説明

車載電子制御装置

【課題】ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定する
【解決手段】車両制御システム1では、自車両に取り付けられたブレーキペダルが踏み込まれておらず且つ自車両に取り付けられたアクセルペダルが踏み込まれていない状態(以下、両ペダル非踏込状態という)から、ブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における、自車両と自車両の前方を走行する先行車両との間の車間距離(以下、先行車間距離という)を学習し、この学習結果と、アクセルペダルが踏み込まれた時点(以下、アクセル踏込時点という)での先行車間距離(以下、アクセル踏込時車間距離という)とを比較することによって、アクセル踏込時点におけるアクセルペダルの操作が間違いであるか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いを検出する車載電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者が、アクセルペダルを踏もうとしてブレーキペダルを間違えて踏み込んでしまったり、逆にブレーキペダルを踏もうとしてアクセルペダルを踏み込んでしまったりすること(以下、「ペダルの踏み間違い」という)で、車両が、運転者の意図と異なる動作をしてしまうという事態の発生を抑制するために、ペダルの踏み間違いを検出する技術が提案されている。
【0003】
そして、このようなペダル踏み間違いを検出する技術として、車両が通常走行の速度より低速で走行している時にアクセルペダルが所定の踏力以上で踏み込まれた場合には、間違えてアクセルペダルを踏み込んだと判断するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−278092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、上記所定の踏力が予め設定された固定値であるため、車両を急加速させる場合に上記所定の踏力以上でアクセルペダルを踏み込む傾向がある運転者が車両を運転する場合には、運転者の要求に応じて急加速できないという事態が発生してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載電子制御装置では、第1学習手段が、車両の前方を走行する先行車両と車両との間の車間距離を先行車間距離として、車両に取り付けられたブレーキペダルが踏み込まれておらず且つ車両に取り付けられたアクセルペダルが踏み込まれていない状態である両ペダル非踏込状態から、ブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離を学習し、第1ペダル誤操作判断手段が、第1学習手段による学習結果と、アクセルペダルが踏み込まれた時点であるアクセル踏込時点での先行車間距離であるアクセル踏込時車間距離とを比較することによって、アクセル踏込時点におけるアクセルペダルの操作が間違いであるか否かを判断する。
【0008】
このように構成された車載電子制御装置では、どのような先行車間距離のときに両ペダル非踏込状態からブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれるかを学習し、この学習結果に基づいて、アクセルペダルの操作が間違いであるか否かを判断する。
【0009】
そして、両ペダル非踏込状態からブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離についての第1学習手段による学習結果は、運転者の運転傾向を反映し、運転者に応じて異なるものとなるため、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の車載電子制御装置において、請求項2に記載のように、第1学習手段が、車両が先行車両に近づいている状態であり且つ両ペダル非踏込状態である状態から、ブレーキペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離のうち、距離が最も短いものをブレーキオン車間距離として、ブレーキオン車間距離を学習結果として採用し、第1ペダル誤操作判断手段が、アクセル踏込時車間距離がブレーキオン車間距離未満であることを第1誤操作判定条件として、第1誤操作判定条件が成立した場合に、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断するようにしてもよい。
【0011】
すなわち、先行車両との間の車間距離(先行車間距離)を一定に保持しようと考えている運転者が、車両が先行車両に近づいていることを認識してブレーキペダルを踏み込む場合における最短の先行車間距離を上記ブレーキオン車間距離として学習し、このブレーキオン車間距離より先行車間距離が短い場合にアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。
【0012】
このように構成された車載電子制御装置によれば、車両が先行車両に近づいていることを認識して運転者がブレーキペダルを踏み込もうとする状況でのアクセルペダルの誤操作を検出することができる。
【0013】
また、請求項1に記載の車載電子制御装置において、請求項3に記載のように、第1学習手段が、車両が先行車両から遠ざかっている状態であり且つ両ペダル非踏込状態である状態から、アクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離のうち、距離が最も短いものをアクセルオン車間距離として、アクセルオン車間距離を学習結果として採用し、第1ペダル誤操作判断手段が、アクセル踏込時車間距離がアクセルオン車間距離未満であることを第2誤操作判定条件として、第2誤操作判定条件が成立した場合に、アクセルペダルの操作が間違いであると判断するようにしてもよい。
【0014】
