説明

農産物分別装置

【課題】農産物が、搬送ベルトに移載される時に搬送ベルト上で転動し搬送ベルト中央部より端部へ移動したり、前後間隔が乱れるのを防ぎ、載置姿勢を変位させずに搬送させて、農産物の個別の重量を正確に測定し大きさの段階毎に確実に振分ける事が出来る農産物分別装置の提供。
【解決手段】搬送ベルト(45a)に対向する部分が、該搬送ベルト(45a)と同一方向に送られるように駆動される搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、上記搬送ベルト(45a)の上を搬送される農産物(P)の上部に直接当接するように配設した農産物分別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱・馬鈴薯等の農産物をその重量に応じて分別する農産物分別装置に関し、より詳しくは、その重量測定部および振分け部への農産物の供給搬送の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物をその重量に応じて分別する機能を備えたものとして本出願人の出願に係わる特許第3341247号、特許第3453702号公報に記載の農産物分別装置及び農産物振分け装置がある。
【0003】
これらの装置は、農産物供給搬送装置の整列搬送ユニットから一列に整列して供給される農産物を、搬送ベルトにより適宜前後間隔を離間させて搬送しながら、その重量を搬送ベルトの下面側に配置された重量測定部により、搬送されている状態のままで個別に測定して大きさの段階毎に分別・振分けを行うものである。
【0004】
したがって、個々の農産物の重量を正確に測定し、大きさの段階毎に確実に振分ける為には、農産物が整列搬送ユニットから搬送ベルト上に移乗した時、農産物は搬送ベルトの中央部に安定して位置してその巾方向(横方向)に転動することなく且つ、座りが安定していなければならない。
【0005】
しかるに現状は、整列搬送ユニットで農産物は一列に整列されて順次搬送されているが、農産物は天然物であるから大きさの差異のみならず特異な形状もあり、特に馬鈴薯の場合は品種によっては丸のみならず長丸の物もあり、搬送ベルトに移載される時に搬送ベルト上で転動し、前後間隔が乱れたり、ベルト中央部からその巾方向端部へ移動してしまう事も間々ある。
【0006】
農産物がベルト端部へ移動した状態のまま重量測定部に搬送されると、正確な重量測定が出来なくなり、また、ベルト上での前後間隔が乱れるとその後の確実な振分けが出来なくなる。
【特許文献1】特許第3341247号
【特許文献2】特許第3453702号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、整列搬送ユニットによって一列に整列され順次搬送された農産物が、搬送ベルトに移載された時に転動し、該搬送ベルト中央部より端部へ移動したり前後間隔が乱れるのを防ぎ、載置姿勢を変位させずに搬送させて、農産物の個別の重量を正確に測定し大きさの段階毎に確実に振分ける事が出来る農産物分別装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の農産物分別装置は、農産物供給搬送装置から順次搬出され供給される農産物を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルト上を搬送される農産物の重量を測定位置において個別に測定する重量測定手段と、その測定重量に応じて農産物を分別する分別手段を備えた農産物分別装置において、搬送ベルト(45a)に対向する部分が、該搬送ベルト(45a)と同一方向に送られるように駆動される搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、上記搬送ベルト(45a)の上を搬送される農産物(P)の上部に直接当接するように配設したものである。
【0009】
請求項2記載の本発明は、上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、重量測定手段(b1)による測定位置の上流側に位置させて、測定位置を通過する前の農産物(P)に当接させるようにした請求項1記載の農産物分別装置である。
【0010】
請求項3記載の本発明は、上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、弛ませてローラ軸(102・103,102’・103’)に懸架し、その弛み部分を農産物(P)に当接させるようにした請求項1または2記載の農産物分別装置である。
