説明

農薬を含むポリウレタンの分散液

本発明は、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液を植物又は植物の部分に施用する方法に関する。本発明は、さらに、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応物生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液にも関する。本発明は、さらに、該分散液をそれぞれの有害生物、それらの環境及び/若しくはそれぞれの有害生物から保護すべき植物及び植物の部分、土壌、並びに/又は、望ましくない植物及び/若しくは有用な植物及び/若しくはそれらの環境に作用させることによる、植物病原性菌類及び/若しくは望ましくない植物の成長及び/若しくは望ましくない昆虫類若しくはダニ類の発生を防除するための、並びに/又は、植物の成長を調節するための、上記分散液の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液を植物又は植物の部分に施用する方法に関する。本発明は、さらに、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応物生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液にも関する。さらに、本発明は、該分散液をそれぞれの有害生物、それらの環境及び/若しくはそれぞれの有害生物から保護すべき植物若しくは植物の部分、土壌、並びに/又は、望ましくない植物及び/若しくは有用な植物及び/若しくはそれらの環境に作用させることによる、植物病原性菌類及び/若しくは望ましくない植物の成長及び/若しくは望ましくない昆虫類若しくはダニ類の攻撃を防除するための、並びに/又は、植物の成長を調節するための、上記分散液の使用にも関する。好ましい態様と別の好ましい態様の組合せは、本発明に包含される。
【背景技術】
【0002】
植物は、気候要因に晒されるのみではなく、有害生物による攻撃にも晒される。そのような有害生物としては、細菌類、酵母菌類、ウイルス類などがあるが、主として、昆虫類及び有害な菌類などを挙げることができる。それらは、侵入するために、植物の表面、植物の部分又は傷を利用する。従って、植物の表面、気孔又は傷を充分に保護することが必要である。
【0003】
一連の植物病原体(例えば、細菌類、酵母菌類、ウイルス類、主として、有害な菌類)が、木質部分の傷(ここで、該木質部分は、例えば、果樹の日常の剪定によって、又は、ブラウジングゲーム(browsing game)によって、及び、接ぎ木法によって、傷を受ける)に侵入し、そこから植物全体に感染するということは知られている。そのような感染は、その木材の質の低下、当該植物の病害又は収穫高の低減、さらには、その木質部分における結実能力の低下又は当該植物の枯死を引き起こし得る。この損傷は、多くの場合、回復不能である。傷を介したそのような感染を回避するために、木質部分における傷は、一般に、例えば蝋質の剪定用化合物を用いて、空気及び水に対して密封される。前世紀の30年代から、木の傷(例えば、ブドウの木における剪定による傷)をタール又は消毒活性を有する物質で密封することは知られていた。表面を処理するために、及び、植物の傷を密封するために、さまざまな樹脂様物質が使用されてきた。最初は、タール又は瀝青が好まれた。しかしながら、これらの物質は、時間の経過に伴って脆くなり、病原体によるその後の攻撃を許してしまう。
【0004】
近代においては、ブドウの木における木本の病害エスカ(Esca)(ギリシャ語において「腐った木材」を意味する「yska」に由来する)が、ブドウ栽培においてますます問題になってきている。エスカ(Esca)は、菌類病原体の複合物を含む。文献によれば、エスカ(Esca)の病徴に関連してきた病原体は、ホミチポリア・プンクタタ(Fomitiporia punctata)(異名 フェリヌス・プンクタツス(Phellinus punctatus))、ホミチポリア・メジテラナ(Fomitiporia mediterrana)、ファエオアクレモニウム属種(Phaeoacremonium spp.)、ファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及びファエオモニエラ・クラミドスポルム(Phaemoniella chlamydosporum)である。エスカ(Esca)が感染したブドウの木の木質部分から単離された特定の菌類は、ホミチポリア・メジテラナ(Fomitiporia mediterrana)(心材腐朽菌(heart rot fungus))である。病原体によるブドウの木への定着は、数ヶ月にわたって感染に対して感受性を示す傷を介して、特に、剪定による傷を介して起こる。風で運ばれる胞子又は分生子が剪定による傷に到達し、ブドウの木の内部に向かって成長する。木質部分の感染は数年かけて広がり、その後、最初の病徴が現れる。木質部が腐朽し、維管束が破壊される。感染した木質部を農園から除去することによって感染の可能性を最小化することを除いて、エスカ(Esca)に対する効果的な保護手段は今日まで知られていない。ブドウの木の剪定後の開放創の機械的な保護は、剪定による切断面に病原体の侵入を防止する傷密封剤(wound sealant)を塗布することによって達成することができる。
【0005】
WO 07/110354には、エスカ(Esca)の感染を治療的及び保護的に処理するためのストロビン類の使用が記載されている。
【0006】
WO 09/040339には、溶解された形態又は分散された形態にある水不溶性密封剤、植物保護剤、揮発性希釈剤及び該密封剤に基づいて10〜100重量%の量の非イオン性界面活性物質を含む液体組成物が開示されている。該密封剤は、例えば、ポリウレタンであり得る。その不利な点は、その組成物中の界面活性物質の含有量が多いということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第07/110354号
【特許文献2】国際公開第09/040339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、植物の表面又は植物の部分の表面に保護層を施用する方法を見いだすことであった。そのような方法は、単純な施用(例えば、散布による施用)を可能とするようなものであるべきである。さらなる目的は、当該方法が耐久性のある保護層をもたらすべきであるということであった。特に、本発明の目的は、木本植物の菌類病を保護的に処理するための方法、特に、ブドウの木におけるエスカ(Esca)を処理するための方法を見いだすことであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、ポリウレタン〔ここで、該ポリウレタンは、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であり、その際、該ポリイソシアネートは何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む〕の農薬含有水性分散液を植物又は植物の部分に施用する方法によって解決された。
【0010】
従って、本発明の第1の対象は、ポリウレタンの農薬含有水性分散液を植物又は植物の部分に施用する当該方法に関する。さらなる対象は、ポリウレタン〔ここで、該ポリウレタンは、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であり、その際、該ポリイソシアネートは何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む〕の農薬含有水性分散液である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
該ポリウレタンは、通常、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であり、ここで、該ポリイソシアネートは何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む。該ポリウレタンは、好ましくは、少なくとも1種類のポリオールと少なくとも1種類のポリイソシアネートとアミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の少なくとも1種類の塩(C)の反応生成物であり、ここで、該ポリイソシアネートは、何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む。該ポリウレタンは、特に好ましくは、少なくとも1種類のポリオールと少なくとも1種類のポリイソシアネートとアミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の少なくとも1種類の塩と少なくとも1種類の鎖延長剤(D)(ここで、該鎖延長剤は、ジオール、ジアミン、アミノアルコール又は水である)の反応生成物であり、ここで、当該ポリイソシアネートは、何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む。
【0012】
適切なポリオール(A)は、少なくとも2のヒドロキシル基を有する化合物、例えば、低分子量のジオール又はポリオール、及び、高分子量ポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートポリオール及びポリエーテルジオール、並びに、それらの混合物である。良好な塗膜形成能及び弾性を目的として、適切なポリオールは、主に、約500〜6000g/molの分子量、好ましくは、約1000〜3000g/molの分子量を有する高分子量ポリオールである。該ポリオールは、好ましくは、ポリエステロール(polyesterol)、特に、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸で構成されるポリエステルポリオールである。該ポリエステロールは、好ましくは、10000g/mol未満の分子量、好ましくは、500〜6000g/molの分子量、特に、800〜4000g/molの分子量を有する。
【0013】
適切なポリエステルポリオールの例は、例えば「Ullmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie, 第4版, 第19巻, 第62〜65頁」から知られている、ポリエステルポリオールである。ジオールをジカルボン酸と反応させることによって得られるポリエステルポリオールを使用するのが好ましい。ポリエステルポリオールを生成させるために、ジカルボン酸の代わりに、対応するカルボン酸無水物又は対応するカルボン酸と低級アルコールのエステル又はそれらの混合物を使用することも可能である。該ジカルボン酸は、脂肪族、シクロ脂肪族(cycloaliphatic)、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族若しくはヘテロ環式であることが可能であり、並びに、例えばハロゲン原子で、場合により置換されていてもよく、及び/又は、不飽和であり得る。挙げることができる例は、以下のとおりである:スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、アルケニルコハク酸、フマル酸、二量体脂肪酸。好ましいのは、一般式 HOOC-(CH2)y-COOH〔式中、yは、1〜20の数、好ましくは、2〜20の偶数である〕で表される脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸である。
【0014】
該ポリエステルポリオールを調製するのに適しているジオールは、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、ビス-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン〔例えば、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン〕、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、さらに、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコールなどである。好ましいのは、一般式 HO-(CH2)x-OH〔式中、xは、2〜20の数、好ましくは、2〜12の偶数である〕で表される脂肪族ジオールである。その例は、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール及びドデカン-1,12-ジオールである。さらにまた、ネオペンチルグリコール及びペンタン-1,5-ジオールも好ましい。
