説明

車高センサ

【課題】車高を検出するためのアームなどに検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、検出精度の低下を抑制する車高センサを提供する。
【解決手段】車高センサ20において、支持軸38は、ロアアームが揺動する中心軸と同軸に車体本体10に取り付けられる。ブッシュ内筒32は、円筒状に形成され、支持軸38に挿着することにより支持軸38に回転可能に支持される。揺動アーム24は、ブッシュ30を介してブッシュ内筒32と一体的に連結され、ロアアームと共に揺動すうように設けられる。回転センサ26は、ブッシュ内筒32の回転を検出することにより、ブッシュ30を介して揺動アーム24の回転を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車高センサに関し、特に、車輪を支持する車輪支持手段に連結されたアームの回転を検出する車高センサに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には一般的にサスペンションが装備され、サスペンションが伸縮することにより、車両の振動や急激な姿勢の変化などが抑制される。近年、このサスペンションの伸縮による車高の変化を検出し、車両の姿勢制御など様々な制御に利用する技術の開発が進められている。車高を検出するこのような車高センサは、たとえば特許文献1に記載される車高センサのように、検出対象に連結されたアームの揺動する角度を検出することにより車高を検出する。これに対し、アームに生じる車高検出に不要な揺動を抑制するため、たとえば特許文献2では、トランスバースリンクを、ブッシュを含む揺動部材を介してサスペンションメンバに連結して、トランスバースリンクにおける不要な揺動を吸収させる車高センサが提案されている。また、車高センサに設けられる回転センサと被検出部との角度を容易に補正する技術が求められており、たとえば特許文献3では、カム回転軸にカム角調整プレートを一体回転可能に固定するとともに、係止フレームをカム回転軸に対して回動可能に係着したヒッチ角センサーが提案されている。
【特許文献1】特開2001−260622号公報
【特許文献2】実開平6−65019号公報
【特許文献3】特開2003−70307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したように、特許文献1において提案される車高センサや特許文献3において提案されるヒッチ角センサのようなセンサを使って車輪を支持するロアアームなどの揺動を検出すると、ロアアームと回転センサを連結するアームのねじれなどによって車高センサの検出結果が影響を受ける可能性がある。しかし、特許文献2において提案される車高センサは揺動部材に弾性部材であるブッシュを有しているが、揺動するトランスバースリンクとポテンショメータの間にブッシュが介在されておらず、やはりアームのねじれなどによって車高センサの検出結果が影響を受ける可能性がある。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車高を検出するためのアームなどに検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、検出精度の低下を抑制する車高センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車高センサは、車高の変化とともに揺動する揺動アームと、前記揺動アームの非回転成分の変位を吸収する非回転成分吸収手段と、前記非回転成分吸収手段によって非回転成分の変位が吸収された前記揺動アームの回転を検出する回転検出手段と、を備える。この態様によれば、非回転成分の変位が吸収された状態で揺動アームの回転を検出することができるため、車高センサの検出精度の低下を抑制することができる。
【0006】
本発明の別の態様もまた、車高センサである。この車高センサは、車輪を支持する車輪支持手段が揺動する中心軸と同軸に車体本体に取り付けられた支持軸と、円筒状に形成され、前記支持軸に挿着することにより前記支持軸に回転可能に支持される挿着部材と、前記挿着部材と弾性部材を介して一体的に連結され、車輪支持手段と共に揺動するよう設けられた揺動アームと、前記挿着部材の回転を検出することにより、前記弾性部材を介して前記揺動アームの回転を検出する回転検出手段と、を備える。
【0007】
この態様によれば、揺動アームと弾性部材を介して連結された挿着部材の回転を検出することができる。このため、揺動アームに、例えばねじり等の検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、それらの変位を弾性部材に吸収させることができるため、車高センサの検出精度の低下を抑制することができる。
【0008】
