説明

車載用ディスプレイの画面角度制御装置

【課題】車載用ディスプレイに太陽光線が入射する場合、車載用ディスプレイを搭乗者への反射光の影響を軽減する画面角度に変更することができること。
【解決手段】表示部30に太陽光線が入射し、視点位置Eを含む所定範囲に、表示部30の反射光が照射される場合には、反射光の所定範囲への照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出し、当該表示部30を当該照射阻止用画面角度に変更する。このようにすることにより、反射光が視点位置Eを含む所定範囲に照射されることを防止することができ、搭乗者への反射光の影響を軽減することができる。これにより、表示部30に太陽光線が入射する場合、表示部30を搭乗者に反射光の影響を軽減する画面角度に変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ディスプレイの画面角度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日射状況に応じて画面の傾斜位置を自動的に変更可能にする車載ナビゲーション装置画面の傾斜度制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている車載ナビゲーション装置画面の傾斜度制御装置によれば、例えば、インストルメントパネルに設けられる車載ナビゲーション装置を車両上下方向にモータで回動させる支持機構で支持し、その周辺に日射センサを配置する。また、当該傾斜度制御装置は、運転席のシート位置センサの検知信号に基づく運転者のアイポイントを検出する検出手段と、時刻及び日付データを入力として季節に対応した太陽位置を判断する判断部と、アイポイントに最も適合する画面の通常傾斜角に対してそれぞれ下向きになる昼間日射用傾斜角及びサイド日射用傾斜角を算出する傾斜角算出部と、モータ制御回路に対してこれらの傾斜角及び画面をフロントガラスに映さない夜間用傾斜角のいずれかを設定する傾斜角設定部とを備え、日射状況に応じて画面の傾斜位置を自動的に変更する。
【0003】
なお、昼間日射用傾斜角及びサイド日射用傾斜角は、通常傾斜角に対してそれぞれ下向きになるように設定されている。例えば、昼間日射用傾斜角は、上方からの直射光が画面に入射しないように、ルーフトリムよりも後方寄りになる下向きに回動した例えば垂直よりも僅かに上向きである。サイド日射用傾斜角は、画面を見る目に直射光が助手席のサイドガラス等から入射しない通常位置及び昼間日射用傾斜角間の途中の上向きである。
【特許文献1】特開平2000−39847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置では、例えば、太陽高が車両の側方から日が差し込まない程度に高いと判断され、かつ日射センサによって晴天に相当するレベルの日射量が検出された場合、画面の傾斜角度を昼間日射用傾斜角に設定する。
【0005】
つまり、従来の装置では、太陽光の画面への入射角度や反射角度を何ら考慮することなく、上述した条件が満足されると、画面の角度をユーザにとって最も見やすい通常傾斜角から、昼間日射用傾斜角に変更する。従って、通常傾斜角に設定された画面が、実際には太陽光の影響で見えにくくなっていない場合でも、下向きの角度である昼間日射用傾斜角に変更されてしまう場合がある。この結果、ユーザは画面の表示がかえって見えにくくなってしまう。
【0006】
さらに、従来の装置では、太陽光の反射角度等を考慮することなく、画面の傾斜角度を、通常傾斜角を基準として設定した昼間日射用傾斜角やサイド日射用傾斜角に設定する。そのため、場合によっては、画面の傾斜角度を変更することに起因して、太陽光の反射光がユーザの目に入り易くなる可能性もあった。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、車載用ディスプレイに太陽光線が入射する場合、車載用ディスプレイを搭乗者への反射光の影響を軽減する画面角度に変更可能な車載用ディスプレイの画面角度制御置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置は、
画面角度を変更可能な車載用ディスプレイと、
車載用ディスプレイの画面角度を制御する制御手段と、
車両の搭乗者の視点位置が記憶されている視点位置記憶手段と、
車載用ディスプレイに太陽光線が入射し、かつその反射光が視点位置を含む所定範囲に照射されるか否かを判定する判定手段と、
判定手段によって、反射光が視点位置を含む所定の範囲に照射されると判定されたとき、反射光の所定範囲への照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出する画面角度算出手段とを備え、
制御手段は、車載用ディスプレイを照射阻止用画面角度に変更することを特徴とする。
【0009】
