説明

軟磁性粉末、圧粉磁芯、及び磁気デバイス

【課題】コアロス及びその周波数依存性が小さく、1MHz以上の高周波で駆動してもコアロスが小さい圧粉磁芯を作製し得る、軟磁性粉末、及びコアロス及びその周波数依存性が小さな圧粉磁芯、並びに、磁気デバイスを提供することにある。
【解決手段】FeまたはFe−Ni系合金の軟磁性粉末であって、前記軟磁性粉末の一次粒子径が0.01〜5μmであり、アスペクト比と面積比の積の平均値が1.0〜4.0であることを特徴とする軟磁性粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟磁性粉末、圧粉磁芯、及び磁気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ等に備えられる磁芯として、圧粉磁芯が広く用いられている。圧粉磁芯に求められる性能は、電気抵抗が高く、コアロス(磁芯損失)が小さいことであり、そのような圧粉磁芯を実現するために、圧粉磁芯の材料として、アトマイズ法により製造されるFeSi系やFeNi系等の合金粉やカルボニル法により製造される純鉄粉(高純度鉄粉)等の金属磁性粉を用いる種々の試みが為されている。
【0003】
近年、電子機器の小型化及び高出力化が進み、各種部品の高集積化及び信号の高速処理化が進展している。これにともない、電力を供給する電源ラインの小型化及び大電流化が要求されている。例えば、電源等に使用されるパワーインダクタにおいては、直流電流重畳下でのインダクタンス低下が小さいものが求められ、これを実現するために、圧粉磁芯の材料として高飽和磁化を有する磁性材料、例えば、純鉄粉(高純度鉄粉)が広く用いられている。
【0004】
一方、電源回路を高周波で駆動することによりインダクタ等の小型化が図れることから、高周波で磁芯損失(コアロス)の小さな磁性材料の開発が求められている。コアロスにはヒステリシス損失と、渦電流損失とがあり、コアロスの小さな磁性材料の作製には、ヒステリシス損失と渦電流損失の低減が必須である。ヒステリシス損失の低減には、保磁力の小さな材料が必要となる。また、渦電流損失の低減には、粒子間の渦電流の低減(粒子間の絶縁性の向上)と、粒子内の渦電流の低減(粒子の微細化)が必要となる。とりわけ、渦電流損失は駆動周波数の2乗に比例して大きくなる傾向にあるため、高周波域で使用する圧粉磁芯においては、渦電流損失が小さいことが必要とされる。そのため、駆動周波数の高周波化、例えば、数MHzに対応するためには、磁性材料の微細化が有効であると考えられる。
【0005】
磁性材料の微細化のために、粒子同士に発生したネッキング(連結)の解砕が必要になる場合が多く、その解砕技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示のものがあげられる。特許文献1には、V型又はWコーン型のミキサーもしくはボールミルを用いて、磁性粉に衝撃や振動を与えることによって解砕された磁性粉が得られることが記載されている(特許文献1参照)。また、特許文献2では、還元焼鈍工程における磁性粉の解砕を、回転式還元炉内に磁性粉とともにセラミックボールを装入することにより行うことで圧粉磁芯用磁性粉が得られることが記載されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第03421944号
【特許文献2】特開2009−001868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の手法により、所謂、一次粒子径が数十μm以上の粗い粒子を得ることができる。特許文献1、2に記載の手法により得られる鉄粉を用いて圧粉磁芯を作製したところ、コアロスが大きく、特に、1MHz以上の高周波で駆動した際のコアロスが著しく大きいという問題があった。
【0008】
かかる問題が発現する作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のように推定される。本発明者らの知見によれば、還元粉など軟磁性粉末を製造する際に使用される原料粉は、粒子同士のネッキング(連結)を内包する二次粒子から構成される。この二次粒子を、上記従来技術によって解砕することで一次粒子となる。その解砕において、ビッカース硬さの低い軟らかい軟磁性粉末では、変形、及びそれに伴う粒子の粗大化が起き易い。一次粒子径が数十μm以上の軟磁性粉末では、粒子の重量が比較的大きく、粒子の落下エネルギーが比較的大きくなるため、Vミキサーなど、粒子の自重を利用した粒子同士の衝突では、変形の起き難い解砕が可能である。
【0009】
しかし、平均粒子径が数μm〜サブミクロンオーダーである一次粒子が凝集してできた二次粒子では、粒子の重量が比較的小さく、粒子の落下エネルギーが比較的小さくなるため、粒子の自重を利用した粒子同士の衝突での解砕は不十分である。また、メディアを使用するボールミルでは、メディアの衝突エネルギーが大きすぎるため、粒子の変形、及びそれに伴う粒子の粗大化は避けられない。
