説明

車載表示装置

【課題】アナログ式メータの利点を備え、速度感に代表される車両状態の変化を良好に体感させ得る車載表示装置を提供する。
【解決手段】車両用メータユニット1(車載表示装置)は、メータ画像を表示するディスプレイ10と、メータECU20(画像表示制御手段)とを備える。メータECU20は、車速(車両状態に関する物理量)の指示値を視認する際の目安となる数字111S及び目盛112Sと、指示値を指示する指針114S(指示マーク)とを有するスピードメータ110S(アナログ式メータ)のメータ画像をディスプレイ10に表示させる。メータECU20は、指針114Sにより指示される指示値に近い数字111S及び目盛112Sほどその表示倍率が大きく、指示値から遠い数字111S及び目盛112Sほどその表示倍率が小さくなるようにしたスピードメータ110Sの全体画像をディスプレイ10に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載表示装置に関し、特にディスプレイにアナログ式メータの画像が表示される方式の車載表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車載表示装置として、アナログ式メータであるスピードメータの一部である指針と、指針に近い目盛及び数字とをディスプレイに表示させるようにしたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この特許文献1に記載された車載表示装置では、スピードメータの全体画像を表示させないので、スピードメータを小型化(ディスプレイを小型化)することができ、しかも、車速の変化方向や変化度合いを視認できるというアナログ式メータの利点を備えたものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車載表示装置では、スピードメータの一部である指針、指針に近い目盛及び数字のみを表示するようにして、スピードメータの小型化を最重要視している。このため、車速が変化する範囲内での全体の速度領域から見た現在の速度領域における車速の変化方向や変化度合いを視認することができず、速度感を体感させるには十分とは言えなかった。
【0005】
本発明の課題は、アナログ式メータの利点を備え、速度感に代表される車両状態の変化を良好に体感させ得る車載表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車載表示装置は、メータ画像を表示するディスプレイと、メータ画像として、車両状態に関する物理量を所定単位の指示値として視認する際の目安となる数字及び目盛と、その指示値を指示する指示マークとを有するアナログ式メータのメータ画像をディスプレイに表示させる画像表示制御手段とを備え、画像表示制御手段は、指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、該指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるようにしたアナログ式メータの全体画像をディスプレイに表示させることを特徴とする。この場合、指示マークは、例えば数字若しくは目盛を指し示す図形、数字若しくは目盛を囲む図形、又は数字若しくは目盛を覆う網かけ状の図柄を含んで構成されていると好適である。また、アナログ式メータの全体画像は、例えば車速、エンジン回転数又はバッテリー残量を表示するものであると好適である。
【0007】
この車載表示装置では、指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるようにしたアナログ式メータの全体画像がディスプレイに表示される。
【0008】
これにより、アナログ式メータを、例えば車速を表示するスピードメータに適用した場合であれば、表示される全体の速度領域から見た現在の速度領域における車速の変化方向や変化度合いを視認することができるので、速度感を良好に体感させることができる。また、アナログ式メータを、例えばエンジン回転数を表示するタコメータに適用した場合であれば、表示される全体の回転数領域から見た現在の回転数領域における回転数の変化方向や変化度合いを視認することができる。さらに、アナログ式メータを、例えばバッテリー残量等を表示するパワーメータ(電気自動車等の電力の総出力および回生状態を表す)に適用した場合であれば、表示される全体のパワー領域から見た現在のパワー領域におけるパワーの変化方向や変化度合いを視認することができる。
【0009】
