説明

農作業機のカプラ保護カバー

【課題】 トラクタから外された後のトラクタ側と農作業機側のワイヤハーネス連結部カプラに、雨水やホコリや土等が浸入しないようにするとともに劣化を防止する。
【解決手段】 トラクタ側と農作業機側とに亘って設けたワイヤハーネス91の中間部に、トラクタ側と農作業機側とに分割できるように着脱可能なカプラ90を設け、該カプラ90部には連結を外した後のカプラ全体を覆うカバー92を設けた。これによりカプラ部は、雨水やホコリ等から保護され、カプラ部が早期に劣化したり、端子やカプラ内に不用意にホコリや土等が入り込んで差込ができなくなる等の問題が解消される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着して使用する農作業機において、電動作動装置の電気配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、例えば特開2001−224203号公報(特許文献1)では「トラクタの後部に整地用のリヤカバーを有するロータリ耕耘装置を昇降可能に装着した農作業機の耕深制御装置において、操縦席に設けられる耕深目標値を設定する耕深設定ダイヤルと、ロータリ耕耘装置の耕耘深さを検出するデプスセンサと、リヤカバーの荷重を検出する荷重センサと、荷重センサの測定値が大きくなればなるほどロータリ耕耘装置の昇降による耕深制御の不感帯の幅を狭く設定し、耕深設定ダイヤルの耕深目標値とデプスセンサにより検出される耕深検出値が前記不感帯の幅の内部にあるときにはロータリ耕耘装置の耕耘深さ制御を行わない制御手段を設けたことを特徴とする耕新制御装置」で公知のように、農作業機側のセンサ信号をトラクタ1に設けたコントローラ34へ伝えるハーネス35がトラクタの後部でカプラ35aにより連結されている。そして、農作業機をトラクタから外すときにカプラ35aの外し忘れ防止のため警告ブザーを鳴らすとの記載もされている。
【特許文献1】特開2001−224203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術における農作業機等は、トラクタから外された後のワイヤハーネス連結部のカプラは、農作業機側とトラクタ側の結合が外され端子が剥き出しの状態となり、屋外等に放置された場合は雨水やホコリ等から無防備の状態となる。このため端子部やカプラ部が早期に劣化したり、絶縁不良の原因となることや、端子やカプラ内に不用意に土や異物が入り込んで差込ができなくなる等の問題があった。
【0004】
このため本発明の目的は、トラクタと農作業機の連結が外された後のワイヤハーネスのカプラ部の保護を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、トラクタに装着して使用する農作業機において、トラクタ側と作業機側とにわたって設けたワイヤハーネスの中間部に、トラクタ側と作業機側とに分割できるように着脱可能なカプラを設け、該カプラ部には連結を外した後のカプラ全体を収納可能なカバーを設けたことを特徴とするトラクタに装着して使用する農作業機を提供する。
【発明の効果】
【0006】
以上のような構成にしたことにより、トラクタと農作業機の連結が外された後のワイヤハーネスのカプラ部は、カプラ全体を覆うカバー体により雨水やホコリ等から保護され、カプラ部が早期に劣化したり、絶縁不良による作動不良の発生や、端子やカプラ内に不用意にホコリや土等が入り込んで差込ができなくなる等の問題が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を実施したカプラ部の斜視図、図2は同カプラをカバーで覆った状態の斜視図、図3は電動作動部を有した農作業機の一例である肥料散布機のワイヤハーネスの連結説明図、図4は同肥料散布機の一部を断面した斜視図、図5は同肥料散布機の電気回路図、図6はトラクタに装着した状態の肥料散布機の側面図である。
【0008】
電動作動部を有した農作業機の一例である肥料散布機の場合を例にして本発明の実施形態を説明する。Aは肥料散布機を示し、1は機枠で前方にはトップブラケット11とロアリンクブラケット12L,12Rを備え、図示されていないがトラクタ3点リンク機構に装着される。
【0009】
