説明

迅速分散性を示す投与剤形医薬組成物

【課題】迅速分散性を示す投与剤形を提供する。
【解決手段】薬理組成物は、一種以上の活性成分と、該一種以上の活性成分を含む、迅速分散性で、非−圧縮性の固体マトリックスとを含む。マトリックスは、規定された微視構造を有する層状の三次元形状を有し、かつ、塊状材料およびバインダーを含む。塊状材料は、粒子形状の製薬上許容される化合物を含み、かつ、該バインダーは、該塊状物質の粒子に接着し、かつ、該粒子を一緒に結合する、製薬上許容された、実質的に水溶性の物質を含み、該組成物が水分と接触した際に、90秒未満の期間内に、該一種以上の活性成分を該対象に放出しつつ、該三次元形状が破壊され、前記薬理組成物が、投与剤形体積の10%〜90%の有孔度を示し、150(mg/ml)〜1300(mg/ml)の嵩密度を示し、1.0kp〜20kpの硬さを示し、25%未満の脆弱性を有し、前記マトリックスが、各層内にプログラム化された該バインダーの配置を有する層構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「フラッシュドーズ(flash dose)」としても知られている、迅速分散性投与剤形に関するものである。特に、本発明のこの薬理組成物は、その活性成分を、約90秒未満の期間内に放出し、種々の投与経路を介して、好ましくは体腔に挿入することによって、あるいは湿った身体表面または開いた傷口に適用することによって、対象に投与するのに適している。本発明は、また医薬の投与方法、および迅速分散性投与剤形の製造方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
錠剤およびピルは、周知である。これらは、一般的に処方箋および処方箋なしの薬物治療、両者の経口投与のために好ましいビヒクルである。しかしながら、錠剤またはピルの使用が望ましくない、いくつかの状況がある。例えば、喉頭の炎症または食道に障害がある個体は、嚥下が困難である可能性がある。他の場合においては、嚥下を補助するための液体が存在しない場合がある。小さな子供は、しばしばピルを嚥下することが難しいことが分かっており、および/またはこのような試みにおいて、窒息する恐れがある。錠剤およびピルに代わるものは、液状薬剤、例えばエリキシル剤およびシロップの使用である。しかしながら、液状薬剤は、それ自体の欠点を有し、該欠点は、服用量の測定における不正確さ、および小さな子供に投与する場合の、故意または偶発的な拒絶反応による、該薬剤の幾分かまたは全部の喪失等を包含する。
【0003】
理想的な一つの代替品は、経口投与可能な、口腔内で迅速に分散し、かつ結果として嚥下に際して多大な努力を必要としない、固形投与剤形であろう。このような理想化された方法は、小さな子供に投与する場合の、拒絶反応の可能性を最小化し、しかも妥当な期間内に渡り、組成並びに構造の点で安全性を保ち、即ち十分な貯蔵寿命を有する。適当な迅速分散性投与剤形は、また創傷の治療および他の外傷並びに外部からの水分の供給によって医薬の放出が可能とならない疾患状態を包含する、他の用途においても利用できる。
以前にも、安定で、しかも迅速分散性の投与剤形を、製造しようとの試みがあった。不溶性微粒子の迅速放出型被覆および沸騰性の投与剤形は、米国特許第5,578,322号および同第5,607,697号に記載されている。凍結乾燥したフォームおよび液剤が、米国特許第4,642,903号および同第5,631,023号に記載されている。投与剤形の溶融紡糸が、米国特許第4,855,326号、同第5,380,473号および同第5,518,730号に記載されている。これら投与剤形の各々は、その有用性を制限する欠点を有している。
【0004】
沸騰性でしかも迅速溶解性を示す投与剤形は、特に酸およびアルカリの組み合わせの使用を必要とする。このことは、該投与剤形に配合することのできる活性成分(即ち、医薬)の型を、酸およびアルカリの濃度に不活性なものに制限する。その上、微粒子の被覆は、該微粒子自体の経口的放出に影響する可能性があるが、該微粒子中に含まれる該医薬の遊離形状での経口的放出に影響する訳ではない。
凍結乾燥は、複雑な方法であって、適当な医薬の範囲を、良好な溶解性および比較的低い密度を持つものに制限する。凍結乾燥された投与剤形は、また脆く、そのため特殊な取り扱いおよび包装を必要とする。他方、溶融紡糸は、医薬および担体両者を、高温並びに高圧下で、小さなオリフィスを介して強制的に押し出す必要があり、このことはまた、熱安定性の高い薬物の使用を必要とし、結果としてウールまたは繊維によって最もよく説明されるように、展性のある無定型の製品を与える。
【0005】
もう一つの製法は、積層工程を介して複雑な構造を製造できる技術である、固体フリー−フォーミング(solid, free-form)製造法(SFF)である。SFFの一例は、コンピュータを利用した設計(CAD)を使用して、周期的な積層工程において、部材を構築する、三次元印刷(3DP)である。米国特許第5,490,962号は、種々の医療デバイスを製造するための、3DPの使用に関連する。しかしながら、この特許は何もかたっておらず、上記の状況下での経口投与に関連する問題を扱っておらず、迅速分散性投与剤形の製造を、開示も、教示も、示唆もしていない。この特許並びに本明細書に引用されている全ての他の参考文献を、全体として本発明の参考とする。
【0006】
