説明

近距離無線通信システム

【課題】変位部材が完全に閉まらなかったとしても、必要な磁界強度が得られる近距離無線通信システムを提供する。
【解決手段】近距離無線通信システムは、車両に設けた1次アンテナ12からの送受信電波を携帯電話に中継可能な2次アンテナ28を、車両に搭載されたドアガラスに設け、携帯電話と1次アンテナ12とが2次アンテナ28を経由して近距離無線通信を実行可能である。2次アンテナ28は、1次アンテナ12との電波結合部35と、電波入出力部とを有する形状をとり、1次アンテナ12の送受信電波を中継し、ドアガラスが閉じた状態をとるとみなせるドアガラスの移動方向の範囲を全閉許容範囲とすると、ドアガラスが全閉許容範囲に位置していれば、ドアガラスがどの位置にあっても1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との主磁束を一定とさせる主磁束一定構造40を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線により通信端末の認証を行う近距離無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に車両のIDコードを登録して、携帯電話を車両キーとして使用する携帯電話キーシステムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムには、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の通信技術が応用される。そして、車両に設置したリーダライタに携帯電話をかざして携帯電話からIDコードを取得し、このIDコードによりID照合(かざし照合)を行う。そして、ID照合が成立すれば、ドアロック施解錠やエンジン始動操作等が許可又は実行される。
【0003】
この場合、携帯電話が車外及び車内のどちらにあるのかを判定しなければならないので、リーダライタは車外及び車内にそれぞれ設置されることになる。例えば、車外リーダライタは車内のドア付近に配置されるとともに、車内リーダライタは車内センターコンソール等に配置される。そして、車外からドアガラス越しに車外リーダライタに携帯電話をかざして車外かざし照合が成立すれば、ドアロック施解錠が許可又は実行される。車内リーダライタに携帯電話をかざして車内かざし照合が成立すれば、エンジン始動が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−137135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車外リーダライタの取り付け位置としてドア付近が考えられるため、車外リーダライタのアンテナ面積を大きく取ろうとしても、設置スペースには限界があり、携帯電話との通信を確保できる車外リーダライタが要望されていた。そこで、例えば車内のアンテナを1次アンテナとして、この1次アンテナの送受信電波を中継可能な2次アンテナをドアガラスに取り付けることにより、1次アンテナと異なる通信エリアを形成する近距離無線通信システムが考案されている。また、ドアガラスという広大なスペースを2次アンテナの取り付け先として有効利用することも可能である。なお、通信端末としては、携帯電話に限らず、電子キー等も採用可能である。
【0006】
この場合は、ドアガラスという変位部材(可動部材)に2次アンテナが取り付けられるので、窓ガラスを全閉状態にしても、場合によっては互いの位置が若干ながらもずれる場合も想定される。このとき、1次アンテナと2次アンテナとの位置ずれによって、最適な通信が実行できない問題があった。そこで、変位部材が完全に閉まらなかったとしても、必要な磁界強度が得られる近距離無線通信システムが求められていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、変位部材が完全に閉まらなかったとしても、必要な磁界強度が得られる近距離無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、通信対象に設けた通信マスタとその通信端末とが近距離無線通信により相互通信が可能であり、前記通信対象に設けた1次アンテナからの送受信電波を前記通信端末に中継可能な2次アンテナを、前記通信対象に搭載された変位部材に設け、前記通信端末と前記1次アンテナとが前記2次アンテナを経由して前記近距離無線通信を実行可能な近距離無線通信システムであって、前記2次アンテナは、1つの環状のアンテナ線の途中を絞ることで、その両側に環状アンテナを有する形状をとり、これらの一方を前記1次アンテナとの電波結合部とするとともに、これらの他方を電波入出力部として、前記1次アンテナの送受信電波を中継し、前記変位部材が閉じた状態をとるとみなせる該変位部材の移動方向の範囲を全閉許容範囲とすると、前記変位部材が当該全閉許容範囲に位置していれば、該変位部材がどの位置にあっても前記1次アンテナと前記2次アンテナの前記電波結合部との主磁束を一定とさせる主磁束一定構造を備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、2次アンテナの形状を電波結合部及び電波入出力部を有する形状とし、1次アンテナと2次アンテナとの間に、全閉許容範囲において1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との両方に鎖交する磁束である主磁束を一定化させる主磁束一定構造を設けた。