【0015】
ラクトン類に基づくポリエステルジオールも適しており、これは、ラクトンホモポリマー又は混合ポリマーの形態、好ましくは、ラクトンと適切な二官能性スターター分子(starter molecule)の末端ヒドロキシル基を有する付加体の形態をとる。適切なラクトンは、好ましくは、一般式 HO-(CH2)z-COOH〔式中、zは、1〜20の数であり、及び、メチレン単位の1個のH原子は、C1-C4-アルキル基で置換され得る〕で表される化合物から誘導されるラクトンである。その例は、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン及び/又はメチル-ε-カプロラクトン並びにそれらの混合物である。適切なスターター成分の例は、ポリエステルポリオールについての構造成分として上記で挙げられている低分子量二価アルコールである。ε-カプロラクトンの対応するポリマーが特に好ましい。ラクトンポリマーを調製するためのスターターとして使用し得る別のものは、低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールである。上記ラクトンポリマーの代わりに、当該ラクトン類に対応するヒドロキシカルボン酸の、化学的に等価な対応する重縮合物を使用することも可能である。
【0016】
ポリオール類として同様に適しているものは、さらにまた、例えばホスゲンをポリエステルポリオールについての構造成分として上記で挙げられている低分子量アルコールの過剰量と反応させることによって得ることが可能な、ポリカーボネートジオールである。
【0017】
ポリオール類として適している別のものは、さらにまた、ポリエーテルジオールである。特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリンを例えばBF3の存在下でそれら自体と重合させることによって得ることができるポリエーテルジオール、又は、これらの化合物を(場合により、混合物として、又は、順次に)反応性水素原子を有する出発成分(例えば、アルコール類、又は、アミン類、例えば、水、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、又は、アニリン)と付加反応させることによって得ることができるポリエーテルジオールである。特に好ましいのは、240〜5000g/molのモル質量を有するポリテトラヒドロフラン、とりわけ、500〜4500g/molのモル質量を有するポリテトラヒドロフランである。さらに、ポリエステルジオールとポリエーテルジオールの混合物をモノマーとして使用することも可能である。
【0018】
適切なポリイソシアネート(B)は、式 X(NCO)2〔式中、Xは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有するシクロ脂肪族若しくは芳香族の炭化水素基又は7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素基である〕で表されるポリイソシアネートである。そのようなポリイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,5,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,2-ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、2,6-ポリイソシアナトトルエン、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、p-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)の異性体(例えば、トランス/トランス異性体、シス/シス異性体、及び、シス/トランス異性体)及びこれらの化合物からなる混合物である。ポリイソシアネートのさらなる例は、上記ジイソシアネート類のビウレット及びシアヌレート、並びに、遊離イソシアネート基に加えてキャップされたイソシアネート基(例えば、イソシアヌレート基、ビウレット基、尿素基、アロファネート基、ウレトジオン(uretdione)基,又は、カルボジイミド基)も有しているジイソシアネート類のオリゴマー生成物である。好ましいポリイソシアネートは、1-イソシアナト-3,5,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(HMDI)である。これらのイソシアネートの混合物、例えば、ジイソシアナトトルエン及びジイソシアナトジフェニルメタンのそれぞれの構造異性体の混合物、例えば、80mol%の2,4-ジイソシアナトトルエンと20mol%の2,6-ジイソシアナトトルエンの混合物、芳香族イソシアネート(例えば、2,4-ジイソシアナトトルエン及び/又は2,6-ジイソシアナトトルエン)と脂肪族若しくはシクロ脂肪族のイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、又は、IPDI)の混合物なども適している。脂肪族又はシクロ脂肪族のイソシアネートと芳香族イソシアネートのモル比は、殆どの場合、10:1〜1:10であり、好ましくは、1:2〜1:6である。
【0019】
アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の適切な塩(C)は、脂肪族アミノカルボン酸の塩又は脂肪族アミノスルホン酸の塩である。好ましいのは、低級脂肪族第1級ジアミン(例えば、エチレンジアミン)と不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、又は、マレイン酸)の付加体のアルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩、及び、カリウム塩)、及び、リシンのアルカリ金属塩である。プロパンスルホンと脂肪族第1級ジアミンの付加体のアルカリ金属塩も、適切である。特に好ましいのは、脂肪族アミノカルボン酸〔特に、エチレンジアミンと不飽和脂肪族カルボン酸塩(例えば、(メタ)アクリレート)の付加体〕の塩である。
【0020】
アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の塩は、該ポリウレタンを基準として、殆どの場合、0.01〜2重量%(好ましくは、0.05〜1重量%)の量で存在するであろう。塩(C)を含むポリウレタン類は、一般に知られており、そして、例えば、GB1584865、GB1339357又はGB1329565などに記載されている。
【0021】
適切な鎖延長剤(D)は、ジオール、ジアミン、アミノアルコール又は水であり、好ましくは、ジオールである。ジオールは、例えば、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ジエチレングリコール又はジプロピレングリコールなどであり、好ましくは、ブタン-1,4-ジオール又はネオペンチルグリコールである。ジアミンは、例えば、エチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン又はジアミノジフェニルメタンである。
【0022】
上記イソシアネート基と、イソシアネートと反応することが可能なヒドロキシル基及びアミノ基は、ほぼ等モル比で使用するべきである。イソシアネート基の数と、イソシアネートと反応することが可能な水素原子の総数の比率は、0.9〜1.2の範囲内にあるべきであり、好ましくは、1.0〜1.1の範囲内にあるべきである。成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)は、(A)の(B)に対する比率及び(A)の(C)と(D)の総量に対する比率が、A:B:(C+D)=1:2:1〜1:14:13の範囲内にあるようなモル比で使用するべきである。1:4:3〜1:10:9の範囲が特に有利である。
【0023】
該ポリウレタンは、場合により加圧下に、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)を溶融状態で又は沸点が100℃未満の水混和性不活性有機溶媒(例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、又は、メチルエチルケトン)の存在下で反応させて末端イソシアネート基を有するプレポリマーを生成させることにより、それ自体公知の方法(例えば、GB1584865、GB1339357又はGB1329565に記載されている方法)で調製する。ここで、該ポリイソシアネートは、連続して、(A)及び鎖延長剤(D)と、互いの混合物として又は上記順序で、反応させることができる。(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートの混合物を使用するときは、多くの場合、(B)を互いの混合物として使用すれば充分であろう。それらを(A)及び(D)と連続して反応させる場合、当該反応生成物が末端(シクロ)脂肪族イソシアネート基を特徴として有することに加えて中心部分に芳香族ジイソシアネート及び鎖延長剤を特徴として有することを確実なものとするために、最初に芳香族イソシアネートを使用し、次に(シクロ)脂肪族イソシアネートを使用するのが有利である。(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートの混合物を段階的反応に付す場合、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートを添加する前に芳香族ジイソシアネートを完全に反応させることは必要ではなく、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートは、多くの場合、芳香族ジイソシアネートの一部のみが反応した時間内の時点で既に添加することができる。結果として生じた、末端脂肪族イソシアネート基又は末端シクロ脂肪族イソシアネート基を有しているポリウレタンは、場合により、イソシアネート基に対して不活性な沸点が100℃未満の水混和性溶媒で(さらに)希釈し、及び、20〜50℃の温度で、塩(C)の溶液(好ましくは、水溶液)で処理する。塩(C)とイソシアネート基の反応は、自発的に起こり、結果として、鎖は延長される。結果として生じたポリウレタン(これは、塩様基が組み入れられている)の溶液に撹拌しながら水を入れることができ、有機溶媒は蒸留によって除去することができる。これにより、蒸発によって濃縮することが可能な微粉化された安定な分散液が得られる。一般に、固形分が20〜60重量%(特に、30〜50重量%)の溶媒非含有分散液が好ましい。ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸スズ(II)又は1,II-ジアゾビシクロ-(2,2,2)-オクタンなどの既知触媒を使用して、当該ポリイソシアネートの反応を促進することができる。
【0024】
該ポリウレタンの分散液は、エマルション又は懸濁液として存在することが可能である;好ましくは、該ポリウレタンは、懸濁させる。概して、該ポリウレタン粒子は、D50値が0.05〜10μm(好ましくは、0.1〜5μm)である粒径分布を有する。ここで、D50値は動的光散乱法によって決定することができる。
【0025】
該農薬含有水性分散液は、任意の農薬を含有し得る。用語「農薬(pesticide)」は、殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、殺鼠剤、薬害軽減剤及び/又は成長調節剤の群から選択される少なくとも1種類の活性物質を意味する。好ましい農薬は、殺菌剤、殺虫剤、殺鼠剤及び除草剤である。上記種類のうちの2種以上から選択される農薬の混合物を使用することもできる。当業者は、そのような農薬に精通しており、ここで、該そのような農薬は、例えば、「Pesticide Manual, 14th Ed. (2006), The British Crop Protection Council, London」の中に見いだすことができる。