すなわち、先行車両との間の車間距離(先行車間距離)を一定に保持しようと考えている運転者が、車両が先行車両から遠ざかっていることを認識してアクセルペダルを踏み込む場合における最短の先行車間距離を上記アクセルオン車間距離として学習し、このアクセルオン車間距離より先行車間距離を短くするためにアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。
【0015】
このように構成された車載電子制御装置によれば、車両が先行車両から遠ざかっている状況でのアクセルペダルの誤操作を検出することができる。
また、請求項2に記載の車載電子制御装置において、請求項4に記載のように、第1誤操作時車両制御手段が、アクセルペダルの操作が間違いであると第1ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、車両に取り付けられたブレーキ機構を用いて車両を減速させる制御を実行するとともに、アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして車両の制御を実行するようにするとよい。
【0016】
このように構成された車載電子制御装置によれば、運転者がブレーキペダルを操作しようとして間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合に、運転者の意図に反して車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の車載電子制御装置において、請求項5に記載のように、第2誤操作時車両制御手段が、アクセルペダルの操作が間違いであると第1ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、先行車両と車両とが衝突しないようにすることを目的として予め設定された誤操作時アクセル開度をアクセル開度の上限値として車両の制御を実行する。
【0018】
このように構成された車載電子制御装置によれば、運転者が間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合でも、アクセル開度が上記上限値より大きくなることがないため、運転者の意図に反して車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【0019】
また、請求項6に記載の車載電子制御装置では、第2学習手段が、車両に取り付けられたブレーキペダルを踏み込むときの踏み込み速度をブレーキ踏込速度とし、急ブレーキに該当する場合のブレーキ踏込速度を学習し、第2ペダル誤操作判断手段が、車両に取り付けられたアクセルペダルを踏み込むときの踏み込み速度をアクセル踏込速度とし、第2学習手段による学習結果と、アクセルペダルが踏み込まれた時点であるアクセル踏込時点でのアクセル踏込速度とを比較することによって、アクセル踏込時点におけるアクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであるか否かを判断する。
【0020】
このように構成された車載電子制御装置では、どのようなブレーキ踏込速度のときに急ブレーキに該当するかを学習し、この学習結果に基づいて、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであるか否かを判断する。これにより、アクセルペダルが急速に踏み込まれた場合に、これが急ブレーキを意図したものであるか否かを判断することができる。
【0021】
そして、急ブレーキに該当する場合のブレーキ踏込速度についての第2学習手段による学習結果は、運転者の運転傾向を反映し、運転者に応じて異なるものとなるため、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる。
【0022】
また、請求項6に記載の車載電子制御装置において、請求項7に記載のように、第2学習手段が、急ブレーキに該当する場合におけるブレーキペダルの踏み込み速度のうち、速度が最も遅いものを急ブレーキ誤操作判定速度とし、この急ブレーキ誤操作判定速度を学習結果として採用し、第2ペダル誤操作判断手段が、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上であることを第3誤操作判定条件として、第3誤操作判定条件が成立した場合に、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断するようにしてもよい。
【0023】
すなわち、急ブレーキに該当する踏み込み速度でアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。
このように構成された車載電子制御装置によれば、アクセル踏込速度と急ブレーキ誤操作判定速度とを比較するという簡便な方法で、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであるか否かを判断することができる。
【0024】
また、請求項6または請求項7に記載の車載電子制御装置において、請求項8に記載のように、第2学習手段は、ブレーキ踏込速度が予め設定された急ブレーキ判定速度以上である場合に、急ブレーキに該当すると判断するようにしてもよい。
【0025】
このように構成された車載電子制御装置によれば、ブレーキ踏込速度と急ブレーキ判定速度とを比較するという簡便な方法で、急ブレーキに該当するか否かを判断することができる。
【0026】
また、請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の車載電子制御装置において、請求項9に記載のように、第3誤操作時車両制御手段が、アクセルペダルの操作が間違いであると第2ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、車両に取り付けられたブレーキ機構を用いて車両を減速させる制御を実行するとともに、アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして車両の制御を実行するようにするとよい。
【0027】
