説明

車車間相対位置算出装置、車車間相対位置算出装置に送信する送信装置、車車間相対位置算出装置用のプログラム、および送信装置用のプログラム

【課題】衛星航法用衛星からの信号に基づいて2台の車両間の相対位置関係を算出する技術において、算出の精度を従来よりも向上させる。
【解決手段】以上のように、車両1、2の車載通信装置は、複数のGPS衛星3〜6から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相を特定する。そして車載通信装置は、他車両(車両1の場合は車両2、車両2の場合は車両1)から、当該他車両において観測された搬送波位相の情報を受信する。そして車載通信装置は、他車両から受信した搬送波位相と、自車両の搬送波位相のうち、同時刻に観測されたもの同士のずれ(一重差、二重差等)に基づいて、干渉測位の方法により、自車両の他車両に対する相対位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間相対位置算出装置、車車間相対位置算出装置に送信する送信装置、当該車車間相対位置算出装置用のプログラム、および当該送信装置用のプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛星航法用衛星からの信号に基づいて2台の車両間の相対位置関係を算出する技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1においては、2台の車両のそれぞれが、GPS衛星から信号を受信することで、GPS衛星から自車両までの信号伝達時間(擬似距離に反比例する)を算出する。そして、それら2台の車両のうち第1の車両が、第2の車両において算出された電波伝搬時間を通信によって取得し、自車両(すなわち第1の車両)における電波伝搬時間と他車両(すなわち第2の車両)における電波伝搬時間との差に基づいて、第2の車両に対する第1の車両の相対位置を特定するようになっている。
【特許文献1】特開平10−148665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、信号伝達時間に基づく電波伝搬時間の差を用いて相対位置を算出する方法は、その算出の精度が数十メートルから数メートル程度であり、必ずしも充分であるとはいえない。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、衛星航法用衛星からの信号に基づいて2台の車両間の相対位置関係を算出する技術において、算出の精度を従来よりも向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、第1の車両(1)に搭載される車車間相対位置算出装置についてのものである。この車車間相対位置算出装置は、複数の衛星航法用衛星から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相(以下、第1の搬送波位相という)を特定する。そして車車間相対位置算出装置は、第2の車両(2)から、第2の搬送波位相の情報を受信する。なお、この第2の搬送波位相は、上記複数の衛星航法用衛星から第2の車両において受信した電波に基づいて決められる。
【0006】
そして車車間相対位置算出装置は、受信した第2の搬送波位相と、特定した第1の搬送波位相と、のずれに基づいて、第2の車両に対する第1の車両の相対位置(以下、詳細相対位置という)を算出する。
【0007】
このような、第1の車両と第2の車両との間の搬送波位相のずれに基づいて両車両間の相対位置を算出する方法は、干渉測位と呼ばれている。このような干渉測位の技術を用いることで、相対位置の算出の精度が、数ミリメートルから1メートル未満となるので、算出の精度が従来よりも向上する。
【0008】
また請求項2に記載のように、車車間相対位置算出装置は、第1の車両と第2の車両との間の相対距離であって、上述の詳細相対位置よりも精度の低い相対距離が、基準距離より短いことに基づいて、詳細相対位置の算出を行い、当該相対距離が当該基準距離より長いことに基づいて詳細相対位置の算出を行わないようになっていてもよい。
【0009】
このようになっていることで、第1の車両と第2の車両が十分離れており衝突する可能性がほとんどないような場合には、詳細相対位置の算出を行わないことで、車車間相対位置算出装置の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0010】
また請求項3に記載のように、車車間相対位置算出装置は、第1の車両と第2の車両の衝突の可能性が道路の構造上ないことに基づいて、詳細相対位置の算出を行わないようになっていてもよい。
【0011】
このようになっていることで、第1の車両と第2の車両のそれぞれが、互いに衝突する可能性のないような構造の道路上にいる場合には、詳細相対位置の算出を行わないことで、車車間相対位置算出装置の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0012】
また請求項4に記載のように、車車間相対位置算出装置は、第1の車両における上記複数の衛星航法用衛星による測位精度が低いことに基づいて、詳細相対位置の算出を行わないようになっていてもよい。
【0013】
このようになっていることで、第1の車両と第2の車両との詳細相対位置の精度が不十分になる場合には、詳細相対位置の算出を行わないことで、車車間相対位置算出装置の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0014】
