説明

農産食品(agri−food)または医薬品の甘味料としての一酸化二窒素(N2O)または一酸化二窒素を含んでなる気体混合物の使用

本発明は、製品、特に農産食品または医薬品を製造する方法に関し、製品に組み込まれる甘みをつける物質の全部または一部を一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物に添加するステップを含んでなる。本発明は、マトリックス中に一度組み込まれた一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物の脱着の動態を遅延させるために、1以上の添加物を予め製品の組成に加えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の説明】
【0001】
本発明は、製品、特に農産食品(agrofood)、または医薬、特に飲料の甘味料の分野に関する。
【0002】
当該分野において、添加される物質に関わらず、認可リストにあるように、「真性の」糖(ショ糖)または甘味料(sweetener)により甘みをつけることについての参考文献が一般的に作成され、「甘みをつける物質(sweetening agent)」の添加についても参考文献が作成されている。
【0003】
甘みをつける力は、ショ糖に関する甘さの特性の評価であることが既知である。
具体的には、ショ糖の力は1であると考えられ(しばしば100をベースとして評価される)、製品が50の甘みをつける力を有する場合、その製品はショ糖の50倍甘いと考えられる。
【0004】
甘味料は、一般的に、30〜3000の甘みをつける力を有する。
それ故、技術的には、甘味料は甘みをつける力を有する成分であり、エネルギーがないことが言える。「強力な甘味料」という用語は、しばしば、甘みをつける力がショ糖の30〜3000倍である場合に使用される。しかしながら、規定の用語において、「甘味料」はよく定義されており、規定のリストに存在し、製品がリストにない場合は、規制により、甘みをつける添加物として認識されない。
【0005】
農産食品産業は、常に、以下の均衡を解決することを試みている:楽しく食べることと健康な食事を摂ること。ある一定の年数における消費者の傾向を見た場合、残念なことに、栄養失調がますます発展途上国に影響を及ぼし、肥満の割合は、第一にアメリカ合衆国において高く、ヨーロッパにおいてはそれほど高くなく、この現象は発展し続けている。
【0006】
消費者は、糖が味の主要成分である製品を消費するようになった。さらに、1年当り、kg当りの糖の消費量および1人当りの糖の消費量も増大している(製品中の砂糖だけでなく、消費者により製品に自発的に添加される砂糖)。関係する主要な糖の1つは、ショ糖である。
【0007】
それ故、過剰な体重と闘うためだけでなくそれに付随する疾患(糖尿病、肥満)を制限するために、糖の消費を制限するように多数の手段が講じられている。例えば、規制は、農産食品の脂肪および糖の含量をラベルに表示することを要求しており、製造会社はますます、革新的な製品を通して「健康(well-being)」のアングロサクソンのコンセプト、すなわち健康な食事を摂ることを奨励している。
【0008】
農産食品中における甘味料の使用は、1988年1月以来認可されている。これらの物質は、その甘みをつける力により特徴づけられ、相当する甘味を再現するのに使用されるショ糖の量で示す。これらの物質は、非常に多様な性質のものであってよく(糖、糖アルコール、ペプチド、タンパク質等)、非常に異なる甘みをつける力を有してよい。前記甘みをつける力は、使用される濃度に依存して変化し得る。
【0009】
理想的な甘味料は、高い甘みをつける力を有し、高価でなく、不快な味でなく、製品の消費期限を通して安定であり、生体に有害な影響がないべきである。
【0010】
ここでは、アスパルテーム、アセスルファムK、サッカリンおよびその誘導体等について言及しており、ショ糖の350倍もの甘みをつける力を有する。
【0011】
合成であるか否かに関わらず、ほとんどの甘味料は、しばしば病気を感じるまで、感覚器に長持ちする印象を残し、延長された甘みを残留させる。加えて、甘味料の利益に対して、ショ糖を完全に除去することは、一般的に、口の中に製品が満ちるという効果の損失を引き起こす(口の中における味の濃厚さおよび丸みの減少)。さらに、いくつかの甘味料は、不安定であり(熱、酸性の媒質に対して)、または好ましくない味を生じる(苦味、金属味)。費用も、それらの使用に対して考慮すべき欠点を表す。最後に、それらのいくつかは、消費者に対する負の効果(アレルギー性、毒性または発癌性)の原因となり、製品に使用される用量が制限されやすく、特に乳幼児を対象としたある一定の製品の製造において禁止される。
