説明

送信装置、通信システム及びプログラム

【課題】放送コンテンツの送信をその放送コンテンツの放送対象地域外では制限する場合に、その放送対象地域を設定するためのユーザの手間を省くこと。
【解決手段】放送コンテンツ送信装置10は、放送波を受信可能な放送局の組み合わせを表すリストをサーバ装置30に通知する(ステップS40)。サーバ装置30は、通知されたリストと放送局の組み合わせが一致する放送局リストがある場合、これに対応付けられた放送対象地域の識別情報を放送コンテンツ送信装置10に送信する(ステップS50)。放送コンテンツ送信装置10は、移動通信端末20から通知された位置情報が表すこの端末の位置がサーバ装置30から送信された放送対象地域に属している場合、放送コンテンツを移動通信端末20に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送コンテンツの送信を制限する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局が放送するテレビ番組等(放送コンテンツという)をチューナで受信してこれをさらに別の再生装置に送信するという行為を、その放送が対象とする地域(放送対象地域という)以外では制限するという技術がある。特許文献1には、IP(Internet Protocol)放送サーバから送信される映像の出力を、IP放送端末が検知した地域に応じて許可又は制限する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術では、IP放送サーバ側で放送コンテンツの放送対象地域を予め把握しておくことが前提となっている。このため、例えば、各ユーザがこのIP放送サーバを自宅等に設置して利用しようとした場合を仮定すると、その設置場所が属している放送対象地域をユーザが入力するなどの手間が必要となる。
そこで、本発明は、放送コンテンツの送信をその放送コンテンツの放送対象地域外では制限する場合に、その放送対象地域を設定するためのユーザの手間を省くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、放送局から送信される放送波を受信する受信手段と、前記受信手段が設置された場所において当該受信手段が受信可能な前記放送波を送信している1又は複数の放送局の組み合わせを特定する特定手段と、予め区分された複数の放送対象地域と、各々の当該放送対象地域に対して放送を行うことが決められている1又は複数の放送局の組み合わせとを対応付けて記憶している記憶手段から、前記特定手段によって特定された前記放送局の組み合わせとの類似度が閾値以上である組み合わせに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第1の地域取得手段と、前記放送波によって表されるコンテンツを再生する再生端末から、当該再生端末の位置を表す位置情報を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が、前記第1の地域取得手段により取得された放送対象地域に属するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記位置が前記放送対象地域に属すると判断された場合には、前記受信手段によって受信された放送波によって表されるコンテンツを前記再生端末に送信し、前記位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合には、前記再生端末への前記コンテンツの送信を制限する送信手段とを備えることを特徴とする送信装置を提供する。
【0006】
また、インターネットに接続する接続手段と、前記接続手段に割り当てられているグローバルアドレス、又は、前記接続手段から前記インターネットに至るまでの経路上にある通信ノードに割り当てられているグローバルアドレスを取得するアドレス取得手段と、複数のグローバルアドレスと、各々の当該グローバルアドレスが割り当てられた通信ノードが設置されている放送対象地域とを対応付けて記憶している記憶手段から、前記アドレス取得手段によって取得されたグローバルアドレスと同じグローバルアドレスに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第2の地域取得手段と、前記判断手段は、前記第1の地域取得手段によって前記放送対象地域が取得されなかった場合には、前記第2の地域取得手段により取得された前記放送対象地域に、前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が属するか否かを判断するようにしてもよい。
【0007】
さらに、前記位置取得手段は、前記送信手段により前記コンテンツの送信が開始された後において、前記再生端末から前記位置情報を繰り返し取得し、前記送信手段は、前記再生端末に対し前記コンテンツの送信を開始した後、前記判断手段により、前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断されると、開始していた前記コンテンツの送信を制限するようにしてもよい。
【0008】
また、前記送信手段は、前記再生端末に対し前記コンテンツの送信を開始した後、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合であっても、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属すると判断された最も後の時点から定められた期間が経過する前であれば、前記コンテンツの送信を制限しないようにしてもよい。
【0009】
さらに、前記送信手段は、前記定められた期間として、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合における当該放送対象地域と当該位置情報が表す位置との位置関係に応じた長さの期間を用いるようにしてもよい。
【0010】
また、前記特定手段は、前記受信手段による放送波の受信強度が閾値以上である場合に、当該放送波を放送する1又は複数の放送局の組み合わせを特定するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明は、上述した送信装置と、自端末の位置を表す位置情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された位置情報を前記送信装置に通知する位置通知手段と、前記送信装置から送信されてくるコンテンツを再生する再生手段とを備える再生端末とを具備することを特徴とする通信システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、放送局から送信される放送波を受信する受信手段を備えたコンピュータを、前記受信手段が受信可能な前記放送波を送信している1又は複数の放送局の組み合わせを特定する特定手段と、予め区分された複数の放送対象地域と、各々の当該放送対象地域に対して放送を行うことが決められている1又は複数の放送局の組み合わせとを対応付けて記憶している記憶手段から、前記特定手段によって特定された前記放送局の組み合わせとの類似度が閾値以上である組み合わせに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第1の地域取得手段と、前記放送波によって表されるコンテンツを再生する再生端末から、当該再生端末の位置を表す位置情報を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が、前記第1の地域取得手段により取得された放送対象地域に属するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記位置が前記放送対象地域に属すると判断された場合には、前記受信手段によって受信された放送波によって表されるコンテンツを前記再生端末に送信し、前記位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合には、前記再生端末への前記コンテンツの送信を制限する送信手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、再生端末に対する放送コンテンツの送信をその放送コンテンツの放送対象地域外では制限する場合に、その放送対象地域を設定するためのユーザの手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。
【図2】放送コンテンツの送信可否を判断する際の考え方を説明するための図である。
【図3】放送コンテンツ送信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】移動通信端末のハードウェア構成を示す図である。
【図5】サーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】地域特定データベースの内容を示す図である。