従って、安定であり、しかも小さな子供たちおよびその他の嚥下が困難な者に対して経口投与するのに適した、便利な予め秤量された投与剤形に対する需要が、当分野には依然として残されている。また、外部から水分を供給すること無しに(即ち、必ずしも水分を供給する必要性なしに)、医薬の迅速な放出を可能とする、非−経口的な身体の空洞、身体表面、または露出領域に配置するのに適した、投与剤形に対する需要も、当分野において依然存在する。これらの需要は、以下で更に説明する、本発明の投与剤形によって満たされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の一局面は、身体の空洞、身体の表面または露出領域、例えば開いた傷口に配置するのに適した、迅速分散性投与剤形を提供することである。
本発明のもう一つの局面は、約5分未満、好ましくは約90秒未満、より好ましくは約30秒未満および最も好ましくは約10または15秒未満で分散可能な、迅速分散性投与剤形を提供することである。
更に別の本発明の局面は、広範囲の医薬を配合することができ、しかも加工上の要件または組成上の要件によって制限されることのない、迅速分散性投与剤形を提供することである。
【0008】
本発明の他の局面は、混合物または投与剤形内の別の領域として、2以上の医薬を配合することのできる、迅速分散性投与剤形を提供することである。
本発明の更に別の局面は、優れた硬さおよび脆弱性を有し、かつ少なくとも約一年間の保存寿命を持つ、迅速分散性投与剤形を提供することである。
これらの局面、並びに医薬の投与方法、幾つかの迅速分散性投与剤形および薬物放出ビヒクルの製法を包含する、以下により詳細に記載されるその他の局面は、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特に、迅速分散性投与剤形を開示し、これは少なくとも一種の活性成分を配合した固体マトリックスを含み、該マトリックスは、対象に投与するのに適した三次元構造を有し、また該マトリックスは塊状材料およびバインダーを含み、該塊状材料は、少なくとも一種の製薬上許容される化合物を、粉末状態で含み、該バインダーは実質的に水溶性の製薬上許容される物質を含み、該物質は、該粉末化された化合物と共に、該マトリックスが過剰な水分の不在下で、その三次元構造を維持することを可能とする。本発明の薬理組成物は、該対象に投与した後、または水分と接触した際に、約1~約90秒の範囲内の期間内に、該一種以上の活性成分の放出を伴って崩壊するように設計されている。このような投与剤形は、また市場で許容される保存寿命、好ましくは少なくとも約1年の保存寿命を与えるのに十分な、硬さおよび脆弱性をも示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】迅速放出型投与剤形の製法を、模式的に示した図である。
【図2】完成された投与剤形およびその水と接触させた場合の、分散の種々の段階を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
固体フリーフォーミング法(SFF)は、迅速分散性投与剤形を製造するための、幾つかの特有の機会を与えてくれる。これらの投与剤形は、三次元組織を有するマトリックスによって製造でき、該マトリックスは迅速に分散、分解、崩壊し、または実質的に即座に溶解する。本発明のこの新規な投与剤形は、SFF法、例えば3DPによって製造する。必要な全てのプロセスパラメータを包含する、これらの投与剤形を製造するための指示は、該3DP装置の動作を制御するコンピュータを介して、伝達される。
有用なSFF製造技術の例は、Brown等による米国特許第5,633,021号に記載された、弾道粒子(ballistic particle)製造法、PennおよびCrump等による米国特許第5,260,009号および同第5,503,785号に記載された溶融堆積モデリング法(fusion deposition modeling)または3DPを包含するが、これらに制限されない。
【0012】
3DP法は、Sachs等の米国特許第5,204055号およびCima等の米国特許第5,490,962号に記載されている。適当な製造デバイスは、連続ジェットプリントヘッドをもつもの、およびドロップ−オン−デマンド(drop-on-demand)プリントヘッドを有するもの両者を包含する。簡単に説明すれば、3DPを使用して、粉末の周期的に堆積された層の選択された領域に、流体滴の印刷によって、固体対象物を生成する。該印刷は、該連続ジェットまたは該ドロップ−オン−デマンドプリントヘッドを使用して実施する。
本発明者は、三次元印刷または3DPが、迅速分散性(即ち、約90秒未満、好ましくは30秒未満、より好ましくは15秒未満、および最も好ましくは10秒未満の期間内の、迅速放出、破壊、崩壊、または溶解)投与剤形の調製に理想的に適していることを見出した。3DPが、微視的構造内で複雑な微小構造特性を樹立する能力は、固体(即ち、液体ではない)薬理投薬型等のデバイスまたはビヒクル内に、中空空間を形成することを可能とする。
【0013】
小分子およびポリマー両者を含む、殆どの製薬上許容される賦形剤を、使用することができ、これらは、適当な溶剤(例えば、血液、汗、涙、唾液、精液、膣分泌物、尿、血漿、膿などを包含するが、これらに限定されない体液)の存在下で迅速分散に付される、多孔性構造中に、薬理活性成分を緩く包むことを可能とする。本発明の三次元印刷法で使用するのに適した、これら賦形剤の幾つかは、Handbook of Pharmaceutical Excipients (A. Wade & P.J. Weller編,第2版, American Pharmaceutical Association, The pharmaceutical Press, ロンドン, 1994)に掲載されている。
【0014】