このように構成された車載電子制御装置によれば、運転者がブレーキペダルを操作しようとして間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合に、運転者の意図に反して車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車両制御システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】判定距離学習処理を示すフローチャートである。
【図3】急ブレーキ学習処理を示すフローチャートである。
【図4】誤操作対応処理を示すフローチャートである。
【図5】復帰処理を示すフローチャートである。
【図6】アクセル開度のなまし処理を説明するタイミングチャートである。
【図7】車間距離と誤操作時の処理との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態について図面とともに説明する。
図1は、本実施形態の車両制御システム1の構成を示すブロック図である。
車両制御システム1は、車両に搭載され、図1に示すように、動力制御装置2と、ブレーキ制御装置3と、ステアリング制御装置4と、車間制御装置5と、車内LAN6とから構成される。なお制御装置2〜5は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMおよびRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。
【0030】
まず動力制御装置2は、少なくとも、運転者のアクセルペダルの踏込量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサ11からの検出信号に基づいて、車両に搭載された動力機21(エンジンあるいはモータ)の回転を制御するように構成されている。さらに動力制御装置2には、車速を検出する車速センサ12からの検出信号と、運転者のブレーキペダル操作に応じたブレーキ踏込量を検出するブレーキペダルセンサ13からの検出信号とが入力される。
【0031】
またブレーキ制御装置3は、ブレーキペダルセンサ13からの検出信号に基づいて、車両に搭載されたブレーキ機構22を制御するように構成されている。
またステアリング制御装置4は、少なくとも、ドライバのステアリング操作時における前輪の操舵角を検出するステアリングセンサ14からの検出信号に基づいて、操舵輪の舵角変更時のアシスト力を発生させるパワーステアリング制御を実行するように構成されている。
【0032】
また車間制御装置5は、レーザレーダセンサ15からの検出信号に基づいて自車両と先行車両との間の車間距離を測定し、動力制御装置2と協働して、先行車両との車間距離が一定になるように車速を調節する制御を実行するように構成されている。
【0033】
そして、これらの制御装置2〜5は、車内LAN6を介して、各種データを相互に送受信可能に構成されている。
このように構成された車両制御システム1において、動力制御装置2は、アクセルペダルおよびブレーキペダルの誤操作を判定するための車間距離を学習する判定距離学習処理と、アクセルペダルおよびブレーキペダルの誤操作を判定するためのブレーキ速度を学習する急ブレーキ学習処理と、誤操作の判定と誤操作時の対応を行う誤操作対応処理とをそれぞれ独立に実行する。
【0034】
ここで、動力制御装置2が実行する判定距離学習処理の手順を図2を用いて説明する。図2は判定距離学習処理を示すフローチャートである。この判定距離学習処理は、動力制御装置2が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0035】
この判定距離学習処理が実行されると、動力制御装置2は、まずS10にて、車速センサ12の検出結果に基づいて、現在の車速が属している車速範囲を決定する。この車速範囲は、車速が低い順から第1車速範囲、第2車速範囲、第3車速範囲、・・・・、第(n−1)車速範囲、第n車速範囲から構成されており、互いに範囲が重複しないように、且つ、何れの車速範囲にも含まれない車速が存在しないように予め設定されている(nは正の整数)。
【0036】
本実施形態では、第i車速範囲の下限値が(i−1)×10km/hに設定されている(i=1,2,・・・,n)。すなわち、現在の車速をVcと表記すると、(i−1)×10≦Vc<i×10[km/h]を満たす場合に、現在の車速は、第i車速範囲に属すると決定される。例えば、現在の車速が45km/hの場合には、第5車速範囲と決定される。
【0037】
そしてS20にて、S10で決定された車速範囲に対応したブレーキオン車間距離、アクセルオン車間距離、およびアクセルオン開度を取得する。なお、ブレーキオン車間距離、アクセルオン車間距離、およびアクセルオン開度は、後述の誤操作対応処理で用いられるパラメータであり、上記複数の第i車速範囲(i=1,2,・・・,n)毎に設定されている。
【0038】
その後S30にて、ステアリングセンサ14の検出結果に基づいて、操舵角が、定常走行中であるか否かを判断するために予め設定された定常走行判定操舵角範囲内(本実施形態では例えば−5°〜+5°)であるか否かを判断する。
【0039】
ここで、操舵角が定常走行判定操舵角範囲外である場合には(S30:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、操舵角が定常走行判定操舵角範囲内である場合には(S30:YES)、S40にて、ブレーキペダルセンサ13およびアクセル開度センサ11の検出結果に基づいて、ブレーキペダルが踏み込まれていない状態(以下、ブレーキオフという)であり、且つ、アクセルペダルが踏み込まれていない状態(以下、アクセルオフという)であるか否かを判断する。
【0040】
