説明

送受信装置、錠制御装置、及びプログラム

【課題】利便性と電流消費の少ない電子キーシステムの構築がむずかしいという課題があった。
【解決手段】電子キー20Aは、所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段2と、第一の送信手段2で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段3とを有し、第一の送信手段2は第一の受信手段3で受信する応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する所定の周期の時間間隔を変更する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの施錠、開錠を無線通信を用いた電子照合で行う、送受信装置、錠制御装置、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ピッキングや錠のこじ開けなどのセキュリティ対策として鍵穴を有しない電子錠システムが普及してきている。さらに進んで電子キーと呼ばれる識別コードを送信する送信機を所有する人がドアに近づくだけでドアの開錠電子錠システムが普及してきている。
【0003】
このような電子錠システムにおいて、電子キーを所有する人がドアの近くにいるのかを識別し、ドアの開錠、施錠を制御することがセキュリティを高める上で重要である。この点を考慮した先行技術としては特許文献1に開示された技術があり、以下にその概略を説明する。
【0004】
図3には、従来の形態に係る住宅用ドア自動開閉システム150の概略構成が示されている。この図に示されるように、住宅用ドア16には、屋外側に露出する屋外アンテナ部152と、屋内側に露出する屋内アンテナ部154とが配設されている。屋外アンテナ部152の内部には、図示しないが、送信回路及び送信アンテナ並びに受信回路及び受信アンテナが配設されている。同様に、屋内アンテナ部154の内部には、図示しないが、送信回路及び送信アンテナ並びに受信回路及び受信アンテナが配設されている。
【0005】
これらの屋外アンテナ部152及び屋内アンテナ部154は電子キー制御部14と接続されており、電子キー制御部14が作動している間、常時、電子キー156に対して固有の識別情報の発信を要求するリクエスト情報(信号)が、送信アンテナから間欠的に発信されるようになっている。
【0006】
なお、図3の二点鎖線A1は屋外アンテナ部152の送信アンテナから発信されたリクエスト情報の到達領域(到達圏)を表しており、二点鎖線A2は屋内アンテナ部154の送信アンテナから発信されたリクエスト情報の到達領域(到達圏)を表している。
【0007】
一方、電子キー156には、キーアンテナ部158が設けられている。キーアンテナ部158の内部には、図示しないが、送信回路及び送信アンテナ並びに受信回路及び受信アンテナが配設されている。電子キー156では、受信アンテナによってリクエスト情報が受信されると、送信アンテナから固有の識別情報が発信されるようになっている。
【0008】
上記構成の住宅用ドア自動開閉システム150によれば、電子キー制御部14が作動している間、常時、屋外アンテナ部152の送信アンテナ並びに屋内アンテナ部154の送信アンテナから各々リクエスト情報が間欠的に発信されているため、電子キー156の使用者が玄関ドア16に近づき、リクエスト情報の到達領域(到達圏)A1内に入ると、当該電子キー156のキーアンテナ部158の受信アンテナによって受信される。
【0009】
このため、電子キー156の送信アンテナから固有の識別情報が発信され、屋外アンテナ部152の受信アンテナによって受信される。固有の識別情報が受信されると、電子キー制御部14によって当該固有の識別情報と予め記憶された登録情報とが照合される。
【0010】
その結果、認証された場合には、ドア開放制御部26によって電動サムターン18のロックが解除(解錠)され、続いてラッチ部20のラッチが解除される。これにより、玄関
ドア16は開放可能な状態となる。そこで、次にドア開放機構部24が作動され、玄関ドア16が所定開度開放される。なお、玄関ドア16が開放動作を行うのに伴ってドアクローザ22に閉止方向への付勢力が蓄積される。
【0011】
上記の玄関ドア16の開放状態は、電子キー制御部14によって識別情報と登録情報との一致が認証されている間、即ちリクエスト情報の到達領域A1及びA2内において電子キー156と電子キー制御部14との間で行われる双方向通信により識別情報と登録情報との一致が認証されている間、維持される。
【0012】
従って、使用者はその間にスムーズに玄関ドア16の内側に入ることができる。そして、使用者が玄関ドア16の内側に入ってリクエスト情報の到達領域A2から出ていくと、屋内アンテナ部154の送信アンテナから発信されたリクエスト情報が電子キー156のキーアンテナ部158の受信アンテナに受信されなくなり(届かなくなり)、その結果として電子キー156の送信機から固有の識別情報も発信されなくなるので、その時点でドア開放制御部26によってドア開放機構部24による玄関ドア16の開放状態が解除され、ドアクローザ22に蓄積された付勢力によって玄関ドア16は閉止される。そして、玄関ドア16が閉止されたら、電動サムターン18が再び施錠状態とされる。