本発明の迅速分散性投与剤形を調製するために利用できる、この三次元印刷法は、通常室温の下で実施される。この方法では、種々の流体を使用することができ、該流体は生物学的に許容される有機および水性溶媒を包含する。この方法は、加算的であり、その結果微視的な特徴が、層毎に組み込まれ、mm以下の大きさで、広範囲に渡る可能な組織を正確に生成することが可能となる。該微視的な特徴並びに該微視的な形状両者を同時に調節するために、三次元印刷法を利用することによって、本発明の独特の薬物放出系が得られる。
【0015】
3DPは、パターン化された薄層の周期的な付加による、積層法によって対象物が形成される、固体フリーフォーミング(SFF)製造技術であるので、この方法は、本発明の該薬物放出系の構造および組成両者を調節することが可能である。この調節は、三段階、即ち1) 巨視的な形状(cmレベルの);2) 孔およびチャンネルのサイズおよび配向等の、中間的な特徴(〜100μmのレベル);および3) 該投与剤形の構造壁における孔(〜10μmのレベル)を含む、微視的な特徴、で達成される。これら二次元のセグメントを形成するのに必要とされる情報は、該対象物を描写する、コンピュータを使用した設計(CAD)による、一連の面の交点を計算することによって得られる。本発明を実施する上で有用な、3DP装置の概要を、第1図に示す。ここでは、該装置は一般的に参照番号10で示されている。
【0016】
粉末スプレダー12は、粉末収容ボックス16の上端部14近傍に配置されている。この粉末収容ボックス16は、ベース20および可動ピストン22によって支持された一層の粉末18を含んでいる。該粉末層18の上部表面24は、該粉末収容ボックス16の上端部14と、実質的に同一の高さにある。該上部表面14の上方に、これとは隔置された状態で、プリントヘッドアセンブリー25が設けられ、該アセンブリーは、流体滴の流れ28を分配するための、分配モジュール26を含む。この分配モジュール26は、ラスター30等の、x−y位置決め装置を使用して、該上部表面24に平行なx−y面内に配置することができる。
【0017】
実施に際して、該粉末スプレダー12は、該ボックス16内に粉末の薄層18を展開し、同一レベルの表面24を維持する。次いで、該プリントヘッドアセンブリー25を、該上部表面24上で走査させ、上部表面24の選択された領域32に、液滴を堆積させる。該選択された領域32内で、該バインダーは個々の粉末粒子を結合して、固体領域を含む層24を形成する。その厚みは、バインダーの特性および単位面積当たりの適用された該流体の量の関数として変化する。該プリントヘッドアセンブリー25の走査が完了したら、該粉末ボックスの床が下降して、新たな粉末層が展開される。次の層に関する情報は、該コンピュータから中継され、次いで印刷される。粉末を展開し、かつ液滴を堆積させるこの方法は、該投与剤形に対して必要とされる数の層が完成されるまで、繰り返される。
【0018】
該投与剤形の全厚みは、独立した層の数および厚みの関数であろう。乾燥工程中の溶剤の蒸発によって、固化されたバインダーにより結合された塊状材料およびその他の成分を含む、三次元組織を有するマトリックスが残される。該他の成分は、一種以上の活性成分およびあらゆる随意の製薬上許容される賦形剤を包含する。
印刷される層の数は、5〜50の範囲内であり得る。典型的な経口投与剤形については、該層の数は、約15〜約25の範囲内で変えることができる。
新たに形成した錠剤を、約2〜約48時間、典型的には約16〜約24時間の範囲にある特定の時間、粉末床内で乾燥する。この乾燥工程中に、該流体と共に堆積された揮発性の物質は蒸発する。その後、該乾燥された錠剤を、少量ずつ手作業でばらばらの粉末から分離する。錠剤を集めるための機械的手段を利用することも可能である。最後に、完成された投与剤形50が得られる。
【0019】
第2図は、完成された投与剤形の写真および500μLの水と接触した際の、その分散段階を示す図である。最初の1秒で、該投与剤形は水を吸収し、次いで迅速に分散するが、該分散は5秒以内に完了する。
以下の説明は、連続プリントヘッドを使用した、迅速放出型投与剤形を製造するための好ましいパラメータに関するものである。粉末層を100〜300μm、典型的には約200μmの厚みで展開する。該プリントヘッドを約0.5~3.0m/秒および最も好ましくは約1.75 m/秒なる速度で走査する。該プリントヘッドによって放出された該流体滴のサイズは、その直径で約15μm〜約150μmの範囲内にある。該プリントヘッドによって放出された該流体の流量は、約0.2〜約3.0mL/分、好ましくは約0.8〜約1.2mL/分の範囲内で変動する。該平行な印刷ライン間の間隔は、20〜約1000μmおよび典型的には100〜200μmの範囲内にある。
【0020】
同様に、ドロップ−オン−デマンドプリントヘッド装置を使用した迅速分散性投与剤形の製造は、以下のパラメータを使用して達成できる。該粉末層は、100〜500μm、典型的には約250μmなる厚みで展開される。該プリントヘッドは、0.1〜1m/秒、最も好ましくは約0.5 m/秒で走査される。このプリントヘッドは、直径約50μm〜約500μmの液滴を放出する。該プリントヘッドによって放出される該流体の流量は、約0.2〜約3 ml/分、好ましくは約1〜約1.5 ml/分である。該平行な印刷ライン間の間隔は、約100〜約1500μmおよび典型的には約500〜750μmの範囲内にある。
一般的に、2成分を使用して、本発明の迅速分散性投与剤形のマトリックスを製造する。その第一の成分は、層状に展開すべき該粉末材料である。その第二の成分は、該プリントヘッドによって分配すべき、該流体(幾つかの場合においては、この流体はまたバインダーであってもよく、あるいはバインダーを含むこともできる)である。該粉末材料は、一種以上の製薬上許容される塊状材料、一種以上のバインダー、一種以上の活性成分、または随意成分としての賦形剤で構成される。分配される該流体は、製薬上許容される溶媒または溶媒の組み合わせであり、また一種以上のバインダーおよび活性成分を含むことができる。適当な溶媒は、水、アルコール、例えばエタノールまたはメタノール等を包含する。