このため、従来技術の磁性材料の微細化方法では、不十分であるといえる。
【0010】
以上のように、高周波数帯でもコアロスの小さな圧粉磁芯を提供するには、粒子径の微細な磁性粉の作製が必要であるが、現状、この微細な磁性粉を提供するのに十分な解砕技術は見出されていない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、コアロス及びその周波数依存性が小さく、1MHz以上の高周波で駆動してもコアロスが小さい圧粉磁芯を作製し得る、軟磁性粉末、及びコアロス及びその周波数依存性が小さな圧粉磁芯、並びに、磁気デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、FeまたはFe−Ni合金の軟磁性粉末において、一次粒子径のみならず、一次粒子の形状が、得られる圧粉磁芯のコアロス及びその周波数依存性と相関関係があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の軟磁性粉末は、FeまたはFe−Ni系合金の軟磁性粉末であって、該軟磁性粉末の一次粒子径が0.01〜5μmであり、一次粒子のアスペクト比と面積比の積の平均値が1.0〜4.0であることを特徴とする。
【0014】
ここで、本明細書において、「一次粒子」とは、粉末に含まれる最小単位となる粒子を意味し、「一次粒子径」とは、無作為に選択した200個の粒子について算出した「粒子径」の平均値とする。「粒子径」とは、粒子断面のヘイウッド径を測定したものであり、例えば、粒子を樹脂埋めして研磨した粒子断面のSEM観察等により、測定可能である。
【0015】
一方、かかる一次粒子が分子間力等によって凝集、あるいは緩やかなネッキングによって連結して形成される粒子を「二次粒子」と表記する。なお、通常、還元粉は二次粒子の状態で存在するので、還元粉の粒度分布グラフは二次粒子の分布を示すものとなる。さらに、二次粒子径は、体積基準による累積分布でのメジアン径を意味し、例えば、レーザー回折式乾式粒度測定装置を用いて、測定することができる。
【0016】
また、「一次粒子のアスペクト比と面積比の積の平均値」とは、無作為に選択した200個の粒子について算出した「一次粒子のアスペクト比と面積比の積」の平均値とする。「一次粒子のアスペクト比と面積比の積」とは、各粒子の「アスペクト比」に「面積比」を乗じた値とする。「アスペクト比」とは粒子断面の長軸長さと短軸長さを測定し、長軸長さを短軸長さで徐した値とする。「面積比」とは、粒子断面の面積値を200個の粒子の面積値の平均値で除した値とする。各粒子の長軸長さ、短軸長さおよび断面の面積は、例えば、粒子を樹脂埋めして研磨した粒子断面のSEM観察等により、測定可能である
【0017】
本発明者らは、上記のように構成された軟磁性粉末を用いて作製した圧粉磁芯の特性を測定したところ、1MHz以上の高周波で駆動した際のコアロスが、従来に比して格別に小さくなることを見出した。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推定される。
【0018】
上記構成の軟磁性粉末は、従来技術と同程度の二次粒子径を有するものの、一次粒子のアスペクト比と面積比の積の平均値が1.0〜4.0の範囲であることを特徴とする。
これは、アスペクト比、及び面積が大きい(異常)一次粒子が少ないことを示している。すなわち、一次粒子の変形、及びそれに伴う一次粒子の粗大化が少なく、よって、歪みの小さく保磁力の小さい磁性粉となっている。そのため、これを用いて作製した圧粉磁芯は、渦電流損失とともにヒステリシス損失が十分に低減されたものとなり、その結果、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスが格別に低減されたものと考えられる。但し、作用はこれらに限定されない。
【0019】
一般的に、アスペクト比は、多数の粒子の値をもとにした全体の平均値として表されることが多い。アスペクト比の大きい粒子は、塑性変形及びそれにともなう粒子の粗大化が起こっていると考えられるが、この一般的な平均値としてのアスペクト比を用いると、粗大化粒子の寄与(存在)が薄められ、粗大化粒子の存在を検出し難い。しかし、この粗大化粒子の体積比(断面の面積比)は粗大化に伴い大きくなるので、軟磁性粉末の特性、及び、その軟磁性粉末を使用して圧粉磁芯としたときの特性に与える影響は大きくなる。一方、本件においては、「アスペクト比」は個々の粒子の値をそのまま用いている。さらに、個々の粒子の「面積比」を算出し、個々の粒子の「アスペクト比」と「面積比」との積をとり、この積の平均値、即ち「一次粒子のアスペクト比と面積比の積の平均値」を、粗大化粒子の存在を検出するパラメータとして定義している。このように定義することにより、一般のアスペクト比だけでは表現できなかった粗大化粒子の影響を表すことが可能となる。
