説明

送信機及び受信機

【課題】 パケットロスが生じた場合、パケットの無駄な再送要求・再送を行わないような効率的な再送制御方法を提案する。
【解決手段】 受信部16は送られた再送要求情報を再送判定部18へ送る。再送判定部18は再送要求情報を受け取ると、パケット情報監視部17よりリフレッシュデータの時間情報と、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、その時間情報を読み出す。読み出したリフレッシュデータの時間情報と、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、その時間情報を用いて再送要求を行うか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機及び受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット通信などといった様々な通信媒体を介した画像データ、音声データなどのデータ伝送が盛んに行われている。特に、インターネット上のデータ伝送において、従来から利用されているダウンロード型伝送方式に加えて、ストリーム型伝送方式によるサービスが増加してきている。
【0003】
ストリーム型伝送方式とは、送信側から受信側端末に映像・音声データ伝送が行われるのと並行して、受信側端末にて受信した映像・音声データの再生処理を実行するものであり、インターネット電話や遠隔テレビ会議などに利用されている。このようなストリーム型伝送方式に適した伝送プロトコルとして、代表的にはUDP/IP(User Datagram Protocol / Internet Protocol)等が用いられている。このUDP/IP伝送プロトコルを利用してデータをパケット単位で伝送する場合、送信側は相手先のIPアドレスを指定して一方的に送信するため、もし伝送路においてパケットロスが発生した場合、送信側も相手先にパケットが届いたか否かもわからないし、受信側も送信側が意図したパケットが全て届いているかどうかもわからないため、自動的にロスしたパケットを再送するということはない。
【0004】
また、UDP/IPの上位プロトコルとして、IETF RFC1889で規定されているプロトコルで、RTP(Real time Transport Protocol)がある。RTP/UDP/IPに従ったデータ伝送を行えば、それぞれのパケットに、再生に関する時間情報およびパケットの番号の情報等が付加されるため、受信側において、その時間情報及びパケットの番号を参照することにより、送られるデータの時間的関係の把握を行い、同期をとった再生を行うことができる。
【0005】
RTP/UDP/IPに従ったデータ伝送において、受信側においてパケットロスを検出した場合、送信側へ再送要求を送り、再度ロスしたパケットを送ってもらうことが行われるが、受信側で全てのロスしたパケットに対して再送要求を行うことや、送信側で全ての再送要求に対して再送を行うことは効率が悪く、使用可能な伝送帯域を圧迫することになる。そのため、効率的な再送制御が望まれている。
【0006】
以上の問題を解決するために、パケットのタイプ(Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャなど)を判定し、Iピクチャと判定された場合だけ再送要求を送るといった方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、送信側が再送要求を受けた場合、それぞれIピクチャの送信番号を1とし、そのIピクチャからn番目のピクチャの優先度を1/nとして、ある閾値以下の優先度を持つピクチャは再送を行わないという方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−98503号公報(2頁乃至6頁、図4)
【特許文献2】特開2001−274681号公報(2頁乃至7頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画像のデータ伝送中にパケットロスが生じて再送要求を行う場合、Iピクチャと判断された場合にだけ再送要求を行う方法においては、最も重要であるIピクチャだけが再送要求されるため、再送要求をなるべく減らしつつもパケットロスによる画像劣化をある程度おさえることができる。しかし、Pピクチャにおいてもパケットロスが発生すると、その後のフレームにエラーが伝播するため、従来の制御では必ずしも十分ではない。つまり、パケットロスしたPピクチャ以降長時間に渡りIピクチャがなければ、次のIピクチャが現れるまでは正しく表示することができず、その誤りの影響を引きずるという問題が生じる。また、予め関数によって優先度を設定し、その優先度が閾値以上の場合のみ再送を行う方法においても、同様の問題が生じる。
本発明は、上記の問題点を解決したものであって、受信機において検出されたパケットロスに対するパケットの再送要求及び再送要求に対する送信機の再送決定において、送信するデータの種別に加え、送信するデータ列に応じてパケットの再送要求の制御及びパケット再送決定の制御を行うことができる送信機及び受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の送信機は、画像データをパケット化して送信する送信部と、前記送信部によって送られたパケットの再送要求を受信する受信部と、少なくとも画像データをパケット化したパケットの再生時間の情報を管理するパケット管理部と、前記再送要求を前記受信部によって受信した場合、前記再送要求を受けたパケットの画像データが再生される第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間と、前記第1の再生時間の情報を前記パケット管理部より読み出し、前記第2の再生時間と、前記第1の再生時間の差の時間を求め、前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記再送要求を受けたパケットの再送を行う命令を前記送信部に送るパケット再送制御手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の受信機は、符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、前記ロスしたパケットの次に再生される画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受信機において検出されたパケットロスに対するパケットの再送要求及び再送要求に対する送信機の再送決定において、送信するデータの種別に加え、送信するデータ列に応じてパケットの再送要求の制御及びパケット再送決定の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を送信機に適用した場合のブロック図。