また請求項5に記載のように、車車間相対位置算出装置は、第2の車両から送信された上記複数の衛星航法用衛星の航法データを受信し、更に、当該複数の衛星航法用衛星からの電波の受信に、この第2の車両からの航法データを利用するようになっていてもよい。
【0015】
このようになっていることで、車車間相対位置算出装置は、航法データを衛星航法用衛星から受信する必要がなくなる。航法データの衛星航法用衛星からの受信には十数分以上かかるので、このような衛星航法用衛星からの受信処理が不要になれば、作動効率が大きく向上する。
【0016】
また、車車間相対位置算出装置は、第2の車両から送信された第2の車両の存在位置データであって、詳細相対位置と同じまたはそれ以上の精度を有する存在位置データを受信するようになっていてもよい。この場合、車車間相対位置算出装置は、算出した詳細相対位置および受信された存在位置データに基づいて第2の車両の存在位置を特定するようになっていてもよい。
【0017】
このように、第2の車両から高精度の存在位置データを受信し、それを詳細相対位置と共に用いることで、車車間相対位置算出装置は、自車両の存在位置(より詳しくは、地球に対する位置)を精度よく特定することができる。このような技術は、第2の車両側では詳細な所在位置を特定できるにもかかわらず、第1の車両側では詳細な所在位置を特定できないような場合に有用である。
【0018】
また、上記のような車車間相対位置算出装置に対して送信を行うと共に第2の車両に搭載される送信装置としては、上記複数の衛星航法用衛星から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相を特定し、特定した搬送波位相を、第2の搬送波位相として、車車間相対位置算出装置に送信するようなものがあれば、車車間相対位置算出装置の機能が実現する。
【0019】
また、請求項8、9に記載のように、本発明の特徴は、上記の車車間相対位置算出装置に用いるプログラム、および上記の送信装置に用いるプログラムとして捉えることができる。
【0020】
なお、特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの概略図を示す。本実施形態においては、車両1、2が、複数のGPS衛星3〜6からの無線電波(L1帯搬送波)を受信し、受信した無線電波の搬送波位相等の情報を、矢印7のように相互に交換する。そして、各車両1、2において、自ら受信した電波の搬送波位相と、他車両から受信した搬送波位相との差を特定し、その差に基づいて両車両1、2間の相対位置を特定する。なお、図1においては車両1、2が受信するGPS衛星は4つであるが、3つである場合もあれば、5つ以上である場合もある。
【0022】
このような機能を実現するために、自車両1、他車両2のそれぞれには、図2に示すような車載通信装置(車車間相対位置算出装置の一例に相当すると共に送信装置の一例にも相当する)10が搭載されている。この車載通信装置10は、GPS受信機11、車車間通信装置12、地図データベース13、および制御部14を有している。
【0023】
GPS受信機11は、制御部14の制御に従ってGPS衛星3〜6からの電波を受信し、受信した電波の搬送波位相、当該電波に情報として含まれる擬似距離、当該電波に情報として含まれる航法データ(具体的には、エフェメリス、衛星時計の情報、電離層補正データ、アルマナック)等の情報、DOP(Dilution of Precision)値(より具体的には、水平方向の測位精度を表すHDOP値)を特定し、特定した情報を制御部14に出力する装置である。
【0024】
車車間通信装置12は、自車両(すなわち車載通信装置10が搭載される車両)の周囲の車両と無線通信を行うための、増幅、周波数変換、復調、変調等の機能を有する装置である。
【0025】
地図データベース13は、道路の構成を示すデータを記憶する記憶媒体である。道路の構成を示すデータは、複数の道路および交差点についての、相互の接続関係、配置、周辺物体(ビル、樹木等)等のデータを含む。
【0026】
制御部14は、あらかじめプログラムされた処理を実行するマイコン等の装置である。本実施形態においては、制御部14は、位相・情報送受信機能14a、相対位置演算機能14bを実現するようになっている。
【0027】
位相・情報送受信機能14aは、GPS受信機11および車車間通信装置12を制御することで、自車両の搬送波位相等の情報を取得し、取得した自車両の搬送波位相等の情報を他車両に送信し、他車両の搬送波位相等の情報を受信するための機能である。相対位置演算機能14bは、位相情報送受信機能14aによって取得した情報に基づいて、自車両の他車両に対する相対位置を特定する機能である。
【0028】
制御部14は、図3に示すようなプログラム100を繰り返し実行することで、上記の各機能を実現する。このプログラム100の実行において、制御部14は、まずステップ110で、GPS受信機11を制御して、自車両の搬送波位相等の情報を取得する。このときに取得する搬送波位相等の情報とは、具体的には、当該搬送波位相の観測時刻、観測対象のGPS衛星の数、観測対象のGPS衛星を特定するリスト、および観測対象のGPS衛星毎の搬送波位相である。
【0029】
また、このステップ110では更に、GPS受信機11から擬似距離等の情報を取得し、取得した擬似距離を用いて、単独測位による自車両の概略位置(走行方向の情報も含む。以下同じ)を特定すると共に、当該単独測位の測位精度(すなわちDOP値)を取得する。なお制御部14は、ステップ110で取得した情報は、記憶媒体(例えばRAM)に一定期間分だけ記録するようになっている。