【0020】
本発明の軟磁性粉末は、好ましくは保磁力が25Oe(1989A/m)以下であり、より好ましくは5〜25Oe(398〜1989A/m)である。前記軟磁性粉末であれば、ヒステリシス損失が十分に低減されたものとなり、その結果、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスが格別に低減される。但し、作用はこれらに限定されない。
【0021】
また、本発明の軟磁性粉末は、還元法によって製造された還元粉であることが好ましい。例えば、水アトマイズ法によって製造された粉末の場合、数十μmの一次粒子をつくるのは比較的容易であるが、数μmの一次粒子をつくるのは難しく、分級が必要となり、製造が困難で且つ高コストとなる。一方、還元法であれば、原料の一次粒子径を調整することで、数μm以下の一次粒子を製造することが比較的容易である。かかる方法であれば、数μm〜サブミクロンオーダーである一次粒子が凝集してできた二次粒子を、再現性よく簡易且つ低コストで製造できる。
【0022】
本発明の軟磁性粉末は、湿式メディアレスの微粒化装置で解砕されることが好ましい。乾式であると、解砕時の発熱により軟磁性粉末が高温となり、焼結、変質及び特性劣化を引き起こしてしまう可能性がある。湿式であれば、解砕時に発熱しても溶媒による冷却が効率良くできるため、軟磁性粉末の焼結、変質及び特性劣化を抑えることができる。また、メディアを使用した場合、メディアの衝突エネルギーが大きくなりやすいため、粒子の変形及び歪による特性劣化が起き易い。さらに、メディアからのコンタミネーションの混入が避けられず、軟磁性粉末の特性劣化を引き起こす。一方、メディアレスであれば、一次粒子を変形させ、歪による特性の劣化をもたらすことなく、二次粒子の解砕(縮径化)が効果的に行なわれ、メディアからのコンタミネーションの混入をなくすことができる。したがって、かかる装置での解砕方法であれば、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスが十分に低減された圧粉磁芯を作製し得る軟磁性粉末を、簡易且つ低コストで製造可能となる。また、生産性及び経済性がより一層高められる。
【0023】
上記、軟磁性粉末は、その表面の少なくとも一部に絶縁層の被覆を含むよう表面処理された表面処理粉を含むことが好ましい。これにより、粒子間の絶縁性が高められるとともに、渦電流の流れる経路が遮断され、渦電流損失がより一層低減される。
【0024】
また、上記軟磁性粉末は、樹脂、及び/又は、潤滑剤とともに混合し、加圧成形して圧粉磁芯とすることができる。これにより、粒子間の絶縁性が高められるとともに、渦電流の流れる経路が遮断され、渦電流損失がより一層低減される。また、成形性が高められ、実用性に優れるものとなる。
【0025】
本発明の軟磁性粉末は、インダクタ、ジェネレータ、リアクタ、モーター、各種トランス、アンテナ、EMI対策部品、磁気シールド材等の磁気デバイスにも用いる事ができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスが十分に低減され、1MHz以上の高周波にも対応可能な圧粉磁芯、およびこれを容易に作製し得る軟磁性粉末が提供される。また、駆動周波数の高周波化に対応可能なので、インダクタ等の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態の表面処理還元鉄粉の二次粒子及び一次粒子の凝集状態を概念的に示す模式図である。
【図2】本実施形態の軟磁性粉末、又は表面処理粉の製造方法及び圧粉磁芯の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
図1は、本実施形態の軟磁性粉末の二次粒子及び一次粒子の凝集状態を概念的に示す模式図である。
軟磁性粉末100は、Fe粉、又はFe−Ni系合金であって、一次粒子径が0.01〜5μm、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.01〜2μmの一次粒子11が凝集又は連結することにより形成された平均粒子径が1〜15μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μmの二次粒子12を有する。また、軟磁性粉末100は、湿式メディアレスの微粒化装置で解砕して得られることが好ましい。さらに、軟磁性粉末100は、還元法により製造された還元粉であることが好ましい。一次粒子11は、その表面の少なくとも一部が絶縁層13により被覆されていることが好ましい。二次粒子12は、図示の如く、複数の一次粒子11が凝集又は連結することにより、海綿状の構造を有するものとなっている。以下、本実施形態の軟磁性粉末100の製造方法及び圧粉磁芯の製造方法を挙げて、本実施形態の軟磁性粉末100につき、詳述する。
