軸受用ころの外径測定装置
【課題】軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにすることである。
【解決手段】ころAを円形の回転測定台1の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、ころAを回転測定台1の所定の位置で回転自在にころ支持具2で支持して、支持されたころAを回転させながら、その軸心上での回転測定台1の上面からの高さをころ高さ変位計3によって測定することにより、軸受用ころAの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにした。
【解決手段】ころAを円形の回転測定台1の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、ころAを回転測定台1の所定の位置で回転自在にころ支持具2で支持して、支持されたころAを回転させながら、その軸心上での回転測定台1の上面からの高さをころ高さ変位計3によって測定することにより、軸受用ころAの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用の円筒ころや円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受用の円筒ころや円錐ころは、軸受の円滑な回転やラジアル方向の予圧精度等を確保するために、外径寸法や真円度を精度よく検査して管理する必要がある。従来、このようなころの外径寸法や真円度を検査する際には、図11に示すように、ころ51をVブロック52に載置し、ころ51の軸心上に変位計53をセットして、作業者がころ51を少しずつ回転させながら、ころ51の高さを複数の周方向位置で測定し、測定されたころ51の高さをVブロック52の傾斜角度からころ51の外径寸法に換算している。通常、複数の測定値を換算した平均値をころの外径寸法とし、最大値と最小値の差で真円度を評価している。
【0003】
なお、円柱体や円筒体等の微小体の外径を測定する微小体の外径測定装置として、微小体を支持するVブロックに空気吸引孔を設け、微小体を空気でVブロック側へ吸引しながら、安定した姿勢で微小体の外径寸法を測定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3132110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した軸受用ころをVブロックに載置して外径寸法を複数の周方向位置で測定する従来の方法は、作業者がVブロックに載置されたころを回転させる必要があるので、測定に手間がかかり、かつ、慣れない作業者が行うと、測定する点でのころの回転位置がばらついて、外径寸法の平均値や真円度を的確に測定できない問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の微小体の外径測定装置を軸受用ころの外径測定に適用する場合も、作業者がVブロックに載置されたころを回転させる必要があり、さらに、ころがVブロック側へ吸引されているので、ころを回転させることが難しくなり、Vブロックとの摩擦でころを傷付ける恐れもある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、軸受用の円筒ころまたは円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置において、前記測定されるころを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台と、この回転測定台の上面に半径方向に向けて載置されたころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具と、このころ支持具で支持されたころの前記回転測定台の上面からの高さをころの軸心上で検出するころ高さ変位計とを備え、前記回転測定台を回転させて前記ころを回転させながら、前記ころの外径寸法を複数の周方向位置で前記ころ高さ変位計によって測定する構成を採用した。
【0009】
すなわち、ころを円形の回転測定台の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、このころを回転測定台の所定の位置で回転自在にころ支持具で支持して、支持されたころを回転させながら、その軸心上での回転測定台の上面からの高さをころ高さ変位計によって測定することにより、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにした。
【0010】
前記ころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具は、前記回転測定台上で回転するころの胴面に転がり側で当接される胴支持部と、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面に当接される端面支持部とを有するものとすることができる。
【0011】
前記胴支持部は、前記ころの胴面の全長に亙って当接される平坦面で形成されたものとするとよい。
【0012】
前記端面支持部は、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成されたものとするとよい。
【0013】
前記回転測定台の回転軸を、回転測定台の上面が前記ころを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜させることにより、ころを安定して端面支持ピンに当接させて支持することができる。
【0014】
前記回転測定台の上面に、外径側へ加工傾斜するテーパ部を設け、このテーパ部に前記ころを載置することによっても、ころを安定して端面支持ピンに当接させて支持することができる。
【0015】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けることにより、長さ寸法の異なるころや円錐ころの外径寸法を所定の軸方向位置で測定することができる。