【0021】
投与剤形を製造するために、該塊状粉末材料は、噴霧乾燥したラクトール、フルクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マニトール、キシリトール、および微晶質セルロースを包含するが、これらに制限されない。
該バインダーは、本発明の必須の要素である。というのは、これが該粉末粒子とバインダー物質との接着をもたらすからである。本発明の投与剤形が、取り扱いおよび保存を可能とするのに十分な、硬さと脆弱性とを維持できるのは、この接着力のおかげである。
「接着(力)」なる用語は、該塊状物質粒子相互の、あるいは該バインダー粒子との結合、接着を意味する。該バインダーは、該塊状物質に対する溶媒または該塊状化合物の粒子と結合することのできる他の物質であり得る。該結合の強度および程度は、該粉末層中のまたは該溶媒中に溶解した、該バインダーの割合によって変動し、また堆積された流体の量の関数である。
【0022】
該バインダーは、該粉末材料または該プリントヘッドを介して分配される、該流体中の何れかに含めることができる。該粒子の該バインダーとのおよび/または該バインダーによる接着は、該バインダーが、該プリンタヘッドからの該流体と接触した際に、あるいはこれが該流体中に存在している(即ち、溶解している)場合に、生ずる。適当なバインダー材料は、アラビノガラクタン、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マニトール、キシリトール等を包含するが、これらに制限されない。
該液滴の適当な配置は、局所的な組成を調節し、かつ真の三次元組成勾配をもつ成分の製造に利用できる。
【0023】
3DPを利用して製造した投与剤形は、極めて広範囲に渡る治療薬を放出することができる。本発明の投与剤形は、(1) 薬剤の物理化学的諸特性、(2) 塊状粉末材料、バインダーおよび溶媒の組み合わせ、および(3) 該デバイスの全体としてのサイズおよび形状に依存して、μgのオーダーから数百mgまでの範囲内の量で、該薬剤を含むことができる。本発明の投与剤形によって放出可能な薬剤の例は、処方箋によらない調剤、処方箋による調剤、および生物学的な活性を持つその他の分子、例えばビタミン剤または栄養剤を包含する。
好ましい態様において、本発明の投与剤形は、一般的に感冒またはスリープエイズ(sleep aids)の症状を軽減するために使用された。このような薬剤は、クロルフェニルアミンマレエート、シュードエフェドリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドキシルアミンサクシネート、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、アセトアミノフェン、またはその組み合わせを包含するが、これらに制限されない。
正確な用量で製造されるが、特定の物理的寸法に限定されない、本発明の組成物は、更に口腔内以外でも使用できる。任意の天然または天然以外の空洞、例えば外傷性の創傷または外科手術による空洞は、本発明の投与剤形との接触によって、所定の用量を放出するためのターゲットサイトであり得る。
【0024】
本発明の投与剤形は、哺乳動物の身体上に配置するように設計された、デバイスへの組み立てを容易にすべく、更に成形することができる。このような態様の一つは、局所的適用のための、および接着性のパッチまたはストリップに固定される、ウエーハ−様の形状であり得る。
従って、本発明は、対象に投与するのに適した薬理組成物を提供し、該組成物は一種以上の活性成分と、この一種以上の活性成分を収容する、迅速分散性で、非−圧縮性の固体マトリックスとを含み、該マトリックスは、三次元形状を有し、塊状物質とバインダーとを含み、該塊状物質は、製薬上許容される化合物を粒子形状で含み、かつ該バインダーは、製薬上許容される実質的に水溶性の物質を含み、該物質は、該塊状物質の粒子に接着し、かつ該粒子を一緒に結合し、水分の不在下で該マトリックスの三次元構造を維持し、かつ該組成物が、保存し並びに取り扱うのに適した硬さおよび脆弱性を持つことを可能とする。特に、本発明の組成物は、約90秒未満の期間内に、水分と該組成物とが接触した際に、該一種以上の活性成分を該対象に放出しつつ崩壊する、三次元構造を示す。好ましくは、本発明の組成物が分散する時間は、約60秒未満、より好ましくは約30秒未満、最も好ましくは約15、10、または5秒未満である。
【0025】
本発明の特定の一態様においては、対象とする組成物は、更に約150 (mg/ml)〜約1300 (mg/ml)、好ましくは約400 (mg/ml)〜約1000 (mg/ml)の範囲内の嵩密度を有するものとして特徴つけられる。更に、本発明の好ましい組成物は、該投与剤形の体積の約10%〜約90%、好ましくは該投与剤形の体積の、約30%〜約70%の範囲内の有孔度を示すものとして特徴付けられる。
本発明の組成物のその他の特徴は、約1.0kp〜約20kp、好ましくは約3kp〜約10kpの範囲内の硬さ、および約25%未満、好ましくは約10%未満の脆弱性を包含する。
【0026】
考えている用途に依存して、本発明の薬理組成物は、三次元形状を呈し、対象身体の空洞に見られる水分と該組成物とが接触した際に、該所定の期間内に分散する。ここで該体腔は、口腔、目、鼻、膣、直腸および開放状態にある創傷を包含する。また、広範囲に渡る物質が、該塊状物質および該バインダーとして使用でき、このようなものとしては、水溶性の合成ポリマーを包含する。(該塊状物質および該バインダーは、同一の水溶性の合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドンを含んでいてもよい)。好ましくは、該塊状物質は噴霧乾燥したラクトースを含み、また該バインダーはポリビニルピロリドンを含む。
