説明

車載用表示システム

【課題】主に車載用ディスプレイの表示を変化させる車載用表示システムに関し、操作者のより多様な操作に対応した車載用表示システムを提供することを目的とする。
【解決手段】右側および左側のステアリングスイッチ21、22の操作面を同時に操作すると、同時の操作に対応した制御信号S3または表示信号S4が制御装置25から出力され、車載用ディスプレイ5の表示が変化するもので、多様な表示を車載用ディスプレイ5で行いうる車載用表示システム40を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車載用ディスプレイの表示を変化させる車載用表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のステアリングホイールに取り付けられたステアリングスイッチの操作に対応して、車載用ディスプレイの表示を変化させる車載用表示システムの開発が進んでいる。
【0003】
このような従来の車載用表示システムについて、図13のシステム構成図を用いて説明する。
【0004】
ここで、同図において、ステアリングホイール1の上面には、右側にステアリングスイッチ2が配置され、左側にステアリングスイッチ3が配置されている。
【0005】
ここで、ステアリングスイッチ2の操作面に複数のアイコン4が表示され、複数のアイコン4はそれぞれ、車載の空調システムなどの「内外気切替え設定」や「送風の吹き出し位置設定」、「車室内温度設定」などに対応している。
【0006】
また、ステアリングスイッチ3は操作者が操作面を指で接触した状態のまま指を移動させた際に、指の移動を検出しうるもので、タッチパネルなどで構成されている。
【0007】
そして、ステアリングスイッチ2、3が電気的に、車載用ディスプレイ5に接続され、車載用表示システム10が構成されている。
【0008】
この様に構成された車載用表示システム10において操作者が、例えば「車室内温度設定」に対応したステアリングスイッチ2のアイコン4の位置に接触すると車載用ディスプレイ5に設定温度表示11が表示される。この状態で、操作者がステアリングスイッチ3の操作面に指を接触させ前方向に移動させると、設定温度表示11の数字が増え設定温度が高くなり、逆に後方向に移動させると、設定温度表示11の数字が減り設定温度が低くなる。
【0009】
このように、従来の車載用表示システムは、ステアリングスイッチ2、3への別々の操作に対応して、車載用ディスプレイ5の表示が変化するものとなっていた。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0268426号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記従来の車載用表示システム10は、ステアリングスイッチ2、3への別々のステアリングスイッチに対する操作に対応して、車載用ディスプレイ5の表示を変化させるものであるが、複雑化するカーナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの被制御機器の制御を素早く行うため、操作者の多様な操作に対応可能なものが求められてきている。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作者の多様な操作に対応可能な、車載用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1記載の発明は、右側および左側のステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、同時の操作に対応した制御信号または表示信号が制御装置から出力され、車載用ディスプレイの表示が変化するもので、従来の車載用表示システムにおけるステアリングスイッチの別々の操作に加え、ステアリングスイッチの同時操作にも対応することで、操作者の多様な操作に対応可能な車載用表示システムを提供することができるという作用を有する。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、カーナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの被制御機器を複数備え、車載用ディスプレイに被制御機器の一つに対応した機能表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、他の被制御機器に対応した機能表示が加えて表示されるもので、複数の被制御機器の制御状態を同時に確認することが可能となり、操作者の利便性を向上しうるという作用を有する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、被制御機器を複数備え、車載用ディスプレイに複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、車載用ディスプレイに複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された位置が変化するもので、複数の被制御機器のうち主として制御したい被制御機器の選択を容易に行いうるという作用を有する。