【0030】
続いてステップ120で、取得した搬送波位相等の情報を、車車間通信装置12を制御して他車両に自発的に送信する。この送信は、宛先の車載通信装置を限定する送信であってもよいし、宛先の車載通信装置を限定しないブロードキャスト形式の送信であってもよい。
【0031】
なお、ステップ120において送信する搬送波位相等の情報は、ステップ120で取得した観測時刻、GPS衛星数、GPS衛星リスト、衛星毎の搬送波位相、単独測位による概略位置、および測位精度の情報に加え、当該車載通信装置10を他の車載通信装置10と区別するための識別情報である車載器IDを含んでいる。なお、制御部14には、この送信のための自装置の車載器IDがあらかじめ記録されている。図4に、制御部14が送信する搬送波位相等情報の内容を示す。
【0032】
ステップ110、120に示したように、車載通信装置10が搭載される車両1、2からは、当該車両におけるGPS衛星数、GPS衛星リスト、衛星毎の搬送波位相、単独測位による概略位置、測位精度、および車載器IDの情報が送信されることになる。なお、各車載通信装置10が一度に送信する搬送波位相等情報は、1つの観測タイミングにおける上記情報であってもよいし、複数の観測タイミングにおける上記情報をまとめたものであってもよい。
【0033】
続いてステップ130では、自車両以外の他の車両から送信された搬送波位相等情報を、車車間通信装置12を介して受けたか否かを判定し、受けていない場合続いてステップ110を再度実行し、受けた場合その情報を受信した上で続いてステップ140を実行する。
【0034】
ステップ140では、ステップ130で受信した他車両の搬送波位相等情報およびステップ120で取得して記録した自車両の搬送波位相等情報に基づいて、当該他車両に対する自車両の3次元相対位置を算出する。
【0035】
受信した他車両の搬送波位相等情報のうち、実際に使用するのは、制御部14が記録している自車両の搬送波位相等情報のいずれかと、観測時刻が同じであり、かつ、観測対象のGPS衛星が3個以上重複しているものである。以下、互いに観測時刻が同じであり、かつ観測対象のGPS衛星が3個以上重複するような、自車両と他車両の搬送波位相等情報のペアを、それぞれ計算対象位相情報という。
【0036】
当該他車両に対する自車両の相対位置の計算は、具体的には、他車両から受信した計算対象位相情報中の搬送波位相と、他車両から受信した計算対象位相情報中の搬送波位相との差(例えば、一重位相差、二重位相差)を用いて、周知の干渉測位の手法により実現する。
【0037】
干渉測位の具体的な方法(例えば、整数値バイアスを決定するためのFloat解解法、Fix解解法、オン・ザ・フライ法)は、例えば、以下の文献A〜Cに記載されている。例えば、文献1の(25)式以降の計算をそのまま用いれば、整数値バイアスのFloat解を得ることができる。なお、複数タイミングにおける計算対象位相情報が必要な場合は、制御部14は、計算対象位相情報が複数個分揃うまで待ち、揃った段階で相対位置の計算を行う。
【0038】
文献A:一色浩、“観測方程式”、平成15年7月9日、[平成19年11月27日検索]、インターネット<URL : http://www.dab.hi-ho.ne.jp/isshiki/tokuron/lecnote/kansoku.pdf>
文献B:岡本伸也、“長基線DGPS測位および干渉測位の測位精度に関する研究”、57頁〜69頁、平成15年、[平成19年11月27日検索]、インターネット<URL : http://www.denshi.e.kaiyodai.ac.jp/paper/2003/okamoto.pdf>
文献C:高須知二、“搬送波位相測定値による精密測位の理論及び解析処理(Web版)”平成15年6月12日、[平成19年11月27日検索]、インターネット<URL : http://gpspp.sakura.ne.jp/tutorial/html/gps_symp_2005_1.htm>
以上のように、車両1、2の車載通信装置10は、複数のGPS衛星3〜6から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相(第1の搬送波位相の一例に相当する)を特定する。そして車載通信装置10は、他車両(車両1の場合は車両2、車両2の場合は車両1)から、当該他車両において観測された搬送波位相(第2の搬送波位相の一例に相当する)の情報を受信する(図3のステップ130参照)。
【0039】
そして車載通信装置10は、他車両から受信した搬送波位相と、自車両の搬送波位相のうち、同時刻に観測されたもの同士のずれ(一重差、二重差等)に基づいて、干渉測位の方法により、自車両の他車両に対する相対位置(詳細相対位置の一例に相当する)を算出する(ステップ140参照)。
【0040】
このような干渉測位の技術を用いることで、相対位置の算出の精度が、相対位置の算出に用いた衛星の数等に応じて数ミリメートルから1メートル未満となるので、車両間の相対位置の算出の精度が従来よりも向上する。
【0041】
また、車両1、2のそれぞれの車載通信装置10は、GPS衛星3〜6から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相を特定(ステップ110参照)し、特定した搬送波位相(第2の搬送波位相の一例に相当する)として、他車両の車載通信装置10に送信することで(ステップ120参照)、本実施形態の作動が実現する。
【0042】