【図2】本発明の実施例1における再送制御方法を示したフローチャート。
【図3】本発明の実施例における、RTPパケットの構成を示した概略図。
【図4】本発明の実施例における、リフレッシュ方法を示した図。
【図5】本発明の実施例1におけるパケット情報監視部17における処理を示したフローチャート。
【図6】本発明の実施例1における再送判定部18における再送判定処理を示したフローチャート。
【図7】本発明を受信機に適用した場合のブロック図。
【図8】本発明の実施例2における、パケットロスの検出を説明する図。
【図9】本発明の実施例2における、再送制御方法を示したフローチャート。
【図10】本発明の実施例2における、リフレッシュデータパケットの時間予測方法を示したフローチャート。
【図11】本発明の実施例2における、再送判定方法を説明する図。
【図12】本発明の実施例2における、再送判定方法を示したフローチャート。
【図13】本発明の実施例3における送信機1における再送判定処理を示したフローチャート。
【図14】本発明の実施例4における送信機1における再送判定処理を示したフロー チャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明を送信機に適用した実施例について、図面を用いて説明する。図1は、本発明における送信機の構造を示したブロック図である。本発明の送信機1は入力部11、コンテンツデータ蓄積部12、パケット化部13、送信部14、送信済みバッファ部15、受信部16、パケット情報監視部17、再送判定部18、符号化部19などを有する。そして、それぞれの各部は以下の機能を有する。
【0014】
入力部11は、カメラ等によって映像を入力する機能を有し、入力部11によって入力された映像は、符号化部19によって符号化され、更に符号化されたデータはUDP/IP方式に基づいたヘッダが付され、パケット化部13へ送られる。
【0015】
コンテンツデータ蓄積部12には、外部から入手したコンテンツデータや、送信機内部で作成されたデータ等が記憶されており、コンテンツデータ蓄積部12に記憶されている一部乃至全部のデータを送信すべき命令を受けたことをトリガーにして、送信するデータはパケット化部13へ送られる。
【0016】
パケット化部13は、符号化されたデータをRTP方式によってパケット化する機能を有する。そして、パケット化部13においてパケット化されたデータは送信部14へ送られる。
【0017】
送信部14は、パケット化部13においてパケット化されたデータを外部へ送信する機能を有する。そして、送信が終わったパケットは送信済みデータバッファ部15へ蓄積する。更に、送信部14は再送判定部18からパケットの再送を要求されたことをトリガーにして、該当するパケットを送信済みデータバッファ部15より読み出して外部へ送信する機能も有する。また、再送を行った場合もそのパケットのデータを再度送信済みデータバッファ部15へ蓄積する。
【0018】
送信済みデータバッファ部15は、前述の通り送信部14によって外部へ送信されたパケットのデータを一時蓄積する機能を有する。送信済みデータバッファ部15はリングバッファによって構成されており、バッファ容量が一杯になったら一番古いパケットのデータより消去される。なお、リングバッファに限定されることなく、他のバッファでも良い。
【0019】
受信部16は、主に外部から送信されたデータを受信する機能を有するが、パケットロスによる再送要求情報を受信した場合は、その受信した再送要求情報を再送判定部18ヘ送る。
【0020】
パケット情報監視部17は、パケット化部13においてパケット化されるデータに関する情報を監視する機能を有する。以下、パケット情報監視部17において監視されるデータについて述べる。なお、以下に述べる監視データ以外のデータも監視するように設定しても良い。
【0021】
図3はある情報をRTP方式によってパケット化された場合のパケットの概要を示したものである。図3に示すように、RTP方式によってパケット化されたパケットはRTPヘッダに時間(タイムスタンプ)情報(図3の「TS」)とシーケンスナンバ情報(図3の「SN」)などが記載されており、ペイロードのヘッダ部分にはピクチャタイプ(I、P、Bなど)(図3の「PT」)等が記載されている。パケット情報監視部17は少なくとも時間(タイムスタンプ)情報と、シーケンスナンバ情報と、ピクチャタイプ情報をそれぞれのパケットについて監視する。
【0022】
ピクチャタイプについては、I、P、Bなどの種類があるが、P及びBピクチャはIピクチャに比べて符号量が少ないので多く用いられるが、エラー耐性を高めるためにIピクチャなどによるリフレッシュが行われる。ここで、映像情報の一般的なリフレッシュの方法は2つの代表的な方法がある。1つは図4(1)のように1つの画像全体をIフレームでリフレッシュする方法であって、もう1つは図4(2)のように1つの画像の一部ずつをリフレッシュして行く方法である。図4(1)のようなリフレッシュ方法を採用した場合、Iピクチャの場合はペイロードのピクチャタイプの箇所にIであることの情報が記載されている。そして、ペイロードのピクチャタイプの箇所を参照すればそのパケットがリフレッシュのためのデータであることが分かる。しかし、図4(2)のようなリフレッシュ方法を採用した場合、一部分がリフレッシュのためのデータであった(一部がイントラ予測データであった)としても、ペイロードのピクチャタイプの箇所はPであることの情報が記載されるため、リフレッシュのためのデータか否かはこの情報だけではわからない。そのため、リフレッシュのためのデータか否かを把握するためには更にマクロブロックの予測方式(イントラ予測かインター予測)が記載されている箇所(スライスヘッダなど)も参照する。図4(2)のリフレッシュ方法を採用したデータ構成がなされている場合、パケット情報監視部17は、上記3つの情報に加えてそれぞれのマクロブロックの予測方式(イントラ予測かインター予測)が記載されている箇所(スライスヘッダなど)も監視する。以下、リフレッシュのためのデータを含むパケットをリフレッシュデータパケットと記す。