2はホッパで逆円錐形状に形成されていて、上方に開口した肥料投入口を有し、下方は投入された肥料の排出口となっている。ホッパ2は機枠1の上部に配置され、このホッパ2と機枠1の間には底板21が設けられ、ホッパ2内部に肥料を搭載可能としてある。3はアジテータで、ホッパ2内部に回転自在に設けられて肥料の攪拌や繰り出しを行う。
【0010】
4はスピンナで水平面をもつ円盤で、上面には散布羽根41を複数個設けてあり、前記ホッパ2の下方で前記機枠1に回転自在に配置され、上方のホッパ2より落下供給された肥料を散布する。
【0011】
5はミッションで前方に突設した入力軸51を有し、図示されていないがトラクタPTO軸とユニバーサルジョイントで連結され回転動力をミッション5へ伝達し、この回転動力はミッション5内に備えられるベベルギヤを介し垂直方向に突設した出力軸へ伝達され、この出力軸はミッション5の上方に配置される前記スピンナ4及び前記アジテータ3が連結され回転駆動する。
【0012】
6はシャッタで前記底板21の下部に前後方向摺動自在に設け、スライドすることにより底板21に形成した開口部aに対して開閉作用をする。そして、ホッパ2内に搭載した肥料が回転するアジテータ3の作用により前記開口部aより落下し、下方で回転する前記スピンナ4により後方に向け広域に散布される。
【0013】
7はシャッタ開閉装置で前記機枠1の前方上部に配置される。シャッタ開閉装置7は前記シャッタ6の開閉作用を電気的に行うもので、モータギヤ71を備えた電動モータMとモータギヤ71と噛合し、水平方向に軸支されたシャッタギヤプレート72を有し、このシャッタギヤプレート72はシャッタロット73を介し、前記シャッタ6と連結され水平回動するシャッタリンク74と連結される。モータギヤ71を備えた電動モータMが回動することにより、噛合するシャッタギヤプレート72を前後方向に回動させ、シャッタロット73にて連結されるシャッタリンク74を水平回動させ連結するシャッタ6をスライドさせる。
【0014】
8はシャッタ開度制御装置で電気回路を備えており、主電源をON,OFFするメインスイッチ81a、シャッタ開度設定装置であるシャッタ開度設定ダイヤル81b、シャッタの開閉動作を指示するシャッタ開閉スイッチ81c、シャッタ全閉時点灯するシャッタ全閉ランプ81d及びシャッタ開度確認ランプ81eを備えたコントロールボックス81からの電気信号指示により制御回路が作動し電動モータMを動作させる。前記コントロールボックス81は図6に示すようにトラクタ座席運転者近傍に配置され農作業機側とトラクタ側の中間部でカプラ90により着脱自在に連結されている。
【0015】
前記コントロールボックス81に設けられたシャッタ開度設定ダイヤル81bを回動させることにより前記シャッタ6のスライド量、つまりシャッタ開度を任意に設定することができる。このシャッタ開度設定ダイヤル81bを回動させ所望のシャッタ開度に設定すると、シャッタ開度指示抵抗値をシャッタ開度制御装置8へ出力し、前記電動モータMが回動を開始し前記シャッタギヤプレート72を回動させる。
【0016】
このシャッタギヤプレート72の軸支部にはポテンショメータ82が設けてあり、シャッタギヤプレート72の回動にともない電気抵抗値の変位をシャッタ開度制御装置8へ出力し、前記シャッタ開度設定ダイヤル81bにより設定されたシャッタ開度指示抵抗値と同じ値になるまで電動モータMを回動させ、設定開度までシャッタ6がスライドするようになっている。そして、シャッタ開度指示抵抗値と同じ値に電動モータMが回動してシャッタ6が設定開度に達すると、シャッタ開度確認ランプ81eが点灯する。
【0017】
又、前記コントロールボックス81に設けられたシャッタ開閉スイッチ81cをOFFにするとシャッタ6が開状態となっている場合でも、シャッタ開度「0」にすることができる。この時全閉となったことが分かるようシャッタ全閉ランプ81dが点灯するよう設けてある。
【0018】
コントロールボックス81には開度設定目盛が設けてあり、前記シャッタ開度設定ダイヤル81bを所望のシャッタ開度となるよう開度設定目盛まで回動させることにより、シャッタ開度指示抵抗値をシャッタ開度制御装置8へ出力し電動モータMを回動させる。
【0019】
電動モータMの回動とともにモータギヤ71が回動し、このモータギヤと噛合するシャッタギヤプレート72を回動させ、このシャッタギヤプレート72の軸支部に設けられたポテンショメータ82がシャッタギヤプレート72の回動にともない、電気抵抗値を変位させながらシャッタ開度制御装置8へ出力する。
【0020】
