説明

車載機器システム

【課題】チューナでの受信可能な放送局の適切な探索をできるだけ犠牲にすることなく、消費電力を節約することが可能となる「車載機器システム」を提供することである。
【解決手段】チューナを含む複数の車載機器と、バックグラウンドにて該チューナを動作させて受信局探索処理(S12)を行う処理ユニットとを有する車載機器システムであって、前記処理ユニットは、前記受信局探索処理が終了したときに、前記チューナに対する電力供給を遮断する電力遮断制御手段(S19)と、予め定めた前記受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたか否かを判定する判定手段(S20〜S22)と、前記受信局探索処理を開始すべき前記条件が満たされたとの判定がなされたときに、前記チューナに対する電力供給を再開させて前記受信局探索処理を開始する受信局探索処理開始制御手段(S25)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送局から放送される情報を受信するチューナを含む複数の車載機器と処理ユニットとを備えた車載機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在地域で受信可能な複数の放送局からの搬送周波数に基づいて現在地域を確認することができる放送受信装置が提案されている。例えば、放送受信装置におけるCPUによって、受信周波数を段階的に切り換えながらFM放送受信機によって現在地域で正常に受信可能な複数の放送局からの搬送周波数をそれぞれ検出し、該検出された複数の周波数に基づいて地域放送局データメモリを検索し、現在地域を特定すると共に、この現在地域に合った地域名とともに放送局名を表示し、地域にあった放送局を自動選局する放送受信装置が提案されている(特許文献1参照)。このような放送受信装置では、常に情報の受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−93394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載の放送受信装置(チューナ)を含む複数の車載機器が一体となった車載機器システムがある。このような車載機器システムにおいては、チューナだけでなく、例えば、CDやDVDの再生やナビゲーション装置等のチューナ以外の車載機器の動作を選択することができ、車両において種々の機能を乗員に提供することができる。
【0005】
また、前記放送受信装置(チューナ)を含む複数の車載機器が一体となった車載システムでは、チューナにて常に良好な受信動作を提供することができるようにするために、チューナ以外の車載機器の動作が選択されているときであっても、当該車載機器の動作のバックグラウンドでチューナを動作させて、受信局(放送局)の探索処理を実行することができるものもある。しかしながら、他の車載機器の動作のバックグラウンドで常に受信局の探索処理を行うのでは、受信可能な受信局が変化するほどの車両移動がなされていないにも受信局の探索処理がなされてしまうので、省電力の観点から問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、チューナでの受信可能な放送局の適切な探索をできるだけ犠牲にすることなく、消費電力を節約することのできる車載機器システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載機器システムは、放送局から放送される情報を受信するチューナを含む複数の車載機器と、チューナ以外の車載機器の動作が選択されているときに、当該車載機器の動作のバックグラウンドで前記チューナを動作させて該チューナにて情報受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理を行う処理ユニットとを有する車載機器システムであって、前記処理ユニットは、前記受信局探索処理が終了したときに、前記チューナに対する電力供給を遮断する電力遮断制御手段と、予め定めた前記受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたか否かを判定する判定手段と、前記受信局探索処理を開始すべき前記条件が満たされたとの判定がなされたときに、前記チューナに対する電力供給を再開させて前記受信局探索処理を開始する受信局探索処理開始制御手段とを有する構成となる。
【0008】
このような構成によれば、チューナ以外の車載機器の動作のバックグラウンドで電力供給を受けるチューナを用いて実行される受信局探査処理が終了すると、当該チューナに対する電力供給が遮断され、その後、受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたときに、チューナへの電力供給が再開されて前記受信局探索処理が開始されるので、常時チューナに電力供給をすることなく、受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるようになる。
【0009】
本発明に係る車載機器システムにおいて、前記処理ユニットは、前記受信局探索処理がなされた際の自車位置を前記記憶部に格納する自車位置取得手段を有し、前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、前記記憶部に格納された自車位置からの走行距離が所定距離に達しているという条件である構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、常時チューナに電力供給することなく、受信局探索処理がなれてから車両が所定距離走行するまでの間チューナへの電力供給が遮断され、該車両が前記所定距離走行したときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるようになる。即ち、チューナでの受信可能な放送局が変化すると見込まれるほど長距離(所定距離)の走行がなされるまでの間は、次の受信局探索処理がなされないようにすることができる。