【0023】
そして、再送判定部18は、受信部16から送られた再送要求情報と、パケット情報監視部17において監視しているパケット情報の一部等に基づいて再送を行うか否かの判定を行う機能を有する。なお、パケット情報監視部17から読み出すパケット情報の読み出し方法、および再送判定部18による再送判定方法についての詳細は後述する。
【0024】
次に、本発明の送信機1において、受信部16が再送要求を受信した際の再送制御方法について、フローチャートを用いて説明する。図2は送信機1による再送制御方法を示したフローチャートである。まず、送信部14によって送信されたパケットデータが何らかの原因でパケットロスが生じ、受信側から再送要求が送られ、受信部16において再送要求を受信すると(ステップ101)、受信部16は送られてきた再送要求情報を再送判定部18へ送る(ステップ102)。なお、ステップ102における再送要求情報は送信部14によって送信されたパケットのRTPヘッダに記載されたシーケンスナンバ情報を用いるのが一般的である。また再送要求の方法としては、直接的に再送すべきパケットのシーケンスナンバを指定する方法(NACK方式)と、受信したパケットの番号だけを通知することで、間接的に受信できなかったパケットを指定する方法(ACK方式)等が考えられる。本発明ではどのような再送要求方法でも利用することが可能であり、例えばRTPパケットに含まれるタイムスタンプ情報を用いパケットの時刻情報を受信側から送信側に通知し、その時刻に該当するパケットの再送を要求する方式や、受信側が現在復号及び表示中のパケットの時刻や、ネットワークによる伝送遅延情報等を通知し、送信側に再送すべきパケットを判断させる方式等も考えられる。そのため、再送要求情報は、前述したシーケンスナンバだけでなく、どのパケットの再送を要求しているか、そのパケットが使用される(そのパケットの画像が表示される)時間が分かる情報であるならば、どのような情報でもよい。
【0025】
次に、再送判定部18は再送要求情報を受け取ると、パケット情報監視部17より再送要求のあったパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、その時間情報を読み出す(ステップ103)。なお、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、その時間情報は、再送判定部18より送られる再送要求情報に含まれているならば読み出さなくても良い。また、次のリフレッシュデータパケットの時間情報とは、図4(1)のようなリフレッシュの方法であるならば、再送要求のあったパケットの時間情報より後の時間情報を持ち、再送要求のあったパケットの時間情報に最も近いリフレッシュデータパケットの時間情報を指す。また、図4(2)のようなリフレッシュの方法であって再送要求されたパケットと同じ再生画面位置のリフレッシュデータパケットが複数のフレームに分かれており、再送要求されているパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間情報が複数存在した場合は最も遅い時刻をそのパケットに対する次のリフレッシュデータパケットの時間情報とする(図4(2)参照)。ステップ103における時間情報の読み出しについての詳細は後述する。
【0026】
次に、ステップ103によって読み出したリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、再送要求のあったパケットの時間情報を用いて再送要求を行うか否かを判断する(ステップ104)。このステップ104における判断方法の詳細についても後述する。そして、ステップ104において再送要求を行うと判断された場合(ステップ104の「行う」方向)、再送の命令を送信部14へ送る(ステップ105a)。また、ステップ104において再送要求を行わないと判断された場合(ステップ104の「行わない」方向)、受け取った再送要求に対して再送を行わない(ステップ105b)。そして、送信部14は再送の命令を受け取ると、送信済みデータバッファ部15より要求のあったパケットデータを読み出し、パケットの再送を行う(ステップ106)。
【0027】
(リフレッシュデータパケットの時間情報の取得)
次に、ステップ103におけるリフレッシュデータパケットの時間情報の取得についての詳細を述べる。ここで、再送判定部18がパケット情報監視部17より読み出す情報は再送要求のあったパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報と、再送要求のあったパケットの時間情報であるが、以下の実施例1の説明において再送要求のあったパケットの次のリフレッシュデータの時間情報をRT情報、再送要求のあったパケットのパケットタイプ情報をSP情報、再送要求のあったパケットの時間情報をST情報と記す。
【0028】
図5は再送判定部18からのRT情報、SP情報、ST情報等の各情報の読み出し要求に対するパケット情報監視部17の動作・応答を示したフローチャートである。まず、パケット情報監視部17が再送判定部18からRT情報、SP情報、ST情報等の読み出し要求を受け取ると、RT情報が把握できているかを判断する(ステップ201)。
【0029】
次に、ステップ201において、再送要求されたパケットの次のRT情報が把握出来ていた場合(ステップ201のYes方向)、その時刻をRT情報として、再送判定部18へ送る(ステップ202a)。また、再送要求されたパケットの次のRT情報が把握出来ていない場合(ステップ201のNo方向)、再送要求されたパケット以前の把握しているRT情報が2つ以上あるか否かを判定する(ステップ202b)。
【0030】
次に、ステップ202bにおいて、再送要求されたパケット以前のRT情報が1つ以下の場合(ステップ202bのNo方向)、RT情報を応答不能である旨の信号を再送判定部18へ送る(ステップ203a)。また、再送要求されたパケット以前のRT情報が2つ以上ある場合は(ステップ202bのYes方向)、以下の数式1に基づいてパケットデータ情報監視部17によって把握されているt番目(再送要求のあったパケットの直前のもの)までのリフレッシュデータパケットの時間間隔の平均値Rtavを求め、更に数式2に基づいて再送要求されたパケットの次のリフレッシュデータパケット(t+1番目)の時間の予測値R(t+1)Pを求め、その値R(t+1)PをRT情報(予測時刻)とする(ステップ203b)。