図5、図6に、このようにして算出された車車間相対位置の情報の用途の一例を示す。図5の例においては、車両1と車両2とが互いに搬送波位相等情報をやりとりすることで、車両1の車載通信装置10においては車両2に対する車両1の相対位置が算出され、車両2の車載通信装置10においては車両1に対する車両2の相対位置が算出される。そして、これら算出された距離が基準距離(例えば20メートル)より短い場合には、車載通信装置10は、図示しない車載警報装置を制御して自車両のドライバに警告を行う。
【0043】
なお、上記例では、車両1と車両2とが双方向で搬送波位相等情報をやりとりしているが、搬送波位相等情報は一方向のやりとりであってもよい。例えば、車両2は搬送波位相等情報の送信のみを行い、車両1は搬送波位相等情報の受信およびそれに基づく相対位置算出を行うようになっていてもよい。
【0044】
例えば、図6の例においては、車両21と衝突事故を起こした車両2の車載通信装置10が、図示しない周知の衝突検知センサからの信号により衝突を検知したときに、車両1の車載通信装置10に対して自車両の搬送波位相等情報および事故発生情報を送信する。車両1の車載通信装置10は、この車両2からの搬送波位相等情報および自車両の搬送波位相情報の差を用いて、車両1に対する2への相対位置を算出する。そして車載通信装置10は、その相対位置情報および事故発生情報を後続の車両22へその情報を送信し、車両22は、受信した相対位置情報および事故発生情報を後続の車両23へ送信する。このようになっていることで、事故情報と相対位置情報とが後続の車両に次々に渡されていく。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、車両1に搭載される車載通信装置(車車間相対位置算出装置の一例に相当する)10の制御部14が、図3のプログラム100に代えて図7に示すプログラム200を繰り返し実行する点と、車両2に搭載される車載通信装置(送信装置の一例に相当する)10の制御部14が、図3のプログラム100に代えて図8に示すプログラム300を繰り返し実行する点である。これによって、以下詳述する通り、車両2の車載通信装置10は、搬送波位相等情報を他車両から受信せず、専ら送信のみ行うようになり、車両1の車載通信装置10は、搬送波位相等情報を他車両に送信せず、専ら受信のみ行うようになる。
【0046】
以下、図7および図8を用いて受信側車両1の車載通信装置10および送信側車両2の車載通信装置10の作動について説明する。なお以降、受信側車両1に搭載される車載通信装置10および制御部14は、それぞれ受信側車載通信装置10および受信側制御部14と記し、送信側車両2に搭載される車載通信装置10および制御部14は、それぞれ送信側車載通信装置10および送信側制御部14と記す。
【0047】
まず送信側制御部14は、プログラム300のステップ320において、GPS衛星3〜6からGPS受信機11が受信した信号を用いて、単独測位による自車両2の概略位置(緯度、経度、高さ)を算出する。この概略位置は、単独測位による位置であるので、その精度は数メートル以上であり、干渉測位の方法によって算出する相対位置の精度よりも劣る。
【0048】
続いて送信側制御部14は、ステップ330で、直前に算出した自車両2の概略位置を、車車間通信装置12を用いて他車両に送信する。この送信は、宛先を受信側車両1に限定したものでもよいし、宛先を限定しないブロードキャストでもよい。なお、このとき送信する概略位置には、送信元の送信側車載通信装置10の車載器IDを含める。
【0049】
続いて制御部14は、ステップ340で、搬送波位相等情報のリクエスト信号を車車間通信装置12を介して他車両から受信したか否かを判定し、受信していなければ再度ステップ320を実行する。このように、制御部14は、自車両2の概略位置の算出・送信を繰り返しながら、他車両からの搬送波位相等情報のリクエスト信号を待つことになる。
【0050】
一方、受信側車両1の受信側制御部14は、まずプログラム200のステップ220において、GPS衛星3〜6からGPS受信機11が受信した信号等を用いて、単独測位による自車両1の概略位置(緯度、経度、高さ)を算出する。
【0051】
続いて受信側制御部14は、ステップ240において、他車両から送信された当該他車両の概略位置を車車間通信装置12を介して受けたか否かを判定し、受けていなければ再度ステップ220を実行し、受けていればその概略位置を受信した上で続いてステップ250を実行する。このように、制御部14は、自車両1の概略位置の算出を繰り返しながら、他車両からの概略位置の情報を待つことになる。
【0052】
送信側車両2から送信された概略位置を受信した場合、受信側制御部14はステップ250で、受信側車両1の送信側車両2に対する相対位置の計算が必要であるか否かを判定する。この判定は、具体的には、以下に示す判定条件1〜3のうち少なくとも1つに基づいて行う。
【0053】
条件1:GPS衛星のDOP値が基準DOP値より低い。
ここで、DOP値は、小さくなるほど測位精度は向上する値であるので、条件1は、GPS衛星による測位精度が十分良好であるという条件に相当する。基準DOP値は、あらかじめ記憶された一定値(例えば50メートル、100メートル)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。例えば、基準DOP値は、受信側車両1の概略位置と送信側車両2の概略位置によって決まる車両1、2間の距離が小さくなるほど大きくなる値、すなわち、車両1、2が互いに近づくほど測位精度の悪化を許容するような値であってもよい。
【0054】
条件2:受信側車両1の概略位置と送信側車両2の概略位置によって決まる車両1、2間の距離が、第1基準距離より短い。