【0011】
本発明に係る車載機器システムにおいて、前記処理ユニットは、前記受信局探索処理がなされた際の時刻を前記記憶部に格納する調査時刻格納手段を有し、前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、前記記憶部に格納された時刻から所定時間が経過しているという条件である構成とすることができる。
【0012】
このような構成によれば、常時チューナに電力供給することなく、受信局探索処理がなされてから所定時間経過するまでの間チューナへの電力供給が遮断され、該所定時間が経過したときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるようになる。
【0013】
本発明に係る車載機器システムにおいて、前記処理ユニットは、前記受信局探索処理により得られた情報受信可能な受信局が変わったときに、自車位置を含む場所を表す情報を受信環境変化場所として記憶部に格納する受信状況変化取得手段を有し、前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、自車位置が前記記憶部に格納された受信環境変化場所に含まれるという条件である構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、常時チューナに電力供給することなく、受信局探索処理がなれてから車両の位置が、情報受信可能な受信局が変わる位置として記憶部に格納された受信環境変化場所に含まれるまでの間チューナへの電力供給が遮断され、該車両が前記受信環境変化場所に含まれたときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるようになる。
【0015】
本発明に係る車載機器システムは、前記判定手段による予め定めた前記受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたと判定がなされたときに、前記受信局探索処理の開始前に、電力供給の再開された前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定する受信環境変化判定手段と、該受信環境変化判定手段にて前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化がないとの判定がなされたときに、前記チューナに対する電力供給を遮断する電力再遮断制御手段とを有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、チューナへの電力供給が遮断されている際に予め定めた受信局探索処理を開始すべき条件が満たされることによって再度チューナへの電力供給がなされ、受信局探索処理が開始される前に、情報受信可能な放送局に変化があるか否かを探索し、チューナでの情報受信可能な放送局に変化がないとの判定がなされたときに、受信局探索処理をおこなうことなくチューナの電源を遮断することが可能となる。
【0017】
本発明に係る車載機器システムにおいて、前記受信環境変化判定手段は、前記受信局探索処理にて既に情報受信可能であるとされている全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定する構成とすることができる。
【0018】
このような構成によれば、受信局探索処理にて既に情報受信可能であるとされている全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、チューナでの情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定するので、全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルを取得するのみで情報受信可能な放送局に変化があるか否かの判定をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る車載機器システムによれば、常時チューナに電力供給をすることなく、受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるので、チューナでの受信可能な放送局の適切な探索をできるだけ犠牲にすることなく、常時チューナに電力供給がなされる場合に比べて消費電力を節約できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかる車載機器システムを示すブロック図である。
【図2A】図1に示す車載機器システムによるチューナ以外の車載機器の動作が選択されているときに、そのバックグラウンドにてチューナが行う処理の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図2B】図1に示す車載機器システムによるチューナ以外の車載機器の動作が選択されているときに、そのバックグラウンドにてチューナが行う処理の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の形態に係る車載機器システムは、図1に示すように構成される。
【0023】
