説明

送信装置、中継装置、通信システム、送信方法、中継方法及び通信方法

【課題】中継伝送において、GI長を延伸することなく、到来時間が大きく遅れることに起因するISI、ICI等の干渉の影響なく通信することができる通信システムを提供する。
【解決手段】情報データを送信する送信装置100と、前記情報データを受信する受信装置300、400と、前記情報データを受信し、前記受信装置に中継する中継装置200とを備え、前記送信装置は、前記中継装置に前記情報データについての制御データを送信し、前記制御データは、前記情報データの宛先となる前記受信装置のカテゴリ情報を含み、前記中継装置は、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、中継装置、通信システム、送信方法、中継方法及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動通信システムでは、例えば、都市部において基地局を配した場合、ビル陰などの不感地域あるいは弱電界地域の発生により、一基地局が移動局と接続できるエリアの縮小あるいは前記エリアにおいて基地局と接続する移動局の平均受信信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)の低下が生じる。また、伝送レートの高速化が要求されるにつれ、システム帯域が高周波数帯へと移行し、その結果、一基地局がカバーできるエリアの縮小が生じる。
【0003】
これらの不感地域あるいは弱電界地域の解消を低い導入・運用コストで実現する手段として、リピータ伝送、AFリレー伝送(以下、中継伝送という。)がある。中継伝送は、リピータあるいはAFリレー局(以下、中継装置という。)を基地局及び不感地域あるいは弱電界地域から比較的見通しのよいところに配置することにより実現する。中継装置は、受信した無線信号を、復調等のディジタル信号処理は行わず、そのまま増幅した後、出力する。例えば、下りリンクの場合、中継装置は、基地局(送信装置)から受信した無線信号を増幅した後、その信号を不感地域あるいは弱電界地域にある移動局(受信装置)に対して送信する。上述の中継伝送において、移動局が受信する無線信号は、基地局から直接到来する信号と、中継装置を経由して到来する信号とからなる(非特許文献1参照)。
【0004】
図20は、下りリンクにおける中継伝送を説明する図である。移動局1002は、基地局1000が送信した信号を、経路rr1あるいは経路rr3、またはその両方の経路を通して受信する。移動局が経路rr3からのみ受信できる環境を閉空間と呼び、経路rr1と経路rr3の両方から受信できる環境を開空間と呼ぶ。移動局1002が経路rr3を通して受信する信号は、中継装置1001が経路rr2により基地局1000から受信した信号を増幅、フィルタリング(帯域制限)した後、出力した信号である。そして、前記経路rr3を通して到来する信号は、中継装置1001における増幅、フィルタリングに起因する処理遅延により、経路rr1を通して到来する信号より到来時間が遅れる。
【0005】
ここで、基地局1000が、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調された信号(以下、OFDM信号と呼ぶ。)を送信する場合を考える。OFDM信号は、マルチキャリア化とガードインターバル(GI:Guard Interval)の挿入によって、高速デジタル信号伝送におけるマルチパスフェージングの影響を軽減することができる。しかしながら、ガードインターバル区間を越える遅延波が存在すると、前のシンボルが高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)区間に入り込むことにより生じるシンボル間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)や、高速フーリエ変換区間にシンボルの切れ目、つまり信号の不連続区間が入ることによって生じるキャリア間干渉(ICI:Inter Carrier Interference)が生じ、特性劣化の原因となる。図20の中継伝送においては、中継装置1001の処理時間がGI長より長い場合、移動局1002が経路rr1を通して受信する信号が、経路rr3を通して受信する信号よりGI長以上遅れて到来することになり、ISI、ICIが発生し、特性劣化が生じる。これにより、中継装置の配置は、経路rr1から到来する信号の電力が非常に弱い屋内等の閉空間に限られるという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network;Universal Terrestrial Radio Access(UTRA)repeater planning guidelines and system analysis(Release 7)”3GPP TR25.956 v7.0.0(2007−06)
【非特許文献2】R4−071917,3GPP TSG−RAN WG4(Radio) Meeting #45 Jeju,Korea,5−9 November,2007 URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_45/Docs/
【非特許文献3】Report of the 3GPP TSG RAN WG4 meeting number 45 Jeju,Korea, 5−9 November 2007 URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_45/Report/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのISI、ICIによる特性劣化を改善する方法として、中継装置の処理時間よりも長いGI(Long GI)を付加したOFDM信号を送信する方法が非特許文献2、非特許文献3に記載されている。この方法により、前記到来時間差がGI長以内に収まるようにすることで、干渉を抑制できる。しかしながら、非特許文献2、3に記載の技術では、中継伝送を行う場合、通常より長いGIを用いるため、GIの挿入損失が増大し、伝送効率が低下してしまうという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中継伝送において、GI長を延伸することなく、到来時間が大きく遅れることに起因するISI、ICI等の干渉の影響なく通信することができる送信装置、中継装置、受信装置、通信システム、送信方法、中継方法、受信方法及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、情報データを送信する送信装置と、前記情報データを受信する受信装置と、前記情報データを受信し、前記受信装置に中継する中継装置とを備え、前記送信装置は、前記中継装置に前記情報データについての制御データを送信することを特徴とする通信システムが提供される。
【0010】
前記制御データは、前記情報データの宛先となる前記受信装置のカテゴリ情報を含み、前記中継装置は、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えることが好ましい。
【0011】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備している前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データを増幅することが好ましい。
【0012】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備していない前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データを増幅しないことが好ましい。
【0013】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備している前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データの増幅率を上げることが好ましい。
【0014】
前記送信装置は、前記制御データを前記情報データ毎に送信することが好ましい。
【0015】
前記送信装置は、前記情報データをサブフレーム毎に送信することが好ましい。
【0016】
前記送信装置は、前記情報データをリソースブロック毎に送信することが好ましい。
【0017】
前記送信装置は、一定間隔で異なるカテゴリの前記受信装置へ前記情報データを送信する旨の前記制御データを送信し、前記中継装置は、前記一定間隔で、前記情報データを増幅するか否かを切り替えることが好ましい。
【0018】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備している前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データを増幅することが好ましい。
【0019】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備していない前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データを増幅しないことが好ましい。