このため、変位部材が全閉許容範囲に位置していれば、主磁束が変化しない。また、1次アンテナと2次アンテナの電波結合部とのいずれか一方にのみ鎖交する磁束を漏れ磁束とすると、変位部材が全閉許容範囲内に位置していれば、変位部材がどの位置にあっても、主磁束と漏れ磁束との値が不変となるので、主磁束と漏れ磁束との割合である結合係数が変化しない。従って、変位部材が全閉位置からずれたとしても、2次アンテナにおいて必要な磁界強度を得ることが可能である。なお、全閉許容範囲は、変位部材が全閉位置からずれていたとしても全閉とみなして問題がない変位範囲である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の近距離無線通信システムにおいて、前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記1次アンテナと前記2次アンテナの前記電波結合部との対向面積が変化しない構造であることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、全閉許容範囲において1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との対向面積が変位しない主磁束一定構造とした。このため、1次アンテナと2次アンテナの電波結合部とのいずれか一方の大きさを変更するだけの簡素な構造とすることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の近距離無線通信システムにおいて、前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記1次アンテナの外形面積に前記2次アンテナの前記電波結合部が含まれる構造であることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、変位部材に設けられる2次アンテナの電波結合部が大型化することを抑制することが可能である。例えば、変位部材において電波入出力部をできる限り大きくしたい場合に有効である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の近距離無線通信システムにおいて、前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記2次アンテナの前記電波結合部の外形面積に前記1次アンテナが含まれる構造であることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、1次アンテナが大型化することを抑制することが可能である。例えば、1次アンテナが露出することを極力避けたい場合に有効である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の近距離無線通信システムにおいて、前記変位部材の移動方向における前記1次アンテナの少なくとも両側には、導電性の導体板が設置されていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、変位部材の移動方向において1次アンテナの少なくとも両側に導体板を設けたので、1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との双方に鎖交する磁束である主磁束が変化しないことに加えて、1次アンテナと2次アンテナの電波結合部とのいずれ一方にのみ鎖交する磁束である漏れ磁束を抑制することが可能となる。このため、主磁束と漏れ磁束との割合である結合係数の変化を抑制することが可能となる。よって、変位部材が全閉位置からずれたとしても、2次アンテナにおいて必要な磁界強度を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、近距離無線通信システムにおいて、変位部材が完全に閉まらなかったとしても、必要な磁界強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】近距離無線通信システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】1次アンテナと2次アンテナとの構成を示す斜視図。
【図3】1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との位置関係を示す図2の拡大斜視図。
【図4】ドアガラスに対する2次アンテナの取付位置を示す正面図。
【図5】ドアガラスに対する2次アンテナの取付位置を示す縦断面図。
【図6】1次アンテナの移動による1次アンテナと2次アンテナとの位置関係を示す模式図。
【図7】1次アンテナと2次アンテナとの位置ずれによる磁界強度のシミュレーション結果を示す図。
【図8】リーダライタ、2次アンテナ、及びタグの等価回路を示す図。
【図9】1次アンテナと2次アンテナとの構成を示す斜視図。