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、被制御機器を複数備え、車載用ディスプレイに複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、車載用ディスプレイに複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された位置が変化するもので、複数の被制御機器のうち主として制御する被制御機器の選択を容易に行いうるという作用を有する。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、被制御機器はオーディオシステムであって、オーディオシステムから出力された表示信号により、車載用ディスプレイに複数のアルバム表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、選択された一つのアルバム表示に対応した複数の楽曲表示が表示されるもので、容易な操作で楽曲表示を確認しうるという作用を有する。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、被制御機器は車外カメラシステムであって、車外カメラシステムは車両の後方を撮像するバックカメラと、車両の側方を撮像するサイドカメラを備え、車載用ディスプレイにバックカメラで撮像した後方表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、サイドカメラで撮像した側方表示がバックカメラで撮像した後方表示に加えて表示されるもので、容易な操作で車両周辺の状況を確認しうるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、複数のステアリングスイッチの同時操作を反映した、操作者の多様な操作に対応可能な、車載用表示システムを提供しうるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による車載用表示システムのシステム構成図
【図2】同車載用表示システムに用いるステアリングスイッチの分解斜視図
【図3】同車載用表示システムの表示の変化を示す車載用ディスプレイの画面図
【図4】同車載用表示システムのステアリングスイッチの操作を示す上面図
【図5】同車載用表示システムの表示の変化を示す車載用ディスプレイの画面図
【図6】同車載用表示システムのステアリングスイッチの操作を示す上面図
【図7】同車載用表示システムの表示の変化を示す車載用ディスプレイの画面図
【図8】同車載用表示システムのステアリングスイッチの操作を示す上面図
【図9】同車載用表示システムの表示の変化を示す車載用ディスプレイの画面図
【図10】同車載用表示システムのステアリングスイッチの操作を示す上面図
【図11】同車載用表示システムの表示の変化を示す車載用ディスプレイの画面図
【図12】同車載用表示システムのステアリングスイッチの操作を示す上面図
【図13】従来の車載用表示システムのシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図12を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による車載用表示システムのシステム構成図で、同図においてステアリングホイール1は回転角度が中立位置の状態で示している。また、ステアリングホイール1の上面のやや右側にステアリングスイッチ21が配置され、ステアリングホイール1の上面のやや左側には、ステアリングスイッチ22が配置されている。なお、特許請求の範囲に記載したステアリングホイールの右側および左側とは、ステアリングホイールの回転角度が中立位置の状態でステアリングホイールの回転中心から見た右側および左側である。
【0025】
ここで、ステアリングスイッチ21、22は操作者が操作面21A、22Aを指で接触し、接触した状態のまま指を移動した際に、指の移動を検出しうる静電式のタッチパネルなどを用いて構成されている。
【0026】
そして、ステアリングスイッチ21、22が配線23、24を介して電気的に制御装置25に接続されている。この制御装置25は、マイコンなどの半導体素子を内部に備えるものである。
【0027】
また、制御装置25は車両のインスツルメントパネルの内部などに配置されており、カーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27、車外カメラシステム28、車載用ディスプレイ5と車載用のネットワークプロトコルを用いて配線29により電気的に接続されている。ここで、車載用のネットワークプロトコルとしては、例えばCAN(Controller Area Network)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)、LIN(Local Interconnect Network)などが好適である。