それ故、理想的な甘味料はないように思われる。
【0012】
医薬品に甘みをつけることにおいて、医薬産業が、あるシロップの味の問題を忘れることなく、特に子供に対して、糖尿病に向けられているという問題を指摘する者もいる。
本発明の1つの目的は、上述した欠点の全てまたはいくつかに対する技術的な解決方法を提供することにより、食品または医薬品を甘くすることを可能にする新規の解決方法を提案することである。
【0013】
以下により詳細に示すように、本発明は、農産食品または医薬品、特に液体製品、特に飲料に対する添加物として使用可能な甘みをつける力を有する物質としての一酸化二窒素NOまたはNOを含有する気体の混合物(任意にCOと混合される)の使用を提供する。
【0014】
以下に示すように、本発明の1つの目的は、検討中の媒体への一酸化二窒素(任意に二酸化炭素と混合される)の組み込みを最適化し、最適な甘みをつける力(および適切な場合には炭酸化)を与えることである。これは、これらの気体の脱着速度を減少させることを含み、それ故、例えば飲料のような検討中の媒体に一度溶解した場合の安定性が改善される。感覚受容性の理由のために、一酸化二窒素は、二酸化炭素(CO)と好都合に結合する。これは、二酸化炭素が口の中において知覚を改善する酸性度を提供するという理由による。
【0015】
以下に示すように、特にソーダ、風味付けされたミネラルウォーター、またはミルクベースの製品について試験が行われ、明確且つ非常に驚くべきことに、NOが、望ましい条件下、望ましいレベルの効果で、甘味料として使用され得ることが示され、その甘みをつける力は、使用の条件に依存するが、おそらく通常の使用条件下で50gショ糖/リットル当量まで達する(3気圧において飽和Pmax)。望ましい甘みをつける力が40〜50gショ糖/リットルより大きい場合、NOは、好ましくは他の甘みをつける原料と混合される。この場合、NOと甘みをつける物質との間の相乗効果は、使用される糖/甘味料に依存して変化し得る。
【0016】
この場合、異なる強度の相乗効果は、第1にNO、第2にショ糖または甘味料、特にアスパルテームとの間で見られた。
【0017】
一酸化二窒素が農産食品において共通に使用されることを強調すべきである。それは、明らかに、コードE942の下で全ての食品に一般的に認容される添加物であるように見え、しばしば「高圧ガス(propellant gas)」と記載され、既知の使用の中で、「高圧ガス」効果(例えば、ホイップクリーム(chantilly cream)のような加圧された缶中の製品について)、修飾された気圧下で製品(果物および野菜、ケーキの材料等)をパッケージングするための気体、食物のムースまたは氷等のオーバーランニングにおいて研究され使用される気体について言及されている。
【0018】
しかしながら、これまでに、製品に甘みをつける物質の力については言及されておらず、検討中の媒質(例えば飲料)に一度溶解した場合、気体が十分安定であり、甘みをつける力の長時間にわたる変化をできるだけ少なくすることについても提唱されていない。
本発明は、それ故、この安定性の問題を解決することに特に焦点を置いている。
【0019】
本発明は、それ故、製品、特に農産食品または医薬品の製造方法に関し、前記製品は液体または半液体のマトリックスを含んでなる組成を有し、前記方法は、甘みをつける力を有する物質を添加するステップを含んでなり、前記甘みをつける力を有する物質は、全部または部分的に、一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物の製品への組み込みからなること、ならびに1以上のアジュバントが前記製品の組成に添加されることを特徴とし、前記アジュバントは、一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物が一度前記気体または気体の混合物が組み込まれた前記マトリックスから脱着する動態を遅くすることを可能にする。
【0020】
その甘みをつける力およびそのエネルギーの非存在により、本発明により添加される一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物は甘味料の特性を有すると考えられる。
【0021】
さらに、本発明による方法は、以下の技術的な特性の1以上を採用してよい:
−前記アジュバントの少なくとも1つは、単糖類の群の一部である、
−前記アジュバントの少なくとも1つは、フルクトース、マンニトールのようなポリオール、ソルボースからなる群の一部である、