【図10】1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との位置関係を示す図9の拡大斜視図。
【図11】1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との鎖交磁束を示す概略図。
【図12】1次アンテナと2次アンテナとの位置ずれによる磁界強度のシミュレーション結果を示す図。
【図13】1次アンテナと2次アンテナの電波結合部との位置関係を示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を車両の近距離無線通信システムに具体化した第1の実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、車両1には、携帯電話2に車両1のIDコードを登録することにより、携帯電話2を電子キーとして使用する携帯電話キーシステム3が設けられている。携帯電話キーシステム3の通信には、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)として例えばRFID(Radio Frequency IDentification)が使用されている。RFIDには、例えばFeliCa(登録商標)等が使用されている。RFIDの周波数には、例えばHF(High Frequency)が使用されている。なお、車両1が通信対象に相当するとともに、携帯電話2が通信端末に相当する。また、携帯電話キーシステム3が近距離無線通信システムに相当する。
【0021】
携帯電話キーシステム3は、携帯電話2を車両1の極近傍に近づける「かざし」によって、携帯電話2のID(Identification)照合を実行する。即ち、携帯電話2を車両1の極近傍にかざして携帯電話2が車両1から駆動電波Svを受信すると、駆動電波Svを電源に携帯電話2がIDコード信号Sidを車両1に返信し、IDコード信号Sidに含まれるIDコードによって携帯電話2のID照合、いわゆるかざし照合を実行する。なお、駆動電波Sv及びIDコード信号Sidが送受信電波を構成する。
【0022】
携帯電話キーシステム3には、車外でかざし照合が成立すれば、ドアロックの施解錠が実行されるドアエントリー機能と、車内でかざし照合が成立すれば、車内に設置されたプッシュ操作式のエンジンスイッチ4を押し操作するのみでエンジンが始動するワンプッシュエンジンスタート機能とがある。エンジンスイッチ4は、エンジン始動操作のみならず、車両1の電源遷移操作も可能となっている。
【0023】
車両1には、携帯電話2との間でID照合を実行するID照合装置5と、ドアロックの施解錠を管理するドアロック装置6と、エンジンの動作を管理するエンジン始動装置7とが設けられ、これらが車内バス8を介して接続されている。ID照合装置5には、ID照合装置5のコントロールユニットとして照合ECU(Electronic Control Unit)9が設けられている。照合ECU9は、近距離無線通信により携帯電話2からIDコードを取得した際、同IDコードを自身のものと照らし合わせることによりID照合を実行する。
【0024】
車両1のドア付近には、車外に位置する携帯電話2と近距離無線通信が可能な車外リーダライタ10が設けられている。車外リーダライタ10は、例えば非接触ICカードのような端末と電磁誘導により電波の送受信が可能な通信機の一種である。車外リーダライタ10の本体部10aには、送信電波の変調や、受信電波の復調/増幅などを実行する通信回路11が設けられている。なお、車外リーダライタ10が通信マスタを構成する。
【0025】
通信回路11には、車外リーダライタ10のアンテナ12が接続されている。アンテナ12は、アンテナ線(アンテナエレメント)を環状に複数巻回した磁界アンテナの一種のループアンテナが使用される。アンテナ12は、コイル13と、共振用のコンデンサ14との直列共振回路からなる。アンテナ12は、電波の送信及び受信の両方が可能な送受信アンテナとなっている。
【0026】
また、車内において例えばセンターコンソール等には、車内に持ち込まれた携帯電話2と近距離無線通信が可能な車内リーダライタ15が設けられている。車内リーダライタ15は、車外リーダライタ10と同様に通信回路16及びアンテナ17を備え、アンテナ17もコイル18及びコンデンサ19の直列共振回路からなる。これらリーダライタ10,15は、駆動電波Svの送信と、携帯電話2から送信される各種電波の受信との両方、つまり相互通信が可能である。
【0027】
一方、携帯電話2には、携帯電話2の各種動作を制御する端末制御部20が設けられている。携帯電話2には、リーダライタ10,15と近距離無線通信を実行するタグ21が設けられている。タグ21には、タグ21の動作を管理する通信制御回路22が設けられている。通信制御回路22には、携帯電話2を車両キーとして機能させるべくIDコードが登録されている。
【0028】
通信制御回路22には、タグ21のアンテナとして送受信アンテナ23が接続されている。送受信アンテナ23は、磁界アンテナの一種であるループアンテナが使用される。送受信アンテナ23は、アンテナ線を環状に巻回したコイル24と、共振用のコンデンサ25との直列共振回路からなる。タグ21は、リーダライタ10,15から近距離無線通信によって駆動電波Svを受信すると起動し、自身に登録されたIDコードを含むIDコード信号Sidを、近距離無線通信を介してリーダライタ10,15に返信する。