ここで、第1基準距離は、あらかじめ記憶された一定値(例えば50メートル、100メートル)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば受信側車両1の車速が増大するほど大きくなる値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。
【0055】
条件3:受信側車両1と送信側車両2の衝突の可能性が、道路の構造上ない。
「衝突の可能性が、道路の構造上ない」とは、「2つの車両1、2がそれぞれ走行している道路が異なり、それらの道路上の車両1、2の進行方向の第2基準距離内において、それら2つの道路が交わることがない」ことをいう。この第2基準距離は、あらかじめ記憶された一定値(例えば100メートル、200メートル)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば受信側車両1の車速が増大するほど大きくなる値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。
【0056】
なお、この判定において、車両1、2がどの道路上にいるかは、地図データベース13中の道路構成データおよび概略現在位置を用いた周知のマップマッチング技術によって特定してもよい。
【0057】
あるいは、道路の近傍に当該道路を示す情報を無線送信するビーコンが敷設されていれば、送信側制御部14は、自車両2の近傍のビーコンから受信した情報に基づいて、自車両2が走行する道路の情報を特定し、特定した情報を概略位置と共に送信するようになっていればよい。またその場合、受信側制御部14は、自車両1の近傍のビーコンから受信した情報に基づいて自車両1がどの道路上にいるかを特定し、また、送信側車両2から受けた道路の情報に基づいて、他車両2がどの道路上にいるかを特定するようになっていてもよい。
【0058】
また、車両1、2の道路上の進行方向の第2基準距離内において、それら2つの道路が交わることがないか否かは、地図データベース13中の道路構成データに基づいて特定する。
【0059】
ステップ250の判定結果は、条件1〜3のすべてが満たされるときにのみ肯定的となるようになっていてもよいし、条件1〜3の一部のみが満たされれば肯定的となるようになっていてもよい。例えば、条件2と条件3のみが満たされれば肯定的となり、条件2と条件3のうちいずれかでも満たされなければ否定的とすることができる。この場合、車両1、2が近づいていても、近接しているものの交わらず平行に走る2つの道路上を車両1、2が走行している場合には、搬送波位相等情報は送信されず、その結果、搬送波位相等情報の送受信および相対位置の算出による負荷を軽減することができる。
【0060】
ステップ250の判定結果が肯定的である場合、続いてステップ260を実行し、否定的である場合、続いて再度ステップ220の処理を実行する。したがって、受信側制御部14は、他車両に対する自車両1の相対位置の計算が必要となるまで、ステップ220、240の処理を繰り返す。
【0061】
自車両1の相対位置の計算が必要であると判定した場合、受信側制御部14は、ステップ260で、自車両1の搬送波位相を取得する。このステップ260の処理の内容は、第1実施形態における図3のステップ110の処理内容と同じである。
【0062】
続いてステップ270では、直前のステップ240で受信した概略位置の送信元の車両2に対して、搬送波位相搭情報を要求するためのリクエスト信号を送信する。なお、概略位置の送信元2の特定は、受信し概略位置の情報に含まれる車載器IDによって特定する。また、送信するリクエスト信号には、送信元として、受信側車載通信装置10の車載器IDを含める。続いてステップ280は、リクエスト信号を送信した宛先から搬送波位相等情報を受けるまで待つ。
【0063】
一方、送信側車両2の送信側制御部14は、受信側車両1からリクエスト信号を受信すると、ステップ340の判定結果が肯定的となり、続いてステップ350で、自車両2における搬送波位相等情報を取得する。このステップ350の処理の内容は、第1実施形態における図3のステップ110の処理内容と同じである。
【0064】
続いてステップ360で、直前に取得した自車両2における搬送波位相等情報を、送信側車両2宛てに送信する。このステップ360の処理の内容は、第1実施形態における図3のステップ120の処理内容と同じである。ただし、搬送波位相等情報の送信先は、受信側車両1に限定している。具体的には、搬送波位相等情報に、宛先として、受信側車載通信装置10の車載器IDを含めている。
【0065】
受信側車両1の受信側制御部14は、このように送信側制御部14から自車両宛てに送信された搬送波位相等情報をステップ280で受信し、続いてステップ290で、受信した他車両2の搬送波位相等情報およびステップ260で特定した自車両1の搬送波位相等情報に基づいて、第1実施形態における図3のステップ140と同じ方法で、送信側車両2に対する受信側車両1の3次元相対位置を算出する。
【0066】
以上のように、送信側車載通信装置10は、自車両2の概略位置を計算して(ステップ320参照)無線送信し(ステップ330参照)、その後搬送波位相等情報のリクエスト信号を他車両1から受信すると、自車両2で観測したGPS衛星3〜6からの搬送波位相を取得して(ステップ350参照)当該車両1に返送する(ステップ360参照)。
【0067】