【0028】
なお、カーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27、車外カメラシステム28は特許請求の範囲に記載した被制御機器の一例である。
【0029】
ここで、カーナビゲーションシステム26は、操作者のステアリングスイッチ21、22の操作に応じて、車両周辺の地図と車両の位置を車載用ディスプレイ5に表示し、操作者が車両を運転する支援などを行うものである。
【0030】
また、オーディオシステム27は、操作者のステアリングスイッチ21、22の操作に応じて、スピーカ(図示せず)などで再生する曲や放送局の選定などを行うものである。
【0031】
また、車外カメラシステム28は例えば車両の後方を撮像することが可能なバックカメラ30や、車両の右方向および左方向を撮像することが可能なサイドカメラ31、32を備えるもので、操作者のステアリングスイッチ21、22の操作に応じて、車載用ディスプレイ5にバックカメラ30やサイドカメラ31、32で撮像した映像を表示するものである。
【0032】
また、車載用ディスプレイ5は、操作者のステアリングスイッチ21、22の操作に応じて、カーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27、車外カメラシステム28それぞれに対応する表示を切り替えて表示するものである。
【0033】
そして、これらのステアリングスイッチ21、ステアリングスイッチ22、制御装置25、カーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27、車外カメラシステム28、車載用ディスプレイ5などから車載用表示システム40が構成されている。
【0034】
この車載用表示システム40における信号の流れを説明すると、ステアリングスイッチ21、22から操作面21A、22Aの操作に対応した操作信号S1、S2が出力され、制御装置25に入力される。
【0035】
そして、制御装置25からは、カーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27などの被制御機器を制御する制御信号S3や、車載用ディスプレイ5に表示させる表示信号S4が出力される。
【0036】
また、被制御機器は制御信号S3が入力されると、車載用ディスプレイ5に表示させる表示信号S5を出力し、さらに、車載用ディスプレイ5は、表示信号S4や表示信号S5に従い表示を行う。
【0037】
ここで、ステアリングスイッチ21、22として、例えば図2に示すステアリングスイッチが用いられる。
【0038】
ここで同図において、上下面に配線パターンが形成された略円形の配線基板41の上面の略中央にプッシュスイッチ42が配置されている。このプッシュスイッチ42は押圧すると節度感が生じてONし、離すとOFFに自動復帰するスイッチである。
【0039】
また、配線基板41の下面にはマイコン等の半導体素子で構成された制御回路43が配置され、制御回路43の左側にコネクタ44が配置されている。そして、プッシュスイッチ42、コネクタ44は配線基板41の配線パターンを介して制御回路43に電気的に接続されている。
【0040】
そして下面開口の円柱箱状の固定カバー45は、同じく下面開口の円柱箱状の可動カバー46に嵌合している。さらに電極基板47が可動カバー46の上面に載置され、可動カバー46と電極基板47が一体となり、固定カバー45上で規制されながら上下動可能なように構成される。
【0041】
なお、可動カバー46の内側には、略中央に設けられた円柱状に突出した押圧部46Aが固定カバー45を貫通して設けられており、押圧部46Aでプッシュスイッチ42を押圧可能に構成される。
【0042】
また、電極基板47は、中央に略円形のセンサ部47Aが設けられたフレキシブルプリント基板である。ここで、センサ部47Aの上面には角形の複数の電極47Bが格子状に設けられると共に、それぞれの電極47Bは帯状の配線部47Cを介して端子部47Dに接続されている。
【0043】
なお、電極基板47の端子部47Dは、可動カバー46、固定カバー45を貫通してコネクタ44に接続されている。
【0044】
そして、これらが上面開口で円柱箱状の下カバー48内に挿入され、略円形の操作板49で、電極基板47を可動カバー46に固定してステアリングスイッチ21、22が構成されている。
【0045】
つまり、操作者が操作板49の上面、すなわち操作面21A、22A上で指を移動すると、センサ部47Aを介して制御回路43が指の移動を検出することができる。また、操作者が操作面21A、22Aを指で押圧すると、可動カバー46が下に移動し、押圧部46Aがプッシュスイッチ42を押圧してプッシュスイッチ42がONし、逆に指を離すとOFFするものとして構成されている。