−前記アジュバントの少なくとも1つは、多糖類の群の一部である、
−前記アジュバントの少なくとも1つは、ペクチン、デンプン、カラゲナート、ゴム(アラビアゴム、グアーゴム、デキストランゴム、キサンタンガム等)からなる群の一部である、
−前記アジュバントの少なくとも1つは、アミノ酸の群の一部である、
−前記アジュバントの少なくとも1つは、プロリン、セリンおよびバリンからなる群の一部である。
【0022】
さらに、出願人により行われている研究では、他の非常に興味深い結果を示すことができた:これらの結果は、蒸留水中におけるNOの溶解性は20℃で約0.53であり(1バールの絶対圧力において、液体の体積当りに溶解する気体の容積として測定された)、36%の脂肪を含むクリームにおける溶解性は20℃で1に等しく、コーン油、オリーブオイルおよび大豆油における溶解性は、それぞれ、25℃で1.70、20℃で1.40、25℃で1.80であるという事実を示す。これは、ある製品について、1以上の脂肪の存在(または必要な場合は導入)により、脂肪が存在しない場合よりも多くのNOを検討中の製品に導入することを可能にする。これは、全体として、甘みをつける効果を増大させ、導入される一酸化二窒素の安定性を促進することができる。
【0023】
論理的に、使用は、好ましくは、水性または半水性の液相に分散した脂肪相が既に存在する(または添加され得る)製品に対する実施からなり、例えば、ヨーグルト、乳飲料、またはアイスクリームの場合である。
【0024】
結果として、本発明の1つの実施形態によると、検討中の製品は、前記液体または半液体マトリックス中に脂肪相を含んでなる。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態によると、脂肪相は、前記NOを含んでなる気体または気体の混合物を組み込む前に、前記液体または半液体マトリックスに添加される。
【0026】
本発明のさらにもう1つの実施形態によると、前記気体または気体の混合物の組み込みは以下の方法で行われる:
−製品の初期の組成に存在しない付属の脂肪相が提供される;
−前記気体または気体の混合物の組み込みが、前記付属の脂肪相に対して行われる;
−前記方法により「一酸化二窒素を含んでなる」状態にされた前記付属の脂肪相は、前記組成に組み込まれ、製品を形成する。
【0027】
本発明による方法は、さらに、1以上の以下の技術的特性を採用する:
−前記気体は、NOのみからなる;
−前記気体は、COとの混合物としてのNOからなる;
−前記気体は、農産食品または医薬品の成分または添加物として使用されることが許可された1以上の気体との混合物としてのNOからなる;
−前記甘みをつける物質は、通常の甘みをつける物質も製品に組み込まれるという事実により、一部のみ、前記気体または気体の混合物の製品への組み込みからなる;
−組み込まれる通常の甘みをつける物質は、糖または甘味料またはそれらの混合物である;
−製造される製品は液体である;
−製造される製品は飲料である;
−製造される製品は乳飲料である;
−製造される製品は柔らかい製品である;
−製造される製品はオーバーラン(overrun)製品である;
−製造される製品は、その製造のステップの間に一酸化二窒素を含有する気体または気体の混合物が組み込まれる固体の製品である。
【0028】
他の特徴および利点は以下に記載し、多数の試験結果を以下に示す。
【0029】
フレーバーソーダ型の飲料の場合
Oの甘みをつける力の評価は、以下の試験を通して行われた:
−NO単独による甘みをつける力の評価;
−NO+ショ糖による甘みをつける力の評価;
−NO+ショ糖およびNO+甘味料による甘みをつける力の評価。
フレーバーソーダ型の飲料(約2バールのCO、15℃において、3.5〜4g CO/リットルで炭酸化される)は、試験に対するキャリアとして使用された。
【0030】
O単独による甘みをつける力の評価
・試験の機構
−砂糖を含まない飲料が導入された。
【0031】
−飲料を、種々の圧力下で、NO/CO混合物で飽和させた(10℃)。
【0032】
・飲料におけるNOおよびCOの溶解性(mg/l/bar):
【表1】

【0033】
・行われた試験
【表2】

【0034】
・結果の概要
製品は、感覚分析パネルにより食味された:
−NOの甘みをつける力は、明確に確認された;
−NOを単独で使用した場合、考慮すべき甘みをつける力を有するが、しばしば残留し、甘ったるいと判断される;
−一方、NO+COの組み合わせは有益であり、COの「塩気のある」味がNOの甘い側面を有利に再平衡化することを可能にする;
−NO単独の脱着は、大きな気泡の形態で速い;