【図7A】通信システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図7B】通信システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図8】放送局リスト及びグローバルアドレスの一例を示す図である。
【図9】放送コンテンツ送信装置の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図10】移動通信端末の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図11】サーバ装置の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図12】変形例に係る通信システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム1の全体構成を示すブロック図である。通信システム1は、複数の放送局2、放送コンテンツ送信装置10、移動通信端末20及びサーバ装置30といった通信ノードと、インターネット3及び複数の基地局5を有する移動通信網4といった通信回線とを備える。各放送局2は、放送事業者によって運営される設備であり、地上デジタルテレビジョン放送の仕組みによって例えばニュース、ドラマ及びスポーツ中継等の番組を放送する。つまり詳細には、各放送局2は、これらの番組の音声及び映像を表す放送波を送信する。放送コンテンツ送信装置10及び移動通信端末20は、同じユーザによって利用される。実際には、通信システム1において、放送コンテンツ送信装置10及び移動通信端末20がこれらを利用するユーザの数だけ備えられているが、図1においては、それらのうちの1組だけを示している。
【0016】
放送コンテンツ送信装置10は、各々のユーザの自宅に設置されている送信装置であり、各放送局2から送信されている放送波を受信して、この放送波により表される音声及び映像からなるコンテンツ(以下「放送コンテンツ」という。)を記憶する。そして、放送コンテンツ送信装置10は、これらの放送コンテンツを必要に応じて、インターネット3及び移動通信網4を介して移動通信端末20に送信する。従って、ユーザは、自宅に居るときは、放送コンテンツ送信装置10が記憶している放送コンテンツを再生させて視聴することができるし、自宅以外に居るときは、放送コンテンツ送信装置10から移動通信端末20に放送コンテンツを送信させ、これを移動通信端末20で再生させて視聴することもできる。
【0017】
移動通信端末20は、携帯電話又はスマートフォン等のような再生端末であり、移動通信網4の基地局と無線通信を行って、放送コンテンツ送信装置10により送信された放送コンテンツを受信してこれを再生する。サーバ装置30は、インターネット3を介して放送コンテンツ送信装置10及び移動通信端末20と通信を行って、これらの通信ノードが設置されている放送対象地域をそれぞれに対して知らせる。ここにおいて、放送対象地域とは、放送法の規定により予め区分された複数の地域であり、同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の地域をいう。この規定を遵守するため、各放送局2は、自局が放送の対象とする放送対象地域では、放送コンテンツ送信装置10がどの場所にあっても放送波を良好に受信できるように、自局の放送設備を整えている。一方で、各放送局2は、自局の放送対象地域外では、自局からの放送波がなるべく受信されないようにしている。これは、放送局2が自局の放送対象地域外で放送するということは、その放送対象地域外において放送を行っている他の放送局2の事業を邪魔することになるためである。放送コンテンツ送信装置10は、このような放送対象地域の意義に鑑みて、移動通信端末20がどの放送対象地域にあるかによって、その移動通信端末20に放送コンテンツを送信するか否かを判断するようになっている。その詳細について図2を用いて説明する。
【0018】
図2は、放送コンテンツ送信装置10が放送コンテンツを送信するか否かを判断する際の考え方を説明するための図である。図2において、放送対象地域A1、A2、A3はそれぞれ異なる放送対象地域であり、放送対象地域A1に或る放送コンテンツ送信装置10が所在している。なお、実際の放送対象地域は、この図に示すものよりも複雑な形状となっているが、説明を分かりやすくするため、いずれもこの図に示すように矩形状の地域となっているものとする。放送コンテンツ送信装置10は、自装置のユーザが携帯する移動通信端末20が自装置と同じ放送対象地域A1に所在している場合、この移動通信端末20に対して放送コンテンツを送信すると判断する。一方、放送コンテンツ送信装置10は、移動通信端末20が自装置と異なる放送対象地域A2、A3に所在している場合、この移動通信端末20に対して放送コンテンツを送信しないと判断する。この放送コンテンツは、放送コンテンツ送信装置10が或る放送局から受信したものであるから、前述した放送対象地域の意義に鑑みれば、この放送コンテンツ送信装置10が所在する放送対象地域A1においてのみ視聴が許されており、これ以外の地域では視聴が許されていないものである。このため、放送コンテンツ送信装置10が上記のとおり送信可否を判断することで、この放送コンテンツは、放送対象地域A1の外の地域では視聴できないようになっている。
【0019】
図3は、放送コンテンツ送信装置10のハードウェア構成を示す図である。放送コンテンツ送信装置10は、制御部110と、通信部120と、操作部130と、チューナ部140と、記憶部150と、出力部160とを備えたコンピュータとして構成されている。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶装置とを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部150に記憶されたプログラムを実行することによって、放送コンテンツ送信装置10の各部の動作を制御する。通信部120は、インターネット3に接続された接続手段であり、移動通信端末20及びサーバ装置30とデータを送受信する。操作部130は、複数のキーなどの操作子を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部110に供給する。制御部110は、この操作信号に応じた処理を行う。チューナ部140は、図示せぬアンテナに接続する8つのチューナを有し、各放送局2により送信される放送波を受信する受信手段である。チューナ部140は、受信した放送波から音声データ及び映像データを復調し、これらのデータ(つまり放送コンテンツ)を制御部110の指示の下、記憶部150に出力する。
【0020】
記憶部150は、例えばハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、制御部110が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。また、記憶部150は、チューナ部140から出力される放送コンテンツを蓄積していく。記憶部150の記憶容量は、例えば、チューナ部140が有するチューナと同じ数である8つの放送局2の1週間分の放送コンテンツを蓄積可能な容量となっている。また、記憶部150は、放送コンテンツ送信装置10がサーバ装置30とデータの送受信を行う際に用いるサーバ装置30のIP(Internet Protcol)アドレス又はURL(Uniform Resource Locator)等のアドレス情報を記憶している。出力部160は、自宅に設置された図示せぬテレビジョン受像機に接続されており、制御部110によって記憶部150から読み出された音声データ及び映像データをテレビジョン受像機に出力する。テレビジョン受像機はこれらの音声データ及び映像データに基づき、放送コンテンツを再生する。
【0021】
図4は、移動通信端末20のハードウェア構成を示す図である。移動通信端末20は、制御部210と、通信部220と、操作部230と、表示部240と、音声入出力部250と、測位部260と、記憶部270とを備えたコンピュータとして構成されている。制御部210は、CPU等の演算装置と、ROM及びRAMなどの記憶装置とを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部270に記憶されたプログラムを実行することによって、移動通信端末20の各部の動作を制御する。通信部220は、アンテナや通信回路を備えており、基地局5と無線通信を行う。操作部230は、複数のキーやタッチセンサなどの操作子を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部210に供給する。制御部210は、この操作信号に応じた処理を行う。表示部240は、液晶パネルや液晶駆動回路を備えており、制御部210からの指示に応じて画像を表示する。音声入出力部250は、スピーカ、マイクロホン及び音声処理回路などを備えており、通話に係る音声の入出力を行う。測位部260は、GPS(Global Positioning System)の技術を用いて移動通信端末20の位置を計測する。記憶部270は、例えばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、制御部210が制御に用いるデータやプログラムを記憶している。
