説明

車載情報端末

【課題】優先度を決めるためのテーブルを動的に変更できるようにして、状況やユーザの嗜好に応じたカテゴリーの情報を取捨選択することが可能となる。
【解決手段】車両に搭載されて、路上に設置されている路側通信装置(基地局)と通信を行う車載情報端末102は、当該路側通信装置との通信を行う送受信部1と、送受信部1が受信した路側通信装置からのデータを音声もしくは映像で出力する音声出力部3と、当該データに付加されて路側通信装置から送信されるデータの種類を表すカテゴリーの情報と音声出力部3がデータを出力する順位を決めるための優先度とを対応付けて記憶している優先度テーブルを有した制御部4とを備えている。優先度テーブルの優先度は可変であり、ユーザの操作による優先度設定スイッチ2からの信号または路側通信装置からの指示信号等に基づいて変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車載情報端末に関し、特に、路上等に設置された基地局との間で通信を行うための車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、路上に設置された基地局と車両に搭載された移動局の間で通信を行うことにより有料道路料金所での料金収受を行うシステム(一般に、ETCと称される)が普及してきている。これらのシステムでは料金所側のETC用路上機(基地局)と車両側のETC車載器(移動局)との間で電波通信を行い、有料道路の利用料金を自動的に収受する。
【0003】
これらETCのシステムで用いられているような通信システムを用いて、その他のサービスを行うシステムも多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該文献においては、料金所側のETC用路上機(基地局)と車両側のETC車載器(移動局)との間で電波通信を行うときに、利用料金の自動収集に必要な通信データ以外のデータも併せて通信して車両の搭乗者に情報を提供するシステムや、前記通信時に広告の配信や広告受信時の料金割引を行う広告配信システムが提案されている。
【0004】
一方、近年普及が進んだVICS(Vehicle Information and Communication System)においては、路上に設置された基地局より渋滞情報などの道路情報が提供される。
【0005】
これらの道路情報提供手段より受信したデータを用いてより高度な情報提供を行うシステムにおいては、ユーザが、大量に配信されるデータの中から有用なデータを取捨選択するのが困難である。
【0006】
この問題を解決するため、路上に設置された基地局より受信した複数の情報を分類及び選別し、ユーザが必要な情報を簡易に得られるようにしたナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
さらに、基地局より受信したデータ出力時に、別の優先度の高いデータを受信したときに当該優先度の高いデータを出力するとともに、優先度の高いデータの出力が終わったときに、元の再生中のデータを引き続き出力するようにしてユーザの利便性を向上した車載情報機器が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−269607号公報
【特許文献2】特開2002−319089号公報
【特許文献3】特開2003−85689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2および3に記載の従来の車載情報端末では、あらかじめデータのカテゴリーに応じて設定された優先度に従ってデータの取捨選択を行うのでユーザは受信したデータ取捨選択に特段の注意を払わずに必要な情報を得ることが出来る。しかしながら、データの必要度は状況に応じて変化するものであり、あらかじめ設定された固定の優先度を用いると必ずしも必要に応じた情報が選択されるとは限らないという問題点があった。また、データの必要度はユーザの嗜好によっても異なるので、あらかじめ設定された固定の優先度を用いると、必ずしもそのユーザの必要に応じた情報が選択されるとは限らないという問題点があった。
