説明

車載用電子機器

【課題】目的地や停車地点が、盗難などの事件発生率が高いエリアである場合にその旨を警告するに際して、自宅や勤務先など警告を除外する例外地点を登録して記憶できるようにする。
【解決手段】事件多発エリアデータが記憶された事件多発エリア記憶手段16と、停車地点や目的地が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上である場合に、報知手段を介して当該停車地点や目的地が事件多発エリアである旨の警告を報知する制御手段10と、前記警告を報知の対象としない例外地点を記憶する例外地点記憶手段17と、を備え、停車地点や目的地が、前記例外地点記憶手段17に記憶された例外地点と一致した場合には、当該停車地点や目的地が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上であっても前記警告の報知を行わないように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器に関するものであり、特に、予め記憶された事件多発エリアデータもしくはユーザーにより設定された事件多発エリアデータと、車両の現在位置や設定する目的地等に基づき、車両の停車位置や目的地等が事件多発エリア内にあるとき、ユーザーに対し注意を促す警告を行う車載用電子機器において、警告を除外する例外地点を登録できるようにした車載用電子機器に関するものである。
【0002】
なお、本出願において「事件」とは、車両自体の盗難、車両からの車載備品や積載貨物の盗難(いわゆる車上荒らし)、タイヤや塗装への傷付け等のイタズラ、豪雨時の冠水やガケ崩れ等の自然災害、その他車両に関連して発生するあらゆる不都合な事態を意味する。
【背景技術】
【0003】
最近ではナビゲーション装置、音楽プレーヤ、DVDプレーヤ、アナログ放送やデジタル放送に対応したテレビジョン受信機など各種の電子機器が小型化され、携帯可能な装置として、あるいは車載用の装置として提供されている。
【0004】
これらの車載用電子機器は、例えば、ナビゲーション装置のように車両のダッシュボードに取付けて用いられるものがある。
【0005】
また、最近では内蔵電源やAC電源接続手段などを備え、車両から取り外して外部に携帯し、携帯機器あるいは家庭内でも使用できる車載用/携帯用兼用の電子機器も提供されている。このような車載用電子機器は、ダッシュボードからの取外しが比較的容易であるため盗難の対象となりやすい。
【0006】
これらの車載用電子機器が盗難にあった場合の対処方法として種々の提案がなされている。
【0007】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−355241号公報)には車両用通信ECUおよびその盗難監視方法の発明が開示されている。この特許文献1に開示された技術は、車載用機器が無線機を通じて外部との間で通信を行う装置に関するものであり、車載用機器の車両への取り付け状態を検出するセンサーを設け、このセンサーによって盗難のような異常な取り外しを監視するようにしたものである。そして、センサーからの検出出力により無線機を通じて管理センターに盗難されたことを知らせるようになっている。同時に、当該無線機を使用不能にロックするようになっている。
【0008】
また、特許文献2(特許第3565125号公報)には、自車の進行方向の所定範囲内に事故多発区間がある場合に警告を行う事故多発区間警報発生装置が開示されている。
【0009】
この特許文献2に開示された技術は、過去に事故が多発している道路区間を、区間の両端および区間内にある交差点などの中間点を緯度、経度で表し、事故多発区間ごとに整理した事故多発区間情報として予め記憶しておき、自車の進行方向の所定範囲内に事故多発区間の両端および中間点のうち少なくとも2点が含まれているか否かを判定し、少なくとも2点が含まれていると判定されたときに事故多発区間への接近を知らせる警告を発するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−355241号公報(段落[0018]〜段落[0020]、段落[0029]〜段落[0037])
【特許文献2】特許第3565125号公報(段落[0012]、段落[0014]、段落[0016]〜段落[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に開示された車載用電子機器においては、車載用電子機器の車両への取り付け状態を検出するセンサーを設け、センサーが盗難時の異常な取り外しを検出し、この検出出力を、無線機を通じ通信で外部の管理センターへ知らせるものであり、車載用電子機器の盗難を発見するために車載用電子機器本体とは別途センサーを設けなければならずコストが高くなり、また外部の管理センターとの通信を行なわなくてはならないため、例えば通信障害が生じた場合などに盗難を発見することができなくなるという問題があった。
【0012】