【0029】
車両1には、これらリーダライタ10,15の動作を制御するリーダライタECU26が設けられている。リーダライタECU26は、車両1が駐車状態又は停車状態の際、車外リーダライタ10から駆動電波Svを断続的に送信させる。そして、リーダライタECU26は、駆動電波Svの応答としてタグ21からIDコード信号Sidを受信すると、このIDコードを照合ECU9に転送する。照合ECU9は、リーダライタECU26からIDコードを入力すると、このIDコードを照合し、携帯電話2が正規通信相手か否かを判定する。
【0030】
携帯電話キーシステム3には、車両1のドアガラス27に2次アンテナ28を貼着し、車外リーダライタ10の電波を2次アンテナ28により中継して、車外リーダライタ10の通信エリアを大きくする2次アンテナ中継式をとっている。本例の場合、車外リーダライタ10の通信距離を2次アンテナ28によって車外(携帯電話2側)に引き出すとともに、2次アンテナ28のアンテナ面積を大きくすることによって車外リーダライタ10のかざし有効面積を大きくする。これにより、車外リーダライタ10の通信エリアを広くして、かざし照合の通信成立性を確保する。なお、ドアガラス27が変位部材に相当する。
【0031】
図2及び図3に示すように、2次アンテナ28には、シート状のフレキシブル基板29が設けられている。フレキシブル基板29は、自由に折り曲げ変形可能な基板である。2次アンテナ28の電波結合部35のアンテナ面積は、車外リーダライタ10のアンテナ12、つまり1次アンテナ12よりも大きい面積で形成されている。
【0032】
本実施例の場合、2次アンテナ28には、2つの環状アンテナ31,32と、これらを繋ぐ一対の接続アンテナ33,34とが形成されている。また、環状アンテナ31,32及び接続アンテナ33,34は、1本のアンテナ線として形成されている。
【0033】
2次アンテナ28は、一対の環状アンテナ31,32において第1環状アンテナ31側が電波結合部35として形成されている。電波結合部35は、ドアガラス27が全閉状態をとるときに1次アンテナ12に重ね配置されるようになっている。電波結合部35は、2次アンテナ28を1次アンテナ12に電磁結合させる箇所である。
【0034】
また、2次アンテナ28は、一対の環状アンテナ31,32において第2環状アンテナ32側が電波入出力部36として形成されている。電波入出力部36は、ユーザが車外においてドアガラス27越しに携帯電話2をかざす箇所である。
【0035】
2次アンテナ28には、電波結合部35及び電波入出力部36が形成されているので、電波結合部35によって1次アンテナ12と繋がり、電波入出力部36によって携帯電話2と無線通信する。また、本例の2次アンテナ28は、電波結合部35及び電波入出力部36の一方に誘起された電波と同じ電波が、他方にも同様に誘起される動作をし、これにより電波中継が可能となっている。
【0036】
図1に示すように、第2環状アンテナ32の一部には、共振用のコンデンサ37が接続されている。よって、2次アンテナ28は、コイル30及びコンデンサ37の直列共振回路となり、この直列共振回路によってアンテナとして機能する。
【0037】
図4及び図5に示すように、本例の2次アンテナ28は、後席ドア38のドアガラス27の内面に貼着されている。なお、後席とは、運転席及び助手席の後ろの席のことを言う。ドアガラス27は、窓開閉スイッチ(図示略)の操作により、上下方向にスライド移動して開閉可能となっている。2次アンテナ28は、ドアガラス27の裏面において車体上方かつ前方寄りの位置に配置されている。
【0038】
車外リーダライタ10は、車体天井1aのドア縁部に取り付けられている。2次アンテナ28は、ドアガラス27が全閉状態又は略全閉状態をとる際、車外リーダライタ10の1次アンテナ12の通信エリアに入る位置に配置されている。このため、車外リーダライタ10の1次アンテナ12自体の通信エリアは小領域しか形成されないが、2次アンテナ28によって電波が中継されることで、車外リーダライタ10の通信エリアがドアガラス27の一領域を満たす広域エリアに増幅される。
【0039】
2次アンテナ28は、1枚のフレキシブル基板29に直列共振回路(コイル30及びコンデンサ31)が実装された後付けのシート状部品である。よって、車両1のドアガラス27に2次アンテナ28が貼着されていない場合には、このシート状の2次アンテナ28を、車外リーダライタ10に位置合わせして、ドアガラス27の裏面に貼り付ける。
【0040】
図3及び図6に示すように、ドアガラス27が全閉された状態の際に、ドアガラス27の移動方向(変位方向:X軸方向)において2次アンテナ28の電波結合部35の中心に1次アンテナ12が位置するように配置されている。また、ドアガラス27を閉める際には、全閉位置まで到達する前に閉じる操作を止めてしまったり、窓を意図的に多少開けたりすることも考えられるので、全閉位置からずれていたとしても全閉とみなして問題がない変位範囲、いわゆる全閉許容範囲においても全閉時と同様な近距離無線通信が成立することが望ましい。