【0016】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向と直交方向または円周方向で移動させる手段を設けることにより、外径寸法の異なるころに対しても、その軸心上でころ高さを検出することができる。
【0017】
前記ころ高さ変位計は、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とすることができる。
【0018】
前記回転測定台の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計を設け、この面振れ変位計の検出出力に基づいて、前記ころ高さ変位計の検出出力に含まれる前記回転測定台の上面の面触れ量を除去することにより、回転測定台の上面の面触れによる外乱を除去することができる。
【0019】
前記面振れ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けることにより、ころの軸方向に対するころ高さ変位計の位置に面振れ変位計の半径方向を合わせ、回転測定台の上面の面触れによる外乱をより的確に除去することができる。
【0020】
前記面振れ変位計は、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の軸受用ころの外径測定装置は、ころを円形の回転測定台の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、このころを回転測定台の所定の位置で回転自在にころ支持具で支持して、支持されたころを回転させながら、その軸心上での回転測定台の上面からの高さをころ高さ変位計によって測定するようにしたので、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図8は、第1の実施形態を示す。この軸受用ころの外径測定装置は、図1に示すように、測定される円筒ころAを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台1と、回転測定台1に載置されたころAを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具2と、ころ支持具2で支持されたころAの回転測定台1の上面からの高さをころAの軸心上で検出するころ高さ変位計3と、回転測定台1の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計4とを備え、ころ高さ変位計3がXYテーブル5に取り付けられ、面振れ変位計4がころ支持具2に取り付けられて、これらが一つの基台6に装着されている。
【0023】
前記XYテーブル5は、ころ高さ変位計3を回転測定台1の半径方向、すなわち、ころAの軸方向で移動させるXテーブル5aと、その直交方向で移動させるYテーブル5bとを備えており、測定対象のころAの規格寸法に応じて、ころ高さ変位計3をころAの軸方向の所定の位置で軸心上に位置決めする。
【0024】
図2および図3に示すように、前記回転測定台1の回転軸1aは、その上面がころAを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜しており、サーボモータ(図示省略)によって時計回りに所定の一定速度で回転するようになっている。
【0025】
前記ころ支持具2は、回転測定台1上で回転するころAの胴面に全長に亙って転がり側で当接される平坦な胴支持部2aと、回転測定台1の半径方向外径側へ下向きに傾くころAの外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成された端面支持部2bとを有し、ころAを所定の位置で回転自在に支持する。
【0026】
図2および図4に示すように、前記ころ支持具2の胴支持部2aと反対側には、保持具4aに保持された面振れ変位計4が、スライドテーブル7を介して取り付けられている。したがって、面振れ変位計4は、ころAの軸方向と平行に回転測定台1の半径方向で移動可能とされ、ころ高さ変位計3が位置決めされる回転測定台1の半径方向位置に合わせて位置決めされる。
【0027】
この実施形態では、前記ころ高さ変位計3が接触タイプの差動トランス式変位計、面振れ変位計4が非接触タイプの光学式変位計とされている。これらの変位計は、静電容量式や磁気式の変位計とすることもできる。
【0028】
つぎに、上述した外径測定装置を用いて、ころAの外径寸法を複数の周方向位置で測定する方法を説明する。この実施形態では、図5に示すように、面振れ変位計4の円周方向位置Qは、ころ高さ変位計3の円周方向位置Pに対して、回転測定台1の回転中心Oに対する回転角θだけ、回転方向にずらされている。また、回転測定台1の回転速度ところ高さ変位計3および面振れ変位計4の検出出力は、演算機能を有する記録装置に入力される。
【0029】
図6は、公差零、真円とされた規範ころの測定結果のチャートを示す。図6(a)は、時間軸Tに対して、ころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2とをそのまま連続的に記録したもの、(b)は、(a)における面振れ変位計4の検出出力Z2の位相を、前記回転角θのずれ分を回転測定台1の回転速度で補正して、ころ高さ変位計3の検出出力Z1に同期させたもの、(c)は、(b)における同期させたころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2の差ΔZ0を記録したものである。
【0030】
図7は、測定対象とされたころAの測定結果のチャートを示す。図7(a)、(b)、(c)は、それぞれ図6(a)、(b)、(c)と同様の形態で検出出力Z1、Z2およびその差ΔZを連続的に記録したものであり、この場合は、ころAの寸法誤差によって、図7(c)における差ΔZに、規範ころの差ΔZ0からのずれと時間変動が生じている。
【0031】
図8は、図7(c)における差ΔZの変動をころAの1回転分について拡大して示す。この1回転分の差ΔZの変動の平均値ΔZAVEからΔZ0を差し引いた値に規範ころの外径寸法を足し合わせた値がころAの外径寸法、最大値ΔZMAXと最小値ΔZMINとの差がころAの真円度として測定される。
【0032】
