説明

農産物分別装置

【課題】農産物に付着した土の飛散がなく、また、より簡易な構成で的確な仕分けが行えるようにした農産物分別装置の提供。
【解決手段】農産物Pを供給するための供給ユニットaと、その農産物Pを振動により一列に整列させるための整列搬送ユニットbと、個々の農産物Pの重量を測定するための重量測定ユニットcと、その測定重量に基づき農産物Pを分別する鍵盤式のコンベア42を備えた分別ユニットdとを、上流側から下流側に向けて順に配設するとともに、上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトfを配設してなる農産物分別装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱・馬鈴薯等の農産物をその重量に応じて分別する農産物分別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の農産物分別装置として、本出願人の出願に係る特開2007−90247号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
これは、農産物供給搬送装置の整列搬送ユニットから一列に整列して供給される農産物を、適宜前後間隔を離間させて搬送しながら、その重量を搬送ベルトの下面側に配置された重量測定部により個別に測定し、その後、その重量測定部の下流の振り分け部において、複数設けられた押出し部体(またはエアノズル)のうちいずれかのものにより搬送ベルトから側方に押し出して、大きさの段階毎に分別・振分けを行うものである。
【0003】
一方、特許第2824046号(特許文献2)に記載された選別搬送装置は、図5に示したように、第1コンベア1aと第2コンベア1bとからなる分散コンベア1に放出されたミカン2を整列コンベア3に移載し、これをさらにその下流の、所定間隔を隔てかつ上下揺動可能にした複数の回転支持腕4からなる、いわば鍵盤式の仕分けコンベア5に移載するようになっており、その仕分けコンベア5上の等階級検査装置6の撮像カメラにより個々のミカン2を撮影し、その下流に設けられた複数の仕分け位置のうち、撮影された画像データに基づいて選択される所要の位置において、上記回転支持腕4を下方に傾動させることによって、個々の上記ミカン2を該仕分けコンベア5の側方に仕分けるものである。
【0004】
上記整列コンベア3は、ミカン2を1列に整列するために複数のベルトを用いる、いわばベルト式というべきもので、一対の送りベルト7,7と、それらの終端側中央部に近接して張架した送りベルト8とからなる。上記一対の送りベルト7は断面V字となるように斜設され、一側の送りベルト7を低速回転させ、他側の送りベルト7を高速回転させて、相互の速度差によりミカン2を前後方向に変位させて1列に整列する。また、上記送りベルト8は、低速側の送りベルト7よりも速く、また高速側の送りベルト7よりも遅く回転される。
【0005】
また、上記仕分けコンベア5(の回転支持腕4)は上記送りベルト8の送り速度よりも速く送り方向に周回移動され、送りベルト8から移載されるミカン2を前後方向に離間して搬送する。
これによって、上記仕分け位置における仕分けを確実にするようにしている。
【0006】
上記送りベルト7の終端と送りベルト8の始端に跨る位置の上部には、押さえベルト9が、また、送りベルト8の終端と仕分けコンベア5の始端に跨る位置の上部には、押さえベルト10が設けられており、上記送りベルト7から送りベルト8に移載されるミカン2は、送りベルト8の送り速度と同期して回転する上記押さえベルト9で姿勢を保持して搬送される。
同様に、送りベルト8から仕分けコンベア5に移載されるミカン2は、仕分けコンベア5の送り速度と同期して回転する上記押さえベルト10で姿勢を保持して搬送される。
【0007】
【特許文献1】特開2007−90247号
【特許文献2】特許第2824046号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の装置は、振り分けを、押出し部体またはエアノズルにより行うので、湿度等の条件によっては農産物に付着した土が周囲に飛散して作業環境が悪化することがある。
【0009】
また、上記特許文献2の装置は、的確な仕分けを行うために、ミカンを1列に整列させるための、第1コンベア1aと第2コンベア1bとからなる分散コンベア1、および、V字状に配置した一対の送りベルト7,7とさらにその下流の送りベルト8とからなる整列コンベア3を設ける必要があり、これとは別にさらに、送り速度を異にするコンベア(送りベルト7,7と送りベルト8、また、送りベルト8と仕分けコンベア5)間のミカンが受け渡される位置にそれぞれ押さえベルト9,10を配置する必要があることから、その装置が大がかりなものになり、製作コストも高くなる。
【0010】