【0026】
適切な殺菌剤は、以下のとおりである:
(A) ストロビルリン系:
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、N-メチル-2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチルフェノキシ)-5-フルオロピリミジン-4-イルオキシ)フェニル)-2-メトキシイミノアセトアミド、2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリル酸メチルエステル、3-メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドイルスルファニルメチル)フェニル)アクリル酸メチルエステル、N-メチル-2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチルアリリデンアミノオキシメチル)フェニル-2-メトキシイミノアセトアミド;
(B) カルボキサミド系:
・ カルボアニリド系:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、イソピラザム、イソチアニル、キララキシル、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、オフラセ、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、テクロフタラム、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチルチアゾール-5-カルボキシアニリド、2-クロロ-N-(1,1,3-トリメチルインダン-4-イル)ニコチンアミド、N-(2',4'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2',4'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2',5'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',5'-ジクロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3'-クロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2'-クロロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-[2-(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-[2-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)フェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチルブチル)フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-クロロ-3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-クロロ-3',5'-ジフルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',4'-ジクロロ-5'-フルオロビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',5'-ジフルオロ-4'-メチルビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(3',5'-ジフルオロ-4'-メチルビフェニル-2-イル)-3-トリフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(シス-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(トランス-2-ビシクロプロピル-2-イルフェニル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-[1,2,3,4-テトラヒドロ-9-(1-メチルエチル)-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
・ カルボン酸モルホリド系:ジメトモルフ、フルモルフ;
・ ベンズアミド系:フルメトベル、フルオピコリド、フルオピラム、ゾキサミド、N-(3-エチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル)-3-ホルミルアミノ-2-ヒドロキシベンズアミド;
・ 他のカルボキサミド系:カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファム、N-(6-メトキシピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキサミド;
(C) アゾール系:
・ トリアゾール系:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキシポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、1-(4-クロロフェニル)-2-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)シクロヘプタノール;
・ イミダゾール系:シアゾファミド、イマザリル、硫酸イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
・ ベンゾイミダゾール系:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
・ その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、2-(4-クロロフェニル)-N-[4-(3,4-ジメトキシフェニル)イソオキサゾール-5-イル]-2-プロパ-2-イニルオキシアセトアミド;
(D) 窒素含有ヘテロシクリル化合物:
・ ピリジン系:フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロフェニル)-2,3-ジメチルイソオキサゾリジン-3-イル]ピリジン、3-[5-(4-メチルフェニル)-2,3-ジメチルイソオキサゾリジン-3-イル]ピリジン、2,3,5,6-テトラクロロ-4-メタンスルホニルピリジン、3,4,5-トリクロロピリジン-2,6-ジカルボニトリル、N-(1-(5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)エチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド、N-((5-ブロモ-3-クロロピリジン-2-イル)メチル)-2,4-ジクロロニコチンアミド;
・ ピリミジン系:ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェナリモール、フェリムゾン、メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモール、ピリメタニル;
・ ピペラジン系:トリホリン;
・ ピロール系:フルジオキソニル、フェンピクロニル;
・ モルホリン系:アルジモルフ、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
・ ピペリジン系:フェンプロピジン;
・ ジカルボキシイミド系:フルオルイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
・ 非芳香族5-ヘテロ環式環系:ファモキサドン、フェンアミドン、オクチリノン、プロベナゾール、5-アミノ-2-イソプロピル-3-オキソ-4-オルト-トリル-2,3-ジヒドロピラゾール-1-チオカルボン酸S-アリルエステル;
・ その他:アシベンゾラル-S-メチル、アミスルブロム、アニラジン、ブラストサイジン-S、カプタホール、キャプタン、キノメチオネート、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコート-メチル硫酸塩、フェノキサニル、ホルペット、オキソリン酸、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリアゾキシド、トリシクラゾール、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール、5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、6-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-(4-tert-ブチルフェニル)-5-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メチル-6-(3,5,5-トリメチル-ヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-メチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-エチル-5-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-エチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-オクチル-5-プロピル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、5-メトキシメチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、6-オクチル-5-トリフルオロメチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン、及び、5-トリフルオロメチル-6-(3,5,5-トリメチルヘキシル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン;
(E) カーバメート系及びジチオカーバメート系:
・ チオカーバメート系及びジチオカーバメート系:ファーバム、マンゼブ、マンネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チウラム、ジネブ、ジラム;
・ カーバメート系:ジエトフェンカルブ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、塩酸プロパモカルブ、バリフェナール(valiphenal)、N-(1-(1-(4-シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ-2-イル)カルバミン酸4-フルオロフェニル;
(F) 別の殺菌剤
・ グアニジン系:ドジン、ドジン(遊離塩基)、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジン三酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩;
・ 抗生物質:カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシン-A;
・ ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジクロラン、ジノブトン、ジノカップ、ニトロタール-イソプロピル、テクナゼン;
・ 有機金属化合物:フェンチン塩、例えば、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ;
・ 硫黄含有ヘテロシクリル化合物:ジチアノン、イソプロチオラン;