【0010】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、優先度を決めるためのテーブルを動的に変更できるようにして、状況やユーザの嗜好に応じたカテゴリーの情報を取捨選択することを可能にした車載情報端末を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、車両に搭載されて、路上に設置されている基地局と通信を行う車載情報端末であって、上記基地局との通信を行う通信手段と、上記通信手段が受信した基地局からのデータを音声もしくは映像で出力するデータ出力手段と、上記データに付加されて上記基地局から送信される上記データの種類を表すカテゴリーの情報と、上記データ出力手段がデータを出力する順位を決めるための優先度とを対応付けて記憶している優先度テーブルとを備え、上記優先度テーブルの上記優先度は可変であることを特徴とする車載情報端末である。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、車両に搭載されて、路上に設置されている基地局と通信を行う車載情報端末であって、上記基地局との通信を行う通信手段と、上記通信手段が受信した基地局からのデータを音声もしくは映像で出力するデータ出力手段と、上記データに付加されて上記基地局から送信される上記データの種類を表すカテゴリーの情報と、上記データ出力手段がデータを出力する順位を決めるための優先度とを対応付けて記憶している優先度テーブルとを備え、上記優先度テーブルの上記優先度は可変であることを特徴とする車載情報端末であるので、優先度を決めるためのテーブルを動的に変更できるようにして、状況やユーザの嗜好に応じたカテゴリーの情報を取捨選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係る車載情報端末を用いた情報提供システムの全体構成図を示す。図1に示すように、基地局としての複数の路側通信装置100が、所定間隔で路上に設置されている。なお、路側通信装置100は、一定間隔で設置しなくてもよく、不均一な間隔で設置してもよい。各路側通信装置100は、通信可能な所定の通信エリアを有している。この発明に係る移動局としての車載情報端末102(図3参照)を搭載した車両101が走行してきて通信エリア内に進入すると、車両101に搭載された車載情報端末102は、各路側通信装置100が各車両101に対して送信している種々のデータを受信して、運転者に対して音声もしくは映像により当該データを出力する。
【0014】
各路側通信装置100は、所定の通信エリア内にある車載情報端末102に、運転上の安全に関する情報や広告情報などの各種情報と、それらの情報が属するカテゴリーコード、及び、車載情報端末102が具備する優先度テーブルの操作指示情報を送信する。送信されるデータ列50の例を図2に示す。図2に示すように、データ列50は、車載端末指示フラグ51と、カテゴリーコード52と、ペイロード53とを含んでいる。車載端末指示フラグ51は、車載情報端末102に対して、音声出力部3(図3参照)からのデータの出力を指示するコード、もしくは、優先度テーブル42(図3参照)内の優先度の引き上げを指示するコードが設定される。車載端末指示フラグ51にデータの出力を指示するコードが設定されていた場合は、後続のカテゴリーコード52には、データのカテゴリーを表すコードが設定される。一方、車載端末指示フラグ51に優先度の引き上げを指示するコードが設定されていた場合は、後続のカテゴリーコード52には、優先度の引き上げを行う対象となるカテゴリーのカテゴリーコードが設定される。すなわち、この場合のコードは、カテゴリー毎の優先度を変更させるための路側通信装置100からの指示信号である。ペイロード53には、車載情報端末102から出力するための音声データ(または映像データ)が入力されている。車載端末指示フラグ51にデータの出力を指示するコードが設定されている場合にのみ、それに続くカテゴリーコード52にさらに引き続いて、ペイロード53が送信される。なお、カテゴリーとは、路側通信装置100から送信されるデータの種類を表す情報である(例えば、安全に関する情報、渋滞情報、有料道路の利用料金情報、広告情報、工事情報など)。
【0015】
図3は、この発明に係る車載情報端末102の構成を示した構成図である。図3に示すように、車載情報端末102は、送受信部1(通信手段)と、優先度設定スイッチ2(優先度設定手段)と、音声出力部3(データ出力手段)と、制御部4とを有している。送受信部1には、データの送信および受信を行うためのアンテナ11が設けられている。送受信部1は、アンテナ11を介して、路側通信装置100との通信を行う。優先度設定スイッチ2は、図4に示す様に、ハンドル30上のようにユーザの操作しやすい場所に設けられている。優先度設定スイッチ2には、優先度を上げるように指示するためのスイッチと、優先度を下げるように指示するためのスイッチの2つのスイッチが設けられている。音声出力部3は、制御部4内に設けられている音声データ出力バッファ43(図5参照)から音声データ(または映像データ)を読み出して、音声(または映像)に変換して出力する。制御部4は、メモリ(図示省略)を有しており、当該メモリ内に、受信バッファ41(図5参照)と、優先度テーブル42(図5参照)と、音声データ出力バッファ43(図5参照)とが設けられている。受信バッファ41は、路側通信装置100から送信されてきたデータを記録する。優先度テーブル42は、各カテゴリーの優先度を記憶する。音声データ出力バッファは、路側通信装置100から送信されてきた音声データ(または映像データ)を記録する。
