説明

車載用テレビ放送送受信システム

【課題】車載用テレビ放送送信装置の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更とを同一の操作によって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができる「車載用テレビ放送送受信システム」を提供すること。
【解決手段】送信周波数変更手段14によって、操作手段21の操作による車載用地上アナログ放送受信装置3の受信周波数の変更を検知して、送信周波数を当該変更後の車載用地上アナログ放送受信装置3の受信周波数と同一周波数の送信周波数に変更すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用テレビ放送送受信システムに係り、特に、地上デジタル放送を車載用地上アナログ放送受信装置によって視聴するのに好適な車載用テレビ放送送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、来年(2011年)7月に予定されている地上アナログ放送の停波に向けて、車載用地上デジタル放送受信機が普及してきている。
【0003】
しかし、現在も、市場および各家庭には、依然として車載用地上アナログ放送受信機を搭載した車両が数多く存在する。特に、純正品として車載用地上アナログ放送受信機を搭載している車両の場合には、車両のコンソールパネルの取り外しやカーナビ本体の取り出し等の作業に手間やコストを要するため、簡単に車載用地上デジタル放送受信機に交換することはできない。
【0004】
そこで、このような既存の車載用地上アナログ放送受信機を地上デジタル放送の視聴に用いることを可能とする手段として、地上デジタル放送の放送信号を受信し、受信された放送信号をアナログテレビ信号に変換して地上アナログ放送受信機に送信(転送)する車載用テレビ放送送信機が提案されるようになった。この車載用テレビ放送送信機は、その送信用アンテナを車載用地上アナログ放送受信機の受信用アンテナに近接させた状態で車内に設置されるようになっている。
【0005】
例えば、特許文献1においては、この種の車載用テレビ放送送信機として、地上デジタル放送を受信する受信機と受信した映像信号および音声信号をアナログテレビ信号に変換して地上アナログ放送受信機に送信する送信機とを一体化させた地上デジタルテレビ放送変換装置が提案されている。
【0006】
また、実際に製品化されている車載用テレビ放送送信機の一例としては、マスプロ電工株式会社製のアナログカーテレビ用ワンセグセットがある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3136154号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】インターネット<http://www.maspro.co.jp/new_prod/movt2/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、日本では、微弱無線局の規定(電波法第4条第1号)により、無線局の免許を要することなく利用することが許容された許容送信電力(許容電界強度)が、各周波数帯域ごとに定められている。具体的には、300MHz〜3GHzの極超短波(UHF:Ultra High Frequency)帯のうち、地上デジタル放送および地上アナログ放送に用いられている周波数帯(470〜770MHz)においては、許容送信電力が35μV/m以下と定められている。一方、地上アナログ放送のみに用いられている超短波(VHF:Very High Frequency)帯においては、許容送信電力が500μV/m以下と定められている。
【0010】
このような微弱無線局の規定によれば、車載用テレビ放送送信機によって地上デジタル放送の放送信号をアナログテレビ信号に変換して車載用地上アナログ放送受信機に送信する際に、送信周波数として前述したUHF帯を用いることは、許容送信電力が極めて小さいため困難である。したがって、アナログテレビ信号の送信周波数としては、許容送信電力が比較的大きいVHF帯を用いることが現実的となっている。
【0011】
しかし、アナログテレビ信号の送信周波数としてVHF帯を用いる場合においも、許容送信電力が十分に大きいわけではないので、同じVHF帯(同一チャンネルまたは隣接チャンネル)を用いている地上アナログ放送の妨害(混信)によって、車載用テレビ放送送信機から送信されたアナログテレビ信号を車載用地上アナログ放送受信機側で良好に受信することができない場合も多い。また、車両に搭載される構成上、車両の移動にともなって電波状況も変化し得るため、このような妨害の可能性は絶えず付きまとうことになる。
【0012】
なお、地上アナログ放送は停波されることが決定されているため、このような地上アナログ放送による妨害の影響は将来的には無くなるが、地上アナログ放送の停波後には、停波によって空いたVHF帯をテレビジョン以外の放送(例えば、マルチメディア放送)に用いることが計画されているため、将来的には、この新たな放送が妨害となることが懸念される。
【0013】
このような妨害を受けた場合には、車載用地上アナログ放送受信機側で出力される映像および音声は、ノイズ混じりで視聴しづらい映像・音声となってしまう。
【0014】
こうなった場合に、ユーザは、車載用テレビ放送送信機の送信周波数(チャンネル)をリモコン操作等のユーザ操作によって変更するとともに、車載用地上アナログ放送受信機の受信周波数(チャンネル)をリモコン操作等のユーザ操作によって送信周波数の変更先と同一の周波数に変更することによって、視聴中の映像・音声を良好に視聴できるチャンネルを探し出すことは可能であった。