・ 有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロベンホス、亜リン酸及びその塩、ピラゾホス、トルクロホス-メチル;
・ 有機塩素化合物:クロロタロニル、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロロフェノール及びその塩、フタリド、キントゼン、チオファネート-メチル、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)-N-エチル-4-メチルベンゼンスルホンアミド;
・ 無機活性成分:亜リン酸及びその塩、ボルドー液、銅塩、例えば、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
・ その他:ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニルアミン、メトラフェノン、ミルディオマイシン、オキシン銅、プロヘキサジオン-カルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロメトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン。
【0027】
適切な成長調節剤は、以下のとおりである:
アブシジン酸、アミドクロル、アンシミドール、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノリド、ブトラリン、クロルメコート(クロルメコートクロリド)、コリンクロリド、シクラニリド、ダミノジット、ジケグラック、ジメチピン、2,6-ジメチルプリジン、エテホン、フルメトラリン、フルルプリミドール、フルチアセット、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、インドール-3-酢酸、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピコート(メピコートクロリド)、メトコナゾール、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン(プロヘキサジオン-カルシウム)、プロヒドロジャスモン、チジアズロン、トリアペンテノール、トリブチルホスホロトリチオエート、2,3,5-トリヨード安息香酸、トリネキサパック-エチル、及び、ウニコナゾール。
【0028】
適切な除草剤は、以下のとおりである:
・ アセトアミド系:アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、フルフェナセット、メフェナセット、メトラクロール、メタザクロール、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロール、テニルクロール;
・ アミノ酸類似体:ビラナホス、グリホセート、グルホシネート、スルホセート;
・ アリールオキシフェノキシプロピオン酸系:クロジナホップ、シハロホップ-ブチル、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ-P-テフリル;
・ ビピリジル系:ジクワット、パラコート;
・ カーバメート系及びチオカーバメート系:アシュラム、ブチレート、カルベタミド、デスメジファム、ジメピレート、エプタム(EPTC)、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、フェンメジファム、プロスルカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカーブ、トリアレート;
・ シクロヘキサンジオン系:ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム;
・ ジニトロアニリン系:ベンフルラリン、エタルフルラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、トリフルラリン;
・ ジフェニルエーテル系:アシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、ジクロホップ、エトキシフェン、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン;
・ ヒドロキシベンゾニトリル系:ブロモキシニル、ジクロベニル、アイオキシニル;
・ イミダゾリノン系:イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル;
・ フェノキシ酢酸系:クロメプロップ、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4-DB、ジクロルプロップ、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、メコプロップ;
・ ピラジン系:クロリダゾン、フルフェンピル-エチル、フルチアセット、ノルフルラゾン、ピリデート;
・ ピリジン系:アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ピクロラム、ピコリナフェン、チアゾピル;
・ スルホニル尿素系:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、1-((2-クロロ-6-プロピルイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)スルホニル)-3-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イル)尿素;
・ トリアジン系:アメトリン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、エチオジン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シマジン、テルブチラジン、テルブトリン、トリアジフラム;
・ 尿素系:クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン、フルオメツロン、イソプロツロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン;
・ 別のアセト乳酸シンターゼ阻害薬:ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾン、フルメトスラム、メトスラム、オルソ-スルファムロン、ペノキススラム、プロポキシカルバゾン、ピリバムベンズ-プロピル(pyribambenz-propyl)、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリミスルファン、ピリチオバック、ピロキサスルホン、ピロキシスラム;
・ その他:アミカルバゾン、アミノトリアゾール、アニロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフルレセート(benfluresate)、ベンゾフェナップ、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブロマシル、ブロモブチド、ブタフェナシル、ブタミホス、カフェンストロール、カルフェントラゾン、シニドン-エチル、クロルタル、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、シプロスルファミド(cyprosulfamide)、ジカンバ、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、ドレクスレラ・モノセラス(Drechslera monoceras)、エンドタール、エトフメセート、エトベンザニド、フェントラザミド、フルミクロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルポキサム、フルオロクロリドン、フルルタモン、インダノファン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、プロパニル、プロピザミド、キンクロラック、キンメラック、メソトリオン、メチルヒ酸(メチルarsenic acid)、ナプタラム、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペントキサゾン、ピノキサデン、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、ピラスルホトール(pyrasulfotol)、ピラゾキシフェン、ピラゾリネート、キノクラミン、サフルフェナシル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、ターバシル、テフリルトリオン、テンボトリオン、チエンカルバゾン、トプラメゾン、4-ヒドロキシ-3-[2-(2-メトキシエトキシメチル)-6-トリフルオロメチルピリジン-3-カルボニル]ビシクロ[3.2.1]オクト-3-エン-2-オン、(3-[2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル)フェノキシ]ピリジン-2-イルオキシ)酢酸エチル、6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピル-ピリミジン-4-カルボン酸メチル、6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチルフェノキシ)-ピリダジン-4-オール、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロフェニル)-5-フルオロピリジン-2-カルボン酸、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチル、及び、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-3-ジメチルアミノ-2-フルオロフェニル)ピリジン-2-カルボン酸メチル。
【0029】
適切な殺虫剤は、以下のとおりである:
・ 有機(チオ)リン酸エステル系:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ダイスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシジメトン-メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロロビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;
・ カーバメート系:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカーブ、プロポクスル、チオジカルブ、トリアザメート;
・ ピレスロイド系:アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリン I、ピレトリン II、レスメトリン、シラフルオフェン、タウ-フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン;
・ 昆虫成長阻害薬: (a)キチン合成阻害薬:ベンゾイル尿素系:クロルフルアズロン、シロマジン(cyramazin)、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェンジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンテジン(clofentazine); (b)エクジソン拮抗薬:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;(c) 幼若ホルモン様作用物質(juvenoid):ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;(d) 脂質生合成阻害薬:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