この実施形態では、ころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2がころAの全周位置で連続的に出力されるものとして、その差ΔZの平均値ΔZAVEからΔZ0を差し引いた値に規範ころの外径寸法を足し合わせた値をころAの外径寸法、最大値ΔZMAXと最小値ΔZMINとの差をころAの真円度としたが、各検出出力Z1、Z2は離散的に複数の周方向位置で出力されるものとしてもよい。
【0033】
図9および図10は、第2の実施形態を示す。この軸受用ころの外径測定装置は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記回転測定台1の回転軸1aが垂直とされ、その上面の外周側に外径側へ加工傾斜するテーパ部1bが設けられ、このテーパ部1bに円筒ころAが、軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置されるようになっている点が異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じである。
【0034】
上述した各実施形態では、測定対象の軸受用ころを円筒ころとしたが、本発明に係る軸受用ころの外径測定装置は、円錐ころの外径寸法も同様の方法で測定することができる。なお、円錐ころを測定対象とする場合は、その大径端面側を回転測定台の半径方向外径側へ向けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態の軸受用ころの外径測定装置を示す外観斜視図
【図2】図1の要部を拡大して示す平面図
【図3】図2の背面側からの側面図
【図4】図3のIV−IV線からの矢視図
【図5】図1のころ高さ変位計と面振れ変位計の回転測定台上での位置関係を説明する平面図
【図6】a、b、cは、規範ころの測定結果を示すチャート図
【図7】a、b、cは、ころの測定結果を示すチャート図
【図8】図7(c)を拡大したチャート図
【図9】第2の実施形態の軸受用ころの外径測定装置の要部を拡大して示す平面図
【図10】図9の背面側からの側面図
【図11】従来の軸受用ころの外径測定方法を示す側面図
【符号の説明】
【0036】
A ころ
1 回転測定台
1a 回転軸
1b テーパ部
2 ころ支持具
2a 胴支持部
2b 端面支持部
3 ころ高さ変位計
4 面振れ変位計
4a 保持具
5 XYテーブル
5a Xテーブル
5b Yテーブル
6 基台
7 スライドテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受用の円筒ころや円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受用の円筒ころや円錐ころは、軸受の円滑な回転やラジアル方向の予圧精度等を確保するために、外径寸法や真円度を精度よく検査して管理する必要がある。従来、このようなころの外径寸法や真円度を検査する際には、図11に示すように、ころ51をVブロック52に載置し、ころ51の軸心上に変位計53をセットして、作業者がころ51を少しずつ回転させながら、ころ51の高さを複数の周方向位置で測定し、測定されたころ51の高さをVブロック52の傾斜角度からころ51の外径寸法に換算している。通常、複数の測定値を換算した平均値をころの外径寸法とし、最大値と最小値の差で真円度を評価している。
【0003】
なお、円柱体や円筒体等の微小体の外径を測定する微小体の外径測定装置として、微小体を支持するVブロックに空気吸引孔を設け、微小体を空気でVブロック側へ吸引しながら、安定した姿勢で微小体の外径寸法を測定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3132110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した軸受用ころをVブロックに載置して外径寸法を複数の周方向位置で測定する従来の方法は、作業者がVブロックに載置されたころを回転させる必要があるので、測定に手間がかかり、かつ、慣れない作業者が行うと、測定する点でのころの回転位置がばらついて、外径寸法の平均値や真円度を的確に測定できない問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の微小体の外径測定装置を軸受用ころの外径測定に適用する場合も、作業者がVブロックに載置されたころを回転させる必要があり、さらに、ころがVブロック側へ吸引されているので、ころを回転させることが難しくなり、Vブロックとの摩擦でころを傷付ける恐れもある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、軸受用の円筒ころまたは円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置において、前記測定されるころを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台と、この回転測定台の上面に半径方向に向けて載置されたころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具と、このころ支持具で支持されたころの前記回転測定台の上面からの高さをころの軸心上で検出するころ高さ変位計とを備え、前記回転測定台を回転させて前記ころを回転させながら、前記ころの外径寸法を複数の周方向位置で前記ころ高さ変位計によって測定する構成を採用した。
【0009】
すなわち、ころを円形の回転測定台の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、このころを回転測定台の所定の位置で回転自在にころ支持具で支持して、支持されたころを回転させながら、その軸心上での回転測定台の上面からの高さをころ高さ変位計によって測定することにより、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定できるようにした。
【0010】
前記ころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具は、前記回転測定台上で回転するころの胴面に転がり側で当接される胴支持部と、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面に当接される端面支持部とを有するものとすることができる。