【0011】
請求項4記載の本発明は、上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)の速度が、上記搬送ベルト(45a)の速度よりも速い請求項1,2または3記載の農産物分別装置である。
【0012】
請求項5記載の本発明は、上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)の搬送ベルト部(45a)が、メッシュ状又は編み目状の、弾性合成樹脂製又はゴム製のものである請求項1,2,3または4記載の農産物分別装置である。
【0013】
請求項6記載の本発明は、上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)が、搬送ベルト(45a)との隙間を調整自在に配設されている請求項1,2,3,4または5記載の農産物分別装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、整列搬送ユニットから一列に整列されて順次供給され、搬送ベルトに適宜間隔に離間して移載された農産物を、載置姿勢を変化させることなく適宜間隔を保持し、かつ、ベルト中央に位置させたまま的確に搬送することが出来る。したがって、後の重量測定や振り分けの工程を正確に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜8に例示する一実施例を説明する。
本発明は、勿論本実施例に限定されるものでは無い。
【実施例1】
【0016】
本実施例の農産物整列搬送システムは、図1・2に示すように農産物Pの搬送方向α上流側に配置した前側機台8に、供給ユニットa1及び整列搬送ユニットa2を搭載した農産物供給搬送装置Aと、搬送方向α下流側に配置した後側機台9に、搬送ベルト45と、そのベルト45上の測定位置において農産物の重量を測定する重量測定手段である重量測定ユニットb1と、その測定重量に基づき農産物を分別する分別手段である分別振分けユニットb2とを備えた農産物分別装置Bからなるもので、上記農産物分別装置Bは、上記搬送ベルト45により測定位置へと供給搬送される農産物の姿勢を保持するための農産物搬送姿勢保持ユニットGを、上記搬送ベルト45の上方に備えていることに特徴を有する。
【0017】
まず、農産物供給搬送装置Aについて説明する。前側機台8は、一対の側部フレ−ム10・10が、下部機枠11の後側に立設した起立フレ−ム12・12の上端部と、前側に立設した起立フレ−ム13・13の中間部との間に水平に架設され、また、それら側部フレ−ム10・10間に連結フレ−ム14〜16が横架されてなるものである。
【0018】
供給ユニットa1は側部フレ−ム10・10の前半部に載置されており、それは、整列搬送ユニットa2に農産物Pを徐々に供給するホッパ18と、これに農産物Pを補給する補給機構19とからなる。
【0019】
補給機構19の構成は次の通りである。起立フレ−ム13・13の上端部に設けた一対のブラケット20・20には回動軸21が回動自在に横架されており、その回動軸21には、側面L字形にした移載ア−ム22・22の起立脚部22a・22aの上端が固定されている。また、その移載ア−ム22・22の水平脚部22b・22bの中間部には、これに載置した農産物収容コンテナ(以下、単にコンテナという)23を保持する下向きコ字状のコンテナ保持バ−24が立設され、また、同水平脚部22b・22bの前端部には、移載ア−ム22・22を手動により上下回動させるための下向きコ字状の把持用バ−25が立設されている。
【0020】
移載ア−ム22・22の起立脚部22a・22a間には、連結部材26が横架されており、これには、縦長ブラケット29が固定されている。
その縦長ブラケット29の上端部には、本体27aの後端部を連結フレ−ム15に軸支したガスダンパ27のロッド27bがピン接続されているとともに、下端部には、前記連結フレ−ム16に立設したフック30に係止して、移載ア−ム22・22をロックするロック部材28が枢支されている。
【0021】
上記構成からなる移載ア−ム22・22は、コンテナ23を水平脚部22b上の所定位置に載置できるコンテナ載置姿勢(イ)と、コンテナ23を横倒しにして農産物Pをホッパ18に補給する農産物補給姿勢(ロ)との間で回動できるようになっている。
