説明

車載装置、記憶媒体及び交通情報提供システム

【課題】容易に構築可能な交通情報提供システム及びその交通情報提供システムを構成する車載装置及び記憶媒体を提供すること。
【解決手段】ICタグ2bには、車両1aの車載装置10により、地点Aから地点Bまでの走行履歴情報が書き込まれる。その後、車両1bの車載装置10は、ICタグ2bから、ICタグ2bに書き込まれた車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報を読み出して保持し、地点Aにおいて、ICタグ2aに車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報を書き込む。地点Bに向かう車両1cの車載装置10は、地点AにおいてICタグ2aに記憶されている車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路上を走行する車両等に交通情報を提供するための車載装置、記憶媒体及び交通情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、道路上を走行する車両等に渋滞情報等の交通情報を提供する車両情報通信システム(Vehicle Information and Communication System:以下、VICSという)が運用されている。VICSは、道路上に設けられた電波ビーコンや光ビーコン、FM多重放送等を用いて、VICSセンタから車載装置へ交通情報を提供する。そして、VICSを利用したナビゲーションシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−156388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のナビゲーションシステムにあっては、交通情報を提供する地点に、電波ビーコンや光ビーコンといった、VICSセンタに接続されて交通情報を提供するための設備を設置する必要があるといった事情があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、容易に構築可能な交通情報提供システム及びその交通情報提供システムを構成する車載装置及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1に、車両に搭載される車載装置であって、前記車両の走行履歴情報を生成する走行履歴生成部と、前記車両の走行路近傍に設置された記憶媒体と無線通信を行う車載無線通信部と、前記車載無線通信部を介して前記記憶媒体から読み出した情報を記憶する車載記憶部とを有し、前記車載無線通信部は、前記記憶媒体と通信する際に、当該記憶媒体に記憶されている情報を読み出すと共に、前記走行履歴生成部にて生成された走行履歴情報と、前記記憶媒体と通信する時点で前記車載記憶部に記憶されている情報とを前記記憶媒体に書き込むデータとして送信することを特徴とする車載装置が提供されるものである。
【0007】
この構成により、記憶媒体には、過去にその記憶媒体が設置されている場所から他の場所に向かって走行した車両の走行履歴情報が書き込まれるので、記憶媒体に記憶された情報を読み出すことにより、記憶媒体周辺の交通情報を取得することができる。
【0008】
例えば、第一の地点に設置された第一の記憶媒体と、第一の地点とは異なる地点である第二の地点に設置された第二の記憶媒体が存在する場合、第一の地点から第二の地点に走行する第一の車両に搭載された車載装置は、第二の地点において、第一の地点から第二の地点までの走行履歴情報を第二の記憶媒体に書き込む。その後、第二の地点から第一の地点に走行する第二の車両は、第二の地点にて、第二の記憶媒体から第一の車両の第一の地点から第二の地点までの走行履歴情報を読み出し、第一の地点にて、読み出した走行履歴情報を第一の記憶媒体に書き込む。つまり、第一の記憶媒体には、第一の車両の第一の地点から第二の地点までの走行履歴情報が書き込まれる。したがって、その後、第一の地点を通過する車両が第二の地点へ向かう場合、過去に第一の地点から第二の地点までを走行した車両の走行履歴情報を読み出すことができるので、その走行履歴情報から、第二の地点までの交通状態を推定することができる。
【0009】
上記の車載装置により、無線通信で読み出し及び書き込み可能な記憶媒体を複数の地点に設置するだけで交通情報を提供することが可能となるので、容易に交通情報提供システムを構築することができる。
【0010】