上述したように、請求項1に記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置では、車載用ディスプレイに太陽光線が入射し、視点位置を含む所定の範囲に、車載ディスプレイの反射光が照射される場合には、反射光の所定範囲への照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出し、当該車載用ディスプレイを当該照射阻止用画面角度に変更する。このようにすることにより、反射光が視点位置を含む所定範囲に照射されなくなるため、搭乗者への反射光の影響を軽減することができる。これにより、車載用ディスプレイに太陽光線が入射する場合、車載用ディスプレイを搭乗者に反射光の影響を軽減する画面角度に変更可能である。
【0010】
請求項2に記載したように、判定手段は、車両の現在位置、進行方向を示す方位、及び傾きを含む車両位置情報を検出する車両位置情報検出手段と、日付及び時刻に応じて変化する太陽位置を表わす太陽位置情報が記憶されている太陽位置情報記憶手段と、太陽位置情報記憶手段から現在の日付及び時刻に対応した太陽位置情報を抽出し、抽出された太陽位置情報と車両位置情報とに基づき、車両に対する太陽光線の入射方向を算出する入射方向算出手段と、入射方向に基づいて、車両に設けられた窓から車載用ディスプレイに太陽光線が入射するか否かを判定する入射判定手段と、入射判定手段によって、太陽光線が入射されると判定されたとき、その反射光の反射方向を算出する反射方向算出手段とを有し、反射方向に基づいて、反射光が視点位置を含む所定の範囲に照射されるか否かを判定することが好ましい。例えば、太陽高が車両の側方から入射する可能性がある低い位置であっても、実際は、太陽光線の入射先に車両の窓がないため、太陽光線が車両に反射され、太陽光線が車載用ディスプレイに入射されないことがあった。このため、車両に設けられた窓の位置を考慮して、太陽光線が窓から車載用ディスプレイに入射するか否かを判定することによって、確実に太陽光線が車載用ディスプレイに入射するか否かを判定することができる。そして、反射光の反射方向を算出することによって、当該反射方向に基づいて、反射光が視点位置を含む所定の範囲に照射されるか否かを判定することができる。
【0011】
請求項3に記載したように、画面角度算出手段は、視点位置を含む所定の範囲に、反射光の照射を阻止するための複数の照射阻止用画面角度を設定している場合、複数の照射阻止用画面角度の中で、車載用ディスプレイの現状位置に対して、画面角度の変化が最も少ない照射阻止用画面角度を算出することが好ましい。このように、車載用ディスプレイの現状位置から、角度の変化が最も少ない照射阻止用画面角度に車載用ディスプレイを変更することによって、搭乗者に対して、画面角度の変化による違和感を低減することができる。
【0012】
請求項4に記載したように、車両の搭乗者の視点位置を検出する視点位置検出手段を備え、視点位置記憶手段は、検出された視点位置を記憶することもできる。これにより、各搭乗者の視点位置を正確に示す視点位置データを視点位置記憶手段に記憶させることができる。
【0013】
請求項5に記載したように、視点位置記憶手段が複数の視点位置を記憶している場合、車両の搭乗者の視点位置を選択する選択手段を備え、画面角度算出手段は、選択された視点位置を含む所定の範囲に、反射光の照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出することもできる。これにより、複数の搭乗者の視点位置が記憶されている場合、現在の搭乗者の視点位置が選択されることによって、太陽光線が車載用ディスプレイに入射する場合、車載用ディスプレイを現在の搭乗者の視点位置に応じた照射阻止用画面角度に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、車載用ディスプレイの画面角度制御装置が車載ナビゲーション装置に適用された例を説明する。図1は、本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。以下、本実施形態による車載ナビゲーション装置100について詳細に説明する。
【0015】
ナビゲーション装置100は、位置検出器10、デジタル道路地図データベース20、表示部30、操作スイッチ群40、記憶装置50、及びコンピュータ60を備えている。
【0016】
位置検出器10は、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機11,車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのステアリングセンサ13を有している。さらに、位置検出器10は、車両の走行速度から走行距離を検出するために車速センサ14を備えている。なお、GPS受信機11が受信した電波には、時刻補正、エフェメリス・アルマナック等の各種データが含まれている。
【0017】
このように、位置検出器10は、電波航法による車両位置測定のためにGPS受信機11を有するとともに、自立航法による車両位置推定のために地磁気センサ12、ステアリングセンサ13及び車速センサ14を有している。また、自立航法における車両の相対方位を検出するために、ステアリングセンサ13に代えて、ジャイロセンサや車両の左右輪に設けられた車輪速センサを用いても良い。
【0018】