【0015】
しかしながら、このような車載用テレビ放送送信機の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信機の受信周波数の変更とは、互いに異なる機器に対する互いに異なるユーザ操作を要するといった操作上の問題を有していた。このような問題は、車載用地上アナログ放送受信機の受信周波数の変更を車載用テレビ放送送信機の送信周波数の変更よりも先に行う場合においても同様であった。
【0016】
さらに、こればかりでなく、車載用テレビ放送送信機の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信機の受信周波数の変更との間には、必然的にタイムラグが生じていたため、このタイムラグに該当する期間中、車載用地上アナログ放送受信機側ではスノーノイズ(砂嵐)およびホワイトノイズが出力され、ユーザに不快感を与えるといった問題も生じていた。
【0017】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、車載用テレビ放送送信装置の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更とを同一の操作によって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができ、ひいては、操作性を向上させることができるとともにノイズの出力を抑制してユーザの不快感を軽減することができる車載用テレビ放送送受信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムは、車両に搭載され、設定された受信周波数に該当する地上デジタル放送の放送信号を受信し、この受信した放送信号を、所定の周波数範囲に属する設定された送信周波数のアナログテレビ信号に変換し、この変換したアナログテレビ信号を、車載用地上アナログ放送受信装置に送信する車載用テレビ放送送信装置と、この車載用テレビ放送送信装置によって送信された前記アナログテレビ信号を、前記送信周波数と同一周波数の受信周波数が設定された状態で受信する前記車載用地上アナログ放送受信装置とを備えた車載用テレビ放送送受信システムであって、前記車載用地上アナログ放送受信装置は、これの前記受信周波数の変更を指示する操作を行うための操作手段と、この操作手段の前記操作に応じて前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数を変更する受信周波数変更手段とを備え、前記車載用テレビ放送送信装置は、前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知して、前記送信周波数を当該変更後の前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数と同一周波数の送信周波数に変更する送信周波数変更手段を備えたことを特徴としている。そして、このような構成によれば、送信周波数変更手段によって、操作手段の操作による車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知して、送信周波数を変更後の車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数と同一周波数の送信周波数に変更することができるので、車載用テレビ放送送信装置の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更とを同一の操作によって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができる。
【0019】
また、前記車載用地上アナログ放送受信装置は、これの前記受信周波数が変更された時点から所定時間にわたって消音を行う消音手段を備えてもよい。そして、このような構成によれば、車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更から車載用テレビ放送送信装置の送信周波数の変更までの間にわずかなタイムラグが生じたとしても、その間における音声のノイズの出力を確実に抑制することができる。
【0020】
さらに、前記車載用地上アナログ放送受信装置は、これの前記受信周波数が変更された際に、前記車載用テレビ放送送信装置に対して当該受信周波数の変更の通知を行う受信周波数変更通知手段を備え、前記送信周波数変更手段は、前記受信周波数変更通知手段の前記通知によって、前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知してもよい。そして、このような構成によれば、車載用テレビ放送送信装置側で、車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数が変更されたことを、受信周波数変更通知手段の通知といった簡便な手法によって迅速に検知することができる。
【0021】
さらにまた、前記送信周波数変更手段は、前記操作手段の前記操作を検出することによって、前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知してもよい。そして、このような構成によれば、車載用テレビ放送送信装置側で、車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数が変更されることを、操作手段の操作の検出といった簡便な手法によって迅速に検知することができる。