本発明は、第2に、上記第1に記載の車載装置であって、前記記憶媒体が設置されている位置を含む地図情報を格納する地図情報格納手段から当該地図情報を取得する地図情報取得部と、現在位置を取得する位置情報取得部とを更に備え、前記車載無線通信部は、前記現在位置情報と前記地図情報とを比較し、前記記憶媒体が設置されている地点に接近したときに記憶媒体に対する無線通信を開始することを特徴とする。
【0011】
この構成により、例えばDVDや車載装置内に備えられるハードディスク等の地図情報格納手段に格納された地図情報を参照し、記憶媒体が設置されている地点において無線通信を開始するので、常時無線通信用の電波を発しているときと比較して消費電力を抑制することができ、間欠的に電波を発しているときと比較して確実に各地点の記憶媒体との通信を行うことができる。
【0012】
本発明は、第3に、上記第1又は第2に記載の車載装置であって、前記走行履歴生成部は、前記走行履歴情報として、前記車両が走行した位置の軌跡を含む経路情報と、所定時間毎の平均速度情報とを生成することを特徴とする。
【0013】
この構成により、車載装置は、記憶媒体から交通履歴情報を読み出した際に、どの経路においてどの程度の速度で走行したかを把握することができる。
【0014】
本発明は、第4に、上記第1ないし第3のいずれかに記載の車載装置であって、前記車載無線通信部は、前記記憶媒体に時刻情報を付加した前記走行履歴情報を書き込むことを特徴とする。
【0015】
この構成により、車載装置は、記憶媒体から走行履歴情報を読み出したときに、その走行履歴情報がいつ書き込まれたのかを認識することができる。
【0016】
本発明は、第5に、車両の走行路近傍に設置された記憶媒体であって、車両の走行路近傍に設置された記憶媒体であって、車両に搭載された車載装置と無線通信を行う媒体無線通信部と、前記媒体無線通信部を介して前記車載装置から取得した情報を記憶する媒体記憶部とを備え、前記媒体無線通信部は、前記車載装置と通信する際に、前記車載装置から走行履歴情報と当該車載装置に記憶されている情報とを受信して前記媒体記憶部に出力すると共に、前記車載装置と通信する時点で前記媒体記憶部に記憶されている情報を前記車載装置に記憶するデータとして送信することを特徴とする記憶媒体が提供されるものである。
【0017】
この構成により、無線通信で読み出し及び書き込み可能な記憶媒体を複数の地点に設置し、記憶媒体に情報等を書き込み及び読み出しを行う機能を有する車載装置を用いることにより交通情報を提供することが可能となるので、容易に交通情報提供システムを構築することができる。
【0018】
本発明は、第6に、上記第1ないし第4のいずれかに記載の車載装置と、上記第5に記載の記憶媒体とを備えることを特徴とする交通情報提供システムが提供されるものである。
【0019】
この構成により、無線通信で読み出し及び書き込み可能な記憶媒体を複数の地点に設置するだけで交通情報を提供することが可能となるので、容易に交通情報提供システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容易に構築可能な交通情報提供システム及びその交通情報提供システムを構成する車載装置及び記憶媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る交通情報提供システムの概略構成を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態の交通情報提供システムでは、ICタグ2が複数の地点に設置されている。このICタグ2は、記憶媒体の一例としての機能するものであり、記憶されているデータが無線で読み出し/書き込みが可能な構成を有している。
【0022】
なお、図1において、地点AにはICタグ2aが、地点BにはICタグ2bが設置されている。このICタグ2が設置される場所の例としては、道路の路面、路肩、ガード等、車両の走行路の近傍に位置する場所が挙げられる。また、ICタグ2が設置される地点の例としては、交差点やランドマーク等が挙げられる。
【0023】
車両1a,1b,1cには、ICタグ2a,2bに対してデータの読み出し及び書き込み可能な車載装置10が搭載されている。また、車載装置10は、搭載された車両の走行履歴を測定可能な構成を備える。
【0024】
車両1a,1b,1cに搭載された車載装置10は、ICタグ2と通信する際に、ICタグ2に記憶されている情報をICタグ2から読み出すと共に、自車の走行履歴情報と、ICタグ2と通信を行う時点で記憶されている情報とをICタグ2に書き込む動作を行う。
【0025】
まず、図1(A)に示すように、地点Aから走行してきた車両1aは、地点Bにおいて、ICタグ2bと通信を行う。その際、ICタグ2bには、車両1aにおける地点Aから地点Bまでの走行履歴情報が書き込まれる。