【0016】
図5に、制御部4の処理フロー図を示す。
ステップS1のデータ受信処理では、制御部4は、送受信部1を制御して、路側通信装置100との通信処理を行って、路側通信装置100からデータを受信する。
ステップS2では、優先度設定スイッチ2に関するユーザ(ドライバ)の操作状況を検出して、ステップS3に進む。すなわち、ステップS2では、ユーザ(ドライバ)が優先度設定スイッチ2を操作しているか否か、操作している場合には、優先度を上げる操作か下げる操作かを検出する。
【0017】
ステップS3では、優先度テーブル42の設定処理を行う。
優先度テーブル42に記録されるデータの内容を図7に示す。優先度テーブル42には、カテゴリーコード42a、優先度最小値42b(最小閾値)、選択中フラグ42c、最終受信時刻42d、優先度42e及び優先度補正値42fが記録されている。なお、カテゴリーコード42aおよび優先度最小値42bにはあらかじめ設定された固定値が格納されている。
カテゴリーコード42aはカテゴリーを特定するための固有のコードであり、路側通信装置100が送信するデータの各カテゴリーに対して1対1で関連付けられている。また、優先度最小値42bには、後述の優先度補正値42fが取りうる最小値が記録されている。選択中フラグ42cは、それのカテゴリーが、優先度設定スイッチ2により操作されている対象のカテゴリーである場合にONを表すデータが記録され、それ以外の場合にOFFを表すデータが記録されている。最終受信時刻42dには該カテゴリーの情報を直近に受信した時刻が記録されている。優先度42eには、該カテゴリーを音声出力部3から出力するための優先度が記録されている。すなわち、優先度42eは、各カテゴリーに対応付けられて記憶されている。当該優先度42eは、車両101の使用開始のとき(製造時)には初期値(基準値)として所定の値が設定されているが、ユーザの優先度設定スイッチ2の操作や、路側通信装置100から受信したデータ列50の車載端末指示フラグ51に設定される優先度の引き上げを指示するコードなどによって、動的に変化する。優先度42eおよび優先度補正値42fには、以下に述べる処理を行った結果が記録されている。
【0018】
上記のステップS1で、受信したデータ列50の車載端末指示フラグ51に優先度の引き上げを指示するコードが設定されていた場合は、それの後続のカテゴリーコード52に設定されているカテゴリーコードに対応するカテゴリーについて、優先度テーブル42の優先度42eの値に、予め設定されている所定の値を加算して、加算により得られた値を優先度テーブル42の優先度42eに再設定する。これにより、路側通信装置100から優先度テーブル42内の優先度42eを操作できるので、場所に応じた優先順位を設定することが出来る。
上記のステップS2で、優先度を上げる優先度設定スイッチ2の操作が検出された場合は、優先度テーブル42の選択中フラグ42cがONになっているカテゴリーの優先度42eの値に所定の値を加算した値を、優先度42eに再設定する。すなわち、音声出力部3が出力中のデータのカテゴリーの優先度42e、もしくは、音声出力部3から最後に出力されたデータのカテゴリーの優先度42eの値が変更される。同様に、ステップS2で優先度を下げる優先度設定スイッチ2の操作が検出されている場合は、優先度テーブル42の選択中フラグ42cがONになっているカテゴリーの優先度42eの値から所定の値を減算した値を、優先度42eに再設定する。このように、優先度設定スイッチ2の操作によりユーザ(ドライバ)が優先度を容易に変更することが出来る。また、減算した結果、優先度42eの値が優先度テーブル42の優先度最小値42bより小さくなった場合は、優先度42eの値を優先度最小値42bの値に再設定する。これにより、安全に関するカテゴリーのように予め重要な情報として指定されているカテゴリーの情報については、ユーザ(ドライバ)の誤操作等により、優先度がむやみに下がらないように制限を設けることが出来る。
このようにして、優先度42eの計算を完了すると、次に、優先度補正値42fの設定を行う。
優先度テーブル42の各カテゴリーの最終受信時刻42dに記録されている時刻からの経過時間(第1の経過時間)を計算する。制御部4は、メモリ(図示省略)内に当該経過時間に対応させて予め設定した係数を記憶している。従って、当該係数を用いて、経過時間が3分未満の場合は優先度42eの値に係数1.0を乗じた値を優先度補正値42fに設定する。また、経過時間が、3分以上10分未満の場合は、優先度42eの値に係数0.7を乗じた値を優先度補正値42fに設定する。さらに、経過時間が、10分以上の場合は、0を優先度補正値42fに設定する(この場合は、係数の値が0である。)。データを受信してからの経過時間に応じて優先度補正値42fを設定するので、古くなって陳腐化した情報の優先度を低く抑えることができる。