【0031】
【数1】

【0032】
【数2】

【0033】
ここで、以上の数式1及び数式2を用いる際は、再送要求のあったパケット以前のリフレッシュデータパケットの時間はt個全てパケット情報監視部17によって把握されているものとする。また、t番目のリフレッシュデータパケットの時間をRtとする。また、再送要求されたパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間の予測値の求め方は上記数式1及び数式2に限定されることなく、以下の数式3及び数式4によって求めるなど、他の方法によって求めても構わない。
【0034】
【数3】

【0035】
【数4】

【0036】
ここで、数式3及び数式4において、a番目から再送要求のあったパケットの直前のリフレッシュデータパケットの時間(t番目)までの連続した(t−a+1)個のリフレッシュデータパケットの時間が把握されているものとする。なお、aはt未満の整数値を取る。
【0037】
上記の説明では、平均値を用いる方法を例示してきたが、その他、ある観測範囲内の最大値又は最小値を用いる方法もある。さらに、符号化器や制御アプリケーション等がこれらの情報を有している、或いは観測しているのであれば、それらから情報を取得する方法もある。
【0038】
そして、ステップ203bで求めたRT情報(予測時刻)を再送判定部18へ送る(ステップ204)。
【0039】
(再送判断)◎
次に、ステップ104における再送判定部18での再送判断についての詳細を述べる。
【0040】
図6は、再送判定18における再送判断を示したフローチャートである。まず、RT情報を得られたか判断する(ステップ301)。なお、「RT情報を得られなかった」とは、例えば図5のステップ203aのように、RT情報を読み出せなかった場合や、図2のステップ103において予め定めた時間内にパケット情報監視部17より応答がなく、タイムアウトした場合などをいう。
【0041】
ステップ301において、RT情報を得られなかった場合(ステップ301の「得られず」方向)、パケットの再送を行うものとする(ステップ302a、図2のステップ104「行う」方向)。また、RT情報を得られた場合(ステップ301の「得られた」方向)、SP情報を参照して当該再送要求されたパケットがIフレームであるか否かを判断する(ステップ302b)。
【0042】
ステップ302bにおいて、再送要求されたパケットがIフレームであった場合(ステップ302bのYes)、パケットの再送を行うものとする(ステップ303a、図2のステップ104「行う」方向)。また、再送要求されたパケットがIフレーム以外であった場合(ステップ302bのNo)、RT情報とST情報の差の時間を求める(ステップ303b)。そして、ステップ303で求めたRT情報とST情報の差の値と、予め定めた閾値と比較する(ステップ304)。なお、予め定めた閾値とは、機器によって定められる値であって、なるべく再送を許容する場合には閾値を小さく設定し、逆になるべく再送を許容しない場合には閾値を大きく設定する。また、伝送路の状況によって閾値を可変に設定することも可能である。また、予め定めた閾値を一定値に設定する場合、それぞれのリフレッシュ情報の時間間隔の最小時間以下の値に設定されることが望ましい。例えば、リフレッシュ情報を含むフレームが1秒おきに表示されるデータ列を送信する場合(図4(1)におけるA−B間、B−C間、C−D間の時間が1秒である場合)、予め定めた閾値を0.5秒(一定値)に設定してもよい。
【0043】
また、例えばリフレッシュ情報を含むフレームの間隔が一定値でないデータ列を送信する場合(図4(1)におけるA−B間の時間が1秒、B−C間の時間が1.2秒、C−D間の時間が0.8秒とリフレッシュ情報を含むフレームの時間間隔が動的に変わる場合)、予め定めた閾値を現在のリフレッシュ情報を含むフレームの間隔の6割の値(図4(1)の斜線の再送要求パケットに対する予め定めた閾値は0.6秒となる)に設定してもよい。このように、予め定められた閾値はリフレッシュ情報を含むフレームの時間間隔、送信するデータに依存する値に設定されてもよい。
【0044】
なお、図4(2)のようなリフレッシュ方法におけるリフレッシュ情報の時間間隔は図4(2)に示されるようにフレーム単位ではなく、フレーム内のリフレッシュされる単位で間隔を考える。
【0045】
次に、ステップ304において、再送要求された次のRT情報とST情報の差の時間が予め定めた閾値以上であった場合(ステップ304の「閾値より大きい」)、パケットの再送を行うものとする(ステップ305a、図2のステップ104「行う」方向)。また、再送要求された次のRT情報とST情報の差の時間が予め定めた閾値未満であった場合(ステップ304の「閾値より小さい」)、パケットの再送を行わないものとする(ステップ305b、図2のステップ104「行わない」方向)。なお、ステップ304において、再送要求された次のRT情報とST情報の差の時間が予め定めた閾値以上の場合にステップ305aへ進むものとしたが、再送要求された次のRT情報とST情報の差の時間が予め定めた閾値と等しい場合は、パケットの再送を行わないように設定しても構わない。
【0046】
また、通常のパケットの通信分の伝送路帯域使用率や、バッファやキューに溜まっている再送待ちデータのデータ量などを利用し、再送すると判断されたパケットでもRT情報とST情報の差分の大小から順位付けを行い、再送に利用できる帯域が少ない場合、優先度の高いものだけを再送する方法も適用可能である。更に、再送パケットの送信順序も順番に行うのではなく、順位の高いものから先に送るなどの変更も可能である。
【0047】
なお、本発明の実施例1において、RTP/UDP/IP方式でデータが伝送される場合を述べたが、他の方式においても趣旨を逸脱しない範囲において応用可能である。また、リフレッシュ方法については図4(1)及び図4(2)について述べたが、これに限定されることなく、他のリフレッシュ方法によっても可能である。
【0048】