ここで、ブレーキオフ且つアクセルオフでない場合には(S40:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、ブレーキオフ且つアクセルオフである場合には(S40:YES)、S50にて、今回車間距離が前回判定時車間距離未満であるか否かを判断する。なお今回車間距離は、車間制御装置5により算出された現時点での車間距離である。また前回判定時車間距離は、繰り返し実行される当該判定距離学習処理について、1回前(以下、前回という)の処理におけるS50の処理時点での車間距離である。すなわちS50では、車間距離が短くなってきているか否かを判断する。
【0041】
ここで、今回車間距離が前回判定時車間距離未満である場合には(S50:YES)、S60にて、ブレーキペダルセンサ13の検出結果に基づいて、ブレーキペダルが踏み込まれている状態(以下、ブレーキオンという)であるか否かを判断する。ここで、ブレーキオンでない場合には(S60:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、ブレーキオンである場合には(S60:YES)、S70にて、今回車間距離が、S20の処理で取得されたブレーキオン車間距離未満であるか否かを判断する。
【0042】
ここで、今回車間距離がブレーキオン車間距離以上である場合には(S70:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、今回車間距離がブレーキオン車間距離未満である場合には(S70:YES)、S80にて、S10で決定された車速範囲に対応したブレーキオン車間距離を今回車間距離に変更して、判定距離学習処理を一旦終了する。
【0043】
またS50にて、今回車間距離が前回判定時車間距離以上である場合には(S50:NO)、S90にて、今回車間距離が、S20の処理で取得されたアクセルオン車間距離未満であるか否かを判断する。ここで、今回車間距離がアクセルオン車間距離以上である場合には(S90:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、今回車間距離がアクセルオン車間距離未満である場合には(S90:YES)、S100にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいて、アクセルペダルが踏み込まれている状態(以下、アクセルオンという)であるか否かを判断する。
【0044】
ここで、アクセルオンでない場合には(S100:NO)、判定距離学習処理を一旦終了する。一方、アクセルオンである場合には(S100:YES)、S110にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいてアクセル開度を算出する。
【0045】
その後S120にて、アクセル開度の上限を、S20の処理で取得されたアクセルオン開度に設定(以下、アクセル開度の上限ガードという)して、動力機21を制御する。その後S130にて、復帰処理(後述)を実行する。そして、S130の復帰処理が終了すると、判定距離学習処理を一旦終了する。
【0046】
次に、動力制御装置2が実行する急ブレーキ学習処理の手順を図3を用いて説明する。図3は急ブレーキ学習処理を示すフローチャートである。この急ブレーキ学習処理は、動力制御装置2が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0047】
この急ブレーキ学習処理が実行されると、動力制御装置2は、まずS210にて、ブレーキペダルセンサ13の検出結果に基づいてブレーキ踏込量を算出し、さらにS220にて、S210で算出したブレーキ踏込量が、ブレーキ踏込量が大きいか否かを判断するために予め設定された学習開始判定踏込量(本実施形態では、最大ブレーキ踏込量の80%に相当する値)以上であるか否かを判断する。
【0048】
ここで、ブレーキ踏込量が学習開始判定踏込量未満である場合には(S220:NO)、急ブレーキ学習処理を一旦終了する。一方、ブレーキ踏込量が学習開始判定踏込量以上である場合には(S220:YES)、S230にて、繰り返し実行される当該急ブレーキ学習処理におけるS210の処理でこれまでに算出されたブレーキ踏込量を用いて、現時点でのブレーキ踏込速度を算出し、このブレーキ踏込速度が、急ブレーキであるか通常ブレーキであるかを判断するために予め設定された急ブレーキ判定速度を超えているか否かを判断する。
【0049】
ここで、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ判定速度以下である場合には(S230:NO)、急ブレーキ学習処理を一旦終了する。一方、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ判定速度を超えている場合には(S230:YES)、S240にて、ブレーキ踏込速度が、急ブレーキ時におけるブレーキ踏込速度の最低値として設定される急ブレーキ誤操作判定速度未満であるか否かを判断する。
【0050】
ここで、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上である場合には(S240:NO)、急ブレーキ学習処理を一旦終了する。一方、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度未満である場合には(S240:YES)、S250にて、急ブレーキ誤操作判定速度を、S240の判定で用いたブレーキ踏込速度に変更して、急ブレーキ学習処理を一旦終了する。
【0051】
次に、動力制御装置2が実行する誤操作対応処理の手順を図4を用いて説明する。図4は誤操作対応処理を示すフローチャートである。この誤操作対応処理は、動力制御装置2が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
【0052】
この誤操作対応処理が実行されると、動力制御装置2は、まずS310にて、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上であるか否かを判断する。ここで、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度未満である場合には(S310:NO)、S320にて、S10と同様にして、車速センサ12の検出結果に基づいて、現在の車速が属している車速範囲を決定し、さらにS330にて、S20と同様にして、S320で決定された車速範囲に対応したブレーキオン車間距離、アクセルオン車間距離、およびアクセルオン開度を取得する。