【0020】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備している前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データの増幅率を上げることが好ましい。
【0021】
前記送信装置は、前記受信装置のカテゴリに基づいて、送信する前記情報データの送信電力を変えることが好ましい。
【0022】
前記受信装置のカテゴリは、干渉除去装置を具備する受信装置カテゴリ及び干渉除去装置を具備しない受信装置カテゴリを含み、前記送信装置は、前記干渉除去装置を具備しない受信装置カテゴリの前記受信装置へ送信する前記情報データの送信電力を、前記干渉除去装置を具備する受信装置カテゴリの前記受信装置へ送信する前記情報データの送信電力より大きく設定することが好ましい。
【0023】
本発明の他の一観点によれば、中継装置に送信する、情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を含む制御データを生成する制御データ生成部と、前記情報データ及び前記制御データを送信する送信部とを具備することを特徴とする送信装置が提供される。
【0024】
本発明の他の一観点によれば、送信装置が送信する制御データから、前記送信装置が送信する情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を検出する制御データ検出部と、前記検出したカテゴリ情報に基づいて、前記情報データを増幅するか否かを切り替える増幅部と、前記情報データを送信する送信部とを具備することを特徴とする中継装置が提供される。
【0025】
本発明の他の一観点によれば、送信装置が情報データ及び制御データを送信するステップと、中継装置が前記情報データ及び前記制御データを受信するステップと、前記中継装置が、前記制御データから前記情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を検出するステップと、前記中継装置が、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えるステップと、前記中継装置が、前記情報データを送信するステップと、前記受信装置が前記情報データを受信するステップとを含むことを特徴とする通信方法が提供される。
【0026】
本発明の他の一観点によれば、送信装置が、情報データを受信装置及び中継装置に送信するステップと、前記情報データの宛先となる前記受信装置のカテゴリ情報を含む制御情報を前記中継装置に送信するステップとを含むことを特徴とする送信方法が提供される。
【0027】
本発明の他の一観点によれば、中継装置が、情報データと、前記情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を含む制御情報とを受信するステップと、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えるステップと、前記情報データを送信するステップとを含むことを特徴とする中継方法が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、中継伝送において、送信装置から直接到来する信号と中継装置を介して到来する信号とを有する環境においても、GI長を伸ばすことなく干渉による特性劣化を回避できる。よって、GI長を伸ばすことによる伝送効率の低下を抑えながら、中継装置を配することによる平均セルスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】通信システムの下りリンクを説明する図である。
【図2】受信装置のカテゴリ分けの例を示す表である。
【図3】受信装置のカテゴリ分けの他の例を示す表である。
【図4】フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図5】サブフレームの構成例を示す図である。
【図6】中継装置200が増幅の有無を選択する場合のフローチャートである。
【図7】送信装置100が受信装置300に情報データを送信する例を示す図である。
【図8】送信装置100が受信装置400に情報データを送信する例を示す図である。
【図9】送信装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図10】中継装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図11】受信装置300の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図12】干渉除去部304の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図13】レプリカ生成部332の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図14】受信装置400の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図15】情報データをサブフレームにマッピングする例を示す図である。
【図16】中継装置500の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図17】フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図18】中継装置200の動作についてのフローチャートである。
【図19】送信装置600の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図20】下りリンクにおける中継伝送を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、情報データを送信する送信装置と、異なるカテゴリに属する複数の受信装置とからなり、前記受信装置の1または2以上は前記情報データを中継装置を介して受信する通信システムにおいて適用できる。
【0031】
図1は、基地局(eNodeB)のセル内に1つの中継装置と、カテゴリの異なる2つの移動局とが存在する通信システムの下りリンクを説明する図である。基地局が前記送信装置に、移動局が前記受信装置に該当する。
【0032】
送信装置100は、受信装置300及び受信装置400に対して無線信号(RF信号)により情報データを送信する。中継装置200は、送信装置100から受信した前記無線信号を増幅、フィルタリングした後、出力する。
【0033】
r1、r4は、送信装置100が送信した無線信号が受信装置300あるいは受信装置400へ直接到来する経路、r2は、送信装置100が送信した無線信号が中継装置200へ到来する経路、r3、r5は、送信装置100が送信した無線信号が中継装置200を介して到来する場合における中継装置200と受信装置300の間あるいは中継装置200と受信装置400の間の経路である。
【0034】
図2は、本発明の実施形態に係る通信システムにおける受信装置のカテゴリ分けの例を示す表である。カテゴリAに属する受信装置は、カテゴリBに属する受信装置よりも高性能な受信機能を備えている。すなわち、カテゴリAに属する受信装置は干渉キャンセラを備え、カテゴリBに属する受信装置は干渉キャンセラを備えない。
【0035】
受信装置のカテゴリの区分けは、通信システムの通信機能、通信パラメータの拡張によるものでもよい。例えば、カテゴリAの受信装置が、カテゴリBの受信装置の通信機能や通信パラメータを拡張した規格に準拠した受信装置である場合(例えば、カテゴリAがLong Term Evolution(LTE)−Advanced、カテゴリBがLTE(図3))などが該当する。
【0036】
なお、図2ではキャンセラの有無でカテゴリ分けしているが、キャンセラの種類あるいは性能でさらにカテゴリ分けすることもできる。
【0037】
図1において、受信装置300はカテゴリAに属する受信装置であり、受信装置400はカテゴリBに属する受信装置であるとする。
【0038】
以下の実施形態では、図1の通信システムにおいて本発明を適用した場合について説明する。
【0039】
なお、以下では、受信装置は、送信装置に対して上りリンクの制御データにより送信装置とのリンク接続を要求し、受信装置と送信装置との間でリンク接続が完了しているとして説明する。
【0040】
なお、本発明の適用は、図1の通信システムに限定されるものではない。例えば、中継装置200として、経路r2において光ファイバーなどの有線で接続された無線装置(光張出し無線装置、RRE:Remote Radio Equipment)に置き換えても適用可能である。
【0041】
なお、以下では、送信装置が送信する無線信号がOFDM信号である場合で説明するが、SC−FDMAなどのシングルキャリアにおいても適用可能である。
【0042】
(第1の実施形態)
[通信システム]
