説明

転写装置および転写方法

【課題】被着体に片状体を適切に接着することができる接着剤層を設けることのできる転写装置および転写方法を提供する。
【解決手段】転写装置1は、接着シートS1およびリングフレームRF1を介してウェハWを支持する第1支持手段2と、ウェハWに対向配置させて転写シートS2を支持する第2支持手段3と、ウェハWと転写シートS2とを互いに離間接近させる当接手段4と、転写シートS2の接着剤層AD2を流動化させる流動化手段5と、転写シートS2を変形させる側面接着手段6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置および転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)を所定の形状、所定のサイズに切断して半導体チップ(以下、単にチップという場合がある)に個片化し(ダイシング工程)、このチップに接着剤層を形成したのち、個片化したチップ同士の間隔を拡大してから(エキスパンド工程)、各チップをピックアップして、基板にボンディングする(ボンディング工程)ことが行われている。
【0003】
接着剤層の形成方法としては、ダイシングを行ったチップをウェハ形状のまま伸長可能な接着シートに貼付し、エキスパンドしてチップ間の間隔を拡大すると同時に、接着シートの接着剤層も破断して、接着剤層付きチップに個片化する方法が知られており(例えば、特許文献1参照)、接着剤層付きチップは基板等の被着体にボンディングされる。
ここで、このようなチップがボンディングされる被着体には、底面部および側面部からなりチップの底部が入り込む凹部が形成されているものが採用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−260204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、エキスパンドにより接着剤層を破断するため、破断された接着剤層は様々な形状となる。これにより、例えば、接着剤層がチップの底面よりも小さな形状に破断されると、ボンディング工程で被着体とチップとの接着力が不足するといった不都合を生じる可能性がある。また、特許文献1に記載の装置で形成された接着剤層付きチップは、その底面に接着剤層が積層されているだけなので、凹部が形成された被着体に対し、チップの側面をも接着してそれらを強固に接着させるといったことができないという不都合が発生する。
【0006】
本発明の目的は、被着体に片状体を適切に接着するための接着剤層を設けることのできる転写装置および転写方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の転写装置は、基材シートの一方の面に接着剤層が積層された転写シートに複数の片状体を転写する転写装置であって、前記複数の片状体を支持する第1支持手段と、前記転写シートを前記第1支持手段で支持された前記複数の片状体に対向させて支持する第2支持手段と、前記第1支持手段で支持された前記複数の片状体と前記第2支持手段で支持された転写シートとを相対移動させることで、前記転写シートと前記複数の片状体とを当接させる当接手段と、前記複数の片状体の間隙に向かって前記転写シートを変形させることで、前記接着剤層を前記複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成する側面接着手段と、を備える、という構成を採用している。
【0008】
この際、前記接着剤層を流動化させる流動化手段を有する、ことが好ましい。
また、前記側面接着手段は、前記転写シートの両面に圧力差を生じさせることで前記転写シートを変形させる、ことが好ましい。
さらに、前記当接手段は、前記転写シートの基材シート側から前記複数の片状体に向かって流体を噴出する流体噴出手段を有して構成される、ことが好ましい。
【0009】
また、前記複数の片状体は、接着シートの一方の面に貼付され、前記接着シートを介して前記第1支持手段に支持され、前記接着シートを引き伸ばすことにより、前記間隙を拡げるエキスパンド手段を有する、ことが好ましい。
【0010】
一方、本発明の転写方法は、基材シートの一方の面に接着剤層が積層された転写シートに複数の片状体を転写する転写方法であって、前記複数の片状体を支持し、前記転写シートを前記複数の片状体に対向させて支持し、前記複数の片状体と前記転写シートとを相対移動させることで、前記転写シートと前記複数の片状体とを当接させ、前記複数の片状体の間隙に向かって前記転写シートを変形させることで、前記接着剤層を前記複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0011】
以上のような本発明によれば、側面接着手段は、複数の片状体の間隙に向かって転写シートを変形させることで、接着剤層を複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成するので、接着剤層を片状体の底面だけでなく、側面にも設けることができる。したがって、ボンディング工程において被着体に凹部が形成されている場合、片状体の底面だけでなく各側面をも凹部に接着することができ、被着体に対する片状体の接着面積を大きくし、それらをより強固に接着することができるようになる。