また、上記特許文献2に開示された事故多発区間警報発生装置においては、自車の進行方向の所定範囲内に事故多発区間の両端および中間点のうち少なくとも2点が含まれているか否かを判定し、少なくとも2点が含まれていると判定されたとき事故多発区間への接近を知らせる警告を発するようになっている。しかし、盗難に関しては、運転中に自車の進行方向の所定範囲に盗難多発区間が存在したとしてもその区間を走行することには特別問題はない。盗難において一番注意しなければならないのは、車両を停車させ、運転者が車両から離れたときである。つまり、盗難に関しては車両で走行中ではなく車両を停車させた時点での警告が求められるのだが、引用文献2には自車の停車を判定する手段が設けられていないため盗難多発エリアにおいての警告を発することはできないという問題があった。
【0013】
本願特許出願人は、上記の問題を解消すべく、車載用電子機器に、車両の現在位置を検出する現在位置検出機能と、盗難多発エリアのデータと、車両の現在位置を判別するエリア判別機能と、車両の停車を検出する車両状態検出機能と、警告機能を設けることで、特別に外部との通信を必要とせずに、車両が盗難多発エリア内で停車したことを検出すると盗難注意を促す警告を発することができる車載用電子機器を発明し、特願2007−283500として出願した。
【0014】
しかしながら、上記特願2007−283500にかかる発明において、例えば、車両の停車地点が自宅、会社、定期的にまたは頻繁に訪問する場所等を目的地としたり、ユーザーが意図して車両を停車したりするような場所であっても、当該停車地点が盗難多発エリア内である場合には一律に警告が発せられることとなり、ユーザーにとって煩わしいという問題があった。
【0015】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々の検討を重ねた結果、例えば、車両が停車した地点や、目的地とした地点が、自宅、会社、定期的にまたは頻繁に訪問する場所等、ユーザーが意図して車両を停車させるような場所である場合には、例え当該停車地点や目的地が盗難多発エリア内であっても例外地点と看做して当該警告の対象にしないようになせば上記問題を解消しうることを想定して本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、盗難多発警告の例外地点を登録しておき、車両が停車した地点や、目的地とした地点が、自宅、会社、定期的にまたは頻繁に訪問する場所等、ユーザーが意図して車両を停車させるような場所である場合には、盗難多発警告を報知しないようにした車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
事件多発エリアデータが記憶された事件多発エリア記憶手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、車両が停車したかどうかを検出する停車検出手段と、車両が停車した地点の位置情報に基づいて、前記事件多発エリアデータを参照して、当該停車した地点が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上である場合に、報知手段を介して事件多発エリアである旨の警告を報知する制御手段と、前記警告を報知する対象としない例外地点を記憶する例外地点記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記停車検出手段が停車を検出した地点の位置情報を前記現在位置検出手段から取得し、前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較して、前記停車した地点が例外地点と一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにしたことを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項2にかかる発明は、
ナビゲーション機能を有する車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は、事件多発エリアデータが記憶された事件多発エリア記憶手段と、目的地を設定する入力手段と、目的地の位置情報に基づいて、前記事件多発エリアデータを参照して、当該目的地が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上である場合に、報知手段を介して事件多発エリアである旨の警告を報知する制御手段と、前記警告を報知する対象としない例外地点を記憶する例外地点記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入力手段により設定された目的地の位置情報を前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、前記目的地と例外地点が一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにしたことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる車載用電子機器において、前記車両が停車した地点または目的地の位置情報と前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、両地点が一定の距離範囲内にある場合に両地点が一致したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1にかかる発明においては、制御手段は、前記停車検出手段が停車を検出した地点の位置情報を前記現在位置検出手段から取得し、前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較して、前記停車した地点が例外地点と一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにした。