本発明の実施例1によれば、送信機1において再送要求を受け取った場合に、次のリフレッシュデータパケットとの時刻によって再送決定を行うことができるため、再送決定を効率よく行うことができる。
【実施例2】
【0049】
本発明を受信機に適用した実施例について、図面を用いて説明する。図7は、本発明における受信機の構造を示したブロック図である。本発明の受信機2は受信部21、受信データ蓄積部22、情報蓄積部23、パケットロス判定部24、リフレッシュ時間予測部25、再送判定部26、再送要求送信部27、などを有する。そして、それぞれ受信機2の各部は以下の機能を有する。なお、以下に記載されるシーケンスナンバ情報、ピクチャタイプの情報、及び時間情報とは実施例1において図3によって説明されたデータと同じデータであり、その説明を省略する。また、それぞれのデータが図4(2)によるリフレッシュ方法を取っているデータの場合、ピクチャタイプの情報を得るためには実施例1で説明した通り、ペイロードのスライスヘッダ情報やマクロブロック情報まで取得する必要がある。以降、送られてくるデータが図4(1)によるリフレッシュ方法である場合を例に説明するが、図4(2)によるリフレッシュ方法など、他のリフレッシュ方法においても応用できる。
【0050】
受信部21は外部から送られてきたパケット等を受信する機能を有する。そして、受信したパケットは受信データ蓄積部22へ送られる。更に受信データ蓄積部22は、図示しないデコーダなどによって復号される。
【0051】
情報蓄積部23は、受信部21が受信したパケットの情報を蓄積する機能を有する。情報蓄積部23に蓄積する情報は、少なくとも受信したパケットのシーケンスナンバ情報と、ピクチャタイプの情報と、時間情報が含まれている。そして、送信機2の各部よりそれらの情報が読み出される。更に、パケットのシーケンスナンバ情報と、ピクチャタイプの情報と、時間情報からリフレッシュデータの時間の間隔を把握し、ピクチャタイプ情報がIピクチャであるならば、シーケンスナンバ情報と、時間情報をリフレッシュ時間予測部25へ送る機能を有する。
【0052】
パケットロス判定部24は、受信したパケットのシーケンスナンバ情報を情報蓄積部23より把握し、送信側から送られたパケットのロスがないかを判断する機能を有する。図8はパケットロス判定部24におけるパケットロスの判定方法を説明する図である。パケットに付されている番号はそのパケットのシーケンスナンバである。パケットロス判定部24は、受信したパケットのシーケンスナンバを把握し、パケット番号順に受信しているかを判断し、連続していない場合はパケットロスが生じたと判断する。例えば図8(1)のように、シーケンスナンバ1番から順番に受信し、2番、3番と順番に受信しているか否かを確かめる。そして、3番のパケットの次に5番パケットを受信した場合、4番のパケットが欠落したと判断する。同様に図8(2)の場合においても、14番パケットの次に17番パケットを受信しているため、15番パケット及び16番パケットが欠落したと判断する。そして、パケットロスを検出した場合、再送判定部26へパケットロスしたシーケンスナンバ情報を送る。
【0053】
リフレッシュ時間予測部25は、情報蓄積部23から送られるIピクチャのシーケンスナンバ情報と、その時間情報を読み出し、そのIピクチャのシーケンスナンバ情報とその時間情報を用いてリフレッシュデータパケットの時間の間隔を把握し、次のリフレッシュデータパケットの時間情報を予測する機能を有する。なお、以下ではリフレッシュデータパケットの時間情報そのものをリフレッシュ時間情報といい、予測したリフレッシュデータパケットの時間情報を仮時間情報という。なお、リフレッシュ時間予測部25によるリフレッシュデータパケットの時間間隔情報の予測方法及び次の仮時間情報の予測方法に関する詳細は後述する。
【0054】
再送判定部26は、再送要求を行うか否かの判断を行う機能を有する。再送要求を行うか否かの判断についての詳細は後述する。
【0055】
再送要求送信部27は、再送判定部26によって再送要求を行うと判断された場合、再送要求を送信する機能を有する。
【0056】
次に、本発明の受信機2において、受信部21がパケットを受信し、パケットロス判定部24においてパケットロスと判断された場合における、再送要求制御方法について、フローチャートを用いて説明する。図9は、パケットロス判定部24によってパケットロスが検出された場合における、再送要求制御方法を示したフローチャートである。まず、パケットロス判定部24によって、前述の通りパケットロスを検出すると(ステップ401)、パケットロス判定部24は、ロスしたパケットのシーケンスナンバを把握し、そのシーケンスナンバ情報を再送判定部26ヘ送る(ステップ402)。
【0057】
次に、パケットロスを検出したパケットの時間情報を情報蓄積部23より読み出し、リフレッシュ時間予測部25よりロスを検出したパケットの次の仮時間情報を読み出す(ステップ403)。なお、パケットロスを検出したパケットの時間情報とは、例えば図8(1)に示すシーケンスナンバ5のパケットや、図8(2)に示すシーケンスナンバ17のパケット等のロスを検出したパケットの時間情報を指す。また、ロスを検出したパケットの次の仮時間情報とはパケットロスを検出したパケットの時間情報の次の仮時間情報を指す。この仮時間情報についての詳細は後述する。
【0058】
次に、再送判定部26はステップ403で読み出した仮時間情報と、ロスしたパケットのシーケンスナンバ情報とを用いて再送判定を行う(ステップ404)。なお、予め決められた閾値とは、実施例1で記載したものと同様に定義されるものである。また、ステップ404における再送判定の詳細は後述する。
【0059】
そして、ステップ404において再送を行わないと判断された場合は(ステップ404の「行わない」方向)、再送要求を行わず、ロスしたパケットとして扱う(ステップ405a)。また、ステップ404において再送要求を行うと判断された場合(ステップ404の「行う」方向)、再送要求送信部27はパケットが送信された送信機へ再送要求を送る(ステップ405b)。
【0060】
(仮時間情報の予測)