そこで本発明は、農産物に付着した土の飛散がなく、また、より簡易な構成で的確な仕分けが行えるようにした農産物分別装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の農産物分別装置は、農産物Pを供給するための供給ユニットaと、その農産物Pを振動により一列に整列させるための整列搬送ユニットbと、個々の農産物Pの重量を測定するための重量測定ユニットcと、その測定重量に基づき農産物Pを分別する鍵盤式のコンベア42を備えた分別ユニットdとを、上流側から下流側に向けてこの順に配設するとともに、 上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトfを配設してなる。
【0012】
請求項2記載の本発明は、上記整列搬送ユニットbが、両側部が反り上がった断面弧状をなす、鋼板製の基盤の上面に多数の弾性突起を形成した搬送用板体28と、これを支持しかつ振動を加える加振支持機構29とからなる請求項1記載の農産物分別装置である。
【0013】
請求項3記載の本発明は、上記分別ユニットdが、回転支持腕39を軸40により軸支した支持ユニット41を多数並べた、鍵盤式のコンベア42と、そのコンベア42の側方に設けられたシュート43,…,…とからなる請求項1または2記載の農産物分別装置である。
【0014】
請求項4記載の本発明は、上記姿勢保持ベルトeが、整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcの搬送ベルト34上へ受け渡され、搬送スピ−ド差により下部がすくわれた状態で後方によろける農産物Pに当接してこれを進行方向に付勢することにより姿勢を安定させるようにしてなる請求項1,2または3記載の農産物分別装置である。
【0015】
請求項5記載の本発明は、上記姿勢保持ベルトfが、重量測定ユニットcの搬送ベルト34から分別ユニットdのコンベア42へ若干の段差を経て放出,落下して空間受け渡しされる農産物Pに当接してその姿勢を安定させるようにしてなる請求項1,2,3または4記載の農産物分別装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の本発明は、分別ユニットdが鍵盤式のコンベア42からなるので、分別の際に農産物に付着した土が飛散することがなく、また、整列搬送ユニットbが、振動により農産物Pを整列するようにしたもので、多数のコンベアを用いることなくより簡易な構成としたものである。
しかも、上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトfを配設しているので、これにより、的確な仕分けが行える。
【0017】
請求項2記載の本発明は、上記整列搬送ユニットbが、両側部が反り上がった断面弧状をなす、鋼板製の基盤の上面に多数の弾性突起を形成した搬送用板体28と、これを支持しかつ振動を加える加振支持機構29とからなるので、簡易な構成で、農産物Pを整列させることができる。
【0018】
請求項3記載の本発明は、上記分別ユニットdが、回転支持腕39を軸40により軸支した支持ユニット41を多数並べた、鍵盤式のコンベア42と、そのコンベア42の側方に設けられたシュート43,…,…とからなるので、農産物Pを、これに付着した土を飛散させることなく、分別することができる。
【0019】
請求項4記載の本発明は、上記姿勢保持ベルトeが、整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcの搬送ベルト34上へ受け渡され、搬送スピ−ド差により下部がすくわれた状態で後方によろける農産物Pに当接してこれを進行方向に付勢することにより姿勢を安定させるので、重量測定ユニットcにおける測定が正確に行える。
【0020】
請求項5記載の本発明は、上記姿勢保持ベルトfが、重量測定ユニットcの搬送ベルト34から分別ユニットdのコンベア42へ若干の段差を経て放出,落下して空間受け渡しされる農産物Pに当接してその姿勢を安定させるので、分別ユニットdでの分別が的確に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
農産物Pを供給するための供給ユニットaと、その農産物Pを振動により一列に整列させるための整列搬送ユニットbと、個々の農産物Pの重量を測定するための重量測定ユニットcと、その測定重量に基づき農産物Pを分別する鍵盤式のコンベア42を備えた分別ユニットdとを順に配設するとともに、上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢を安定させるための姿勢保持ベルトfを配設してなる農産物分別装置。
【0022】
以下、図1〜4を用いて本発明の一実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例の農産物分別装置は、図1,2に示すように農産物Pの搬送方向αの上流側から下流側に向けて順に配設された、農産物Pを供給するための供給ユニットaと、その農産物Pを一列に整列させるための整列搬送ユニットbと、個々の農産物Pの重量を測定するための重量測定ユニット(重量測定手段)cと、その測定重量に基づき農産物Pを分別する分別ユニット(分別手段)dとを、上流側から下流側に向けて順に配設し、上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させ受け渡しをスムースにするための、姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢安定および受け渡しをスムースにするための姿勢保持ベルトfを配設している。