シャッタ開度設定ダイヤル81bから出力されるシャッタ開度指示抵抗値およびポテンショメータ82から出力される電気抵抗値をシャッタ開度制御装置8内に設けられるCPU84により抵抗値比較を行い、シャッタ開側リレー83aまたはシャッタ閉側リレー83bを介して電動モータMの回動制御を行う。
【0021】
前記のように、電動による作動回路を有する農作業機は、トラクタ側と農作業機側との間をワイヤハーネス91で連結された状態となっている。このため農作業機を外す際には、ワイヤハーネス91に設けたカプラ90部分でトラクタT側であるコントロールボックス81側と農作業機側である肥料散布機A側とに図3に示すY−Y部分で分離される。98はトラクタ搭載のバッテリーであり、電動回路はこれを電源として利用している。
【0022】
コントロールボックス81側は農作業機側とともにトラクタ側から外すことも可能であるが、屋外に置く場合はコントロールボックス81の雨水等からの保護のため農作業機側から分離して保管することが一般におこなわれている。また、コントロールボックス81側を他の農作業機と兼用して使用する場合もあり、農作業機側のカプラは結合が外され端子が外部に開放された無防備の状態となっていた。
【0023】
このため前記カプラ90部分には、図1に示すように軟質材のビニール等で形成されカプラ90a全体を覆うように形成したカバー92を設け、ワイヤハーネスの作業機側カプラ90aとトラクタ側カプラ90bを連結する場合は、カバー92の一部を切開するように設けた取出し口92bよりカプラ90を引出し連結する。そして、作業機側をトラクタTより外しカプラ90の連結を解除したときには、図2に示すようにカバー92の中に作業機側カプラ90aを収納する。これによりカプラ部を保護することが可能となる。
【0024】
取出し口92b部分はファスナー92aで開閉するように構成しワイヤハーネス91側の取付け部をビニールテープ等で固定すると密閉性をより保つ事ができる。また、カバー92の取出し口92bの位置はカプラが取出しやすい位置に適宜設ければよい。カバー92は、作業機側カプラ90aのみに限らずトラクタ側カプラ90b側にも設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を実施したカプラ部の斜視図
【図2】同カプラをカバーで覆った状態の斜視図
【図3】電動作動部を有した農作業機の一例である肥料散布機のワイヤハーネスの連結説明図
【図4】同肥料散布機の一部を断面した斜視図
【図5】同肥料散布機の電気回路図
【図6】トラクタに装着した状態の肥料散布機の側面図
【符号の説明】
【0026】
1 機枠
11 トップブラケット
12L,12R ロアリンクブラケット
2 ホッパ
21 底板
3 アジテータ
4 スピンナ
41 散布羽根
5 ミッション
51 入力軸
6 シャッタ
7 シャッタ開閉装置
71 モータギヤ
72 シャッタギヤプレート
73 シャッタロット
74 シャッタリンク
8 シャッタ開度制御装置
81 コントロールボックス
81a メインスイッチ
81b シャッタ開度設定ダイヤル
81c シャッタ開閉スイッチ
81d シャッタ全閉ランプ
81e シャッタ開度確認ランプ
82 ポテンショメータ
83a シャッタ開側リレー
83b シャッタ閉側リレー
84 CPU
90 カプラ
90a 作業機側カプラ
90b トラクタ側カプラ
91 ワイヤハーネス
92 カバー
92a ファスナー
92b 取出し口
98 バッテリー
A 肥料散布機
M 電動モータ
T トラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して使用する農作業機において、トラクタ側と作業機側とにわたって設けたワイヤハーネスの中間部に、トラクタ側と作業機側とに分割できるように着脱可能なカプラを設け、該カプラ部には連結を外した後のカプラ全体を収納可能なカバーを設けたことを特徴とするトラクタに装着して使用する農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−195447(P2007−195447A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17258(P2006−17258)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】