説明

近接場光発生装置、近接場光ヘッドおよび近接場光発生装置の製造方法

【課題】 光導波路の媒体対向面に近接場光発生素子が容易かつ高精度に成形可能な近接場光発生装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1導波路と、第1導波路の光軸上に備えられた第2導波路と、第1導波路と第2導波路との間に離間部とを備える。次に、離間部に金属材料を入射することにより、第2導波路の断面に金属膜を成膜し、第1導波路をマスクとして金属膜をエッチングすることにより、金属膜は、第2導波路の光軸上に近接場光発生素子として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接場光発生装置、近接場光ヘッドおよび近接場光発生装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の容量増加に伴い、単一記録面内における情報の記録密度が増加している。例えば、磁気ディスクの単位面積当たりの記録容量を多くするためには、面記録密度を高くする必要がある。ところが、記録密度が高くなるにつれて、記録媒体上で1ビット当たりの占める記録面積が小さくなっている。このビットサイズが小さくなると、1ビットの情報が持つエネルギーが、室温の熱エネルギーに近くなり、記録した情報が熱揺らぎ等のために反転したり、消えてしまったりする等の熱減磁の問題が生じてしまう。
【0003】
一般的に用いられてきた面内記録方式では、磁化の方向が記録媒体の面内方向に向くように磁気を記録する方式であるが、この方式では上述した熱減磁による記録情報の消失等が起こり易い。そこで、このような不具合を解消するために、近年では記録媒体に対して垂直な方向に磁化信号を記録する垂直記録方式が採用されている。この方式は、記録媒体に対して、単磁極を近づける原理で磁気情報を記録する方式である。この方式によれば、記録磁界が記録膜に対してほぼ垂直な方向を向く。垂直な磁界で記録された情報は、記録膜面内においてN極とS極とがループを作り難いため、エネルギー的に安定を保ち易い。そのため、この垂直記録方式は、面内記録方式に対して熱減磁に強くなっている。
【0004】
しかしながら、近年の記録媒体は、より大量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、さらなる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保磁力の強いものが記録媒体として採用され始めている。そのため、上述した垂直記録方式であっても、記録媒体に情報を記録することが困難になっていた。
【0005】
そこで、上述した不具合を解消するために、近接場光を利用して情報を記録する磁区を局所的に加熱し、一時的に保磁力を低下させ、その間に記録媒体への書き込みを行う熱アシスト磁気記録方式の情報記録再生装置が考案され開発が進められている。
【0006】
このような記録再生ヘッドのうち、近接場光を利用した記録再生ヘッド(以下、近接場光ヘッドという)には、例えば特許文献1に示されるように、スライダ底面に近接場光を発生させるための平面状の三角形の形状をした散乱体を形成し、その上部に光を導入するための導波路を形成している。そして導波路の下部における散乱体近傍の領域を導波路のコアとは異なる材質で覆い、その材質の屈折率は導波路のコアよりも小さくなるようにしている。ここで導波路の下部とは、スライダ底面に近い部分を言う。このように、近接場光が発生する散乱体の近傍の材料の屈折率を小さくすることにより、散乱体近傍の材料中に発生する分極の大きさを小さくすることが出来、その結果、散乱体中に発生する近接場光強度を大きくすることが出来ると開示されている。
【0007】
また、例えば特許文献2には、近接場光発生板の所望の部分を媒体に向かって突出させることが容易な近接場光発生板を備えたハードディスク装置が示されている。近接場光発生板の媒体対向面の一部分を異なる導電材料から形成し、それら研磨やエッチング等のレートの違いに基づいて、所望の部分を選択的に媒体に向かって容易に突出させることができると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−280572号公報
【特許文献2】特開2008−159192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術の近接場光ヘッドは、製造方法に関して開示されておらず、記録素子を構成する主磁極、補助磁極およびコイルと散乱体まで光束を伝播するコアおよびクラッドとが、磁気記録媒体の表面に沿った方向に積層された積層構造体となっている。このため、磁気記録媒体の表面に対向する対向面に散乱体を形成する上記した従来の近接場光ヘッドでは、上気した積層構造体の積層方向に直交する端面に散乱体を形成することになるので、散乱体を形成する作業が煩雑であるという問題がある。
【0010】
また、近接場光発生素子の頂点や膜厚には数nmから数十nm程度の加工精度が要求され、電子線描画装置や集束イオンビーム装置などの極めて高度な微細加工技術が必要となる。このように、高度な微細加工技術を記録ヘッド製造へ応用するのは、量産化に不向きであると予想される。
【0011】
また、近接場光発生素子が媒体側に一部突出している構造では、異なる導電材料を形成するため、成膜工程が煩雑になる。