【0027】
同様に、本発明は、一種以上の活性成分を含む医薬を、対象に投与する方法をも意図する。該方法は、以下の工程を含む:(a) 該医薬の、迅速分散性の非−圧縮性投与剤形を調製する工程、ここで該投与剤形は、粉末形状で化合物を含有する、製薬上許容される固体マトリックスを含み、その粒子はバインダーによって一緒に結合されており、および(b) 該投与剤形を、水分含有体腔に挿入する工程、ここで該水分は、約1~約90秒の範囲内の期間内に、該対象の体腔に該医薬を放出しつつ、該バインダーを溶解し、かつ該投与剤形を分散する。
【0028】
この医薬を投与する方法は、また湿った身体表面に該投与剤形を適用する工程を含み、該湿潤身体表面上の該水分は、約1〜約90秒の範囲内の期間内に、該対象の該身体表面に該医薬を放出しつつ、該バインダーを溶解し、かつ該投与剤形を分散する。
従って、本発明が一種以上の活性成分を含有する、迅速分散性投与剤形の製法をも意図していることは明らかであり、該方法は以下の工程を含む:(a) 製薬上許容される粉末化化合物、製薬上許容されるバインダーおよび一種以上の活性成分を、あらゆる随意の製薬上許容される賦形剤と共に調製する工程、(b) 固体フリーフォーミング製造技術を利用して、該化合物、一種以上の活性成分および随意の賦形剤を併合して、三次元形状を有する、非−圧縮性の固体投与剤形を製造する工程。ここで、該固体投与剤形は、水分のない状態でその三次元構造を維持し、かつ保存並びに取り扱いのために十分な硬さおよび脆弱性を示し、かつ該固体投与剤形と水分とが接触した際に、約90秒未満の期間内に、該一種以上の活性成分を放出しつつ、該固体投与剤形が分散される。このような活性成分は、更に風味マスキング剤、唾液腺刺激剤、口臭改善剤、または鼻充血緩和剤を含むこともできる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明の迅速分散性投与剤形の製法を含む、本発明を更に説明するために与えられる。
【0030】
1. ラクトースを含有する迅速分散性投与剤形
以下のような実験を行って、ラクトースおよび微結晶セルロース(MCC)の組み合わせを使用した、迅速分散性経口投与剤形製造の可能性を立証する。
デバイスの設計
このプログラムは、170μmのライン幅、および錠剤の異なる4群間で変えることのできる速度;速度は0.75、1.0、1.25または1.5m/秒で変える。流量は1.22ml/分に維持する。
20-層からなる錠剤を、径1cmおよび高さ3.5mmなる寸法にて印刷する。
材料および製造法
二種の粉末混合物を使用したが、その組成を以下の表1に示す。使用した流体は蒸留水である。これら組成物において、ラクトース(水溶性炭水化物)および微結晶セルロース(水に不溶性のポリマー)の組み合わせを、該塊状粉末材料として使用する。これらは、該錠剤の最終組成の50重量%以上を構成する。該粉末材料は、また澱粉またはアラビノガラクタン等のバインダーをも含む。該プリントヘッドからの水滴の、該粉末層への堆積は、粒子間接着を容易にする。
【0031】
表1

【0032】
生成物の分析
上で製造した錠剤を、100μlの水中で12秒間崩壊させる。該錠剤の寸法および重量を以下の表2に示す。幾つかの製造実験を実施する。ここでは、同一の印刷パラメータを使用するが、該塊状材料の組成および起源を変化させる。
【0033】
表2

*:L=ラクトース一水和物;M=微結晶セルロース;およびA=アラビノガラクタン
【0034】
該種々の組成物の機械的特性は、錠剤脆弱性テスト(USP プロトコール<1216>)を利用して、その破壊抵抗について分析した。「脆弱性」なる用語は、機械的な衝撃を受けた際に、物質がその外部端部および表面から失われる傾向である。このテストは、径285mmおよび深さ39mmなる寸法をもつドラム(NJ州、エジソンの、VanKel Industries, Inc.)を使用し、これを25rpmにて100回に渡り回転させる。20なる最小数の錠剤を、該ドラムの中央部から外壁にまで延びた曲率を持つ突出部によって、各回転において転動させる。かくして、各回転において、該錠剤は回転しもしくは摺動し、かつ該ドラム上にあるいは錠剤相互の上に約130mm落下する。解放された全ての粉末は、該錠剤から分離され、該100回の回転の前後において、全体として秤量される。
【0035】
該錠剤の強度または硬さは、破砕テストによって測定される。VK200 Tablet Hardness Tester (VanKel Industries, NJ州、エジソン)を使用する。錠剤を、該テスターのジョー間の中心に配置し、該錠剤が破壊するまで力を掛ける。破壊時点の負荷を、キロポンド(kp)単位で記録する。キロポンドは、力測定の尺度であり、1kpは9.807ニュートンに等しい。
【0036】
表3

【0037】
これらの得られた錠剤は、所期の迅速分散性を有し、かつ取り扱いおよび保存のために十分な、硬さと脆弱性とを示す。微結晶セルロースを含有する錠剤は、迅速に分散したが、該微結晶セルロースの不溶性のために、見かけ上は溶液中に微粒子が残されている。しかしながら、これらのセルロース粒子は、経口投与剤形においては望ましくないものと考えられる。
【0038】
2. アラビノガラクタンまたはソルビトールをバインダーとして含む、迅速分散性投与剤形
【0039】
材料および製造法
【0040】