また、受信側車載通信装置10は、自車両1の概略位置を計算する(ステップ220参照)と共に他車両2の概略位置を受信し(ステップ240参照)、それら自車両1および他車両2の概略位置等に基づいて、干渉測位による詳細な相対位置の算出が必要であるか否かを判定する(ステップ250参照)。
【0068】
そして詳細な相対位置の算出が必要であると判定した場合、自車両1において観測した搬送波位相を取得し(ステップ260参照)また、概略位置の送信元の他車両2に搬送波位相をリクエストして(ステップ270参照)受信し(ステップ280参照)、受信した他車両2の搬送波位相と取得した自車両1の搬送波位相とのずれに基づいて、干渉測位による相対位置を算出する(ステップ290参照)。
【0069】
このように、受信側車両1の受信側車載通信装置10は、受信側車両1と送信側車両2との間の搬送波位相のずれに基づいて干渉測位による算出を行う。したがって、相対位置の算出の精度が、数ミリメートルから1メートル未満となるので、算出の精度が従来よりも向上する。
【0070】
また、送信側車両2の送信側車載通信装置10は、複数のGPS衛星3〜6から受信した電波の搬送波位相を特定し、特定した搬送波位相を、車両1の受信側車載通信機10に送信することで、受信側車両1の相対位置の算出の機能が実現する。
【0071】
また、受信側車載通信装置10は、受信側車両1と送信側車両2との間の概略距離が、基準距離より短いことに基づいて、詳細相対位置の算出を行い、当該概略距離が当該基準距離より長いことに基づいて、詳細相対位置の算出およびそれに付随する処理を行わないようになっている場合がある。
【0072】
このようになっていることで、受信側車両1と送信側車両2が十分離れており衝突する可能性がほとんどないような場合には、搬送波位相等情報のリクエスト、送受信、および詳細相対位置の算出を行わないことで、受信側車載通信装置10および送信側車載通信装置10の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0073】
また、受信側車載通信装置10は、受信側車両1と送信側車両2の衝突の可能性が道路の構造上ないことに基づいて、搬送波位相の算出およびそれに付随する処理を行わないようになっている場合がある。
【0074】
このようになっていることで、受信側車両1と送信側車両2のそれぞれが、互いに衝突する可能性のないような構造の道路上にいる場合には、搬送波位相等情報のリクエスト、送受信、および詳細相対位置の算出を行わないことで、受信側車載通信装置10および送信側車載通信装置10の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0075】
また、受信側車両1は、受信側車両1におけるGPS衛星3〜6による測位精度(具体的にはDOP値)が低いことに基づいて、詳細相対位置の算出およびそれに付随する処理を行わないようになっている場合がある。
【0076】
このようになっていることで、受信側車両1と送信側車両2との詳細相対位置の精度が不十分になる場合には、搬送波位相等情報のリクエスト、送受信、および詳細相対位置の算出を行わないことで、受信側車載通信装置10および送信側車載通信装置10の処理負荷を効率よく低減することができる。
【0077】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0078】
例えば、第2実施形態において、送信側車両2の送信側制御部14は、プログラム300のステップ330で、概略位置の情報と共に、GPS衛星3〜6から受信した航法データを受信側車両1に送信するようになっていてもよい。そして受信側車両1の受信側制御部14は、この航法データを受信して、GPS衛星3〜6の補足を行うようになっていてもよい。
【0079】
このようにすることで、受信側車載通信装置10は、航法データをGPS衛星3〜6から受信する必要がなくなる。航法データのGPS衛星3〜6からの受信には十数分以上かかるので、このようなGPS衛星3〜6からの受信処理が不要になれば、送信側車両2の作動効率が大きく向上する。なお、車車間通信によって航法データを受け渡す際にも時間はかかるが、そのための時間はGPS衛星3〜6からの受信に比べれば遥かに短い場合が多い。なお、航法データの一部のみが車車間通信で送信される場合であっても、上記の効果はある程度発揮される。
【0080】
また、第2実施形態において、送信側車両2の送信側制御部14は、干渉測位と同程度またはそれより高い精度で、自車両の地球に対する現在位置(以下、絶対位置という)を特定することができるようになっていてもよい。そのような精度の位置特定方法としては、例えば、従来の干渉測位技術を用いて固定の基準局と通信を行うことで絶対位置を特定する方法、道路上に敷設され、道路上の詳細位置の情報を無線送信するビーコンから当該情報を受信することによって絶対位置を特定する方法等がある。
【0081】
そしてこの場合、送信側制御部14は、特定した絶対値を、プログラム300のステップ360で、自車両2の搬送波位相等情報と共に受信側車両1に送信するようになっていてもよい。そして受信側車両1の受信側制御部14は、受信した送信側車両2の絶対位置と、プログラム200のステップ290で算出した相対位置とに基づいて、自車両1の絶対位置を高精度で算出するようになっていてもよい。
【0082】
このように、送信側車両2から高精度の存在位置データを受信し、それを詳細相対位置と共に用いることで、受信側車載通信装置10は、自車両1の絶対位置を精度よく特定することができる。このような技術は、送信側車載通信装置10側では詳細な所在位置を特定できるにもかかわらず、受信側車載通信装置10側では詳細な所在位置を特定できないような場合に有用である。