【0012】
また、2種類の異なる導電材料で形成するため、表面プラズモン伝播時に、2種類の導電材料の界面で、表面プラズモンが熱や光に変換される等の伝播損失が生じることが考えられる。
【0013】
そこで本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、光導波路の媒体対向面に近接場光発生素子を容易かつ高精度に成形可能な熱アシスト磁気記録方式の近接場光発生装置の製造方法を提供し、かつ、その方法によって得られた近接場光発生装置、及び近接場光ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を提案する。光束を近接場光として発生させる近接場光発生素子を備えた近接場光発生装置の製造方法であって、第1導波路と、第1導波路の光軸上に備えられた第2導波路と、第1導波路と第2導波路との間に離間部とを備える工程と、離間部に金属材料を入射することにより、第2導波路の断面に金属膜を成膜する工程と、第1導波路をマスクとして金属膜をエッチングする工程と、第1導波路を除去する工程とを備え、金属膜は、第2導波路の光軸上の近接場光発生素子として形成される。
【0015】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、金属膜を成膜する工程では、離間部への金属材料の入射条件を段階的に変えることによって、金属膜の膜厚を段階的に変える。そして、離間部への金属材料の入射条件は、第2導波路の断面に対する金属材料の入射角度である。
【0016】
このような製造方法により、第2導波路の断面に成膜された金属膜を、第1導波路の断面に向かって一部突出させることができる。これにより、同一の材料で一部突出した近接場光発生素子を形成できる。2種類の異なる材料で近接場光発生素子を形成した場合、それら異なる材料の界面でプラズモン伝播時に損失が生じるのに対し、同一の材料で近接場光発生素子を形成した場合、プラズモン伝播効率の高い近接場光発生素子を製造可能である。また、異なる材料で近接場光発生素子を形成する場合、異なる材料のエッチングレートの違いから突出構造を形成するため、工程が煩雑になるが、この製造方法によれば、成膜のみの工程で近接場光発生素子を形成できるため工程が簡素である。
【0017】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、金属膜をエッチングする工程は、エッチングの方向を第2導波路の断面に対して垂直方向から斜め上方にかけて変化させることにより、金属膜の外形形状を調整する形状調整工程を有する。
【0018】
このような製造方法により、近接場光発生素子を第2導波路の光軸上に保ちながら、近接場光発生素子の寸法制御が可能となる。
【0019】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法は、光束を近接場光として発生させる近接場光発生素子を備えた近接場光発生装置の製造方法であって、第1導波路と、第1導波路の光軸上に備えられた第2導波路と、第1導波路と第2導波路との間に離間部とを備える工程と、離間部に金属材料を入射することにより、第1導波路の断面に金属膜を成膜する工程と、第1導波路を除去する工程とを備え、金属膜は、第2導波路の光軸上の近接場光発生素子として形成される。
【0020】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、金属膜を成膜する工程では、離間部への金属材料の入射条件を段階的に変えることによって、金属膜の膜厚を段階的に変える。そして、離間部への金属材料の入射条件は、第1導波路の断面に対する金属材料の入射角度である。
【0021】
このような製造方法により、第1導波路の断面に成膜された金属膜を、第2導波路の断面に向かって一部突出させることができる。これにより、同一の材料で一部突出した近接場光発生素子を形成できる。
【0022】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、金属膜を成膜する工程の後に、第2導波路、離間部、及び金属膜上に光導波路よりも屈折率の低い低屈折材料を形成する工程を備える。
【0023】
このような製造方法により、光導波路と近接場光発生素子との間に光導波媒体を既存のプロセスで作製可能である。
【0024】
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、第1導波路の断面形状は、三角形である。
また、本発明の近接場光発生装置の製造方法において、第2導波路の断面形状は、四角形である。
また、本発明は、以上の製造方法を用いて製造された近接場光発生装置を提供する。
【0025】