・ ニコチン受容体作動薬/拮抗薬:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、1-(2-クロロチアゾール-5-イルメチル)-2-ニトロイミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン;
・ GABA拮抗薬:エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチルフェニル)-4-スルフィナモイル-1H-ピラゾール-3-チオ-カルボキサミド;
・ 大環状ラクトン系:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、スピネトラム;
・ ミトコンドリア電子伝達鎖阻害薬 (METI) I 殺ダニ薬:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;
・ METI II 及び III 物質:アセキノシル、フルアシプリム(fluacyprim)、ヒドラメチルノン;
・ デカップラー:クロルフェナピル;
・ 酸化的リン酸化の阻害薬:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
・ 昆虫脱皮阻害薬:クリオマジン(cryomazine);
・ 「混合機能オキシダーゼ」の阻害薬:ピペロニルブトキシド;
・ ナトリウムチャンネル遮断薬:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
・ その他:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアジピル(cyazypyr)(HGW86);シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン、及び、ピリフルキナゾン。
【0030】
該農薬は、好ましくは、少なくとも1種類の殺菌剤、特に、ストロビルリン系又はカルボキシアニリド系の部類から選択される少なくとも1種類の殺菌剤である。該農薬は、特に好ましくは、ピラクロストロビン、ボスカリド又はピラクロストロビンとボスカリドの混合物である。好ましいさらなる実施形態では、該農薬は、ボスカリドを含む。好ましいさらなる実施形態では、該農薬は、ボスカリドとピラクロストロビンを含む。好ましいさらなる実施形態では、該農薬は、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)を含む。
【0031】
該分散液中の農薬の量は、主として、施用のタイプに依存する。概して、農薬とポリウレタンの間の重量比は、1:100〜1:1の範囲内にあり、特に、1:80〜1:2の範囲内にあり、とりわけ、1:50〜1:5の範囲内にある。
【0032】
通常、該分散液は、2〜500mPasの範囲内、好ましくは、5〜100mPasの範囲内、特に、10〜50mPasの範囲内の粘度(25℃及び剪断速度100s-1で測定された真粘度(true viscosity))を有する。
【0033】
殆どの場合、該分散液は製剤助剤を含有し、ここで、助剤の選択は、一般に、特定の用途又はその農薬に依存する。適切な助剤の例は、溶媒、界面活性物質(例えば、界面活性剤、可溶化剤、保護コロイド、湿潤剤、及び、接着剤)、有機増粘剤及び無機増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、場合により着色剤及び固着剤(例えば、種子処理用)である。
【0034】
適切な界面活性物質(アジュバント、湿潤剤、接着剤、分散剤又は乳化剤)は、以下のものである:芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩(Borresperse(登録商標)タイプ:Borregaard, Norway)、フェノールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩(Morwet(登録商標)タイプ:Akzo Nobel, USA)及びジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩(Nekal(登録商標)タイプ:BASF, Germany)、並びに、脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルエーテルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート及び脂肪アルコールスルフェート、並びに、硫酸化ヘキサデカノールの塩、硫酸化ヘプタデカノールの塩及び硫酸化オクタデカノールの塩、並びに、脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、エトキシル化オクチルフェノール又はエトキシル化ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグニン-スルファイト液、並びに、タンパク質、変性タンパク質、多糖(例えば、メチルセルロース)、疎水性物質で変性されたデンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ:Clariant, Switzerland)、ポリカルボキシレート(Sokolan(登録商標)タイプ:BASF, Germany)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)タイプ:BASF, Germany)、ポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)タイプ:BASF, Germany)、ポリビニルピロリドン及びそれらのコポリマー。
【0035】
適切な界面活性剤は、特に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、ブロックコポリマー並びに高分子電解質である。適切なアニオン性界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はカルボキシレートのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩である。スルホネートの例は、アルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、α-オレフィンスルホネート、脂肪酸及び油のスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルホネート、縮合ナフタリンスルホネート、ドデシルベンゼン及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、スルホスクシネート又はスルホスクシナメート(sulfosuccinamate)である。スルフェートの例は、脂肪酸及び油のスルフェート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、又は、脂肪酸エステルのスルフェートである。ホスフェートの例は、ホスフェートエステルである。カルボキシレートの例は、アルキルカルボキシレート及びカルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレートである。
【0036】
適切な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-アルキル化脂肪酸アミド、アミノオキシド、エステル又は糖に基づく界面活性剤である。アルコキシレートの例は、アルコキシル化されたアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸又は脂肪酸エステルなどの化合物である。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド(好ましくは、エチレンオキシド)をアルコキシル化反応に使用することができる。N-アルキル化脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖に基づく界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロース及びグルコースエステル又はアルキルポリグルコシドである。適切なカチオン性界面活性剤は、第4級界面活性剤(例えば、1若しくは2の疎水性基を有する第4級アンモニウム化合物)又は長鎖第1級アミンの塩である。両性界面活性剤の例は、アルキルベタイン及びイミダゾリンである。適切なブロックコポリマーは、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含む「A-B」型又は「A-B-A」型のブロックコポリマー、又は、アルカノール及びポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含む「A-B-C」型のブロックコポリマーである。適切な高分子電解質は、ポリ酸又はポリ塩基である。ポリ酸の例は、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩である。ポリ塩基の例は、ポリビニルアミン又はポリエチレンアミンである。
【0037】
好ましくは、該分散液は、非イオン性界面活性剤を、総量で、10重量%未満しか含まず、特に好ましくは、7重量%未満しか含まず、特に、5重量%未満しか含まず、とりわけ、2重量%未満しか含まない。この非イオン性界面活性剤の含有量を計算するためには、別の目的のために添加された非イオン性界面活性剤〔例えば、アジュバント(例えば、アルコールアルコキシレート)、又は、展着剤(例えば、アルコキシル化アルコール)〕も、その計算に含ませる。
【0038】
アジュバントの例は、以下のものである:有機的に修飾されたポリシロキサン、例えば、Break ThruS 240(登録商標);アルコールアルコキシレート、例えば、Atplus(登録商標)245、Atplus(登録商標)MBA 1303、Plurafac(登録商標)LF、及び、Lutensol(登録商標)ON;EO-POブロックポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)RPE 2035、及び、Genapol(登録商標)B;アルコールエトキシレート、例えば、Lutensol(登録商標)XP 80;並びに、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、例えば、Leophen(登録商標)RA。
【0039】
増粘剤(即ち、組成物に対して改変された流動特性を付与する化合物、即ち、休止状態においては高い粘性を付与し、撹拌されている状態では低い粘性を付与する化合物)の例は、多糖、例えば、キサンタン〔Kelzan(登録商標), CP Kelco Inc; Rhodopol(登録商標)23, Rhodia〕、無機層状鉱物、例えば、マグネシウムアルミニウムシリケート〔Veegum(登録商標)タイプ, R.T. Vanderbilt;Attaclay製アタパルジャイト〕、又は、有機層状シリケート、例えば、第4級アンモニウム塩で処理されたあとのスメクタイト。
【0040】
塗膜形成アジュバントは、特に低温において、施用直後の塗膜の形成を改善するために添加することができる。塗膜形成アジュバントの例は、揮発性炭化水素、例えば、石油留分、白色鉱油、流動パラフィン、グリコール、例えば、ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール、グリコールエーテル、例えば、グリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、1-メトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、2,3-フェノキシプロパノール、グリコールエステル及びグリコールエーテルエステル、例えば、ブチルグリコールアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート、ブチルグリコールジアセテート、メトキシプロピルアセテートである。好ましい塗膜形成アジュバントは、グリコールエーテル、グリコールエステル及びグリコールエーテルエステルであり、特に、ブチルジグリコール及びメトキシプロピルアセテートである。
【0041】