【0046】
この様に構成された車載用表示システム40において、ステアリングスイッチ21、22を別々に操作しても、車載用ディスプレイ5に表示は変化するが、さらに同時操作を行っても、車載用ディスプレイ5に表示される画面が変化する。
【0047】
この様なステアリングスイッチ21、22の同時操作による車載用ディスプレイ5の表示の変化について、以下、五つの例を取上げて説明する。
【0048】
まず、図3の画面図、図4の上面図を用いて説明するのは、カーナビゲーションシステム26により、車載用ディスプレイ5の地図表示を切り替えるものである。
【0049】
ここで図3(a)、図3(b)の画面図は、図4の操作の前後の車載用ディスプレイ5の表示画面を示したものである。
【0050】
まず図3(a)で、車載用ディスプレイ5には、広域の地図画像51、縮尺表示52が表示されている。なお、地図画像51において操作者が搭乗している車両は黒三角で示すアイコン53として表示され、地図画像51に対応する縮尺は、縮尺表示52のインジケータ54のように、操作者が認識可能なように表示されている。
【0051】
ここで例えばインジケータ54の縮尺は500mに相当するもので、広域の地図画像51が表示されている。
【0052】
そして、図4のように操作者が右側のステアリングスイッチ21の操作面21Aの上面で操作者が指を矢印Aの方向(これを右方向とする)、左側のステアリングスイッチ22の操作面22Aの上面で操作者が指を矢印Bの方向(これを左方向とする)、つまり右手と左手の指を離すように移動させると図3(b)の表示に切り替わる。ここで、地図画像56は地図画像51に比べ、より詳細な縮尺での地図の表示である。また、縮尺表示52のインジケータ54の縮尺は例えば100mに相当するもので、地図画像56は地図画像51に比べ5倍に拡大した表示となっている。
【0053】
なお、これを信号の流れで説明すると、まず同時に操作したステアリングスイッチ21、22からの操作信号S1、S2が制御装置25に入力される。そして、制御装置25は制御信号S3を出力し、制御信号S3が入力されたカーナビゲーションシステム26は地図画像56へ更新するデータなどを含んだ表示信号S5を車載用ディスプレイ5に出力する。そして、車載用ディスプレイ5で地図画像56へ表示が更新される。
【0054】
これにより、操作者が右手の指と左手の指の間隔を離すという操作に対応し、地図画像51から地図画像56に縮尺が拡大され、操作者の直感に適合した操作を行うことが可能となる。また、操作者は右手と左手でステアリングホイール1を握ったまま操作することができるため、素早い操作を可能とするものとなっている。
【0055】
なお、ここで逆に操作者が右手の指と左手の指の間隔を近づける操作をすると、地図画像56の縮尺は縮小され、広域の地図画像51の表示に戻すこともできる。
【0056】
次に、図5の画面図、図6の上面図を用いて、ステアリングスイッチ21、22の同時操作を行った際に車載用ディスプレイ5の地図表示を回転させる場合について説明する。
【0057】
ここで、図5の画面図で示す表示は、前記の図3(b)の表示がされているときに、図6に示す操作を行うと車載用ディスプレイ5に表示されるものである。
【0058】
ここで、操作者が図6で示すように、ステアリングスイッチ21の操作面21Aで矢印Cの方向(これを後方向とする)に指を移動し、ステアリングスイッチ22の操作面22Aで矢印Dの方向(これを前方向とする)に指を移動すると、地図画像56が時計回転方向に回転し、地図画像57として表示される。
【0059】
つまり、操作者が右手の指と左手の指を後方向、前方向に移動させる操作に対応し、地図画像56から地図画像57に表示が回転するので、素早い操作が可能となっている。
【0060】
次に、図7の画面図、図8の上面図を用いて、ステアリングスイッチ21、22の同時操作を行った際に被制御機器を切り替える表示について説明する。
【0061】
ここで、図7(a)の画面図で示す表示は、前記の図3(a)の表示がされているときに、図8(a)に示す操作を行うと車載用ディスプレイ5に表示されるものである。また、図7(b)の画面図で示す表示は、図7(a)の表示の状態で図8(b)の操作を行った後の表示である。
【0062】
まず操作者が図8(a)で示すように、ステアリングスイッチ21の操作面21Aで矢印Eの方向(後方向)に指を移動し、ステアリングスイッチ22の操作面22Aで矢印Fの方向(後方向)に指を移動すると、車載用ディスプレイ5のやや下方に、機能表示61として縮小表示される。そして、機能表示61の周囲に、オーディオシステム27を示す機能表示62、車外カメラシステム28を示す機能表示63が表示され、機能表示61、62、63がリング状のホイール表示64で接続された図7(a)の表示に変化する。
【0063】