また、本発明は、以上の近接場光発生装置を含み、一定方向に回転する磁気記録媒体の表面に沿って移動可能なスライダと、スライダに保持されていると共に、主磁極および補助磁極を有し、磁気記録媒体の表面に対向する対向面から記録磁界を発生させる記録素子とを備え、近接場光によって磁気記録媒体を加熱すると共に、記録素子から発生する記録磁界によって磁気記録媒体に磁化反転を生じさせることにより、磁気記録媒体に情報を記録することを特徴とする近接場光ヘッドを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子線描画装置や集束イオンビーム装置などの高度な微細加工技術を必要とせずに、既存の成膜技術で製造できるため、容易に光導波路の媒体対向面に近接場光発生素子を形成可能である。また、光導波路に対して位置ずれが生じず、寸法と厚みを制御可能であるため、高精度に近接場光発生素子を形成できる。したがって、容易、高精度であるため量産に向いている。また、本発明によれば同一材料で近接場光発生素子を媒体側へ一部突出することができるため、製造工程が簡素化され、かつ表面プラズモンの伝播効率が向上可能な近接場光発生装置の製造方法、近接場光発生装置、及び近接場光ヘッドを提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る近接場光ヘッドを有する情報記録再生装置を示す構成図である。
【図2】本発明に係る近接場光ヘッドの拡大断面図である。
【図3】図2に示す近接場光ヘッドを、ディスク面側から見た図である。
【図4】図2に示す近接場光ヘッドの断面図である。
【図5】光導波路のコアと近接場光発生素子のみ拡大表示した斜視図である。
【図6−1】(A)〜(G) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、記録ヘッドの第1実施形態の製造プロセスを示した図である。
【図6−2】(H)〜(L) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、図6−1に続く記録ヘッドの第1実施形態の製造プロセスを示した図である。
【図7】光導波路のコアと近接場光発生素子との間に低屈折材料が挟まれた構造を拡大表示した斜視図である。
【図8−1】(A)〜(G) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、記録ヘッドの第2実施形態の製造プロセスを示した図である。
【図8−2】(H)〜(K) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、図8−1に続く記録ヘッドの第2実施形態の製造プロセスを示した図である。
【図9】近接場光発生素子がディスクD1に対して一部突出した構造を有する光導波路のコアと近接場 光発生素子を拡大表示した斜視図である。
【図10−1】(A)〜(F) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、記録ヘッドの第3実施形態の製造プロセスを示した図である。
【図10−2】(G)〜(L) 図5に示すAA'断面およびB側面のそれぞれから、図10−1に続く記録ヘッドの第3実施形態の製造プロセスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る情報記録再生装置の記録ヘッド製造方法の第1実施形態を、図1から図6を参照して説明する。
【0029】
まず、情報記録再生装置1と記録ヘッド2の構造について図1から図5を用いて説明する。本実施形態における情報記録再生装置1は、図1に示すように、記録ヘッド2と、ディスク面(磁気記録媒体の表面)D1に平行なXY方向に移動可能とされ、ディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在な状態で記録ヘッド2を先端側で支持するサスペンション3と、光束導入手段4の基端側から該光束導入手段4に対して光束Lを入射させる光信号コントローラ(光源)5と、サスペンション3の基端側を支持すると共に、該サスペンション3をディスク面D1に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを一定方向に回転させるスピンドルモータ(回転駆動部)7と、後述する記録素子21及び光信号コントローラ5の作動を制御する制御部8と、これら各構成品を内部に収容するハウジング9とを備えている。
【0030】
ハウジング9は、アルミニウム等の金属材料により、上面視四角形状に形成されていると共に、内側に各構成品を収容する凹部9aが形成されている。また、このハウジング9には、凹部9aの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。
【0031】
凹部9aの略中心には、上記スピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。凹部9aの隅角部には、上記アクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、軸受10を介してキャリッジ11が取り付けられており、該キャリッジ11の先端にサスペンション3が取り付けられている。そして、キャリッジ11及びサスペンション3は、アクチュエータ6の駆動によって共に上記XY方向に移動可能とされている。
【0032】
なお、キャリッジ11及びサスペンション3は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。また、記録ヘッド2とサスペンション3とで、ヘッドジンバルアセンブリ12を構成している。また、光信号コントローラ5は、アクチュエータ6に隣接するように凹部9a内に取り付けられている。そして、このアクチュエータ6に隣接して、上記制御部8が取り付けられている。
【0033】