図1において、車載機器システム100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、放送局から放送される情報(例えば、放送番組等)を受信するチューナ(受信機)17と、CD及びDVDの再生が可能なCD・DVD再生装置18、及び、自車両を設定された目的地まで案内するナビゲーション装置19がそれぞれ接続されている。また、処理ユニット11には、ナビゲーション装置19で利用するための地図情報及びチューナ17によって受信される情報の放送局ごとの受信レベル等の各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。さらに、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13と、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等からなる操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0024】
また、車載機器システム100に設けられた処理ユニット11、チューナ17、CD・DVD再生装置18、及びナビゲーション装置19には、電源装置20からの電力を供給するための電線22が接続されている。この電力を送電する電線22において、電源装置20から延びる電線22aの中腹部から別方向に延びる電線22bが処理ユニット11と接続されている。また、電線22aの先端にはスイッチ21aが接続されており、例えば、乗員(利用者)が車両のエンジンをかける(イグニッション動作)と同時に導通し(スイッチON状態になり)、電線22cに電力が供給されるようになっている。この電線22cには、ナビゲーション装置19と接続される電線22d、CD・DVD再生装置18と接続される電線22e、及びチューナ17と接続される電線22fそれぞれが接続されている。また、チューナ17と接続される電線22fには、スイッチ21bが設けられており、後述する所定の条件が満たされるときに導通する(スイッチON状態になる)ようになっている。
【0025】
このような構成によって、スイッチ21bが導通している(電源ON状態)になっているときにのみ、チューナ17に電力供給がなされるようになっている。例えば、処理ユニット11は、チューナ17の動作が選択されているときに、該チューナ17によって受信された放送局(例えば、FMラジオ放送局)からの情報を音声信号として取得し、該信号を出力回路15を介して、スピーカ16から音声として出力させるようになっている。
【0026】
例えば、処理ユニット11は、チューナ17以外の車載機器(CD・DVD再生装置18、もしくはナビゲーション装置19)の動作が選択されているときに、選択された動作のバックグラウンドでチューナ17を動作させることによって該チューナ17にて情報受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理を行う。さらに、処理ユニット11は、受信局探索処理が終了したときに、チューナ17に対する電力供給を遮断する電力供給遮断機能(電力供給遮断手段)と、予め定めた受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたか否かを判定する判定機能(判定手段)と、判定機能によって受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたとの判定がなされたときにチューナ17に対する電力供給を再開させて、受信局探索処理を開始する受信局探索処理開始制御機能(受信局探索処理開始制御手段)とを有している。
【0027】
上記各機能を有する処理ユニット11は、図2A及び図2Bに示す手順に従って処理を実行する。
【0028】
図2A及び図2Bにおいて、処理ユニット11は、乗員(利用者)が操作部11を操作して選択した車載機器を取得し、選択された車載機器がチューナ17であるか否かを判定する。例えば、乗員によって選択された車載機器がチューナ17であるとき(以下、チューナモードという。)に、処理ユニット11は、チューナモードでの処理をおこなう(S11)。具体的には、チューナ17によって受信された放送局(例えば、ラジオ局)から放送される情報を音声信号として取得し、該音声信号を出力回路15を介してスピーカ16から音声として出力させる。そして、処理ユニット11は、チューナ17以外の車載機器(例えば、ナビゲーション装置19等)を利用するモードが選択されるのを監視しつつ(S12)、チューナ以外の車載機器を利用するモードに移行した(S12でYES)ときに、チューナ17に対する電力供給を止めることなく、バックグラウンドにて受信局探索処理をおこなう(S13)。具体的には、処理ユニット11は、チューナ17に前述した情報受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理を行わせる。この受信局探索処理によって取得された情報受信可能な放送局に関するデータ(受信フィールド環境情報)は、例えば、リスト形式にて生成され、該リストを記憶部14に記憶させるようになっている。
【0029】
そして、処理ユニット11は、チューナ17によるバックグラウンドにておこなう受信局探索処理が終了したか否かを判定する(S14)。これによってチューナ17によるバックグラウンドにておこなう受信局探索処理が終了したと判定された(S14でYES)ときに、処理ユニット11は該受信局探索処理がなされた際の自車両が位置する自車位置を記憶部14に格納する(S15)。具体的には、処理ユニット11は、記憶部14に記憶された地図情報及びナビゲーション装置19内に設けられるGPSユニット等から演算し、得られた自車位置を記憶部14に格納する(自車位置取得手段)。加えて、処理ユニット11(調査時刻格納手段)は、受信局探索処理がなされた際の時刻を記憶部14に格納する(S15)。