【0083】
また第2実施形態においては、車両1の車載通信装置10が専ら車両2から搬送波位相等情報を受信し、車両2の車載通信装置10が専ら車両1に搬送波位相等情報を送信するようになっている。しかし、車両1、2のそれぞれの制御部14が、プログラム200およびプログラム300を共に並列的に実行するようになっていてもよい。その場合には、第1実施形態のように、車両1と車両2とが搬送波位相等情報を互いにやりとりすることができる。
【0084】
また、第2実施形態において、受信側制御部14は、ステップ270とステップ260の実行順序を逆転させてもよい。その場合受信側制御部14は、ステップ270のリクエスト信号送信時に、GPS衛星3〜6の搬送波位相の観測時刻を指定する情報を当該リクエスト信号に含め、ステップ270に続くステップ260においては、当該指定観測時刻の到来を待ち、当該時刻の到来と共にGPS受信機11を制御して搬送波位相を取得するようになっていてもよい。さらにその場合、送信側制御部14は、受信したリクエスト信号に含まれる指定観測時刻の到来を待ち、当該時刻の到来と共にGPS受信機11を制御して搬送波位相を取得し、取得した搬送波位相を車両1に送信するようになっていてもよい。このようになっていることで、受信側車載通信装置10と送信側車載通信装置10との間でGPS衛星3〜6からの搬送波位相の取得のタイミング合わせを行うことができる。
【0085】
また、第1実施形態においては、車載通信装置10は、概略位置および概略位置の精度の情報を送信しないようになっていてもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、各車載通信装置10はL1帯搬送波だけでなく、L2帯搬送波、L5帯搬送波をも利用して、整数値バイアスを決定するようになっていてもよい。
【0087】
また、上記第2実施形態においては、受信側車載通信装置10は、詳細相対位置の算出が必要ないと判定した場合には、送信側車載通信装置10にリクエスト信号を送信しないことで、送信側車載通信装置10に無駄な搬送波位相等情報の送信行わせないようになっている。しかし、受信側車載通信装置10は、詳細相対位置の算出が必要ないと判定した場合であっても、送信側車両2から搬送波位相等情報を受信するものの、詳細位置を算出しないようになっていてもよい。
【0088】
あるいは、送信側車載通信装置10が、リクエスト信号を受信せずとも、搬送波位相等情報を送信するようになっている場合、受信側車載通信装置10は、詳細相対位置の算出が必要ないと判定した場合、送信側車載通信装置10に対して、搬送波位相等情報の送信を禁止する命令を送信し、送信側車載通信装置10は、その命令に従って搬送波位相等情報の送信を停止するようになっていてもよい。
【0089】
あるいは、送信側車載通信装置10が、リクエスト信号を受信せずとも、搬送波位相等情報を送信するようになっている場合、受信側車載通信装置10は、自車両1の概略位置情報を送信側車載通信装置10に送信し、送信側車載通信装置10は、受信した受信側車両1の概略位置と自車両2の概略位置との距離に基づいて、詳細相対位置の算出が必要か否かを判定し、必要がないと判定した場合、搬送波位相等情報の送信を自発的に停止するようになっていてもよい。
【0090】
また、各車載通信装置10の制御部14は、観測されたすべてのGPS衛星の位相情報ではなく、所定のDOP値以下のDOP値が得られるような最小限の数のGPS衛星の組み合わせを選び出し、それら選び出したGPS衛星からの電波の搬送波位相を取得し、その後相対位置の算出に用いるようになっていてもよい。また、車載通信装置10は、互いに、DOP値が所定のDOP値以下となるようなGPS衛星の組み合わせの情報を他車両に送信するようになっていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態においては、搬送波位相を特定する対象の衛星はGPS衛星であったが、搬送波位相を特定する対象の衛星は、GLONASS衛星、GALILEO衛星等、他の衛星航法用衛星(GNSS)であってもよい。その場合、例えばGPS衛星とGLONASS衛星を併用する等、異なる種類の衛星航法用衛星を併用するようになっていてもよい。
【0092】
また、上記の実施形態において、各制御部14がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。また、GPS受信機11と制御部14とはハードウェア的に一体となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
【図2】車載通信装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】車載通信装置10の制御部14が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】制御部14が送信する搬送波位相等情報の内容を示す図表である。
【図5】第1実施形態の応用例を示す模式図である。
【図6】第1実施形態の応用例を示す模式図である。
【図7】受信側の制御部14が実行するプログラム200のフローチャートである。
【図8】送信側の制御部14が実行するプログラム300のフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1、2 車両
3〜6 GPS衛星
7 搬送波位相等情報
10 車載通信装置
11 GPS受信機
12 車車間通信装置
13 地図データベース
14 制御部
14a 位相情報送受信機能