【0024】
上記供給ユニットaは、フレーム21に支持され、上記整列搬送ユニットbに農産物Pを徐々に供給するホッパ22と、このホッパ22に農産物Pを補給する補給機構23とからなる。
【0025】
その補給機構23は、コンテナ24を乗載可能でかつ回動自在にした移載ア−ム25をガスダンパ26で付勢してなり、上記コンテナ24を乗載するコンテナ載置姿勢と、乗載したコンテナ24を横倒しにして農産物Pをホッパ22に補給する農産物補給姿勢(図示しない)との間で回動できるようになっており、ハンドル27を把持して回動させるようにしているものである。
【0026】
上記ホッパ22は、受入口22a側を広く、排出口22b側を狭くし、かつ、その排出口22b側が低くなるよう斜めに配設されている。
したがって、上記補給機構23から補給される農産物Pは、ホッパ22内に一時的に貯留された後、排出口22bから徐々に整列搬送ユニットbに排出供給される。
【0027】
上記整列搬送ユニットbは、上記供給ユニットaのホッパ22から供給された農産物Pを一列に整列させながら、上記重量測定ユニットcに向けて搬送するものであり、両側部が反り上がった断面弧状をなす、鋼板製の基盤の上面に多数の弾性突起を形成した搬送用板体28と、これを支持しかつ振動を加える加振支持機構29とからなる、いわば振動式のものである。
【0028】
搬送用板体28上の農産物Pは、加振支持機構29から加えられる振動により、一列に整列して重量測定ユニットcに向けて搬送供給される。
【0029】
上記重量測定ユニットcは、基台30に回転自在に横架されたローラ31,32,33に張架した無端状の搬送ベルト34を、モータ35によりスプロケット36等を介して駆動するようにし、上記ローラ31,32間に水平な搬送路37を形成している。その搬送速度は上記整列搬送ユニットbによる農産物Pの搬送速度よりも速くなっており、また、搬送ベルト34の走行距離は随時ロータリーエンコーダにより検出される。
【0030】
上記整列搬送ユニットb上を一列になってかつ密接して搬送され搬送ベルト34に受け渡された農産物Pは、この搬送ベルト34の搬送路37上を、前後間隔を離間させて下流へ送られる。
【0031】
この搬送路37の始端から搬送方向へ所要の距離をおいた位置には、重量測定器38が配設されている。
【0032】
上記重量測定器38は、重量測定部と、搬送路37上を搬送される農産物Pが測定位置にあることを検出するために、その搬送路37の両側に対向配置された農産物検出センサ等からなる農産物検出部とからなる。
上記重量測定部は、搬送ベルト34の下面側に配置されており、その上方の測定位置を通過する農産物Pの重量を、搬送している状態のまま測定できるようにしている。
【0033】
農産物検出センサとしては、一方からの投光を他方のセンサで受光する型式のものの他、測距型式あるいは領域センサ等を使用できる。
【0034】
上記分別ユニットdは、合成樹脂製の回転支持腕(鍵)39を軸40により軸支した支持ユニット41を多数並べた、いわば鍵盤式のコンベア42と、そのコンベア42の側方に設けられた6つのシュート43,…,…とからなるもので、そのコンベア42の上面が農産物Pの搬送路となっている。
このコンベア42は回転支持腕39をそれぞれ有する多数の上記支持ユニット41を、上記モータ35により、チェーン44a,スプロケット44b等を介して、上記重量測定ユニットcの搬送ベルト34と同速で駆動される。
上記回転支持腕39は、支持ユニット41の爪45を係合させることによって上面中央が窪んだ腕を水平状態に保持されているが、上記シュート43,…,…に対向する位置にそれぞれ上下動を制御可能にしたベアリング付きのアームを有するロック解除機構46,…,…を下方に駆動することで、その位置で、該回転支持腕39の上記爪45の係合が解除され斜め下方に向き、乗載している農産物Pを所要の上記シュート43,…,…に振り分けるようになっている。
【0035】
その複数のロック解除機構46,…,…は、上記重量測定器38において計測される個々の農産物Pの重量に基づいて、所定のシュート43,…,…にその農産物Pを振り分けるため、当該農産物Pを乗載している所定の支持ユニット41が、農産物Pを振り分けるべきシュート43,…,…に対向するロック解除機構46の位置まで搬送されるタイミングで駆動し、農産物Pを振り分ける。
なお、爪45の係合が解除された回転支持腕39は、搬送路の始端に戻るまでの間に、再び爪45にロックされ、水平状態に戻る。
【0036】
