説明

車載用電子機器

【課題】 ラジオ放送中に受信した音楽コンテンツから楽曲データを抽出し、抽出した楽曲データに名称を付加して一時記録し、使用者が操作可能な状態となったとき、使用者に対し、一時記録した楽曲データの登録または削除の選択を促す。
【解決手段】 表示制御手段は、車両状態検出手段が走行中と判断したときに放送受信部により受信され第1記録部に記録された楽曲情報を車両走行手段が停車中と判断したときに表示手段に一覧表示し、登録制御手段は、選択手段により選択された楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AM放送やFM放送またはデジタル放送に対応したラジオ放送受信機能を併せ持った車載用電子機器に関するものであり、特に、ラジオ放送中に受信した音楽コンテンツから1曲毎の楽曲データを抽出し、抽出した楽曲データと車載用電子機器内に記憶された楽曲情報とを照合することで、楽曲データを特定できる情報を付加し、情報を付加した楽曲データを一時記録領域に記録を行い、車両の停車が確認され使用者が操作可能な状態となったときに、一時記録しておいた楽曲データを表示手段に表示して、使用者に対し楽曲データの登録または削除の選択を促すようにした車載用電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、ナビゲーション装置、音楽プレーヤー、DVDプレーヤー、アナログ放送やデジタル放送に対応したテレビジョン受信機など各種の電子装置が小型化され、携帯可能な装置として、あるいは車載用の装置として提供されている。特に車載用の装置としては、上記の各種機能を複合して備えた電子装置も提供されている。
【0003】
ラジオ放送を受信し、音楽コンテンツの楽曲部分を記録するようにしたデジタル再生装置が、例えば、下記の特許文献1(特表2005−518560号公報)に開示されている。このデジタル再生装置は、受信されるラジオ放送コンテンツの中から再生することができる音楽部分を自動で選り分けて格納するように構成されたものである。
【0004】
すなわち、このデジタル再生装置は、チューナで放送信号を音響出力部に出力すると共に、DSPに印加すると、DSPは前記放送信号をデジタルデータに変換して音楽抽出部に印加し、音楽抽出部は音楽抽出アルゴリズムによって前記デジタルデータ中から音楽データのみを抽出し、マイクロプロセッサは抽出した前記音楽データの始めと終わりを認識して音楽データ格納部の臨時領域に臨時格納しておき、現在出力中の音楽を格納する命令が入力されると、前記音楽データ格納部の臨時領域から確定領域に移転して格納し、その格納状態を確定して維持するようにされたものである。
【特許文献1】特表2005−518560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたデジタル再生装置は、受信されるラジオ放送コンテンツの中から再生することができる音楽部分を自動で選り分けて臨時格納領域に格納し、現在出力中の音楽を格納する命令が入力されると、前記音楽データ格納部の臨時領域から確定領域に移転して格納し、その格納状態を確定して維持するようにされたものであり、格納する命令が入力されないときは、臨時格納領域に格納された音楽データは自動的に確定格納領域に格納され、確定格納領域の容量が限界まで来ると、格納命令が入力されなかった音楽データのうち古いデータから自動的に削除されてしまうものである。
【0006】
しかし、特許文献1では、使用者が音楽データを格納(録音)したいと考えた場合、その都度格納命令を入力しなければならず、格納命令を行わなかった場合は、上記説明にしたように、臨時格納領域に格納された音楽データは自動的に確定格納領域に格納され、確定格納領域の容量が限界まで来ると、格納命令が入力されなかった音楽データのうち古いデータから自動的に削除されてしまう。つまり特許文献1においては、ユーザが格納(録音)したい音楽データは、その都度格納命令を入力しなければならず、特許文献1に記載のデジタル再生装置を車両に搭載して用いた場合など、走行中にラジオ放送から受信した音楽データを格納(録音)したいと考えた場合、走行中であってもその都度格納命令入力が必要となり安全面に問題があると考えられる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、ラジオ放送受信機能を備えた車載用電子機器において、車両走行中に受信したラジオ放送の音楽コンテンツから1曲毎の楽曲データを抽出し、車載用電子機器内に記憶された楽曲情報と照合することで、楽曲データを特定できる情報を付加し、付加した楽曲データを一時記憶領域に記録を行い、車両が停車状態であることが検出され、使用者が安全に操作可能状態となったと判断されると、表示手段に一時記録しておいた楽曲データを表示して、表示された楽曲データを登録するか、または削除するかの選択を行わせる構成とすれば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は上記の問題を解消することを課題とし、検出された車両の状態から、使用者が安全に操作を行える状態か否かを判断し、使用者が安全に操作できる状態であれば表示手段に一時記録しておいた楽曲データを表示して、登録または削除の選択を行わせる車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明は、