【0022】
図5は、サーバ装置30のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置30は、制御部310と、通信部320と、記憶部330とを備えたコンピュータとして構成されている。制御部310は、CPU等の演算装置と、ROM及びRAMなどの記憶装置とを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部330に記憶されたプログラムを実行することによって、サーバ装置30の各部の動作を制御する。通信部320は、インターネット3に接続されており、これを介してデータを送受信する手段である。記憶部330は、例えばハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、制御部310が制御に用いるデータやプログラムを記憶している記憶手段である。また、記憶部330は、各放送対象地域に割り当てられた識別情報と、その放送対象地域で視聴可能な放送局に割り当てられた識別情報と、その放送対象地域の範囲を表す緯度及び経度と、その放送対象地域に設置される通信ノードに割り当てられるグローバルアドレスとを対応付けた地域特定データベースを記憶している。この地域特定データベースは、サーバ装置30が、放送コンテンツ送信装置10又は移動通信端末20が所在している放送対象地域を特定する際に用いられる。
【0023】
図6は、地域特定データベースに含まれている情報の例を示す図である。地域特定データベースでは、各々の「放送対象地域」の識別情報に、「放送局リスト」、「経度と緯度」及び「グローバルアドレス」が対応付けられている。図6の例では、「放送対象地域」の列には、A1からA6という識別情報で表される6つの放送対象地域が示されている。「放送局リスト」の列には、各々の放送対象地域に対して放送を行うことが決められている1又は複数の放送局2の組み合わせが、各放送局2の識別情報であるチャンネル番号の一覧で示されている。例えば、放送対象地域A1では、チャンネル「27」、「26」、「25」、「22」、「21」、「24」、「23」、「20」、「28」という9つのチャンネルがそれぞれ割り当てられた放送局2の放送波が受信可能であることが示されている。言い換えれば、放送対象地域A1内では、これらの9つの放送局が放送する番組を視聴することができるということである。以下では、「放送局リスト」として地域特定データベースに含まれているこれらの放送局2の組み合わせを、「第1の組み合わせ」という。
【0024】
「緯度と経度」の列には、各放送対象地域の北西端及び南東端の緯度と経度とが示されている。また、「グローバルアドレス」の列には、各放送対象地域に設置される通信ノードに割り振られるべきグローバルアドレスが示されている。ここにおいて、グローバルアドレスとは、インターネットに接続されている通信ノードに一意に割り当てられたIPアドレスをいう。グローバルアドレスの割り当ては世界規模で管理されており、日本ではJPNIC(Japan Network Information Center)によってプロバイダなどの各組織に割り当てられている。また、グローバルアドレスは、どの地域に設置されている通信ノードに割り当てられるかが概ね決まっている。このことを利用して、地域特定データベースでは、複数のグローバルアドレスと、これらのグローバルアドレスが割り当てられる通信ノードが設置されていると推定される地域が含まれる放送対象地域とが対応付けられている。
【0025】
次に、通信システム1における動作について、図7A、図7B、図8を参照しながら説明する。図7A、図7Bは、通信システム1において放送コンテンツが送信されるときの処理の手順を示すシーケンスチャートであり、図7Aに示す処理の後に図7Bに示す処理が行われる。また、図8は、この手順において、放送コンテンツ送信装置10がサーバ装置30に通知する放送局リスト(図8(a))とグローバルアドレス(図8(b))を示す図である。なお、以下の動作説明において、放送コンテンツ送信装置10、移動通信端末20またはサーバ装置30が行う動作の主体は、それぞれの制御部110,210,310である。
【0026】
図7Aに示す手順において、まず、放送コンテンツ送信装置10が、自装置が設置されている放送対象地域の識別情報を取得する処理(ステップS10からS90まで)と、放送コンテンツを送信するための準備となる処理(ステップS100、S110)が行われる。放送コンテンツ送信装置10が設置されて電源が投入されると、まず、放送コンテンツ送信装置10は、チューナ部140の受信周波数を切り替えながら、複数の放送局2から送信される放送波をチューナ部140により受信する(ステップS10、S20)。そして、放送コンテンツ送信装置10は、チューナ部140が設置された場所においてそのチューナ部140により受信可能な放送波を送信している1又は複数の放送局2の組み合わせを特定し、特定した放送局2を表すリスト(放送局リスト)を作成する(ステップS30)。以下では、この組み合わせを「第2の組み合わせ」という。また、ここでいう受信可能な放送波とは、チューナ部140が有するアンテナにより受信される電波の強度が閾値以上である放送波のことである。この受信強度は、チューナ部140に接続されたアンテナが受信する各周波数(すなわち各放送波)の受信レベルを測定したものである。例えば、この受信レベルがある閾値以上であれば正常な受信状態といえる場合、放送コンテンツ送信装置10は、受信強度がその閾値以上の放送波を送信している放送局2を上記の放送局リストに含める。また、その際、放送コンテンツ送信装置10のチューナ部140は、8つのチューナを有しているため、放送波が受信可能な放送局2を同時に最大8つまで判別することができる。放送コンテンツ送信装置10は、作成した放送局リストをサーバ装置30に通知する(ステップS40)。これにより、上記の第2の組み合わせ(つまりチューナ部140により受信可能な放送波を送信している放送局2の組み合わせ)がサーバ装置30に通知されることになる。ここでは、放送コンテンツ送信装置10は、図8に示す放送局リストをサーバ装置30に通知するものとする。
【0027】
サーバ装置30は、上記の地域特定データベースにおいて、放送コンテンツ送信装置10から通知された放送リスト(つまり、第2の組み合わせ)と一致する上記第1の組み合わせ(つまり、各放送対象地域において受信可能な放送局2の組み合わせ)があるか否かを調査する(ステップS45)。そして、サーバ装置30は、その調査の結果を、放送コンテンツ送信装置10に送信する(ステップS50)。具体的には、サーバ装置30は、第2の組み合わせと一致する第1の組み合わせがあった場合には、その第1の組み合わせに対応付けられている放送対象地域の識別情報をこの調査の結果として放送コンテンツ送信装置10に送信する。このように、放送コンテンツ送信装置10は、放送対象地域と第2の組み合わせとを対応付けて記憶している記憶手段(この例では記憶部330)から、放送対象地域の識別情報を取得する。
【0028】
一方、サーバ装置30は、そのような放送対象地域がない場合、その旨を示す通知を上記調査の結果として放送コンテンツ送信装置10に送信する(ステップS50)。ステップS45においては、実際にはいずれかの放送対象地域に所在している放送コンテンツ送信装置10から通知された放送局リストであっても、一致する放送局リストが見つからない場合がある。それは、例えば、本来その放送対象地域であれば受信されるべき放送波が地形等の影響で上記閾値以上の受信レベルで受信できない場合や、反対に、隣の放送対象地域に近いため本来受信されるべきでない放送波が受信できてしまう場合である。これらの場合は、放送コンテンツ送信装置10は、後述するステップS70からS90までの処理によって、自装置が所在している放送対象地域の識別情報を取得することになる。図6及び図8(a)の例では、送信されてきた放送局リストに含まれているチャンネル「27」、「26」、「25」、「22」、「21」、「24」、「23」、「20」、「28」によって表される第2の組み合わせが、放送対象地域A1における上記第1の組み合わせと一致するので、サーバ装置30は、放送対象地域A1を放送コンテンツ送信装置10に送信する。放送コンテンツ送信装置10は、ステップS55において放送対象地域の識別情報が送信されてきた場合、放送対象地域が取得されたと判断し(ステップS60;YES)、後述するステップS100の処理に進む。
【0029】