デジタル道路地図データベース20は、デジタル地図データをコンピュータ60に入力するための装置である。デジタル道路地図データベース20は、デジタル地図データを記憶する情報記憶媒体21を有し、情報記憶媒体21としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等を用いてもよい。
【0019】
表示部30は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示部30の画面には車両の現在位置に対応する自車位置マーク、及び、デジタル道路地図データベース20より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、表示部30は、当該表示部30を上下方向に回動可能とする第1の回転軸と、左右方向に回動可能とする第2の回転軸とで支持されている。これらの第1及び第2の回転軸はモータ31によって回動される。すなわち、モータ31は、コンピュータ60からの制御信号に基づいて、第1の回転軸及び第2の回転軸を回動させることによって、表示部30の画面角度を変更する。
【0020】
操作スイッチ群40は、例えば、表示部30と一体になったタッチパネルスイッチもしくは表示部30の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、各種入力に使用される。
【0021】
記憶装置50は、入射方向演算時に必要な太陽位置を表す太陽位置情報を記憶している。この太陽位置情報は、太陽位置が、日付及び時刻に応じて変化することから、日付及び時刻を変数として各日・時毎に太陽位置を設定した太陽位置情報検索用のマップ(太陽位置情報マップ)として記憶装置50に記憶されている。
【0022】
なお、本実施形態では、太陽位置情報は、太陽が真東Eに対して右方向に何度回転しているかを表わす方位データXと、仰角を表わす仰角データYとから構成されている(図2参照)。図2において、E、W、S、Nは、それぞれ、車両を中心とする東、西、南、北の方位を表わしている。
【0023】
また、記憶装置50は、表示部30の位置情報として、表示部30の現状位置を記憶している。具体的には、図3の例に示すように、表示部30の中心を原点O=(0、0、0)として、表示部30の4隅を示す4点A1、A2、A3、A4が座標で表わされ、この座標で表わされた4点が記憶されている。なお、表示部30の画面角度が変更された場合には、表示部30の現状位置として、画面角度変更後の表示部30の位置情報が上書き記憶される。
【0024】
さらに、記憶装置50は、車両に設けられた全ての窓の位置情報を記憶している。具体的には、図4の例に示すように、表示部30の位置情報と同様に、表示部30の中心を原点Oとして、座標で表わされた、窓の4隅を示す4点X1、X2、X3、X4を、1つの窓の位置情報として記憶している。同様に、車両に設けられた全ての窓の4隅を示す4点を座標で表わすことによって、全ての窓の位置情報が記憶されている。
【0025】
さらに、記憶装置50は、車両の搭乗者の視点位置Eを記憶している。この記憶された視点位置Eに基づいて、その視点位置を含む所定範囲が演算される。視点位置Eを含む所定範囲とは、例えば、視点位置Eを中心とした所定半径Rの円Cである。所定半径Rは、円Cが搭乗者の顔を含む大きさになるように設定されている。具体的には、記憶装置50は、例えば、表示部30の中心を原点Oとして、座標(xe、ye、ze)で表わされた視点位置Eを記憶している。なお、この視点位置Eは、人間の平均的身長に基づいて算出されたものであり、予め、記憶装置50に記憶されている。
【0026】
コンピュータ60は、画面角度制御処理を実行するための各種の演算処理を実行するCPU、その演算処理を実行するためのプログラム等が記憶されたROM、演算処理に必要な情報を一時記憶するRAM等からなる周知の構成を有している。
【0027】
次に、本実施形態における画面角度制御処理について、図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。図5は、画面角度制御処理のメインルーチンを示すフローチャートである。なお、簡単に説明をするために、車両に設けられた窓は1つである場合を想定して説明する。
【0028】
まず、図5のステップS10では、車両の現在位置が検出される。このとき、GPS受信機11による位置データは、上述の道路データの座標データ(緯度と経度)と同じ形態で取得される。また、地磁気センサ12、ステアリングセンサ13、車速センサ14によって車両の進行方向及び走行距離に関するデータが取得され、過去に算出、もしくは確定された車両位置を基準として、現在位置の座標データの算出を行なう(自立航法による座標データの算出)。なお、現在位置は、基本的には、自立航法により算出された座標データに基づいて求められる。ただし、GPS受信機11による位置データが取得されている場合には、両者を比較し、その差が所定距離以上である場合には、現在位置として、GPS受信機11による位置データを採用する。
【0029】
ステップS20では、車両の現在位置を含む、周辺地図の地図データがデジタル道路地図データベース20から読み込まれ、表示部30に表示される。ステップS30では、現在の日付及び時刻が算出される。具体的には、GPS受信機11が受信した電波に含まれている時刻補正データに基づいて、コンピュータ60が現在の日付及び時刻を算出する。