なお、機能表示61、62、63は、それぞれカーナビゲーションシステム26、オーディオシステム27、車外カメラシステム28の現在の制御状態を表示するものである。
【0064】
この画面の状態で、操作者が図8(b)で示すように、ステアリングスイッチ21の操作面21Aで矢印Gの方向(前方向)に指を移動し、ステアリングスイッチ22の操作面22Aで矢印Hの方向(後方向)に指を移動すると、機能表示61、62、63が時計方向に一つ回転し、オーディオシステム27を示す機能表示62が選定された状態となる。
【0065】
つまり、最初の操作で、ステアリングスイッチ21を矢印Eの方向、ステアリングスイッチ22を矢印Fの方向に操作すると、機能表示61として縮小表示になるという操作者が直感的に理解しやすい表示変化が行われると共に、オーディオシステム27や車外カメラシステム28という複数の被制御機器に対応した機能表示62、63などを同時に表示することができ、複数の被制御機器の操作に適した表示を可能とするものである。
【0066】
また、次の操作で、ステアリングスイッチ21を矢印Gの方向、ステアリングスイッチ22を矢印Hの方向に操作すると、機能表示62、63などをホイール表示64に沿って回転させるので、対象とする被制御機器を切替えることが容易である。
【0067】
さらに第三の例として、図9の画面図、図10の上面図を用いて、ステアリングスイッチ21、22の同時操作による、オーディオシステム27に関する表示の変化について説明する。
【0068】
ここで、図9(a)の画面図で示す表示は、図7(b)の表示の状態で図10(a)の操作を行った後の表示である。また、図9(b)の画面図で示す表示は、図9(a)の表示の状態で図10(b)の操作を行った後の表示である。
【0069】
まず操作者が図10(a)で示すように、ステアリングスイッチ21の操作面21Aを指で押圧すると、図7(b)の車載用ディスプレイ5のやや下方に表示された機能表示62が選択され、図9(a)の画面図で示すオーディオシステム27の操作画面に変化する。
【0070】
ここで、図9(a)において、アルバム表示71で示すのは、複数の楽曲がまとめられたもので、タイトル表示72やアーティスト名表示73が表示されている。
【0071】
そして、この状態で操作者がステアリングスイッチ21の操作面21Aで指を後方向に移動すると、選択されたアルバム表示71が下方のアルバム表示71に移動する。
【0072】
そして、操作者が図10(b)で示すように、ステアリングスイッチ21の操作面21Aで矢印Iの方向(右方向)に指を移動し、ステアリングスイッチ22の操作面22Aで矢印Jの方向(左方向)に指を移動すると、図9(b)に示すように、選択されたアルバム表示71の表示領域が広くなり、アルバム表示71としてまとめられていた個々の楽曲の楽曲名が楽曲表示74として表示される。
【0073】
つまり、ステアリングスイッチ21、22の同時操作により、選択したアルバム表示71の領域を広げ、中の楽曲を楽曲表示74として表示することができる。ここで、ステアリングスイッチ21、22の操作は矢印Iと矢印Jの方向(右方向と左方向)、すなわち離れるように指を移動させているので、直感的に表示を広げることと合致した操作となっている。
【0074】
最後の例として、図11の画面図、図12の上面図を用いて、ステアリングスイッチ21、22の同時操作による、車外カメラシステム28に関する表示の変化について説明する。
【0075】
ここで、図11(a)の画面図で示す表示は、車両に配置されたバックカメラ30が撮像した映像の表示で、例えば車両を後進させた場合に表示される。また、図11(b)の画面図で示す表示は、図11(a)の表示の状態で図12の操作を行った後の表示である。
【0076】
すなわち、図12のように、操作者がステアリングスイッチ21の操作面で矢印Kの方向に指を移動し、ステアリングスイッチ22の操作面で矢印Lの方向に指を移動すると、図11(a)の後方表示81が、図11(b)のように縮小され、縮小された後方表示82の下方に車両を示す車両表示83と車両表示83の左右に左右のサイドカメラ31、32が撮像した映像となる側方表示84、85が表示される。
【0077】
つまり、ステアリングスイッチ21、22の同時操作により、バックカメラ30による後方表示82だけでなく、サイドカメラ31、32による側方表示84、85も車載用ディスプレイ5に表示することができ、操作者の意図に合致した表示を素早く行うことが可能となるものである。
【0078】
なお、前記の説明では、後方表示81はステアリングスイッチ21、22の同時操作により縮小表示された後方表示82となるものとして説明したが、縮小表示されず、側方表示84、85を重ねて表示するものとしても良い。
【0079】
そして、ステアリングスイッチ21、22の構成として、前記の説明では、静電式の電極47Bを用いて指の位置を検出するものを示したが、ステアリングスイッチ21、22は操作者の指の移動を検出できるもので有ればよい。