【0053】
その後S340にて、定常走行中であるか否かを判断するために予め設定された定常走行中判定条件が成立したか否かを判断する。なお本実施形態では、定常走行中判定条件は、操舵角が定常走行判定操舵角範囲内(S30を参照)であり、且つ、ブレーキオフであり、且つアクセルオフであることである。
【0054】
ここで、定常走行中判定条件が成立していない場合には(S340:NO)、誤操作対応処理を一旦終了する。一方、定常走行中判定条件が成立している場合には(S340:YES)、S350にて、今回車間距離が、S330の処理で取得されたブレーキオン車間距離未満であるか否かを判断する。
【0055】
ここで、今回車間距離がブレーキオン車間距離未満である場合には(S350:YES)、S360にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいて、アクセルオンであるか否かを判断する。そして、アクセルオンでない場合には(S360:NO)、誤操作対応処理を一旦終了する。一方、アクセルオンである場合には(S360:YES)、S370にて、ブレーキオンを指示するブレーキオン指令をブレーキ制御装置3へ送信するとともに、アクセルオフとして動力機21を制御する。これによりブレーキ制御装置3は、ブレーキペダルセンサ13の検出信号に基づいてブレーキオフであっても、ブレーキオンとなるようにブレーキ機構22を制御する。その後S380にて、復帰処理(後述)を実行する。そして、S380の復帰処理が終了すると、誤操作対応処理を一旦終了する。
【0056】
またS350にて、今回車間距離がブレーキオン車間距離以上である場合には(S350:NO)、S390にて、今回車間距離が、S330の処理で取得されたアクセルオン車間距離未満であるか否かを判断する。ここで、今回車間距離がアクセルオン車間距離以上である場合には(S390:NO)、誤操作対応処理を一旦終了する。
【0057】
一方、今回車間距離がアクセルオン車間距離未満である場合には(S390:YES)、S400にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいて、アクセル開度が、S330の処理で取得されたアクセルオン開度以上であるか否かを判断する。ここで、アクセル開度がアクセルオン開度未満である場合には(S400:NO)、誤操作対応処理を一旦終了する。一方、アクセル開度がアクセルオン開度以上である場合には(S400:YES)、S410にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいてアクセル開度を算出する。そしてS420にて、アクセル開度の上限を、S330の処理で取得されたアクセルオン開度に設定(アクセル開度の上限ガード)して、動力機21を制御する。その後S430にて、復帰処理(後述)を実行する。そして、S430の復帰処理が終了すると、誤操作対応処理を一旦終了する。
【0058】
またS310にて、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上である場合には(S310:YES)、S440にて、S370と同様にして、ブレーキオンを指示するブレーキオン指令をブレーキ制御装置3へ送信するとともに、アクセルオフとして動力機21を制御する。その後S450にて、復帰処理(後述)を実行する。そして、S450の復帰処理が終了すると、誤操作対応処理を一旦終了する。
【0059】
次に、S380とS430とS450で実行される復帰処理の手順を図5と図6を用いて説明する。図5は復帰処理を示すフローチャートである。図6は、アクセル開度のなまし処理を説明するタイミングチャートである。
【0060】
復帰処理が実行されると、動力制御装置2は、まずS510にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいて、アクセルオフであるか否かを判断する。ここで、アクセルオフである場合には(S510:YES)、S560に移行する。
【0061】
一方、アクセルオフでない場合には(S510:NO)、S520にて、アクセル開度の上限ガードを用いた制御の実行中(以下、上限ガード制御の実行中という)であるか否かを判断する。ここで、上限ガード制御の実行中でない場合には(S520:NO)、S510に移行し、上述の処理を繰り返す。一方、上限ガード制御の実行中である場合には(S520:YES)、S530にて、アクセル開度センサ11の検出結果に基づいて算出されたアクセル開度(以下、今回アクセル開度という)が、当該復帰処理の実行直前でのアクセルオン判定(すなわち、S100またはS400での判定)時のアクセル開度(すなわち、S110またはS410で算出されたアクセル開度。以下、誤操作判定時開度という)と、上記アクセルオン判定後にアクセルが更に踏み込まれたか否かを判断するために予め設定された踏込判定固定開度との加算値(以下、追加踏込判定開度という)を超えているか否かを判断する。
【0062】
ここで、今回アクセル開度が追加踏込判定開度以下である場合には(S530:NO)、S510に移行し、上述の処理を繰り返す。一方、今回アクセル開度が追加踏込判定開度を超えている場合には(S530:YES)、S540にて、S10またはS320で決定された車速範囲に対応したアクセルオン車間距離を今回車間距離に変更する。
【0063】
そしてS550にて、これまでにS110とS410で算出されたアクセル開度の平均値を算出し、S10またはS320で決定された車速範囲に対応したアクセルオン開度を、算出した平均値に変更して、S560に移行する。
【0064】
そしてS560に移行すると、上限ガード制御の実行中であるか否かを判断する。ここで、上限ガード制御の実行中である場合には(S560:YES)、S570にて、アクセル開度の上限ガードを解除する。
【0065】