本発明の実施に際して、大きさの異なる複数の指示値とそれぞれ対応付けられたアナログ式メータの全体画像の画像データを予め記憶する記憶手段を備え、画像表示制御手段は、物理量の変化に応じて指示値と対応付けられた画像データを記憶手段から順次読み出し、その画像データに基いてアナログ式メータの全体画像をディスプレイに表示させるものであるとよい。
【0010】
大きさの異なる複数の指示値とそれぞれ対応付けてアナログ式メータの全体画像の画像データを予め記憶手段に記憶させておき、物理量の変化に応じて指示値と対応付けられた画像データを順次読み出してディスプレイに表示させるように構成することで、アナログ式メータの画像表示に際して車載表示装置の処理負担を軽減化することができる。
【0011】
また、アナログ式メータの全体画像は、数字及び目盛が円弧状の指示軌跡に沿って配置され、指示マークが該指示軌跡に沿って移動するように視認され、かつ全体が同一の表示倍率で形成されるアナログ式メータの全体画像を原画像として、指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、該指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるよう該原画像が補正されたものであるとよい。
【0012】
アナログ式メータは、数字及び目盛が円弧状の指示軌跡に沿って配置され、指示マークがその指示軌跡に沿って移動するように視認され、かつ全体が同一の表示倍率で形成されるのが一般的である。このようなアナログ式メータの全体画像を原画像として、指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるように原画像が補正されると、指示値に近い数字及び目盛側を視点として他の数字および目盛を見るかのような、例えば全体が楕円形状、あるいは押し潰した円形状を呈するアナログ式メータの画像を得ることができる。これにより、ディスプレイの大型化を抑制しつつ、アナログ式メータの全体画像を表示させることができる。
【0013】
また、表示倍率は、隣り合う数字同士、隣り合う目盛同士、及び数字と目盛とが重なり合わないよう複数段階の大きさに設定されているとよい。これによれば、画像補正を施した場合でも、指示値の読み取り易さを確保することができ、アナログ式メータとしての視認性を維持・向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車載表示装置を適用した車両用メータユニットの模式図。
【図2】図1の車両用メータユニットの電気的構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施例1〜3に係り、図1のメータECUによって実行されるメータ描画プログラムを示すフローチャート。
【図4】スピードメータの原画像を示す説明図。
【図5】本発明の実施例1に係るスピードメータの正面図。
【図6】本発明の実施例1に係るスピードメータの正面図。
【図7】本発明の実施例1に係るスピードメータの正面図。
【図8】本発明の実施例2に係るスピードメータの正面図。
【図9】本発明の実施例2に係るスピードメータの正面図。
【図10】本発明の実施例2に係るスピードメータの正面図。
【図11】本発明の実施例2に係るスピードメータの正面図。
【図12】本発明の実施例3に係るバッテリー残量メータの正面図。
【図13】本発明の実施例3に係るバッテリー残量メータの正面図。
【図14】本発明の実施例3に係るバッテリー残量メータの正面図。
【図15】本発明の変形例に係るスピードメータの正面図。
【図16】本発明の実施例4に係り、図1のメータECUによって実行されるメータ描画プログラムを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の車載表示装置を適用した車両用メータユニット1の模式図である。車両用メータユニット1は、自動車(車両)の運転席に対向配置されるものであり、複数のメータ画像を所定のレイアウトにて集合させた形でディスプレイ10に一括表示するものとして構成されている。
【0017】
ディスプレイ10は、カラー液晶パネル(LCD)11とバックライトモジュール12とを有する周知のものであり(図2参照)、メータ画像の種類に応じてその画像の表示領域D1,D2,D3が予め定められている。具体的には、表示領域D1には、車両状態に関する物理量の一つである車速の指示値を示すスピードメータが表示される。表示領域D2には、ガソリン車であればエンジン回転数の指示値を示すタコメータが表示され、ハイブリッド車や電気自動車であれば電力の総出力及び回生状態の指示値を示すパワーメータが表示される。表示領域D3には、ギアポジションメータや平均燃費メータ、燃料残量メータ、水温メータなどが表示される。
【0018】