【0022】
ホッパ18は、底板18a前半部の両側部に側板18b・18bが互いに平行にして起立形成され、また、底板18a後半部の両側部に側板18c・18cが供給口18dに向けて狭くなるようにして起立形成されており、これの前側下端部が起立フレ−ム13上端部のブラケット20・20に固定され、後側下端部が連結フレ−ム15に下端部を固定した起立フレ−ム31の上端部に固定されることにより、供給口18dを斜め下向きにした姿勢で支持されている。
従って、補給機構19によってホッパ18に農産物Pを補給すると、それらの農産物Pは、ホッパ18内に一時的に貯留された後、供給口18dから徐々に整列搬送ユニットa2に供給される。
【0023】
整列搬送ユニットa2は、上記供給ユニットa1のホッパ18から供給された農産物Pを一列に整列させながら、搬送方向α下流側に配置した、詳細を後述する農産物分別装置Bの重量測定ユニットb1に向けて搬送するものであり、搬送用板体32と、これを水平にして支持し、かつ、これに振動を加える加振支持機構34とからなる。
【0024】
加振支持機構34は、搬送用板体32を両側板35a・35aの上端部に固定したコ字形の上部支持部材35と、連結フレ−ム14・15上に、それぞれ2つずつ配設したコイルばね36a・36aを介して載置されるとともに、上部支持部材35を弾性的に支持する同じくコ字形の下部支持部材36と、上部支持部材35を介して搬送用板体32に振動を加える振動発生源37とからなる。
【0025】
搬送用板体32は、上部支持部材35を介して振動発生源37から加えられる振動により、ホッパ18から供給された農産物Pを一列に整列させながら重量測定ユニットb1に向けて搬送供給するものであり、それは、両側部が反り上がる弧形にした、例えば鋼板等からなる搬送用基板38の上面に多数の弾性突起(図示しない)を形成してなるものである。
【0026】
次に、農産物分別装置Bについて説明する。後側機台9は、互いに所要の間隔を保持して対向配置した横長方形の側板39・39と、これらの前側下端部と後側下端部とにそれぞれ配設した脚部40・40から構成されている。なお、41・41は補助脚部である。
【0027】
側板39・39の後側上端部、前側上端部、及び中央下端部には、下向き三角形の頂点をなすようにしてベルト張設ロ−ラ42〜44が回転自在に横架され、これらに無端状の搬送ベルト45が張架されている。
【0028】
ベルト張設ロ−ラ44の一端部にはスプロケット46が固定されており、これと、側板39のほぼ中央に設けたモ−タMの軸Maに固定したスプロケット47との間には、ロ−ラチェ−ン48が張設され上記搬送ベルト45はこのモータMにより駆動されるようになっている。また、ベルト張設ロ−ラ44の他端部には、図2に示すロ−タリ−エンコ−ダ49が固定されており、これにより搬送ベルト45の走行距離を検出している。
【0029】
ベルト張設ロ−ラ42と43との間に平坦面をなして張架されている搬送ベルト部分45aは農産物Pの搬送経路を形成しており、その搬送速度は、上記整列搬送ユニットa2の搬送速度よりも速くなっており、整列搬送ユニットa2上を一列になってかつ密接して搬送され搬送ベルト部分45aへと搬出・供給された農産物Pは、この搬送ベルト部分45aに転載されることで、前後間隔を離間させて下流へ送られるようになっている。
【0030】
この搬送ベルト部分45aの始端から搬送方向へ所要の距離をおいた位置には、重量測定手段である重量測定ユニットb1が、そしてさらにその重量測定ユニットb1の搬送方向α下流側には振分けユニットb2が配設されている。
【0031】
重量測定ユニットb1は、重量測定部50と、これの上部に支持され、その重量測定部50の測定レンジを拡大する天秤51と、搬送ベルト部分45aを搬送される農産物Pを検出するように、その搬送ベルト部分45aの両側に、互いに対向配置された2つ1組とする農産物検出センサ52・53を上下2段に配列してなる農産物検出部54とからなる。
上記重量測定部50及び天秤51は、搬送ベルト部分45aの下面側に配置されており、その上方の測定位置を通過する農産物Pの重量を、搬送している状態のまま測定できるようにしている。
【0032】
農産物検出センサ52・53としては、これの一方からの投光を他方のセンサで受光する型式のものの他、測距型式あるいは領域センサ等を使用できる。
【0033】