前記回転検出手段は、前記車輪支持手段が揺動する中心軸と同軸に配置される回転検出軸を有してもよい。前記回転検出軸と前記挿着部材とを連結する連結手段をさらに備えてもよい。前記連結手段は、前記挿着部材と前記回転検出軸との相対的な角度を調整する角度調整手段を有してもよい。
【0009】
この態様によれば、揺動アームが揺動する軸と同軸に回転検出軸を設けることができ、揺動アームと回転検出軸の間の検出対象以外の変位を低減させることにより検出精度の低下を抑制することができる。また、揺動アームと回転検出軸とは同一軸上において回転するため、簡易な構成により挿着部材と回転検出軸との相対的な角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車高を検出するためのアームなどに検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、検出精度の低下を抑制する車高センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車高センサ20Aを有する車輪支持構造50Aの全体構成図である。車輪支持構造50Aは、ロアアーム12A、揺動軸14、4つのロアアーム取付部16、および車高センサ20Aなどを有する。本図に示される車輪支持構造50Aは、車両の左前輪の車輪支持構造50Aを示す。本実施形態では、車高センサ20Aは他の車輪の車輪支持構造においても左前輪と同様に設けられる。
【0013】
ロアアーム取付部16はそれぞれ車両前後方向と垂直な板状に形成され、車体本体10から車両左右方向に突出するように、且つ車両前後方向に一列に並んで車体本体10に取り付けられる。ロアアーム12Aは2つの車体本体側端部12aを有しており、2つのロアアーム取付部16によって1つの車体本体側端部12aが挟まれるように4つのロアアーム取付部16が配置される。
【0014】
4つのロアアーム取付部16には、それぞれ同一軸上に位置する挿通孔が設けられている。また、ロアアーム12Aの2つの車体本体側端部12aにはそれぞれ同軸に設けられた挿通孔が設けられている。1対のロアアーム取付部16とそれらに挟まれる車体本体側端部12a毎に、ロアアーム取付部16の挿通孔と車体本体側端部12aの挿通孔に揺動軸14が挿通される。揺動軸14は、ロアアーム取付部16の挿通孔に端部が固定される。これによって、ロアアーム12Aは揺動軸14を中心に揺動可能に車体本体10に支持される。
【0015】
ロアアーム12Aの車輪側先端部にはナックル(図示せず)が、略鉛直な軸を中心に回転自在に支持される。このナックルに車輪が回転可能に支持される。したがって、ロアアーム12Aは、車体本体10に揺動可能に支持され、車輪を支持する車輪支持手段として機能する。また、揺動軸14の中心軸は、ロアアーム12Aが揺動する中心軸となる。
【0016】
車高センサ20Aは、ロアアーム12Aおよび車体本体10の外部であって、2対のロアアーム取付部16の間に配置される。これによって、車高センサ20Aがロアアーム12Aまたは車体本体10の内部に配置される場合に比べ、たとえば回転センサ26に容易に車高センサ20Aの保守性を向上させることができる。また、車高センサ20Aが車輪方向寄りの位置に配置される場合に比べ、車輪がはね上げる異物による影響が抑制される。これにより車高センサ20Aの検出精度を維持することが可能となる。
【0017】
車高センサ20Aは、ブラケット22、揺動アーム24、回転センサ26などを有する。ブラケット22は断面がコ字状の板状部材により形成される。ブラケット22は、水平面による断面がコ字を形成し、またコ字の開口部が車輪側に向くような姿勢で車体本体10に取り付けられる。ブラケット22は、揺動アーム24は、揺動軸14の中心軸と同軸に揺動可能にその一端がブラケット22に支持される。揺動アーム24の他端は、ロアアーム12Aの揺動する部分に結合されている。したがって、揺動アーム24は、ロアアーム12Aが揺動する中心軸と同軸に、ロアアーム12Aと共に揺動するように設けられる。ロアアーム12Aが揺動するときには車高が変化するため、揺動アーム24は車高の変化と共に揺動する。
【0018】
また、ブラケット22には、揺動アーム24の回転を検出する回転センサ26が設けられる。各車輪に設けられた車高センサ20Aの回転センサ26は、車体本体に設けられた電子制御ユニット(図示せず)に接続されており、回転センサ26によるロアアーム12Aの回転角度の検出結果は電子制御ユニットに入力される。電子制御ユニットは、入力された検出結果を利用して各々の車輪における車輪と車体本体との位置関係を算出し車両の姿勢制御など様々な制御に利用する。
【0019】
図2(a)は、第1の実施形態に係る車高センサ20Aの水平面による断面図であり、図2(b)は、第1連結アーム34および第2連結アーム42を視点Vから見た図である。
【0020】