図1において、本発明における第1の実施形態では、送信装置100は、受信装置300へ送信する情報データw1、受信装置400へ送信する情報データw2及び中継装置200を制御する中継装置用制御データw3を送信する。情報データw1、情報データw2及び制御データw3は、経路r2を通って中継装置200へ到達する。また、情報データw1は、経路r1を通って受信装置300に到達する。また、情報データw2は、経路r4を通って受信装置400に到達する。制御データw3は、図2の受信装置カテゴリに関する情報(中継装置用制御データ)を含む制御データである。
【0043】
図4は、送信装置100が受信装置300及び受信装置400へ情報データを送信し、中継装置200へ中継装置用制御データを送信するフレームフォーマットの一例を示す図である。
【0044】
図4のフレームは、10個のサブフレームから構成されている。各受信装置に送信する情報データは、前記サブフレーム毎に割り当てられる。図4は、5番目及び10番目のサブフレーム(斜線部)に受信装置300へ送信する情報データw1を割り当て、それ以外のサブフレーム(白抜き部)には受信装置400へ送信する情報データw2を割り当てるようにスケジューリングした場合である。前記スケジューリングにおいて、各受信装置に割り当てるサブフレーム数、割り当てる位置は、各受信装置のQos(Quality if Service)、各受信装置が送信装置100に通知するCQI(Channel Quality Indicator)、RI(Rank Indicator)などの制御情報をもとに決定される。
【0045】
また、前記情報データの割合は、予め定めておくことも可能である。この場合、予め定めた割当に基づいて、情報データw1、w2をマッピングする。
【0046】
図5は、サブフレームの構成例を示す図である。サブフレームは、14個のOFDMシンボルから構成されている。図5のサブフレームにおいて、1個のサブキャリアと1個のOFDMシンボルとからなる単位をリソースエレメントと呼ぶ。
【0047】
14個のOFDMシンボルのうち、4番目乃至14番目のOFDMシンボルに、受信装置300または受信装置400へ送信する情報データ信号を割り当てる(網掛け部)。すなわち、図4の5番目及び10番目のサブフレームにおける4個目乃至14個目のOFDMシンボルには、受信装置300に送信する情報データw1がマッピングされ、それ以外のサブフレームにおける4番目乃至14番目のOFDMシンボルには、受信装置400に送信する情報データw2がマッピングされる。
【0048】
中継装置200を制御する中継装置用制御データは、制御の対象となる情報データが配置されるOFDMシンボル以前のリソースエレメントにマッピングされる。中継装置用制御データのマッピングは、制御対象となる情報データと同一のサブフレームにしてもよいし、異なるサブフレームにしてもよい。さらには、異なるフレームにしてもよい。
【0049】
すなわち、中継装置用制御データは、制御の対象となる情報データが配置されるOFDMシンボルより前のリソースエレメントであれば、サブフレームをまたいでマッピングすることができる。
【0050】
例えば、制御対象となる情報データと異なるサブフレームに中継装置用制御データを配置する場合、図4において、#4のサブフレームに割り当てられた情報データに対する中継装置用制御データは、#0乃至#3のサブフレームのいずれかのリソースエレメントにマッピングすることになる。
【0051】
図5は、中継装置用制御データを、対象となる情報データと同一のサブフレームにマッピングした例である。4番目乃至14番目のOFDMシンボルに割り当てられた情報データに対する中継装置用制御データw3は、1番目乃至3番目のOFDMシンボルのいずれかのリソースエレメントに割り当てる(例えば、図5における黒塗り部)。
【0052】
上記の中継装置用制御データの送信により、送信装置100は、各サブフレームにマッピングした情報データの宛先となる受信装置のカテゴリを中継装置に通知する。
【0053】
上記では、受信装置カテゴリの中継装置への通知をサブフレーム毎に毎回行っているが、最初のサブフレームにマッピングした中継装置用制御データにより、以後のサブフレームにマッピングする情報データの宛先となる受信装置のカテゴリを通知することもできる。
【0054】
なお、図5において、受信装置が伝搬路推定するために用いるパイロットシンボルが、図中のいずれかのリソースエレメントに配置される。例えば、サブフレームを構成するリソースエレメントに一定間隔でパイロットシンボルをばらまく、スキャッタードパイロットなどがある。パイロットシンボルを構成する符号系列は、アダマール符号、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)系列などの直交した系列であることが好ましい。
【0055】
中継装置200は、前記制御データw3に基づいて、受信した情報データ毎に増幅の有無を切替える。
【0056】
図6は、中継装置200が増幅の有無を選択する場合のフローチャートである。
【0057】
中継装置200は、送信装置100から中継装置用制御データを受信すると(S101)、その後に送信装置100が送信する情報データの宛先のカテゴリに関する情報を取得する。
【0058】
前記カテゴリに関する情報において、送信装置100が送信する情報データの宛先が高性能な受信装置(カテゴリA)である旨の通知を受けた場合(S102のA)、中継装置は増幅モードとなり(S103)、一定期間、受信した情報データに対して増幅、フィルタリングし、出力する(S104)。
【0059】
一方、中継装置200は、送信装置100から送信装置100が送信する情報データの宛先が通常の受信装置(カテゴリB)である旨の通知を受けた場合(S102のB)、非増幅モードとなり(S105)、受信した情報データを増幅せず、フィルタリングした後、出力する(S106)。中継装置200は、前記非増幅モードにおいて、受信した情報データの出力をやめることもできる。
【0060】
前記一定期間の長さと、増幅モードあるいは非増幅モードを開始するタイミングとは、前記制御データw3により通知することもできる。
【0061】
また、前記一定期間の長さと、増幅モードあるいは非増幅モードを開始するタイミングとは、通信システムの仕様として、予め定めておくこともできる。
【0062】
送信装置100が図4、図5のフレームフォーマットに基づいて信号を送信した場合、中継装置200は、#4及び#9のサブフレーム期間は増幅モードとなり、その他のサブフレーム期間は非増幅モードとなる。
【0063】
図7は、図1に示す通信システムにおいて送信装置100が受信装置300に情報データを送信する例を示す図である(図4における#4、#9のサブフレーム送信時)。
【0064】
送信装置100は、受信装置300へ送信する情報データw1と、中継装置200を制御する中継装置用制御データとを送信する。図7において、実線が情報データ、破線が中継装置用制御データを示す。
【0065】
中継装置200は、経路r2を通って到来した中継装置用制御データに基づいて増幅モードに切替り、その後受信した情報データw1の増幅等を行う。前記増幅した情報データw1(以後、w1’とする。)は、経路r3を通って受信装置300に到来する。
【0066】
受信装置300は、経路r3を通って到来する情報データw1’と、経路r1を通って送信装置100から直接到来する情報データw1とを受信する。w1’とw1は同様の情報データであるから、受信装置300は高い信号電力で情報データw1を受信することが可能となる。そして、受信装置300は干渉キャンセルを具備する装置であるから、中継装置200の増幅等に起因するw1とw1’の到来時間差によるISI、ICIを除去できる(後述する)。よって、受信装置300は、等化後SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)が高くなるように、情報データw1を受信することが可能となる。
【0067】
図8は、図1に示す通信システムにおいて、送信装置100が受信装置400に情報データを送信する例を示す図である(図4における#4、#9以外のサブフレーム送信時)。
【0068】
送信装置100は、受信装置400へ送信する情報データw2と、中継装置200を制御する中継装置用制御データとを送信する。図8において、実線が情報データ、破線が中継装置用制御データを示す。
【0069】
中継装置200は、経路r2を通って到来した中継装置用制御データに基づいて非増幅モードとなり、その後受信した情報データw2に対して増幅処理を行わない。したがって、中継装置200が出力する情報データw2(以後、w2’)は、信号電力が小さいため、経路r5を通って受信装置400には到来しない。また、到来したとしても弱電界となる。
【0070】
受信装置400は、経路r4を通って送信装置100から直接到来する情報データw2のみを受信することになる。
【0071】
これにより、受信装置400は、情報データw2が経路r4及び経路r5の両方から到来することを避けることができる。そして、結果として、干渉除去機能を具備しない受信装置400に対して、中継装置200の増幅等に起因するw2とw2’の到来時間差によるISI、ICIの発生を抑えることができる。よって、受信装置400は、干渉除去機能を具備しない受信装置の等化後のSINRが高くなるように、情報データw2を受信することが可能となる。
【0072】
[送信装置]