【0021】
かかる構成によれば、車両が停車した地点が、自宅、会社など、定期的にまたは頻繁に訪問する場所であり、ユーザーが意図して車両を停車させるような場所である場合には、前記警告を報知しないようにすることが可能となる。
【0022】
また、請求項2にかかる発明においては、制御手段は、前記入力手段により設定された目的地の位置情報を前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、前記目的地と例外地点が一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにした。
【0023】
かかる構成によれば、設定した目的地が、自宅、会社、定期的にまたは頻繁に訪問する場所等、ユーザーが意図して車両を停車させるような場所である場合には、前記警告を報知しないようにすることが可能となる。
【0024】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1または2に記載の車載用電子機器において、前記車両が停車した地点または目的地の位置情報と前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、両地点が一定の距離範囲内にある場合に両地点が一致したと判定する。従って前記車両が停車した地点または目的地と前記記憶された例外地点とが一定の距離範囲離れていても、両地点が一致したと判定するので、両地点の間に多少のずれがあっても前記警告を報知しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用電子機器であるナビゲーション装置の要部を示すブロック図である。
【図2】本発明のナビゲーション装置における地図上の盗難多発エリアを示した図である。
【図3】本発明のナビゲーション装置における盗難多発エリアデータを示した図である。
【図4】本発明のナビゲーション装置における事件多発エリア記憶手段に記憶されるデータの一例を示す図である。
【図5】本発明における例外地点記憶手段による例外地点記憶方法の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例2における処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用電子機器を例示するものであって、本発明をこの車載用電子機器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の車載用電子機器にも等しく適応し得るものである。なお、以下、車載用電子機器がナビゲーション装置である場合を例に、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1にかかるナビゲーション装置は、盗難多発警告の例外地点を記憶する例外地点記憶手段を設け、自宅、会社、定期的にまたは頻繁に訪問する場所等、ユーザーが意図して車両を停車させるような場所を例外地点として登録して記憶しておき、車両が停車した地点や目的地とした地点が、例外地点である場合には、盗難多発警告を報知しないように構成したものである。
【0028】
図1は実施例1におけるナビゲーション装置1の要部の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御手段10、現在位置検出手段11、経路探索手段12、経路案内手段13、停車検出手段14、地図記憶手段15、事件多発エリア記憶手段16、例外地点記憶手段17、表示手段18、音声出力手段19、入力手段20、通信手段21などを備えて構成されている。
【0029】
制御手段10は、図示しないCPU、RAM、ROMからなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。
【0030】
現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。
【0031】
さらに、現在位置検出手段11は、操角センサー、加速度センサー、距離センサーや方位センサーなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。この場合、車両の走行距離と走行方位とをそれぞれ検出し、これらの値を基準位置に対して積算することによって現在位置を求める。この現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることで、GPS電波を受信できないトンネル内や、誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0032】
経路探索手段12は、入力手段20の操作により出発地点や目的地点が指定されると、地図記憶手段15に記憶されている道路データを参照し、出発地点から目的地点に至るまでの最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。この最適経路の探索は、現在位置またはユーザーによって指定された出発地点に対応する道路ノードからユーザーによって指定された目的地点に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0033】