図2(a)に示されるように、コ字状に形成されたブラケット22は、コ字の開口部が本図における下方向である車輪方向に向くように車体本体10に取り付けられている。ブラケット22には、本図における左右方向である車両前後方向に貫通する挿通孔22bが設けられている。挿通孔22bは、揺動軸14の中心軸、すなわちロアアーム12Aが揺動する中心軸と同軸となるようにブラケット22に形成される。
【0021】
揺動アーム24の一端には、揺動アーム24の軸方向に垂直方向に軸方向を有する円柱形状に形成された揺動中心部24aが形成される。揺動中心部24aには、揺動中心部24aと同軸の円柱形状がくり抜かれて貫通するよう形成される取付孔24bが設けられている。
【0022】
支持軸38は、一端に径方向に板状に突出したフランジ部を有する軸状に形成される。支持軸38は、軸部分の径がブラケット22の挿通孔22bの径と略同一となるように形成される。また支持軸38は、軸部分の長さが、ブラケット22の車両前後方向に対向する板状部の外面同士の距離よりも長くなるように形成される。フランジ部が設けられた端部と逆の支持軸38の端部には雄ネジが形成される。
【0023】
すべり軸受40は、両端に径方向に板状に突出したフランジ部を有する円筒形状に形成される。すべり軸受40は、両端に形成されたフランジ部の各々の外面の距離が、ブラケット22の車両前後方向に対向する内面同士の距離と略同一となるように形成される。また、すべり軸受40は、内径が支持軸38の軸部分の外径よりも微小に大きくなるよう形成される。
【0024】
ブッシュユニット35は、ブッシュ外筒28、ブッシュ内筒32、ブッシュ30などにより構成される。ブッシュ外筒28は、外周面の径が揺動アーム24の取付孔24bと略同一の径となる円筒形状に形成される。ブッシュ内筒32は、内径がすべり軸受40の外径より微小に大きく外径がブッシュ外筒28の内周面の径よりも小さい円筒形状に形成される。また、ブッシュ内筒32は、軸方向の長さがすべり軸受40のフランジ部の対向する面同士の距離よりも小さくなるように形成される。ブッシュ外筒28に、ブッシュ外筒28と同軸となるようにブッシュ内筒32を挿通し、ブッシュ外筒28の内周面とブッシュ内筒32の外周面との間に形成される間隔部を周方向すべてにおいて充填するようにブッシュ30が設けられる。ブッシュ30は、ブッシュ外筒28およびブッシュ内筒32と一体的に結合される。ブッシュ30は、たとえばゴムなどの弾性材料によって成形される。したがって、ブッシュ30は、揺動アーム24に形成された取付孔24bの内面とブッシュ内筒32の外面との間において、揺動アーム24とブッシュ内筒32とを一体的に連結する弾性部材として機能する。ブッシュ30は、揺動アーム24とブッシュ内筒32との間に介在するように設けられることによって、ブッシュ内筒32に対する揺動アーム24の、ロアアーム12Aが揺動する中心軸を中心とする回転成分以外の非回転成分の変位を吸収する。したがって、ブッシュ30は、揺動アーム24の非回転成分の変位を吸収する非回転成分吸収手段としても機能する。
【0025】
まず、揺動アーム24の揺動中心部24aに形成された取付孔24bに、ブッシュユニット35を嵌挿し、取付孔24bとブッシュ外筒28とを一体的に結合させる。これにより揺動アーム24とブッシュユニット35とが一体的に結合される。次にブッシュユニット35のブッシュ内筒32にすべり軸受40を挿通する。このようにして、揺動アーム24、ブッシュユニット35およびすべり軸受40を含むユニットを組み合わせる。
【0026】
ブラケット22の車両前後方向に対向する内面の間であって、ブラケット22の挿通孔22bと同軸上にすべり軸受40が位置するように、組み合わされたユニットを配置する。この状態で、ブラケット22の挿通孔22bおよびすべり軸受40に、雄ネジが形成された端部から一本の支持軸38を挿通し、ブラケット22から突出した支持軸38の雄ネジ部にナット36を締結する。ブラケット22の一方の板状部が支持軸38のフランジ部とすべり軸受40の一方のフランジ部によって挟持され、ブラケット22の他方の板状部がすべり軸受40の他方のフランジ部とナット36によって挟持される。これによって、支持軸38およびすべり軸受40がブラケット22に固定され、またブッシュ内筒32はすべり軸受40を介して支持軸38に挿着される。すべり軸受40の外径よりもブッシュ内筒32の内径が微小に大きく形成されることから、揺動アーム24および揺動アーム24に一体的に連結されたブッシュユニット35が、支持軸38と中心軸を中心に回転可能に構成される。したがって、支持軸38は、支持軸38に挿着することにより支持軸38に回転可能に支持される挿着部材として機能する。このような構成により、揺動アーム24は、ロアアーム12Aが揺動する中心軸と同軸に揺動可能に支持軸38に支持される。
【0027】