【0030】
図2は、本実施形態の軟磁性粉末、及び圧粉磁芯の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態の軟磁性粉末は、一次粒子が凝集してできた二次粒子粉末を作製する工程(S1)と、その二次粒子粉末を解砕処理する工程(S2)と、を経て、製造することができる。本実施形態の軟磁性粉末は、必要に応じて、軟磁性粉末の表面の少なくとも一部が絶縁層により被覆された表面処理粉を含んでもよい。さらに、絶縁性樹脂、及び/又は潤滑剤を含んでいてもよい。かかる場合は、上記S1及びS2の工程に引き続き、表面処理をする工程(S3a)と、及び/又は、絶縁性樹脂を添加する工程、及び/又は潤滑剤を添加する工程(S3b)と、を経て、製造することができる。
また、本実施形態の圧粉磁芯は、上記のようにして得られた表面処理粉(軟磁性粉末S3)を加圧成形した後、熱処理する工程を経ることにより製造できる(S4−S5)。
【0031】
一次粒子が凝集してできた二次粒子粉末を作製する工程(S1)では、平均粒子径が0.01〜5μmの一次粒子を含む二次粒子粉末を作製する。平均粒子径が0.01〜5μmの一次粒子を含むFe粉、又はFe−Ni合金粉は、本実施形態では、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスが十分に低減された圧粉磁芯を得るために、還元法により製造されたものであることが好ましい。
【0032】
還元鉄Fe粉の原料となる酸化鉄としては、公知のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、ヘマタイト、マグヘマタイト、マグネタイト、ウースタイト、ベルトライト、ゲーサイト、アカガナイト及びレピドクロサイト等の鉄酸化物(鉄含水酸化物を含む)が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々単独で使用することができ、また、2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、鋼板の圧延工程の前処理で酸洗処理に使用された酸から回収処理して製造されたヘマタイトは、安価で容易に入手できるため、還元鉄Fe粉の原料となる酸化鉄として好ましい。
【0033】
還元Fe−Ni合金粉の原料となる酸化鉄としては、還元Fe粉と同様のものである。酸化ニッケルとしては、公知のものを用いることができる。その具体例としては、例えば、酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(III)などが挙げられる。なかでも、還元Fe−Ni合金粉の原料となる酸化ニッケルとしては、酸化ニッケル(II)が好ましい。
【0034】
還元Fe粉、又は、還元Fe−Ni合金粉の原料となる酸化鉄、及び酸化ニッケルは、粉体の形状のものが用いられる。その一次粒子の粒子径は、所望の表面処理還元粉の一次粒子の粒子径よりも小さいことが好ましい。還元法による還元Fe粉、又は還元Fe−Ni合金粉の製造においては、還元条件を適宜設定することにより一次粒子の粒子径を大きく成長させることはできるが、粒子径の大きな酸化鉄粉、又は酸化鉄と酸化ニッケルの混合物から粒子径の小さな還元粉を得るのは困難な傾向にある。
【0035】
酸化鉄、又は酸化鉄と酸化ニッケルの混合物を還元する工程(S1a)は、還元法において公知の条件に基づいて行えばよく、特に限定されない。使用する炉の性能、流下式、流動層式、回転式或いは固定床式等の反応方式、酸化鉄の処理量等に応じて、適宜設定することができる。一般的には、固定式或いは回転式の炉内において、20〜100g程度の酸化鉄に対し、低酸素濃度の還元性ガス雰囲気下、200〜650℃程度の還元温度で1〜6時間程度の処理を行う。通常、酸素分圧が10%を超えると、酸化が急激に進行して粒子内部まで酸化されてしまい、還元が十分に進まない傾向にある。また、還元温度が200℃未満であると処理時間が長くなり、還元が十分に進まなくなる傾向にあり、一方、700℃を越えると焼結が生じ易くなり粒径が大きくなる傾向にある。したがって、好ましい還元温度は、400〜650℃である。還元性ガスとしては、例えば、CO,HS、SO、H等が挙げられるが、これらの中でも、好ましくはHである。
【0036】