【0011】
前記胴支持部は、前記ころの胴面の全長に亙って当接される平坦面で形成されたものとするとよい。
【0012】
前記端面支持部は、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成されたものとするとよい。
【0013】
前記回転測定台の回転軸を、回転測定台の上面が前記ころを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜させることにより、ころを安定して端面支持ピンに当接させて支持することができる。
【0014】
前記回転測定台の上面に、外径側へ加工傾斜するテーパ部を設け、このテーパ部に前記ころを載置することによっても、ころを安定して端面支持ピンに当接させて支持することができる。
【0015】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けることにより、長さ寸法の異なるころや円錐ころの外径寸法を所定の軸方向位置で測定することができる。
【0016】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向と直交方向または円周方向で移動させる手段を設けることにより、外径寸法の異なるころに対しても、その軸心上でころ高さを検出することができる。
【0017】
前記ころ高さ変位計は、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とすることができる。
【0018】
前記回転測定台の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計を設け、この面振れ変位計の検出出力に基づいて、前記ころ高さ変位計の検出出力に含まれる前記回転測定台の上面の面触れ量を除去することにより、回転測定台の上面の面触れによる外乱を除去することができる。
【0019】
前記面振れ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けることにより、ころの軸方向に対するころ高さ変位計の位置に面振れ変位計の半径方向を合わせ、回転測定台の上面の面触れによる外乱をより的確に除去することができる。
【0020】
前記面振れ変位計は、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の軸受用ころの外径測定装置は、ころを円形の回転測定台の上面に軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置し、このころを回転測定台の所定の位置で回転自在にころ支持具で支持して、支持されたころを回転させながら、その軸心上での回転測定台の上面からの高さをころ高さ変位計によって測定するようにしたので、軸受用ころの外径寸法を複数の周方向位置で簡単に精度よく測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図8は、第1の実施形態を示す。この軸受用ころの外径測定装置は、図1に示すように、測定される円筒ころAを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台1と、回転測定台1に載置されたころAを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具2と、ころ支持具2で支持されたころAの回転測定台1の上面からの高さをころAの軸心上で検出するころ高さ変位計3と、回転測定台1の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計4とを備え、ころ高さ変位計3がXYテーブル5に取り付けられ、面振れ変位計4がころ支持具2に取り付けられて、これらが一つの基台6に装着されている。
【0023】
前記XYテーブル5は、ころ高さ変位計3を回転測定台1の半径方向、すなわち、ころAの軸方向で移動させるXテーブル5aと、その直交方向で移動させるYテーブル5bとを備えており、測定対象のころAの規格寸法に応じて、ころ高さ変位計3をころAの軸方向の所定の位置で軸心上に位置決めする。
【0024】
図2および図3に示すように、前記回転測定台1の回転軸1aは、その上面がころAを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜しており、サーボモータ(図示省略)によって時計回りに所定の一定速度で回転するようになっている。
【0025】
前記ころ支持具2は、回転測定台1上で回転するころAの胴面に全長に亙って転がり側で当接される平坦な胴支持部2aと、回転測定台1の半径方向外径側へ下向きに傾くころAの外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成された端面支持部2bとを有し、ころAを所定の位置で回転自在に支持する。
【0026】
図2および図4に示すように、前記ころ支持具2の胴支持部2aと反対側には、保持具4aに保持された面振れ変位計4が、スライドテーブル7を介して取り付けられている。したがって、面振れ変位計4は、ころAの軸方向と平行に回転測定台1の半径方向で移動可能とされ、ころ高さ変位計3が位置決めされる回転測定台1の半径方向位置に合わせて位置決めされる。
【0027】
この実施形態では、前記ころ高さ変位計3が接触タイプの差動トランス式変位計、面振れ変位計4が非接触タイプの光学式変位計とされている。これらの変位計は、静電容量式や磁気式の変位計とすることもできる。
【0028】
つぎに、上述した外径測定装置を用いて、ころAの外径寸法を複数の周方向位置で測定する方法を説明する。この実施形態では、図5に示すように、面振れ変位計4の円周方向位置Qは、ころ高さ変位計3の円周方向位置Pに対して、回転測定台1の回転中心Oに対する回転角θだけ、回転方向にずらされている。また、回転測定台1の回転速度ところ高さ変位計3および面振れ変位計4の検出出力は、演算機能を有する記録装置に入力される。
【0029】