【0012】
この際、流動化手段によって接着剤層を流動化させることで、接着剤層が割断されやすくなり、接着剤層を片状体の各側面に接着させやすくすることができる。また、側面接着手段が、圧力差を生じさせることで転写シートを変形させれば、例えば加圧装置や減圧装置といった装置を用いて圧力差を生じさせるだけで、片状体の形状や片状体の数によらず、確実に必要な箇所の接着剤層を複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成することができる。したがって、片状体の形状に合わせた型を準備して転写シートを変形させるような場合に比べ、装置構造を簡単にできるとともに、装置の大型化や、制御の複雑化を抑制することができる。また、転写シートの基材シート側から複数の片状体に向かって流体を噴出する流体噴出手段を有して構成すれば、押圧部材などを直接接触させて転写シートや片状体を押圧変形させる場合に比べ、転写シートや片状体の破損を防止することができる。さらに、エキスパンド手段を採用すると、間隙を所望の距離に拡げた状態で片状体を転写シートに転写することができる上、予め間隙を拡げておく必要がなく、製造効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る転写装置の全体図。
【図2】図1の転写装置の動作説明図。
【図3】図2に続く転写装置の動作説明図。
【図4】図3に続く転写装置の動作説明図。
【図5】本発明の変形例に係る転写装置の全体図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、図1を基準として用いる。
本実施形態において、転写装置1は、接着シートS1に貼付されるとともに、複数のチップWAに個片化されたウェハWを複数の片状体とし、これらチップWAを接着剤層AD2が積層された転写シートS2に転写するものであり、このウェハWは、接着シートS1の一方の面(下面)に積層された接着剤層AD1を介して貼付され、接着シートS1を介してリングフレームRF1に保持されている。なお、チップWAは、ウェハWが格子状にダイシングされて6面体に形成されている。
転写シートS2は、基材シートBS2と、この基材シートBS2の一方の面(上面)に積層された感熱接着性の接着剤層AD2とを備え、基材シートBS2が第2リングフレームRF2に貼付されて保持されている。なお、基材シートBS2の厚みは30μm、接着剤層AD2の厚みは10μmに設定されている。
【0015】
図1において、転写装置1は、接着シートS1およびリングフレームRF1を介してウェハWを支持する第1支持手段2と、ウェハWに対向配置させて転写シートS2を支持する第2支持手段3と、ウェハWと転写シートS2とを互いに離間接近させる当接手段4と、転写シートS2の接着剤層AD2を流動化させる流動化手段5と、転写シートS2を変形させる側面接着手段6と、を備えて構成されている。
【0016】
第1支持手段2は、全体が当接手段4に支持され、中央に円形の凹部211が形成された支持部材21と、支持部材21の外周に取り付けられた複数のアーム22と、支持部材21の上面に設けられた駆動機器としての直動モータ23と、この直動モータ23の出力軸23Aに取り付けられたエキスパンド手段を構成するエキスパンドテーブル24とを備えている。
支持部材21およびエキスパンドテーブル24の下面には、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段に接続される吸引孔がそれぞれ設けられている。また、アーム22は、駆動機器である図示しない直動モータによって、上下方向に移動可能に設けられ、第1リングフレームRF1を支持部材21の支持面212との間に挟み込んで支持することで、ウェハWを支持可能になっている。エキスパンドテーブル24は、凹部211内に配置されたときに、支持面212と同一平面を構成可能な内側支持面241が形成されるとともに、その内部に流動化手段5を構成するコイルヒータ52が設けられている。
【0017】
第2支持手段3は、全体が図示しないフレームに支持され、第1支持手段2の下方に配置可能になっている。この第2支持手段3は、支持面32を有するテーブル31を備え、テーブル31の内部に流動化手段5を構成するコイルヒータ51が設けられている。
テーブル31は、第1支持手段2に対向する支持面32上に、第2リングフレームRF2に貼付された転写シートS2を接着剤層AD2が上側となる状態で支持可能に構成されている。なお、支持面32には、側面接着手段6に連通する図示しない吸排気孔が設けられている。
【0018】
当接手段4は、駆動機器としての直動モータ41を備え、支持部材21が直動モータ41の図示しないスライダに取り付けられている。
【0019】