上記姿勢保持ベルトeは、上記整列搬送ユニットbの終端上方から重量測定ユニットcの始端上方にかけて配設されているもので、農産物Pが受け渡される際の姿勢を安定させ、その受け渡しをスムースにするためのものである。
【0037】
この姿勢保持ベルトeは、隙間調整ハンドル47によりネジを回転させることによって農産物Pの大きさに合わせて高さ調整自在にしたベルト保持装置48に横架されたローラ軸49,50に、下側を弛ませた状態で張架されたもので、その姿勢保持ベルトeは、下向き三角形の頂点ないし半円形の頂部(以下、単に「頂点部」という。)をなす下部中央が、上記搬送ベルト34と所要の間隔を空けた状態となるようにして懸架されている。
この姿勢保持ベルトeは、上記モータ35により、スプロケット49’等を介して駆動される。
【0038】
ロ−ラ軸49,50には、姿勢保持ベルトeを懸架し、駆動する為にそれぞれ2個のスプロケットがそれらの軸の両端方向に間隔をあけて固定されている。
【0039】
上記姿勢保持ベルトeは、メッシュ状又は編み目状の、弾性合成樹脂製又はゴム製の無端状のベルトと、その巾方向両縁部に取り付けられ、上記ローラ軸49,50の各両端のスプロケットにそれぞれ掛け回した2本のロ−ラチェ−ンとで構成されており、ベルトとロ−ラチェ−ンとはリベット等で鋲着するか、糸等で縫着される。
【0040】
この姿勢保持ベルトeは、上記重量測定ユニットcの搬送ベルト34と同速で走行するが、その搬送ベルト34の1.2倍程度の速度まで速く走行させることも可能である。
すなわち、整列搬送ユニットb上に一列に整列された農産物Pは、前後に密着した状態に強制的に拘束されているので、個々の形状に即した安定姿勢を取れないが、より搬送スピードの速い搬送ベルト34上に移乗することで個々に離間され、途端に自由な状態となる。
そして、その搬送ベルト34上への移乗の際、搬送スピ−ド差により生じる慣性によって農産物Pは、下部がすくわれた状態で後方によろけるが、このとき農産物Pの上部に、上記姿勢保持ベルトeの頂点部を含む弛み部分を当接させ進行方向に付勢することにより座りの良い姿勢に修正できる。そしてその後上記重量測定器38により個々の重量が計測される。
【0041】
また、上記のように、姿勢保持ベルトeを弛ませているので、前後の大きい農産物Pの間に挟まれて搬送されてくる小さい農産物Pにも確実に該姿勢保持ベルトeの弛み部分を当接させ、確実に姿勢を安定させることができる。
【0042】
この姿勢保持ベルトeは、重量測定を行う測定位置からみて上流側に設けられているので、各農産物Pは、安定した載置姿勢を維持し適宜間隔を保持したまま搬送され、重量測定器38における重量測定の精度の向上、および、分別ユニットdでの振分けの正確さにつながる。
【0043】
上記姿勢保持ベルトfは、上記重量測定ユニットcの終端上方から分別ユニットdの始端上方にかけて配設されているもので、農産物Pが受け渡される際の姿勢を安定させ、その受け渡しをスムースにするためのものである。
【0044】
この姿勢保持ベルトfは、隙間調整ハンドル51によりネジを回転させることによって高さ調整自在にしたベルト保持装置52に横架されたローラ軸53,54に、下側を弛ませた状態で張架されたもので、下向き三角形の頂点ないし半円形の頂部(以下、単に「頂点部」という。)をなす下部中央が、上記搬送ベルト34およびコンベア42と所要の間隔を空けた状態となるようにして懸架されている。
この姿勢保持ベルトfは、上記モータ35により、スプロケット55等を介して駆動される。
【0045】
ロ−ラ軸53,54には、姿勢保持ベルトfを駆動する為にそれぞれ2個のスプロケット56,…,…がそれらの軸の両端方向に間隔をあけて固定されている。
【0046】
上記姿勢保持ベルトfは、メッシュ状又は編み目状の、弾性合成樹脂製又はゴム製ベルトf’と、その巾方向両縁部に取り付けられ、上記ローラ軸53,54の各両端のスプロケット56,…,…にそれぞれ掛け回した2本のロ−ラチェ−ンf”とで構成されており、ベルトf’とロ−ラチェ−ンf”とはリベット等で鋲着するか、糸等で縫着される。
【0047】
この姿勢保持ベルトfは、上記重量測定ユニットcの搬送ベルト34および分別ユニットdのコンベア42と同速で走行するが、それらの1.2倍程度の速度まで速く走行させることも可能である。
これにより、農産物Pが搬送ベルト34から分別ユニットdへ若干の段差を経て放出,落下により空間受け渡しされる際の姿勢を安定させ、その後の正確な振分けを実現することができる。
すなわち、農産物Pの種類・大きさ・重量によってそれが重量測定ユニットcから放出される角度・距離・衝撃が異なり、分別ユニットdのコンベア42に落下する位置や衝撃が変動するが、その放出による遠心力を吸収し、コンベア42に落下する位置をほぼ均一にすることで、載置姿勢に落ち着かせることができる。
【0048】
CRは、上記基台30に取り付けられたコントローラで、これは、重量測定器38で測定した個々の農産物Pの重量データやエンコーダからのデータに基づいて、分別ユニットdのロック解除機構46を所要のタイミングで駆動するなど、上記各部の制御を行うものである。
【0049】