−最も高い承認を与えられる製品は、3バールの絶対圧力下で、80%NOと20%COとの混合物を用いて飽和され、糖当量は約30gショ糖/リットルと見積もられる;
−NO単独の使用は、製品に40g/リットルと評価される甘みをつける力を与える。
【0035】
Oとショ糖との組み合わせの甘みをつける力の評価
・試験の機構
−砂糖を含まない飲料が導入された;
−以下のマトリックスに従って、飲料が飽和された(10℃)。
【表3】

【0036】
・結果の概要
製品は、感覚分析パネルにより食味された:
−T2およびT3は、最も高い承認を与えられた製品であり、それらは、甘みの強さおよびバランス、脱着の質においてよい調和を示す;
−甘みは妥当であると判断され、標準的な製品よりわずかに低い(対照は、90gショ糖/lで甘みをつけられた);
−NOおよびショ糖は相乗効果を有し、80%NO−20%CO混合物の3バールにおける曝気を受けた製品は、30のみ含有する製品について約80g/lのショ糖と評価される甘みを示す。
【0037】
Oにより与えられる甘みの割合は、50gのショ糖/リットルと評価される一方、上述した試験の条件下では30gのショ糖/リットルと評価された。
【0038】
甘味料と組み合わせたNOの甘みをつける力の評価
試験は、甘味料(アスパルテームおよびアセスルファムK)と組み合わせたNOの甘みをつける力を評価するために組まれた。
アスパルテームおよびアセスルファムKの甘みをつける力は、200に等しいと判断される。
【0039】
甘みをつけるプロフィールは、以下の3点について特徴付けられる:
−頂点;
−中心点;
−最下点。
【0040】
ショ糖、アスパルテームおよびアセスルファムKは、相補的である:
−アスパルテームは、考慮すべき頂点を有し、甘いフレーバーは急速に低下するが、飲み込んだ後考慮すべき残留性を示す;
−ショ糖は、高い中心点を有する;
−アセスルファムKは、強い最下点により特徴づけられ、金属的な後味を伴う。
【0041】
・試験の機構
−砂糖を含まない飲料が導入された;
−飲料は、以下のマトリックスに従って飽和された(10℃)。
【表4】

【0042】
・結果の概要
製品は、感覚分析パネルにより食味された:
−ショ糖を含有する製品に関して示される所見は、上述した試験において示されたものと同一であり;甘みをつける力は、約80gのショ糖/リットルであると再び評価され、標準的な甘みをつける力(90gのショ糖/リットル)よりもわずかに低い;
−一般的に、甘味料を含有する製品は全て、通常より甘いと判断される。それらの甘みをつける力は、110gのショ糖/リットルであると評価される。それ故、NOと甘味料との組み合わせは、より大きな相乗効果を示し、この場合、NOの力は、上記で30gのショ糖/リットルであると評価された製品単独に対して、80gショ糖/リットルであると見積もられる。
【0043】
−検討中の製品については、70/30混合物が好ましいように思われる;
−NO/アスパルテームの組み合わせが好ましいように思われる;
−ショ糖を完全に含まない場合のアスパルテームと組み合わせたNOの使用は、口の中での満足感(口の中での味に対する濃厚さおよび丸み)の効果を維持する。
【0044】
他の試験は、フレーバースパークリングミネラルウォーターおよび甘みのない飲むナチュラルヨーグルトについて行われ、共に味に対して高い収れん性を有することが認識された。以下に概要を述べる。
【0045】
フレーバーミネラルウォーター
・試験の機構
水のボトルは、部分的に13℃で脱気され、NOを用いて2バールまで再曝気される(あるいは、NOの添加後に目的とするCO/NO比を達成するために部分的に脱気される)。
【0046】
評価のために提案された製品は以下の通りである:
−T1:0.5bNO/1.5bCO (25%NO/75%CO
−T2:1bNO/1bCO (50%NO/50%CO
−T3:1.5bNO/0.5bCO (75%NO/25%CO
−対照:2バールのCOで曝気された標準的なスパークリングミネラルウォーター。
【0047】
・結果の概要
製品は、感覚分析パネル(9人)により食味され、好ましさによる分類が行われた(スコア1(非常によくリンクする)〜4(リンクしない))。
【表5】

【0048】
50%NO/50%COで曝気された製品が、オリジナルの製品に対して明らかに好ましい。このことは、製品の収れん性を減少させるやわらかさの感覚による。
【0049】
他の2つの製品は、オリジナルの製品に対して明らかに好ましいとは言えない。
第1の製品(25%NO/75%CO)は、味をみる人により異なるとは判断されず、NOの量が製品の収れん性を修飾するのに不十分であると予想される。