経路探索手段12によって探索された案内経路は、経路案内手段13によって、表示手段18に現在位置周辺の地図画像と共に表示され、目的地点までの案内に用いられる。
【0034】
停車検出手段14は、車両が停車したかどうかを検出するものである。停車検出手段14は、それに限られるものではないが、本実施例においては、車両のイグニッションスイチのON、OFFを検出し、イグニッションスイッチがOFFされた場合に、車両の停車を検出する。
【0035】
表示手段18は、地図画像や案内経路画像を表示してユーザーが視認できるようにするためのものであり、液晶ディスプレイなどで構成される。なお、この表示手段18は、タッチセンサを備えて入力手段として機能させてもよく、この場合は画面上に表示されたアイコンをユーザーが触れることで選択入力が行われる。
【0036】
音声出力手段19は、経路案内における案内報知等、ナビゲーション装置1における各種音声報知を行うものでありスピーカ等で構成される。
【0037】
入力手段20は、ナビゲーション装置1における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0038】
通信手段21は、例えば最寄りの警察本部のサーバと接続して最新の事件多発エリア情報を取得することができ、事件多発エリア記憶手段16を更新するのに使用される。また、事件多発エリアデータは、ユーザー自らが入力手段20を介して入力することも可能である。
【0039】
次に、地図記憶手段15に記憶された地図データと事件多発エリア記憶手段16に記憶された盗難多発エリアデータについて図2ないし図4を用いて説明する。
【0040】
先ず、地図記憶手段15は、所定の経度および緯度で区切った複数の矩形形状のメッシュデータや、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと、道路リンクデータを含む道路データが記憶されている。道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれるほか、交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する案内データも記憶されている。
【0041】
また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータには、さらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0042】
地図記憶手段15は、さらに海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、施設位置、形状、名称を含む施設データからなる背景データを記憶している。
【0043】
図2は地図記憶手段15に記憶された地図データ上の盗難多発エリアを示した図である。
【0044】
図2において、(a)は案内経路であり、(b)は車両の現在位置、(c)は盗難多発エリアを示している。
【0045】
また、図2に示すように、地図記憶手段15に記憶されている地図データは、全体の地図を所定の経度および緯度で区切った複数の矩形形状のメッシュデータで構成されており、区切られた各メッシュデータには夫々道路ノードデータや道路リンクデータ等が含まれている。
【0046】
また、本実施例における各メッシュデータは、アルファベットと数字を用いて識別可能となっており、図2における盗難多発エリアは太線で囲まれたメッシュデータ(D4)・(D5)・(E4)・(E5)である。
【0047】
次に、図3を用いて事件多発エリア記憶手段16に記憶された盗難多発エリアデータの説明を行う。
【0048】
事件多発エリア記憶手段16は、予め車両またはナビゲーション装置の盗難が多発しているエリア、タイヤや車体塗装へのイタズラが多発しているエリア、或いは台風や豪雨の際に冠水しやすいエリアなど、その場所に車両を駐停車することにリスクを伴う各種事件の多発エリアデータが記憶されている。
【0049】
盗難多発エリアデータは、地図記憶手段15に記憶された各メッシュデータ上のエリアが盗難多発エリアであるか否かが予め設定され事件多発エリア記憶手段16に記憶されている。図3に示すように、地図記憶手段15に記憶されたすべてのメッシュデータについて盗難多発エリアであるか否かが設定されており、上記説明をしたように、アルファベットと数字を用いて各メッシュデータが識別されている。
【0050】
図3において盗難多発エリアであるメッシュデータには「1」が設定されており(メッシュ(D4)・(D5)・(E4)・(E5))、盗難多発エリアではないメッシュデータには「0」が設定されている。このような盗難発生に関するデータを参照して、本実施例1にかかるナビゲーション装置1においては、盗難多発エリアであるとして「1」が設定されたメッシュデータに含まれる道路データまたは施設データ上で車両が停車したことが検出された場合に警告を行うことになる。
【0051】
なお、上記の例では、盗難多発エリアのデータは、各メッシュデータ毎に盗難多発エリアであるか否かが設定されているものと説明したが、盗難多発エリアをメッシュデータ単位で設定するのではなく、行政単位で設定することも可能である。
【0052】