一方、放送コンテンツ送信装置10は、ステップS50において放送対象地域がなかった旨を示す通知が送信されてきた場合、放送対象地域が取得されなかったと判断し(ステップS60;NO)、グローバルアドレスにより放送対象地域の識別情報を取得する処理を行う。放送コンテンツ送信装置10は、多くの場合、インターネットへの接続サービスを提供しているISP(Internet Services Provider)の設備を経由してインターネットへ接続されている。その際、この設備の中で稼働しているDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバが、放送コンテンツ送信装置10そのもの又は放送コンテンツ送信装置10が接続されたルータ等の通信ノードに、そのDHCPサーバに割り振られているグローバルアドレスのいずれかを割り当てる。このDHCPサーバが複数ある場合、ISPは、ネットワークの負荷を軽減するため、その通信ノードが所在する場所の近くに設置しているDHCPサーバがその通信ノードにグローバルアドレスを割り当てるようにしている。このような仕組みにより、特定のグローバルアドレスが割り当てられる通信ノードが設置されている地域は概ね決まることになるため、グローバルアドレスから地域を特定することができるのである。具体的には、放送コンテンツ送信装置10は、通信部120にグローバルアドレスが割り当てられている場合は、この通信部120に割り当てられているグローバルアドレスを取得する。
【0030】
一方、放送コンテンツ送信装置10は、通信部120にグローバルアドレスが割り当てられていない場合は、通信部120からインターネット3に至るまでの経路上にある通信ノード(例えば自装置が接続しているルータ)のグローバルアドレスを取得する(ステップS70)。ここで取得されるグローバルアドレスは、通信部120(つまり放送コンテンツ送信装置10)が所在する地域に設置された通信ノードに割り当てられているものであれば、その通信ノードに割り当てられているものであってもよい。詳細には、例えば、通信部120からその通信ノードに至るまでに経由する他の通信ノードの数が最も少ないものである。
【0031】
続いて、放送コンテンツ送信装置10は、取得したグローバルアドレスをサーバ装置30に通知する(ステップS80)。サーバ装置30は、地域特定データベースにおいて放送コンテンツ送信装置10から通知されたグローバルアドレスに対応付けられている放送対象地域を特定し(ステップS85)、特定した放送対象地域の識別情報を放送コンテンツ送信装置10に送信する(ステップS90)。図6及び図8(b)の例では、送信されてきたグローバルアドレス「61.205.aaa.1」が放送対象地域A1に対応付けられているグローバルアドレスと一致するので、サーバ装置30は、放送対象地域A1を特定して放送コンテンツ送信装置10に送信する。放送コンテンツ送信装置10は、ステップS90においてサーバ装置30から送信されてくる放送対象地域の識別情報を取得し、その識別情報を後述するステップS180で用いる。
【0032】
次に、放送コンテンツ送信装置10は、受信可能な放送局2から送信される放送波を受信して、これらの放送波が表す放送コンテンツを記憶部150に蓄積する(ステップS100)。例えば、放送コンテンツ送信装置10は、チューナ部140が有している8つのチューナを用いて最大8つの放送局2の番組を同時に録画し続ける。つまり、放送コンテンツ送信装置10は、チューナ部140により受信される放送局2が8つ以下である場合は、全放送局2の番組を録画し、それが9つ以上である場合は、例えば、そのうちからユーザにより選択された8つの放送局2の番組を録画する。放送コンテンツ送信装置10は、録画した番組(すなわち放送コンテンツ)を記憶部150に1週間分程度蓄積し、蓄積した放送コンテンツにより記憶部150の空きがなくなると、古いものから順に削除していく。こうして、放送コンテンツ送信装置10は、過去1週間分の放送コンテンツを蓄積した状態を維持する。そして、放送コンテンツ送信装置10は、蓄積した放送コンテンツを指定するための情報(以下「番組指定情報」という。)を、例えば定期的にまたは移動通信端末からの要求に応じて、移動通信端末20に送信する(ステップS110)。ここでいう番組指定情報とは、放送コンテンツの番組名、放送局の識別情報(チャンネル)、開始時間及び終了時間等であり、例えばEPG(Electronic Program Guide)からこれらの情報を抜粋したものである。
【0033】
続いて、移動通信端末20が、放送コンテンツを要求するとともに、自身が所在している放送対象地域の識別情報を取得して放送コンテンツ送信装置10に通知する処理(図7BのステップS120からS170まで)を説明する。この処理は、まず、操作部230に対するユーザの操作に応じて、移動通信端末20が、ステップS110において送信されてきた番組指定情報を表示部240に表示させることから始まる(ステップS120)。そして、ユーザが、操作部230を用いて、視聴したい放送コンテンツの番組名を指定すると(ステップS125;YES)、ステップS130の処理に進む。移動通信端末20は、この放送コンテンツを指定する操作がされるまで(つまりステップS125がNOである間は)、ステップS125の処理を繰り返す。ステップS130において、移動通信端末20は、測位部260により自身の位置を計測する。測位部260は、上記のとおり位置の計測にGPSの技術を用いるため、例えば屋内や地下では位置の計測ができない場合がある。移動通信端末20は、ステップS130において位置が計測されたか否かを判定し(ステップS140)、計測されていない(NO)と判定した場合、計測がされるまでステップS130、S140の処理を繰り返す。ステップS140において、位置が計測された(YES)と判定した場合、移動通信端末20は、計測した位置をサーバ装置30に通知する(ステップS150)。サーバ装置30は、記憶部330に記憶している放送対象地域のうち、ステップS150において通知された位置が含まれるものを特定し、その放送対象地域の識別情報を移動通信端末20に送信する(ステップS160)。そして、移動通信端末20は、ユーザによって指定された放送コンテンツを要求するとともに、その放送コンテンツが放送されたチャンネル及びその時間(開始時間と終了時間)を上記の番組指定情報から抽出し、これらとともに、取得した放送対象地域の識別情報を放送コンテンツ送信装置10に通知する(ステップS170)。
【0034】
次に、放送コンテンツ送信装置10が移動通信端末20に対して、放送コンテンツを送信する処理又はその送信を制限する処理(図7のステップS180からS220まで)を説明する。放送コンテンツ送信装置10は、ステップS160において通知されてきた放送対象地域の識別情報と、ステップS50又はS90においてサーバ装置30から送信されてくる放送対象地域の識別情報とが一致するか否かを判断する(ステップS180)。ここで一致すると判断した場合(ステップS180;YES)、放送コンテンツ送信装置10は、ステップS100において蓄積した放送コンテンツのうち、上記要求とともに通知されてきたチャンネル及び時間において蓄積したものを、移動通信端末20に送信する(ステップS190)。移動通信端末20は、ステップS190において放送コンテンツ送信装置10から送信されてきた放送コンテンツを再生する(ステップS200)。詳細には、移動通信端末20は、放送コンテンツに含まれる映像を表示部240に表示し、放送コンテンツに含まれる音声を音声入出力部250から出力する。ステップS190及びS200における送信と再生とは、並行して同時に行われるものであり、いわゆるストリーミング方式によるものである。この場合、移動通信端末20の記憶部270には、再生する放送コンテンツは記憶されない。また、放送コンテンツ送信装置10は、ステップS180において一致しない(NO)と判断した場合、ステップS210の処理を行う。ステップS210において、放送コンテンツ送信装置10は、要求された放送コンテンツを送信できない旨を移動通信端末20に通知する。なお、上述したステップS120〜S170の処理は、通常は、放送コンテンツ送信装置10がステップS100における放送コンテンツの蓄積を始めた後に行われるものであるが、厳密には、この処理において取得した放送対象地域を放送コンテンツ送信装置10に通知する処理(ステップS170)が上記ステップS100以降に行われるのであれば、いつ行われてもよい。
【0035】