図9は、図1の通信システムにおいて、本発明の第1の実施形態に係る送信装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0073】
送信装置100は、上位レイヤ101と、シンボル生成部102−1〜102−Nと、リソースマッピング部103と、IFFT(逆高速フーリエ変換)部104と、GI挿入部105と、送信部106と、アンテナ部107と、制御信号生成部108と、パイロット信号生成部109とを備える。尚、Nは、送信装置100にリンクすることができる受信装置の数である。図1の通信システムではN=2となる。
【0074】
なお、送信装置100の一部あるいは全部をチップ化して集積回路にする場合、各機能ブロックに対して制御を行うチップ制御回路(図には未記載)を有する。
【0075】
上位レイヤ101は、受信装置300−n(n=0,1,・・・,N−1)に送信する情報データをシンボル生成部102−nに出力する。また、上位レイヤ101は、中継装置200を制御するためデータを含む制御データを制御信号生成部110に出力する。なお、上位レイヤ101はMAC層(Media Access Control、媒体アクセス制御)、ネットワーク層などの上位層に位置する機能を有している。
【0076】
シンボル生成部102−nは、送信装置100が受信装置300−nに送信する信号を生成する。シンボル生成部102−nは、符号部111−nと、インターリーブ部112−nと、変調部113−nとを備えている。
【0077】
符号部111−nは、入力された受信装置300−nの情報データに対して、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check:低密度パリティ検査)、畳込み符号などのいずれかの誤り訂正符号化処理を行う。なお、前記誤り訂正符号化処理は、受信装置300−nに送信する情報データを複数のグループに分割して誤り訂正符号化処理してもよい。誤り訂正符号化処理後の情報データを符号化ビットと呼ぶ。
【0078】
インターリーブ部112−nは、周波数選択性フェージングによる受信電力の落ち込みに起因するバースト誤りが生ずるのを改善するために、符号部111−nから出力される符号化ビットの並び順を入れ替える。変調部113−nは、インターリーブ部112−nが出力する符号化ビットをマッピングし、BPSK(Binary Phase Sift Keying:2相位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16値直交振幅変調)、64QAM(64 QuadratureAmplitude Modulation:64値直交振幅変調)などのデータ変調シンボルを生成する。
【0079】
制御信号生成部108は、上位レイヤ101が出力した中継装置用制御データに対して誤り訂正符号化、変調マッピングを行い、制御シンボルを生成する。なお、制御シンボルは、中継装置用制御データに加えて、情報データのMCS情報、ランク情報など各種制御データを含んでもよい。なお、制御シンボルの生成は、各種制御データ毎に行う。
【0080】
パイロット信号生成部109は、受信装置300−nが伝搬路推定に用いる既知のパイロットシンボルを生成する。
【0081】
リソースマッピング部103は、シンボル生成部102−nから入力されるデータ変調シンボルと制御シンボルとパイロットシンボルとをサブキャリアにマッピングする。上記で説明した図4、図5は、リソースマッピング部が行うデータ変調シンボルと制御シンボルのマッピングの一例である。
【0082】
IFFT部104は、リソースマッピング部103が出力する信号に対してIFFT処理を行うことで、それぞれのシンボルを周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。
【0083】
GI挿入部105は、IFFT部104が変換した時間領域の信号にガードインターバル(GI)を付加する。例えば、IFFT部104が出力する時間領域の信号(有効シンボル)の後半の一部をコピーし、有効シンボルの先頭に付加する。GIを付加した有効シンボルをOFDMシンボルと呼ぶ。GI挿入部105が出力する信号をs(t)とすると、次式(1)で表せる。
【0084】
【数1】

【0085】
ただし、NfはIFFTポイント数、Ncはサブキャリア数、ck,lは第l番目のOFDMシンボルの第kサブキャリアに割り当てられたシンボル、Δはサブキャリア間隔、TはOFDMシンボル長(GI長を含む)、jは虚数単位である。
【0086】
送信部106は、GI挿入部105が出力するOFDMシンボルをアナログ信号に変換し(Digital to Analog変換し)、アナログ信号に変換された信号に対して帯域制限を行うフィルタリング処理を行い、さらにフィルタリング処理された信号を送信可能な周波数帯域にアップコンバートし、パワーアンプなどで増幅した後、送信アンテナ部107を介して送信する。この送信装置100が出力する信号をOFDMA信号と呼ぶ。
【0087】
[中継装置]
図10は、図1の通信システムにおいて、本発明の第1の実施形態に係る中継装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0088】
中継装置200は、アンテナ部201、206と、受信部202と、増幅部203と、フィルタ部204と、送信部205と、制御信号検出部207とを備える。なお、中継装置200の一部あるいは全部をチップ化して集積回路にする場合、各機能ブロックに対して制御を行うチップ制御回路(図には未記載)を有する。
【0089】
受信部202は、アンテナ201を介して、送信装置100が送信したOFDMA信号を受信し、増幅処理が可能な周波数帯へダウンコンバートする。OFDM信号は、情報データw1と、情報データw2と、中継装置用制御データを含む制御データw3とを含んで生成されている。
【0090】
制御信号検出部207は、OFDM信号から中継装置用制御データを抽出し、信号検出処理(中継装置用制御データに施されている符号化、変調に対する復号処理、復調処理など)を行う。制御信号検出部207は、前記信号検出処理により、その後に受信するOFDMシンボル、サブフレーム、あるいはフレームに配置されている情報データの宛先である受信装置のカテゴリ情報を検出する。そして、前記カテゴリ情報は増幅部203に入力される。
【0091】
増幅部203は、前記カテゴリ情報に基づいて、増幅モード或いは非増幅モードに設定される。そして、設定したモードに従い、受信部202から入力されるOFDM信号を一定期間増幅して出力、あるいは、一定期間増幅せず、そのまま出力する。モード設定タイミング、一定期間の長さに関しては、上述の説明に従う。
【0092】
フィルタ部204は、増幅部203が出力した信号に対して、スプリアスを除去し帯域制限するフィルタリング処理を行う。
【0093】
送信部205は、フィルタ部204が出力する信号を、情報データの宛先である受信装置が受信可能な周波数帯域にアップコンバートし、アンテナ部206を介して送信する。
【0094】
[受信装置]
図11は、図1の通信システムにおいて、本発明の第1の実施形態に係る受信装置300の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0095】
受信装置300は、受信部302と、受信信号記憶部303と、干渉除去部304と、GI除去部305と、FFT部306と、伝搬路補償部307と、リソースデマッピング部308と、復調部309と、デインターリーブ部310と、復号部311と、伝搬路推定部312とを備え、受信部302にアンテナ部301が接続されている。なお、受信装置300の一部あるいは全部をチップ化して集積回路にする場合、各機能ブロックに対して制御を行うチップ制御回路(図には未記載)を有する。
【0096】
受信装置300において、受信部302は、アンテナ部301を介して送信装置100及び中継装置200から送信されたOFDM信号を受信すると、信号検出処理などのデジタル信号処理が可能な周波数帯へダウンコンバートし、さらにスプリアスを除去するフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理した信号をアナログ信号からデジタル信号に変換(Analog to Digital変換)して、受信信号記憶部303、干渉除去部304及び伝搬路推定部309に出力する。
【0097】
伝搬路推定部312は、前記送信装置が出力したOFDM信号が経路r1、r2及びr3を通って受信装置300に到達する間におけるフェージングなどによる振幅と位相の変動を推定する伝搬路推定を行い、伝搬路推定結果である伝搬路推定値を干渉除去部304と伝搬路補償部307とに出力する。伝搬路推定は、例えば、受信部302が出力する信号に含まれる既知の信号であるパイロットシンボルを用いて行うことができる。
【0098】
なお、伝搬路推定は、復号部311が出力する復号結果を用いる繰り返し伝搬路推定を適用することも可能である。
【0099】
受信信号記憶部303は、受信部302が出力する信号を記憶する。また、干渉除去部304の干渉除去処理において、繰り返し処理が行われる場合、格納しているこの信号を出力する。
【0100】