支持軸38のフランジ部には、回転センサ26が固定される。回転センサ26は、軸状に形成されたセンサ軸26aを有しており、回転センサ26はセンサ軸26aの回転角度を検出する。回転センサ26は、センサ軸26aが支持軸38と同軸となるように配置され支持軸38に固定される。
【0028】
第1連結アーム34は、T字型に打ち抜かれた板状部材を、各々の曲げ部の曲げ角度が略直角となるZ状に折り曲げた形状に形成される。第1連結アーム34は、ブッシュ内筒32からブッシュ内筒32の径外側方向に延在するように、一端がブッシュ内筒32に結合される。第1連結アーム34は、ブッシュ内筒32から車体本体10までの距離の略半分程度の長さまで延在したところから回転センサ26が設けられる方向に略直角に曲げらる。曲げられた第1連結アーム34は、ブラケット22の逃げ孔22aを通って車両後方に向かって延在し、ブラケット22外部において支持軸38から離間する方向に略直角に曲げられる。曲げられた第1連結アーム34が車体本体10に向かって延在する部分には、角度調整部34aが形成される。角度調整部34aは、図2(b)に示されるように、センサ軸26aを中心とした円弧によって外形が形成される。角度調整部34aには、同じくセンサ軸26aを中心とした円弧によって外形が形成される角度調整孔34bが設けられる。
【0029】
第2連結アーム42は細長い板状に形成される。第2連結アーム42は一端に丸孔が形成され、丸孔を有する端部の面が、第1連結アーム34の角度調整部34aに当接される。第2連結アーム42の丸孔から第1連結アーム34の角度調整孔34bにボルト44が挿通され、ナット46によって締結される。これにより、第1連結アーム34と第2連結アーム42とが相互に固定される。
【0030】
第2連結アーム42は他端に、Dカット穴である軸孔が形成される。回転センサ26のセンサ軸26aはDカットされている。センサ軸26aに第2連結アーム42の軸孔が挿着されナット48によって締結されることにより、センサ軸26aと第2連結アーム42とが共に回転可能に連結される。したがって、第1連結アーム34、第2連結アーム42、ボルト44、およびナット46は、センサ軸26aとブッシュ内筒32とを連結する連結手段として機能する。
【0031】
このように、ブッシュ内筒32とセンサ軸26aとは、第1連結アーム34および第2連結アーム42によって共に回転可能に連結される。このとき、ブッシュ内筒32とセンサ軸26aは同軸に設けられることから、第1連結アーム34が揺動する軸と同軸にセンサ軸26aを設けることができる。このため、第1連結アーム34の揺動する角度を直接検出することができるため、検出精度の低下を抑制することができる。
【0032】
また、回転センサ26は、ブッシュ内筒32の回転を検出することによりブッシュ30を介して揺動アーム24の回転を検出する回転検出手段として機能する。ブッシュ内筒32と揺動アーム24との間にブッシュ30が介在することによって、例えばねじりなど、揺動アーム24に検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、それらの変位をブッシュ30に吸収させることができる。回転センサ26は、揺動アーム24とブッシュ30を介して連結されたブッシュ内筒32の回転を検出する。したがって回転センサ26は、検出対象である回転方向以外の変位がブッシュ30によって吸収されたブッシュ内筒32の回転を検出することができるため、車高センサ20Aの検出精度の低下が抑制される。
【0033】
ナット46を緩めて、第1連結アーム34と第2連結アーム42とを周方向に相対的に回転させてナット46を再度締結し、角度調整部34aと第2連結アーム42とを結合することにより、ブッシュ内筒32とセンサ軸26aとの角度を調整することができる。したがって、第1連結アーム34に設けられた角度調整部34a、第2連結アーム42、ボルト44、およびナット46は、センサ軸26aとブッシュ内筒32との相対的な角度を調整する角度調整手段として機能する。ブッシュ内筒32とセンサ軸26aが同軸に設けられることから、これらの中心軸を中心とした円弧によって外形が形成された角度調整孔34bなど、簡易な構成によってブッシュ内筒32とセンサ軸26aとの相対的な角度を調整する角度調整手段を設けることが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る車高センサ20Bを有する車輪支持構造50Bの全体構成図である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0035】
本実施形態における車高センサ20Bは、車輪支持構造50Bを含む。車輪支持構造50Bは、一端により揺動可能に車体本体10に支持される軸状のロアアーム12Bを含む。本実施形態においては、ロアアーム12Bを揺動可能に車体本体10に支持する揺動軸14が、ロアアーム12Bとの揺動する中心軸と同軸に車体本体10に取り付けられた支持軸として機能する。