次に、リフレッシュ時間予測部25による仮時間情報の求め方についてその詳細を説明する。図10は、リフレッシュ時間予測部25がt番目のリフレッシュデータパケットのシーケンスナンバ情報、及びその時間情報を情報蓄積部23より取得した場合におけるt+1番目のリフレッシュ時間情報(t+1番目の仮時間情報)を予測する方法を示したフローチャートである。なお、「t番目のリフレッシュデータパケット」のtは、1以上の整数値をとり、受信したデータを表示順に並べた場合におけるリフレッシュデータパケットだけをカウントした値である。つまり、ここでは受信機2において受信予定のデータ列の中でt番目のリフレッシュデータパケットまで受信している場合における、t+1番目のリフレッシュ時間情報を予測する方法を述べる。
【0061】
まず、リフレッシュ時間予測部25は、t番目のリフレッシュデータパケットのシーケンスナンバ情報、及びその時間情報を情報蓄積部23より取得すると(ステップ501)、t番目の仮時間情報が存在する場合は、そのt番目の仮時間情報をステップ501で受け取ったリフレッシュ時間情報に変更する(ステップ502)。
【0062】
次に、1番目からt番目までのリフレッシュ時間情報の時間間隔の平均値Rtavを前述の数式1を用いて求める(ステップ503)。なお、リフレッシュ時間情報が存在しない場合は仮時間情報を用いる。その後、リフレッシュ時間情報の時間間隔の平均値Rtavとt番目のリフレッシュ時間情報(存在しない場合は仮時間情報)を用いて、前述の数式2によってt+1番目の仮時間情報R(t+1)pを求める(ステップ504)。
【0063】
なお、以上のステップ503、ステップ504において、数式1乃至数式2を用いてt+1番目の仮時間情報R(t+1)pを求めたが、実施例1で説明した様に数式3乃至数式4を用いてリフレッシュ時間情報の時間間隔の平均値R’tav及び仮時間情報R’(t+1)pを求めてもよい。また、実施例1と同様に平均値だけでなく、ある観測範囲内の最大値または最小値を用いる方法も適応可能である。さらに、復号化器や制御アプリケーション等がこれらの情報を有している・観測しているのであれば、それらから情報を取得する方法もある。
【0064】
(再送判定)
次に、前述したステップ404における再送判定についての詳細を述べる。図11はステップ404における再送判定を説明する図であって、図12はステップ404における再送判定の詳細の動作を示したフローチャートである。まず、再送判定部26がパケットロス判定部24よりシーケンスナンバ情報を得て、リフレッシュ時間予測部25より仮時間情報(例えば図11のR2p)を得ると(図9のステップ403に該当する)、次にロスしたパケットの時間情報(図11のt4)が把握できるか否か判断する(ステップ601)。このステップ601において、ロスしたパケットの時間情報(t4)が把握できる場合とは、次のような場合を指す。図4(1)等に示される1つのスライス(1つの画像を指す)が複数のパケットに分割されてパケット化することが可能であるが、複数のパケットに分割されてパケット化された場合、そのうちの1つのパケットがロスしても、他のパケットによってロスしたパケットと同じスライスの一部がパケット化され、そのパケットと、ロスしたパケットの時間情報は同じスライスであるため同じ時間情報を持つことになる。ステップ601においては、以上の状況よりロスしたパケットの時間情報がわかる場合を指す。
【0065】
そして、ステップ601において再送判定部26がロスしたパケットの時間情報が把握できた場合はステップ603へ進む(ステップ601の「できる」方向)。また、ステップ601において再送判定部26がロスしたパケットの時間情報が把握できなかった場合は(ステップ601の「できない」方向)、パケットロス判定部24より送られてきたパケットロスを検出したシーケンスナンバ情報を持つパケットの時間情報(図11のシーケンスナンバSN5のパケットの時間情報t5)を情報蓄積部23より得る(ステップ602)。なお、ステップ602において再送判定部26が得る情報はこれに限定されること無く、ロスが生じた1つ前シーケンスナンバを持つパケットの時間情報(図11のt3)や1つ後のシーケンスナンバを持つパケットの時間情報(図11のt5)でもよいし、ロスが生じたパケットの時間情報t4の予測時間t’4(t3とt5の平均値で求める等)でもよい。
【0066】
次にステップ403においてリフレッシュ時間予測部25より得た仮時間情報(例えば図11のR2p)とステップ601又はステップ602で得た時間情報(図11のt3、t4、t’4、t5等)との差の値(図11のT1、T2、T3、T’3等)を求める(ステップ603)。そして、ステップ603で求めた仮時間情報とステップ601又はステップ602で得た時間情報との差の値(図11のT1、T2、T3、T’3等)と、予め定められた閾値とを比較する(ステップ604)。このステップ604において用いられる予め定められた閾値とは実施例1において用いられる閾値と同様に定義されるものであって、その説明を省略する。
【0067】
そして、ステップ604において、ステップ603で求めた仮時間情報とステップ601又はステップ602で得た時間情報との差の値(図11のT1、T2、T3、T’3等)が予め定めた閾値より小さい場合は(ステップ604の「閾値より小さい」方向)、再送要求を行わないと判断し(ステップ605a)、ステップ603で求めた仮時間情報とステップ601又はステップ602で得た時間情報との差の値(図11のT1、T2、T3、T’3等)が予め定めた閾値より大きい場合は(ステップ604の「閾値より大きい」方向)、再送要求を行うと判断する(ステップ605b)。
【0068】
本発明の実施例2によれば、受信機2においてパケットロスを検出した場合に、次のリフレッシュデータパケットまでの時間によって再送要求の決定を行うことができるため、再送要求の決定を効率よく行うことができる。
【実施例3】
【0069】