上記記録ヘッド2は、回転するディスクDを加熱すると共に、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を与えることで磁化反転を生じさせ、情報を記録させるものである。
【0034】
この記録ヘッド2は、図2及び図3に示すように、ディスク面D1から所定距離Hだけ浮上した状態でディスクDに対向配置され、ディスク面D1に対向する対向面20aを有するスライダ20と、該スライダ20の先端面(以降、流入端側の側面と表現する)に固定された記録素子21と、該記録素子21に隣接して固定された光導波路22と、該光導波路22の後述するコア40内に光信号コントローラ5からの光束Lを導入する光束導入手段4とを備えている。また、本実施形態の記録ヘッド2は、光導波路22に隣接して固定された再生素子23を備えている。
【0035】
上記スライダ20は、石英ガラス等の光透過性材料や、AlTiC(アルチック)等のセラミック等によって直方体状に形成されている。このスライダ20は、対向面20aをディスクD側にした状態で、ジンバル部24を介してサスペンション3の先端にぶら下がるように支持されている。このジンバル部24は、ディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りにのみ変位するように動きが規制された部品である。これによりスライダ20は、上述したようにディスク面D1に平行で且つ互いに直交する2軸(X軸、Y軸)回りに回動自在とされている。
【0036】
また、スライダ20の下面20aには、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる凸条部20bが形成されている。この凸条部20bは、長手方向(X方向)に沿って延びるように形成されており、レール状に並ぶように間隔を空けて左右(Y方向)に2つ形成されている。但し、凸条部20bはこの場合に限定されるものではなく、スライダ20をディスク面D1から離そうとする正圧とスライダ20をディスク面D1に引き付けようとする負圧とを調整して、スライダ20を最適な状態で浮上させるように設計されていれば、どのような凹凸形状でも構わない。なお、この凸条部20bの表面はABS(AIR BEARING SURFACE)20cと呼ばれている。
【0037】
そしてスライダ20は、この2つの凸条部20bによってディスク面D1から浮上する力を受けている。一方、サスペンション3はディスク面D1に垂直なZ方向に撓むようになっており、スライダ20の浮上力を吸収している。つまり、スライダ20は、浮上した際にサスペンション3によってディスク面D1側に押さえ付けられる力を受けている。よってスライダ20は、この両者の力のバランスによって、上述したようにディスク面D1から所定距離H離間した状態で浮上するようになっている。しかもスライダ20は、ジンバル部24によってX軸回り及びY軸回りに回動するようになっているので、常に姿勢が安定した状態で浮上するようになっている。
【0038】
なお、ディスクDの回転に伴って生じる空気流は、スライダ20の流入端側(サスペンション3のX方向基端側)から流入した後、ABS20cに沿って流れ、スライダ20の流出端側(サスペンション3のX方向先端側)から抜けている。
以下、スライダ20の流入端側(リーディングエッジ側)、つまり図2におけるX方向右側を「後方」とし、スライダ20の流出端側(トレイリングエッジ側)、つまり図2におけるX方向左側を「前方」とする。また、記録再生ヘッド2に対してディスク面D1側、つまり図2におけるZ方向下側を「下方」とし、その反対側、つまり図2におけるZ方向上側を「上方」とする。
【0039】
次に、記録ヘッド2の構造を説明する。図4は記録ヘッド2の断面図である。記録ヘッド2は、光束導入手段4、スライダ20、スライダ20に接する、スライダ側クラッド100、コア40、クラッド41から成る光導波路22、近接場光発生素子50、光導波路22に隣接した、主磁極32、コイル33、磁気回路31、補助磁極30、再生素子23から構成される。補助磁極30、主磁極32及び磁気回路31は、磁束密度が高い高飽和磁束密度(Bs)材料(例えば、CoNiFe合金、CoFe合金等)により形成されている。また、コイル33は、ショートしないように、隣り合うコイル33間、磁気回路31との間、補助磁極30、主磁極32との間に隙間が空くように配置されており、この状態で絶縁体34によってモールドされている。磁気回路31及びコイル33は、全体として電磁石を構成している。
【0040】
図5に、記録ヘッド2のディスク面D1に対向している近接場光発生素子50と光導波路22のコア40の拡大図を示す。四角柱形状のコア40のディスクD1側端面に三角柱形状の近接場光発生素子50が形成されている。コア40の材質は屈折率の高いTa25とし、一辺の長さは500nmとする。また近接場光発生素子50の材質は、プラズモンを発生する材料であるAu、Hg、Ptとし、断面形状は三角形であり、一辺の長さは500nm、厚さは50nmとする。
【0041】
次に、情報の記録を行う場合、図1に示す制御部8は光信号コントローラ5を作動させてレーザ光L(図4に示す)を出射させるとともに、情報に応じて変調した電流をコイル33に供給して記録素子21を作動させる。
【0042】
まず、光信号コントローラ5から入射し、伝播してきたレーザ光Lを反射面25で略90度反射された後、光導波路22のコア内をスライダ上方から下方に向かって伝播する。