塊状粉末物質としてのMCCとアラビノガラクタンまたはソルビトールの水性溶液との組み合わせを、予備製造テストにおいてテストした。このテストでは、予めアラビノガラクタンまたはソルビトールの水性溶液で部分的に湿潤させた、該粉末の乾燥した混合物を、50μlの水に溶解させた。これらの実験は、アラビノガラクタンまたはソルビトールの水性溶液両者が、該プリントヘッドを介して堆積させる場合に、適当な結合剤であることを立証した。
【0041】
3. 該プリントヘッドから分配される流体の一部として堆積された、ポリビニルピロリドンを含有する迅速分散性錠剤
もう一つの方法は、該流体中の溶液に結合剤を含むものに関連する。このバインダー溶液は、ラクトース粉末単独またはラクトースと他の結合剤を含む粉末ブレンドを印刷するのに使用することができる。該バインダー溶液中の該結合剤は、該粉末中のものと同一であっても、あるいは異なっていてもよい。該バインダー溶液中への該結合剤の配合は、該錠剤の種々の内部微視構造、特に孔径を与えるであろう。印刷に際して、該溶媒が蒸発するにつれて、該結合剤の固体残さをその背後に残すであろう。これは、該粉末粒子内の、これらの間の空隙空間を占有するはずである。得られる構造は、該バインダー溶液中に該結合剤を使用すること無しに製造した錠剤と比較して、高い密度をもつであろう。このことは、粉末および流体両者の状態にある該バインダー材料として、ポリビニルピロリドン( (Kollidon) 25)を使用した以下の例で示される。
【0042】
材料および方法
粉末:ラクトース/コリドン25の95:5混合物
バインダー:50:50エタノール−水混合物を含む溶媒に分散させた、20%(wt/vol) コリドン25
バインダー流量:1.2 ml/分
層厚み:200 μm
ライン間隔:170μm
層数:18
ステンシル孔径:1 cm
印刷速度:1.00、1.25、1.50、1.75および2.00 m/s
【0043】
1.0 m/sから2.0 m/sへの印刷速度の増加は、該錠剤に堆積されるバインダー溶液の全体積を半分に減ずる。表4から、該印刷速度が増大するにつれて、(理論的には、該錠剤の重量と寸法とから算出される)嵩密度は減少する。該錠剤の重量と寸法の同時の減少も見られる。この減少は、該粉末に堆積されるバインダー液滴の全体積における減少が、該粉末中に展開するバインダー溶液の程度における減少をもたらす、という事実によるものである。予想されるように、該印刷速度の低下は、フラッシュ時間および硬さをも減じ、かつ該錠剤の脆弱性を増大する。この結果は、コリドン25の割合が、該印刷速度の増大にともなって、該錠剤において減少することによってもたらされる(表5を参照のこと)。
【0044】
表4:錠剤の物性(5個の錠剤についての平均)

【0045】
表5:錠剤の組成

【0046】
表6から、該印刷速度の増加は、また30psi(%押し込み率(intrusion))にて水銀の侵入によって測定される、該錠剤の体積(%)における増加で示されるように、該錠剤の内部の空隙体積をも増大する。
【0047】
表6:水銀多孔度計データ(2個の錠剤に関する平均)

【0048】
4. 種々の層において変動する組織を持つ、迅速分散性錠剤
幾分複雑性の高い方法は、種々の層間にあるいは同一の層内の予め規定した異なる領域内に堆積されるバインダーの量を変化させることによる、錠剤の製造に関連する。この方法は、種々の機械的特性を持つ錠剤内での区画の形成を助ける。この方法は、錠剤の設計に利用され、そこでは該錠剤の頂部および底部層の組成は、その中間部分の組成とは異なる。以下の説明は、このような設計の一例であり、ここでは二種の異なるグレードのポリビニルピロリドンを使用する(コリドン25およびプラスドン(Plasdone) C-15)。
各錠剤は、30mgのシュードエフェドリン塩酸塩および2mgのクロルフェニラミンマレエートを含むように設計されている。
【0049】
粉末:ラクトース:コリドン25の96:4混合物。
バインダー1:該頂部および底部の2層を二重印刷するために利用する、プラスドンC-15の200 g/l 水溶液。
バインダー2:中間部の14層を単一印刷する(single printing)のに使用する、DI水中に、341 g/lのシュードエフェドリン塩酸塩、22.73 g/lのクロルフェニラミンマレエートおよび50 g/lのプラスドンC-15(ポリビニルピロリドンK-15)を溶解した溶液。
バインダー流量:1.0ml/分
層の厚み:200μm
ライン間隔:170μm
層の数:18
ステンシル孔の径:1.2cm
印刷速度:1.75m/s
錠剤10サンプルの物性を、以下の表7に示す。
【0050】
表7

【0051】
この設計は、該錠剤がより強力な頂部および底部層をもつことを可能とし、結果として硬さを増大し、かつ脆弱性を低下し、また該錠剤が、低い硬さをもつ大きな中間部分を持つことを可能とし、この低い硬さは該錠剤が迅速に分散することを可能とする。薬物の含有率は、それぞれ予想された値に対して、平均して、シュードエフェドリン塩酸塩については99.2±1.3%であり、またクロルフェニラミンマレエートについては97.7±1.1%である。
当業者には、以上の記載から、本明細書には具体的に記載されていない、本発明の他の態様も予想されるであろうが、これらも本発明の範囲並びに精神に含まれるものと理解すべきである。即ち、本発明はここに与えられた特定の態様によって何等制限されるものではなく、本発明は以下に記載する請求の範囲によってのみ制限される。
【0052】
発明の実施の態様