側面接着手段6は、テーブル31に接続される加圧ポンプやタービン等の加圧手段61を備え、支持面32に形成された図示しない吸排気孔を介して転写シートS2を加圧することで、転写シートS2の両面に気圧差(圧力差)を生じさせ、当該転写シートS2を上方に向かって変形させるように構成されている。また、側面接着手段6は、テーブル31に接続される減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段62を備え、支持面32に形成された図示しない吸排気孔を介して転写シートS2を吸引することで、転写シートS2の両面に気圧差(圧力差)を生じさせ、当該転写シートS2における基材シートBS2を下方に向かって変形させるように構成されている。
【0020】
なお、接着シートS1の接着剤層AD1の接着力は、転写シートS2の接着剤層AD2に貼付されたウェハWから確実に剥離できるように、転写シートS2の接着剤層AD2の接着力よりも弱く設定されていることが好ましい。さらに、転写装置1は、接着シートS1に紫外線を照射し、接着剤層AD1の接着力を弱める図示しないUVランプを備えた構成としてもよい。
【0021】
以上の転写装置1において、ウェハWを転写シートS2の接着剤層AD2に転写する手順を説明する。
まず、図1に示すように、転写装置1は、接着シートS1を介してウェハWが一体化された第1リングフレームRF1をアーム22によって支持面212とで挟み込んで支持する。一方、第2支持手段3は、転写シートS2を基材シートBS2側からテーブル31上に支持し、接着剤層AD2をウェハWに対向配置させる。そして、転写装置1は、減圧手段62を駆動して、支持面32で転写シートS2を吸引保持する。
【0022】
次に、図2に示すように、転写装置1は、直動モータ23の駆動により、エキスパンドテーブル24を下方に移動させることで、接着シートS1を引き伸ばし、各チップWAの間隙を拡げ(ウェハWをエキスパンドし)、隣り合うチップWAのチップ間Cを拡げる。チップ間Cが所定の距離、本実施形態の場合150μmになったことが図示しないセンサ等の検知手段に検知されると、直動モータ23の駆動を停止させ、図示しない減圧手段を駆動して接着シートS1を内側支持面241で吸引支持する。この状態で、直動モータ41の駆動により、支持部材21を下方に移動させることで、各チップWAの底面(図2中下側の面)が転写シートS2の接着剤層AD2に当接される。そして、コイルヒータ51,52を駆動して加熱を開始し、転写シートS2の接着剤層AD2を流動化させる。本実施形態の場合、接着剤層AD2は、170℃前後で流動化(軟化)が起こるので、コイルヒータ51,52は、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の図示しない制御手段によって、180℃で維持されるように制御される。なお、コイルヒータ51,52の温度は、接着剤層AD2が流動化する温度やその特性に応じて適宜変更することができる。
【0023】
そして、加圧手段61を駆動し、図示しない吸排気孔を介して転写シートS2に基材シートBS2側から加圧することで、転写シートS2を変形させる。このとき、図3(A)に示すように、各チップWAの直下では、図示しない吸排気孔から気体が噴出することはなく、チップ間Cに位置する図示しない吸排気孔からのみ気体が噴出する。これにより、転写シートS2の両面に気圧差(圧力差)が生じることになり、転写シートS2は、この気圧差(圧力差)により、チップ間C内に入り込むように変形する。そして、転写シートS2のチップ間C内に入り込む量が大きくなると、接着剤層AD2がコイルヒータ51,52により流動化されているため、図3(B)に示すように、接着剤層AD2の表面に亀裂Pが入る。転写シートS2が更にチップ間C内に入り込むと、亀裂Pが拡がって、図3(C)に示すように、接着剤層AD2が亀裂Pを切っ掛けにして割断される。その後、図3(D)に示すように、割断された接着剤層AD2の端部は、転写シートS2の更なるチップ間C内への入り込みによって、折り返されて各チップWAの4つの各側面WA1(側面WA1は、同図中手前側の面と奥側の面を含む)それぞれに押圧されて接着する。これにより、接着剤層AD2を各チップWAの4つの各側面WA1それぞれに接着して、図3中上下方向の長さが約75μmの折り返し部AD3を形成することができる。
【0024】
次いで、転写装置1は、加圧手段61を停止するとともに減圧手段62を駆動し、支持面32の図示しない吸排気孔を介して空気を吸引することで、転写シートS2の両面に気圧差(圧力差)を生じさせる。すると、図3(E)に示すようにチップ間Cに入り込んだ転写シートS2のうち基材シートBS2が支持面32上に吸引される。ここで、接着剤層AD2の接着力は、チップWAとの接着力よりも基材シートBS2との接着力の方が弱く設定されており、基材シートBS2が折り返し部AD3から剥離され、支持面32上に引き戻されるようになっている。これにより、折り返し部AD3間に約130μmの間隙が形成される。
【0025】
引き続き減圧手段62を駆動したまま、内側支持面241での接着シートS1の吸引支持を解除する。この状態で、直動モータ41を駆動して第1支持手段2を上方向に移動すると、接着シートS1は、図4に示すようにウェハWの外縁位置から内側に向って徐々に剥離され、最終的に各チップWAから剥離される。
【0026】