【0043】
レーザ光Lは、続いて、近接場光生成素子50に入射する。レーザ光Lが近接場光発生素子50に達すると、近接場光発生素子50には表面プラズモンが励起される。近接場光発生素子50は三角形とし、その頂点に特に強い表面プラズモンが発生する。
【0044】
[製造方法]
それでは、図6(A)〜(L)を用いて上述の記録ヘッド2の製造方法について説明する。
【0045】
まず、基板上にスライダ側クラッド100を形成する。具体的にはAl23、SiO2などの絶縁材料を用いる。次に、スライダ側クラッド100上に、コア40の材料であるTa25層を成膜する。成膜方法は特に限定せず、マグネトロンRFスパッタ、イオンビームスパッタなどを用いる。
【0046】
次に、図6(A)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いてコア40上に、除去すべき領域が開口したマスクパターン(不図示)を形成し、マスクパターンを介して反応性イオンエッチング(RIE)を行う(垂直エッチング)。垂直エッチングで余分な膜を除去した後、マスクパターンを除去し、所定の寸法の四角柱形状のコア40を形成する。
【0047】
次に、図6(B)に示すように、四角柱形状のコア40が形成された状態で、フォトリソグラフィー技術を用いてエッチングマスク101をコア40上の所定の位置に形成する。エッチングマスク101は、特に限定せず、Ta25層のエッチング時に選択比のある材料であるCrなどを用いる。エッチングマスク101形成位置は、コア40の端面からある距離hほど、図6(B)AA'断面の右側にする。ただし、エッチングマスク101は任意の位置に配置可能である。また、図中ではエッチングマスク101はコア40の側面を覆っていないが、実際にはコア側面を覆っても良い。
【0048】
続いて、図6(C)に示すように、三角柱コア40aはArエッチングで成形可能である。四角柱コア40をスパッタエッチングすると、四角柱の角部が選択的にエッチングされて斜面が形成される。そして、この状態でさらにエッチングを続けると、斜面が底辺に対して一定の角度を保ちながらエッチングされることで、三角柱コア40aに形成される。
【0049】
その後、三角柱コア40aをさらにエッチングすると、三角柱コア40aの断面は相似形を保ちながら幅、および高さが縮小する。したがって、エッチング時間を調整すれば、所望の寸法の三角柱コア40aが成形可能である。
【0050】
その後、図6(D)に示すように、エッチングマスク101を除去し、三角柱コア40aと四角柱のコア40が接続した構造のコアを形成する。
【0051】
さらに、図6(E)に示すように、三角柱コア40aおよび四角柱形状のコア40の結合部が露出するように、三角柱コア40aと四角柱形状のコア40のそれぞれに、エッチングマスク102を形成する。図中ではエッチングマスク102はコア40の側面を覆っていないが、実際にはコア側面を覆っても良い。
【0052】
次いで、図6(F)に示すように、エッチングにより離間距離gでコア40と三角柱コア40aを分離する。エッチングは分離によって生じた断面を平坦化するような方法を用いれば良い。具体的には反応性イオンエッチング(RIE)や、イオンミリング法などを用いる。また、断面はスライダ側クラッド100に対して必ずしも垂直面とは限らず、クラッド100に対して傾きを持つ、あるいは湾曲した断面でも良い。
【0053】
その後、図6(G)に示すように、エッチングマスク102を除去し、三角柱コア40aとコア40を離間距離gで分離して配置する。この時、三角柱コア40aはコア40の一部だったため、三角柱コア40aとコア40の位置関係は同軸上である。
【0054】
続いて、図6(H)に示すように、四角柱のコア40の基板に対しての垂直断面E(図6(G)参照)に金属膜110を成膜する。金属膜110はAu、Hg、Pt等を用いる。成膜方法は真空蒸着などを用いれば良い。金属膜110は、四角柱のコア40の側面全面に成膜できるよう、基板の垂直方向に対し図6(H)AA’断面のZ方向左側へ所定角度傾いた方向から入射する。また、膜の厚みは、成膜速度、成膜角度、成膜時間によって制御することが可能となる。
【0055】
その後、図6(I)に示すように、図6(I)AA’断面のZ方向左側からRIEなどの直進性の高いエッチングを行う。この時、基板と平行方向から基板に対して略垂直方向までエッチング角度は設定可能である。基板と平行方向に近い角度から金属膜110をエッチングする場合、図6(H)B側面に斜線で示されている部分を除去する。この時、三角柱コア40aと、四角柱のコア40の断面は、図6(H)の基板側を底辺とすると、それぞれの高さ、および底辺の長さがほぼ等しくなる。エッチング角度を略垂直方向へ徐々に大きく場合は、三角形は相似形を保ったまま、三角形の頂点が徐々に基板26側(下側)へ移動する。したがって三角形の頂点をコア40に対して所望の位置に形成できる。
この工程で、金属膜110を三角形の近接場発生素子50に形成する。
【0056】
次に、図6(J)に示すように、全面を覆うようにAl23、SiO2などの絶縁材料であるクラッド41を形成する。その後、必要があれば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等でクラッド41の表面を研磨して、平坦面に形成する。