最後の製品(75%NO/25%CO)は、おそらく、口の中における膨張の感覚により特徴付けられるNOの脱着の問題により拒否される。十分なCOを含まないため、「フラット」であるとも判断される。
【0050】
甘みのない飲むナチュラルヨーグルト
・試験の機構
製品は、以下のように提案される:
【表6】

【0051】
・結果の概要
ここでも、製品が感覚分析パネル(9人)により食味され、好ましさによる分類が行われた(スコア1(非常によくリンクする)〜5(リンクしない))。
【表7】

【0052】
−2バールの飽和圧力を超えることは望ましくない;
−ショ糖を含有する製品は最もよくリンクし;最もリンクしないのは修飾されない製品である;
−ショ糖ベースの製品は、1バールのNOを含有する製品よりも甘みをつける力が高い。ショ糖の用量は、ヨーグルトにおけるNOの溶解性を知ることなく、すなわち、1バールのNOの加圧に対応する甘みをつける力を予め決定することなく固定される;
−1バールのNOを含有する製品は、ベース製品および空気に曝気されたベース製品に好まれる;
−わずかなオーバーランニングは、よくリンクする;
−製品は、NOの使用を通して、オリジナルの製品と比較して滑らかであると判断される。
【0053】
さらなる試験は、中性またはフレーバー(バニラ等)のミルクベースのムースタイプのオバーラン(overrun)デザート製品において行われ、これらの要素を確認することを可能にする。
【0054】
要するに、上述した例は、明確に、当該産業分野で全く新しい方法で実証することを可能にし、NOは、使用の選択された条件下において、各製品に当然適合し、そのいくつかは本明細書を通して甘みをつける力について示されている。
【0055】
Oの甘みをつける力は、適切な場合、ショ糖の全てまたは一部に対する代替として示される。
【0056】
ある適用において、それは、COあるいは農産食品もしくは医薬品または関連する産業の法律により成分または添加物として使用されることが認可されている他の気体との相乗作用において有用に用いられ、甘みをつけるプロフィールを再平衡化すること、ならびに飲料の場合にその脱着の制御を助けることを可能にし、他の気体との割合は製品に応じて変化し得る。
【0057】
高い甘みをつける力のために、ショ糖または当業者が使用する他の甘みをつける物質が少ない割合で有益に補充されてよい。
【0058】
O/ショ糖およびNO/甘味料の組み合わせの相乗効果は、実証された。
糖が全く存在しない場合、添加されたNOは、製品の満足度の喪失を都合よく代償し、口の中における濃厚さおよび丸みを維持する。
【0059】
加えて、純粋またはCOもしくは関連する産業の法律により成分または添加物として使用することが許可された他の気体との混合物として使用する場合、NOは製品の感覚受容性のプロフィールをやわらげ(苦味、収れん性等)、この場合、1気圧に対する飽和をもたらし、製品のわずかなオーバーランニングを許容すると考えられる。
【0060】
アジュバントを添加することによる一酸化二窒素の脱着速度の遅延化:
液体マトリックスへアジュバントを導入することにより、どのように溶解されたCOおよびNOの保持を修飾するかを示すために、研究が行われた。
【0061】
試験は、鉱質除去された9℃の水900mlを用いて行われ、純粋なCOまたは純粋なNOを(第1に)用いて約3バールの圧力で飽和させ、量を変化させた所定のアジュバント(単糖類、多糖類、アミノ酸)を補充した。アジュバントなし(対照)およびアジュバントありのマトリックスに溶解された気体の脱着速度を比較した。以下に添付する図1に示されるグラフは、表示を通して、開封後(脱気)およびボトルを再び閉じた後のボトルにおいて観察される圧力の時間的な変化を示し;脱気において、ボトルにおける圧力は気圧と等しく(相対的な内部圧力0)、ボトルを閉じるとすぐに、溶解された気体は早くまたは遅く脱着し、圧力の増大を引き起こす。我々は、対照の場合およびアジュバントを加えたマトリックスの場合において、再び閉じた後30分後の圧力を比較することにより、気体の脱着の傾向を評価する。
【0062】
単糖類の場合
−液体への少量(0.1g)のフルクトースの添加は、COの脱着速度に実質的に影響を及ぼさず、一方、より多い量(5g)の場合、脱着速度は大いに低下し、脱気後ボトルを閉じて30分経過した後、対照と比較して圧力が50%低下した。逆に、NOの場合において、非常に少量(0.1g)のフルクトースは、30分後に約50%圧力を低下させるのに十分であり、より多い溶解量(5g)の場合には、圧力の比例した低下を引き起こさない。
【0063】