【特許文献1】特開2003−74256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の構成では、ドア側に設けられたアンテナからリクエスト情報が間欠的に発信されている。そして上記リクエスト情報を電子キーが受信すると電子キーより固有の識別情報を発信することにより施錠開錠制御を行っている。ここで電子キーはドアから離れている場合、前記リクエスト情報を受信できないため、リクエスト情報の発信にあわせて間欠受信を行うことは不可能である。そのため電子キーは間欠的に発信される電波を受信できるようにするため常時受信回路に電源をONしておく必要があった。電子キーは携帯端末であるため、電池駆動が必須であり電池がすぐになくなるという課題があった。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電子キーの電池寿命を伸ばす事の送受信装置、錠制御装置、及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段と、前記第一の送信手段で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段とを有し、前記第一の送信手段は前記第一の受信手段で受信する前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する前記所定の周期の時間間隔を変更する構成であり、前記錠制御手段は前記受信手段で受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて施錠或いは開錠の制御を行う構成である。
【0016】
これによって、例えば、電子キーを所有している人がドアから離れている時は電子キーの間欠受信周期を長くし、ドアに近づくにしたがって間欠受信周期を短くできる。そのため、利便性を損なうことなく電池寿命を伸ばすことができることとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の送受信装置、錠制御装置、及びプログラムを用いることにより、利便性と電池寿命の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段と、前記第一の送信手段で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段とを有し、前記第一の送信手段は前記第一の受信手段で受信する前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する前記所定の周期の時間間隔を変更する構成としたことにより、ドアと電子キーが離れている場合には電子キーからの定期的な送信の周期を長くし、電子キーがドアに近づくと送信周期を短くできる送受信装置を提供できる。
【0019】
第2の発明は、所定の周期で間欠的に受信動作を所定時間行う第二の受信手段と、前記第二の受信手段で受信した電波に対する応答電波を送信する第二の送信手段とを有し、前記第二の受信手段は受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて受信動作を間欠的に行う前記所定の周期の時間間隔を変更する構成としたことにより、ドアと電子キーが離れている場合には電子キーの間欠受信周期周期を長くし、電子キーがドアに近づくと間欠受信周期を短くできる送受信装置を提供できる。
【0020】
第3の発明は、所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段と、前記第一の送信手段で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段と、ドアの施錠或いは開錠を行う錠制御手段とを有し、前記第一の送信手段は前記第一の受信手段で受信する前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する前記所定の周期の時間間隔を変更する構成であり、前記錠制御手段は前記第一の受信手段で受信した前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて施錠/開錠の制御を行う構成としたことにより、ドア側の送受信装置の電流消費を抑えることができ、ドア側を電池駆動可能とする錠制御装置を提供できる。
【0021】
第4の発明は、所定の周期で間欠的に受信動作を所定時間行う第二の受信手段と、前記第二の受信手段で受信した電波に対する応答電波を送信する第二の送信手段と、ドアの施錠或いは開錠を行う錠制御手段とを有し、前記第二の受信手段は受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて受信動作を間欠的に行う前記所定の周期の時間間隔を変更する構成であり、前記錠制御手段は前記第二の受信手段で受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて施錠/開錠の制御を行う構成としたことにより、ドア側の送受信装置の電流消費を抑えることができ、ドア側を電池駆動可能とする錠制御装置を提供できる。
【0022】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの送受信装置或いは錠制御装置の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムとする。そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させて本発明の少なくとも一部を簡単なハードウェアで実現できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における送受信装置を用いた錠制御装置と錠制御システムのブロック図を示すものである。