【0057】
次に、図6(K)に示すように、クラッド41上に従来の方法によって主磁極32、磁気回路31(不図示)、絶縁体34、コイル33、再生素子23を形成する。
【0058】
次に、基板をダイシングして、一方向(X方向)に沿って複数のスライダ20が連なった状態のバー(不図示)を形成する。その後、図6(K)〜(L)に示すように、媒体対向面Fを所定距離除去する。除去方法は特に限定されず、例えば機械的研磨や化学機械研磨(CMP)等のラッピング(研磨)法、イオンビームエッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、化学エッチング等のエッチング法、これらの任意の組合せ等の方法により媒体対向面側の表面を所定厚み除去しても良い。研磨方法を除去方法として用いるならば、エレクトロラッピングガイド(ELG)を用い、近接場光素子50の露出面の位置だしを行えば良い。従来、磁気ヘッドはELGを用いた研磨量コントロール(研磨終端検出)を行っている。本実施例でも同様にELGを用いて、研磨の終端を近接場光発生素子50の位置に合わせれば、磁気ヘッドの研磨と同様に、近接場光発生素子50の位置で研磨を止められる。
【0059】
その後、バーを切断しスライダ20を形成する。
以上説明した工程によれば、図6で説明した記録ヘッド2を製造することが可能である。
【0060】
上述の記録ヘッド2の製造方法によれば、既存のプロセス技術を用いて、光導波路22の媒体対向面に近接場光発生素子50を容易かつ高精度に形成することができる。
【0061】
まず、三角柱コア40aはコア40の一部だったため、三角柱コア40aとコア40の位置関係は同軸上である。その三角柱コア40aとコア40を離間距離gで分離し、分離で生じる垂直断面Eに近接場光発生素子50を形成するため、コア40と近接場光発生素子50の位置合わせ(アライメント)が不要となる。
【0062】
また、金属膜110のエッチング時に、エッチングマスクとして三角柱コア40aを用いる。近接場光発生素子50は、エッチング角度を基板26から垂直方向へ傾けることにより寸法制御が可能で、形状は三角形を保ちつつ、所望の三角形の高さと底辺を形成できる。さらに、近接場光発生素子50の厚みは、金属膜110の成膜時の膜厚で制御可能となる。
【0063】
したがって、既存のプロセス技術で製造できるため容易で、コア40に対して位置ずれがなく、所望の寸法と厚みの制御が可能であるため高精度な製造方法によって、近接場光発生素子50を製造することができる。
以上より、本実施例の製造方法は量産に向いた記録ヘッドの製造方法となる。
【0064】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る情報記録再生装置の記録ヘッド製造方法の第2実施形態を、図7、図8を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0065】
まず、図7に示すようなコア40と近接場光発生素子50との間に低屈折材料42が挟まれている構造を持った記録ヘッド2の製造方法に関して説明する。
【0066】
[製造方法]
第2実施形態では、第1実施形態と同様であるため、図8(A)〜(B)、図8(D)〜(G)、図8(J)〜(K)の説明を省略する。
【0067】
まず、図8(C)に示すように、三角柱コア40aはArエッチングで成形可能である。四角柱コア40をスパッタエッチングすると、四角柱の角部が選択的にエッチングされて斜面が形成される。そして、この状態でさらにエッチングを続けると、射面が底辺に対して一定の角度を保ちながらエッチングされることで、三角柱コア40aに形成される。
【0068】
その後、三角柱コア40aをさらにエッチングすると、三角柱コア40aの断面は相似形を保ちながら幅、および高さが縮小する。
【0069】
本実施例では、三角柱コア40aの垂直断面Gに金属膜110を成膜するため、所望の寸法になるまでArエッチングを行う。
【0070】
次に図8(H)に示すように、金属膜110の成膜工程では、三角柱コア40aの垂直断面G(図8(G)参照)に金属膜110を形成する。成膜方法は、真空蒸着などを用いれば良い。成膜は、Y方向からZ方向上方へ所定角度傾いた方向から行い、三角柱コア40aの端面全面に成膜されるものとする。膜の厚みは、成膜速度、成膜角度、成膜時間によって制御することが可能となる。
【0071】
その後、図8(I)に示すように、低屈折材料42で全面を覆うように成膜する。成膜方法は特に限定せず、マグネトロンRFスパッタ、イオンビームスパッタなど用いれば良い。
【0072】
上述の第2実施形態の製造方法によれば、光導波路22と近接場光発生素子50が低屈折材料42を介して形成されているような記録ヘッド2を容易かつ高精度に製造することができる。
【0073】
まず、三角柱コア40aはコア40の一部だったため、三角柱コア40aとコア40の位置関係は同軸上である。その三角柱コア40aとコア40を離間距離gで分離し、分離で生じる三角柱コア40aの垂直断面Gに近接場光発生素子50を形成するため、コア40と近接場光発生素子50は位置合わせ(アライメント)が、第1実施形態と同様に不要である。
【0074】
また、三角柱コア40aの垂直断面Gに近接場光発生素子50を形成するため、近接場光発生素子50の寸法、形状は三角柱コア40aと同一となる。三角柱コア40aの寸法は、Arエッチング量で制御可能である。