還元処理によって得られるFe粉の表面を緩やかに徐酸化する工程も、還元法において公知の条件に基づいて行えばよく、Fe粉内部まで酸化が進行しない程度に穏やかな表面酸化を行うものである限り、特に限定されない。酸化鉄の処理量等に応じて、処理温度、処理時間及び酸素濃度等を適宜設定することができる。一般的には、炉内において、20〜100g程度の酸化鉄に対し、酸素分圧が1〜5%程度の酸素含有雰囲気下、20〜100℃程度の温度で5分〜1時間程度の処理を行う。
【0037】
本実施形態において好ましい処理条件の一例としては、原料となる酸化鉄粉を固定式又は回転式の炉に仕込み、乾燥した水素ガスを導入しながら500〜600℃程度の温度で3〜5時間程度の還元処理を行い、常温程度まで冷却した後、酸素分圧が1〜3%程度の不活性ガス雰囲気下、30〜80℃程度の温度で5〜30分間程度保持して徐酸化処理を行う方法が挙げられる。
【0038】
次に、かくして得られる還元法により製造された平均粒子径が0.01〜5μmの一次粒子を含む還元粉を、解砕処理する(S2)。これにより、本実施形態の軟磁性粉末を得ることができる(S3)。
【0039】
解砕処理は、還元粉に溶媒を添加した湿式メディアレスの微粒化装置で行うことが好ましい。添加した溶媒により一次粒子が被覆されるので一次粒子の再凝集による二次粒子の再形成を抑制できるので、解砕が高効率で行えるとともに、大気によって還元粉が酸化することを防止することができる。使用可能な溶媒としては、例えば、酸やアルカリ等の水溶液、鉱物油、合成油、植物油等の油、アセトン、アルコールといった有機溶媒等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で使用することができ、また、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、解砕処理は、メディアレスの微粒化装置で行うことが好ましい。メディアレスにすることで粒子の塑性変形や、それに伴う粒子の粗大化を防ぐことができる。さらに、メディアからのコンタミネーションの混入を防ぐことができる。
使用可能な湿式メディアレスの微粒化装置として、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(湿式キャビテーションミル)、コロイドミル、湿式ジェットミル、高圧を使用した湿式微粒化装置、音速エアジェットを使用した湿式微粒化装置等が挙げられるが、これらに特に限定されない。上記の手法により、一次粒子の凝集が解かれ、その結果、二次粒子の平均粒子径が1〜15μm以下まで低減された還元粉を得ることができる。
【0040】
解砕処理は、大気によって還元粉が酸化することを防止するために、酸素濃度が500ppm以下の窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0041】
表面処理としては、軟磁性粉末の表面に絶縁性を付与する絶縁層であれば特に限定されない。絶縁層の具体例としては、例えば、リン酸鉄、ホウ酸鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、炭酸鉄、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、酸化クロム、酸化亜鉛等の無機化合物が挙げられる。これらは、1種のみを単独で、或いは2種以上を組み合わせて、用いることができる。耐熱性の観点から、好ましい絶縁層としては、リン酸鉄、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、酸化クロム、酸化亜鉛等であり、より好ましくはリン酸鉄である。リン酸処理などにより形成されるリン酸鉄は、強磁性を有しないため磁気的な悪影響が小さく、また化合物として安定であることから防錆効果も期待ができる。
【0042】
本実施形態の軟磁性粉末は、絶縁性樹脂を含有していてもよい。軟磁性粉末の表面の一部又は全部を絶縁性樹脂によりコーティングすることにより、粒子間の絶縁性を高め得るとともに、圧粉磁芯の成形時の成形性を高め得る。絶縁性樹脂は、必要とされる特性に応じて適宜選択される。その具体例としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂等の各種有機高分子樹脂が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で使用することができ、また、2種以上を組み合わせて用いることができる。また、必要に応じて、公知の硬化剤や架橋剤を含有していてもよい。
【0043】
軟磁性粉末と絶縁性樹脂等との混合は、加圧ニーダやボールミル等の攪拌機・混合機を用いて行なうことが好ましい。好ましくは室温で20〜60分間混合することにより絶縁性樹脂により被覆表面処理粉が得られ易い。特に、濡れ性を高める目的で、上述した有機溶媒の存在下で混合を行うことが好ましい。具体的には、好ましくは室温で20〜60分間混合し、得られた混合物を、好ましくは50〜100℃程度で10分間〜10時間乾燥し、その後に有機溶媒を揮発或いは除去することにより、絶縁性樹脂により被覆された軟磁性粉末が得られる。