【0041】
そこで、本実施例では、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との主磁束が変化しない主磁束一定構造40を備えている。なお、主磁束は、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との双方に鎖交する磁束のことである。すなわち、ドアガラス27の移動方向(X軸方向)の全閉許容範囲において、2次アンテナ28の電波結合部35の外形面積A2に1次アンテナ12が含まれる構造である。詳しくは、ドアガラス27の移動方向(X軸方向)において、2次アンテナ28の電波結合部35の長さL2は、1次アンテナ12の長さL1に対して十分に大きく形成されている。なお、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35とのY軸方向における長さは、同一に形成されている。
【0042】
また、ドアガラス27の移動方向(X軸方向)の全閉許容範囲において、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との対向面積A1が変化しない構造である。詳しくは、まず、ドアガラス27が全閉である状態において、2次アンテナ28の電波結合部35が1次アンテナ12の外形面積A2に含まれている。そして、全閉許容変位範囲内においてドアガラス27が全閉していなかったとしても、1次アンテナ12が2次アンテナ28の電波結合部35の外形面積A2に含まれている。また、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との対向面積A1も変化しない。このため、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との主磁束が変化しないとともに、漏れ磁束も変化しない。なお、漏れ磁束は、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35とのいずれか一方に鎖交する磁束のことである。よって、全閉許容範囲においては、結合係数の変化が抑制され、2次アンテナ28の電波入出力部36において必要な磁界強度を得ることができる。
【0043】
さて、車両1が駐車状態(エンジン停止、ドアロック施錠)をとる際、車外リーダライタ10は、車両周囲に携帯電話2が存在するか否かを探査するために、駆動電波Svをポーリング周期にて断続的に送信する。ここでは、図8の等価回路に示すように、車外リーダライタ10の1次アンテナ12と、2次アンテナ28とが電磁誘導により結合し、1次アンテナ12の駆動電波Svが2次アンテナ28に至り、2次アンテナ28を経由して広範囲に亘り送信される。
【0044】
本例の場合、1次アンテナ12の通信距離が2次アンテナ28によって延長されるので、1次アンテナ12の駆動電波Svが、より遠くに飛ぶようになる。また、2次アンテナ28の電波入出力部36のアンテナ面積は1次アンテナ12のアンテナ面積よりも大きく形成されているので、携帯電話2のかざし領域が、1次アンテナ12だけのときよりも広くなり、かざし操作の有効面積が広くなる。
【0045】
ここで、例えば運転者が乗車する場合、図5の2点鎖線で示すように、運転者は自身が所持する携帯電話2を、車外から2次アンテナ28にかざし操作する。このとき、図8の等価回路に示すように、1次アンテナ12と2次アンテナ28とが電磁誘導により通信が確立し、2次アンテナ28とタグ21とが電磁誘導により通信が確立するので、車外リーダライタ10及びタグ21の近距離無線通信が確立する。よって、タグ21が車外リーダライタ10からの駆動電波Svによって起動し、その応答としてIDコード信号Sidを車両1に返信する。
【0046】
タグ21がIDコード信号Sidを返信した際、車外リーダライタ10は、2次アンテナ28を介してこのIDコード信号Sidを受信する。車外リーダライタ10は、1次アンテナ12でIDコード信号Sidを受信すると、このIDコード信号Sidに含まれるIDコードを照合ECU9に転送する。照合ECU9は、タグ21のIDコードを照合し、ID照合が成立することを確認すると、ドアロックを解錠する。なお、ドアロック施錠時の動作は、ドアロックの解錠と基本的に同じ動作をとるので、詳細は省略する。
【0047】
続いて、Z軸上の距離と磁界強度との特性グラフを図7に示す。図7は、1次アンテナ12に対する2次アンテナ28の電波結合部35の位置が全閉位置からずれた際における磁界強度と2次アンテナ28からの距離とのシミュレーション結果である。
【0048】
図7に示すように、Z軸方向における2次アンテナ28との距離が大きくなるにつれて、その位置における2次アンテナ28のZ軸方向における磁界強度が低下している。そして、1次アンテナ12の中心と2次アンテナ28の電波結合部35の中心とのずれDが例えば0mmから8mmあったとしても、磁界強度がほとんど変わらない。よって、2次アンテナ28の電波入出力部36において必要な磁界強度を得ることができていることが分かる。
【0049】