更には、ホテル、レストラン、各種遊戯施設、百貨店等の施設単位、都会においてはビル単位で設定することも可能である。また、大規模施設においては複数の駐車場を有する場合もあり、その場合には施設内の駐車場の単位でもよい。
【0053】
図4は、事件多発エリア記憶手段16に記憶されるデータの一例を示す図である。
【0054】
図4は、鳥取県を例に挙げ、行政単位で盗難多発エリアのデータが記憶された図を示している。このデータは、県・市・町・番地まで細かく区分けしてあり、番地毎に盗難多発エリアであるか否かが設定されている。図中においては、鳥取市AAA町1番地、2番地が盗難多発エリアとして(1)が設定されている。また、この他にも倉吉市BBA町1番地、2番地、3番地、BBB町1番地も盗難多発エリアとして(1)が設定されている。この他の地域に関しては盗難多発エリアではないということで(0)が設定されている。
【0055】
なお、本実施例においては番地毎に盗難多発エリアであるか否かの設定を行っているがこれに限ることはなく、市毎、または町毎で盗難多発エリアの設定を行うようにしてもよい。
【0056】
また、上記の例ではメッシュデータには「0」または「1」が設定されるものとしたが、盗難の発生率(例えば、1週間、1ヶ月間または1年間の平均発生件数による発生頻度、或いはそのような頻度を全国平均値で正規化した相対発生率など、事件発生リスクの大小を表す何らかの数値をここでは発生率と称す)の数値を設定し、設定した発生率が予め設定された所定値を上回る場合は盗難多発エリアとし、下回る場合は盗難多発エリアではないとする。なお、所定値は事件多発エリア記憶手段16の一部、または制御手段10内のRAMの一部に記憶場所を設けておき、予めナビゲーション装置1の製造者が設定しておくが、使用者が前記入力手段20から適宜変更できるようにしてもよい。
【0057】
更に、1年のうちの各月毎の、または季節毎の発生率、または1日のうちの時間帯毎の発生率、或いはその両方を設定しておき、ナビゲーション装置1を使用している時季、時間帯に応じた設定値を使うようにしてもよい。
【0058】
次に、図5を参照して本実施例における例外地点記憶手段17への例外地点の記憶方法を説明する。図5は表示手段18に表示される例外地点の登録画面の一例を示す図である。登録画面は地点入力欄と登録設定欄とからなり、図5において、右側にある自宅や会社が表示されている縦の欄が地点入力欄であり、左側にある○印と空欄からなる縦の欄が登録設定欄である。図5では、自宅と会社が例外地点として入力され、登録設定(登録設定欄に〇印入力)が行われており、AAマートなどナビゲーション装置1のユーザーが普段よく利用する施設が入力されているが、これらの施設は未だ例外地点として登録設定されていない例を示している。これらのデータは例外地点記憶手段17に記憶(登録)されるが、その際、各地点の位置情報(緯度、経度)が検索され、位置情報とともに例外地点登録がなされることは勿論である。
【0059】
例外地点の登録は、上記のように登録画面を用いて入力することもできるが、目的地や停車地点として同じ地点が用いられた頻度をもとに、制御手段10が予め例外地点候補を設定し、登録画面の地点入力欄に表示し、ユーザーが地点入力欄に表示された地点を選択して登録設定欄を用いて登録設定するように構成してもよい。
【0060】
例外地点記憶手段17に例外地点が記憶された場合のナビゲーション装置1の動作手順について図6に示すフローチャートを参照して説明する。図6に示す処理は、制御手段10がROMに記憶されている制御プログラムを実行することで実現される。
【0061】
まず、ステップS601の処理において、ユーザーが車両のイグニッションキーをONにすると車両が起動され走行開始できる状態になり、ナビゲーション装置1も電源が投入され起動される。
【0062】
車両が起動されると、ステップS602の処理において、制御手段10の制御によりナビゲーション装置1が起動されたか否かを判定する。ナビゲーション装置1が起動された場合(ステップS602のYES)、ステップS603の処理に進み、一方、ナビゲーション装置1が起動されていない場合(ステップS602のNO)、処理を終了する。
【0063】
ナビゲーション装置1が起動されると(ステップS602のYES)、ステップS603の処理において、制御手段10の制御により停車検出手段14が車両が停車したか否かを判定する。車両が停車した場合(ステップS603のYES)、ステップS604の処理に進み、一方、車両が停車していない場合(ステップS603のNO)、車両が停車と認められるまで繰り返し処理される。
【0064】
車両が停車したと判定されると(ステップS603のYES)、ステップS604の処理において、制御手段10の制御により現在位置検出手段11と事件多発エリア記憶手段16を参照のうえ当該停車地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上であるか否かを判定する。当該停車地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上である場合(ステップS604のYES)、ステップS605の処理に進み、一方、当該停車地が盗難多発エリアでない場合(ステップS604のNO)、ステップS603の処理に戻り処理される。
【0065】