さらに、音声出力部3が前回データを出力してからの経過時間(第2の経過時間)を計算する。データを出力した時刻は、優先度テーブル42内に記録してもよく、あるいは、音声出力部3内に記録するようにしてもよい。制御部4は、メモリ(図示省略)内に当該経過時間に対応させて予め設定した係数を記憶している。従って、当該係数を用いて、前回データを出力してからの経過時間が1分未満のカテゴリーに対し、優先度補正値42fの値に係数0.3を掛けた値を優先度補正値42fに再設定する。また、経過時間が1分以上2分未満の場合は、優先度補正値42fの値に係数0.5を掛けた値を優先度補正値42fに再設定する。また、経過時間が1分以上2分未満の場合は、優先度補正値42fの値に係数0.7を掛けた値を優先度補正値42fに再設定する。これにより、同一カテゴリーの情報を前回出力してからの経過時間に応じて優先度補正値を設定するので、同じ系統の情報が頻繁に出力されてユーザ(ドライバ)の利便性が損なわれることを抑止出来る。
ただし、優先度補正値を計算するカテゴリーが安全に関するカテゴリーのように重要な情報として予め指定されているカテゴリーについては、受信からの経過時間や出力からの経過時間に依らずに、優先度42eの値をそのまま優先度補正値42fに設定し、以降、変更しないこととする。これにより、安全に関するカテゴリーのように重要な情報の優先度がむやみに下げられないように制限を設けているので、ユーザ(ドライバ)の誤操作によって、必要な重要情報が出力されない事態を回避することが出来る。
【0019】
図5の説明に戻る。図5のステップS4では、路側通信装置100から受信したデータ列50の車載端末指示フラグ51にデータ出力指示が設定されていれば、ステップS5の受信バッファ書き込み処理に進む。一方、車載端末指示フラグ51にデータ出力指示が設定されていなければ、ステップS5の受信バッファ書き込み処理をスキップしてステップS6の出力データ選択処理に移る。
ステップS5では、路側通信装置100より送信され、車載情報端末102が受信したデータ列50(図2)のカテゴリーコード52に対応するカテゴリーの優先度補正値42fの値を優先度テーブル42より検索し、検索された優先度補正値42fが所定の値以上であれば、各種情報とカテゴリーコード及びデータの受信時刻を受信バッファ41に記録する。一方、検索された優先度補正値42fが所定の値よりも低ければ、受信データを記録せず破棄する。これにより、データを保持する一時記録の容量を小さくできるので安価な車載情報端末を得ることが出来る。
【0020】
受信バッファ41に記録されるデータの内容を図6に示す。受信バッファ41には受信したデータのカテゴリーを表すカテゴリーコード41a、出力中フラグ41b及び受信したデータの内容(ペイロード)41cが保管される。
【0021】
ステップS6の出力データ選択処理では、受信バッファ41に記録されたデータの各カテゴリーに対応する優先度補正値42fのうちで、もっとも優先度補正値42fの値が大きいデータ、すなわち、降順に並べた順位が1位のデータを選び出し出力データとする。
一方で、受信バッファ41に記録されたデータのカテゴリーに対応する優先度補正値42fが所定の値より低いデータを受信バッファ41から削除する。また、受信バッファ41に記録されたデータのカテゴリーに対応する優先度補正値42fを降順に並べた場合の順位が所定の順位より低いデータを受信バッファ41から削除する。
ステップS7では、受信バッファ41で出力中フラグ41bがONになっているデータとステップS6で選択されたデータが異なる場合は、ステップS8のデータ出力中止処理へ進む。一方、同一の場合はステップS8,ステップS9をスキップしてステップS10の音声データ出力バッファチェック処理に進む。
ステップS8のデータ出力中止処理では、現在出力中のデータがあれば音声データ出力バッファ43の内容を破棄するとともに、受信バッファ41の現在出力中データに対応する出力中フラグ41bをOFFに設定する。
ステップS9のデータ出力処理では、受信バッファ41より音声データ出力バッファ43ヘデータを転送するとともに、受信バッファ41の現在出力中フラグ41bに対応する出力フラグをONに設定する。これにより、ステップS6で選択された出力データが音声出力部3から音声または映像として出力される。
ステップS10の音声データ出力バッファチェック処理では、音声データ出力バッファ43が空か否かを確認する。ステップS11で、音声データ出力バッファ43が空ならば、ステップS6の出力データ選択処理に進む。一方、ステップS11で空でなければステップS1のデータ受信処理に進む。
【0022】