農産物分別装置Bの分別振分けユニットb2は、搬送ベルト部分45a上を搬送される農産物Pを、当該搬送ベルト部分45aの側方に設けたシュータに向けて振り分けるための振分手段である振分け部Eと、その振り分け部Eを適宜制御する分別手段としての機能や他の各部を制御する機能を備えたコントローラCRとからなる。
【0034】
振分け部Eは、搬送ベルト部分45aの一側に、これに沿って、アクチュエータにより揺動し搬送ベルト部分45a上の農産物Pを搬送経路から系外へ押し出す押出部体E’を複数所要の間隔を保持して列設したものである。
【0035】
なお、上記押出し部体E’に代え、エアノズルを設け、エアの吐出により農産物Pを振り分けるようにしても良い。
【0036】
コントローラCRは、後側機台9の全体の制御を行うとともに、重量測定部50で測定した個々の農産物Pの重量データや、農産物検出部54から入力される農産物検出信号に応じて、上記振分け部Eの複数の押出部体E’のうちのいずれかを揺動させ、農産物Pをその重量に基づき振り分けるものである。
【0037】
次に、農産物搬送姿勢保持ユニットGについて説明する。
【0038】
この農産物搬送姿勢保持ユニットGは、上記後側機台9の搬送ベルト部分45aの両側上方の位置に、隙間調整ハンドル108によりネジを回転させることによって高さ調整自在にして搬送姿勢保持装置側板101・101を支持するとともに、その搬送姿勢保持装置側板101・101の間に、互いに組になるベルト駆動ロ−ラ軸102(102’)と従動ロ−ラ軸103(103’)を2組、搬送方向下流側と上流側に回動自在に横架している。
【0039】
下流側のベルト駆動ローラ軸102と従動ローラ軸103には、無端状の搬送姿勢保持ベルト104を、また、上流側のベルト駆動ローラ軸102’と従動ローラ軸103’には、無端状の搬送姿勢保持ベルト104’をそれぞれ弛ませた状態にして懸架している。
【0040】
その搬送姿勢保持ベルト104,104’は、搬送ベルト部分45aの上方であって、上記測定位置よりも搬送方向α上流側の位置に、上記搬送ベルト部分45aと平行に走行するよう配設され、かつ、弛ませたことにより下向き三角形の頂点ないし半円形の頂部(以下、単に「頂点部」という。)をなす下部中央が、上記搬送ベルト部分45aと所要の間隔を空けた状態となるようにして懸架されている。
【0041】
この搬送姿勢保持ユニットGにおいて、下流側の上記ベルト駆動ロ−ラ軸102の一側端部にはベルト駆動スプロケット105が固定されており、これと搬送姿勢保持装置側板101・101のほぼ中央に設けた搬送姿勢保持装置モ−タHのモ−タ軸Haに固定したモ−タスプロケット106との間にはロ−ラチェ−ン107が張設されている。
また、上記ベルト駆動ローラ軸102の他側端部にはスプロケット105’が固定され、上流側のベルト駆動ローラ軸102’の他側端部にもスプロケット105”が固定されており、これらの間にはローラチェーン107’が張設されているので、両ベルト駆動ローラ軸102,102’は、上記モータHにより駆動されるようになっている。
【0042】
ベルト駆動ロ−ラ軸102(102’)と従動ロ−ラ軸103(103’)には、搬送姿勢保持ベルト104(104’)を駆動する為にそれぞれ2個のスプロケット102a,102a・103a,103aが軸の両端方向に間隔をあけて固定されている。ベルト駆動ロ−ラ軸102(102’)の2個のスプロケット102a,102aの山・谷は、円周方向に同一ラインとなるように当該ベルト駆動ローラ軸102(102’)に固定され、また、従動ロ−ラ軸103(103’)の2個のスプロケット103a,103aの山・谷は、円周方向に同一ラインとなるように当該従動ローラ軸103(103’)に固定されている。
【0043】
上記搬送姿勢保持ベルト104,104’は、メッシュ状又は編み目状の、弾性合成樹脂製又はゴム製ベルト部104aと、巾方向両端部の2本のロ−ラチェ−ン部104bで構成されており、ベルト部104aとロ−ラチェ−ン部104bとはリベット104c等で鋲着するか、糸等で縫着される。
2本のロ−ラチェ−ン部104bは、ベルト駆動ロ−ラ軸102(102’)と従動ロ−ラ軸103(103’)のそれぞれの2個のスプロケット102a・103aで動かされる為に、ロ−ラチェ−ン部104bのリンクプレ−トは周方向に同一ラインとなるようにベルト部104aと鋲着または縫着される。
【0044】