図2は、車両用メータユニット1の電気的構成の一例を示すブロック図である。この構成の要部をなすのはメータ画像表示の主要制御を司るメータECU20である。メータECU20の要部は、CPU21、ROM22、RAM23、描画回路(描画LSI)24及び入出力部(I/O)25が内部バスにて接続されたマイコンからなる。ROM22には、図3で示すメータ描画プログラムを始めとする画像表示プログラムに加えて、表示領域D3に表示される各メータの描画に必要な図形データなどが格納されている。
【0019】
RAM23(記憶手段)には、表示領域D1,D2に表示される各メータの全体画像の画像(描画)データが予め格納されている。この画像データについては後述する。
【0020】
メータECU20は、ボデー系ECU30等の他のECUとシリアル通信バス50により、各々通信インターフェース(I/F)26を介してネットワーク接続され、車両状態に関する物理量を表す各種情報(パラメータ)を取得する。すなわち、ボデー系ECU30には、メータに表示させるべき車両状態情報を取得するためのセンサ40群が接続されている。具体的には、車速センサ41、エンジン回転数検出ユニット42、冷却水の水温センサ43、燃料残量センサ44、平均燃費演算部45、ギアポジション検出部46などである。
【0021】
メータECU20は、センサ群40からの車両状態情報を通信バス50を介して取得し、各指示値を反映させたアナログ式メータのメータ画像をディスプレイ10の表示領域D1〜D3のいずれかに表示させる。具体的には、図2において、車速センサ41の検出値がスピードメータ110Sに(図5参照)、エンジン回転数検出ユニット42の検出値がタコメータに、水温センサ43の検出値が水温メータに、燃料残量センサ44の検出値が燃料残量メータに、平均燃費演算部45の燃費演算値が平均燃費メータに、ギアポジション検出部46の検出値がギアポジションメータにそれぞれ反映される。
【0022】
この場合、メータECU20のCPU21は、車速センサ41及びエンジン回転数検出ユニット42の各検出値に対応する画像データをRAM23からそれぞれ読み出し、各画像データに基づいて描画回路(描画LSI)24にグラフィックメモリ27上でメータ画像を作成させ、ディスプレイ10の表示領域D1,D2に表示させる。また、CPU21は、水温センサ43、燃料残量センサ44、平均燃費演算部45及びギアポジション検出部46の各検出値に対応する指示値を反映させたメータの描画データを描画回路24に作成させ、グラフィックメモリ27上でメータ画像を合成させて、ディスプレイ10の表示領域D3に表示させる。メータECU20が本発明の画像表示制御手段に相当する。
【0023】
各種メータ画像のうちスピードメータ110Sについては、例えば図5〜図7に示すようなメータ画像が表示されるようになっている。このスピードメータ110Sは、いずれも図4に示すスピードメータ100Sを原画像として、この原画像を画像補正することにより作成されている。ここで、原画像であるスピードメータ100Sは、車速の指示値を視認する際の目安となる数字101S及び目盛102Sが図中破線で示す円弧状の指示軌跡103Sに沿って配置され、数字101S又は目盛102Sを指し示す指針104S(指示マーク)が指示軌跡103Sに沿って移動するように視認され、かつ全体が同一の表示倍率で形成されるアナログ式スピードメータの全体画像である。
【0024】
図5に示すスピードメータ110Sは、車速の指示値が例えば時速26km(所定単位:km/h)であるときのメータ画像を例示したものである。このスピードメータ110Sは、図4に示すスピードメータ100Sを原画像として、指示値である時速26kmに近い数字101S及び目盛102Sほどその表示倍率が大きく、指示値である時速26kmから遠い数字101S及び目盛102Sほどその表示倍率が小さくなるよう原画像が補正されたものである。
【0025】
つまり、図4に示すスピードメータ100Sにおいて、指針104Sの延長線上にある所定の基準位置A0を拡大中心とする所定形状、大きさの領域A1の表示倍率をM1に設定し、指示値である時速26kmから遠くなる領域A2,A3,A4,A5の順に徐々に小さくなっていく表示倍率M2,M3,M4,M5を設定するようにしている(M1>M2>M3>M4>M5)。
【0026】
これにより、図5に示すスピードメータ110Sは、指示値である時速26kmに近い数字111S(20,30)が遠い数字111S(100〜180)に比べて大きく、指示値である時速26kmに近い目盛112Sが遠い目盛112Sに比べて長く、かつ目盛112Sの間隔が広く、また指針114Sが先端から基端(メータの中心)に向かうに従って徐々に細くなり、原画像であるスピードメータ100Sの全体画像を指示値である時速26kmを視点として見たかのようなメータ画像となっている。