【0030】
このように処理S15及び処理S16によって受信局探索処理がなされた際の位置自車位置及び時刻等を記憶部14に格納した後に、処理ユニット11は、以前記憶部14に記憶された受信フィールド環境情報と前述した処理S13の受信局探索処理によって取得された情報を基に生成された受信フィールド環境情報とを比較し、情報受信可能な受信局が変わったか否かを判定する(S17)。これによって、処理ユニット11(受信状況変化取得手段)は、受信局探索処理によって得られた情報受信可能な受信局が変わったと判定されたときに、自車位置を含む場所を表わす情報(例えば、現在位置を含む都道府県名等の地域名称)を受信環境変化場所として記憶部14に格納する(S18)。そして、処理ユニット11は、チューナ17に対する電力供給を遮断する(S19)同じく、処理S17において、情報受信可能な受信局が変わらないと判定されたとき(S17でNO)のときにも、処理ユニット11は、チューナ17に対する電源装置20からの電力供給を電線22fに設けられたスイッチ21bをOFF状態にすることで遮断する(電力遮断制御手段)。
【0031】
そして、処理ユニット11は、前述した判定機能によって予め定めた受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたか否かを判定する(判定手段)。まず、処理ユニット11は、前述した処理S16にて記憶部14に格納された受信局探索処理がなされた際の時刻から一定時間(例えば、1時間等)が経過したか否かを判定する(S20)。これによって、記憶部14に格納された受信局探索処理がなされた際の時刻から一定時間が経過していないと判定された(S20でNO)ときに、処理ユニット11は、続いて処理S15にて記憶部14に格納された受信局探索処理がなされた際の自車位置から一定距離(例えば、30km)移動したか否かを判定する(S21)。
【0032】
これによって、記憶部14に格納された受信局探索処理がなされた際の自車位置から一定距離移動していないと判定された(S21でNO)ときに、処理ユニット11は、処理S18によって記憶部14に格納された受信環境変化場所に位置しているか否かを判定する(S22)。これによって、記憶部14に格納された受信環境変化場所に位置していないと判定された(S22でNO)のときに、処理ユニット11は、チューナモードが選択されたか否かを判定する(S23)。これによって、チューナモードが乗員によって選択された(S23でYES)ときに、処理ユニット11は、前述した処理S20〜S22に示す判定機能による処理を終了し、チューナ17に電力を供給するべく電線22f内に設けられたスイッチ21bをON状態にする(S24)。そして処理ユニット11は、チューナモードでの処理(S11)に移行し、前述した処理S11〜S23をおこなう。
【0033】
一方、処理S23によってチューナモードが選択されない(S23でNO)ときに、処理ユニット11は、処理S20〜S22までの判定処理を繰り返しおこなう。これによって、処理S20〜S22での判定処理において、それぞれの規定する何らかの条件が満たされた(S20でYES、S21でYES、S22でYESのいずれか)ときに、処理ユニット11は、チューナ17への電力供給を再開すべく電線22f内に設けられたスイッチ21bをON状態にし(S25)、チューナ17での情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定する受信チェックをおこない(S26)、それによって受信状況が変化したか否かを判定する(S27)。具体的には、処理ユニット11は、受信局探索処理にて既に情報受信可能であるとされている全受信局(記憶部14に記憶された受信フィールド環境情報)のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、該チューナ17での情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定するようになっている(受信環境変化判定手段)。なお、前述した処理S26における受信チェックをおこなう所定数の放送局は、乗員が自由に設定可能であり、例えば、記憶部14に記憶された受信環境情報のうち、最も情報受信レベルが高い放送局、その次に最も情報受信レベルが低い放送局、そして2番目に情報受信レベルが高い放送局・・・というように、検索する順序も自由に設定することが可能となっている。
【0034】
これによって、全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、該チューナ17での情報受信可能な放送局に変化が無いと判定された(S27でNO)ときに、処理ユニット11(電力再遮断制御手段)は、直ちに受信チェックを終了し、チューナ17への電力供給を遮断させる(S19)。一方、全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、該チューナ17での情報受信可能な放送局に変化があったと判定された(S27でYES)ときに、処理ユニット11は、処理S13に移行し、再度バックグラウンドにおいて、チューナ17に前述した情報受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理を行わせる。
【0035】