【0044】
絶縁性樹脂の配合量は、特に限定されないが、非磁性成分である絶縁性樹脂の増加は、圧粉磁芯としたときのインダクタンスの低下を引き起こすので、かかる観点から、使用する還元粉に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。
【0045】
本実施形態の軟磁性粉末は、潤滑剤を含有していてもよい。軟磁性粉末の表面の一部又は全部に付着することにより、粒子間、及び金型−粒子間の潤滑性を高め、圧粉磁芯の成形時の成形性を高める。潤滑剤は、必要に応じて適宜選択される。その具体例としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸銅、オレイン酸亜鉛等の金属石鹸が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で使用することができ、また、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
軟磁性粉末と潤滑剤との混合は、添加した潤滑剤を原料粉に均一に行き渡らせるために、かかる混合物を混練することが好ましい。混練は、公知の方法により行えばよく、特に限定されないが、混合機(例えば、アタライタ、振動ミル、ボールミル、Vミキサー等)や造粒機(例えば、流動造粒機、転動造粒機等)等を用いて行うことが好ましい。
【0047】
潤滑剤の配合量は、特に限定されないが、非磁性成分である潤滑剤の増加は、圧粉磁芯としたときのインダクタンスの低下を引き起こし得るので、かかる観点から、使用する還元粉に対して0.02〜1質量%であることが好ましい。
【0048】
本実施形態の表面処理粉は、必要に応じて、SiOやAl等の無機材料、潤滑剤、成形助剤等、公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0049】
本実施形態の圧粉磁芯は、本実施形態の軟磁性粉末を、加圧成形した後、熱処理することにより製造することができる(S4−S5)。本実施形態の圧粉磁芯は、コア材料として本実施形態の軟磁性粉末を用いることにより公知の製造方法によって製造することができる。
【0050】
加圧成形工程では、プレス機械の成形金型内に上記表面処理粉を充填し、その後、表面処理粉を加圧して圧縮成形を施すことにより、成形体を得る。この圧縮成形における成形条件は特に限定されず、表面処理粉の嵩密度や粘性、所望する圧粉磁芯の形状、寸法及び密度などに応じて適宜設定される。例えば、通常、成形圧力は392〜1177MPa程度、好ましくは588〜785MPa程度であり、最大圧力に保持する時間は0.1秒間〜1分間程度である。
【0051】
熱処理工程では、上述のようにして得られた成形体を、例えば150〜300℃の温度で15〜120分間程度保持する。これにより、成形体中の絶縁体としての樹脂が硬化し、圧粉磁芯(圧粉体)が得られる。
【0052】
なお、必要に応じて、熱処理工程の後に、圧粉磁芯に防錆処理を施す防錆処理工程を経てもよい。防錆処理は、公知の手法にしたがって行えばよく、例えば、エポキシ樹脂等をスプレーコートする等して行う。スプレーコートによる膜厚は、通常、数十μm程度である。防錆処理を施した後、熱処理を行うことが望ましい。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
なお、実施例及び比較例における各種性能の測定方法は、以下の通りである。
<ビッカース硬さ>
JISZ2244の方法に従って、微小硬度計(島津製作所製)で測定した。
【0056】
<アスペクト比と面積比>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂埋めした軟磁性粉末の断面を観察し、無作為に選択した200点の粒子についてアスペクト比、面積比を測定した。
【0057】
<一次粒子径>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂埋めした軟磁性粉末の断面を観察し、無作為に選択した200点の粒子についてヘイウッド径を測定し、その個数平均粒子径を一次粒子径とした。
【0058】
<二次粒子径>
レーザー回折式乾式粒度測定装置(HELOSシステム、Sympatec社製)を用いて、軟磁性粉末の二次粒子径(D50%粒子径)を測定した。
【0059】
<保磁力>
20mgの軟磁性粉末を非磁性ケースに入れてパラフィンで固め、Hcメーター(K−HC1000、東北特殊鋼製)を用いて、軟磁性粉末に1850Oe(147.2kA/m)の磁界を印加し、保磁力を測定した。