適切な凍結防止剤の例は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、尿素及びグリセロールであり、好ましくは、グリセロール及び1,2-プロピレングリコールである。消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えば、Silikon(登録商標)SRE, Wacker, Germany;又は、Rhodorsil(登録商標), Rhodia, France)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物及びそれらの混合物である。固着剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びセルロースエーテル(Tylose(登録商標), Shin-Etsu, Japan)である。
【0042】
ポリウレタンの農薬含有水性分散液は、任意の植物又は植物の部分に施用することができる。このことは、作付地で生育する植物に(例えば、作付地への広域散布によって、又は、ブドウの木などの植物の特定の部位への標的化(targeted)施用によって)処理することが可能であるということを意味するか、又は、植物から分離された植物の部分を処理することが可能であるということを意味する。植物から分離された植物の部分の例は、種子、根、果実、塊茎、球根、茎の一部、枝の一部及び根茎である。
【0043】
任意のタイプの植物又は任意のタイプの植物から得られる植物の部分を処理することが可能である。その例は、穀類、ビート、果実、マメ科植物、ダイズ、ナタネ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、ウリ科植物、ワタ、柑橘類果実、野菜植物、トウモロコシ、サトウキビ、ギネアアブラヤシ、タバコ、コーヒー、チャ、バナナ、ブドウの木、ホップ、イネ科植物、ゴムの木、観賞植物、森林植物である。使用し得る植物には、品種改良(これは、遺伝子工学的方法を包含する)の結果として、昆虫類、ウイルス類、細菌類若しくは菌類による攻撃に対して又は除草剤の施用に対して耐性を示す植物が包含される。好ましいタイプの植物は、木本植物、特に、果樹、例えば、スモモ、モモ、サクラの木、リンゴ、ナシ、ミラベル及び、特に、ブドウの木である。白ブドウの品種及び赤ブドウの品種〔例えば、Muller-Thurgau、Bacchus、Riesling、Scheurebe、Silvaner、又は、Dornfelder、Lemberger、Tempranillo、及び、Trollinger(赤ブドウの品種として)〕などの任意のブドウ品種のブドウの木を処理することが可能である。好ましいさらなる実施形態では、植物は、ギネアアブラヤシである。
【0044】
該組成物の中に存在している殺菌活性物質に応じて、該組成物は、上記木本植物を下記菌類病原体による感染から保護するために、又は、そのような菌類病原体による感染及び/若しくはそれらに起因する病害を治療するために、使用することができる:ボトリオスファエリア属各種(Botryosphaeria species)、シリンドロカルポン属各種(Cylindrocarpon species)、エウチパ・ラタ(Eutypa lata)、ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri)、及び、ステレウム・ヒルスツム(Stereum hirsutum)、子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、卵菌類(Peronosporomycetes)(異名 Oomycetes)、並びに、不完全菌類(Fungi imperfecti)、子嚢菌類(Ascomycetes)、例えば、オフィオストマ属種(Ophiostoma spp.)、セラトシスチス属種(Ceratocystis spp.)、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロホマ属種(Sclerophoma spp.)、カエトミウム属種(Chaetomium spp.)、フミコラ属種(Humicola spp.)、ペトリエラ属種(Petriella spp.)、トリクルス属種(Trichurus spp);担子菌類(Basidiomycetes)、例えば、コニオホラ属種(Coniophora spp.)、コリオルス属種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属種(Gloeophyllum spp.)、レンチヌス属種(Lentinus spp.)、プレウロツス属種(Pleurotus spp.)、ポリア属種(Poria spp.)、セルプラ属種(Serpula spp.)、及び、チロミセス属種(Tyromyces spp.);不完全菌類(Deuteromycetes)、例えば、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、ペニシリウム属種(Penicillium spp.)、トリコルマ属種(Trichoderma spp.)、アルテルナリア属種(Alternaria spp.)、パエシロミセス属種(Paecilomyces spp.);並びに、接合菌類(Zygomycetes)、例えば、ムコル属種(Mucor spp.)、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、グイグナルジア・ブデリ(Guignardia budelli)、イサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)、ホモプシス属各種(Phomopsis species)、例えば、P.ビチコラ(P. viticola)、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、プセウドペジクラ・トラケイフィライ(Pseudopezicula tracheiphilai)、エリシフェ・ネカトル(Erysiphe necator)(異名 ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator))、子嚢菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、卵菌類(Peronosporomycetes)(異名 Oomycetes)、及び、不完全菌類(Fungi imperfecti)。
【0045】
一実施形態では、本発明は、以下のものに対して保護するのに、及び、それらに起因する病害を治療するのに、特に適している:ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)、アレオフィルム(aleophilum)、パラシチクム(parasiticum)、ファエオアクレモニウム属種(Phaeoacremonium spp.)(アレオフィルム(aleophilum)、インフラチペス(inflatipes)、クラミドスポルム(chlamydosporum)、アングスチウス(angustius)、ビチコラ(viticola)、ルブリゲヌム(rubrigenum)、パラシチクム(parasiticum))、ホルミチポラ・メジテラネア(Formitipora mediterranea)(異名 フェリヌス・プンクタツス(Phellinus punctatus)、フェリヌス・イグニアリウス(Phellinius igniarius)、ホミチポリア・プンクタタ(Fomitiporia punctata))、エウチパ・ラタ(Eutypa lata)、エウチパ・アルメニアカエ(Eutypa armeniacae)、リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis)、ステレウム・ヒルスツム(Stereum hirsutum)、ホモプシス・ビチコラ(Phomopsis viticola)、アミグダリイ(amygdalii)、ボトリオスファエリア属種(Botryosphaeria spp.)(アウストラリス(australis)、ドチデア(dothidea)、オブツサ(obtusa)、ステベンシイ(stevensii)、パルバ(parva)、ロジナ(rhodina))、シリンドロカルポン属種(Cylindrocarpon spp.)(デストルクタンス(destructans)、オプツシスポルム(optusisporum))、カムピロカルポン属種(Campylocarpon spp.)、グイグナルジア・ビドウェリイ(Guignardia bidwellii)、ルブリゲヌム(rubrigenum)、エルシノエ・アムペリナ(Elsinoe ampelina)、ベルチシリウム(Verticilium)、アルミラリア・メレア(Armillaria mellea)、クリトピルス・ホブソニイ(Clitopilus hobsonii)、フラムリナ・ベルチペス(Flammulina velutipes)、プレウロツス・プルモナリウス(Pleurotus pulmonarius)、イノノツス・ヒスピズス(Inonotus hispidus)、トラメテス・ヒルスタ(Trametes hirsuta)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、ペニホラ・インカルナテ(Peniphora incarnate)、ヒルネオラ・アウリクラエ-ジュダエ(Hirneola auriculae-judae)、ジアポルテ・ヘリアンチ(Diaporthe helianthi)、アムビグア(ambigua)、プレウロストモホラ属種(Pleurostomophora sp.)、カドホラ属種(Cadophora sp.)、フィアレモニウム属種(Phialemonium sp.)。
【0046】
一実施形態では、本発明による分散液は、ブドウの木におけるエルシノエ・アムペリナ(Elsinoe ampelina)に対して保護するのに、及び、ブドウの木におけるエルシノエ・アムペリナ(Elsinoe ampelina)を防除するのに、特に適している。好ましい実施形態では、該分散液は、エスカ(Esca)に対して木本植物(特に、ブドウの木)を保護するために、即ち、エスカ(Esca)病に関連する病原体の複合物による感染に対して木本植物(特に、ブドウの木)を保護するために、使用される。該分散液は、さらにまた、木本植物(特に、ブドウの木)におけるエスカ(Esca)を治療するために、又は、エスカ(Esca)を引き起こす病原体が感染した木本植物を治療するために、使用することも可能である。既に上記で説明したように、中央ヨーロッパでは、この病害は、多くの場合、主要な病原体であるファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)、ファエオアクレモニウム属種(Phaeoacremonium spp.)(アレオフィルム(aleophilum)、インフラチペス(inflatipes)、クラミドスポルム(chlamydosporum))、及び、ホルミチポラ・メジテラネア(Formitipora mediterranea)(異名 フェリヌス・プンクタツス(Phellinus punctatus)、ホミチポリア・プンクタタ(Fomitiporia punctata))に起因する。この場合、該分散液には、場合により少なくとも1種類のさらなる殺菌剤(特に、ボスカリド)と組み合わせて、好ましくは、少なくとも1種類のストロビルリン(特に、ピラクロストロビン)を含有させる。
【0047】
本発明は、さらに、木本植物(特に、ブドウの木)におけるエスカ(Esca)を治療するための農薬の使用にも関し、ここで、該農薬は、ピラクロストロビンとボスカリドを含む。ピラクロストロビンとボスカリドの重量比は、広い範囲内(例えば、100:1から1:100まで)でさまざまであることができる。該重量比は、好ましくは、10:1〜1:15の範囲内にあり、特に好ましくは、3:1〜1:6の範囲内にあり、特に、1:1〜1:3の範囲内にある。好ましいさらなる実施形態では、ピラクロストロビンとボスカリドは、相乗的な活性を示す重量比で存在している。該農薬は、任意の即時使用可能な(ready-to-use)濃度で、例えば、0.01〜100g/Lのピラクロストロビンと0.02〜200g/Lのボスカリドの濃度で、好ましくは、0.1〜10g/Lのピラクロストロビンと0.2〜20g/Lのボスカリドの濃度で、特に好ましくは、0.3〜3g/Lのピラクロストロビンと0.5〜5g/Lのボスカリドの濃度で、使用することができる。これらの即時使用可能な濃度の施用量は、合計で、1〜300L/ha、好ましくは、20〜150L/ha、特に好ましくは、30〜90L/haとすることができる。