本発明を送信機に適用した実施例3について説明する。なお、本実施例3において、送信機の構成は実施例1と同様の構成であるため、その説明を省略する(図1)。そして、本実施例3における再送制御方法について図13のフローチャートを用いて説明する。図13は送信機1による再送制御方法を示したフローチャートである。まず、送信部14によって送信されたパケットデータが何らかの原因でパケットロスが生じ、受信側から再送要求が送られ、受信部16において再送要求を受信すると(ステップ1001)、受信部16は送られてきた再送要求情報を再送判定部18へ送る(ステップ1002)。なお、前述の実施例1と同様、ステップ1002における再送要求情報は送信部14によって送信されたパケットのRTPヘッダに記載されたシーケンスナンバ情報を用いるのが一般的である。また再送要求の方法としては、直接的に再送すべきパケットのシーケンスナンバを指定する方法(NACK方式)と、受信したパケットの番号だけを通知することで、間接的に受信できなかったパケットを指定する方法(ACK方式)等が考えられる。本発明ではどのような再送要求方法でも利用することが可能であり、例えばRTPパケットに含まれるタイムスタンプ情報を用いパケットの時刻情報を受信側から送信側に通知し、その時刻に該当するパケットの再送を要求する方式や、受信側が現在復号及び表示中のパケットの時刻や、ネットワークによる伝送遅延情報等を通知し、送信側に再送すべきパケットを判断させる方式等も考えられる。そのため、再送要求情報は、前述したシーケンスナンバだけでなく、どのパケットの再送を要求しているか、そのパケットが使用される(そのパケットの画像が表示される)時間が分かる情報であるならば、どのような情報でもよい。
【0070】
次に、再送判定部18は再送要求情報を受け取ると、パケット情報監視部17を通じて符号化部19より再送要求のあったパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間情報を読み出す(ステップ1003)。
【0071】
次に、再送判定部18は、ステップ1003によって読み出したリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットの時間情報との差分が予め定められた閾値を超えているか否かを判断する(ステップ1004)。そして、ステップ1004においてリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットの時間情報との差分が予め定められた閾値以下であると判断された場合、(ステップ1004の「差が閾値以下」方向)、リフレッシュデータパケットのIピクチャ以降のデータを用いて、再送データの再送を行うため、送信部14にその命令を行う(ステップ1005b)。
【0072】
また、ステップ1004においてリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットの時間情報との差分が予め定められた閾値以上(または超えている)と判断された場合(ステップ1004の「閾値以上」方向)、再送判定部18は、前後のパケットが消失しているか否か(前後のパケットにおいても再送要求が到達しているか否か)を判断する(ステップ1005b)。そして、ステップ1005bにおいて、前後のパケットが消失していないと判断された場合においては(ステップ1005bの「No」方向)、当該再送要求に対しての再送を行わない(ステップ1006b)。また、ステップ1005bにおいて、前後のパケットが消失していると判断された場合は(ステップ1005bの「Yes」方向)、再送判定部18は、パケット情報監視部17を通じて、符号化部19に対して再送要求のあったパケットに対してIピクチャを生成するよう要求し、そこから再度再送を行うように制御する(ステップ1006a)。
【0073】
なお、本実施例において用いるリフレッシュデータパケットの時間情報は、実施例1において算出した方法によって求めることとするため、その説明を省略する。
【0074】
本実施例の再送制御方法を用いることにより、直後にIピクチャを送信するようなタイミングの再送要求を受けた場合、または、Iピクチャを送信した直後のパケットに再送要求を受けた場合に帯域の圧迫を回避可能にしつつ、適切に再送制御ができる。
【実施例4】
【0075】
本発明を送信機に適用した実施例4について説明する。なお、本実施例4において、送信機の構成は実施例1と同様の構成であるため、その説明を省略する(図1)。
【0076】
また、本発明の送信機1において、受信部16が再送要求を受信した際の再送制御方法について、フローチャートを用いて説明する。図14は送信機1による再送制御方法を示したフローチャートである。まず、送信部14によって送信されたパケットデータが何らかの原因でパケットロスが生じ、受信側から再送要求が送られ、受信部16において再送要求を受信すると(ステップ2001)、受信部16は送られてきた再送要求情報を再送判定部18へ送る(ステップ2002)。
【0077】
次に、再送判定部18は再送要求情報を受け取ると、パケット情報監視部17より再送要求のあったパケットの次のリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットの時間情報を読み出す(ステップ2003)。
【0078】
次に、ステップ2003によって読み出したリフレッシュデータパケットの時間情報と、再送要求のあったパケットの時間情報を用いて再送要求を行うか否かを判断する(ステップ2004)。このステップ2004における判断方法の詳細については、実施例1と同じであるため、その説明を省略する。そして、ステップ2004において再送要求を行うと判断された場合(ステップ2004の「行う」方向)、再送の命令を送信部14へ送る(ステップ2005a)。また、ステップ2004において再送判定部18によって再送要求を行わないと判断された場合(ステップ2004の「行わない」方向)、受け取った再送要求に対して再送を行わず、次のリフレッシュ時刻情報で指定されているIピクチャ以降のデータを用いて送信制御を行うよう、送信部14に命令する(ステップ2005b)。つまり、次のリフレッシュ時刻までのパケットデータを送信せずに、リフレッシュ時刻情報で指定されているパケット以降を早めに送信するよう制御する。
【0079】
そして、送信部14は再送の命令を受け取ると、送信済みデータバッファ部15より要求のあったパケットデータを読み出し、パケットの再送を行う(ステップ2006)。
【0080】
なお、本実施例において用いるリフレッシュデータパケットの時間情報は、実施例1において算出した方法によって求めることとするため、その説明を省略する。
【0081】
本実施例の再送制御方法を用いることにより、直後にIピクチャを送信するようなタイミングの再送要求を受けた場合に帯域の圧迫を回避可能にしつつ、適切に再送制御ができる。
【符号の説明】
【0082】
1 送信機
2 受信機
11 入力部
12 コンテンツデータ蓄積部
13 パケット化部
14 送信部
15 送信済みデータバッファ部
16 受信部
17 パケット情報監視部
18 再送判定部
21 受信部