以上により、本例では、ドアガラス27の内面に2次アンテナ28を貼着し、携帯電話2を車外リーダライタ10にかざし操作した際には、車外リーダライタ10と携帯電話2との間でやり取りされる電波を、2次アンテナ28により中継して車外かざし照合を実行する。よって、車外リーダライタ10の通信エリアを、2次アンテナ28によって携帯電話2側(ユーザ側)に引き出すことが可能となる。また、元々広い面積を持つドアガラス27に2次アンテナ28を貼着するので、配置スペースを気にすることなく、2次アンテナ28のアンテナ面積を広くすることが可能となる。
【0050】
ところで、車外リーダライタ10を車体天井1aのドア縁部に取り付ける場合、ドア縁部には十分な面積がないので、車外リーダライタ10のサイズ、つまり1次アンテナ12のアンテナ面積を大きくすることができず、通信成立性を向上しようとしても、これを満足することができない。しかし、本例のように2次アンテナ28で電波を中継するようにすれば、仮に車外リーダライタ10の配置スペースに制限があって車外リーダライタ10のアンテナ面積を大きくすることができない場合であっても、2次アンテナ28によって車外リーダライタ10の通信エリアを広くすることが可能となる。従って、かざし照合の通信成立性を確保することが可能となる。
【0051】
また、本例においては、2次アンテナ28の電波結合部35の外形面積A2に1次アンテナ12が含まれるとともに、全閉許容範囲において1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との対向面積A1が変化しない主磁束一定構造40を設けた。このため、ドアガラス27が全閉許容範囲においてどの位置にあっても、主磁束及び漏れ磁束を一定とすることができるので、結合係数に変化が生じない。よって、ドアガラス27の全閉付近では、2次アンテナ28の電波入出力部36において必要な磁界強度を常時得ることができる。
【0052】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)2次アンテナ28の形状を電波結合部35及び電波入出力部36を有する形状とし、1次アンテナ12と2次アンテナ28との間に、全閉許容範囲において1次アンテナ12と電波結合部35との主磁束を一定化させる主磁束一定構造40を設けた。このため、ドアガラス27が全閉許容範囲に位置していれば、主磁束が変化しなくなる。また、ドアガラス27が全閉許容範囲内に位置していれば、ドアガラス27がどの位置にあっても、主磁束と漏れ磁束との値が不変となるので、主磁束と漏れ磁束との割合である結合係数が変化しない。従って、ドアガラス27が全閉位置からずれたとしても、2次アンテナ28において必要な磁界強度を得ることが可能である。
【0053】
(2)全閉許容範囲において、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との対向面積A1が変位しない主磁束一定構造40とした。このため、2次アンテナ28の電波結合部35の大きさを変更するだけで、主磁束を安定させることができる。
【0054】
(3)全閉許容範囲において2次アンテナ28の電波結合部35の位置がずれたとしても1次アンテナ12が2次アンテナ28の電波結合部35の外形面積A2に含まれるので、1次アンテナ12が大型化することを抑制することができる。よって、1次アンテナ12の露出を極力避けることができる。
【0055】
(4)ドアガラス27に車外リーダライタ10の2次アンテナ28を貼り付け、この2次アンテナ28により電波を中継することで、携帯電話2及び車外リーダライタ10の車外かざし照合を実行する。よって、車外リーダライタ10の配置スペースに制限があって、車外リーダライタ10のアンテナ面積を大きくとれない場合であっても、ドアガラス27を2次アンテナ28の配置箇所とすることで、車外リーダライタ10の通信エリアを広くすることが可能となる。このため、携帯電話2のかざし位置に許容性が出るので、かざし照合の通信成立性を確保することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
以下、本発明を車両の近距離無線通信システムに具体化した第2の実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。この実施形態の近距離無線通信システムは、1次アンテナ12が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の近距離無線通信システムは、図1に示す第1の実施形態の近距離無線通信システムと同様の構成を備えている。
【0057】
図9及び図10に示すように、1次アンテナ12のドアガラス27の移動方向であるX軸方向の両側面12a,12bには、移動方向に延出する導電性の導体板41が設置されている。これら導体板41は、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35とが対向した際に、1次アンテナ12と対向していない2次アンテナ28の電波結合部35のアンテナ開口部を覆う。
【0058】