【0026】
その後、図1(B)に示すように、地点Aに向かう車両1bは、地点BにおいてICタグ2bと通信を行う。その際、ICタグ2bに書き込まれた車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報が、車両1bに読み出される。
【0027】
そして、図1(C)に示すように、地点Bから走行してきた車両1bは、地点AにおいてICタグ2aと通信を行う。その際、ICタグ2aには、ICタグ2bから読み出された、車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報が書き込まれる。
【0028】
この状態で、図1(D)に示すように、地点Bに向かう車両1cは、地点AにおいてICタグ2aと通信を行う際に、車両1bにより書き込まれた、車両1aの地点Aから地点Bまでの走行履歴情報を読み出す。このようにして、車両1cは、地点Aにおいて、既に地点Bまで走行した車両1aの走行履歴情報から、地点Bまでの渋滞の有無や所要時間等の交通情報を取得することができる。
【0029】
このようにして、ICタグ2には、ICタグ2が設置されている地点から、他の地点へ向かう経路における走行履歴情報が書き込まれるので、車載装置10は、ICタグ2に記憶された情報を読み出すことにより、ICタグ2から進行方向前方の交通情報を取得することができる。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る車載装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の車載装置10は、走行状態検出部11と、操作部12と、現在位置判定部13と、地図データベース(以下、地図DBという)14と、ナビゲーション処理部15と、ICタグリーダライタ(以下、ICタグR/Wという)16と、記憶部17と、表示部18と、制御部19とを備える。
【0031】
走行状態検出部11は、車載装置10が搭載されている車両の走行状態を検出し、制御部19に走行状態データを出力する。走行状態に関するデータとしては、例えば、車両の走行速度や、ワイパーの操作状況等である。操作部12は、車載装置10の使用者による操作入力を受け付けるものであり、車載装置10に設けられたキーやボタン、表示部18と一体に設けられたタッチパネル、リモートコントローラ等を有して構成される。
【0032】
現在位置判定部13は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車載装置10が搭載されている車両1の現在位置を検出し、制御部19に出力する。地図DB14は、ICタグ2が設置されている地点の位置情報を含む地図情報であり、DVD等の記録媒体や、車載装置10のハードディスク等の記憶装置(不図示)等の地図情報格納手段に格納される。
【0033】
ナビゲーション処理部15は、操作部12から入力された指示や現在位置判定部13において判定された現在位置等に応じた表示形態等の表示処理や、設定された目的地までの経路の算出等、ナビゲーション動作の処理を行う。
【0034】
ICタグR/W16は、ICタグ2と無線通信を行う車載無線通信部の一例として動作し、ICタグ2に情報を書き込むと共に、ICタグ2に書き込まれた情報を読み出す。なお、ICタグ2との通信方式は狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)が用いられるが、これに限られない。記憶部17は、制御部19により生成された自車の走行履歴情報や、ICタグR/W16によりICタグ2から読み出された情報等を記憶する。表示部18は、ナビゲーション処理部15により処理されたナビゲーション情報等、種々の情報を表示する。
【0035】
制御部19は、車載装置10全体の動作を制御するものであり、所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される。また、走行状態検出部11や現在位置判定部13等からの出力に基づいて車両の走行履歴情報を生成する走行履歴生成部、地図DB14から地図情報を取得する地図情報取得部、及び現在位置判定部13から現在位置を取得する位置情報取得部の一例として動作する。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係るICタグの概略構成を示すブロック図である。図3に示すようにICタグ2は、アンテナ部21と、制御部22と、記憶部23とを備える。
【0037】