【0022】
また、前記所定の周波数範囲は、VHF帯であってもよい。そして、このような構成によれば、電波法との関係から送信周波数として好適な帯域を用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車載用テレビ放送送信装置の送信周波数の変更と車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更とを同一の操作によって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができ、ひいては、操作性を向上させることができるとともにノイズの出力を抑制してユーザの不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第1実施形態を示す構成図
【図2】本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第1実施形態において、基本動作を従来と比較して説明するための説明図
【図3】本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第2実施形態を示す構成図
【図4】本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第2実施形態において、受信機側受信周波数の変更指示操作と送信周波数の変更先との対応関係が記述されたテーブルを示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第1実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における車載用テレビ放送送受信システム1は、車両に搭載された車載用テレビ放送送信装置としての車載用テレビ放送送信機2と、車両に搭載された車載用地上アナログ放送受信装置としての車載用地上アナログ放送受信機3とによって構成されている。
【0027】
ここで、車載用テレビ放送送信機2は、設定された受信周波数に該当する地上デジタル放送の放送信号を受信し、この受信した放送信号を、所定の周波数範囲に属する設定された送信周波数のアナログテレビ信号に変換し、この変換したアナログテレビ信号を車載用地上アナログ放送受信機3に送信するようになっている。
【0028】
一方、車載用地上アナログ放送受信機3は、車載用テレビ放送送信機2によって送信されたアナログテレビ信号を、車載用テレビ放送送信機2に設定されている送信周波数と同一周波数の受信周波数が設定された状態で受信するようになっている。
【0029】
より具体的には、図1に示すように、車載用テレビ放送送信機2は、受信用アンテナ4aが接続された地デジチューナ4を有している。この地デジチューナ4は、UHF帯専用チューナであってもよい。
【0030】
地デジチューナ4は、UHF帯を用いて放送されている地上デジタル放送の電波(放送波)を、受信用アンテナ4aを介して受信するようになっている。そして、地デジチューナ4は、受信された電波から、設定された受信周波数(チャンネル)に該当する放送信号を抽出し、抽出された放送信号を後段に出力するようになっている。
【0031】
地デジチューナ4の後段には、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調部5が接続されており、このOFDM復調部5には、地デジチューナ4から出力された放送信号が入力されるようになっている。そして、OFDM復調部5は、入力された放送信号をOFDM復調することによってトランスポートストリームを取得し、このトランスポートストリームを後段に出力するようになっている。
【0032】
OFDM復調部5の後段には、誤り訂正部7が接続されており、この誤り訂正部7には、OFDM復調部5から出力されたトランスポートストリームが入力されるようになっている。そして、誤り訂正部7は、入力されたトランスポートストリームを、誤り訂正を行った上で後段に出力するようになっている。
【0033】
誤り訂正部7の後段には、デマルチプレクサ部8が接続されており、このデマルチプレクサ部8には、誤り訂正部7から出力されたトランスポートストリームが入力されるようになっている。そして、デマルチプレクサ部8は、入力されたトランスポートストリームを分離(多重化を解除)することによって映像ストリームおよび音声ストリームを取得し、これら映像ストリームおよび音声ストリームを後段に出力するようになっている。
【0034】
デマルチプレクサ部8の後段には、MPEGデコード部10が接続されており、このMPEGデコード部10には、デマルチプレクサ部8から出力された映像ストリームおよび音声ストリームが入力されるようになっている。そして、MPEGデコード部10は、入力された映像ストリームをデコードして映像信号を取得するとともに、入力された音声ストリームをデコードして音声信号を取得し、これら映像信号および音声信号を後段に出力するようになっている。
【0035】