1. 対象に投与するのに適した薬理組成物であって、一種以上の活性成分と、該一種以上の活性成分を収容する、迅速分散性で、非−圧縮性の固体マトリックスとを含み、該マトリックスは三次元形状を有し、かつ塊状材料およびバインダーを含み、該塊状材料は、粒子形状の製薬上許容される化合物を含み、かつ該バインダーは、該塊状物質の粒子に接着し、かつ該粒子を一緒に結合することのできる、製薬上許容された、実質的に水溶性の物質を含んでいて、水分の不在下にて該マトリックスの該三次元構造を維持し、かつ該組成物が保存並びに取り扱いのために十分な、硬さと脆弱性とを持つことを可能とし、一方で該組成物が水分と接触した際に、約90秒未満の期間内に、該一種以上の活性成分を該対象に放出しつつ、該三次元形状が破壊されることを特徴とする、上記薬理組成物。
2. 更に、約150 (mg/ml) 〜約1300 (mg/ml)の範囲内の嵩密度を示すものとして特徴付けられる、上記第1項に記載の薬理組成物。
3. 更に、該投与剤形体積の、約10%〜約90%の範囲内の多孔度を示すものとして特徴付けられる、上記第2項に記載の薬理組成物。
4. 該期間が、約60秒未満である、上記第1項に記載の薬理組成物。
5. 該期間が、約30秒未満である、上記第1項に記載の薬理組成物。
6. 該期間が、約15秒未満である、上記第1項に記載の薬理組成物。
7. 約1.0kp〜約20kpの範囲内の硬さをもつ、上記第1項に記載の薬理組成物。
8. 約25%未満の脆弱性を有する、上記第1項に記載の薬理組成物。
9. 該塊状材料が、噴霧乾燥されたラクトース、フルクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マニトール、キシリトールおよび微結晶セルロースからなる群から選択される、上記第1項に記載の薬理組成物。
10. 該バインダーが、アラビノガラクタン、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マニトールおよびキシリトールからなる群から選択される、上記第1項に記載の薬理組成物。
11. 該一種以上の活性成分が、クロルフェニラミンマレエート、シュードエフェドリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドキシルアミンサクシネート、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、アセトアミノフェン、またはその混合物からなる群から選択される、上記第1項に記載の薬理組成物。
12. 対象の体腔中に見られる水分と該組成物とが接触した際に、該期間内に、崩壊する三次元構造を有する、上記第1項に記載の薬理組成物。
13. 該塊状材料および該バインダーが、水溶性の化合物を含む、上記第1項に記載の薬理組成物。
14. 該塊状材料および該バインダーが、同一の水溶性化合物を含む、上記第13項に記載の薬理組成物。
15. 該化合物が、ポリビニルピロリドンを含む、上記第14項に記載の薬理組成物。
16. 該塊状材料が、噴霧乾燥したラクトースを含み、かつ該バインダーがポリビニルピロリドンを含む、上記第1項に記載の薬理組成物。
17. 一種以上の活性成分を含む医薬を、対象に投与する方法であって、
(a) 該医薬の、迅速分散性で、非−圧縮性の投与剤形を調製する工程、ここで該投与剤形は、粉末形状の化合物を含有する、製薬上許容される固体マトリックスを含み、その粒子は、バインダーによって一緒に結合されており、および
(b) 該投与剤形を、水分−含有体腔に挿入する工程、ここで該水分は、約1 ~ 約90秒の範囲内の期間内に、該対象の体腔に該医薬を放出しつつ、該バインダーを溶解し、かつ該投与剤形を分散することができる、
各工程を含むことを特徴とする、上記投与方法。
18. 該体腔が、口、目、鼻、膣、直腸、開いた創傷からなる群から選択される、上記第17項に記載の方法。
19. 一種以上の活性成分を含有する医薬を、対象に投与する方法であって、
(a) 該医薬の、迅速分散性かつ非−圧縮性の投与剤形を調製する工程、ここで該投与剤形は、粉末形状の化合物を含有する、製薬上許容される固体マトリックスを含有し、その粒子は、バインダーによって一緒に結合されており、および
(b) 該投与剤形を、湿潤身体表面に適用する工程、ここで該湿潤身体表面上の水分は、約1 ~ 約90秒の範囲内の期間内に、該対象の体表面に該医薬を放出しつつ、該バインダーを溶解し、かつ該投与剤形を分散することができる、
各工程を含むことを特徴とする、上記投与方法。
20. 一種以上の活性成分を含む、迅速分散性固体投与剤形の製法であって、
(a) 製薬上許容される粉末化化合物、製薬上許容されるバインダーおよび一種以上の活性成分を、任意の製薬上許容される随意の賦形剤と共に、調製する工程、
(b) 該化合物、バインダー、一種以上の活性成分および随意の賦形剤を、固体フリー−フォーミング製造技術を利用して併合して、三次元形状を有する、非−圧縮性の固体投与剤形を生成する工程、ここで該固体投与剤形は、水分の不在下でその三次元形状を維持することができ、かつ保存並びに取り扱いのために十分な、硬さおよび脆弱性をもつことができ、
一方で該固体投与剤形が水分と接触した際に、約90秒未満の期間内に、該一種以上の活性成分を放出しつつ、該固体投与剤形が破壊されることを特徴とする、上記方法。
21. 該製造技術が、弾道粒子製造技術または溶融堆積モデリング技術から選択される、上記第20項に記載の方法。
22. 該製造技術が、三次元印刷技術である、上記第20項に記載の方法。
23.該化合物の粒子と該バインダーとを接着して、上記期間内に、水分と接触した際に、分散することのできる、三次元形状の形成を可能とする条件下で、該粉末化化合物およびバインダーを一緒に併合する、上記第20項に記載の方法。
24. 上記第1項に記載の薬理組成物を含むことを特徴とする、薬物放出用のビヒクル。
25. 風味マスキング剤、唾液腺刺激剤、口臭改善剤、または鼻充血緩和剤を含む、上記第24項に記載の薬物放出用のビヒクル。