以上のように、本実施の形態においては、優先度テーブル42における優先度42eの値を、ユーザ(ドライバ)の優先度設定スイッチ2の操作か、あるいは、路側通信装置100から送信されてくるデータ列50の車載端末指示フラグ51に優先度の引き上げを指示するコードが設定されているかに従って、受信した情報を出力する優先度を決める優先度テーブル42の優先度42eの値を動的に変更できるようにしているので、車載器情報機器が情報の取捨選択を行う際に、優先度が固定値だった従来に比べ、状況やユーザ(ドライバ)の嗜好に応じたカテゴリーの情報を取捨選択することが出来る。
【0023】
また、優先度設定スイッチ2が操作される場合に、対象となるカテゴリーは、現在出力中のカテゴリーまたは最後に出力されたデータのカテゴリーを操作対象のカテゴリーとして自動的に決定するようにしたので、カテゴリーの優先度を設定する際にカテゴリーの選択を行う必要がなく、ユーザ(ドライバ)の負荷を軽減することができる。
【0024】
また、優先度設定スイッチ2には、優先度を上げるボタンと優先度を下げるボタンとの2つのボタンを設けるようにしたので、カテゴリーの優先度を設定する際に、ボタン2つのみの操作で優先度を任意に設定することが出来る。
【0025】
また、安全に関するカテゴリーのように予め重要な情報として指定されているカテゴリーの情報については、優先度補正値42fの値がむやみに下げられないよう制限を設けているので、ユーザの誤操作によって、必要な安全情報が出力されない事態を回避できる。
【0026】
また、路側通信装置100から送信されてくるデータ列50の車載端末指示フラグ51に優先度の引き上げを指示するコードを設定できる構成にしたので、路側通信装置(基地局)より、優先度テーブル42の優先度42eの値を操作できるので、場所に応じた優先順位を設定することが出来る。
【0027】
また、同一カテゴリーの情報を前回出力してからの経過時間に応じて優先度補正値42fを設定するようにしたので、同じ系統の情報が頻繁に出力されユーザの利便性が損なわれるのを抑止できる。
【0028】
また、データを受信してからの経過時間に応じて優先度を設定するので、古くなってしまい陳腐化した情報が出力されユーザの利便性が損なわれるのを抑止できる。
【0029】
また、優先度補正値は、安全に関するカテゴリーのように予め重要な情報として指定されたカテゴリーの優先度補正値を計算するための算式と、それ以外のカテゴリーの優先度補正値を計算するための算式とを異なるものにし、重要な情報として指定されたカテゴリーの優先度補正値42fの値がむやみに下げられないよう制限を設けているので、ユーザの誤操作によって、必要な安全情報が出力されない事態を回避できる。
【0030】
また、優先度補正値が所定のしきい値よりも低いカテゴリーの情報については、受信データを出力せずに破棄するようにしたので、受信データを保持する一時記録の容量を小さく構成できるので安価な車載情報端末が得られる。
【0031】
また、優先度補正値の値を降順にした場合に、所定の順位以下の受信データを出力せずに破棄するようにしたので、受信データを保持する一時記録の容量を小さく構成できるので安価な車載情報端末が得られる。
【0032】
なお、上記の説明においては、音声出力部3から音声データまたは映像データを出力する例について説明したが、その場合に限らず、音声データと映像データの両方を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末を用いた情報提供システムの全体構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末を用いた情報提供システムにおける路側通信装置から送信されるデータ列の一例を示した説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末の構成を示した構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末における優先度設定スイッチの設置状態を示した説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末における制御部の処理の流れを示した流れ図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末における受信バッファのデータ形式の一例を示した説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る車載情報端末における優先度テーブルのデータ形式の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 送受信部、2 優先度設定スイッチ、3 音声出力部、4 制御部、11 アンテナ、30 ハンドル、41 受信バッファ、41a カテゴリーコード、41b 出力中フラグ、41c ペイロード、42 優先度テーブル、42a カテゴリーコード、42b 優先度最小値、42c 選択中フラグ、42d 最終受信時刻、42e 優先度、42f 優先度補正値、43 音声データ出力バッファ、50 データ列、51 車載端末指示フラグ、52 カテゴリーコード、53 ペイロード、100 路側通信装置、101 車両、102 車載情報端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、路上に設置されている基地局と通信を行う車載情報端末であって、
