち最も離間する2つのICタグの位置間の距離が第2の所定距離以上であるか否かを判定する距離判定手段と、
前記最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から前記一つの集合に属する全てのICタグの位置までの距離がそれぞれ第3の所定距離以下であるか否かを判定する幅判定手段と、
前記最も離間する2つのICタグの位置間の距離が前記第2の所定距離以上であると前記距離判定手段が判定し、且つ、前記最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から前記一つの集合に属する全てのICタグの位置までの距離がそれぞれ前記第3の所定距離以下であると前記幅判定手段が判定した場合、前記一つの集合に属する全てのICタグが前記路面に描かれた所定の一本の車線指示線に含まれると推定する車線指示線推定手段と、を備えた
ことを特徴とする車線指示線検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車線指示線検知装置であって、
前記車線指示線推定手段は、前記所定の一本の車線指示線が前記最も離間する2つのICタグの位置間の距離以上の長さを有すると推定する
ことを特徴とする車線指示線検知装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車線指示線検知装置であって、
前記集合判定手段が前記全てのICタグを第1の集合と第2の集合とを含む複数の集合に分類し、前記車線指示線推定手段が前記第1の集合に属する全てのICタグが第1の車線指示線に含まれ、前記第2の集合に属する全てのICタグが第2の車線指示線に含まれると推定した場合、前記車線指示線推定手段は、前記第1の集合に属するICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグと前記第2の集合に属するICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグとの4つのICタグについて、これら4つのICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ前記第3の所定距離以下であるか否かを判定し、前記4つのICタグのうち前記最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から前記他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ前記第3の所定距離以下であるときに、前記第1の車線指示線と前記第2の車線指示線とが断続的に延びる一本の車線指示線の一部であると推定する
ことを特徴とする車線指示線検知装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の車線指示線検知装置であって、
前記一つの集合のICタグが前記所定の一本の車線指示線に含まれると前記車線指示線推定手段が推定する毎に、前記一つの集合の前記最も離間する2つのICタグの位置を順次記憶する記憶手段と、
前記車両の走行状態情報を検知する走行状態情報検知手段と、
前回以前に前記記憶手段に位置が記憶された前記2つのICタグの現在のそれぞれの位置を、前記走行状態情報検知手段が検知した前記車両の走行状態情報に基づいて演算する現在位置演算手段と、を備え、
前回以前に前記記憶手段に位置が記憶された第1の2つのICタグと、今回前記記憶手段に位置が記憶された第2の2つのICタグとが存在する場合、前記車線指示線推定手段は、前記第1の2つのICタグについて前記現在位置演算手段が算出した現在の位置と、前記第2の2つのICタグの位置とに基づいて、これら4つのICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ前記第3の所定距離以下であるか否かを判定し、前記4つのICタグのうち前記最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線から前記他の2つのICタグの位置までの距離がそれぞれ前記第3の距離以下であるときに、前記第2の2つのICタグを含む前記一つの集合に含まれると今回推定した前記所定の一本の車線指示線が、前記第1の2つのICタグを含む他の前記一つの集合が含まれる他の前記所定の一本の車線指示線から連続する一本の車線指示線の一部であると推定する
ことを特徴とする車線指示線検知装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載の車線指示線検知装置であって、
前記車線指示線判推定手段が推定した前記車線指示線に従って前記車両を走行させる自動走行手段を備え、
前記車線指示線推定手段は、前記所定の一本の車線指示線が、当該所定の一本の車線指示線に含まれるICタグのうち位置間の距離が最も離間する2つのICタグの位置を結ぶ直線方向に延びていると推定する
ことを特徴とする車線指示線検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−103099(P2011−103099A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258515(P2009−258515)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】