その後S580にて、アクセル開度なまし処理を実行し、この処理を終了すると、復帰処理を終了する。このアクセル開度なまし処理は、アクセル開度の上限ガードが解除された時点で、動力制御装置2が制御に用いるアクセル開度(以下、制御用アクセル開度という)を、上限ガード時の上限値であるアクセルオン開度から、アクセル開度センサ11の検出結果に基づくアクセル開度(以下、実アクセル開度という)に瞬時に変更するのではなく、アクセルオン開度から実アクセル開度に徐々に近づくように制御用アクセル開度を変更する処理である。具体的には、図6に示すように、アクセル開度の上限ガードが解除された時点(図6の時刻t1を参照)から、現在の制御用アクセル開度と実アクセル開度との加算値に対して0.5を乗じた値を次の制御用アクセル開度に設定する処理を、制御用アクセル開度が実アクセル開度に一致するまで実行し(図6の時刻t2,t3,t4,t5,t6を参照)、両者が一致した場合にアクセル開度なまし処理を終了する。
【0066】
一方、上限ガード制御の実行中でない場合には(S560:NO)、S590にて、ブレーキオン指令の解除を指示するブレーキオン解除指令をブレーキ制御装置3へ送信し、復帰処理を終了する。これにより、ブレーキ制御装置3は、ブレーキペダルセンサ13に基づいたブレーキ踏込量に応じてブレーキ機構22を制御するようになる。
【0067】
図7は、車間距離と誤操作時の処理との関係を示す図である。
図7に示すように、車間距離がブレーキオン車間距離未満における誤操作時には、ブレーキオン指令がブレーキ制御装置3へ送信されるとともに、アクセルオフとして動力機21が制御される。また、車間距離がアクセルオン車間距離未満における誤操作時には、アクセル開度の上限がアクセルオン開度に設定され、その後、アクセルオン開度から実アクセル開度に徐々に近づくように制御用アクセル開度を変更する処理が行われる。また、車間距離がアクセルオン車間距離以上では、車間距離に基づいた誤操作判定は行われない。
【0068】
このように構成された車両制御システム1では、自車両に取り付けられたブレーキペダルが踏み込まれておらず且つ自車両に取り付けられたアクセルペダルが踏み込まれていない状態(以下、両ペダル非踏込状態という)から、ブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における、自車両と自車両の前方を走行する先行車両との間の車間距離(以下、先行車間距離という)を学習し(S10〜S130)、この学習結果と、アクセルペダルが踏み込まれた時点(以下、アクセル踏込時点という)での先行車間距離(以下、アクセル踏込時車間距離という)とを比較することによって、アクセル踏込時点におけるアクセルペダルの操作が間違いであるか否かを判断する(S320〜S360,S390〜S400)。
【0069】
このため、両ペダル非踏込状態からブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離についての学習結果は、運転者の運転傾向を反映し、運転者に応じて異なるものとなるため、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる。
【0070】
また、自車両が先行車両に近づいている状態であり且つ両ペダル非踏込状態である状態から、ブレーキペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離のうち、距離が最も短いものをブレーキオン車間距離として、ブレーキオン車間距離を学習結果として採用し(S40〜S80)、アクセル踏込時車間距離がブレーキオン車間距離未満である場合に、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断する(S350〜S360)。
【0071】
すなわち、先行車両との間の車間距離(先行車間距離)を一定に保持しようと考えている運転者が、自車両が先行車両に近づいていることを認識してブレーキペダルを踏み込む場合における最短の先行車間距離を上記ブレーキオン車間距離として学習し、このブレーキオン車間距離より先行車間距離が短い場合にアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。これにより、自車両が先行車両に近づいていることを認識して運転者がブレーキペダルを踏み込もうとする状況でのアクセルペダルの誤操作を検出することができる。
【0072】
また、自車両が先行車両から遠ざかっている状態であり且つ両ペダル非踏込状態である状態から、アクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における先行車間距離のうち、距離が最も短いものをアクセルオン車間距離として、アクセルオン車間距離を学習結果として採用し(S40,S90,S100、S530,S540)、第1ペダル誤操作判断手段が、アクセル踏込時車間距離がアクセルオン車間距離未満である場合に、アクセルペダルの操作が間違いであると判断する(S390〜S400)。
【0073】
すなわち、先行車両との間の車間距離(先行車間距離)を一定に保持しようと考えている運転者が、自車両が先行車両から遠ざかっていることを認識してアクセルペダルを踏み込む場合における最短の先行車間距離を上記アクセルオン車間距離として学習し、このアクセルオン車間距離より先行車間距離を短くするためにアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。これにより、自車両が先行車両から遠ざかっている状況でのアクセルペダルの誤操作を検出することができる。
【0074】
また、アクセル踏込時車間距離がブレーキオン車間距離未満であることを条件としてアクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断した場合に(S350〜S360)、ブレーキペダルセンサ13の検出信号に基づいてブレーキオフであっても、ブレーキオンとなるようにブレーキ機構22を制御するとともに、アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして自車両の制御を実行する(S370)。これにより、運転者がブレーキペダルを操作しようとして間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合に、運転者の意図に反して自車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【0075】