図6は、公差零、真円とされた規範ころの測定結果のチャートを示す。図6(a)は、時間軸Tに対して、ころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2とをそのまま連続的に記録したもの、(b)は、(a)における面振れ変位計4の検出出力Z2の位相を、前記回転角θのずれ分を回転測定台1の回転速度で補正して、ころ高さ変位計3の検出出力Z1に同期させたもの、(c)は、(b)における同期させたころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2の差ΔZ0を記録したものである。
【0030】
図7は、測定対象とされたころAの測定結果のチャートを示す。図7(a)、(b)、(c)は、それぞれ図6(a)、(b)、(c)と同様の形態で検出出力Z1、Z2およびその差ΔZを連続的に記録したものであり、この場合は、ころAの寸法誤差によって、図7(c)における差ΔZに、規範ころの差ΔZ0からのずれと時間変動が生じている。
【0031】
図8は、図7(c)における差ΔZの変動をころAの1回転分について拡大して示す。この1回転分の差ΔZの変動の平均値ΔZAVEからΔZ0を差し引いた値に規範ころの外径寸法を足し合わせた値がころAの外径寸法、最大値ΔZMAXと最小値ΔZMINとの差がころAの真円度として測定される。
【0032】
この実施形態では、ころ高さ変位計3の検出出力Z1と面振れ変位計4の検出出力Z2がころAの全周位置で連続的に出力されるものとして、その差ΔZの平均値ΔZAVEからΔZ0を差し引いた値に規範ころの外径寸法を足し合わせた値をころAの外径寸法、最大値ΔZMAXと最小値ΔZMINとの差をころAの真円度としたが、各検出出力Z1、Z2は離散的に複数の周方向位置で出力されるものとしてもよい。
【0033】
図9および図10は、第2の実施形態を示す。この軸受用ころの外径測定装置は、基本的な構成は第1の実施形態のものと同じであり、前記回転測定台1の回転軸1aが垂直とされ、その上面の外周側に外径側へ加工傾斜するテーパ部1bが設けられ、このテーパ部1bに円筒ころAが、軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置されるようになっている点が異なる。その他の部分は第1の実施形態のものと同じである。
【0034】
上述した各実施形態では、測定対象の軸受用ころを円筒ころとしたが、本発明に係る軸受用ころの外径測定装置は、円錐ころの外径寸法も同様の方法で測定することができる。なお、円錐ころを測定対象とする場合は、その大径端面側を回転測定台の半径方向外径側へ向けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態の軸受用ころの外径測定装置を示す外観斜視図
【図2】図1の要部を拡大して示す平面図
【図3】図2の背面側からの側面図
【図4】図3のIV−IV線からの矢視図
【図5】図1のころ高さ変位計と面振れ変位計の回転測定台上での位置関係を説明する平面図
【図6】a、b、cは、規範ころの測定結果を示すチャート図
【図7】a、b、cは、ころの測定結果を示すチャート図
【図8】図7(c)を拡大したチャート図
【図9】第2の実施形態の軸受用ころの外径測定装置の要部を拡大して示す平面図
【図10】図9の背面側からの側面図
【図11】従来の軸受用ころの外径測定方法を示す側面図
【符号の説明】
【0036】
A ころ
1 回転測定台
1a 回転軸
1b テーパ部
2 ころ支持具
2a 胴支持部
2b 端面支持部
3 ころ高さ変位計
4 面振れ変位計
4a 保持具
5 XYテーブル
5a Xテーブル
5b Yテーブル
6 基台
7 スライドテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受用の円筒ころまたは円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置において、前記測定されるころを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台と、この回転測定台の上面に半径方向に向けて載置されたころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具と、このころ支持具で支持されたころの前記回転測定台の上面からの高さをころの軸心上で検出するころ高さ変位計とを備え、前記回転測定台を回転させて前記ころを回転させながら、前記ころの外径寸法を複数の周方向位置で前記ころ高さ変位計によって測定するようにしたことを特徴とする軸受用ころの外径測定装置。
【請求項2】
前記ころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具が、前記回転測定台上で回転するころの胴面に転がり側で当接される胴支持部と、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面に当接される端面支持部とを有するものである請求項1に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項3】
前記胴支持部が、前記ころの胴面の全長に亙って当接される平坦面で形成された請求項2に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項4】
前記端面支持部が、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成された請求項2または3に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項5】
前記回転測定台の回転軸を、回転測定台の上面が前記ころを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜させた請求項2乃至4のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項6】