電波を受信し音響信号に復調する放送受信部と、該放送受信部により復調された音響信号から楽曲を抽出する楽曲抽出手段と、該楽曲抽出手段により抽出された楽曲を楽曲毎に記録する第1記録部と、該第1記録部に記録された楽曲毎の楽曲情報を表示手段に表示する表示制御手段と、該表示制御手段により前記表示手段に表示された楽曲情報の中から少なくとも1つの楽曲情報を選択する選択手段と、該選択手段により選択された楽曲情報に対応する楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録する登録制御手段と、を備えた車載用電子機器に於いて、
該車載用電子機器は、更に前記車載用電子機器が載置された車両の走行状態を検出する車両状態検出手段を備え、
前記表示制御手段は、該車両状態検出手段が走行中と判断したときに前記第1記録部に記録された楽曲の楽曲情報を前記車両走行手段が停車中と判断したときに前記表示手段に表示し、前記登録制御手段は、前記選択手段により選択された楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録することを特徴とする。
【0010】
また、本願請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は、更に複数の楽曲に関する楽曲情報と楽曲を特定するための楽曲特定情報とを記憶した楽曲情報記憶部と、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲と前記楽曲特定情報とを照合して楽曲を特定し、楽曲に対応する楽曲情報を楽曲と関連付けて第1記録部に記録する楽曲照合手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項3にかかる発明は、本願請求項2にかかる車載用電子機器において、
前記楽曲情報は少なくとも楽曲の名称または歌手名のいずれか一方を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本願請求項4にかかる発明は、本願請求項2にかかる車載用電子機器において、
前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出が開始された時間または抽出が終了した時間を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録することを特徴とする。
【0013】
また、本願請求項5にかかる発明は、本願請求項2にかかる車載用電子機器において、
前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出された順序を示す情報を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録することを特徴とする。
【0014】
また、本願請求項6にかかる発明は、本願請求項1乃至5の何れかにかかる車載用電子機器において、
前記楽曲特定情報は、楽曲の所定箇所の周波数波形であって、前記楽曲照合手段は、前記楽曲の所定箇所の周波数波形を抽出し前記楽曲特定情報と照合して楽曲を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1にかかる発明によれば、表示制御手段は、車両状態検出手段が走行中と判断したときに第1記録部に記録された楽曲の楽曲情報を車両走行手段が停車中と判断したときに表示手段に表示し、登録制御手段は、選択手段により選択された楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録する。
【0016】
このような構成によれば、車両の停車が検出され、使用者が安全に操作を行える状態と判定されたとき、楽曲抽出手段により抽出された楽曲データを表示手段に表示し楽曲データの登録または削除を促す構成としたので、使用者が安全に楽曲データの登録または削除の操作を行うことができるものである。
【0017】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる車載用電子機器において、前記車載用電子機器は、更に複数の楽曲に関する楽曲情報と楽曲を特定するための楽曲特定情報とを記憶した楽曲情報記憶部と、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲と前記楽曲特定情報とを照合して楽曲を特定し、楽曲に対応する楽曲情報を楽曲と関連付けて第1記録部に記録する楽曲照合手段を備える。
【0018】
このような構成によれば、楽曲抽出手段により抽出された楽曲データに楽曲の名称等の情報を付加することができるので、名称等の情報を付加した楽曲データ表示手段に表示するときに、使用者が楽曲データの情報を認識し易くなる。