干渉除去部304は、伝搬路推定部312から出力される伝搬路推定値と、復号部311から出力される復号結果とを用いて、受信部302あるいは受信信号記憶部303から出力される信号から干渉成分を除去する処理を繰り返し行う。具体的には、復号部311が出力する復号後の符号化ビットの対数尤度比LLR(Log Likelihood Ratio)を用いて、受信した信号の送信元である送信装置100が自受信装置に送信したであろう信号レプリカを生成する。さらに、この送信信号レプリカと伝搬路推定部312からの伝搬路推定値を用いて干渉レプリカを生成し、受信部302あるいは受信信号記憶部303から出力される信号から減算する。したがって、干渉除去部304は、送信装置100が出力し、経路r1を通って到来したOFDM信号と、r2及びr3を通って到来したOFDM信号との到来時間差に起因する干渉成分(ISI、ICI)を、復号処理結果を用いて生成した干渉レプリカを用いて除去する(詳細は後述する)。
【0101】
GI除去部305は、干渉除去部304から出力される干渉成分レプリカを除去した信号のうち、遅延波による歪を回避するために送信装置100で付加されたガードインターバル区間を除去する。FFT部306は、GI除去部305がガードインターバル区間を除去した信号を時間領域信号から周波数領域信号に変換するフーリエ変換の処理を行う。伝搬路補償部307は、伝搬路推定部312による伝搬路推定値を用いてZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Square Error)などによりフェージングによる伝搬路歪を補正する重み係数を算出し、この重み係数をFFT部306からの周波数領域信号に乗算して伝搬路補償をする。この処理を等化処理とも呼ぶ。
【0102】
リソースデマッピング部308は、伝搬路補償部307が出力する信号に対してデマッピング処理を行う。具体的には、伝搬路補償部307が出力する信号のうち、自受信装置宛の情報データw1がマッピングされているリソースエレメントの信号を抽出する。
【0103】
なお、受信機300は、受信したOFDM信号のリソースエレメントにマッピングされている自受信装置のデータ変調シンボル若しくはパイロットシンボルの配置等を、制御データによる通知などにより知ることができる。
【0104】
復調部309は、リソースデマッピング部308が出力する信号(等化後信号)に対して復調処理を行い、軟判定値(符号化ビットLLR)を出力する。
【0105】
復調部309の処理を、送信装置100の変調部113−1において情報データw1がQPSK変調された場合を例として説明する。送信側で送信されたQPSKのデータ変調シンボルをXとし、受信側において復調部309に入力されるシンボルをXcとして説明する。Xを構成しているビットをb、b(b、b=±1)とすると、Xは、下記の式(2)で表せる。
【0106】
【数2】

【0107】
ただし、jは虚数単位を表す。そして、Xの受信側における推定値Xcからビットb、bの対数尤度比LLRであるλ(b)、λ(b)は下記の式(3)により求められる。
【0108】
【数3】

【0109】
ただし、Re(X)は複素数の実部を表す。μは伝搬路補償後の等価振幅であり、例えば、第1OFDMシンボルの第kサブキャリアにおける伝搬路推定値をH1(k)、乗算したMMSE基準の伝搬路補償重みをW1(k)とすると、μはW1(k)・H1(k)となる。
【0110】
またλ(b)は、式(3)、すなわちλ(b)を求める式において、Xの実部と虚部を置き換えて求める。なお、16QAMなどの他の変調が施されたデータに対しても同様の原理に基づいて算出可能である。また、復調部222は、軟判定結果ではなく硬判定結果を算出するようにしてもよい。
【0111】
デインターリーブ部310は、送信元の送信装置100のインターリーブ部113−1が施したインターリーブのパターンに対応するビット配置の並べ替え、すなわちインターリーブのパターンの逆操作となるビット配置並べ替えを、復調部309による軟判定結果のデータ系列に対して行う。
【0112】
復号部311は、送信元である送信装置100が施したターボ符号化、畳み込み符号化などの誤り訂正符号化に対する誤り訂正復号処理をデインターリーブ部310からの出力信号に対して行い、符号化ビットのLLR(対数尤度比)などの軟判定出力結果を算出し、所望ユーザの軟判定結果を干渉除去部304に入力する。
【0113】
図12は、干渉除去部304の一構成例を示す機能ブロック図である。干渉除去部304は、減算部331と、レプリカ生成部332とを備える。レプリカ生成部332は、伝搬路推定値および所望ユーザのデータ信号に対する軟判定値(符号化ビットの対数尤度比LLR)を用いて、干渉成分のレプリカ(干渉レプリカ)を生成する。具体的には、復号部311が出力する復号後の符号化ビットの対数尤度比LLRを用いて、受信した信号の送信元である送信装置100が自受信装置宛に送信したであろう送信信号レプリカを生成する。さらに、この送信信号レプリカと伝搬路推定部312からの伝搬路推定値を用いて干渉レプリカを生成する。減算部331は、上記干渉レプリカを、受信部302あるいは受信信号記憶部303から入力される信号から減算する。受信部302あるいは受信信号記憶部303から入力される信号をr(t)、第i回目の繰り返し処理における干渉レプリカをr^(t)とすると、減算部が出力する信号r〜(t)は、下記式(4)で表せる。なお、「r^」、「r〜」という表記は、式(4)に表わされているように文字「r」の上に「^」、「〜」が記載されたものを意味し、後述する「s^」、「c^」、「h^」も同様である。
【0114】
【数4】

【0115】
ただし、初回処理(i=0)の場合は、r〜(t)=r(t)である。
【0116】
図13は、レプリカ生成部332の一構成例を示す機能ブロック図である。レプリカ生成部332は、インターリーブ部341と、シンボルレプリカ生成部342と、IFFT部343と、GI挿入部344と、干渉レプリカ生成部345とを備える。
【0117】
インターリーブ部341は、復号部311が出力する復号後の符号化ビットの対数尤度比LLRを、送信装置100がデータ変調を施した符号化したデータ信号と同じ並び順に並べ替える。すなわち、送信装置100のインターリーブ部112−1と同じインターリーブパターンで復号部311が出力する復号後の符号化ビット対数尤度比LLRをインターリーブする。すなわち、デインターリーブ部310と逆の並べ替えを行う。
【0118】
シンボルレプリカ生成部342は、インターリーブ部341が出力する符号化ビットの対数尤度比LLRを用いて所望ユーザの信号に対するデータ変調シンボルのレプリカ(変調シンボルレプリカ)を生成する。例えば、シンボルレプリカ生成部342は、送信装置100の変調部113−1の変調方式がQPSK変調の場合、QPSK変調シンボルを構成するビットb、bの対数尤度比をλ(b),λ(b)としたとき、下記の式(5)で表されるQPSKの変調シンボルのレプリカシンボルを生成する。なお、シンボルレプリカ生成部342は、16QAMなどの他の変調の場合も、同様の原理で変調シンボルレプリカを生成する。
【0119】
【数5】

【0120】
IFFT部343は、シンボルレプリカ生成部342が出力する変調シンボルレプリカを、受信したOFDM信号において上記変調シンボルレプリカに対応するデータ変調シンボル(自受信装置宛のデータ変調シンボル)が割り当てられているリソースエレメントに該当するIFFT入力ポイントにマッピングし、IFFT処理を行うことで、前記変調シンボルレプリカを周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。
【0121】
GI挿入部344は、IFFT部343が変換した時間領域の信号にガードインターバル(GI)を付加する。GI挿入部344が出力する信号レプリカs^(t)は、下記式(6)で表すことができる。
【0122】
【数6】

【0123】
ただし、c^k,1は、変調シンボルレプリカである。なお、パイロットシンボル等の既知のシンボルを含んでもよい。
【0124】
干渉レプリカ生成部345は、GI挿入部344が出力する信号と伝搬路推定値を用いて、受信装置300が受信するOFDM信号が受けた干渉成分の干渉レプリカを生成する。前記干渉成分として、中継装置200の処理遅延がGI長を超えることに起因するISI、ICIなどがあり、各干渉成分に対して干渉レプリカを生成する。
【0125】
たとえば、OFDM信号がISIを受けている場合、干渉除去部304の第i回目の繰り返し処理においてGI挿入部344が出力する信号をs^(t)、伝搬路推定値をh^(t)とすると、干渉レプリカ生成部345が生成するシンボル間干渉レプリカr^(t)(t≦T、TはOFDMシンボル長)は、下記式(7)となる。すなわち、干渉レプリカr^は、第i−1回目の繰り返し処理において復号部311が出力する符号化ビットLLRから生成した所望ユーザに対する送信信号レプリカを用いて生成され、受信装置が受信したGIを超える遅延時間を有する各遅延波において、FFT処理を行うOFDMシンボルの前のOFDMシンボルであって、FFT処理を行うOFDMシンボル区間に入り込んだ成分のレプリカを足し合わせたものである。上述の干渉レプリカを減算する処理を、自受信装置宛の情報データw1が配置されているサブフレームにおいておこなうことで、シンボル間干渉を除去する。