搬送姿勢保持ベルト104(104’)は、上記ベルト駆動ローラ軸102(102’)に懸架されており、上記モータHにより、図3,6,8の矢印で示した時計回り方向に、すなわち、搬送ベルト部分45aとは一対の歯車の様に、その対向する部分が同一方向に送られるように駆動されるようになっており、上記搬送ベルト部分45aとの間に農産物Pを挟持して搬送するものであるが、その速度は搬送ベルト部分45aの1.2倍程度とするのが好ましい。
なお、搬送姿勢保持ベルト104(104’)と搬送ベルト部分45aの隙間(間隔)は、隙間調整ハンドル108によって農産物Pの大きさに合わせて、適宜調整出来るようになっている。
【0045】
上記構成の農産物分別装置Bの搬送ベルト部分45a上に移載された農産物Pは、その上部を搬送姿勢保持ユニットGの搬送姿勢保持ベルト104,104’の下部の頂点部を含む弛み部分に直接当接させ、その当接状態が終了した後、上記測定位置を通過しその重量が計測されるようになっている。
【0046】
上記搬送姿勢保持ベルト104の弛み部分は、農産物Pの上部に当接する際には、その自重により、図8に示すように農産物Pの形状・大きさに柔軟に対応密接して、農産物Pの搬送姿勢を規制して座りを良くし、搬送ベルト部分45a上で転動することを抑える作用を奏する。
【0047】
すなわち、整列搬送ユニットa2上に一列に整列された農産物Pは、前後に密着した状態に強制的に拘束されているので、個々の形状に即した安定姿勢を取れないが、より搬送スピードの速い搬送ベルト部分45a上に移乗することで個々に離間され、途端に自由な状態となる。
そして、その搬送ベルト部分45a上への移乗の際、搬送スピ−ド差により生じる慣性によって農産物Pは、下部がすくわれた状態で後方によろける現象が生じるが、このとき農産物Pの上部に、搬送ベルト部分45aよりやや速く駆動している上記搬送姿勢保持ベルト104の弛み部分を当接させ進行方向に付勢する事により座りの良い姿勢に修正出来る。
【0048】
搬送姿勢保持ベルト104の速度は、上記の通り搬送ベルト部分45aの1.2倍程度が好ましい。姿勢保持ベルト104の速度をあまり高速にすると、農産物Pを搬送方向に転動させる事になる。低速にすると後方によろけた状態を修正出来ない。
【0049】
上記では、搬送姿勢保持ベルト104,104’を、搬送経路の上流と下流とに並べて2つ設けるようにしたが、1つだけ設けるようにしても、農産物Pの搬送ベルト部分45a上での変位を防止することができる。なお、3つ以上設けてもよい。
【0050】
なお、搬送姿勢保持ベルト104,104’を弛ませることなく張架して農産物Pの上部を強制的に押下し姿勢を規制するのでなく、上記のように搬送姿勢保持ベルト104,104’を弛ませて張架し、その弛み部分をその自重によって農産物の形状・大きさに柔軟に対応させるようにしたのは下記の理由による。
【0051】
農産物Pを整列搬送ユニットa2より搬送ベルト部分45a上に移乗させて適宜前後間隔を離間させるのにあたり、農産物Pは大きさの差異のみならず特異な形状も有るので、ベルト駆動ロ−ラ軸102(102’)と従動ロ−ラ軸103(103’)に、弛ませることなく張架したベルトと搬送ベルト部分45aで農産物Pの上部・下部を強制的に挟み込み姿勢を強制的に規制しようとすると、前後の大きい農産物P間の小さい農産物Pは弛んでいないベルトと搬送ベルト部分45aによる挟み込みを受けられずに空間で遊ぶ事となる。
よって搬送ベルト部分45aの上方に弛ませることなく張架したベルトによって農産物Pの上部・下部を強制的に挟み込むよりも、上記のように、搬送姿勢保持ベルト104を弛ませることで、前後の大きい農産物Pの間の小さい農産物Pにも確実に該搬送姿勢保持ベルト104の弛み部分を当接させるようにした方が離間搬送がスム−ズに行われる。
【0052】
搬送姿勢保持ベルト104,104’は、重量測定を行う上記測定位置および上記振分け部Eからみて上記搬送ベルト部分45aの上流側に設けられているので、各農産物は、その測定位置および振分け部Eの位置で安定した載置姿勢を維持でき、適宜間隔を保持したまま的確に搬送される。
結果としてこれが、重量測定ユニットb1での重量測定の精度の向上、振分け部Eでの振分けの正確につながる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明農産物搬送姿勢保持ユニットを備えた農産物分別装置の正面図である。
【図2】本発明農産物搬送姿勢保持ユニットを備えた農産物分別装置の平面図である。