本実施形態によれば、側面接着手段6は、複数のチップWA間のチップ間Cに向かって転写シートS2を変形させ、接着剤層AD2をチップWAの各側面WA1に接着して折り返し部AD3を形成することができる。そして、このようにして形成された接着剤層AD2付きのチップWAは、次工程のボンディング工程において、図示しない被着体に凹部が形成されている場合、チップWAの底面だけでなく各側面WA1をも凹部に接着することができ、図示しない被着体に対するチップWAの接着面積を大きくし、それらをより強固に接着することができるようになる。
【0027】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0028】
例えば、図5に示すように、転写装置1Aは、転写シートS2のウェハWへの当接と接着剤層AD2の割断とを同時に行うものであってもよい。この転写装置1Aは、チップWA間に予めチップ間Cを形成したウェハWを支持するとともに、加圧手段61と減圧手段62とが接続された第1支持手段2Aと、第1支持手段2Aの外周部分であって、転写シートS2を第2リングフレームRF2を介して支持面32Aで支持する第2支持手段3Aと、転写シートS2の基材シートBS2側からウェハWに向かって流体としての気体を噴出することで、転写シートS2を非接触状態でウェハWに当接させる当接手段4Aとを備えている。
【0029】
第1支持手段2Aは、上面に支持面212Aを備えた支持部材21Aを有し、支持部材21Aの内部に流動化手段5Aを構成するコイルヒータ53が内蔵されている。当接手段4Aは、流体噴出手段としての加圧ポンプやタービン等の加圧手段42と、加圧手段42が接続された図示しない排気孔が形成された排気板43とを備え、排気板43の内部に流動化手段5Aを構成するコイルヒータ54が内蔵されている。この場合、第1支持手段2に接続された加圧手段61及び減圧手段62と、排気板43に接続された加圧手段42とで側面接着手段6Aが構成される。
【0030】
この転写装置1AによるウェハWの転写手順としては、まず、チップWA間に予めチップ間Cを形成したウェハWを第1支持手段2Aに載置し、さらに転写シートS2が貼付された第2リングフレームRF2を接着剤層AD2が下方となるよう、第2支持手段3Aの支持面32A上に載置する。そして、減圧手段62を駆動してウェハWおよび第2リングフレームRF2を吸引保持する。次に、当接手段4Aの加圧手段42を駆動して、転写シートS2をウェハWに向かって加圧し、転写シートS2をウェハWに当接させる。その後も加圧手段42の加圧を続行することで、上記と同様にして転写シートS2をチップ間C内に向かって変形させて接着剤層AD2を割断する。割断が終了し、折り返し部AD3が各チップWAの4つの各側面WA1それぞれに接着されたら、加圧手段42および減圧手段62の駆動を停止してから、加圧手段61を駆動して転写シートS2の基材シートBS2部分をチップ間C外へ押し出す。このとき、各チップWAが支持面212Aから外れてしまわないように、排気板43や排気板43から噴出する気体等で、転写シートS2の上方から各チップWAを支持面212A側へ付勢する付勢手段を設けるとよい。これにより、接着剤層AD2をチップWAの側面WA1に設けることができる。
【0031】
また、前記実施形態において、接着剤層AD2としては、チップWAの底面よりも大きく、かつ、チップ間C内の位置で予め割断された形状のものを採用してもよい。
さらに、前記実施形態において、加圧手段42、61が噴きつける流体としては、気体以外に液体、ジェル状のもの等であってもよい。さらに、加圧手段42、61から噴出する流体を加熱手段によって熱したものとすれば、コイルヒータ51〜54を省略することもでき、流体の熱によって接着剤層AD2を流動化させつつ、転写シートS2を変形させることができる。
また、減圧手段62は、加圧手段42、61が噴きつけた気体、液体、ジェル状のもの等を吸引できるものを採用してもよい。
【0032】
さらには、テーブル31に接続される加圧手段61を設けず、第1リングフレームRF1と第2リングフレームRF2で形成される空間を密閉された空間とし、この空間を減圧したり加圧したりすることによって、転写シートS2をチップ間Cに向かって変形させたり、基材シートBS2を密閉された空間から押し出したりするような構成を採用してもよい。このとき、支持面32Aと転写シートS2との間に減圧や加圧が及ばないようにするシールド手段を設けるとよい。
また、前記実施形態において、当接手段4は、第1支持手段2を停止させておき、第2支持手段3を移動させたり、第2支持手段3と当接手段4との両方を移動させたりすることで、ウェハWと転写シートS2との当接や離間が行えるようにしたり、ウェハWから接着シートS1を剥離するようにしてもよい。
【0033】
そして、第1支持手段2に支持されるウェハWは、予めチップ間Cが形成されたものであってもよい。この場合、エキスパンドテーブル24はなくてもよい。
また、前記実施形態では、片状体として6面体のチップWAを例示し、各チップWAの4つの各側面WA1それぞれに折り返し部AD3を形成する例示をしたが、片状体は5面体以下でもよいし、7面体以上であってもよく、各多面体の各側面それぞれに折り返し部AD3が形成されるような構成であれば足りる。