【0030】
ステップS40では、ステップS10にて現在位置の座標データを算出する際に用いた進行方向データから車両の進行方向X′を検出する。なお、この進行方向X′は、マップマッチングによって車両の現在位置が道路上に確定されたときに、車両の走行軌跡の向きから検出しても良い。車両の進行方向X′は、現在の車両の直進方向の向き(方位)を表わすものであるが、本実施形態では、上述した方位データXと同様、進行方向が真東Eに対して、右方向に何度回転しているかを表わすものとする。
【0031】
ステップS50では、太陽光線の入射方向が算出される。具体的には、例えば、コンピュータ60が記憶装置50に記憶された太陽位置情報マップを検索することにより、現在の日付及び時刻に対応した太陽位置情報(X、Y)を抽出する。次に、コンピュータ60は、この抽出した太陽位置情報(X、Y)と、車両の進行方向X′とに基づき、車両に対する太陽光線の入射方向を算出する。
【0032】
なお、入射方向は、車両の左右方向に対する太陽光線の左右入射角φと、車両の上下方向に対する太陽光線の仰角θとからなり、左右入射角φは、演算式「φ=X−X′」を用いて算出され、仰角θには、記憶装置50から抽出された仰角データYがそのまま設定される。
【0033】
ステップS60では、記憶装置50から窓の位置情報が抽出される。ステップS70では、入射方向(φ、θ)に基づいて、太陽光線がいずれの窓に入射するかを判定する。具体的には、例えば、入射方向(φ、θ)に基づいて、太陽光線を直線の式で表わす。以後、この直線の式を直線Aと呼ぶ。また、窓を、窓の4点X1、X2、X3、X4を結び平面の式で表わす。以後、この平面の式を平面Aと呼ぶ。図6に示すように、太陽光線が窓に入射するか否かという問題は、直線Aと平面Aとが交わるか否かという問題と同値である。
【0034】
すなわち、ステップS70では、直線Aと平面Aとが交わるか否かを判定する。直線Aと平面Aとが交わらないと判定された場合、処理が終了する。一方、直線Aと平面Aとが交わると判定された場合、ステップS80に進む。
【0035】
ステップS80では、記憶装置50から表示部30の現状位置が抽出される。ステップS90では、入射方向(φ、θ)に基づいて、窓に入射した太陽光線が表示部30に入射するか否かを判定する。ステップS70と同様に、表示部30を、表示部30の4点A1、A2、A3、A4を結び平面の式で表わす。以後、この平面の式を平面Bと呼ぶ。図7に示すように、太陽光線が表示部30に入射するか否かという問題は、平面Aと交わる直線Aがさらに平面Bと交わるか否かという問題と同値である。
【0036】
すなわち、ステップS90では、平面Aと交わる直線Aが平面Bと交わるか否かを判定する。直線Aと平面Bとが交わらないと判定された場合、処理が終了される。一方、直線Aと平面Bとが交わると判定された場合、ステップS100に進む。
【0037】
例えば、太陽高が車両の側方から入射する可能性がある低い位置であっても、実際は、太陽光線の入射先に車両の窓がないため、太陽光線が車両に反射され、太陽光線が表示部30に入射されないことがある。このため、車両に設けられた窓の位置を考慮して、太陽光線が窓から表示部30に入射するか否かを判定することによって、確実に太陽光線が表示部30に入射するか否かを判定することができる。
【0038】
ステップS100では、太陽光線の入射方向(φ、θ)及び表示部30の現状位置(A1、A2、A3、A4)に基づいて、表示部30に入射した太陽光線の反射方向(φ′、θ′)が算出される。ステップS110では、記憶された視点位置Eに基づいて、所定範囲(円C)を算出する。ステップS120では、反射方向(φ′、θ′)に基づいて、表示部30に反射した太陽光線が視点位置Eを含む所定範囲に照射されるか否かを判定する。具体的には、例えば、表示部30に反射した太陽光線を直線の式で表わす。以後、この直線の式を直線Bと呼ぶ。図8に示すように、反射した太陽光線が所定範囲(円C)に照射されるか否かという問題は、直線Bと円Cとが交わるか否かという問題と同値である。
【0039】
すなわち、ステップS120では、直線Bと円Cとが交わるか否かを判定する。直線Bと円Cとが交わらないと判定された場合、処理が終了される。一方、直線Bと円Cとが交わると判定された場合、ステップ130に進む。
【0040】
このように、反射光の反射方向(φ′、θ′)を算出することによって、当該反射方向(φ′、θ′)に基づいて、反射光が視点位置Eを中心とする所定半径Rの円Cに照射されるか否かを判定することができる。
【0041】
ステップS130では、円Cへの反射光の照射を阻止する(表示部30の)照射阻止用画面角度が算出される。例えば、予め、表示部30に反射した太陽光線の照射を阻止するための複数の照射阻止用画面角度を設定しておき、それら複数の照射阻止用画面角度の中で、表示部30の現状位置に対して、画面角度の変化が最も少ない照射阻止用画面角度を算出する。
【0042】