【0019】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかる車載用電子機器において、楽曲情報は少なくとも楽曲の名称または歌手名のいずれか一方を含むようにする。
【0020】
このような構成によれば、楽曲データに付加する情報が、楽曲の名称だけではなく、楽曲のアーティスト名も合わせて付加することができ、使用者はより一層楽曲を認識し易くなる。
【0021】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項2にかかる車載用電子機器において、前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出が開始された時間または抽出が終了した時間を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録する。
【0022】
このような構成によれば、楽曲データと楽曲情報記憶部に記憶された楽曲情報とを照合させたとき、楽曲データに対応した楽曲情報が見つからなかったときでも、楽曲データの抽出を開始した時間または抽出を終了した時間等を付加することで、楽曲データの特定を行うことができる。
【0023】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項2にかかる車載用電子機器において、前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出された順序を示す情報を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録する。
【0024】
このような構成によれば、楽曲データを抽出した順番を楽曲データに付加することで、使用者が、抽出した順番を見ることで、楽曲データの特定することができる。
【0025】
また、請求項6にかかる発明においては、請求項2乃至5の何れかにかかる車載用電子機器において、前記楽曲特定情報は、楽曲の所定箇所の周波数波形であって、前記楽曲照合手段は、前記楽曲の所定箇所の周波数波形を抽出し前記楽曲特定情報と照合して楽曲を特定する。
【0026】
このような構成によれば、ラジオ放送受信部により受信するデータが、デジタル信号ではなくアナログ信号であっても、波形データを用いて照合を行うことができるので、アナログ信号からでも正確に楽曲を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用電子機器を例示するものであって、本発明をこの車載用電子機器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用電子機器にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の実施例1にかかる車載用電子機器1の詳細な構成を示すブロック図である。車載用電子機器1は、自動車等の車両のダッシュボード上に載置されることにより車載用として使用されるだけでなく、車両から取り外され、ユーザが携帯し使用できるタイプのものであってもよい。
【0029】
また、実施例1における車載用電子機器1は、デジタル放送に対応したラジオ放送受信機能を併せ持った車載用電子機器を例示する。
【0030】
制御手段10は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)からなるプロセッサで構成され、ROMに記録された制御プログラムにしたがって車載用電子機器1の各部の動作を制御するものである。
【0031】
また、制御手段10は、後述する表示手段13への表示制御を行う表示制御手段100と、後述する楽曲データの登録または削除に関する動作制御を行う登録制御手段101としても機能する。
【0032】
ラジオ放送受信部11はアンテナ19を介して放送電波を受信するものであり、実施例1における車載用電子機器1においてラジオ放送受信部11は、例えばデジタル放送受信チューナを用いることが考えられる。
【0033】
なお、上記ラジオ放送受信部11は、予め本車載用電子機器1内に搭載された構成としてもよく、または、外部接続できる構成としても構わない。外部接続することの利点は、車載用電子機器本体を小型化できるという利点がある。
【0034】
入力手段12は、各種キー、スイッチなどから構成され、車載用電子機器1における操作入力を行うものである。
【0035】
表示手段13は、後述する一時記録された楽曲データ等を表示するためのものであり、液晶ディスプレイなどで構成される。
【0036】
なお、この表示手段13は、入力手段として機能させてもよく、この場合は画面上に表示されたアイコンを使用者が触れることで選択入力が行われる。
【0037】