図9は、放送コンテンツ送信装置10の制御部110がプログラムを実行することで実現する機能を示すブロック図である。制御部110は、特定部111、第1の地域取得部112、アドレス取得部113、第2の地域取得部114、位置取得部115、判断部116及び送信部117として機能する。特定部111は、チューナ部140が設置された場所においてそのチューナ部140が受信可能な放送波を送信している複数の放送局の組み合わせ(上述した第2の組み合わせ)を図7AのステップS30において特定する。特定部111は、特定した第2の組み合わせを第1の地域取得部112に供給する。第1の地域取得部112は、供給された第2の組み合わせに基づき、放送コンテンツ送信装置10が設置されている放送対象地域の識別情報を取得する。詳細には、第1の地域取得部112は、第2の組み合わせを表す放送局リストを作成してサーバ装置30にステップS40において通知する。また、第1の地域取得部112は、放送対象地域と第2の組み合わせとを対応付けて記憶しているサーバ装置30の記憶手段(記憶部330)から、特定部111によって特定された第2の組み合わせと一致する第1の組み合わせに対応付けられている放送対象地域の識別情報を、ステップS50において取得する。
【0036】
第1の地域取得部112は、取得した放送対象地域の識別情報を判断部116に供給する。また、第1の地域取得部112は、サーバ装置30から放送対象地域の識別情報を送信できない旨を示す通知がステップS50において送信された場合、その旨をアドレス取得部113に供給する。アドレス取得部113は、第1の地域取得部112から上記の放送対象地域の識別情報を送信できない旨を供給された場合に、ステップS60で述べた判断(この場合NOという判断)を行い、ステップS70で述べた処理を行ってグローバルアドレスを取得する。アドレス取得部113は、取得したグローバルアドレスを第2の地域取得部114に供給する。第2の地域取得部114は、供給されたグローバルアドレスをステップS80で述べた処理を行ってサーバ装置30に通知する。また、第2の地域取得部114は、グローバルアドレスと放送対象地域とを対応付けて記憶しているサーバ装置30の記憶手段(記憶部330)から、アドレス取得部113によって取得されたグローバルアドレスと同じグローバルアドレスに対応付けられている放送対象地域の識別情報をステップS90において取得する。第2の地域取得部114は、取得した放送対象地域の識別情報を判断部116に供給する。
【0037】
位置取得部115は、図7AのステップS170において移動通信端末20から送信されてくる位置情報を取得して、判断部116に供給する。判断部116は、第1の地域取得部112から放送対象地域が供給された場合、位置取得部115から供給された位置情報が表す位置が、その放送対象地域に属するか否かを判断する。本実施形態では、この位置情報は、移動通信端末20が所在している放送対象地域のことであり、判断部116は、この放送対象地域が第1の地域取得部112から供給された放送対象地域と一致するか否かによって、上記のとおり「属する」か「否」かを判断する。また、判断部116は、第1の地域取得部112により放送対象地域が取得されなかった場合、すなわち、第2の地域取得部114から放送対象地域の識別情報が供給された場合、この放送対象地域の識別情報を用いて、第1の地域取得部112から放送対象地域の識別情報が供給された場合と同様の処理を行う。判断部116は、判断した結果を送信部117に供給する。送信部117は、「属する」という結果を供給された場合、図7BのステップS190において、記憶部150に記憶されている放送コンテンツを移動通信端末20に送信し、「否」という結果を供給された場合、移動通信端末20への放送コンテンツの送信を制限する。後者の場合、詳細には、送信部117は、ステップS210において、放送コンテンツを送信しない旨を移動通信端末20に通知する。
【0038】
図10は、移動通信端末20の制御部210がプログラムを実行することで実現する機能を示すブロック図である。制御部210は、生成部211、位置通知部212及び再生部213として機能する。生成部211は、測位部260から供給された位置を用いて、自端末の位置を表す位置情報を生成する。詳細には、生成部211は、まず、図7BのステップS130において、測位部260に位置を計測させ、ステップS140において位置が計測されたと判断したら、計測された位置をステップS150においてサーバ装置30に通知する。そして、生成部211は、サーバ装置30からこの位置に対応付けられた放送対象地域がステップS160において送信されてきたら、この放送対象地域を表す情報を位置情報として生成する。測位部260及び生成部211は、上記のとおり協働して、位置情報を生成する手段として機能する。生成部211は、生成した位置情報を位置通知部212に供給する。位置通知部212は、供給された位置情報を、ステップS170において放送コンテンツ送信装置10に通知する。再生部213は、放送コンテンツ送信装置10の送信部117により送信されてくる放送コンテンツをステップS200において再生する。詳細には、再生部213は、その放送コンテンツが表す映像を表示部240に表示させ、音声を音声入出力部250に出力させることで、放送コンテンツをユーザが視聴できるように再生する。
【0039】
図11は、サーバ装置30の制御部310がプログラムを実行することで実現する機能を示すブロック図である。制御部310は、地域調査部311、地域特定部312及び地域送信部313として機能する。地域調査部311は、放送コンテンツ送信装置10から通知された放送局リストを用いて、これに対応付けて記憶している放送対象地域があるか否かを図7AのステップS45において調査する。地域調査部311は、ステップS50の説明で述べた調査の結果を地域送信部313に供給する。地域特定部312は、放送コンテンツ送信装置10から通知されたグローバルアドレス又は移動通信端末20から通知された位置情報を用いて、これらに対応付けて記憶している放送対象地域を、それぞれステップS85及び図7BのステップS155において特定する。地域特定部312は、特定した放送対象地域の識別情報を地域送信部312に供給する。地域送信部313は、地域調査部311から供給された結果を上述した通知元である放送コンテンツ送信装置10に対してステップS50において送信する。また、地域送信部313は、地域特定部312から供給された放送対象地域の識別情報を、上述した通知元である放送コンテンツ送信装置10又は移動通信端末20に対して、それぞれステップS90及びステップS160において送信する。
【0040】
以上の実施形態によれば、ある放送対象地域で受信された放送波により表される放送コンテンツをその放送対象地域外にある送信先に送信する場合に、その送信を制限することができる。また、その場合に、放送コンテンツ送信装置10に対して、自装置が所在している放送対象地域を設定するためのユーザの手間を省くことができる。また、放送コンテンツ送信装置10は、放送コンテンツを受信するために用いるチューナ部140を利用して放送対象地域の識別情報を取得するため、この放送対象地域の識別情報を取得するためだけにチューナ部140以外の装置等を備えておく必要がない。また、放送コンテンツ送信装置10は、本来受信できない放送波(例えば隣の放送対象地域向けに送信された放送波)を受信した場合に、受信強度が閾値未満であれば、その放送波を送信している放送局2を含めない放送局リストを作成する。このため、放送コンテンツ送信装置10では、受信強度に関係なく放送波を受信した放送局を全て含む放送局リストを作成する場合に比べて、より正確な放送局リストを作成することができ、その結果、取得する放送対象地域の精度をより高くすることができる。また、放送コンテンツ送信装置10は、何らかの事情で本来受信すべき放送波の受信強度が低く、正確な放送局リストができなかった場合であっても、グローバルアドレスから放送対象地域の識別情報を取得することができる。これにより、放送コンテンツ送信装置10は、放送波の受信状態の悪い場所に設置された場合でも、放送対象地域の識別情報を取得することができる。
【0041】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、次のように種々の変形が可能であり、また、以下の各変形例は必要に応じて組み合わせることも可能である。
【0042】
(変形例1)
移動通信端末20の制御部210は、ステップS120からS200までの処理を継続的に行っている場合に、普段は放送コンテンツ送信装置10と互いに所在している放送対象地域が一致するのであるが、ユーザの出張等でその放送対象地域外に移動したために一致しないときがある。そのときに、制御部210は、普段通知している放送対象地域を、定められた期間内であれば、継続して通知するようにしてもよい。
【0043】
詳細には、制御部210は、時刻を計測する機能を有し、例えば図7BのステップS190において放送コンテンツを送信されてきたときから経過する時間を計測する。そして、制御部210は、ステップS170において放送対象地域を通知する際、その放送対象地域が前回通知した放送対象地域と異なっており、かつ、計測した時間が予め定められた時間未満である場合、前回通知した放送対象地域を再び通知する。これは、普段その放送対象地域で活動しているユーザは、定められた期間であれば、その放送対象地域で放送される放送コンテンツをその放送対象地域外でも視聴してもよいとする考え方によるものである。この場合、制御部110の送信部117は、移動通信端末20に対し放送コンテンツの送信を開始した後、制御部110の判断部116により位置情報が表す位置が放送対象地域に属しないと判断された場合であっても、判断部116により位置情報が表す位置が放送対象地域に属すると判断された最も後の時点から定められた期間が経過する前であれば、放送コンテンツの送信を制限しないことになる。本変形例によれば、ある放送対象地域で放送される番組を普段視聴しているユーザに対して、その放送対象地域外であっても、上記の予め定められた時間を長さとする期間の間は、普段視聴している番組を視聴させることができる。