また、アクセル踏込時車間距離がアクセルオン車間距離未満であることを条件としてアクセルペダルの操作が間違いであると判断した場合に(S390〜S400)、アクセル開度の上限をアクセルオン開度に設定して、動力機21を制御する(S420)。これにより、運転者が間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合でも、アクセル開度が上記アクセルオン開度より大きくなることがないため、運転者の意図に反して車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【0076】
また、ブレーキ踏込速度が急ブレーキ判定速度を超えている場合に急ブレーキに該当すると判断し、このときのブレーキ踏込速度を学習し(S210〜S250)、この学習結果と、アクセル踏込時点でのアクセル踏込速度とを比較することによって、アクセル踏込時点におけるアクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであるか否かを判断する(S310)。これにより、アクセルペダルが急速に踏み込まれた場合に、これが急ブレーキを意図したものであるか否かを判断することができる。
【0077】
また、急ブレーキに該当する場合におけるブレーキペダルの踏み込み速度のうち、速度が最も遅いものを急ブレーキ誤操作判定速度とし、この急ブレーキ誤操作判定速度を学習結果として採用し、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上である場合に(S310)、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断する。
【0078】
すなわち、急ブレーキに該当する踏み込み速度でアクセルを踏み込むことはないという考えに基づいて、アクセルペダルの操作間違いを判断している。
そして、急ブレーキに該当する場合のブレーキ踏込速度についての学習結果は、運転者の運転傾向を反映し、運転者に応じて異なるものとなるため、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる。
【0079】
また、アクセル踏込速度に基づいて、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断した場合に(S310)、ブレーキペダルセンサ13の検出信号に基づいてブレーキオフであっても、ブレーキオンとなるようにブレーキ機構22を制御するとともに、アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして自車両の制御を実行する(S440)。これにより、運転者がブレーキペダルを操作しようとして間違ってアクセルペダルを操作してしまった場合に、運転者の意図に反して自車両が急加速してしまうという状況の発生を抑制することができる。
【0080】
以上説明した実施形態において、車両制御システム1は本発明における車載電子制御装置、S10〜S130の処理は本発明における第1学習手段、S350〜S360の処理は本発明における第1ペダル誤操作判断手段、S370の処理は本発明における第1誤操作時車両制御手段、S420の処理は本発明における第2誤操作時車両制御手段、アクセルオン開度は本発明における誤操作時アクセル開度、S210〜S250の処理は本発明における第2学習手段、S310の処理は本発明における第2ペダル誤操作判断手段、S440の処理は本発明における第3誤操作時車両制御手段である。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態においては、第i車速範囲(i=1,2,・・・,n)が10km/h毎に等間隔に設けられているものを示した。しかし、第i車速範囲の間隔が互いに異なるようにしてもよい。
【0082】
また上記実施形態においては、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上である場合に、アクセルペダルの操作がブレーキペダルの操作間違いであると判断するものを示した。しかし、急加速するためにアクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上になることもある可能性を考慮して、運転者が所定の操作(たとえばパドル入力)を行うことで、アクセル踏込速度が急ブレーキ誤操作判定速度以上になってもブレーキペダルの操作間違いであると判断しないようにしてもよい。これにより、運転者の意図に応じて急加速を行うことが可能となる。
【0083】
また、シートポジションを運転者毎に設定することができるパワーシート採用車両では、シートポジションにより運転者を特定し、特定された運転者毎に、学習値(ブレーキオン車間距離、アクセルオン車間距離、およびアクセルオン開度)を保持するようにするとよい。これにより、1台のパワーシート採用車両を複数の運転者で使用する場合に、ペダルの踏み間違いを検出するための判定条件を運転者に応じて適切に設定することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…車両制御システム、2…動力制御装置、3…ブレーキ制御装置、4…ステアリング制御装置、5…車間制御装置、6…車内LAN、11…アクセル開度センサ、12…車速センサ、13…ブレーキペダルセンサ、14…ステアリングセンサ、15…レーザレーダセンサ、21…動力機、22…ブレーキ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両を制御する車載電子制御装置であって、