ステップS140では、ステップS130にて算出された照射阻止用画面角度になるように表示部30の画面角度を変更する。具体的には、例えば、コンピュータ60が、ステップS130にて算出された照射阻止用画面角度の情報を含む制御信号をモータ31に出力する。モータ31は、この制御信号に基づいて、第1の回転軸及び/又は第2の回転軸を回動させることによって、表示部30の画面角度を変更する。このように、表示部30の現状位置から、角度の変化が最も少ない画面角度に表示部30を変更することによって、搭乗者に対して、画面角度の変化による違和感を低減することができる。
【0043】
以上、説明したように本実施形態によれば、表示部30に太陽光線が入射し、視点位置Eを含む所定範囲に、表示部30の反射光が照射される場合には、反射光の所定範囲への照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出し、当該表示部30を当該照射阻止用画面角度に変更する。このようにすることにより、反射光が視点位置Eを含む所定範囲に照射されることを防止することができ、搭乗者への反射光の影響を軽減することができる。これにより、表示部30に太陽光線が入射する場合、表示部30を搭乗者に反射光の影響を軽減する画面角度に変更可能である。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0045】
例えば、上述した実施形態において、視点位置Eは、人間の平均的身長に基づいて算出され、予め、記憶装置50に記憶されている例について説明した。しかしながら、搭乗者の視点位置を検出し、検出された視点位置を記憶装置50に記憶しても良い。
【0046】
搭乗者の視点位置を検出して記憶装置50に記憶させるための手順の一例について説明する。まず、図10に示すような視点位置登録画面220が表示部30に表示される。この視点位置登録画面220において、搭乗者が座る座席が選択され、「OK」項目が選択されると、図11に示すような搭乗者名入力画面230が表示部30に表示される。この搭乗者名入力画面230の下側には、文字が表示されており、これらの文字を選択して、搭乗者名が入力される。入力が完了したときに、「OK」項目が選択されると、車両に設けられたカメラ(図示せず)が、選択された座席に座っている搭乗者の視点位置を含む範囲を撮影する。この撮影画像がコンピュータ60に入力され、コンピュータ60は、搭乗者の視点位置を画像解析によって特定する。コンピュータ60は、この特定した視点位置を座標で表わし、この座標を記憶装置50に記憶する。
【0047】
これにより、各搭乗者の視点位置を正確に示す視点位置データを記憶装置50に記憶させることができる。
【0048】
また、カメラを用いずとも、搭乗者の座る座席と搭乗者の身体データ(例えば、身長、座高)とを入力させることによっても、比較的精度の高い視点位置を記憶装置50に記憶させることができる。各搭乗者の身体データが入力されることにより、コンピュータ60は、平均的身長に基づく視点位置よりも、高精度な視点位置を算出することができるためである。
【0049】
また、上述した実施形態において、記憶装置50が複数の視点位置を記憶している場合には、現在の搭乗者の視点位置を選択できるようにしても良い。例えば、図9に示すような視点位置選択画面210において、搭乗者の座る座席、及び各座席用に記憶されている全ての視点位置の中から、現在の搭乗者の視点位置を選択可能とする。この現在の搭乗者の視点位置としては、記憶装置50に視点位置を記憶させる際に入力された氏名によって識別可能とできる。
【0050】
なお、図9の例では、運転席が選択されて、当該運転席用に記憶されている3つの視点位置(「けんざき」、「あいかわ」、「たちばな」)が表示されている。例えば、現在の搭乗者が「けんざき」である場合には、表示部30に表示されている「けんざき」項目が選択され、「OK」項目が選択されることによって、搭乗者「けんざき」の視点位置に変更される。これにより、複数の搭乗者の視点位置が記憶されている場合、現在の搭乗者の視点位置が選択されることによって、太陽光線が表示部30に入射する場合、表示部30を現在の搭乗者の視点位置に応じた照射阻止用画面角度に変更することができる。
【0051】
また、視点位置選択画面210にて、例えば、運転席に座る搭乗者「あいかわ」の視点位置と、助手席に座る搭乗者「かみじょう」の視点位置とを選択できるようにしても良い。このとき、表示部30に太陽光線が入射する場合、「あいかわ」の視点位置及び「かみじょう」の視点位置に、表示部30に反射した太陽光線の照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出し、当該表示部30を当該照射阻止用画面角度に変更しても良い。また、座席毎に優先度を設定し、優先度の最も高い座席の視点位置に応じた照射阻止用画面角度を算出し、表示部30を算出された照射阻止用画面角度に変更しても良い。
【0052】
また、上述した実施形態において、後部座席用の表示部(図示せず)が設けられている場合、後部座席に座っている搭乗者の視点位置に、当該後部座席用の表示部に反射した太陽光線の入射を阻止する照射阻止用画面角度を算出し、当該後部座席用の表示部を照射阻止用画面角度に変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態による車載ナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における、太陽光線の入射方向を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態における、表示部30の位置情報を説明するための説明図である。