MPEGデコード部10の後段には、アナログ変調/送信部11が接続されており、このアナログ変調/送信部11には、MPEGデコード部10から出力された映像信号および音声信号がそれぞれ入力されるようになっている。ここで、まず、アナログ変調/送信部11は、入力された映像信号および音声信号をNTSC(National Television System Committee)方式のアナログ信号に変換するようになっている。次いで、アナログ変調/送信部11は、当該変換されたNTSC方式のアナログ信号を、アナログ変調によって所定の周波数範囲としてのVHF帯における設定された送信周波数(現在は1ch〜12chのいずれか)のアナログテレビ信号(高周波信号)に変換するようになっている。そして、アナログ変調/送信部11は、当該変換されたアナログテレビ信号を、送信用アンテナ12を介して車載用地上アナログ放送受信機3に送信するようになっている。アナログ変調/送信部11は、VHFトランスミッタであってもよい。
【0036】
また、図1に示すように、車載用テレビ放送送信機2は、アナログテレビ信号の送信に関する所定の制御を行う送信機側制御部14と、車載用テレビ放送送信機2に対する所定の操作を行うための送信機側操作部15とを有している。送信機側制御部14は、例えば、送信機側制御部14の機能を実現するためのプログラムやデータが記憶されたROMと、このROMに記憶されたプログラムを実行するCPUと、このCPUの処理結果を一時的に保存するRAMとによって構成してもよい。
【0037】
送信機側制御部14は、地デジチューナ4の受信周波数(チャンネル)を制御するようになっている。すなわち、送信機側制御部14は、UHF帯に割り当てられたチャンネル(現在は13ch〜62ch)に該当する地上デジタル放送の放送局を選局対象とした送信側操作部15の選局操作を検出するようになっている。その上で、送信機側制御部14は、選局操作に応じた受信周波数を設定(選局)する指令を地デジチューナ4に出力することによって、地デジチューナ4に受信周波数を設定させるようになっている。なお、送信側操作部15は、地上デジタル放送の放送局の関連情報(チャンネル番号、周波数、放送局名等)がプリセットされたプリセットボタン(選局ボタン)を備えたリモコンであってもよい。
【0038】
一方、図1に示すように、車載用地上アナログ放送受信機3は、受信用アンテナ16aが接続されたアナログチューナ16を有している。
【0039】
アナログチューナ16は、アナログ変調/送信部11に設定された送信周波数と同一周波数の受信周波数が設定された状態で、車載用テレビ放送送信機2から送信されたアナログテレビ信号を受信用アンテナ16aを介して受信可能とされている。
【0040】
アナログチューナ16の後段には、アナログ復調部17が接続されており、このアナログ復調部17には、アナログチューナ16によって受信されたアナログテレビ信号が入力されるようになっている。そして、アナログ復調部17は、入力されたアナログテレビ信号を復調することによって映像信号および音声信号を取得し、映像信号を後段の表示部18に、音声信号を後段の音声出力部20に、それぞれ出力するようになっている。これにより、車載用テレビ放送送信機2によって受信された地上デジタル放送を、車載用地上アナログ放送受信機3によって視聴することができる。なお、表示部18は、ディスプレイによって構成し、音声出力部20は、アンプおよびスピーカによって構成すればよい。
【0041】
そして、図1に示すように、本実施形態において、車載用地上アナログ放送受信機3は、操作手段としての受信機側操作部21を有しており、ユーザは、この受信機側操作部21を用いることによって、ユーザが、車載用地上アナログ放送受信機3の受信周波数(以下、受信機側受信周波数と称する)の変更を指示する操作(以下、変更指示操作と称する)を行うことが可能とされている。変更指示操作においては、アナログチューナ16に現在設定されている受信機側受信周波数に代わって新たにアナログチューナ16に設定されるべき変更先の受信周波数が指定される。なお、受信機側操作部21は、リモコンであってもよい。
【0042】
また、車載用地上アナログ放送受信機3は、アナログテレビ信号の受信に関する各種の制御を行う受信機側制御部22を有している。この受信機側制御部22は、例えば、受信機側制御部22の機能を実現するためのプログラムやデータが記憶されたROMと、このROMに記憶されたプログラムを実行するCPUと、このCPUの処理結果を一時的に保存するRAMとによって構成してもよい。
【0043】
受信機側制御部22は、受信周波数変更手段として機能し、受信機側操作部21の変更指示操作に応じてアナログチューナ16に設定(初期設定を含む)されている受信機側受信周波数を変更するようになっている。
【0044】
さらに、本実施形態において、送信機側制御部14は、送信周波数変更手段として機能し、受信機側受信周波数の変更をその直後に検知するようになっている。
【0045】
そのための具体的な構成として、受信機側制御部22は、受信周波数変更通知手段として機能し、受信機側受信周波数の変更を契機として、車載用テレビ放送送信機2に対して受信機側受信周波数の変更の通知(以下、変更通知と称する)を行うようになっている。なお、変更通知においては、変更後の受信側受信周波数が通知される。また、図1に示すように、変更通知は、送信機側制御部14と受信機側制御部22とを信号線23によって電気的に接続した上で、この信号線23を通じて受信機側制御部22から送信機側制御部14に変更通知の内容を示す信号(図1における受信周波数変更信号)を送信することによって行われるようになっている。
【0046】
このような変更通知によって、送信機側制御部14は、受信機側受信周波数の変更を変更直後に検知するようになっている。
【0047】