22 受信データ蓄積部
23 情報蓄積部
24 パケットロス判定部
25 リフレッシュ時間予測部
26 再送判定部
27 再送要求送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットの次に再生される画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項2】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットの画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項3】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットの次に再生される画像データと、前記ロスしたパケットの1つ前に再生される画像データとによって、ロスしたパケットが再生されると予測される第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項4】
前記第1の再生時間の予測は、前記パケットロスした次に再生される画像データの再生時間と、前記パケットロスした前に再生される画像データの再生時間の平均時間によって求められることを特徴とする請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットの1つ前に再生される画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項6】
前記第2の再生時間の予測は、
前記第1の再生時間より前の再生時間であって、イントラ予測データが含まれるフレームの連続した再生時間の間隔の平均時間を求め、
前記第1の再生時間より前の再生時間であり、かつ最も近いイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間に前記平均時間を加えることによって予測する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の受信機。
【請求項7】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記ロスしたパケットの次に再生される画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、かつイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項8】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記パケットロスした画像データが再生される第1の再生時間より前の再生時間であって、かつイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項9】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記ロスしたパケットの次に再生される画像データと、前記ロスしたパケットの1つ前に再生される画像データによって、ロスしたパケットが再生されると予測される第1の再生時間より前の再生時間であって、かつイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項10】
符号化されてパケット化された画像データを受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケットの情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記受信部において受信すべき順番でパケットを受信したかを判断し、パケットのロスを判断するパケットロス判定部と、
前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記ロスしたパケットの1つ前に再生される画像データの第1の再生時間より前の再生時間であって、かつイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間の情報を少なくとも2つ以上用いて、前記第1の再生時間より後の再生時間で、かつ前記ロスしたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれており、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームが再生される第2の再生時間を予測するパケット時間情報予測部と、
前記パケットロス判定部においてパケットロスと判断された場合、
前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間の差の時間を求め、
前記差の時間が予め定められた閾値以上の場合、前記ロスしたパケットの再送要求を行うと判断する再送判定部と
を有することを特徴とした受信機。
【請求項11】
前記第2の再生時間の予測は、
前記第1の再生時間より前の再生時間であって、前記再送要求を受けたパケットに含まれる画像データの少なくとも1つと同じ表示位置にイントラ予測データが含まれるフレームの連続した再生時間の間隔の平均時間を求め、
前記第1の再生時間より前の再生時間であり、かつ前記第1の再生時間に最も近いイントラ予測データが含まれるフレームの再生時間に前記平均時間を加えることによって予測する
ことを特徴とする請求項7乃至請求項10のうちいずれか1項に記載の受信機。
【請求項12】
予測した前記第2の再生時間が複数存在する場合、前記差の時間を最も遅い前記予測した第2の再生時間と前記第1の再生時間で求めることを特徴とする請求項7乃至請求項11のうちいずれか1項に記載の受信機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−97621(P2011−97621A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282012(P2010−282012)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【分割の表示】特願2005−137390(P2005−137390)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】