マンニトールの添加は、COおよびNOの脱着速度を低下させるが、非常に低い濃度において、脱気後閉めて30分間置いたボトルの圧力は、0.1gの濃度の場合は対照に対して約30%であり、0.2gの濃度の場合は60%である。
【0064】
ソルボースの添加は、少ない量でも匹敵する様式でCOおよびNOの脱着速度を低下させる:0.1gの場合、30分後のボトルの圧力は対照の約40%であり;0.2gの場合、対照の約30%に圧力が低下する。
【0065】
全体的に、同量(0.1g)の単糖類に関して、マンニトールおよびソルボースはフルクトースよりもCOを保持する。NOの場合、非常に少量のフルクトースは、脱着をかなり減少させることが可能であり、静水への適用に対して非常に有益である。
【0066】
多糖類の場合
低くメチル化されたペクチンは、等しい量において(0.1g)、高くメチル化されたペクチンよりも効率的にCOを保持する:30分後の圧力は、それぞれ対照の50%および80%である。NOの場合、2つのタイプのペクチンが30分後に同じ効果を有する(対照の圧力の40%)。この挙動は、特に柑橘類の飲料において有益である。
【0067】
デンプンは、COおよびNOの脱着速度を減少させる。液相に存在するデンプンの量は、NOの脱着速度に影響しないように思われる(0.1gおよび0.2gの場合、30分後に対照の25%の圧力)。一方、デンプンの質量を増大させた場合、COの脱着速度は低下する(0.1gの場合は対照の80%の圧力、0.2gの場合は対照の50%の圧力)。
【0068】
ラムダ-カラゲナート(0.1g)は、COの脱着速度を低下させ(30分後に対照の50%の圧力)、一方、カッパ-カラゲナート(0.1g)は、脱着速度を増大させる(30分後に対照の130%の圧力)。一方、ラムダ-カラゲナート(0.1g)は、NOの脱着において実質的に影響せず、カッパ-カラゲナート(0.1g)は、その脱着を低下させる(30分後に対照の圧力の40%)。
【0069】
ゴム0.1gの存在(アラビアゴム、グアーゴム、デキストランゴム)は、COの脱着に実質的に影響を及ぼさない。ゴムの量が増大した場合、この脱着は低下する。キサンタンガムは、異なる結果を与える:0.1gの場合、30分後の圧力は対照の30%であり、0.2gの場合は80%である。NOの場合、少量のアラビアゴム、グアーゴムおよびデキストランゴムの存在は、脱着において考慮すべき低下を引き起こし、より多い量の場合、限られた影響のみ有する。キサンタンガムは、COに関する限り、以下のように振る舞う(0.1gの場合、30分後に対照の25%の圧力、0.2gの場合は対照と同等)。
【0070】
アミノ酸の場合
3つのアミノ酸について試験した:プロリン、セリンおよびバリン。同量のアミノ酸(0.1g)について、セリンは、バリンおよびプロリンよりも脱着を遅延する。これは、COおよびNOについて当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】開封後(脱気)およびボトルを再び閉じた後のボトルにおいて観察される圧力の時間的な変化。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品、特に農産食品または医薬品の製造方法であって、前記製品は液体または半液体のマトリックスを含んでなる組成を有し、前記方法は、甘みをつける力を有する物質を添加するステップを含んでなり、前記甘みをつける力を有する物質は、全部または部分的に、一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物の製品への組み込みからなること、ならびに1以上のアジュバントが前記製品の組成に添加されることを特徴とし、前記アジュバントは、一酸化二窒素NOを含んでなる気体または気体の混合物が一度前記気体または気体の混合物が組み込まれた前記マトリックスから脱着する動態を遅くすることを可能にする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは単糖類の群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは、フルクトース、マンニトールのようなポリオール、ソルボースからなる群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは多糖類の群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは、ペクチン、デンプン、カラゲナート、アラビアゴム、グアーゴム、デキストランゴムおよびキサンタンガムのようなゴムからなる群