図11に示すように、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との縦断面を見ると、2次アンテナ28の電波結合部35のみを鎖交する漏れ磁束が導体板41によって吸収される。このため、2次アンテナ28の電波結合部35の位置が異なることによる漏れ磁束の変化を抑制することができ、結合係数の変化を抑制できる。
【0059】
続いて、Z軸上の距離と磁界強度との特性グラフを図12に示す。図12は、1次アンテナ12に対する2次アンテナ28の電波結合部35の位置が全閉位置からずれた際における磁界強度と2次アンテナ28からの距離とのシミュレーション結果である。
【0060】
図12に示すように、Z軸方向における2次アンテナ28との距離が大きくなるにつれて、その位置における2次アンテナ28のZ軸方向における磁界強度が低下している。そして、1次アンテナ12の中心と2次アンテナ28の電波結合部35の中心とのずれDが例えば0mmから8mmあったとしても、磁界強度がほぼ変わらない。よって、2次アンテナ28の電波入出力部36において必要な磁界強度を得ることができていることが分かる。
【0061】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、及び(4)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(5)ドアガラス27の移動方向において1次アンテナ12の両側面12a,12bに導体板41を設けたので、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との主磁束が変化しないことに加えて、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35との漏れ磁束を抑制することができる。このため、主磁束と漏れ磁束との割合である結合係数の変化を抑制することができる。よって、ドアガラス27が全閉位置からずれたとしても、2次アンテナ28において必要な磁界強度を得ることができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、1次アンテナ12と2次アンテナ28の電波結合部35とのY軸方向における長さは、同一に形成したが、Y軸方向においても1次アンテナ12の長さを2次アンテナ28の電波結合部35の長さよりも小さく形成してもよい。このようにすれば、仮にY軸方向に1次アンテナと2次アンテナ28との位置ずれがあった際に、位置ずれによる主磁束の変化を抑制することが可能となる。
【0063】
・上記第2の実施形態では、1次アンテナ12と導体板41との間に実用上問題のない隙間があるが、隙間をなくしもよい。また、1次アンテナ12と導体板41とを一体に形成してもよい。
【0064】
・上記第2の実施形態において、導体板41をドアガラス27の移動方向の両側面に設置したが、位置ずれの可能性が一方であれば、導体板41を片方のみに設置してもよい。
・上記第2の実施形態において、導体板41を移動方向に限らず、1次アンテナ12の周囲に設置してもよい。
【0065】
・上記構成において、ドアガラス27の移動方向における2次アンテナ28の電波結合部35の長さL2に対して1次アンテナ12の長さL1を小さく設定した。しかしながら、図13に示すように、ドアガラス27の移動方向における1次アンテナ12の長さL1に対して2次アンテナ28の電波結合部35の長さL2を小さく設定してもよい。なお、2次アンテナ28の電波結合部35は、全閉許容範囲において1次アンテナ12の外形面積に含まれるのが望ましい。
【0066】
・上記実施形態において、車外リーダライタ10のみが2次アンテナ中継式をすることに限定されず、車内リーダライタ15にも応用してもよい。
・上記実施形態において、車内リーダライタ15を省略して、車外リーダライタ10の1次アンテナ12をそのまま車内リーダライタとして用いてもよい。このような構成によれば、1つの車外リーダライタで異なる複数の通信エリアを形成可能となるので、通信エリアごとにそれぞれ個別の通信マスタを設けずに済む。従って、通信マスタの個数を少なく抑えることが可能となる。
【0067】
・上記実施形態において、ドアガラス27への2次アンテナ28の貼着位置は、実施形態に例示した位置に限らず、他の位置に変更してもよい。
・上記構成において、2次アンテナ28は、後付け部品に限定されず、ドアガラス27の内部に一体に組み込まれたアンテナでもよい。
【0068】
・上記構成において、ドアガラス27のガラス面において2次アンテナ28の配置箇所に、かざし位置を通知する絵柄や文字等を描画してもよい。
・上記構成において、タグ21は、端末制御部20から独立したICチップであることに限定されず、タグ21の機能が端末制御部20に組み込まれていてもよい。
【0069】
・上記構成において、2次アンテナ28は、コイル30とコンデンサ37とが両方ともドアガラス27に設けられることに限定されない。例えば、コイル30のみをドアガラス27に設け、コンデンサ37を車体天井1aに設けてもよい。
【0070】
・上記構成において、車外リーダライタ10の配置位置は、車体天井1aに限定されず、ドアトリムやピラー等の他の部材としてもよい。
・上記構成において、2次アンテナ28は、1枚のシート状の部品に限定されず、例えば板状の基板を使用した折り曲げ不可能なアンテナでもよい。