楽曲抽出手段14は、ラジオ放送受信部11がアンテナ19を介して受信している放送コンテンツが音楽コンテンツであるか否かの検出を行い、音楽コンテンツであることを検出すると、さらに音楽コンテンツから1曲毎の楽曲データを抽出する抽出手段である。実施例1において楽曲抽出手段14による楽曲データの抽出方法は、デジタル放送受信チューナから受信したデジタル放送信号の中に音楽放送を示すデータが含まれていれば音楽コンテンツと判断し、さらに音楽コンテンツ中に含まれる楽曲毎の楽曲開始アドレスまたは楽曲終了アドレス等のデータに基づき、音楽コンテンツ中に含まれる楽曲データを判断し抽出を行うものとする。このとき楽曲抽出手段14は、楽曲データとともに楽曲データの抽出を開始した時間および抽出を終了した時間を抽出する。
【0038】
楽曲情報記憶部15は、複数の楽曲の楽曲情報が記憶されているデータベースであり、例えば、CDDB(CD DataBase)が提供する音楽CD情報のオンラインデータベースサービスを利用し、楽曲抽出手段14により抽出された楽曲データから読み出された付属情報に基づいてインターネットを介して当該楽曲データに関する楽曲情報を取得できる構成が考えられる。
【0039】
なお、CDDBから取得できる楽曲情報には、楽曲の名称、アーティスト名、音楽ジャンル、および楽曲に関する付加情報などが含まれている。
【0040】
また、楽曲情報記憶部15は、オンラインデータサービスを利用して取得した楽曲の情報を随時記憶していくものとする。これにより、楽曲情報記憶部15に記憶されていない楽曲に関して情報を提供する場合は、インターネットを介して楽曲情報を取得し提供を行うようにして、既に楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲に関して情報を提供する場合は、インターネットを介して情報を取得する必要なく、楽曲情報記憶部15から直接、楽曲情報を提供することが可能となる。
【0041】
また、楽曲情報記憶部15に記憶されていない楽曲情報を、使用者が入力手段12を介して直接入力して楽曲情報記憶部15に記憶させることも考えられ、また、予め楽曲情報が記憶された記憶媒体を外部より接続することも考えられる。外部記憶媒体は、例えば、CD−ROMまたはDVD等を用いることが考えられる。
【0042】
以下、説明に用いる楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報は、インターネットを介して取得する楽曲情報または楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報の何れかであるが、以下、省略して楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報という記載を用いる。
【0043】
楽曲照合手段16は、楽曲抽出手段14により抽出された楽曲データに含まれる楽曲の情報と、楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報とを照合し、楽曲データに含まれる楽曲の情報と一致した楽曲情報から楽曲データを特定できる情報として楽曲の名称を付加する手段である。
【0044】
なお、抽出された楽曲データに含まれる情報と、楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報との照合についての詳細は後述する。
【0045】
楽曲データ記録手段17は、楽曲照合手段16により照合が行われ、名称が付加された楽曲データを一時的に記録する一時記録領域170と、一時記録領域170に一時記録されている楽曲データのうち使用者により登録操作が行われた楽曲データを記録する登録データ記録領域171を設けている。
【0046】
なお、一時記憶領域170にはRAMを用いることが考えら、登録データ記憶領域171にはハードディスク・ドライブ(HDD:Hard Disc Drive)を用いることが考えられる。
【0047】
車両状態検出手段18は、車両が停車したか否かを検出するものであり、ここでいう車両の停車とは、例えば、車両で信号待ちの状態、または駐車場での停車状態を示している。車両の停車を検出する方法としては、車両パーキングブレーキの検出、車両ブレーキの検出、GPS受信機による車両の現在位置の検出等を用いて検出可能と考えられる。また、この他にも、車速センサによる検出で、車速の変化がなくなったときに車両の停車を判断することも考えられる。また、これらの検出方法は、夫々の検出方法を単独で用いるより、複数の検出方法を複合した形で用いた方がより正確な車両の停車を検出することができるものと考えられる。
【0048】
次に、図2を用いて、楽曲抽出手段14が音楽コンテンツから抽出した楽曲データおよび楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報についての説明を行う。
【0049】
なお、上記説明した通り、楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報は、インターネットを利用して取得する楽曲情報または楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報何れかであるが、ここでは省略して楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報という記載を用いる。