【0036】
揺動軸14には第1の実施形態と同様にブッシュ内筒32(図示せず)が挿通されており、ブッシュ内筒32は第1連結アーム34に一体的に結合されている。第1の実施形態のブッシュ内筒32および揺動アーム24と同様に、ブッシュ内筒32とロアアーム12Bとは、弾性部材としてのブッシュ30によって一体的に連結されている。したがって、車輪を支持する車輪支持手段として機能するロアアーム12Bは、ブッシュ内筒32と弾性部材を介して一体的に連結される揺動アームとして機能する。
【0037】
以上の構成によって、ロアアーム12Bが車高の変化に伴って揺動すると、ロアアーム12Bの回転がブッシュ30を介してブッシュ内筒32に伝達される。ブッシュ内筒32の回転は、第1連結アーム34および第2連結アーム42を介して回転センサ26のセンサ軸26aに伝えられる。したがって、車高センサ20Bは、ロアアーム12Bの回転をブッシュ30を検出することが可能となる。
【0038】
これによって、ロアアーム12が揺動軸14の中心軸を中心とする回転成分以外の、例えばねじり等の非回転成分の変位が生じた場合においても、ブッシュ30によってこれらの非回転成分の変位を吸収させることが可能となる。したがって、ロアアーム12Bに検出対象である回転方向以外の変位がある場合においても、それらの変位を弾性部材に吸収させることができるため、車高センサの検出精度の低下を抑制することができる。
【0039】
なお、第1連結アーム34に角度調整部34aが設けられ、第2連結アーム42、ボルト44、およびナット46と共に、これらがセンサ軸26aとブッシュ内筒32との相対的な角度を調整する角度調整手段として機能する点は、第1の実施形態と同様である。
【0040】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【0041】
車高センサ20は、2対のロアアーム取付部16の間ではなく、すべてのロアアーム取付部16の外側に取り付けられていてもよい。これによっても、車高センサ20が車輪側に寄せられて配置される場合に比べ、車輪がはね上げる異物の影響による検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係る車高センサを有する車輪支持構造の全体構成図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係る車高センサの水平面による断面図であり、(b)は、第1連結アームおよび第2連結アームを視点Vから見た図である。
【図3】第2の実施形態に係る車高センサを有する車輪支持構造の全体構成図である。
【符号の説明】
【0043】
10 車体本体、 12 ロアアーム、 12a 車体本体側端部、 14 揺動軸、 16 ロアアーム取付部、 20A及び20B 車高センサ、 22 ブラケット、 24 揺動アーム、 26 回転センサ、 26a センサ軸、 28 ブッシュ外筒、 30 ブッシュ、 32 ブッシュ内筒、 34a 角度調整部、 34b 角度調整孔、 38 支持軸、 50A及び50B 車輪支持構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車高の変化と共に揺動する揺動アームと、
前記揺動アームの非回転成分の変位を吸収する非回転成分吸収手段と、
前記非回転成分吸収手段によって非回転成分の変位が吸収された前記揺動アームの回転を検出する回転検出手段と、
を備えることを特徴とする車高センサ。
【請求項2】
車輪を支持する車輪支持手段が揺動する中心軸と同軸に車体本体に取り付けられた支持軸と、
円筒状に形成され、前記支持軸に挿着することにより前記支持軸に回転可能に支持される挿着部材と、
前記挿着部材と弾性部材を介して一体的に連結され、車輪支持手段と共に揺動するよう設けられた揺動アームと、
前記挿着部材の回転を検出することにより、前記弾性部材を介して前記揺動アームの回転を検出する回転検出手段と、を備えることを特徴とする車高センサ。
【請求項3】
前記回転検出手段は、前記車輪支持手段が揺動する中心軸と同軸に配置される回転検出軸を有し、
前記回転検出軸と前記挿着部材とを連結する連結手段をさらに備え、
前記連結手段は、前記挿着部材と前記回転検出軸との相対的な角度を調整する角度調整手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車高センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−131272(P2007−131272A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328777(P2005−328777)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】