【0027】
なお、図4に示すスピードメータ100Sでは、時速0kmから時速180kmまで時速1km単位で目盛が振られているが、図5に示すスピードメータ110Sでは、指示値である時速26kmを境としておよそ±時速25kmの範囲内、すなわち時速0kmから時速50km程度まで目盛が振られ、その範囲外の時速60kmから時速180kmまでは時速10km単位で目盛が振られるよう目盛を適宜省略した補正が施されている。また、その範囲内の始端である時速0kmと終端である時速50kmとの両端に近づくにつれて目盛が消えていくかのような補正も施されている。
【0028】
同様に、図6に示すスピードメータ110Sは、車速の指示値が例えば時速85km(km/h)であるときのメータ画像を、図7に示すスピードメータ110Sは、車速の指示値が例えば時速123km(km/h)であるときのメータ画像を例示したものである。このように、スピードメータ110Sは、大きさの異なる複数の指示値(例えば、時速1/3km毎に指示値を設定し、時速0kmから時速180kmまでの範囲内で約540の指示値を設定)のそれぞれと対応するよう原画像であるスピードメータ100Sに基づいて画像補正されたものが予め用意されており、各画像データがRAM23に予め格納されている。エンジン回転数を示すタコメータについても、上記したスピードメータ110Sと同様、大きさの異なる複数の指示値のそれぞれと対応するタコメータの全体画像を表す画像データが予めRAM23に格納されている。
【0029】
次に、上記のように構成した実施例1の作動について説明する。メータECU20は、イグニッションスイッチのオンにより、図3のメータ描画プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。このメータ描画プログラムにおいて、メータECU20は、エンジンが始動すると、ボデー系ECU30から取得した車速の検出値を入力する(S1)。次に、車速の指示値に対応するスピードメータ110Sの画像データをRAM23から読み出し、その読み出した画像データに基づいてスピードメータ110Sの画像を作成し(S2)、ディスプレイ10に出力する(S3)。同様に、メータECU20は、エンジン回転数の指示値に対応するタコメータの画像データをRAM23から読み出し、その読み出した画像データに基づいてタコメータの画像を作成し、ディスプレイ10に出力する。
【0030】
以上の説明からも明らかなように、この実施例1では、車速が変化するに従って指示値に近い数字111S及び目盛112Sほどその表示倍率が大きく、指示値から遠い数字111S及び目盛112Sほどその表示倍率が小さくなるようにしたアナログ式のスピードメータ110Sの全体画像がディスプレイ10に表示される。
【0031】
これにより、表示される全体の速度領域(例えば、時速0kmから時速180km)から見た現在の速度領域における車速の変化方向や変化度合いを視認することができるので、速度感を良好に体感させることができる。
【0032】
また、この実施例1では、大きさの異なる複数の指示値とそれぞれ対応付けられたスピードメータ110Sの全体画像の画像データが予めRAM23に格納されており、車速の変化に応じて指示値と対応付けられた画像データがRAM23から順次読み出され、その画像データに基いてスピードメータ110Sの全体画像がディスプレイ10に表示される。これにより、スピードメータ110Sの画像表示に際して車両用メータユニット1の処理負担を軽減化することができる。
【0033】
また、この実施例1では、数字101Sおよび目盛102Sが円弧状の指示軌跡103Sに沿って配置され、指針104Sがその指示軌跡103Sに沿って移動するように視認され、かつ全体が同一の表示倍率で形成されるスピードメータ100Sの全体画像を原画像として、指針104Sにより指示される指示値に近い数字101Sおよび目盛102Sほどその表示倍率が大きく、指示値から遠い数字101Sおよび目盛102Sほどその表示倍率が小さくなるよう原画像が補正されている。
【0034】
これにより、指示値に近い数字111Sおよび目盛112S側を視点として他の数字111Sおよび目盛112Sを見るかのような、全体が楕円形状を呈するスピードメータ110Sの画像を得ることができ、ディスプレイ10の大型化を抑制しつつ、アナログ式のスピードメータ110Sの全体画像を表示させることができる。
【実施例2】
【0035】