【0050】
図2において、音楽コンテンツから抽出した楽曲データに含まれる情報は、楽曲の開始または終了を表すアドレス情報と、演奏時間となっている。但し、この楽曲情報は上記アドレス情報と演奏時間に限ることはなく、楽曲を特定できる情報であればよい。
【0051】
楽曲情報記憶部15には、複数の楽曲毎の情報が記憶されており、楽曲情報記憶部15には、ラジオ放送受信部11により受信された楽曲データに含まれる情報と照合するための楽曲情報だけではなく、CDを視聴する際に、挿入されたCDから読み取ったTOC情報と照合するための楽曲情報も記憶されている。TOC情報は各CDに対してCDに収録されているトラックの数、CD上での各トラックの開始アドレスおよび各トラックの演奏時間などの情報が関連付けられており、これらの情報と照合するために、楽曲情報記憶部15には、楽曲のアルバム名(CDタイトル名)、アーティスト名、音楽ジャンル、各楽曲のトラック番号や曲名、および楽曲に関する付加情報などが記憶されている。
【0052】
楽曲照合手段16により楽曲データに含まれる情報と楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報との照合が行われることで、楽曲データの名称等を特定することができ、名称等を付加した状態で一時記憶領域170に一時的に記録することができる。
【0053】
図2では、抽出した楽曲データに含まれる情報が、[アドレス情報]00aa、[演奏時間]aa:aa[抽出開始時間]14:23 09[抽出終了時間]14:27 23という情報であり、これらの情報と楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報とを照合することで、抽出した楽曲データの名称がAであることが特定されることになる。
【0054】
なお、楽曲データに、楽曲の名称とともにアーティスト名を付加するようにしてもよい。
【0055】
また、楽曲データに含まれる情報と、楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報とを照合したときに、楽曲データに対応した楽曲情報が見つからなかったときは、楽曲抽出手段14により楽曲データの抽出が開始された時間または抽出が終了した時間等の情報を楽曲データに付加することで、楽曲データを特定することができる。
【0056】
次に、図3のフローチャートを用いて制御手段10の制御動作を説明する。
【0057】
なお、本実施例は、車両走行中に車載用電子機器1においてラジオを受信した状態での制御動作を示している。
【0058】
また、図3のフローチャートにおける制御手段10の制御動作には、表示制御手段100および登録制御手段101の制御動作も含むものとする。
【0059】
ステップS10の処理において、アンテナ19を介してラジオ放送受信部11により放送コンテンツの受信が行われたか否かの検出を行い、ラジオ放送受信部11により放送コンテンツの受信が行われたことを検出すると(ステップS10のY)、楽曲抽出手段14により、ラジオ放送受信部11が受信した放送コンテンツが音楽コンテンツであるか否かの検出が行われ(ステップS11)。ステップS11の処理において、受信した放送コンテンツが音楽コンテンツであることが検出されると(ステップS11のY)、楽曲抽出手段14により音楽コンテンツから1曲毎の楽曲データが抽出される(ステップS12)。このとき、楽曲抽出手段14は、楽曲データとともに楽曲データの抽出を開始した時間および抽出を終了した時間も抽出する。
【0060】
ステップS11の処理において、受信した放送コンテンツが音楽コンテンツではないことが検出されると(ステップS11のN)、ステップS13の処理において、ラジオがOFFにされたか否かの検出を行い、ラジオがOFFにされたことを検出すると(ステップS13のY)、動作を終了する。ステップS13の処理において、ラジオがOFFにされなかったときは(ステップS13のN)、ステップS10の処理に戻って、再び放送が受信されたか否かの検出を行う。
【0061】
ステップS12の処理において、音楽コンテンツから楽曲データが抽出されると、楽曲照合手段16により、抽出された楽曲データに含まれる楽曲の情報と、楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報とが照合される(ステップS14)。ステップS14の処理において、楽曲データに含まれる情報と一致する楽曲情報が楽曲情報記憶部15に記憶されていることが検出されると(ステップS14のY)、一致した楽曲情報に含まれる楽曲名称が、抽出した楽曲データの名称として付加され(ステップS15)、ステップS15の処理において名称が付加された楽曲データを楽曲データ記録手段17における一時記録領域170に一時記録を行う(ステップS16)。
【0062】
ステップS14の処理において対応した楽曲情報がないときは(ステップS14のN)、ステップS12の処理で、楽曲を抽出したときの開始時間または終了時間等の情報を楽曲データに付加して(ステップS17)、ステップS16の処理において一時記録を行うものとする。