14b 相対位置演算機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両(1)に搭載される車車間相対位置算出装置であって、
複数の衛星航法用衛星(3〜6)から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相(以下、第1の搬送波位相という)を特定する自車両搬送波位相特定手段(110、260)と、
前記複数の衛星航法用衛星から電波を受信すると共に受信した当該電波の搬送波位相(以下、第2の搬送波位相という)の情報を送信する第2の車両(2)から、前記第2の搬送波位相の情報を受信する他車両搬送波位相受信手段(130、280)と、
受信された前記第2の搬送波位相と、特定された前記第1の搬送波位相と、のずれに基づいて、前記第2の車両に対する前記第1の車両の詳細相対位置を算出する算出手段(140、290)と、を備えた車車間相対位置算出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記第1の車両と前記第2の車両との間の相対距離であって、前記詳細相対位置よりも精度の低い相対距離が、基準距離より短いことに基づいて、前記詳細相対位置の算出を行い、当該相対距離が前記基準距離より長いことに基づいて前記詳細相対位置の算出を行わないことを特徴とする請求項1に記載の車車間相対位置算出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記第1の車両と前記第2の車両の衝突の可能性が道路の構造上ないことに基づいて、前記詳細相対位置の算出を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の車車間相対位置算出装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記第1の車両における前記複数の衛星航法用衛星による測位精度が低いことに基づいて、前記詳細相対位置の算出を行わないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車車間相対位置算出装置。
【請求項5】
前記他車両搬送波位相受信手段は更に、前記第2の車両から送信された前記複数の衛星航法用衛星の航法データを受信し、
前記自車両搬送波位相特定手段は、前記第2の車両から送信された前記航法データを利用して、前記複数の衛星航法用衛星から電波を受信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車車間相対位置算出装置。
【請求項6】
前記他車両搬送波位相受信手段は更に、前記第2の車両から送信された前記第2の車両の存在位置データであって、前記算出手段が算出する前記詳細相対位置と同じまたはそれ以上の精度を有する存在位置データを受信し、
前記算出手段は、算出した前記詳細相対位置および受信された前記存在位置データに基づいて前記第2の車両の存在位置を特定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車車間相対位置算出装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車車間相対位置算出装置に対して送信を行うと共に前記第2の車両(2)に搭載される送信装置であって、
前記複数の衛星航法用衛星(3〜6)から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相を特定する搬送波位相特定手段(110、350)と、
前記搬送波位相特定手段が特定した搬送波位相を、前記第2の搬送波位相として、前記車車間相対位置算出装置に送信する搬送波位相送信手段(120、330)と、を備えた送信装置。
【請求項8】
第1の車両(1)に搭載される車車間相対位置算出装置に用いるプログラムであって、
複数の衛星航法用衛星(3〜6)から電波を受信すると共に受信した当該電波の搬送波位相(以下、第1の搬送波位相という)の情報を送信する第2の車両(2)から、前記搬送波位相の情報を受信する他車両搬送波位相受信手段(130、280)、
前記複数の衛星航法用衛星から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相(以下、第2の搬送波位相という)を特定する自車両搬送波位相特定手段(110、260)、および
受信された前記第1の搬送波位相と、特定された前記第2の搬送波位相と、のずれに基づいて、前記第2の車両に対する前記第1の車両の詳細相対位置を算出する算出手段(140、290)として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車車間相対位置算出装置に対して送信を行うと共に前記第2の車両(2)に搭載される送信装置に用いるプログラムであって、
前記複数の衛星航法用衛星から電波を受信し、受信した当該電波の搬送波位相を特定する搬送波位相特定手段(110、350)、および
前記搬送波位相特定手段が特定した搬送波位相を、前記第2の搬送波位相として、前記車車間相対位置算出装置に送信する搬送波位相送信手段(120、330)として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−139125(P2009−139125A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313279(P2007−313279)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】