【0126】
【数7】

【0127】
ただし、初回処理の場合(i=0)、r^(t)=0であり、h^は伝搬路推定値のインパルス応答であって、第dパスの複素振幅、tは時間、τは第dパス(第d遅延波)の第1パス(先行波)が届いた時点(FFT処理の同期ポイント)からの遅延時間、Tgiは挿入されているガードインターバル長を示す。なお、dはτ>Tgiを満たす場合とする。
【0128】
なお、上述では、時間領域の干渉レプリカを受信信号から減算することによりシンボル間干渉の除去を行った場合を示しているが、この場合に限るものではない。例えば、時間領域の干渉レプリカに加え、周波数領域の干渉レプリカを用いてシンボル間干渉の除去を行っても良い。
【0129】
受信装置300は、受信したOFDM信号のうち、情報データw1がマッピングされたサブフレームに対して上述の各処理を行う。受信装置300は、情報データw1がマッピングされたサブフレームを、送信装置100から直接到来する信号と中継装置を経由して到来する信号の両方により受信する。
【0130】
受信装置300はGIを超える遅延波に起因するISI等の干渉除去機能を具備しているから、送信装置100から直接到来する信号と中継装置200を経由して到来する信号の両方を受信することにより等化後のSINRを大きくすることができる。
【0131】
図14は、図1の通信システムにおいて、本発明の第1の実施形態に係る受信装置400の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0132】
受信装置400は、受信部302と、GI除去部305と、FFT部306と、伝搬路補償部307と、リソースデマッピング部308と、復調部309と、デインターリーブ部310と、復号部311と、伝搬路推定部312とを備え、受信部302にアンテナ部301が接続されている。なお、上記受信装置300の一部あるいは全部をチップ化して集積回路にする場合、各機能ブロックに対して制御を行うチップ制御回路(図には未記載)を有する。
【0133】
受信装置400は、受信装置300から、受信信号記憶部303および干渉除去部304の機能を削除した構成であり、その他の部位に関しては同様である。受信装置400において、受信装置300と同様の符号を付した部位は同様の機能を有し、以下説明は省略する。
【0134】
受信装置400は、上述の中継装置200において、情報データw2がマッピングされたサブフレームに対してのみ各処理を行う。中継装置200は、情報データw2がマッピングされたサブフレームに対しては非増幅モードで処理する。これにより、受信装置400は、情報データw2を送信装置100から直接到来する信号により受信する。
【0135】
これにより、受信装置400は中継装置200を経由して到来する信号に起因する干渉による影響をうけることなく、良好な受信特性を得られる。
【0136】
[効果]
本発明の第1の実施形態に係る通信システムにおいて、送信装置は、受信装置に情報データを送信する際、送信する情報データを受信する受信装置のカテゴリに関する情報を、制御データにより中継装置に通知する。前記受信装置のカテゴリは受信装置の受信性能(干渉除去機能の有無)に基づくものである。
【0137】
中継装置は、通知を受けた前記カテゴリに関する情報に基づき、情報データを受信する受信装置の受信性能に応じて、該情報データがマッピングされているサブフレームに対して増幅処理するか否かを適応的に選択する。これにより、各受信装置が受信する自受信装置宛の情報データの等化後のSINRが最大になるように制御されることになる。
【0138】
以上のように、受信装置の受信性能に応じて、中継装置経由で到来する信号を調整することにより、GIを伸ばすことによる伝送効率の低下を生じさせることなく、カバレッジの拡大及びセルのSINRの向上を行うことができ、送信装置が構成するセルの平均スループットの向上を図ることができる。
【0139】
(第2の実施形態)
[通信システム]
第2の実施形態に係る通信システムにおいて、送信装置、受信装置は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態における中継装置200を中継装置500と取り替えることにより実現できる。以下、主に、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0140】
第2の実施形態では、送信装置100が、同一のOFDMシンボルを構成するサブキャリアに異なる受信装置宛の情報データをマッピングする。
【0141】
図15は、第2の実施形態において、送信装置100が各受信装置に送信する情報データをサブフレームにマッピングする例を示す図である。
【0142】
図15は、24個のサブキャリアと14個のOFDMシンボルから構成されるサブフレームを示す。すなわち、サブフレームは、(m、n)、(m=1〜24、n=1〜14、ただし、mはサブキャリア番号、nはOFDMシンボル番号)からなる336つのリソースエレメントで構成される。
【0143】
送信装置100は、図9のリソースマッピング部103において、所定のサブキャリア数及び所定のOFDMシンボルからなる範囲を単位として、各受信装置宛の情報データをマッピングする。前記各受信装置の情報データをマッピングする単位をリソースブロックという。
【0144】
図15では、リソースブロックが12個のサブキャリアと14個のOFDMシンボルから構成される場合である。リソースエレメント(m、n)=(m1、n1)、(ただし、m1=1〜12、n1=1〜14)からなる範囲を第1のリソースブロックと、リソースエレメント(m、n)=(m2、n2)、(ただし、m2=13〜24、n2=1〜14)からなる範囲を第2のリソースブロックとする。
【0145】
図15において、第1のリソースブロックには受信装置300に送信する情報データw1をマッピングする(斜線塗りつぶし部分)。第2リソースブロックには、受信装置300以外に送信する情報データがマッピングされている。
【0146】
また、図15では、情報データw1に対する中継装置用制御データは、第1のリソースブロックのうち、リソースエレメント(1、1)を割り当てた場合である。
【0147】
なお、中継装置用制御データのマッピングは、第1の実施形態同様、当該情報データより前のリソースエレメントであれば、制御対象となる情報データと同一のサブフレームでもよいし、異なるサブフレームでもよい。さらに、異なるフレームでもよい。
【0148】
なお、中継装置用制御データのマッピングは、当該情報データ以外を割り当てるリソースブロックに割り当ててもよい。すなわち、前記第2のリソースブロックに割り当てた情報データに対する中継装置用制御データを第1のリソースブロックに割り当ててもよい。
【0149】
中継装置200は、前記制御データw3に基づいて、リソースブロック毎に増幅の有無を切替える。
【0150】
送信装置100が図15で示すサブフレーム構成で送信したOFDM信号を、中継装置200が受信した場合、中継装置200は、リソースエレメント(1、1)に配置された中継装置用制御データw3により、受信装置300に送信する情報データw1が第1のリソースブロックにマッピングされていることを認識する。
【0151】
次に、中継装置200は、第1のサブキャリア〜第12のサブキャリアの周波数帯域に対して、第4のOFDMシンボル〜第14のOFDMシンボルの期間において、増幅モードとなる。
【0152】
[中継装置]
図16は、本発明の第2の実施形態に係る中継装置500の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0153】
中継装置500は、アンテナ部201及び206と、受信部202と、増幅部503と、フィルタ部504と、送信部205と、制御信号検出部507とを備える。中継装置500は、中継装置200において、増幅部203を増幅部503に、フィルタ部204をフィルタ部504に、制御信号検出部207を制御信号検出部507に取り替えることにより実現できる。以下、異なる部位について、主に説明する。
【0154】
制御信号検出部507は、中継装置500が受信したOFDM信号から、中継装置用制御データを抽出し、信号検出処理を行う。制御信号検出部507は、前記信号検出処理により、リソースブロック毎にその情報データの宛先である受信装置のカテゴリ情報を認知する。そして、前記カテゴリ情報は増幅部503及びフィルタ部504に入力される。
【0155】
増幅部503は、前記カテゴリ情報に基づいて、リソースブロック毎に増幅モードあるいは非増幅モードに設定される。そして、前記設定したモードに従い、受信部202から入力されるOFDM信号を、一定期間、一定周波数帯域について増幅して出力し、あるいは、一定期間増幅せず、そのまま出力する。
【0156】
フィルタ部504は、制御信号検出部507から入力されたカテゴリ情報に基づいて通過帯域を設定し、前記増幅部503が出力した信号に対して、スプリアスを除去し帯域制限するフィルタリング処理を行う。具体的には、増幅モードに設定された周波数帯域幅が通過帯域となるように設定される。
【0157】
そして、送信部205は、前記フィルタ部504が出力する信号を、情報データの宛先である受信装置が受信可能な周波数帯域にアップコンバートし、アンテナ部206を介して送信する。