以上のような構成によって、処理ユニット11は、チューナ17以外の車載機器の動作が選択されているときに、そのバックグラウンドにておこなう受信局探索処理がなされた際の各種情報及び放送局からの放送受診レベル情報等を記憶部14に格納した後にチューナ17の電源を遮断し、各種所定の条件が満たされない限りはチューナ17への電力供給を遮断するようになっている。さらに、各種所定の条件が満たされた際に行われる放送局からの情報の受信を所定数に限っておこない、特に受信状況に変化が無ければ、即座にチューナ17への電力供給を遮断するようになっている。これらの構成によって、処理ユニット11がチューナ17への電源装置20からの電力を遮断する各種制御を行うことで、放送局の適切な探索(受信局探索処理)を犠牲にすることなく、該探索処理(受信局探索処理)に用いる消費電力を節約することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上、説明したように、本発明に係る車載機器システムは、常時チューナに電力供給をすることなく、受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたときに、チューナに対する電力供給がなされて受信局探索処理がなされるので、チューナでの受信可能な放送局の適切な探索をできるだけ犠牲にすることなく、常時チューナに電力供給がなされる場合に比べて消費電力を節約できるという効果を奏し、放送局から放送される情報を受信するチューナを含む複数の車載機器と該チューナの処理を行う処理ユニットとを備えた車載機器システムとして有用である。
【符号の説明】
【0037】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 チューナ(受信機)
18 CD・DVD再生装置
19 ナビゲーション装置
100 車載機器システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から放送される情報を受信するチューナを含む複数の車載機器と、チューナ以外の車載機器の動作が選択されているときに、当該車載機器の動作のバックグラウンドで前記チューナを動作させて該チューナにて情報受信可能な放送局を調べるための受信局探索処理を行う処理ユニットとを有する車載機器システムであって、
前記処理ユニットは、
前記受信局探索処理が終了したときに、前記チューナに対する電力供給を遮断する電力遮断制御手段と、
予め定めた前記受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたか否かを判定する判定手段と、
前記受信局探索処理を開始すべき前記条件が満たされたとの判定がなされたときに、前記チューナに対する電力供給を再開させて前記受信局探索処理を開始する受信局探索処理開始制御手段とを有する車載機器システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、
前記受信局探索処理がなされた際の自車位置を前記記憶部に格納する自車位置取得手段を有し、
前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、前記記憶部に格納された自車位置からの走行距離が所定距離に達しているという条件である請求項1記載の車載機器システム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、
前記受信局探索処理がなされた際の時刻を前記記憶部に格納する調査時刻格納手段を有し、
前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、前記記憶部に格納された時刻から所定時間が経過しているという条件である請求項1または2記載の車載機器システム。
【請求項4】
前記処理ユニットは、
前記受信局探索処理により得られた情報受信可能な受信局が変わったときに、自車位置を含む場所を表す情報を受信環境変化場所として記憶部に格納する受信状況変化取得手段を有し、
前記判定手段での判定に係る前記受信局探索処理を開始すべき条件は、自車位置が前記記憶部に格納された受信環境変化場所に含まれるという条件である請求項1乃至3のいずれかに記載の車載機器システム。
【請求項5】
前記判定手段による予め定めた前記受信局探索処理を開始すべき条件が満たされたと判定がなされたときに、前記受信局探索処理の開始前に、電力供給の再開された前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定する受信環境変化判定手段と、
該受信環境変化判定手段にて前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化がないとの判定がなされたときに、前記チューナに対する電力供給を遮断する電力再遮断制御手段とを有する請求項1乃至4のいずれかに記載の車載機器システム。
【請求項6】
前記受信環境変化判定手段は、前記受信局探索処理にて既に情報受信可能であるとされている全受信局のうち所定数の放送局からの情報受信レベルに応じて、前記チューナでの情報受信可能な放送局に変化があるか否かを判定する請求項5記載の車載機器システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2012−99930(P2012−99930A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244200(P2010−244200)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】