【0063】
ステップS16の処理において、楽曲名称または楽曲を特定するための情報が付加された楽曲データを一時記録領域170に一時記録すると、次に、車両状態検出手段18により、車両が停車状態にあるか否かの検出が行われる(ステップS18)。ここで、車両の停車が検出されると(ステップS18のY)、ステップS19の処理において、一時記録領域170に一時記録した楽曲データを表示手段13に表示する。
【0064】
図4は、表示手段13に表示した楽曲データを示したものである。
【0065】
なお、図4に示すように、楽曲抽出手段14が音楽コンテンツから抽出した楽曲データが複数ある場合には、表示手段13には楽曲データがリスト表示される。図中では、5曲のデータが表示されている状態を示している。表示番号1から4までの楽曲データには夫々楽曲の名称が付加された状態で表示手段13に表示されているが、表示番号5には楽曲の名称が付加されていない。これは上記フローチャートにおいても説明した通り、楽曲照合手段16により、楽曲抽出手段14により抽出された楽曲データと楽曲情報記憶部15に記憶されている楽曲情報とが照合されたときに、抽出された楽曲データと一致する楽曲情報が見つからなかった場合を示しており、こういった場合は、楽曲情報に代わり、楽曲の抽出が開始された時間または終了した時間等を付加することで、楽曲が特定できるようにする。図4の表示番号5の楽曲データには、楽曲データの抽出が開始された時間が表示された例を示している。
【0066】
図4に示すように、楽曲毎に、登録、削除の決定アイコンが付加されており、使用者は、楽曲毎に、登録したい楽曲は登録アイコンをタッチし、削除したい場合は、削除アイコンをタッチすることで楽曲の登録または削除を行うことができる。
【0067】
ステップS19の処理において、表示手段13に楽曲データが表示されると、
使用者により、表示された楽曲データを登録とするか、または削除するかを選択する操作が行われたか否かの検出を行う(ステップS20)。ステップS20の処理において、選択操作を検出すると(ステップS20のY)、ステップS21の処理において、登録アイコンが操作されたか否かの検出を行い、楽曲の登録アイコンが操作されたことを検出すると(ステップ21のY)、抽出データ記憶手段17における一時記録領域170に記録されていた楽曲データは、登録データ記録領域171に移されて登録データとして記録される(ステップS22)。このとき、登録となった楽曲に対しては、楽曲の名称に加えて、アーティスト名称等の付属情報も付加して記録させることが望ましい。
【0068】
ステップS21の処理において、登録操作を検出しなかったときは(ステップS21のN)、次に、削除アイコンが操作されたか否かの検出を行い(ステップS23)、削除アイコンの操作を検出すると(ステップS23のY)、一時記録領域170に一時記録されている楽曲データを削除する(ステップS24)。ステップS23の処理において、削除アイコンの操作を検出しなかったときは(ステップS23のN)、ステップS21の処理に戻り、再び登録アイコンの操作がされたか否かの検出を行う。
【0069】
ステップS20の処理において、楽曲の登録、または削除の選択操作を検出しなかったときは(ステップS20のN)、動作を終了する。
【実施例2】
【0070】
実施例1では、デジタル放送に対応したラジオ放送受信機能を併せ持った車載用電子機器を例示したが、実施例2では、アナログ放送に対応したラジオ放送受信機能を併せ持った車載用電子機器を例示する。
【0071】
以下の実施例2においては、ラジオ放送受信部11がデジタル放送受信チューナではなくアナログ放送受信チューナであること以外は実施例1における車載用電子機器1の構成と同じ構成となっているので、各構成部の説明は省略する。
【0072】
実施例1と実施例2とで大きく異なる点は、ラジオ放送受信部11により受信する放送信号が、デジタル信号であるかアナログ信号であるかという点である。デジタル信号を受信した場合は、上記実施例1でも説明をしたように、デジタル信号の中に含まれる楽曲の情報から音楽コンテンツか否かを判断して、さらに音楽コンテンツから1曲毎の楽曲データの抽出を行うことができると説明した。
【0073】
しかし、アナログ信号の場合には、デジタル信号のように楽曲データに含まれる情報を抽出することができない。
【0074】
したがって、実施例2におけるラジオ放送受信部11は、アナログ波形に基づき放送コンテンツが音楽コンテンツであるか否かの検出、および1曲毎の楽曲データの抽出を行うものとする。
【0075】
よって実施例2における楽曲情報記憶部15は、実施例1で説明した楽曲の情報に加えて楽曲毎の波形データを記憶している。
【0076】
図5は、楽曲情報記憶部15に記憶された、1楽曲の波形データを例示したものである。
【0077】
図5に示す点線aから点線bまでが1楽曲の波形データとなっている。
【0078】