前記車両の前方を走行する先行車両と前記車両との間の車間距離を先行車間距離として、前記車両に取り付けられたブレーキペダルが踏み込まれておらず且つ前記車両に取り付けられたアクセルペダルが踏み込まれていない状態である両ペダル非踏込状態から、前記ブレーキペダルまたはアクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における前記先行車間距離を学習する第1学習手段と、
前記第1学習手段による学習結果と、前記アクセルペダルが踏み込まれた時点であるアクセル踏込時点での前記先行車間距離であるアクセル踏込時車間距離とを比較することによって、前記アクセル踏込時点における前記アクセルペダルの操作が間違いであるか否かを判断する第1ペダル誤操作判断手段とを備える
ことを特徴とする車載電子制御装置。
【請求項2】
前記第1学習手段は、
前記車両が前記先行車両に近づいている状態であり且つ前記両ペダル非踏込状態である状態から、前記ブレーキペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における前記先行車間距離のうち、距離が最も短いものをブレーキオン車間距離として、前記ブレーキオン車間距離を前記学習結果として採用し、
前記第1ペダル誤操作判断手段は、
前記アクセル踏込時車間距離が前記ブレーキオン車間距離未満であることを第1誤操作判定条件として、前記第1誤操作判定条件が成立した場合に、前記アクセルペダルの操作が前記ブレーキペダルの操作間違いであると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載電子制御装置。
【請求項3】
前記第1学習手段は、
前記車両が前記先行車両から遠ざかっている状態であり且つ前記両ペダル非踏込状態である状態から、前記アクセルペダルが踏み込まれた状態に移行した時点における前記先行車間距離のうち、距離が最も短いものをアクセルオン車間距離として、前記アクセルオン車間距離を学習結果として採用し、
前記第1ペダル誤操作判断手段は、
前記アクセル踏込時車間距離が前記アクセルオン車間距離未満であることを第2誤操作判定条件として、前記第2誤操作判定条件が成立した場合に、前記アクセルペダルの操作が間違いであると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載電子制御装置。
【請求項4】
前記アクセルペダルの操作が間違いであると前記第1ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、前記車両に取り付けられたブレーキ機構を用いて前記車両を減速させる制御を実行するとともに、前記アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして前記車両の制御を実行する第1誤操作時車両制御手段を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の車載電子制御装置。
【請求項5】
前記アクセルペダルの操作が間違いであると前記第1ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、前記先行車両と前記車両とが衝突しないようにすることを目的として予め設定された誤操作時アクセル開度をアクセル開度の上限値として前記車両の制御を実行する第2誤操作時車両制御手段を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の車載電子制御装置。
【請求項6】
車両に搭載され、前記車両を制御する車載電子制御装置であって、
前記車両に取り付けられたブレーキペダルを踏み込むときの踏み込み速度をブレーキ踏込速度とし、急ブレーキに該当する場合の前記ブレーキ踏込速度を学習する第2学習手段と、
前記車両に取り付けられたアクセルペダルを踏み込むときの踏み込み速度をアクセル踏込速度とし、前記第2学習手段による学習結果と、前記アクセルペダルが踏み込まれた時点であるアクセル踏込時点での前記アクセル踏込速度とを比較することによって、前記アクセル踏込時点における前記アクセルペダルの操作が前記ブレーキペダルの操作間違いであるか否かを判断する第2ペダル誤操作判断手段とを備える
ことを特徴とする車載電子制御装置。
【請求項7】
前記第2学習手段は、
急ブレーキに該当する場合における前記ブレーキペダルの踏み込み速度のうち、速度が最も遅いものを急ブレーキ誤操作判定速度とし、この急ブレーキ誤操作判定速度を前記学習結果として採用し、
前記第2ペダル誤操作判断手段は、
前記アクセル踏込速度が前記急ブレーキ誤操作判定速度以上であることを第3誤操作判定条件として、前記第3誤操作判定条件が成立した場合に、前記アクセルペダルの操作が前記ブレーキペダルの操作間違いであると判断する
ことを特徴とする請求項6に記載の車載電子制御装置。
【請求項8】
前記第2学習手段は、
前記ブレーキ踏込速度が予め設定された急ブレーキ判定速度以上である場合に、前記急ブレーキに該当すると判断する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の車載電子制御装置。
【請求項9】
前記アクセルペダルの操作が間違いであると前記第2ペダル誤操作判断手段が判断した場合に、前記車両に取り付けられたブレーキ機構を用いて前記車両を減速させる制御を実行するとともに、前記アクセルペダルが踏み込まれていない状態であるとして前記車両の制御を実行する第3誤操作時車両制御手段を備える
ことを特徴とする請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の車載電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63731(P2013−63731A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204544(P2011−204544)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】