【0048】
ポリウレタンの農薬含有水性分散液の植物又は植物の部分への施用は、慣習的な方法で実施することが可能であり、そして、その施用は、処理対象又は保護対象の植物又は植物の部分のタイプに既知方法で依存する。該施用は、たたき塗り(dabbing)、塗布、浸漬、刷毛塗り(brushing on)又は散布(spraying)によって実施することが可能であり、好ましくは、散布により実施する。通常、該ポリウレタンは表面に施用し、それによって、該農薬及び場合により該ポリウレタンがその表面領域に浸透する。該ポリウレタンが、次に、、該表面の上又は中に恒久的に弾性を示す連続層又は塗膜を形成し、このようにして、植物病原体が浸透するのを防止する。結果として生じたポリウレタン層は、耐候性であり、耐凍性であり、UV-抵抗性であり、耐雨性であり、耐摩耗性であり、及び、植物に対して無毒性である。施用後、直ぐに、該農薬の植物体内への良好な浸透深さが達成され、ここで、浸透は、好ましくは、維管束の方向に起こる。多くの場合、浸透の深さは、少なくとも0.2cm、特に、少なくとも0.5cm、特に好ましくは、少なくとも1cmであって、2.5cm又は3cm又はそれ以上の深部にまで至る。施用は、好ましくは、-10℃〜+50℃の範囲内の温度で、特に好ましくは、-5℃〜+20℃の範囲内の温度で、極めて特に好ましくは、-3℃〜+10℃の範囲内の温度で、実施する。
【0049】
治療対象又は保護対象の傷は、風折れ、霜若しくは大気の別の影響の結果として生じる自然損傷の形態をとり得るか、又は、特に、剪定に起因する傷領域の形態をとり得る。それらは、樹皮領域における傷であり得るか、又は、樹木の断面における傷、即ち、鋸引き又は伐採に起因する傷であり得る。
【0050】
好ましい実施形態によれば、施用は、該分散液を散布することによって行う。用語「散布する(spraying)」は、当該組成物を「噴霧する(nebulizing)」、「吹きつける(blowing)」及び「はねかける(splashing-on)」も包含する。散布に使用される装置は、慣習的な装置、例えば、市販されている噴霧器(atomizer)、散布器具(spraying apparatus)、手動式散布機(manual sprayers)、及び、それを用いて標的化方法で剪定による傷に対して通常の散布手順の範囲内で該分散液を施用することが可能な散布機能を有する圧縮空気式又は手動式の剪定ばさみなどであり得る。施用は、傷の領域において標的化方法で実施することができるか、又は、該分散液を植物又は植物の部分の大きな範囲に施用することができる。本発明の特に好ましい実施形態によれば、施用は、トンネル散布(tunnel spraying)として知られている方法によって実施し、ここで、果樹又はブドウの木の農園においては、剪定処理を施したあとの木質部分に、分散液を、場合により希釈したあとで、剪定した領域において標的化方法で散布し、そして、余分な散布液は回収する。このようにして、剪定された場所及びその周囲の木質部分を処理する。
【0051】
一実施形態では、本発明による分散液は多段階法で使用する。かくして、例えば、第1段階において、第1の植物保護剤(特に、殺菌剤、又は、この活性成分の活性成分調製物)を処理対象又は保護対象の表面に施用し、次いで、次の段階のうちの1つで、該分散液を本明細書中に記載されている方法で施用することが可能である。
【0052】
本発明は、さらに、ポリウレタンの農薬含有水性分散液にも関し、ここで、該ポリウレタンは、少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であり、その際、該ポリイソシアネートは何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む。ポリオール(A)は、好ましくは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸で構成されるポリエステルポリオールを含む。該ポリエステルポリオールは、好ましくは、500〜6000の分子量を有する。該ポリウレタンは、好ましくは、(A)と(B)とアミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の少なくとも1種類の塩(C)の反応生成物である。塩(C)は、好ましくは、エチレンジアミンと不飽和脂肪族カルボン酸塩の付加体を含む。該ポリウレタンの農薬含有水性分散液の好ましいさらなる実施形態については、上記に記載されているとおりである。
【0053】
施用する前に、タンクミックスとして知られているものを得るために、例えば水で、ポリウレタンの農薬含有水性分散液を希釈することができる。しかしながら、該分散液は、そのままで施用することもできる。一般に、タンクミックスは、該分散液を2倍〜100倍(好ましくは、5倍〜40倍、特に、10倍〜20倍)の体積に希釈することによって調製する。さまざまなタイプの油、及び、湿潤剤、アジュバント、さらなる農薬を、タンクミックスに添加することができるか、又は、該分散液からタンクミックスを調製する直前に添加することができる。これらの薬剤は、1:100〜100:1、好ましくは、1:10〜10:1の該薬剤と分散液の重量比で混合させることができる。
【0054】
該分散液は、通常、水を、250〜850g/L、好ましくは、350〜750g/L、特に、450〜650g/Lの濃度で含む。
【0055】
該分散液は、通常、ポリウレタンを、100〜650g/L、好ましくは、200〜550g/L、特に、300〜450g/Lの濃度で含む。これらの濃度データは、ポリウレタンの水性分散液についてではなく、ポリウレタン自体に対するものである。
【0056】
該分散液は、通常、農薬を、0.01〜300g/L、好ましくは、0.5〜100g/L、特に、2〜50g/Lの濃度で含む。
【0057】
該分散液は、通常、界面活性物質を、0.001〜40g/L、好ましくは、0.01〜25g/L、特に、0.05〜5g/Lの濃度で含む。
【0058】
該分散液は、通常、増粘剤を、0.001〜5g/L、好ましくは、0.01〜0.5g/Lの濃度で含む。
【0059】
該分散液は、通常、凍結防止剤を、0.05〜350g/L、好ましくは、0.1〜250g/L、特に、0.5〜150g/Lの濃度で含む。
【0060】
該分散液は、場合により、塗膜形成アジュバントを、10〜250g/L、好ましくは、50〜150g/Lの濃度で含むことができる。
【0061】
該分散液は、場合により、展着剤を、0.1〜250g/L、好ましくは、1〜150g/L、特に、5〜50g/Lの濃度で含むことができる。適切な展着剤は、アルコキシル化アルコールであり、ここで、該アルコールは、好ましくは、非分枝鎖又は分枝鎖の脂肪族C6-C32-モノアルコールであり、アルコキシル化は、C2-C6-アルキレンオキシド(好ましくは、C2-アルキレンオキシド)を用いて実施されている。
【0062】
本発明は、さらに、本発明による分散液をそれぞれの有害生物、それらの環境及び/若しくはそれぞれの有害生物から保護すべき植物若しくは植物の部分、土壌、並びに/又は、望ましくない植物及び/若しくは有用な植物及び/若しくはそれらの環境に作用させることによる、植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫類若しくはダニ類の攻撃を防除するための、並びに/又は、植物の成長を調節するための、該分散液の使用にも関する。作用させることは、通常、該分散液を施用することによって行う。
【0063】
本発明は、さらに、植物から分離されていて、本発明による分散液が施用されている植物の部分にも関する。適切な植物の部分、植物及び分散液については、上記で記載したとおりである。施用は、上記で記載したように実施することができる。植物から分離されていて、本発明による分散液が施用されている植物の部分(ここで、該植物の部分は、該分散液を含む)が好ましい。
【0064】
本発明による方法の有利点は、単純な方法で、例えば散布によって、該分散液を施用することができるということである。該分散液は、低温(例えば、20℃未満)においても、塗膜を形成する。該分散液は、長期間にわたる貯蔵(高温下での貯蔵も含む)において安定であり、そして、安価に大規模で製造することが可能である。さらなる利点は、該分散液が、界面活性物質の濃度が低い場合においてさえ安定であるということであり、このことは、界面活性物質に起因する環境汚染を低減させる。ポリウレタンの該分散液が施用されたあとで形成される保護的な塗膜は、良好で持続的な粘着性を有する。該方法は、さらに、木本植物の菌類病を保護的に処理するのにも、特に、ブドウの木におけるエスカ(Esca)を処理するのにも、非常に適している。さらに、木本植物の菌類病を治療的に処理するのにも、有利である。
【0065】
以下の実施例及び図表によって、本発明について例証する。
【実施例】
【0066】
実施例1: ポリウレタン分散液の調製
ポリウレタン分散液A
アジピン酸とヘキサンジオールとネオペンチルグリコールからなる55のOH数を有するポリエステル150重量部を、撹拌フラスコの中で、130℃/20torrで、30分間脱水した。そのポリエステルを冷却し、145部のアセトンに溶解させ、30部のブタン-1,4-ジオールで処理した。次いで、50部のトルエンジイソシアネート(異性体比 2.4/2.6=80/20)と25部のヘキサメチレンジイソシアネートとさらに0.015部のジラウリン酸ジブチルスズの混合物を添加した。60℃で3時間撹拌した後、その混合物を220部のアセトンで希釈し、室温まで冷却した。得られたプレポリマーの溶液の中に、エチレンジアミンとアクリル酸ナトリウムの等モル付加体の40%強度水溶液14部を撹拌しながら入れた。20分間経過した後、370部の水を滴下して加え、次いで、アセトンを減圧下に留去した。これにより、室温で1年間貯蔵しても沈澱しない微粉化された安定な分散液が得られた。水を用いて、固形分を40重量%に調節した。
【0067】
ポリウレタン分散液B
アジピン酸とエチレングリコールからなる2000g/molの分子量を有するポリエステル120重量部を撹拌フラスコの中で脱水した。そのポリエステルを冷却し、65部のアセトンに溶解させ、35部のネオペンチルグリコールで処理した。次いで、95部の4,4'-ジイソシアナトジフェニルメタン及び13部のイソホロンジイソシアネートを撹拌しながら添加し、撹拌を1時間継続した。その組成物を260部のアセトンで希釈し、室温まで冷却し、エチレンジアミンとアクリル酸ナトリウムの等モル付加体の40%強度水溶液40部を撹拌しながら入れた。30分間経過した後、400部の脱塩水をゆっくりと滴下して加え、アセトンを減圧下に除去した。これにより、3ヶ月間貯蔵しても沈澱しない微粉化された安定な分散液(固形分 約40重量%)が得られた。
【0068】
ポリウレタン分散液C
アジピン酸とヘキサンジオールとネオペンチルグリコールからなる2000g/molの平均分子量を有するポリエステル150部を撹拌フラスコの中で脱水し、34部のブタン-1,4-ジオールと70部のアセトンと70部のトルエンジイソシアネートで処理した。その混合物を90分間撹拌し、その間、アセトンが沸騰していた。次いで、13部のヘキサメチレンジイソシアネート及び0.1部のジラウリン酸ジブチルスズを添加し、撹拌を90分間継続した。その後、その混合物を270部のアセトンで希釈し、40℃で、19部のナトリウムリシネートを撹拌しながら入れた。20分間経過した後、撹拌しながら370部の水をゆっくりと添加し、アセトンを減圧下に留去した。これにより、固形分が40重量%の微粉化された非常に安定な分散液が得られた。その分散液を20℃で6ヶ月間放置した後、沈澱物は全く形成されなかった。
【0069】
実施例2: 農薬の懸濁製剤の調製
(a) 懸濁製剤(SC1)