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つはアミノ酸の群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは、プロリン、セリンおよびバリンからなる群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、前記組成は前記液体または半液体マトリックス中に脂肪相を含んでなることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の製品の製造方法であって、前記アジュバントの少なくとも1つは、前記NOを含んでなる気体または気体の混合物を組み込む前に前記液体または半液体マトリックスに添加される脂肪相であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の製品の製造方法であって、前記気体または気体の混合物の組み込みは以下の方法で行われることを特徴とする方法:
−前記製品の初期の組成には存在しない付属の脂肪相が提供される;
−前記気体または気体の混合物の組み込みが、前記付属の脂肪相に対して行われる;
−前記方法により「一酸化二窒素を含んでなる」状態にされた前記付属の脂肪相は、前記組成に組み込まれ、製品を形成する。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、前記気体はNOのみからなることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、前記気体はCOとの混合物としてのNOからなることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、前記気体は、農産食品または医薬品の成分または添加物として使用するための規制により認可された1以上の気体との混合物としてのNOからなることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、前記甘みをつける物質は、通常の甘みをつける物質も前記製品に組み込まれるという事実により、一部のみ、前記気体または気体の混合物の組み込みからなることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の製品の製造方法であって、前記組み込まれる通常の甘みをつける物質は、糖もしくは甘味料またはそれらの混合物であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、製造される製品は液体であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の製品の製造方法であって、製造される製品は飲料であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の製品の製造方法であって、製造される製品は乳飲料であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、製造される製品は柔らかい製品であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の製品の製造方法であって、製造される製品はオーバーラン製品であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、製造される製品はヨーグルトまたはアイスクリームからなる群の一部であることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の製品の製造方法であって、製造される製品は、一酸化二窒素を含有する気体または気体の混合物が製造方法の1つのステップの間に組み込まれる固体の製品であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法により得られる製品。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−517507(P2010−517507A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553804(P2008−553804)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/FR2007/050745
【国際公開番号】WO2007/090985
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】