【0158】
[効果]
本発明の第2の実施形態に係る通信システムにおいて、送信装置は、受信装置に情報データを送信する際、送信する情報データを受信する受信装置のカテゴリに関する情報を、制御データにより中継装置に通知する。前記受信装置のカテゴリは受信装置の受信性能(干渉除去機能の有無)に基づくものである。
【0159】
中継装置は、通知を受けた前記カテゴリに関する情報に基づき、情報データを受信する受信装置の受信性能に応じて、該情報データがマッピングされているリソースブロック毎に増幅処理するか否かを適応的に選択する。これにより、各受信装置が受信する自受信装置宛の情報データの等化後のSINRが最大になるように制御されることになる。
【0160】
以上のように、受信装置の受信性能に応じて、中継装置経由で到来する信号を調整することにより、GIを伸ばすことによる伝送効率の低下を生じさせることなく、カバレッジの拡大及びセルのSNR向上を行うことができ、送信装置が構成するセルの平均スループットの向上を図ることができる。
【0161】
(第3の実施形態)
[通信システム]
第3の実施形態における通信システムは、第1の実施形態と同様の機能部位から構成される。第3の実施形態における送信装置の制御信号生成部108は、増幅モード/非増幅モードの情報に加え、切替モードとなる旨の情報を含む制御データを生成する。また、第3の実施形態における中継装置の制御信号検出部207は、増幅モード/非増幅モードの検出に加え、切替モードか否かの検出を、受信した中継装置用制御データにより行う。以下、主に、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0162】
図17は、第3の実施形態において、送信装置100が受信装置300及び受信装置400へ情報データを送信し、中継装置200に中継装置用制御データを送信するフレームフォーマットの一例を示す図である。図17のフレームは、10個のサブフレームから構成されている。
【0163】
第3の実施形態では、中継装置用制御データが配置されると、それ以後のサブフレームにおいて、一定間隔で、サブフレームに決められた受信装置カテゴリの情報データを配置するモードとなる(以下、切替モードという)。切替モードの切替間隔は、予め定められる。送信装置100のリソースマッピング部103は、定められた受信装置カテゴリに属する受信装置の情報データをサブフレームにマッピングする。
【0164】
図17のフレームフォーマットでは、第3番目のサブフレームを構成するリソースエレメントに中継装置制御データを配置している(黒塗部)。そして、第3番目のサブフレーム以後のサブフレームにおいては切替モードとなり、1サブフレーム間隔で高性能な受信機能を具備する受信装置用(カテゴリAに属する受信装置用)にサブフレームが割り当てられている(斜線部)。
【0165】
なお、切替モードは解除通知を行うまで継続することができる。また、切替モードはフレームを跨いで継続することも可能である。
【0166】
中継装置200は、中継装置用制御データにより切替モードとなったことを認知すると、定められたタイミングで増幅の有無を切替える。
【0167】
図18は、第3の実施形態の中継装置200の動作についてのフローチャートである。
【0168】
中継装置200は、送信装置100から中継装置用制御データを受信し(S201)、増幅等に関するモードについての情報を取得する。前記モードについての情報において、切替モードである旨の通知を受けた場合(S202のYes)、前記中継装置用制御データを受けたサブフレーム以後のフレームにおいて、定められた間隔に従い、受信した情報データを増幅し、出力する(S203)。
【0169】
図17のフレームフォーマットでは、定められた間隔に従い、増幅の有無を切替えることにより、受信した情報データを増幅し第3番目のサブフレーム以後のサブフレームにおいて、偶数番目のサブフレームに配置した情報データは増幅される。一方、奇数番目のサブフレームは増幅されず、そのまま出力される。
【0170】
この増幅の有無の切替は、解除通知を送信装置100から受けるまで継続する(S205のNo)。解除通知を受けると(S205のYes)、切替モードは終了し、通常モードに戻り、中継装置用制御データの送信を待つことになる。
【0171】
一方、前記モードについての情報において、切替モード以外である旨の通知を受けた場合(S202のNo)、通常モードとなり(S206)、中継装置用制御データがサブフレーム毎に通知するカテゴリ情報に基づいて増幅モード/非増幅モードを選択することになる(S207)。そして、選択したモードで増幅等の処理がなされる(S208)。
【0172】
なお、上述では、通常モードにおいて、増幅モード/非増幅モードを選択することとしているが、通常モード時において、増幅モード或いは非増幅モードのどちらかに固定してもよい。
【0173】
[効果]
第3の実施形態に係る通信システムにおいて、送信装置は、フレームを構成するサブフレームに、一定間隔で、決められた受信装置カテゴリの情報データを配置する切替モードを有し、前記切替モードである場合、制御データによりその旨を中継装置に通知する。前記受信装置のカテゴリは受信装置の受信性能(干渉除去機能の有無)に基づくものである。
【0174】
中継装置は、通知を受けたモードに基づき、決められた間隔で増幅/非増幅を切替える。すなわち、中継装置は、一定間隔で配置された情報データの受信装置カテゴリが干渉除去機能を具備するカテゴリである場合、一定間隔で配置された情報データのフレーム区間は増幅し、その他の区間は非増幅となる。これにより、各受信装置が受信する自受信装置宛の情報データの等化後のSINRが最大になるように制御されることになる。
【0175】
以上のように、一定間隔で配置された情報データの受信装置カテゴリに応じて、中継装置経由で到来する信号を調整することにより、GIを伸ばすことによる伝送効率の低下を生じさせることなく、カバレッジの拡大及びセルのSNRの向上を行うことができ、送信装置が管轄するセルの平均スループットの向上を図ることができる。
【0176】
(第4の実施形態)
[通信システム]
第4の実施形態の通信システムでは、送信装置は、送信する情報データの宛先である受信装置のカテゴリに応じて、送信電力を制御する。
【0177】
具体的には、干渉除去機能を具備しない受信装置に対して送信する情報データを送信する場合、干渉除去機能を具備した受信装置に対して送信する情報データより大きな送信電力で送信する。
【0178】
たとえば、図2において、送信装置100が、カテゴリAの受信装置へ情報データを送信する場合の送信電力をxとすると、カテゴリBの受信装置に情報データを送信する時の送信電力はx+a(a>0)とする。xは、情報データを送信する際の、MCS、ランクレベル、空間多重数などにより決められる。aは、受信装置のカテゴリにより決められる。aは、予めシステムにおいて決めておいてもよい。
【0179】
第4の実施形態の送信装置が、図4のフレームフォーマットで情報データを送信する場合、第4のサブフレームと第9のサブフレームでの情報データの送信時は送信電力xで送信し、第4のサブフレームと第9のサブフレームを除くサブフレームを送信時においては、送信電力x+aで情報データを送信する。
【0180】
第4の実施形態の送信装置が、図17のフレームフォーマットで情報データを送信する場合、第4のサブフレーム、第6のサブフレーム、第8のサブフレームでの情報データの送信時は送信電力xで送信し、前記フレームを除くサブフレームを送信時においては、送信電力x+aで情報データを送信する。
【0181】
第4の実施形態の通信システムは、図1において、送信装置100を送信装置600にすることにより実現できる。中継装置及び受信装置は、第1の実施形態〜第3の実施形態で示した中継装置及び受信装置で実現できる。以下、主に、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0182】
[送信装置]
図19は、本発明の第4の実施形態に係る送信装置600の一構成例を示す機能ブロック図である。
【0183】
送信装置600は、上位レイヤ601、シンボル生成部102−1〜102−N、リソースマッピング部103、IFFT(逆高速フーリエ変換)部104、GI挿入部105、送信部606、アンテナ部107、制御信号生成部108から構成される。
【0184】
送信装置600は、送信装置100から上位レイヤ101を上位レイヤ601に、送信部106を送信部606に置き換えることにより実現できる。以下、主に、異なる部位について説明する。
【0185】
上位レイヤ601は、各受信装置に送信する情報データ及び中継装置を制御する制御データに加え、各サブフレームに配置する情報データを受信する受信装置のカテゴリ情報を送信部606に出力する。
【0186】
送信部606は、上位レイヤ601が出力するカテゴリ情報に基づいて、送信電力を制御する。
【0187】
例えば、干渉除去機能を具備しない受信装置400への情報データを送信する旨の通知があると、前記情報データを送信する期間において、パワーアンプなどの増幅の増幅率を上げる。前記増幅率は、アンテナ部107から送信する送信電力(例えば、x、x+a)に基づいて設定される。
【0188】
[効果]