【図4】本実施形態における、車両に設けられた窓の位置情報を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態における、画面角度制御処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における、太陽光線が窓に入射するか否かの判定方法を説明するための説明図である。
【図7】本実施形態における、太陽光線が表示部30に入射するか否かの判定方法を説明するための説明図である。
【図8】本実施形態における、反射した太陽光線が視点位置Eを通過するか否かの判定方法を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態における、視点位置選択画面210の表示例を示すイメージ図である。
【図10】本実施形態における、視点位置登録画面220の表示例を示すイメージ図である。
【図11】本実施形態における、搭乗者名入力画面230の表示例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0054】
10…位置検出器
11…GPS受信機
12…地磁気センサ
13…ステアリングセンサ
14…車速センサ
20…デジタル道路地図データベース
21…情報記録媒体
30…表示部
31…モータ
40…操作スイッチ群
50…記憶装置
60…コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面角度を変更可能な車載用ディスプレイと、
前記車載用ディスプレイの画面角度を制御する制御手段と、
車両の搭乗者の視点位置が記憶されている視点位置記憶手段と、
前記車載用ディスプレイに太陽光線が入射し、かつその反射光が前記視点位置を含む所定範囲に照射されるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記反射光が前記視点位置を含む所定の範囲に照射されると判定されたとき、前記反射光の前記所定範囲への照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出する画面角度算出手段とを備え、
前記制御手段は、前記車載用ディスプレイを前記照射阻止用画面角度に変更することを特徴とする車載用ディスプレイの画面角度制御装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記車両の現在位置、進行方向を示す方位、及び傾きを含む車両位置情報を検出する車両位置情報検出手段と、
日付及び時刻に応じて変化する太陽位置を表わす太陽位置情報が記憶されている太陽位置情報記憶手段と、
前記太陽位置情報記憶手段から現在の日付及び時刻に対応した太陽位置情報を抽出し、抽出された太陽位置情報と前記車両位置情報とに基づき、車両に対する太陽光線の入射方向を算出する入射方向算出手段と、
前記入射方向に基づいて、前記車両に設けられた窓から前記車載用ディスプレイに当該太陽光線が入射するか否かを判定する入射判定手段と、
前記入射判定手段によって、前記太陽光線が入射されると判定されたとき、その反射光の反射方向を算出する反射方向算出手段とを有し、
前記反射方向に基づいて、前記反射光が前記視点位置を含む所定の範囲に照射されるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置。
【請求項3】
前記画面角度算出手段は、前記視点位置を含む所定の範囲に、前記反射光の照射を阻止するための複数の照射阻止用画面角度を設定している場合、当該複数の照射阻止用画面角度の中で、前記車載用ディスプレイの現状位置に対して、画面角度の変化が最も少ない照射阻止用画面角度を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置。
【請求項4】
車両の搭乗者の視点位置を検出する視点位置検出手段を備え、
前記視点位置記憶手段は、前記検出された視点位置を記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置。
【請求項5】
前記視点位置記憶手段が複数の視点位置を記憶している場合、車両の搭乗者の視点位置を選択する選択手段を備え、
前記画面角度算出手段は、前記選択された視点位置を含む所定の範囲に、前記反射光の照射を阻止する照射阻止用画面角度を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載用ディスプレイの画面角度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−131153(P2006−131153A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324069(P2004−324069)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】