アンテナ部21は、媒体無線通信部の一例として動作し、車載装置10のICタグR/W16と無線通信を行うものである。制御部22は、ICタグR/W16から送信されたデータを記憶部23に書き込んだり、記憶部23から記憶されたデータを読み出したりする。記憶部23は媒体記憶部の一例として動作するものであり、制御部22の指示に基づいて、車載装置10からアンテナ部21を介して取得したデータを記憶する。
【0038】
なお、ICタグ2において、アンテナ部21はコイルを備え、ICタグR/W16が発する電磁波等の信号によって生じる誘導起電力を利用して制御部22及び記憶部23を動作させる無電池型の構成を有していてもよい。これにより、バッテリーを設ける必要がないので、設置後のICタグ2のメンテナンスに要する手間を減らすことができる。
【0039】
続いて、本実施形態の交通情報提供システムの動作について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る交通情報提供システムの処理手順を示すシーケンス図である。
【0040】
まず、車載装置10において、現在位置判定部13が緯度経度情報等の現在位置を取得し、制御部19に現在位置情報を出力する(ステップS101)。制御部19は、地図DB14を参照し、現在位置判定部13から出力される現在位置情報に基づいて、マップマッチングを行う(ステップS102)。
【0041】
ところで、前述したように、地図DB14の地図情報には、ICタグ2が設置されている地点の位置情報が含まれている。そこで、制御部19は、地図DB14を参照したマップマッチングの結果、ICタグ2が設置されている地点に接近したか否かを判断する(ステップS103)。このステップS103の判断は、例えばICタグ2が設置されている地点と現在位置との距離が所定値以内であるか否か、又は、現在位置がICタグ2が設置されている地点の周囲の予め定められた範囲に入ったか否かの判断により行われる。現在位置がICタグ2に接近していなければ(ステップS103のNO)、ステップS101に戻り、ICタグ2に接近したか否かの判断を繰り返す。
【0042】
現在位置がICタグ2に接近した場合(ステップS103のYES)、制御部19は、ICタグR/W16から電波を発信させて通信要求を行う(ステップS104)。なお、ICタグR/W16からは、常時又は間欠的に電波を発信させていてもよいが、ICタグ2の設置位置に応じてICタグR/W16を制御することにより、常時電波を発信する場合と比較して電力の消費を低減させることができると共に、間欠的に電波を発信する場合と比較して確実にICタグ2に対する情報の読み出し/書き込みを行うことができる。
【0043】
ICタグ2は、アンテナ部21を介して車載装置10のICタグR/W16からの通信要求を受けると制御部22が起動し、記憶部23に記憶されている情報(以下、タグ蓄積情報という)を、アンテナ部21を介して車載装置10のICタグR/W16に送信する(ステップS201)。なお、車載装置10は、ICタグ2から読み出すタグ蓄積情報の容量の限度を定めてもよい。
【0044】
車載装置10において、制御部19は自車の走行履歴情報と、ICタグ2と通信する時点で記憶部17に記憶されている情報、すなわち、過去に通信を行ったICタグから読み出したタグ蓄積情報(以下、前地点情報)とを記憶部17から読み出し、ICタグR/W16を介してICタグ2に書き込むデータとして送信する(ステップS105,S106)。
【0045】
ICタグ2において、制御部22は、車載装置10から自車走行履歴情報と前地点情報とを受信すると、記憶部23に受信した前地点情報を書き込み、タグ蓄積情報を更新する(ステップS202)。
【0046】
次に、車載装置10において、制御部19は、ステップS201においてICタグ2から読み出したタグ蓄積情報を記憶部17に書き込み、前地点情報を更新する(ステップS107)。なお、この前地点情報は、一つ前の地点で通信を行ったICタグから読み出したタグ情報のみでもよいし、複数のICタグから読み出したタグ情報が蓄積されたものでもよい。
【0047】
また、制御部19は、取得したタグ蓄積情報により、渋滞情報や任意の地点までの所要時間情報等の交通情報を算出して取得する(ステップS108)。取得した交通情報は表示部18に表示させたり、ナビゲーション処理部15に通知して経路の変更等の処理を行ったりする。
【0048】
図5は、本発明の実施形態に係る車載装置からICタグに書き込む情報の一例を示す図である。図5に示すように、制御部19は、時刻情報51、車種情報52、経路情報53、車速情報54及びワイパーON/OFF情報55を一組の履歴情報50として生成し、ICタグ2に書き込む。
【0049】