【0044】
(変形例2)
上述した変形例1では、移動通信端末20の制御部210が通知する放送対象地域を実施形態の場合とは変えたが、これを変えずに、放送コンテンツ送信装置10の制御部110が行う処理を変えてもよい。具体的には、制御部110は、ステップS180において放送対象地域が一致しない場合であっても、前回放送対象地域が一致したときから経過した時間が閾値未満であれば、放送コンテンツを送信する。
【0045】
図12は、本変形例に係る通信システム1の動作を示すシーケンスチャートである。本変形例に係る放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、ステップS180までは図7A、図7Bに示したものと共通する処理を行うため、図12では、それ以降の処理を示す。制御部110は、ステップS180において、放送対象地域が一致しない(NO)と判断した場合、前回放送対象地域が一致したときから経過した時間が閾値未満であるか否かを判断する(ステップS310)。ここで閾値未満であると判断した場合(ステップS310;YES)、制御部110は、要求された放送コンテンツを移動通信端末20に送信し(ステップS320)、移動通信端末20の制御部210は、送信された放送コンテンツを再生する(ステップS330)。また、ステップS310において、閾値以上(NO)であると判断した場合、制御部110は、現在放送コンテンツを送信中であるか否かを判断する(ステップS340)。送信中であると判断した場合(ステップS340;YES)、制御部110は、その放送コンテンツの送信を停止する(ステップS350)。一方、送信中ではないと判断した場合(ステップS340;NO)、制御部110は、そのまま処理を終了する。本変形例においても、制御部110の送信部117は、変形例1で述べたのと同様の動作をすることになる。本変形例によれば、変形例1と同様に、ある放送対象地域で放送される番組を普段視聴しているユーザに対して、その放送対象地域外であっても、定められた期間の間は、普段視聴している番組を視聴させることができる。
【0046】
(変形例3)
上述した変形例1及び2において、定められた期間としたものを、放送コンテンツ送信装置10の制御部110及び移動通信端末20の制御部210がそれぞれ取得した放送対象地域同士の関係に応じてその長さを変化させてもよい。これは、同じ放送対象地域外であっても、日帰りも可能な場所である場合と移動を含めて数日間は要する場所である場合とで、そのユーザが放送対象地域外にいる期間が異なることが想定されることから、その想定される期間の長さに応じて上記期間を変化させるという考え方によるものである。
【0047】
例えば、制御部110又は制御部210は、これらの放送対象地域が含まれる地域(例えば関東、東北など)が同じ場合と違う場合とで期間を異ならせてもよいし、上記放送対象地域同士の距離が長くなるほど期間を長くしてもよい。また、制御部110又は制御部210は、移動通信端末20が海外にある場合は、前述のように変化させる期間にさらに定められた期間を加えてもよい。また、制御部110又は制御部210は、放送対象地域同士の距離に関わらず、この期間の上限を定めてもよいし、例えば海外の場合は放送コンテンツを送信しない(つまり期間を0とする)ようにしてもよい。いずれの場合も、制御部110の送信部117は、上述の定められた期間として、判断部116により位置情報が表す位置が放送対象地域に属しないと判断された場合におけるその放送対象地域とその位置情報が表す位置との位置関係に応じた長さの期間を用いることになる。この期間の長さは、ここでいう位置関係に応じて、ある放送対象地域を活動の場とするユーザ以外の者が、恒常的にその放送対象地域における放送コンテンツを視聴することがないように定められることが望ましい。本変形例によれば、上述した変形例1、2の場合における一定期間の長さを、このユーザにとって必要とされる長さ(具体的には、放送対象地域外にいると推定される期間の長さ)としたり、放送局2側の事情に合わせた長さにすることができる。
【0048】
(変形例4)
放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、上述した実施形態では、移動通信端末20の制御部210から放送コンテンツの送信を要求されたときに1回だけ放送対象地域が一致するか否かを判断したが、その放送コンテンツを送信している間にも、定期的に放送対象地域が一致するか否かを判断するようにしてもよい。この場合、制御部110、制御部210及びサーバ装置30の制御部310は、ステップS200において制御部210が放送コンテンツの再生を開始した後、この再生が継続されている状態で、ステップS120以降の各処理を行う。
【0049】
詳細には、制御部110の送信部117により放送コンテンツの送信が開始された後において、制御部210が位置情報を放送コンテンツ送信装置10に対して繰り返し通知し、制御部110の位置取得部115が移動通信端末20から位置情報を繰り返し取得する。制御部110の判断部116は、制御部210により放送対象地域が定期的に通知されると、両者の放送対象地域が一致するか否かをその通知がされる度に判断する。送信部117は、移動通信端末20に対し放送コンテンツの送信を開始した後、判断部116により、位置情報が表す位置が放送対象地域に属しないと判断されると、開始していた放送コンテンツの送信を制限する。本変形例によれば、移動通信端末20により放送コンテンツを視聴しているユーザが、その放送コンテンツを視聴しながら放送対象地域外に移動した場合に、放送コンテンツの送信を停止することができる。また、別の言い方をすれば、ある移動通信端末20の制御部210が取得した放送対象地域を制御部110が取得した放送対象地域と一度一致させて、その移動通信端末20を放送対象地域外に移動させることで、視聴場所がその放送対象地域に限定されている放送コンテンツをその放送対象地域外で恒常的に視聴し続けるという行為を、防止することができる。
【0050】
(変形例5)
移動通信端末20の制御部210は、上述した実施形態では、放送対象地域を放送コンテンツ送信装置10の制御部110に通知したが、ステップS120において計測した位置をそのまま通知してもよい。この場合、制御部110は、図7に示すステップS180の処理を次のように行う。すなわち、制御部110は、制御部210から通知された位置が、ステップS50又はS90においてサーバ装置30から送信された識別情報が表す放送対象地域に含まれているか否かを判断する。このように、通信システム1においては、移動通信端末20の制御部210が、自端末の位置を表す位置情報を放送コンテンツ送信装置10の制御部110に通知し、制御部110が、制御部310から送信された放送対象地域にその位置情報が表す位置が属するか否かを判断すればよい。本変形例においては、移動通信端末20が備える測位部260が位置情報を取得する位置取得手段として機能する。本変形例によれば、ステップS150、S155及びS160の処理を行う必要がなく、制御部210が放送対象地域の識別情報を取得する場合に比べて、制御部210及び制御部310の処理の負担を軽くすることができる。また、これらの処理を行う時間もなくなるので、ステップS125において放送コンテンツを要求する操作がユーザにより行われてから、ステップS200において放送コンテンツの再生が始まるまでに要する時間を短くすることができる。
【0051】
(変形例6)
放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、上述した変形例5では、移動通信端末20から通知された位置がサーバ装置30から送信された識別情報が表す放送対象地域に含まれている場合に、その位置がその放送対象地域に属していると判断したが、例えば、放送対象地域の境界から特定の距離以内に所在する場合には、放送対象地域外であってもその移動通信端末20の位置が放送対象地域に属しているものと判断してもよい。言い換えれば、制御部110は、放送対象地域に応じて定められるもう1つの地域に基づいて、上記のとおり「属する」か「否」かの判断をするということである。ここでいうもう1つの地域は、放送コンテンツを送信が許可される地域(以下「送信許可地域」という。)であり、放送コンテンツを提供する各放送局2の要望に応じて予め定められていればよい。この場合、放送コンテンツ送信装置10の記憶部150は、各放送対象地域と、それらの放送対象地域に応じて予め定められたもう送信許可地域を表す情報(例えば、その送信許可地域の北西端及び南東端の緯度と経度)とを対応付けて記憶しておく。そして、制御部110は、移動通信端末20から通知された位置が、サーバ装置30から送信された識別情報が表す放送対象地域に対応付けて記憶部150に記憶されている送信許可地域に含まれる場合に、その位置がその放送対象地域に属しているものと判断する。なお、通信システム1においては、この送信許可地域として、放送対象地域とは異なる地域、例えば、公海又は外国のいずれかの地域などが定められていてもよい。本変形例によれば、放送対象地域に厳密に縛られることなく、放送コンテンツの送信を許可したい地域を定めることができる。