以上のとおり、この農産物分別装置は、農産物Pの搬送方向αの上流側から順に配設された、農産物Pを供給するための供給ユニットaと、その農産物Pを一列に整列させるための整列搬送ユニットbと、個々の農産物Pの重量を測定するための重量測定ユニットcと、その測定重量に基づき農産物Pを分別する分別ユニットdとを備えるとともに、上記整列搬送ユニットbから重量測定ユニットcへの農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物Pの姿勢を安定させ受け渡しをスムースにするための、姿勢保持ベルトeを配設し、さらに、上記重量測定ユニットcから分別ユニットdへの受け渡し位置の上方にも、農産物Pの姿勢安定および受け渡しをスムースにするための姿勢保持ベルトfを配設しているので、農産物Pの分別の過程で土を飛散させて作業環境を悪化させるおそれがない。
しかも、簡易な構成の振動式の整列搬送ユニットbを備え、装置全体を簡略化するとともに、その整列搬送ユニットbと重量測定ユニットcとの間、また、重量測定ユニットcと分別ユニットdとの間に姿勢保持ベルトe,fを備えているので、受け渡し箇所において搬送する農産物Pを安定させ、的確な重量測定、仕分けが行える。
その他、重量測定ユニットcの搬送ベルト34と分別ユニットdのコンベア42と姿勢保持ベルトe,fとを1つのモータ35で駆動するようにしたので、それらの速度の同期が確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明農産物分別装置の正面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】その要部拡大正面図である。
【図4】図1のI−I線における断面図である。
【図5】従来の選別搬送装置の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
a 供給ユニット
b 整列搬送ユニット
c 重量測定ユニット
d 分別ユニット
e 姿勢保持ベルト
f 姿勢保持ベルト
CR コントロ−ラ
P 農産物
α 搬送方向
28 搬送用板体
29 加振支持機構
34 搬送ベルト
39 回転支持腕
40 軸
41 支持ユニット
42 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物(P)を供給するための供給ユニット(a)と、その農産物(P)を振動により一列に整列させるための整列搬送ユニット(b)と、個々の農産物(P)の重量を測定するための重量測定ユニット(c)と、その測定重量に基づき農産物(P)を分別する鍵盤式のコンベア(42)を備えた分別ユニット(d)とを、上流側から下流側に向けて順に配設するとともに、 上記整列搬送ユニット(b)から重量測定ユニット(c)への農産物受け渡し位置の上方に、受け渡される農産物(P)の姿勢を安定させるための姿勢保持ベルト(e)を配設し、さらに、上記重量測定ユニット(c)から分別ユニット(d)への受け渡し位置の上方にも、農産物(P)の姿勢を安定させるための姿勢保持ベルト(f)を配設してなることを特徴とする農産物分別装置。
【請求項2】
上記整列搬送ユニット(b)が、両側部が反り上がった断面弧状をなす、鋼板製の基盤の上面に多数の弾性突起を形成した搬送用板体(28)と、これを支持しかつ振動を加える加振支持機構(29)とからなることを特徴とする請求項1記載の農産物分別装置。
【請求項3】
上記分別ユニット(d)が、回転支持腕(39)を軸(40)により軸支した支持ユニット(41)を多数並べた、鍵盤式のコンベア(42)と、そのコンベア(42)の側方に設けられたシュート(43,…,…)とからなることを特徴とする請求項1または2記載の農産物分別装置。
【請求項4】
上記姿勢保持ベルト(e)が、整列搬送ユニット(b)から重量測定ユニット(c)の搬送ベルト(34)上へ受け渡され、搬送スピ−ド差により下部がすくわれた状態で後方によろける農産物(P)に当接してこれを進行方向に付勢することにより姿勢を安定させるようにしてなることを特徴とする請求項1,2または3記載の農産物分別装置。
【請求項5】
上記姿勢保持ベルト(f)が、重量測定ユニット(c)の搬送ベルト(34)から分別ユニット(d)のコンベア(42)へ若干の段差を経て放出,落下して空間受け渡しされる農産物(P)に当接してその姿勢を安定させるようにしてなることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の農産物分別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−61424(P2009−61424A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233140(P2007−233140)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000130455)株式会社サークル鉄工 (14)
【Fターム(参考)】