さらに、流動化手段5、5Aは、コイルヒータ51〜54以外に、接着剤層AD2の構成や性質等に応じて適宜変更が可能であり、接着剤層AD2を流動化できるもの、例えば、赤外線照射装置、紫外線照射装置、マイクロ波発生装置、振動装置等で構成することができる。
【0034】
また、本発明における接着シートS1および転写シートS2の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートと接着剤層AD1,AD2との間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、接着シートS1および転写シートS2は、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シートなどであってもよい。さらに、接着剤層AD1,AD2は、感圧接着性の接着剤や感熱接着性の接着剤等であってよい。
半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示できる。また、複数の片状体としては、半導体ウェハをダイシングすることにより得られるチップに限らず、光ディスク、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品などが個片化され、平面的に配列されたものを対象とすることができる。
【0035】
また、接着シートS1や転写シートS2は、リングフレームRF1,RF2に貼付されていなくてもよい。
さらに、流動化手段がなくても、転写シートS2のチップ間C内への入り込みによって接着剤層AD2の表面に亀裂Pが入り、この亀裂Pを切っ掛けにして割断されるような接着剤層AD2の場合や、流動化手段がなくても、接着剤層AD2をチップWAの各側面WA1に接着して折り返し部AD3を形成することができる場合や、接着剤層AD2が予め割断されたものの場合等では、流動化手段は設けてもよいし設けなくてもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0036】
1,1A 転写装置
2,2A 第1支持手段
3,3A 第2支持手段
4,4A 当接手段
5,5A 流動化手段
6,6A 側面接着手段
42 加圧手段(流体噴出手段)
AD2 接着剤層
AD3 折り返し部
BS2 基材シート
C チップ間(間隙)
S1 接着シート
S2 転写シート
W ウェハ
WA チップ(片状体)
WA1 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層が積層された転写シートに複数の片状体を転写する転写装置であって、
前記複数の片状体を支持する第1支持手段と、
前記転写シートを前記第1支持手段で支持された前記複数の片状体に対向させて支持する第2支持手段と、
前記第1支持手段で支持された前記複数の片状体と前記第2支持手段で支持された転写シートとを相対移動させることで、前記転写シートと前記複数の片状体とを当接させる当接手段と、
前記複数の片状体の間隙に向かって前記転写シートを変形させることで、前記接着剤層を前記複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成する側面接着手段と、を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記接着剤層を流動化させる流動化手段を有することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記側面接着手段は、前記転写シートの両面に圧力差を生じさせることで前記転写シートを変形させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記当接手段は、前記転写シートの基材シート側から前記複数の片状体に向かって流体を噴出する流体噴出手段を有して構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の転写装置。
【請求項5】
前記複数の片状体は、接着シートの一方の面に貼付され、前記接着シートを介して前記第1支持手段に支持され、
前記接着シートを引き伸ばすことにより、前記間隙を拡げるエキスパンド手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の転写装置。
【請求項6】
基材シートの一方の面に接着剤層が積層された転写シートに複数の片状体を転写する転写方法であって、
前記複数の片状体を支持し、
前記転写シートを前記複数の片状体に対向させて支持し、
前記複数の片状体と前記転写シートとを相対移動させることで、前記転写シートと前記複数の片状体とを当接させ、
前記複数の片状体の間隙に向かって前記転写シートを変形させることで、前記接着剤層を前記複数の片状体の各側面に接着して折り返し部を形成することを特徴とする転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−30717(P2013−30717A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167709(P2011−167709)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】