200g/Lのボスカリドと100g/Lのピラクロストロビンを含む水性懸濁製剤を調製した。それは、35g/Lのポリエチレングリコール含有分散剤、15g/Lのスルフェート含有分散剤、100g/Lのグリセロール、2g/Lのキサンタン(増粘剤として)、2g/Lの殺細菌剤及び5g/Lのシリコーン含有消泡剤を含んでいた。
【0070】
(b) 懸濁製剤(SC2)
400g/Lのピラクロストロビンを含む水性懸濁製剤を調製した。それは、30g/Lのポリエチレングリコール含有分散剤、20g/Lの非イオン性プロピレングリコール系界面活性剤、70g/Lの凍結防止剤、2g/Lのキサンタン(増粘剤として)、2g/Lの殺細菌剤及び5g/Lのシリコーン含有消泡剤を含んでいた。
【0071】
(c) 懸濁製剤(SC3)
500g/Lのボスカリドを含む水性懸濁製剤を調製した。それは、20g/Lのポリエチレングリコール含有分散剤、30g/Lの非イオン性プロピレングリコール系界面活性剤、70g/Lの凍結防止剤、2g/Lの増粘剤、2g/Lの殺細菌剤及び5g/Lのシリコーン含有消泡剤を含んでいた。
【0072】
実施例3: ポリウレタンの農薬含有分散液の調製
農薬含有懸濁製剤(SC1)を特定量の実施例1Aのポリウレタン分散液(比重 1.06kg/L)と混合させた(表1)。これにより、当該分散液の安定な濃厚物が得られた。そのサンプルを50℃で4週間貯蔵し、その分散液はまだ安定であった。非イオン性アルキルポリエチレングリコールエーテルを界面活性剤Aとして使用した。
【表1】

【0073】
実施例4: 希釈された分散液(タンクミックス)の調製
農薬含有懸濁製剤(SC1)、農薬含有懸濁製剤(SC2)又は農薬含有懸濁製剤(SC3)を、特定量の実施例1Aのポリウレタン分散液と混合させ、水で希釈して総体積50Lとした(表2)。得られた希薄分散液は、市販されている散布装置を用いて、ブドウの木に散布することができた。典型的な施用量は、1ヘクタール当たり50Lであった。
【表2】

【0074】
実施例5: スペインにおける圃場試験
品種「Chardonnay」を使用して、スペインのブドウ園で試験を実施した。各組合せに対して、20本の1年齢の苗条を3月の初めに6番目〜7番目の若枝の上で剪定した。同じ日に、ブラシを用いて、当該被験製品を剪定による傷に施用した(表3を参照されたい)。その剪定による傷に、翌日、病原体を接種した。病原体のボトリオスファエリア・オブツセ(Botryosphaeria obtuse)を前もってジャガイモ-グルコース寒天(PDA)を含むペトリ皿の中で25℃で7日間又は25日間増殖させておいた。接種を実施するために、菌糸体/寒天の寸法が5mmの小片をペトリ皿から切り取り、当該苗条の剪定による傷の上に置いた。
【0075】
接種の直後、剪定による傷を Parafilm(登録商標)M(本質的にポリオレフィンとパラフィン蝋からなる伸縮性フィルム)で包み、一連の試験が終わるまで放置した。そのブドウ園を慣習的なブドウ栽培の実践に従って5ヶ月間世話した。ブドウの木の該苗条を5ヶ月後に収穫し、実験室で調べた。その苗条にネクロシスに関して点数を付けた。ネクロシスを起こしている領域の周囲の厚さ4mmの苗条小片を処理して再分離した。その表面をアルコールで4分間滅菌し、次に、PDAを含むペトリ皿の中で25℃でインキュベートした。3〜4週間経過した後、病原体が感染した小片の頻度を求めた(表3)。
【0076】
該ポリウレタン分散液をさまざまな施用量の活性物質ピラクロストロビン及びボスカリドと組み合わせて試験した。1%強度溶液の中の市販製品 Bilko(登録商標)(40重量%のキノソール(quinosol)を含むSL製剤, Probelte S.A.)を、活性を比較するために使用した。この製品は、スペインにおいて、木本の病害に対する剪定による傷の保護に関して登録されている。
【表3】

【0077】
実施例6: ポルトガルにおける圃場試験
ブドウの品種「Syrah」及び「Touriga Nacional」を使用して、ポルトガルのブドウ園で、無作為に配置された組合せを用いて2種類の試験を行った。各組合せに関して、18本の1年齢の苗条を2月の中旬に3番目の若枝の約3〜4cm上で剪定した。同じ日に、ブラシを用いて、当該被験製品を剪定による傷に施用した。その剪定による傷に、1日後、病原体を接種した。病原体のファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)を前もって麦芽寒天を含むペトリ皿の中で20℃の暗所で増殖させておいた。その後、当該病原体の分生子を含む寒天小片をエーレンマイヤーフラスコの中に移し、、それらを暗所中の振盪機の中に20℃で14日間置いた。その後、その液体培養を濾過し、SDWを用いて、1mL当たり105分生子の濃度に調節した。その分生子の溶液の50μL滴を、ピペットを用いて、剪定による各切断面に施用した。
【0078】
接種の直後、剪定による傷を Parafilm(登録商標)Mで包み、3月末までそのままの状態とした。そのブドウ園を慣習的なブドウ栽培の実践に従って10月まで世話した。ブドウの木の苗条を収穫し、実験室内で、5種類の高さ〔(1)剪定による傷の0.5〜1cm下;(2)第1の若枝の1cm上;(3)第3の若枝の1cm下;(4)第2の若枝の1cm上;(5)第2の若枝の1cm下〕で調査した。何れの場合にも、苗条の5種類の高さから5個の小組織片を除去し、クロラムフェニコール(chloamphenical)が補足してあるPDAの上に置き、20℃で数週間インキュベートした。病原体が感染した小片の頻度を求めた(表4及び表5)。
【0079】
該ポリウレタン分散液は、それ単独(製剤6A:実施例1のポリウレタン分散液Aを水で希釈して、210g/Lのポリマーとしたもの)についてのみではなく、活性物質ピラクロストロビン(製剤6B:実施例1のポリウレタン分散液Aと実施例2の懸濁製剤(SC2)を水で希釈して、210g/Lのポリマー及び1.0gのピラクロストロビンとしたもの)又は活性物質ボスカリド(製剤6C:実施例1のポリウレタン分散液Aと実施例2の懸濁製剤(SC3)を水で希釈して、210g/Lのポリマー及び2.0gのボスカリドとしたもの)との組合せについても、試験した。使用した標準品は、Escudo(登録商標)(Dupontから市販されている、5g/Lのフルシラゾールと10g/Lのカルベンダジムのサスポエマルション製剤)であり、これは、幾つかの国において、ブドウの木における木本の病害に対して登録されている。
【表4】

【表5】

【0080】
実施例7: ドイツにおける圃場試験
品種「Riesling」を使用して、ブドウ園で試験を実施した。各組合せに対して、20本の1年齢の苗条を3月中旬に3番目の若枝の2〜3cm上で剪定した。同じ日に、ブラシを用いて、当該製品を剪定による傷に施用した。7日後、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)又はファエオアクレモニウム・アレオフィリウム(Phaeoacremonium aleophilium)の胞子の溶液(1mL当たり105分生子の濃度で40μL)を用いて、剪定による傷に接種した。ブドウの木の苗条を10月中旬に収穫し、その苗条のさまざまな位置で横に切断し、苗条の内部の褐変について4階級〔階級1=病徴なし;階級2=個別的な斑点あり、ゴム漏出なし;階級3=暗色輪状部分あり、多少のゴム漏出あり;階級4=暗色輪状の病徴あり、顕著なゴム漏出あり〕で点数を付けた。病害の程度(表6)は、以下の式:
病害の程度=(cl1+cl2×2+cl3×3+cl4×4)/(cl1+cl2+cl3+cl4)
〔上記式中、「cl」は、それぞれの階級1〜階級4のサンプルの数である〕
を用いて計算した。
【表6】

【0081】
実施例8: 温室試験
鉢植えの品種「Muller Thurgau」の接ぎ穂(scion)を用いて温室内で試験を行った。1番目の試験は治療的試験として設計し、2番目の試験は予防的試験として設計した。各組合せに対して、10本の鉢植え植物を根付かせ、次いで、6月中旬に2番目の若枝の2cm上で剪定した。2日後、病原体ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)の分生子の溶液(1mL当たり105分生子の濃度で40μL)を用いて両方の試験に接種した。予防的試験においては当該ポリウレタン製品を2日後に施用し、治療的試験においては5日後に施用した。その植物を10月中旬又は1月末に収穫し、その苗条のさまざまな位置で横に切断し、実施例6に記載されているように、苗条の内部の褐変について4階級で点数を付けた(結果に関しては、表7を参照されたい)。
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液を植物又は植物の部分に施用する方法であって、該ポリイソシアネートが何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ポリオール(A)が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸からなるポリエステルポリオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオールが500〜6000の分子量を有している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンが、(A)と(B)とアミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の少なくとも1種類の塩(C)の反応生成物である、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩(C)が、エチレンジアミンと不飽和脂肪族カルボン酸塩の付加体を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記植物がブドウの木である、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種類のポリオール(A)と少なくとも1種類のポリイソシアネート(B)の反応生成物であるポリウレタンの農薬含有水性分散液であって、該ポリイソシアネートが何れの場合にも当該ポリイソシアネートに基づいて少なくとも10重量%の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも10重量%の脂肪族ジイソシアネートを含む、前記農薬含有水性分散液。
【請求項8】
前記ポリオール(A)が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸からなるポリエステルポリオールを含む、請求項7に記載の分散液。
【請求項9】
前記ポリエステルポリオールが500〜6000の分子量を有している、請求項6又は7に記載の分散液。
【請求項10】
前記ポリウレタンが、(A)と(B)とアミノカルボン酸又はアミノスルホン酸の少なくとも1種類の塩(C)の反応生成物である、請求項7〜9の何れか1項に記載の分散液。
【請求項11】
前記塩(C)が、エチレンジアミンと不飽和脂肪族カルボン酸塩の付加体を含む、請求項10に記載の分散液。
【請求項12】
植物病原性菌類及び/又は望ましくない植物の成長及び/又は望ましくない昆虫類若しくはダニ類の攻撃を防除するための、並びに/又は、植物の成長を調節するための、請求項7〜11の何れか1項に記載の分散液の使用であって、該分散液をそれぞれの有害生物、それらの環境及び/若しくはそれぞれの有害生物から保護すべき植物若しくは植物の部分、土壌、並びに/又は、望ましくない植物及び/若しくは有用な植物及び/若しくはそれらの環境に作用させることによる、前記使用。
【請求項13】
木本植物におけるエスカを治療するための農薬の使用であって、該農薬がピラクロストロビンとボスカリドを含む、前記使用。
【請求項14】
植物から分離されていて、請求項7〜11の何れか1項に記載の分散液が施用されている、植物の部分。

【公表番号】特表2012−529457(P2012−529457A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514432(P2012−514432)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057869
【国際公開番号】WO2010/142618
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】