【0060】
<圧粉磁芯のコアロス>
BHアナライザ(SY−8218、岩通製)を用いて、測定条件:印加磁界Bm=10mT、f=1MHz、及びf=3MHzにて圧粉磁芯のコアロス(磁芯損失:Pcv)を測定した。
【0061】
<1MHzのコアロスと3MHzのコアロスとの比(コアロスの周波数依存性)>
3MHzのコアロスを1MHzのコアロスで除して算出した。このコアロスの周波数依存性の評価は、周波数上昇に対するコアロスの増大の度合いを示すものであり、この値が大きいほど、高周波でのコアロスが大きくなるため、高周波用途での使用に適さないことを意味する。
【0062】
(比較例1)
まず、原料粉としてヘマタイト(CSR−900、ケミライト社製)を使用し、これをステンレス容器内に充填した後、ステンレス容器を箱型バッチ炉中に装入した。次に、系内の空気を真空ポンプにて排出した後、1L/分の流量で水素ガスを導入して炉内を正圧(1atm以上)の水素雰囲気に置換し、500℃の温度で5時間の熱処理を行った。冷却後、100℃以下で炉内の水素ガスを排気し、次にアルゴンガスと空気とを導入して、炉内を酸素分圧が2%の雰囲気に置換した状態で、60〜80℃の温度で15分間保持し、穏やかな表面酸化を行った。その後、炉内のステンレス容器を取り出し、還元鉄Fe粉を得た。
この還元Fe粉5gを250mlのポリビン(ポリプロピレン製ビン)に投入し、鋼球(Φ3.2mm、0.16g/pc)50gと有機溶剤20gとを加えた後、Air雰囲気下にて一軸ボールミルにて6時間の解砕処理を行った。その後、解砕処理後の還元Fe粉を取り出し、目開き2mmの篩にて鋼球を分離し、さらに加熱して有機溶剤を気化し乾燥させて、比較例1の還元Fe粉(解砕処理済み)を得た。
【0063】
(比較例2)
600℃の温度で5時間の熱処理をすること以外は、比較例1と同様の還元処理を行い、還元Fe粉を得た。その還元Fe粉に比較例1と同様の解砕処理を行い、比較例2の還元Fe粉(解砕処理済み)を得た。
【0064】
(比較例3)
酸化鉄と酸化ニッケルを質量比100:74で混合した原料粉を用いること以外は、比較例1と同様の還元処理を行い、還元Fe−Ni合金粉を得た。その還元Fe−Ni合金粉に比較例1と同様の解砕処理を行い、比較例3の還元Fe−Ni合金粉(解砕処理済み)を得た。
【0065】
(比較例4)
酸化鉄と酸化ニッケルを質量比100:74で混合した原料粉を用いること以外は、比較例2と同様の還元処理を行い、還元Fe−Ni合金粉を得た。その還元Fe−Ni合金粉に比較例1と同様の解砕処理を行い、比較例4の還元Fe−Ni合金粉(解砕処理済み)を得た。
【0066】
(比較例5)
純鉄よりなる溶湯を溶製したのち、ノズルよりこの溶湯を流下させると共に、この溶湯流に向けて水を噴射することによって水アトマイズ粉末よりなる軟磁性粉末を製造し、分級により粒度調整することで水アトマイズFe粉を得た。この水アトマイズFe粉に比較例1と同様の解砕処理を行い、比較例5の水アトマイズFe粉(解砕処理済み)を得た。
【0067】
(実施例1)
比較例1と同様の還元処理を行い、還元Fe粉を得た。この還元Fe粉に有機溶剤を加えてスラリーを作製し、公知の方法を用いて高圧ホモジナイザーで解砕処理を行った。その後、得られたスラリーを窒素雰囲気で加熱し、有機溶剤を蒸発、乾燥させることで、実施例1の還元Fe粉(解砕処理済み)を得た。
【0068】
(実施例2)
比較例2と同様の還元処理を行い、還元Fe粉を得た。この還元Fe粉に実施例1と同様の解砕処理を行い、実施例2の還元Fe粉(解砕処理済み)を得た。
【0069】
(実施例3)
比較例3と同様の還元処理を行い、還元Fe−Ni合金粉を得た。この還元Fe−Ni合金粉に実施例1と同様の解砕処理を行い、実施例3の還元Fe−Ni合金粉(解砕処理済み)を得た。
【0070】
(実施例4)
比較例4と同様の還元処理を行い、還元Fe−Ni合金粉を得た。この還元Fe−Ni合金粉に実施例1と同様の解砕処理を行い、実施例4の還元Fe−Ni合金粉(解砕処理済み)を得た。
【0071】
(実施例5)
比較例5と同様の水アトマイズ処理を行い、水アトマイズFe粉を得た。この水アトマイズ鉄Fe粉に実施例1と同様の解砕処理を行い、実施例5の水アトマイズ鉄Fe粉(解砕処理済み)を得た。
【0072】
表1に、実施例1〜5並びに比較例1〜5の軟磁性粉末の粉体評価及び磁気特性を示す。
【表1】

【0073】
表1から明らかなように、比較例1〜5の軟磁性粉末では、保磁力が大きくなっていることが確認された。これは、アスペクト比と面積比の積が大きくなっており、塑性変形による歪みが原因で保磁力が増加しているといえる。一方、実施例1〜5の軟磁性粉末では、アスペクト比と面積比の積が小さく、粒子の塑性変形が小さいため、保磁力が25Oe(1989A/m)以下と小さくなっていることが確認された。この軟磁性粉末を用いて作製した圧粉磁芯は、MHz帯域の高周波駆動に対し適性を有するものであることが確認され、本発明の目的を達成できることが確認された。