【0080】
前記の静電容量式のステアリングスイッチ21、22以外のものとして、例えば、抵抗膜式のタッチパネルを用いたステアリングスイッチや、球状や円柱状のローラーを指で操作した際の操作方向を検出するステアリングスイッチ、あるいは複数のプッシュスイッチ42を配線基板41上に配置し、それぞれのプッシュスイッチ42の押圧により操作方向を検出するステアリングスイッチ、光やレーザーを用いて指やローラーなどの移動量、方向、速度などを検出する光学式のステアリングスイッチなどが挙げられる。
【0081】
また、ステアリングスイッチ21、22の操作面は円形のものを前記の説明では一例として示したが、方形などの多角形、多角形の角が丸まった形状や、楕円形など操作可能な操作面があればどのような形状でも良い。
【0082】
また、ステアリングスイッチ21、22の操作面の指の移動方向を、前後左右の方向で示したが、斜めに指を移動する操作や、弧を描くように指を移動させる操作など様々な操作を行うことが可能である。
【0083】
また、ステアリングスイッチ21、22からの操作信号S1、S2は同時に制御装置25に入力されるように構成しても良いし、時系列でずれるように制御装置25に入力されるように構成しても良い。操作信号S1、S2が制御装置25に入力されることで、ステアリングスイッチ21、22が同時に操作されたことを制御装置25が認識可能であれば良い。
【0084】
また、前記の説明では、機能表示61、62、63が現在の被制御機器の制御状態の表示として、同時に車載用ディスプレイ5に表示される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、機能表示61、62、63に代えて、記号やアイコンで同時に車載用ディスプレイ5に表示するものとしても良い。また、被制御機器も車両に用いられるシステムであれば良く、他の例としては車内のエアコンや換気システムが挙げられる。
【0085】
また、機能表示61、62、63を別々に表示せず、重ねて表示するものとしても良い。例えば、ステアリングスイッチ21、22の操作により現在選択されている機能表示を縮小表示せず、選択されていない機能表示を重ねて表示するものとすることも可能である。
【0086】
このように本実施の形態によれば、右側および左側のステアリングスイッチ21、22の操作面を同時に操作すると、同時の操作に対応した制御信号S3または表示信号S4が制御装置25から出力され、車載用ディスプレイ5の表示が変化するもので、従来の車載用表示システムにおけるステアリングスイッチの別々の操作に加え、ステアリングスイッチの同時操作にも対応することで、操作者の多様な操作に対応可能な車載用表示システム40を提供することができる。
【0087】
また、カーナビゲーションシステム26やオーディオシステム27などの被制御機器を複数備え、車載用ディスプレイ5に被制御機器の一つに対応した機能表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチ21、22の操作面21A、22Aを同時に操作すると、他の被制御機器に対応した機能表示が加えて表示されるもので、複数の被制御機器の制御状態を同時に確認することが可能となり、操作者の利便性を向上しうるという作用を有する。
【0088】
また、車載用ディスプレイ5に複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチ21、22の操作面21A、22Aを同時に操作すると、車載用ディスプレイ5に複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された位置が変化するもので、複数の被制御機器のうち主として制御したい被制御機器の選択を容易に行いうる。
【0089】
また、被制御機器を複数備え、車載用ディスプレイ5に複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチ21、22の操作面21A、22Aを同時に操作すると、車載用ディスプレイ5に複数の被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された位置が変化するもので、複数の被制御機器のうち主として制御する被制御機器の選択を容易に行いうる。
【0090】
また、被制御機器はオーディオシステム27であって、オーディオシステム27から出力された表示信号S5により、車載用ディスプレイ5に複数のアルバム表示71が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチ21、22の操作面21A、22Aを同時に操作すると、選択された一つのアルバム表示71に対応した複数の楽曲表示74が表示されるもので、容易な操作で楽曲表示74を確認しうる。
【0091】