時刻情報51は、制御部19がICタグ2に書き込む時の時刻であり、例えば24時間表記で表される。この時刻情報51を付加することにより、他の車載装置10がICタグ2から履歴情報を読み出したときに、その履歴情報がいつ書き込まれたかをを認識することができる。また、古い情報は有効性が低いと考えられるため、この時刻情報51と現在時刻とを比較することにより、履歴情報50の有効性や優先度を判定することができる。
【0050】
車種情報52は、車載装置10が搭載される車両の車種を識別するコードであり、車載装置が搭載されるときに設定される。
【0051】
経路情報53は、記憶部17に記憶された走行履歴情報の一例であり、例えば、制御部19がGPSを用いた現在位置判定部13からの緯度経度情報を所定時間毎に蓄積したものである。また、車速情報54も記憶部17に記憶された走行履歴情報の一例であり、制御部19が走行状態検出部11からの速度情報から所定時間(例えば10分)毎の平均速度を算出して蓄積したものである。
【0052】
これらの経路情報53及び車速情報54により、車載装置10は、ICタグ2から履歴情報50を読み出した際に、どの経路においてどの程度の速度で走行したかを把握することができる。
【0053】
また、ワイパーON/OFF情報55は、制御部19が走行状態検出部11からのワイパー動作状態に基づいて、ON/OFFフラグ情報として記憶部17に記憶させたものである。このワイパーON/OFF情報55により、天候等を判定することができる。
【0054】
なお、経路情報は、所定時間毎の緯度経度情報に限られず、ICタグが設けられている地点や、交差点等の位置とその位置の通過時刻とを対応付けて蓄積したものでもよい。また、車速情報も、所定時間毎の平均速度に限られず、ICタグが設けられている地点や交差点の間の平均速度でもよい。さらに、現在位置の判定は、GPSを用いた判定に限られず、車速センサや舵角センサ等からの検出情報を用いて現在位置を判定してもよい。
【0055】
また、ICタグ2の制御部22は、車載装置10から受信した前地点情報に含まれる履歴情報を記憶部23に書き込む際に、記憶部23に蓄積されている履歴情報を検索し、車載装置10から受信した履歴情報と同一の時刻情報及び車種情報を有する履歴情報がある場合には、その履歴情報の書き込みを省略してもよい。これにより、重複した履歴情報がICタグ2に書き込まれることを防止することができるので、ICタグ2の記憶容量を有効に活用することができる。
【0056】
さらに、車載装置10の制御部19は、ICタグ2から読み出したタグ蓄積情報に含まれる履歴情報を記憶部17に書き込む際に、記憶部17に蓄積されている履歴情報を検索し、ICタグ2から受信した履歴情報と同一の時刻情報及び車種情報を有する履歴情報がある場合には、その履歴情報の書き込みを省略してもよい。また、記憶部17に記憶されている前地点情報を読み出してICタグR/W16から送信する際に、記憶部17から読み出した前地点情報を検索し、同一の時刻情報及び車種情報を有する履歴情報が複数あれば、それらが同一の履歴情報であると判定し、そのうちの一つをICタグ2へ送信してもよい。これにより、重複した履歴情報がICタグ2に書き込まれることを防止することができるので、ICタグ2の記憶容量を有効に活用することができる。
【0057】
このような本発明の実施形態によれば、ICタグには、そのICタグが設置されている地点から他の地点に向かって過去に走行した車両の走行履歴情報が書き込まれる。したがって、ICタグに記憶された情報を読み出すことにより、周辺の交通情報を取得することができる。
【0058】
ここで、複数の地点に設置されるICタグは、VICSセンタ等との通信機能を要する必要はなく、少なくとも無線通信を用いて書き込み/読み出し可能な記憶機能を備えていればよい。したがって、VICSやRDS−TMC(Radio Data System Traffic Message Channel)等と比較してインフラコストを抑えた交通情報提供システムを構築することができる。したがって、交通情報提供エリアの拡張・拡充を容易に低コストで実現することができるので、VICS情報の提供範囲外での交通情報の提供や、VICS情報提供範囲内でもより詳細な街路の交通情報の提供が可能となる。
【0059】
以上の説明では、車載装置の一例として、ICタグへ走行履歴情報の読み出し及び書き込み機能を備えるナビゲーション装置ついて説明した。このように、一般車両に搭載されるナビゲーション装置がICタグへの読み出し及び書き込み機能を備え、本実施形態の交通情報提供システムを構成することにより、ICタグに書き込まれる走行履歴情報のサンプル数を増やすことが可能であり、提供する交通情報の有効性を高める可能となる。ただし、本実施形態の車載装置は、詳細な走行情報を収集するプローブカー等に備えられてもよい。