【図3】本発明における農産物搬送姿勢保持ユニットの拡大正面図である。
【図4】本発明における農産物搬送姿勢保持ユニットの拡大平面図である。
【図5】本発明における搬送姿勢保持ベルトの部分平面図である。
【図6】本発明における搬送姿勢保持ベルトの正面図である。
【図7】図6のI−I線断面図である。
【図8】本発明における搬送姿勢保持ベルトに、農産物の上部が直接当接した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
A 農産物供給搬送装置
a1 供給ユニット
a2 整列搬送ユニット
B 農産物分別装置
b1 重量測定ユニット
b2 分別振分けユニット
CR 分別手段としてのコントロ−ラ
P 農産物
45a 搬送ベルト部分
50 重量測定部
G 農産物搬送姿勢保持ユニット
101 搬送姿勢保持装置測板
102 ベルト駆動ロ−ラ軸
102a ベルト駆動ロ−ラ軸スプロケット
103 ベルト従動ロ−ラ軸
103a ベルト従動ロ−ラ軸スプロケット
104,104’ 搬送姿勢保持ベルト
104a 搬送姿勢保持ベルト部
104b ロ−ラチェ−ン部
104c リベット
105 ベルト駆動スプロケット
106 モ−タスプロケット
107 ロ−ラチェ−ン
108 隙間調整ハンドル
H 搬送姿勢保持装置モ−タ
Ha モ−タ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物供給搬送装置から順次搬出され供給される農産物を搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルト上を搬送される農産物の重量を測定位置において個別に測定する重量測定手段と、その測定重量に応じて農産物を分別する分別手段を備えた農産物分別装置において、
搬送ベルト(45a)に対向する部分が、該搬送ベルト(45a)と同一方向に送られるように駆動される搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、上記搬送ベルト(45a)の上を搬送される農産物(P)の上部に直接当接するように配設したことを特徴とする農産物分別装置。
【請求項2】
上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、重量測定手段(b1)による測定位置の上流側に位置させて、測定位置を通過する前の農産物(P)に当接させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の農産物分別装置。
【請求項3】
上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)を、弛ませてローラ軸(102・103,102’・103’)に懸架し、その弛み部分を農産物(P)に当接させるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の農産物分別装置。
【請求項4】
上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)の速度が、上記搬送ベルト(45a)の速度よりも速いことを特徴とする請求項1,2または3記載の農産物分別装置。
【請求項5】
上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)の搬送ベルト部(45a)が、メッシュ状又は編み目状の、弾性合成樹脂製又はゴム製のものであることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の農産物分別装置。
【請求項6】
上記搬送姿勢保持ベルト(104,104’)が、搬送ベルト(45a)との隙間を調整自在に配設されていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の農産物分別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−90247(P2007−90247A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283874(P2005−283874)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000130455)株式会社サークル鉄工 (14)
【Fターム(参考)】