さらに、被制御機器は車外カメラシステム28であって、車外カメラシステム28は車両の後方を撮像するバックカメラ30と、車両の側方を撮像するサイドカメラ31、32を備え、車載用ディスプレイ5にバックカメラ30で撮像した後方表示81が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチ21、22の操作面21A、22Aを同時に操作すると、サイドカメラ31、32で撮像した側方表示84、85がバックカメラで撮像した後方表示82に加えて表示されるもので、容易な操作で車両周辺の状況を確認しうる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明による車載用表示システムは、複数のステアリングスイッチの同時操作を反映することで、多様な表示を車載用ディスプレイで行いうる車載用表示システムを提供するという有利な効果を有し、主に車載用のシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 ステアリングホイール
5 車載用ディスプレイ
21、22 ステアリングスイッチ
21A、22A 操作面
23、24、29 配線
25 制御装置
26 カーナビゲーションシステム
27 オーディオシステム
28 車外カメラシステム
30 バックカメラ
31、32 サイドカメラ
40 車載用表示システム
41 配線基板
42 プッシュスイッチ
43 制御回路
44 コネクタ
45 固定カバー
46 可動カバー
46A 押圧部
47 電極基板
47A センサ部
47B 電極
47C 配線部
47D 端子部
48 下カバー
49 操作板
51、56、57 地図画像
52 縮尺表示
53 アイコン
54 インジケータ
61、62、63 機能表示
64 ホイール表示
71 アルバム表示
72 タイトル表示
73 アーティスト名表示
74 楽曲表示
81、82 後方表示
83 車両表示
84、85 側方表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの右側および左側に操作面を露出させて内蔵されたステアリングスイッチと、前記ステアリングスイッチそれぞれから出力された操作信号が入力される制御装置と、前記制御装置から出力された制御信号が入力される被制御機器と、前記制御装置または前記被制御機器から出力された表示信号が入力される車載用ディスプレイを備え、それぞれの前記ステアリングスイッチの前記操作面を同時に操作すると、同時の操作に対応した制御信号または表示信号が前記制御装置から出力され、前記車載用ディスプレイの表示が変化する車載用表示システム。
【請求項2】
前記被制御機器を複数備え、前記車載用ディスプレイに前記被制御機器の一つに対応した機能表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、他の前記被制御機器に対応した機能表示が加えて表示される請求項1記載の車載用表示システム。
【請求項3】
前記被制御機器を複数備え、前記車載用ディスプレイに複数の前記被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、前記車載用ディスプレイに複数の前記被制御機器に対応した機能表示またはアイコンが表示された位置が変化する請求項1記載の車載用表示システム。
【請求項4】
前記被制御機器はカーナビゲーションシステムであって、前記カーナビゲーションシステムから出力された表示信号により、前記車載用ディスプレイに地図画像が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、縮尺が変化した前記地図画像が表示される請求項1記載の車載用表示システム。
【請求項5】
前記被制御機器はオーディオシステムであって、前記オーディオシステムから出力された表示信号により、前記車載用ディスプレイに複数のアルバム表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、選択された一つの前記アルバム表示に対応した複数の楽曲表示が表示される請求項1記載の車載用表示システム。
【請求項6】
前記被制御機器は車外カメラシステムであって、前記車外カメラシステムは車両の後方を撮像するバックカメラと、車両の側方を撮像するサイドカメラを備え、前記車載用ディスプレイに前記バックカメラで撮像した後方表示が表示された状態で、右側および左側の前記ステアリングスイッチの操作面を同時に操作すると、前記サイドカメラで撮像した側方表示が前記バックカメラで撮像した後方表示に加えて表示される請求項1記載の車載用表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−177999(P2012−177999A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39782(P2011−39782)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】