第4の実施形態では、中継装置を経由する経路により信号を受信しない受信装置に対して、送信装置から直接到来する信号の受信電力を向上することが可能となる。これにより、中継装置を経由する経路により信号を受信しないことによる受信電力の低下を抑えることができる。
【0189】
第1〜第4の実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0190】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0191】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0192】
また、図9及び図19における送信装置の全部または一部と、図10及び図16における中継装置の全部または一部と、図11、図14、における受信装置の全部または一部との機能を集積回路に集約して実現してもよい。送信装置、中継装置及び受信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、又は全部を集積してチップ化してもよい。また、チップ化した送信装置、中継装置及び受信装置の各機能ブロックに対して制御を行うチップ制御回路を集積してもよい。指定、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明は、送信装置、中継装置、通信システム、送信方法、中継方法及び通信方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0194】
100、600 送信装置
101、601 上位レイヤ
102−n シンボル生成部
103 リソースマッピング部
104 IFFT(逆高速フーリエ変換)部
105 GI挿入部
106、606 送信部
107 アンテナ部
108 制御信号生成部
109 パイロット信号生成部
111−n 符号部
112−n インターリーブ部
113−n 変調部
200、500 中継装置
201、206 アンテナ部
202 受信部
203、503 増幅部
204、504 フィルタ部
205 送信部
207、507 制御信号検出部
300、400 受信装置
301 アンテナ部
302 受信部
303 受信信号記憶部
304 干渉除去部
305 GI除去部
306 FFT部
307 伝搬路補償部
308 リソースデマッピング部
309 復調部
310 デインターリーブ部
311 復号部
312 伝搬路推定部
331 減算部
332 レプリカ生成部
341 インターリーブ部
342 シンボルレプリカ生成部
343 IFFT部
344 GI挿入部
345 干渉レプリカ生成部
r1〜r5 経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報データを送信する送信装置と、
前記情報データを受信する受信装置と、
前記情報データを受信し、前記受信装置に中継する中継装置とを備え、
前記送信装置は、前記中継装置に前記情報データについての制御データを送信することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御データは、前記情報データの宛先となる前記受信装置のカテゴリ情報を含み、
前記中継装置は、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備している前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データを増幅することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備していない前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データを増幅しないことを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記中継装置は、前記カテゴリ情報により、前記情報データの宛先が干渉除去機能を具備している前記受信装置である旨の通知を受けると、前記情報データを当該受信装置に中継する期間において、前記情報データの増幅率を上げることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記送信装置は、前記制御データを前記情報データ毎に送信することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記送信装置は、前記情報データをサブフレーム毎に送信することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記送信装置は、前記情報データをリソースブロック毎に送信することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記送信装置は、一定間隔で異なるカテゴリの前記受信装置へ前記情報データを送信する旨の前記制御データを送信し、
前記中継装置は、前記一定間隔で、前記情報データを増幅するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備している前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データを増幅することを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備していない前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データを増幅しないことを特徴とする請求項9または10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記中継装置は、干渉除去機能を具備している前記受信器宛の前記情報データを中継する期間において、前記情報データの増幅率を上げることを特徴とする請求項9に記載の通信システム。
【請求項13】
前記送信装置は、前記受信装置のカテゴリに基づいて、送信する前記情報データの送信電力を変えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項14】
前記受信装置のカテゴリは、干渉除去装置を具備する受信装置カテゴリ及び干渉除去装置を具備しない受信装置カテゴリを含み、
前記送信装置は、前記干渉除去装置を具備しない受信装置カテゴリの前記受信装置へ送信する前記情報データの送信電力を、前記干渉除去装置を具備する受信装置カテゴリの前記受信装置へ送信する前記情報データの送信電力より大きく設定することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
中継装置に送信する、情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を含む制御データを生成する制御データ生成部と、
前記情報データ及び前記制御データを送信する送信部と
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項16】
送信装置が送信する制御データから、前記送信装置が送信する情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を検出する制御データ検出部と、
前記検出したカテゴリ情報に基づいて、前記情報データを増幅するか否かを切り替える増幅部と、
前記情報データを送信する送信部と
を具備することを特徴とする中継装置。
【請求項17】
送信装置が情報データ及び制御データを送信するステップと、
中継装置が前記情報データ及び前記制御データを受信するステップと、
前記中継装置が、前記制御データから前記情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を検出するステップと、
前記中継装置が、前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えるステップと、
前記中継装置が、前記情報データを送信するステップと、
前記受信装置が前記情報データを受信するステップと
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項18】
送信装置が、
情報データを受信装置及び中継装置に送信するステップと、
前記情報データの宛先となる前記受信装置のカテゴリ情報を含む制御情報を前記中継装置に送信するステップと
を含むことを特徴とする送信方法。
【請求項19】
中継装置が、
情報データと、前記情報データの宛先となる受信装置のカテゴリ情報を含む制御情報とを受信するステップと、
前記カテゴリ情報に基づいて前記情報データを増幅するか否かを切り替えるステップと、
前記情報データを送信するステップと
を含むことを特徴とする中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−244404(P2011−244404A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117397(P2010−117397)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】