上記基地局との通信を行う通信手段と、
上記通信手段が受信した基地局からのデータを音声もしくは映像で出力するデータ出力手段と、
上記データに付加されて上記基地局から送信される上記データの種類を表すカテゴリーの情報と、上記データ出力手段がデータを出力する順位を決めるための優先度とを対応付けて記憶している優先度テーブルと
を備え、
上記優先度テーブルの上記優先度は可変であることを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
上記優先度の値を設定するための優先度設定手段を有し、
上記優先度設定手段が操作されたときに、上記データ出力手段が出力中のデータのカテゴリーもしくは最後に出力されたデータのカテゴリーの優先度の値が変更されることを特徴とする請求項1に記載の車載情報端末。
【請求項3】
上記優先度設定手段は、
優先度を上げるように指示する手段と、
優先度を下げるように指示する手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の車載情報端末。
【請求項4】
上記カテゴリーのうちで、重要なデータであるとして予め指定されたカテゴリーについては、上記優先度の値の最小閾値を設けておき、上記優先度の値が上記最小閾値の値以下になった場合には、上記優先度の値として上記最小閾値の値を設定することを特徴とする請求項2または3に記載の車載情報端末。
【請求項5】
上記基地局は、上記カテゴリー毎の上記優先度を変更させるための指示信号を送信し、
上記通信手段が上記指示信号を受信したときに、該当するカテゴリーの優先度が変更されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載情報端末。
【請求項6】
上記通信手段がデータを受信してからの経過時間を第1の経過時間として測定する第1の経過時間測定手段と、
上記第1の経過時間ごとに予め設定された係数を記憶している第1の係数記憶手段と、
上記第1の経過時間測定手段が測定した第2の経過時間に基づいて、上記第1の係数記憶手段から係数を抽出し、当該係数を上記優先度の値に乗じた値を上記優先度として再設定する第1の優先度補正手段と
を備えたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の車載情報端末。
【請求項7】
同一カテゴリーのデータを上記データ出力手段が前回出力してからの経過時間を第2の経過時間として測定する第2の経過時間測定手段と、
上記第2の経過時間ごとに予め設定された係数を記憶している第2の係数記憶手段と、
上記第2の経過時間測定手段が測定した第2の経過時間に基づいて、上記第2の係数記憶手段から係数を抽出し、当該係数を上記優先度の値に乗じた値を上記優先度として再設定する第2の優先度補正手段と
を備えたことを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1項に記載の車載情報端末。
【請求項8】
上記第1の優先度補正手段は、重要なデータであるとして予め指定されたカテゴリー以外のカテゴリーについて上記再設定を行うことを特徴とする請求項6に記載の車載情報端末。
【請求項9】
上記第2の優先度補正手段は、重要なデータであるとして予め指定されたカテゴリー以外のカテゴリーについて上記再設定を行うことを特徴とする請求項7に記載の車載情報端末。
【請求項10】
上記通信手段が受信したデータの上記優先度が所定の値よりも低い場合に、上記データ出力手段は、当該データを出力せずに破棄する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車載情報端末。
【請求項11】
上記優先度の順位が所定の順位以下の場合には、上記データ出力手段は、上記データを出力せずに破棄することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−102406(P2007−102406A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289872(P2005−289872)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】