【0074】
(比較例6)
比較例1の還元Fe粉に、有機溶剤と、還元鉄Fe粉に対して1.00質量%のリン酸を混合した後、乾燥させて還元Fe粉(表面処理済)を得た。
エポキシ樹脂(N−695、大日本インキ社製)と硬化剤とを混合し、混合物を有機溶剤に溶解して、液状組成物を調製した。次に、還元Fe粉(表面処理済)、及び、還元Fe粉(表面処理済)に対して3.0質量%となるように秤量した前記液状組成物を、共にポリビン中に投入し、ボールミル架台にて回転させながら十分に攪拌混合した。その後、この攪拌混合物をビーカーに取り出し、加熱して有機溶剤を気化し乾燥させて、顆粒状の還元Fe粉を得た。
得られた顆粒状の還元Fe粉に、潤滑剤として0.3質量%のステアリン酸亜鉛を添加し、その混合物を混合機(筒井理化学器機製、Vミキサー)に入れ、回転数12rpmで10分間混練した。
得られた混合物(混練物)を、外径11.0mm、内径6.5mm、厚さ3.0mmのトロイダル形状の成形金型に充填し、588MPaの成形圧力にて加圧成形して、トロイダル成形体を得た。その後、得られたトロイダル成形体を、恒温槽中で、180℃で1時間保持して、比較例6の圧粉磁芯を得た。
【0075】
(比較例7〜10)
比較例2〜5で得られた還元Fe粉、還元Fe−Ni合金粉および水アトマイズFe粉を用いること以外は、比較例6と同様に操作して、
比較例7〜10の圧粉磁芯を得た。
【0076】
(実施例6〜10)
実施例1〜5で得られた還元鉄Fe粉、還元Fe−Ni合金粉および水アトマイズFe粉を用いること以外は、比較例6と同様に操作して、実施例6〜10の圧粉磁芯を得た。
【0077】
表2に、実施例6〜10並びに比較例6〜10の圧粉磁芯の性能評価を示す。
【表2】

【0078】
表2から明らかなように、比較例6〜10の圧粉磁芯は、駆動周波数1MHzおよび3MHzでのコアロスが非常に大きく、実用に耐えないものであることが確認された。一方、実施例6〜10の圧粉磁芯は、1MHzでのコアロスが170kW/m以下、3MHzでのコアロスが700kW/m以下であり、MHz帯域での高周波駆動に対し適性を有するものであることが確認され、コアロス及びその周波数依存性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明した通り、本発明の軟磁性粉末、及び、圧粉磁芯、並びに、磁気デバイスは、低周波領域から高周波領域に亘ってコアロスを格別に低減して1MHz以上の高周波にも対応可能であり、磁気デバイスの小型化を実現できるので、インダクタ、ジェネレータ、リアクタ、モーター、各種トランス、アンテナ、EMI対策部品、磁気シールド材等の磁気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
11…一次粒子、12…二次粒子、13…絶縁層、100…軟磁性粉末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FeまたはFe−Ni系合金の軟磁性粉末であって、
該軟磁性粉末の一次粒子径が0.01〜5μmであり、一次粒子のアスペクト比と面積比の積の平均値が1.0〜4.0であることを特徴とする軟磁性粉末。
【請求項2】
前記軟磁性粉末は、保磁力が25Oe以下であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性粉末。
【請求項3】
前記軟磁性粉末は、還元法によって製造された還元粉である、請求項1及び2記載の軟磁性粉末。
【請求項4】
前記軟磁性粉末は、湿式メディアレスの微粒化装置で解砕して得られる、請求項1〜3いずれか記載の軟磁性粉末。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の軟磁性粉末であって、表面の少なくとも一部が絶縁層により被覆される、軟磁性粉末。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の軟磁性粉末と、樹脂、及び/又は、潤滑剤を混合し、加圧成形して得られる、圧粉磁芯。
【請求項7】
請求項1〜5いずれか記載の軟磁性粉末を用いて得られる、磁気デバイス。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−89929(P2013−89929A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232385(P2011−232385)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】