そして、送信機側制御部14は、このようにして受信機側受信周波数の変更を検知すると、アナログ変調/送信部11に現在設定されている送信周波数に代わり、当該変更後の受信機側受信周波数と同一周波数の送信周波数をアナログ変調/送信部11に新たに設定することによって、送信周波数の変更を行うようになっている。この送信周波数の変更は、アナログ変調/送信部11に対して送信周波数の変更内容を示す信号(図1における送信周波数変更信号)を出力することによって行われる。
【0048】
なお、送信周波数の初期設定は、送信機側操作部15の操作に応じて送信機側制御部14が行うようにしてもよい。
【0049】
このような構成によれば、車載用テレビ放送送信機2の送信周波数の変更と受信機側受信周波数の変更とを変更指示操作のみによって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができる。また、車載用テレビ放送送信機2側で、受信機側受信周波数が変更されたことを、変更通知といった簡便な手法によって迅速に検知することができる。なお、このような変更通知の機能を車載用地上アナログ放送受信機3側に持たせるにあたっては、車載用地上アナログ放送受信機のCPUのプログラムの変更や信号線23の追加といった既存の車載用地上アナログ放送受信機に対する軽微な改造を行うだけで済むので、本実施形態に特有の新たな車載用地上アナログ放送受信機3を一から設計して製造しなければならないわけではない。
【0050】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、受信機側制御部22は、消音手段として機能し、受信機側受信周波数が変更された時点から所定時間にわたって、音声出力部20に対する電気的な制御によって音声信号の消音を行うようになっている。このような構成によれば、受信機側受信周波数の変更から車載用テレビ放送送信機2の送信周波数の変更までの間にわずかなタイムラグが生じたとしても、その間における音声のノイズの出力を確実に抑制することができる。
【0051】
次に、図2は、本実施形態の基本動作を、従来と比較したものである。
【0052】
図2に示すように、従来は、地上デジタル放送をアナログテレビ信号を介して視聴している状態(STEP1a)から、ユーザが変更指示操作を行うと(STEP2a)、受信機側受信周波数のみが変更されることになる(STEP3a)。このため、車載用テレビ放送送信機側での送信周波数の変更タイミングが大きく出遅れることになり、STEP3aから送信周波数の変更が行われるまでの間、車載用地上アナログ放送受信機側ではノイズが出力され続けてしまうことになる(STEP4a)。このことは、車載用テレビ放送送信機の送信周波数の変更を受信機側受信周波数の変更よりも先に行う場合においても同様である。
【0053】
これに対して、本実施形態においては、地上デジタル放送をアナログテレビ信号を介して視聴している状態(STEP1b)から、ユーザが変更指示操作を行うと(STEP2b)、受信機側受信周波数が変更されるだけでなく、その直後、変更通知に要する僅かな処置時間を待って殆ど遅滞なく車載用テレビ放送送信機2の送信周波数が自動的に変更されることになる(STEP3b)。これにより、従来に比べれば、受信機側受信周波数の変更と送信周波数の変更とのタイムラグ(ノイズの出力時間)は有効に短縮されることになる。そして、STEP3bにおける変更先の受信機側受信周波数および送信周波数に該当する帯域に妨害が生じていない場合には、STEP1bにおいて視聴していた地上デジタル放送と同一の放送を良好な映像および音声にて視聴することができる(STEP4b)。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る車載用テレビ放送送受信システムの第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に図3および図4を参照して説明する。
【0055】
なお、第1実施形態と基本的な構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0056】
本実施形態の第1実施形態との相違点は、送信機側制御部14が、受信機側受信周波数の変更を、その直前に検知するように構成されている点にある。
【0057】
そのための具体的な構成として、図3に示すように、車載用テレビ放送送信機2は、前述した送信機側操作部15の一態様として、車載用テレビ放送送信機2に対する操作内容を示す操作信号(赤外線等)を車載用テレビ放送送信機2本体に向けて送信する送信機側リモコン15’を有している。
【0058】
また、車載用地上アナログ放送受信機3は、前述した受信機側操作部21の一態様として、車載用地上アナログ放送受信機3に対する操作内容を示す操作信号(赤外線等)を車載用地上アナログ放送受信機3本体に向けて送信する受信機側リモコン21’を有している。
【0059】
さらに、図3に示すように、車載用テレビ放送送信機2は、送信機側リモコン15’から送信された操作信号を受信するための送信機側リモコン受光部25を有している。
【0060】
さらにまた、図3に示すように、車載用地上アナログ放送受信機3は、受信機側リモコン21’から送信された操作信号を受信するための受信機側リモコン受光部26を有している。
【0061】
ここで、図3に示すように、送信機側リモコン受光部25は、受信機側リモコン受光部26の近傍に配置されており、このように配置された送信機側リモコン受光部25は、送信機側リモコン15’から送信された操作信号だけでなく、受信機側リモコン21’から送信された操作信号も受信するようになっている。
【0062】