【0075】
また、近接場光発生素子50の厚みは、金属膜110の成膜時に制御できる。
また、三角柱コア40aとコア40の離間距離gはマスク設計時に設定可能で、低屈折材料42の厚さも制御可能となる。
【0076】
以上のことから、近接場光発生素子50を、コア40上に、ある所定厚みを持った低屈折材料42を介して、容易かつ高精度に製造することが可能となる。
以上より、本実施例の製造方法は量産に向いた記録ヘッドの製造方法となる。
【0077】
(第3実施形態)
以下、本発明に係る情報記録再生装置の記録ヘッド製造方法の第3実施形態を、図9、図10を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0078】
まず、図9に示すような近接場光発生素子50がディスク面D1に対して一部突出している構造を持つ記録ヘッド2の製造方法に関して説明する。
【0079】
[製造方法]
第3実施形態では、第1実施形態と同一の工程であるため、図10(A)、図10(J)〜(L)の説明を省略する。
【0080】
まず、図10(B)に示すように、除去すべき部分が開口したエッチングマスク102を、フォトリソグラフィー技術を用いて形成する。ただし、離間距離gの位置は任意に設定可能である。
【0081】
次に、図10(C)に示すように、エッチングにより離間距離gでコア40を二つに分離する。エッチングは分離によって生じた断面を平坦化されれば良い。具体的には反応性イオンエッチング(RIE)や、イオンミリング法などを用いる。
次に、図10(D)に示すように、エッチングマスク102を除去する。
【0082】
次に、金属膜110を成膜する工程において、図10(E)〜(F)に示すように、2段階でそれぞれ異なる方向から成膜を行う。一度目の成膜時には、四角柱コア40断面全面に成膜できるよう、基板の垂直方向に対し図10(E)AA’断面のZ方向左側へ所定角度傾いた方向であり、三角柱コア40aが陰にならない角度から入射し、金属膜110を成膜する。二度目の成膜時には、図10(F)のAA’断面に示すように、左側へ分離、配置されたコア40をマスクとして成膜することで、上部にのみ金属膜110を成膜する。ただし、ここでは2段階で示してあるが、異なる方向から成膜を行うのであれば2段階に限定はしない。また成膜方向が時間とともに変化するような機構を備えれば、一度の成膜で、一部のみ厚膜が形成される。つまり、図示されている工程は、工程ごとに分けられているわけではなく、時間によって分けられていると考えても良い。この工程で、金属膜110の突出量は成膜速度、成膜角度、成膜時間などの成膜条件を管理することで制御できる。
【0083】
次に、図10(G)に示すように、金属膜110が形成された右側のコア上に、エッチングマスク101を形成する。図中ではエッチングマスク101はコア40の側面を覆っていないが、実際にはコア側面を覆っても良い。
【0084】
次に、図10(H)に示すように、三角柱コア40aはArエッチングで成形可能である。四角柱コア40をスパッタエッチングすると、四角柱の角部が選択的にエッチングされて斜面が形成される。そして、この状態でさらにエッチングを続けると、射面が底辺に対して一定の角度を保ちながらエッチングされることで、三角柱コア40aに形成される。
【0085】
その後、三角柱コア40aをさらにエッチングすると、三角柱コア40aの断面は相似形を保ちながら幅、および高さが縮小する。したがって、エッチング時間を調整すれば、所望の寸法の三角柱コア40aが成形可能である。
【0086】
その後、図10(I)に示すように、エッチングマスク101を除去し、図10(I)AA’断面のZ方向左側からRIEなどの直進性の高いエッチングを行う。この時、基板と平行方向からエッチングを行う。これにより、媒体側(図10(I)AA’断面左側)へ突出した三角形状の近接場光発生素子50を形成する。
【0087】
上述の第3実施形態の製造方法によれば、成膜角度の調整だけで、ディスク面D1に対して一部突出させた近接場光発生素子50を形成することができる。そのため、同一材料を用いて突出構造を作製することができ、例えば、異なる材料を用いて、それらエッチングレートの違いから突出した構造を形成する作製方法と異なる。異なる材料を用いる場合、それら異なる材料を別々に成膜する工程を含むが、本実施例によると、成膜角度を調整すれば一度の成膜で突出した近接場光発生素子50を形成可能であるため、工程が簡素化する。
【0088】
また、異なる材料で形成した場合、表面プラズモン伝播時に、2種類の導電材料の界面で、表面プラズモンが熱や光に変換される等の伝播損失が生じる。一方、同一材料で突出した構造をもった近接場光発生素子50を形成すると、入力エネルギーに対して高効率で近接場光を発生させることが出来る。
【0089】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。また、上述した各実施形態を適宜組み合わせて採用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
D ディスク(磁気記録媒体)
D1 ディスク面
E 垂直断面
F 媒体対向面
L 光束
R 近接場光
1 情報記録再生装置
2 記録ヘッド
3 サスペンション