【0060】
また、通常のナビゲーション装置等の車載装置や携帯情報端末等が、少なくともICタグ等の記憶媒体に書き込まれた情報を読み取り可能な無線通信部と、記憶媒体から読み取った情報から交通情報を取得可能な交通情報取得部とを有していれば、本実施形態の交通情報提供システムを利用したサービスの提供を受けることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、容易に構築可能な交通情報提供システム及びその交通情報提供システムを構成する車載装置及び記憶媒体を提供することが可能な効果を有し、ナビゲーション装置等に対する交通情報提供システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る交通情報提供システムの概略構成を示す説明図
【図2】本発明の実施形態に係る車載装置の概略構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施形態に係るICタグの概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態に係る交通情報提供システムの処理手順を示すシーケンス図
【図5】本発明の実施形態に係る車載装置からICタグに書き込む情報の一例を示す図
【符号の説明】
【0063】
1a,1b,1c 車両
2,2a,2b ICタグ
10 車載装置
11 走行状態検出部
12 操作部
13 現在位置判定部
14 地図データベース
15 ナビゲーション処理部
16 ICタグリーダライタ
17 記憶部
18 表示部
19 制御部
21 アンテナ部
22 制御部
23 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両の走行履歴情報を生成する走行履歴生成部と、
前記車両の走行路近傍に設置された記憶媒体と無線通信を行う車載無線通信部と、
前記車載無線通信部を介して前記記憶媒体から読み出した情報を記憶する車載記憶部と
を有し、
前記車載無線通信部は、前記記憶媒体と通信する際に、当該記憶媒体に記憶されている情報を読み出すと共に、前記走行履歴生成部にて生成された走行履歴情報と、前記記憶媒体と通信する時点で前記車載記憶部に記憶されている情報とを前記記憶媒体に書き込むデータとして送信することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記記憶媒体が設置されている位置を含む地図情報を格納する地図情報格納手段から当該地図情報を取得する地図情報取得部と、現在位置を取得する位置情報取得部とを更に備え、
前記車載無線通信部は、前記現在位置情報と前記地図情報とを比較し、前記記憶媒体が設置されている地点に接近したときに記憶媒体に対する無線通信を開始することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載装置であって、
前記走行履歴生成部は、前記走行履歴情報として、前記車両が走行した位置の軌跡を含む経路情報と、所定時間毎の平均速度情報とを生成することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車載装置であって、
前記車載無線通信部は、前記記憶媒体に時刻情報を付加した前記走行履歴情報を書き込むことを特徴とする車載装置。
【請求項5】
車両の走行路近傍に設置された記憶媒体であって、
車両に搭載された車載装置と無線通信を行う媒体無線通信部と、
前記媒体無線通信部を介して前記車載装置から取得した情報を記憶する媒体記憶部と
を備え、
前記媒体無線通信部は、前記車載装置と通信する際に、前記車載装置から走行履歴情報と当該車載装置に記憶されている情報とを受信して前記媒体記憶部に出力すると共に、前記車載装置と通信する時点で前記媒体記憶部に記憶されている情報を前記車載装置に記憶するデータとして送信することを特徴とする記憶媒体。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の車載装置と、請求項5に記載の記憶媒体とを備えたことを特徴する交通情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−128322(P2007−128322A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321008(P2005−321008)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】