前記回転測定台の上面に、外径側へ加工傾斜するテーパ部を設け、このテーパ部に前記ころを載置するようにした請求項2乃至4のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項7】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けた請求項1乃至6のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項8】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向と直交方向または円周方向で移動させる手段を設けた請求項1乃至7のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項9】
前記ころ高さ変位計を、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とした請求項1乃至8のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項10】
前記回転測定台の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計を設け、この面振れ変位計の検出出力に基づいて、前記ころ高さ変位計の検出出力に含まれる前記回転測定台の上面の面触れ量を除去するようにした請求項1乃至9のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項11】
前記面振れ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けた請求項10に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項12】
前記面振れ変位計を、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とした請求項10または11に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項1】
軸受用の円筒ころまたは円錐ころの外径寸法を複数の周方向位置で測定する軸受用ころの外径測定装置において、前記測定されるころを、その軸方向を回転中心から半径方向に向けて載置する円形の回転測定台と、この回転測定台の上面に半径方向に向けて載置されたころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具と、このころ支持具で支持されたころの前記回転測定台の上面からの高さをころの軸心上で検出するころ高さ変位計とを備え、前記回転測定台を回転させて前記ころを回転させながら、前記ころの外径寸法を複数の周方向位置で前記ころ高さ変位計によって測定するようにしたことを特徴とする軸受用ころの外径測定装置。
【請求項2】
前記ころを所定の位置で回転自在に支持するころ支持具が、前記回転測定台上で回転するころの胴面に転がり側で当接される胴支持部と、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面に当接される端面支持部とを有するものである請求項1に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項3】
前記胴支持部が、前記ころの胴面の全長に亙って当接される平坦面で形成された請求項2に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項4】
前記端面支持部が、前記ころの回転測定台上で半径方向外径側を向く端面の中心部に当接されるピン状突起で形成された請求項2または3に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項5】
前記回転測定台の回転軸を、回転測定台の上面が前記ころを載置する円周方向位置で外径側へ下降傾斜するように傾斜させた請求項2乃至4のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項6】
前記回転測定台の上面に、外径側へ加工傾斜するテーパ部を設け、このテーパ部に前記ころを載置するようにした請求項2乃至4のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項7】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けた請求項1乃至6のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項8】
前記ころ高さ変位計を、前記回転測定台の半径方向と直交方向または円周方向で移動させる手段を設けた請求項1乃至7のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項9】
前記ころ高さ変位計を、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とした請求項1乃至8のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項10】
前記回転測定台の上面の回転方向の面触れを検出する面振れ変位計を設け、この面振れ変位計の検出出力に基づいて、前記ころ高さ変位計の検出出力に含まれる前記回転測定台の上面の面触れ量を除去するようにした請求項1乃至9のいずれかに記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項11】
前記面振れ変位計を、前記回転測定台の半径方向で移動させる手段を設けた請求項10に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【請求項12】
前記面振れ変位計を、差動トランス式、光学式、静電容量式または磁気式のいずれかの変位計とした請求項10または11に記載の軸受用ころの外径測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−112929(P2010−112929A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287820(P2008−287820)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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