【0052】
(変形例7)
各放送対象地域の放送局リストは、上述した実施形態では、サーバ装置30の記憶部330により記憶されていたが、放送コンテンツ送信装置10の記憶部150により記憶されていてもよい。この場合、放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、ステップS40においてサーバ装置30の制御部310に放送局リストを通知する代わりに、記憶部150を参照して、この放送局リストに対応付けられている放送対象地域の識別情報を取得する。本変形例によれば、ステップS40及びS50の処理、すなわちネットワークを介したデータのやり取りを行う必要がなく、放送局リストをサーバ装置30が記憶している場合に比べて、ネットワークの負荷を軽くすることができる。なお、以上のことは、制御部110を移動通信端末20の制御部210としても同様である。この場合、ステップS150、S160におけるネットワークを介したデータのやり取りが不要となる。
【0053】
(変形例8)
各放送対象地域の表し方は、上述した本実施形態のように北西端及び南東端の緯度と経度で表す方法に限らない。例えば、図6に示した地域特定データベースに格納されている「緯度と経度」を、例えばその地域の境界における緯度と経度の集合や、放送対象地域を複数の矩形状の地域に分割し、それらの矩形状の地域の北西端及び南東端の緯度と経度の集合などで示すようにしてもよい。この場合、サーバ装置30の制御部310は、移動通信端末20の制御部210から通知された位置を表す緯度及び経度が、これらの集合で表される放送対象地域に含まれる場合に、その放送対象地域を制御部210に送信する。
【0054】
(変形例9)
測位部260は、上述した実施形態では、GPSの技術を用いて移動通信端末20の位置を計測したが、これに限らず、他の技術を用いて位置を計測してもよい。例えば、測位部260が行う測位の方式は、移動通信網4の基地局5の位置情報に基づいて位置を計測する、いわゆる基地局測位方式であってもよい。
【0055】
(変形例10)
チューナ部140は、上述した実施形態では、8つのチューナを有していたが、これに限らず、いくつのチューナを有していてもよい。チューナ部140は、少なくとも1つのチューナを有していればよく、望ましくは、その数が多いほどよい。放送コンテンツ送信装置10では、チューナ部140が有するチューナが多いほど、ステップS30において放送波を受信可能な放送局2を判別する際に同時に判別できる放送局2の数が増えることになり、この判別に要する時間を短くすることができる。また、チューナ部140が有するチューナが多いほど、放送コンテンツ送信装置10の記憶部150に蓄積できる放送コンテンツの種類が増えることになり、ユーザが視聴可能な放送コンテンツの選択肢を増やすことができる。
【0056】
(変形例11)
放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、上述した実施形態では、放送コンテンツを記憶部150に蓄積させたが、ここに蓄積させず、チューナ部140が受信した放送波が表す放送コンテンツをそのままリアルタイムで移動通信端末20の制御部210に送信してもよい。この場合、制御部210は、ステップS170において、要求する放送コンテンツを提供している放送局2を表す情報(例えばチャンネル)を、その要求とともに通知する。制御部110は、この要求を受けると、ともに通知された情報が表す放送局2の放送波に基づきチューナ部140から現在出力されてきている放送コンテンツを、記憶部150に記憶させずに通信部120を介して制御部210に直接送信する。つまり、この放送コンテンツは、ステップS170において要求がされて以降に放送されたものである。本変形例によれば、ユーザは、現在放送されている番組を視聴することができる。
【0057】
(変形例12)
サーバ装置30の制御部310は、記憶部330に記憶している地域特定データベースに含められている情報を、放送コンテンツ送信装置10の制御部110から通知されてくる放送局リスト及びグローバルアドレスによって更新するようにしてもよい。例えば、放送コンテンツ送信装置10が設置されている場所によっては、その場所が含まれる放送対象地域では受信されるべきでない放送波が受信されることがある。その場合、通知される放送局リストは、定められた放送対象地域と対応付けられた放送局リストとは一致しないことになる。この場合、制御部310には、制御部110からさらにグローバルアドレスが通知される(図7のステップS80)。このときに、制御部310は、そのグローバルアドレスに対応付けられている放送対象地域を、一致しなかった放送局リストに対応付けて地域特定データベースに含めるようにして、記憶部330に記憶させるのである。こうすることにより、この放送コンテンツ送信装置10が設置されている場所の近隣で同じ受信状態にある場所であれば、そこに設置された放送コンテンツ送信装置10の制御部110から通知される放送局リストによって放送対象地域の識別情報を取得することができるようになる。
【0058】
また、制御部310は、反対に、放送局リストを用いて、グローバルアドレスを更新してもよい。例えば、制御部110は、放送局リストによって放送対象地域が取得されるか否かに関わらず、グローバルアドレスを取得して制御部310に通知するようにする。そして、制御部310は、放送局リストに対応付けられた放送対象地域に対して、その放送局リストを通知してきた制御部110から通知されたグローバルアドレスを、その放送対象地域に対応付けて地域特定データベースに含めるようにして、記憶部330に記憶させるのである。その際、地域特定データベースにそのグローバルアドレスが既に含められていなければ、新たにそれを含め、既に含められていれば、上書き又は二重に含めるようにしてもよい。また、1つ又は複数の制御部110から同じ放送対象地域に同じグローバルアドレスが繰り返し通知されてきた場合、定められた回数までは上書きせず、その回数以上になったときに、その対応付けが正しいと判断して上書きするようにしてもよい。本変形例によれば、放送対象地域の境目に近い地域でその放送対象地域で受信されるべきもの以外の放送波も受信される地域において、取得される放送対象地域の精度を向上させることができるようになる。
【0059】
(変形例13)
通信システム1においては、上述した実施形態では、チューナ部140が受信可能な放送波を送信している放送局2及び放送対象地域に対して放送を行うことが決められている放送局2はいずれも複数であったが、通信システム1は、これが1つの放送局2であることを除外するものではない。いずれの放送局2も1つである場合であっても、サーバ装置30の制御部310は、地域特定データベースにおいて、放送コンテンツ送信装置10から通知された放送局リストと含まれている放送局2が一致する放送局リストがあるか否かを調べて、これがあった場合には、その放送局リストに対応付けて記憶している放送対象地域を特定することができる。
【0060】
(変形例14)
放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、上述した実施形態では、第1の組み合わせと第2の組み合わせとが一致した場合に放送対象地域を特定したが、このような完全な一致に限らず、これらの類似度が閾値以上である場合には、これらが一致しているものとして放送対象地域を特定してもよい。例えば、制御部110は、第1の組み合わせに含まれているチャンネルのうち、第2の組み合わせに含まれているチャンネルと一致するものの割合を、これらの組み合わせが類似する度合いを表す指標(類似度という。)として求める。そして、制御部110は、この類似度が閾値以上である場合に、これらの組み合わせが一致しているものとして、この第1の組み合わせに対応付けられている放送対象地域の識別情報を取得する。例えば、第1の組み合わせに含まれているチャンネルの数「8」とし、第2の組み合わせに含まれているチャンネルの数「8」とし、閾値を75%とした場合、6つの放送局が一致すればよい、といった具合である。ここでいう類似度は、上述したもの以外にも、例えば、第2の組み合わせに含まれているチャンネルのうちの第1の組み合わせに含まれているチャンネルと一致するものの割合であってもよく、要するに、両組み合わせの類似している度合いを表すものであればよい。本変形例によれば、本来その地域で受信されるべき放送波が地形等の影響で受信できない地域においても、放送対象地域を特定しやすくすることができる。