4 光束導入手段
5 光信号コントローラ(光源)
6 アクチュエータ
7 スピンドルモータ(回転駆動部)
8 制御部
9 ハウジング
10 軸受
11 キャリッジ
12 ヘッドジンバルアセンブリ
20 スライダ
21 記録素子
22 光導波路
23 再生素子
24 ジンバル部
25 反射面
26 基板
30 補助磁極
31 磁気回路
32 主磁極
33 コイル
34 絶縁体
40 コア
40a 三角柱コア
41 クラッド
42 低屈折材料
50 近接場光発生素子
100 スライダ側クラッド
101、102 エッチングマスク
110 金属膜
h 距離
g 離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を近接場光として発生させる近接場光発生素子を備えた近接場光発生装置の製造方法であって、
第1導波路と、前記第1導波路の光軸上に備えられた第2導波路と、前記第1導波路と前記第2導波路との間に離間部とを備える工程と、
前記離間部に金属材料を入射することにより、前記第2導波路の断面に金属膜を成膜する工程と、
前記第1導波路をマスクとして前記金属膜をエッチングする工程と、
前記第1導波路を除去する工程とを備え、
前記金属膜は、前記第2導波路の前記光軸上の前記近接場光発生素子として形成されることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記金属膜を成膜する工程では、前記離間部への前記金属材料の入射条件を段階的に変えることによって、前記金属膜の膜厚を段階的に変えることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記入射条件は、前記第2導波路の断面に対する前記金属材料の入射角度であることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記金属膜をエッチングする工程は、前記エッチングの方向を前記第2導波路の断面に対して垂直方向から斜め上方にかけて変化させることにより、前記金属膜の外形形状を調整する形状調整工程を有することを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項5】
光束を近接場光として発生させる近接場光発生素子を備えた近接場光発生装置の製造方法であって、
第1導波路と、前記第1導波路の光軸上に備えられた第2導波路と、前記第1導波路と前記第2導波路との間に離間部とを備える工程と、
前記離間部に金属材料を入射することにより、前記第1導波路の断面に金属膜を成膜する工程と、
前記第1導波路を除去する工程とを備え、
前記金属膜は、前記第2導波路の前記光軸上の前記近接場光発生素子として形成されることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記金属膜を成膜する工程では、前記離間部への前記金属材料の入射条件を段階的に変えることによって、前記金属膜の膜厚を段階的に変えることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記入射条件は、前記第1導波路の断面に対する前記金属材料の入射角度であることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5から7の何れかに記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記金属膜を成膜する工程の後に、前記第2導波路、前記離間部、及び前記金属膜上に前記光導波路よりも屈折率の低い低屈折材料を形成する工程を備えることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記第1導波路の断面形状が三角形であることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9の何れかに記載の近接場光発生装置の製造方法において、
前記第2導波路の断面形状が四角形であることを特徴とする近接場光発生装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から10の何れかに記載の近接場光発生装置の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする近接場光発生装置。
【請求項12】
請求項11に記載の近接場光発生装置と、
一定方向に回転する磁気記録媒体の表面に沿って移動可能なスライダと、
前記スライダに保持されていると共に、主磁極および補助磁極を有し、前記磁気記録媒体の表面に対向する対向面から記録磁界を発生させる記録素子とを備え、
前記近接場光によって前記磁気記録媒体を加熱すると共に、前記記録素子から発生する前記記録磁界によって前記磁気記録媒体に磁化反転を生じさせることにより、前記磁気記録媒体に情報を記録する近接場光ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2012−160241(P2012−160241A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20844(P2011−20844)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】