このとき、受信機側リモコン21’から送信された操作信号が、前述した変更指示操作を示す信号である場合には、送信機側制御部14は、この操作信号を送信機側リモコン受光部25を介して検出することによって、受信機側受信周波数の変更をその直前に検知するようになっている。
【0063】
また、本実施形態において、送信機側制御部14は、図4に示すように、変更指示操作を示す操作信号の種類(コード)と、これに応じてアナログ変調/送信部11に新たに設定すべき変更先の送信周波数との対応関係が記述されたテーブルを保有(記憶)している。より具体的には、図4に示すように、テーブルには、変更指示操作を示す操作信号に対応する送信周波数変更先として、当該操作信号に該当する受信機側受信周波数と同一周波数(同一チャンネル)の送信周波数が記述されている。受信機側受信周波数の変更の検出は、このテーブルに記述された種類の操作信号が受信されたことを確認することによって行えばよい。
【0064】
本実施形態において、送信機側制御部14は、受信機側受信周波数の変更を、変更指示操作を示す操作信号の検出によって事前に検知すると、当該操作信号に対応する変更先の送信周波数を、前記テーブルを参照することによって特定するようになっている。
【0065】
そして、送信機側制御部14は、このようにして特定された送信周波数を現在アナログ変調/送信部11に設定されている送信周波数に代わってアナログ変調/送信部11に新たに設定することによって、送信周波数の自動的な変更を行うようになっている。
【0066】
本実施形態においては、受信機側受信周波数の変更をその直前に検知することができるので、第1実施形態に比べて送信周波数の変更と受信機側受信周波数の変更とのタイムラグをさらに短縮させることができる。
【0067】
以上述べたように、本発明によれば、車載用テレビ放送送信機2の送信周波数の変更と受信機側受信周波数の変更とを変更指示操作のみによって行うことができるとともに、両周波数変更の間のタイムラグを短縮させることができるので、操作性を向上させることができるとともにノイズの出力を抑制してユーザの不快感を軽減することができる。
【0068】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 車載用テレビ放送送受信システム
2 車載用テレビ放送送信機
3 車載用地上アナログ放送受信機
14 送信機側制御部
21 受信機側操作部
22 受信機側制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
設定された受信周波数に該当する地上デジタル放送の放送信号を受信し、この受信した放送信号を、所定の周波数範囲に属する設定された送信周波数のアナログテレビ信号に変換し、この変換したアナログテレビ信号を、車載用地上アナログ放送受信装置に送信する車載用テレビ放送送信装置と、
この車載用テレビ放送送信装置によって送信された前記アナログテレビ信号を、前記送信周波数と同一周波数の受信周波数が設定された状態で受信する前記車載用地上アナログ放送受信装置と
を備えた車載用テレビ放送送受信システムであって、
前記車載用地上アナログ放送受信装置は、
これの前記受信周波数の変更を指示する操作を行うための操作手段と、
この操作手段の前記操作に応じて前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数を変更する受信周波数変更手段と
を備え、
前記車載用テレビ放送送信装置は、
前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知して、前記送信周波数を当該変更後の前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数と同一周波数の送信周波数に変更する送信周波数変更手段を備えたこと
を特徴とする車載用テレビ放送送受信システム。
【請求項2】
前記車載用地上アナログ放送受信装置は、
これの前記受信周波数が変更された時点から所定時間にわたって消音を行う消音手段を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用テレビ放送送受信システム。
【請求項3】
前記車載用地上アナログ放送受信装置は、
これの前記受信周波数が変更された際に、前記車載用テレビ放送送信装置に対して当該受信周波数の変更の通知を行う受信周波数変更通知手段を備え、
前記送信周波数変更手段は、前記受信周波数変更通知手段の前記通知によって、前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用テレビ放送送受信システム。
【請求項4】
前記送信周波数変更手段は、前記操作手段の前記操作を検出することによって、前記車載用地上アナログ放送受信装置の受信周波数の変更を検知すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用テレビ放送送受信システム。
【請求項5】
前記所定の周波数範囲は、VHF帯であること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車載用テレビ放送送受信システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−124654(P2012−124654A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272551(P2010−272551)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】