当該停車地が盗難多発エリアであると判定されると(ステップS604のYES)、ステップS605の処理において、制御手段10の制御により停車した地点が例外地点記憶手段17に記憶された例外地点であるか否かを判定する。停車地点が記憶された例外地点であるか否かは停車地点の位置情報、すなわち、現在位置検出手段11が検出した停車時の現在位置情報(緯度、経度)と、記憶されている例外地点の位置情報(緯度、経度)の比較によって行う。その際、緯度、経度が一致した場合に停車地点が記憶されている例外地点であると判定する方法でもよいが、例えば、例外地点から予め記憶された半径所定距離のエリア内に停車時の現在位置があれば、停車地点が記憶されている例外地点であると判定するとより好ましい。また、停車時の現在位置から半径所定距離のエリア内に例外地点があれば、停車地点が記憶されている例外地点であると判定することもできる。
【0066】
当該停車地が記憶された例外地点であると判定された場合(ステップS605のYES)、ステップS606の処理に進み、盗難多発エリアである旨の警告の報知は禁止される。一方、当該停車地が例外地点として記憶されていなかった場合(ステップS605のNO)、ステップS607の処理に進み、当該停車地は盗難多発エリアである旨、例えば、「このエリアは盗難多発エリアです。」または「このエリアは盗難多発エリアです。特に車から離れる場合はご注意ください。」等の警告を報知する。
【0067】
このように、本発明の実施例1にかかるナビゲーション装置1は、車両が停車した地点が、例外地点登録された地点であるか否かを判定するものであるから、ユーザーがナビゲーション装置1を用いて経路探索し、経路案内を受けていない場合であっても機能させることができる。
【0068】
なお、前述したように、本実施例において、車両の停車はイグニッションキーのOFFを検出したことによって判定するので、イグニッションキーがOFFになった後も、ナビゲーション装置1は、盗難多発エリアである旨の警告を報知する場合があり、この間、ナビゲーション装置1の電源ON状態が維持されるように構成しておくことが必要である。
【実施例2】
【0069】
実施例1にかかるナビゲーション装置1は、車両が停車した地点が、例外地点である場合には、盗難多発警告を報知しないように構成したものであるが、本発明は、それに限られるものではない。例えば、ユーザーがナビゲーション装置1において、目的地を設定した場合に、設定した目的地が例外地点登録された地点である場合、盗難多発エリアである旨の報知を行わないようにすることもできる。目的地点が例外地点登録された地点でない場合の警告報知は、目的地設定時点でもよく、あるいは目的地に車両が到着した時点でもよい。
【0070】
実施例2にかかるナビゲーション装置1は、図1に示した実施例1のナビゲーション装置1の構成と全く同様の構成であるが、ユーザーによって、目的地が設定された時点で、制御手段10によって、例外地点記憶手段17に記憶された例外地点と、設定された目的地とが一致するか否かを判定する点が実施例1と異なる。なお、ナビゲーション装置1が備える地図データや事件多発エリアのデータは実施例1と全く同様である。
【0071】
図7に示すフローチャートを参照して、本発明の実施例2にかかるナビゲーション装置1の処理手順を説明する。まず、ステップS701の処理において、ユーザーが車両のイグニッションキーをONにすると車両が起動され走行開始できる状態になり、ナビゲーション装置1も電源が投入され起動される。
【0072】
車両が起動されると、ステップS702の処理において、制御手段10の制御によりナビゲーション装置1が起動されたか否かを判定する。ナビゲーション装置1が起動された場合(ステップS702のYES)、ステップS603の処理に進み、一方、ナビゲーション装置1が起動されていない場合(ステップS702のNO)、処理を終了する。
【0073】
ナビゲーション装置1が起動されると(ステップS702のYES)、ステップS703の処理において、入力手段20を介して目的地が設定されたか否か判定する。目的地が設定された場合(ステップS703のYES)、ステップS704の処理に進み、一方、目的地が設定されない場合(ステップS703のNO)、処理を終了する。
【0074】
目的地が設定されると(ステップS703のYES)、ステップS704の処理において、当該目的地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上であるか否かを判定する。該目的地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上である場合(ステップS704のYES)、ステップS705の処理に進み、一方、当該目的地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上でない場合(ステップS704のNO)、処理を終了する。
【0075】
当該目的地が位置するエリアの盗難発生率が予め設定された所定値以上であると(ステップS704のYES)、ステップS705の処理において、制御手段10の制御により例外地点記憶手段17に当該目的地を例外地点として記憶しているか否かを判定する。当該目的地が例外地点である場合(ステップS705のYES)、ステップS706の処理に進み、当該目的地は盗難多発エリアである旨の警告の報知は禁止される。一方、当該目的地が例外地点でない場合(ステップS705のNO)、ステップS707の処理において、当該目的地は盗難多発エリアである旨、例えば、「このエリアは盗難多発エリアです。」または「このエリアは盗難多発エリアです。特に車から離れる場合はご注意ください。」等の警告が報知される。