26. 対象の体表面に、局所的に適用することのできる、上記第24項に記載の薬物放出用のビヒクル。
27. 該対象が、哺乳動物である、上記第26項に記載の薬物放出用のビヒクル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に投与するための薬理組成物であって、一種以上の活性成分と、該一種以上の活性成分を含む、迅速分散性で、非−圧縮性の固体マトリックスとを含み、該マトリックスは、規定された微視構造を有する層状の三次元形状を有し、かつ、塊状材料およびバインダーを含み、該塊状材料は、粒子形状の製薬上許容される化合物を含み、かつ、該バインダーは、該塊状物質の粒子に接着し、かつ、該粒子を一緒に結合する、製薬上許容された、実質的に水溶性の物質を含み、水分の不在下にて該マトリックスの該三次元構造を維持し、かつ、該組成物が保存並びに取り扱いのために十分な、硬さと脆弱性とを持つことを可能とし、一方で該組成物が水分と接触した際に、90秒未満の期間内に、該一種以上の活性成分を該対象に放出しつつ、該三次元形状が破壊され、前記薬理組成物が、投与剤形体積の10%〜90%の有孔度を示し、150(mg/ml)〜1300(mg/ml)の嵩密度を示し、1.0kp〜20kpの硬さを示し、25%未満の脆弱性を有し、
前記マトリックスが、各層内にプログラム化された該バインダーの配置を有する層構成を有する、上記薬理組成物。
【請求項2】
前記層状の三次元形状が、頂部層と、底部層と、前記頂部層及び底部層との間の中間層部とを有し、かつ前記頂部層及び底部層が増大した硬さを有し、一方、前記中間層部が低い硬さを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記嵩密度が、400(mg/ml)〜1000(mg/ml)である、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項4】
前記有孔度が、30%〜70%である、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項5】
該期間が、60秒未満である、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項6】
該期間が、30秒未満である、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項7】
該期間が、15秒未満である、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項8】
前記硬さが、3kp〜10kpである、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項9】
前記脆弱性が、10%未満を有する、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項10】
該塊状材料が、噴霧乾燥されたラクトース、フルクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マニトール、キシリトールおよび微結晶セルロースからなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項11】
該バインダーが、アラビノガラクタン、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、マニトールおよびキシリトールからなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項12】
該一種以上の活性成分が、クロルフェニラミンマレエート、シュードエフェドリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドキシルアミンサクシネート、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、アセトアミノフェン、またはその混合物からなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項13】
対象の体腔中に見られる水分と該組成物とが接触した際に、該期間内に、崩壊する三次元構造を有する、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項14】
該塊状材料および該バインダーが、水溶性の化合物を含む、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。
【請求項15】
該塊状材料および該バインダーが、同一の水溶性化合物を含む、請求の範囲第14項に記載の薬理組成物。
【請求項16】
該化合物が、ポリビニルピロリドンを含む、請求の範囲第15項に記載の薬理組成物。
【請求項17】
該塊状材料が、噴霧乾燥したラクトースを含み、かつ、該バインダーがポリビニルピロリドンを含む、請求の範囲第1項に記載の薬理組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−120938(P2010−120938A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256374(P2009−256374)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願平10−536878の分割
【原出願日】平成10年2月20日(1998.2.20)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】