【0061】
(変形例15)
放送コンテンツ送信装置10の制御部110は、上述した実施形態では、図7BのステップS180において放送対象地域が一致しない場合に、要求された放送コンテンツを一切移動通信端末20に送信しないようになっていたが、送信の制限としてこれ以外の処理を行ってもよい。例えば、制御部110は、移動通信端末20に送信する放送コンテンツを音声だけにしてもよいし、反対に映像だけにしてもよい。また、制御部110は、送信する放送コンテンツの映像の解像度を下げる処理を施してから送信してもよいし、その映像に何らかの画像を重ねる処理を施してから送信してもよい。また、上述した変形例1ないし3のように、制御部110は、定められた期間だけ放送コンテンツの送信を継続させてもよい。要するに、制御部110は、ステップS180においてNOと判断された場合には、移動通信端末20への放送コンテンツの送信を、ステップS190における放送コンテンツの送信に比べて何らかの形で制限するものであればよい。
【0062】
(変形例16)
本発明は、送信装置(放送コンテンツ送信装置10がその一例。)、再生端末(移動通信端末20がその一例。)、サーバ装置又はこれらを含む通信システムのみならず、これらを実現するための方法や、コンピュータに図9、図10、図11に示した機能を実現させるためのプログラムとしても把握されるものである。かかるプログラムは、これを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態でも提供されたりすることができるものである。
【符号の説明】
【0063】
1…通信システム、2…放送局、3…インターネット、4…移動通信網、5…基地局、10…放送コンテンツ送信装置、20…移動通信端末、30…サーバ装置、110、210、310…制御部、120、220、320…通信部、130、230…操作部、140…チューナ部、150、270、330…記憶部、160…出力部、240…表示部、250…音声入出力部、260…測位部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から送信される放送波を受信する受信手段と、
前記受信手段が設置された場所において当該受信手段が受信可能な前記放送波を送信している1又は複数の放送局の組み合わせを特定する特定手段と、
予め区分された複数の放送対象地域と、各々の当該放送対象地域に対して放送を行うことが決められている1又は複数の放送局の組み合わせとを対応付けて記憶している記憶手段から、前記特定手段によって特定された前記放送局の組み合わせとの類似度が閾値以上である組み合わせに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第1の地域取得手段と、
前記放送波によって表されるコンテンツを再生する再生端末から、当該再生端末の位置を表す位置情報を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が、前記第1の地域取得手段により取得された放送対象地域に属するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記位置が前記放送対象地域に属すると判断された場合には、前記受信手段によって受信された放送波によって表されるコンテンツを前記再生端末に送信し、前記位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合には、前記再生端末への前記コンテンツの送信を制限する送信手段と
を備えることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
インターネットに接続する接続手段と、
前記接続手段に割り当てられているグローバルアドレス、又は、前記接続手段から前記インターネットに至るまでの経路上にある通信ノードに割り当てられているグローバルアドレスを取得するアドレス取得手段と、
複数のグローバルアドレスと、各々の当該グローバルアドレスが割り当てられた通信ノードが設置されている放送対象地域とを対応付けて記憶している記憶手段から、前記アドレス取得手段によって取得されたグローバルアドレスと同じグローバルアドレスに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第2の地域取得手段と、
前記判断手段は、前記第1の地域取得手段によって前記放送対象地域が取得されなかった場合には、前記第2の地域取得手段により取得された前記放送対象地域に、前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が属するか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記位置取得手段は、前記送信手段により前記コンテンツの送信が開始された後において、前記再生端末から前記位置情報を繰り返し取得し、
前記送信手段は、前記再生端末に対し前記コンテンツの送信を開始した後、前記判断手段により、前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断されると、開始していた前記コンテンツの送信を制限する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記再生端末に対し前記コンテンツの送信を開始した後、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合であっても、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属すると判断された最も後の時点から定められた期間が経過する前であれば、前記コンテンツの送信を制限しない
ことを特徴とする請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記定められた期間として、前記判断手段により前記位置情報が表す位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合における当該放送対象地域と当該位置情報が表す位置との位置関係に応じた長さの期間を用いる
ことを特徴とする請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記受信手段による放送波の受信強度が閾値以上である場合に、当該放送波を放送する1又は複数の放送局の組み合わせを特定する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の送信装置と、
自端末の位置を表す位置情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された位置情報を前記送信装置に通知する位置通知手段と、前記送信装置から送信されてくるコンテンツを再生する再生手段とを備える再生端末と
を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
放送局から送信される放送波を受信する受信手段を備えたコンピュータを、
前記受信手段が受信可能な前記放送波を送信している1又は複数の放送局の組み合わせを特定する特定手段と、
予め区分された複数の放送対象地域と、各々の当該放送対象地域に対して放送を行うことが決められている1又は複数の放送局の組み合わせとを対応付けて記憶している記憶手段から、前記特定手段によって特定された前記放送局の組み合わせとの類似度が閾値以上である組み合わせに対応付けられている前記放送対象地域を取得する第1の地域取得手段と、
前記放送波によって表されるコンテンツを再生する再生端末から、当該再生端末の位置を表す位置情報を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段によって取得された位置情報が表す位置が、前記第1の地域取得手段により取得された放送対象地域に属するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記位置が前記放送対象地域に属すると判断された場合には、前記受信手段によって受信された放送波によって表されるコンテンツを前記再生端末に送信し、前記位置が前記放送対象地域に属しないと判断された場合には、前記再生端末への前記コンテンツの送信を制限する送信手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−21472(P2013−21472A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152634(P2011−152634)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】