上記実施例1では、車速の指示値を指し示す指示マークを指針114Sで構成したが、指示マークはこれに限らず、例えば図8〜図11に示すように、目盛212Sを指し示す例えば三角形状の印部214Sと、数字211Sを囲む例えば円形状の印部215Sとで構成してもよい。この場合、印部215Sは、図8〜図10に示すように、指示値がいずれかの数字211Sに近ければ、その近い数字211Sの全体を囲み、図11に示すように、指示値が隣り合う数字211Sの中間値であれば、それら両数字の一部分を包含する大きさに設定されている。
【0036】
この実施例2のスピードメータ210Sにおいても、大きさの異なる複数の指示値(例えば、時速1/3km毎に指示値が設定され、時速0kmから時速140kmまでの範囲内で約420の指示値が設定)のそれぞれと対応するよう原画像であるスピードメータ(図示省略)に基づいて画像補正されたものが予め用意されており、各画像データがRAM23に予め格納されている。なお、実施例2のスピードメータ210Sでは、上記実施例1のスピードメータ110Sとは異なり、画像補正後も目盛212Sが省略されることなく、時速0kmから時速140kmまで時速1km単位で目盛が振られている。
【0037】
この実施例2によっても、表示される全体の速度領域(例えば、時速0kmから時速140km)から見た現在の速度領域における車速の変化方向や変化度合いを視認することができるので、速度感を良好に体感させることができる。
【実施例3】
【0038】
上記実施例1及び2では、アナログ式メータとしてのスピードメータやタコメータに本発明を適用したが、車両が電気自動車等である場合には、例えば図12〜図14に示すように、バッテリー残量メータ310Bに本発明を適用することができる。この実施例3では、図2中、破線で示すように、センサ40群のエンジン回転数検出ユニット42に代えて、車両出力検出ユニット47がボデー系ECU30に接続されている。車両出力検出ユニット47は、バッテリーでの電力の総出力及び回生状態を示すパワー値を検出するものである。
【0039】
バッテリー残量メータ310Bには、パワー値0%から100%(所定単位:%)まで5%置きに数字311Bが振られるとともに、1/6%単位で目盛312Bが振られている。また、パワー値0%から指示値を示す目盛312Bまでが網かけ状の図柄である印部314B(指示マーク)で覆われるようになっている。
【0040】
この実施例3のバッテリー残量メータ310Bでは、大きさの異なる複数の指示値(例えば、1/6%毎に指示値が設定され、0%から100%までの範囲内で約600の指示値が設定)のそれぞれと対応するよう原画像であるバッテリー残量メータ(図示省略)に基づいて画像補正されたものが予め用意されており、各画像データがRAM23に予め格納されている。
【0041】
この実施例3によれば、表示される全体のパワー領域(例えば、0%から100%)から見た現在のパワー領域におけるパワーの変化方向や変化度合いを視認することができるので、パワーの出力感を良好に体感させることができる。特に、指示値に近い目盛312Bの表示倍率が拡大されることによって、指示値の変化度合いを良好に視認できるようになる。
【0042】
なお、上記実施例1〜3では、いずれも数字及び目盛が円弧状の指示軌跡に沿って配置されるアナログ式メータのメータ画像を原画像として補正を施すようにしたが、メータ画像の原画像はこれに限らず、数字及び目盛が直線状の指示軌跡に沿って配置されるアナログ式メータのメータ画像を原画像として、例えば図15にてスピードメータ410Sの一部を概略的に示すように、指示値に近い数字411S及び目盛412Sが乗員側に接近するかのような補正を施すようにしてもよい。
【実施例4】
【0043】
上記実施例1〜3では、メータECU20が、イグニッションスイッチのオンにより、図3のメータ描画プログラムを繰り返し実行するように構成したが、図3のメータ描画プログラムに代えて、例えば図16のメータ描画プログラムを繰り返し実行するように構成してもよい。図16のメータ描画プログラムは、スピードメータのメータ画像を表示させるプログラムを例示したものである。この実施例4では、例えば図4に示したようなスピードメータの原画像がROM22に格納されており、メータECU20のCPU21が、描画回路24に車速を反映させたメータの描画データを作成させ、グラフィックメモリ27上でメータ画像を合成させて、ディスプレイ10の表示領域D1に表示させるようになっている。
【0044】
具体的には、メータECU20は、指針が指示値を指し示すように移動(回転)し(S12)、かつ指針に近い数字及び目盛の表示倍率が大きく、指針から遠い数字及び目盛の表示倍率が小さくなるようにしたメータ画像を作成し(S13)、ディスプレイ10に出力する(S14)。この場合、図4に示したように数字と目盛が含まれる所定の領域毎に表示倍率を変えてもよいし、例えば数字と目盛とでそれぞれ表示倍率を変えるようにしてもよく、原画像の変形のさせ方は適宜変更可能である。ただし、変形後のメータ画像においては、隣り合う数字同士、隣り合う目盛同士、数字と目盛とが重なり合わないようになっている。