【0071】
・上記実施形態において、変位部材は、ドアガラス27に限定されず、他の可動部材を採用してもよい。
・上記実施形態において、電波結合部35及び電波入出力部36は、四角状に限定されず、例えば円状としてもよい。また、電波結合部35及び電波入出力部36は、同じ面積を持つ形状としてもよい。
【0072】
・上記構成において、通信対象は車両1に限らず、通信端末と無線通信を行うものであれば何でもよい。
・上記構成において、通信端末は携帯電話2に限らず、IDコードを無線により送信可能な端末であれば何でもよい。
【0073】
・上記実施形態において、近距離無線通信は、RFIDに限らず、他の通信方式を採用可能である。
・上記実施形態において、送受信電波は、駆動電波SvやIDコード信号Sidに限らず、通信形式に応じた種々の電波が採用可能である。
【0074】
・上記構成において、携帯電話キーシステム3の各アンテナ(2次アンテナ28)は、ループアンテナに限らず、例えばダイポールアンテナ等の他のアンテナも使用可能である。
【0075】
・上記実施形態において、携帯電話キーシステム3の周波数は、HFに限定されず、例えばLF(Low Frequency)やUHF(Ultra High Frequency)等を使用してもよい。また、双方向通信の行きと帰りとで、電波の周波数を異ならせてもよい。
【0076】
・本例の技術思想は、車両1に適用されることに限定されず、他の機器や装置に応用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…通信対象としての車両、2…通信端末としての携帯電話、10…通信マスタとしての車外リーダライタ、12…1次アンテナ、15…車内リーダライタ、17…アンテナ、23…送受信アンテナ、26…リーダライタECU、27…変位部材としてのドアガラス、28…2次アンテナ、31…第1環状アンテナ、32…第2環状アンテナ、33,34…接続アンテナ、35…電波結合部、36…電波入出力部、38…後席ドア、40…主磁束一定構造、41…導体板、A1…対向面積(外形面積)、A2…外形面積、D…ずれ、L1,L2…長さ、Sid…IDコード信号、Sv…駆動電波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象に設けた通信マスタとその通信端末とが近距離無線通信により相互通信が可能であり、前記通信対象に設けた1次アンテナからの送受信電波を前記通信端末に中継可能な2次アンテナを、前記通信対象に搭載された変位部材に設け、前記通信端末と前記1次アンテナとが前記2次アンテナを経由して前記近距離無線通信を実行可能な近距離無線通信システムであって、
前記2次アンテナは、1つの環状のアンテナ線の途中を絞ることで、その両側に環状アンテナを有する形状をとり、これらの一方を前記1次アンテナとの電波結合部とするとともに、これらの他方を電波入出力部として、前記1次アンテナの送受信電波を中継し、
前記変位部材が閉じた状態をとるとみなせる該変位部材の移動方向の範囲を全閉許容範囲とすると、前記変位部材が当該全閉許容範囲に位置していれば、該変位部材がどの位置にあっても前記1次アンテナと前記2次アンテナの前記電波結合部との主磁束を一定とさせる主磁束一定構造を備えた
ことを特徴とする近距離無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の近距離無線通信システムにおいて、
前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記1次アンテナと前記2次アンテナの前記電波結合部との対向面積が変化しない構造である
ことを特徴とする近距離無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の近距離無線通信システムにおいて、
前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記1次アンテナの外形面積に前記2次アンテナの前記電波結合部が含まれる構造である
ことを特徴とする近距離無線通信システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の近距離無線通信システムにおいて、
前記主磁束一定構造は、前記変位部材の移動方向の全閉許容範囲において、前記2次アンテナの前記電波結合部の外形面積に前記1次アンテナが含まれる構造である
ことを特徴とする近距離無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の近距離無線通信システムにおいて、
前記変位部材の移動方向における前記1次アンテナの少なくとも両側には、導電性の導体板が設置されている
ことを特徴とする近距離無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−58844(P2012−58844A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199073(P2010−199073)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】