楽曲抽出手段14は、ラジオ放送受信部11により受信されたアナログ信号に含まれている波形データを分析することで、放送コンテンツが音楽コンテンツであるか否かを判断し、さらに受信したアナログ信号に含まれている波形データと楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲毎の波形データを照合することで、音楽コンテンツから1曲ごとの楽曲データを抽出することを可能とする。そして抽出された楽曲データには、照合し一致した楽曲情報記憶部15に記憶された楽曲情報に含まれる楽曲名称を付加して楽曲データ記録手段17における一時記録領域170に記録を行う。
【0079】
なお、波形データの照合は、1楽曲の波形データすべてを分析する必要はなく、波形データの中の特徴部分のみを分析することで楽曲を抽出することが可能と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の車載用電子機器1の要部を示すブロック図である。
【図2】抽出した楽曲データに含まれる情報および楽曲情報記憶手段15に記憶された楽曲情報を示した図である。
【図3】本発明の車載用電子機器の制御手段による制御動作を示すフローチャートである。
【図4】楽曲データの登録または削除を行う選択画面を例示した図である。
【図5】実施例2における、楽曲情報記憶部15に記憶された1楽曲の波形データを示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1・・・・車載用電子機器
10・・・制御手段
100・・表示制御手段
101・・登録制御手段
11・・・ラジオ放送受信部
12・・・入力手段
13・・・表示手段
14・・・楽曲抽出手段
15・・・楽曲情報記憶部
16・・・楽曲照合手段
17・・・楽曲データ記録手段
170・・一時記録領域
171・・登録データ記録領域
18・・・車両状態検出手段
19・・・アンテナ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信し音響信号に復調する放送受信部と、該放送受信部により復調された音響信号から楽曲を抽出する楽曲抽出手段と、該楽曲抽出手段により抽出された楽曲を楽曲毎に記録する第1記録部と、該第1記録部に記録された楽曲毎の楽曲情報を表示手段に表示する表示制御手段と、該表示制御手段により前記表示手段に表示された楽曲情報の中から少なくとも1つの楽曲情報を選択する選択手段と、該選択手段により選択された楽曲情報に対応する楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録する登録制御手段と、を備えた車載用電子機器に於いて、
該車載用電子機器は、更に前記車載用電子機器が載置された車両の走行状態を検出する車両状態検出手段を備え、
前記表示制御手段は、該車両状態検出手段が走行中と判断したときに前記第1記録部に記録された楽曲の楽曲情報を前記車両走行手段が停車中と判断したときに前記表示手段に表示し、前記登録制御手段は、前記選択手段により選択された楽曲を第1記録部から第2記録部へ記録することを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
前記車載用電子機器は、更に複数の楽曲に関する楽曲情報と楽曲を特定するための楽曲特定情報とを記憶した楽曲情報記憶部と、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲と前記楽曲特定情報とを照合して楽曲を特定し、楽曲に対応する楽曲情報を楽曲と関連付けて第1記録部に記録する楽曲照合手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記楽曲情報は少なくとも楽曲の名称または歌手名のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出が開始された時間または抽出が終了した時間を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録することを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記楽曲照合手段は、前記楽曲抽出手段により抽出された楽曲に対応する楽曲情報が前記楽曲情報記憶部に記憶されていないと判断すると、少なくとも前記楽曲抽出手段により抽出された順序を示す情報を前記楽曲情報として楽曲と関連付けて第1記録部に記録することを特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記楽曲特定情報は、楽曲の所定箇所の周波数波形であって、前記楽曲照合手段は、前記楽曲の所定箇所の周波数波形を抽出し前記楽曲特定情報と照合して楽曲を特定することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−120131(P2009−120131A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298792(P2007−298792)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】