【0045】
なお、上記実施例4では、指示マークが指針である場合について説明したが、指示マークは指針に限らず、例えば上記実施例2で説明したような印部であってもよい。また、スピードメータ以外のタコメータや上記実施例3で説明したようなバッテリー残量メータの画像作成に適用してもよい。
【0046】
上記実施例1〜4では、本発明を自動車向けの車両用メータユニット1に適用した場合について説明したが、本発明は例えば2輪車向け、鉄道車両向けの車両用メータユニットに適用することができる。また、本発明は車両以外にも、航空機向け、船舶向けのメータユニットに広く適用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用メータユニット
10 ディスプレイ
20 メータECU(画像表示制御手段)
23 RAM(記憶手段)
30 ボデー系ECU
40 センサ群
41 車速センサ
42 エンジン回転数検出ユニット
47 車両出力検出ユニット
100S スピードメータ(アナログ式メータの原画像)
110S,210S,410S スピードメータ(アナログ式メータ)
101S,111S,211S,311B,411S 数字
102S,112S,212S,312B,412S 目盛
103S 指示軌跡
104S,114S 指針(指示マーク)
214S,215S,314B 印部(指示マーク)
310B バッテリー残量メータ(アナログ式メータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータ画像を表示するディスプレイと、
前記メータ画像として、車両状態に関する物理量を所定単位の指示値として視認する際の目安となる数字及び目盛と、その指示値を指示する指示マークとを有するアナログ式メータのメータ画像を前記ディスプレイに表示させる画像表示制御手段とを備え、
前記画像表示制御手段は、前記指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、該指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるようにしたアナログ式メータの全体画像を前記ディスプレイに表示させることを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
大きさの異なる複数の前記指示値とそれぞれ対応付けられた前記アナログ式メータの全体画像の画像データを予め記憶する記憶手段を備え、前記画像表示制御手段は、前記物理量の変化に応じて前記指示値と対応付けられた画像データを前記記憶手段から順次読み出し、その画像データに基いて前記アナログ式メータの全体画像を前記ディスプレイに表示させる請求項1に記載の車載表示装置。
【請求項3】
前記アナログ式メータの全体画像は、前記数字及び前記目盛が円弧状の指示軌跡に沿って配置され、前記指示マークが該指示軌跡に沿って移動するように視認され、かつ全体が同一の表示倍率で形成されるアナログ式メータの全体画像を原画像として、前記指示マークにより指示される指示値に近い数字及び目盛ほどその表示倍率が大きく、該指示値から遠い数字及び目盛ほどその表示倍率が小さくなるよう該原画像が補正されたものである請求項1又は2に記載の車載表示装置。
【請求項4】
前記表示倍率は、隣り合う前記数字同士、隣り合う前記目盛同士、及び前記数字と前記目盛とが重なり合わない大きさに設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記指示マークは、前記数字若しくは前記目盛を指し示す図形、前記数字若しくは前記目盛を囲む図形、又は前記数字若しくは前記目盛を覆う網かけ状の図柄を含んで構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載表示装置。
【請求項6】
前記アナログ式メータの全体画像は、車速、エンジン回転数又はバッテリー残量を表示するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−266288(P2010−266288A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116833(P2009−116833)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】