【0076】
目的地が例外登録地点であるか否かは目的地の位置情報、すなわち、目的地設定時に特定された目的地の位置情報(緯度、経度)と、例外地点記憶手段17に記憶されている例外地点の位置情報(緯度、経度)の比較によって行う。その際、緯度、経度が一致した場合に目的地が記憶されている例外地点であると判定する方法でもよいが、実施例1と同様、例えば、例外地点から予め記憶された半径所定距離のエリア内に目的地があれば、目的地が記憶されている例外地点であると判定するとより好ましい。また、目的地から半径所定距離のエリア内に例外地点があれば、目的地が記憶されている例外地点であると判定することもできる。
【0077】
なお、以上説明した実施例2の方法は、実施例1の方法と併用することができる。また、入力手段20により設定された目的地を例に説明したが、ナビゲーション装置1が、経路探索や経路案内を受けずに走行した1区切り(車両のイグニッションONからOFFまでの区切り)の走行経路を記憶して学習する機能を有する場合には、当該学習した走行経路の出発地(出発時刻を含めてもよい)と、今回車両が走行開始した出発地(出発時刻を含む場合は出発時刻)から、該当する走行経路の到着を目的地として推定することができる。このような場合は、推定した目的地について、記憶された例外地点と一致するか否かを判定するように構成することもできる。
【0078】
また、本発明の車載用電子機器は、事件発生率を所定値と比較して警告の報知を行うか否かを判断するので、所定値を変えることで報知の範囲、頻度を変えることが可能となる。こうすることにより、警告を報知する範囲をその時々の事情やユーザーの好みに応じて容易に変更することができ、また、例えば過剰な警告が報知されて煩わしいと感じる場合には、所定値を高めに変更することで、報知の頻度を下げることもできる。
【0079】
また、例外地点の記憶は、図5に示すような登録画面を用いて行うので、ユーザーの好みやその時々の事情に応じて容易に追加、変更、削除することができることになる。
【符号の説明】
【0080】
1 :ナビゲーション装置
10 :制御手段
11 :現在位置検出手段
12 :経路探索手段
13 :経路案内手段
14 :停車検出手段
15 :地図記憶手段
16 :事件多発エリア記憶手段
17 :例外地点記憶手段
18 :表示手段
19 :音声出力手段
20 :入力手段
21 :通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事件多発エリアデータが記憶された事件多発エリア記憶手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、車両が停車したかどうかを検出する停車検出手段と、車両が停車した地点の位置情報に基づいて、事件多発エリアデータを参照して、当該停車した地点が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上である場合に、報知手段を介して事件多発エリアである旨の警告を報知する制御手段と、前記警告を報知する対象としない例外地点を記憶する例外地点記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記停車検出手段が停車を検出した地点の位置情報を前記現在位置検出手段から取得し、前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較して、前記停車した地点が例外地点と一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
ナビゲーション機能を有する車載用電子機器において、
前記車載用電子機器は、事件多発エリアデータが記憶された事件多発エリア記憶手段と、目的地を設定する入力手段と、目的地の位置情報に基づいて、事件多発エリアデータを参照して、当該目的地が位置するエリアの事件発生率が予め設定された所定値以上である場合に、報知手段を介して事件多発エリアである旨の警告を報知する制御手段と、前記警告を報知する対象としない例外地点を記憶する例外地点記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入力手段により設定された目的地の位置情報を前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、前記目的地と例外地点が一致した場合には、前記警告の報知を行わないようにしたことを特徴とする車載用電子機器。
【請求項3】
前記車両が停車した地点または目的地の位置情報と前記例外地点記憶手段に記憶された例外地点の位置情報と比較し、両地点が一定の距離範囲内にある場合に両地点が一致したと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−256272(P2010−256272A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109008(P2009−109008)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】