【0025】
図1において、1は第一のアンテナ、2は第一の送信手段、3は第一の受信手段、4は第一の受信解読手段、5は第一の間欠周期制御手段である。そして1から5で構成される第一の送受信装置が電子キー20A(錠制御携帯端末)である。
【0026】
6は第二のアンテナ、7は第二の送信手段、8は第二の受信手段、9は第二の受信解読手段、10は第二の間欠周期制御手段、11は錠制御手段、12はアクチュエータ、13は錠である。6から10で構成される第二の送受信装置と11の錠制御手段で錠制御装置21Aを構成している。錠制御システムは第一の送受信装置である電子キー20Aと錠制御装置21Aから構成されるシステムである。アクチュエータ12及び錠13は玄関ドアや自動車のドアに取り付けられている。
【0027】
以下、第一の送受信装置である電子キー20Aの動作について説明する。
【0028】
第一の送信手段2からは定期的に電波が送信される。送信間隔は例えば10秒である。10秒ごとに送信元を示す識別符号(以下IDと呼ぶ)を含む信号を数百ミリ秒程度の短時間送信する。前記IDを含む信号を送信した後しばらくの間第一の受信手段3の電源をONし、受信状態を保持する。第一の受信手段3で前記IDを含む送信信号に対する応答信号を所定時間待って受信しなかった場合は、第一の受信手段3の電源をOFFしスリープモードに移行する。スリープモードでは前記IDを含む信号を定期的に送信するために、第一の間欠周期制御手段5のみが動作している。
【0029】
さて、第一の受信手段3で前記IDを含む送信信号に対する応答信号を受信した場合、第一の受信解読手段4で受信レベルや受信内容を解読する。第一の受信手段3で受信した応答信号の受信レベルが所定の大きさA以上である場合、第一の間欠周期制御手段5のタイマーが10秒から例えば1秒に変更される。したがって第一の送信手段2は1秒ごとに起動され、IDを含む信号を1秒ごとに送信する。例えば前記所定の大きさの受信レベルAとは、第一の送受信装置である電子キー20Aが錠13に数10mに近づいたことを示すレベルである。
【0030】
次に第二の送受信装置を含む錠制御装置21Aの動作について説明する。
【0031】
第二の受信手段8は間欠周期8秒の動作を行っている。間欠周期8秒動作の内容は、4秒間受信動作を行い、4秒間電源OFFする動作である。このような間欠受信動作により、10秒ごとに送信されるIDを含む信号を2回に1回の確率で受信できる。そして第二のアンテナ6に入力した第一の送受信装置20AからのIDを含む信号は第二の受信手段8で受信され、第二の受信解読手段9で内容が解読される。そして受信レベルが所定の大きさB以上であれば第二の送信手段7を起動して応答信号を送信させるとともに第二の間欠周期制御手段10のタイマーを変更し第二の受信手段8の間欠周期を連続動作に切り替える。
【0032】
すなわち第二の受信手段8を常に動作状態に保持する。例えば前記所定の大きさの受信レベルBとは、第一の送受信装置である電子キー20Aが錠に数10mに近づいたことを示すレベルである。
【0033】
さらに第二の受信手段8で受信する前記IDを含む信号の受信レベルが第一の送受信装置である電子キー20Aが錠に数mに近づいたことを示す値Cを示したとき、第二の受信解読手段9の働きにより、錠制御装置11が起動される。錠制御手段11が起動されるとアクチュエータ12が動作し、錠13が開錠する。
【0034】
また、電子キー20Aが錠13から遠ざかり、第二の受信手段8で受信する信号の受信レベルがC以下になった場合は、錠制御手段11の制御により錠13が施錠される。
【0035】
さらに電子キー20Aが錠13から遠ざかり、第二の受信手段8で受信する信号の受信レベルがB以下になった場合は、第二の間欠周期制御手段10のタイマーが変更され、第
二の受信手段8の間欠周期をもとの8秒周期に戻すと同時に第二の送信手段7より第一の送受信装置である電子キー20Aに対して応答信号を送信する。前記応答信号を電子キー20Aが受信すると、第一の受信解読手段4により受信内容が解読され、第二の受信手段8の間欠周期が8秒に戻ったことを知る。すると第一の間欠周期制御手段5のタイマーが変更され、第一の送信手段2の定期送信が10秒に戻る。
【0036】
上記動作により、電子キー20Aがドアから離れている場合は、電子キー20Aは10秒に1度送信するだけなので電流消費が小さい。またドア側の錠制御装置21Aも間欠受信動作をしているため電流消費を小さくできる。
【0037】
そして、電子キー20Aを所持した人が玄関ドア或いは自動車に近づくと電子キーからの定期送信の間隔が10秒から1秒に変更されると同時にドア側の錠制御装置21Aの第二の受信手段8は間欠動作から連続受信動作に切り替わる。そのため、人がドアに数mに近づいたことを1秒という小さな時間の精度で認識でき、ドアの開錠を行うことができる。
【0038】
以上のように、利便性と電流消費の相反する事項を両立させることができる。
【0039】
なお、第一の送信手段2の間欠動作周期を10秒と1秒という2段階で説明したが、第一の受信手段3で受信する受信レベルの大きさにより、10秒、3秒、1秒というように3段階或いはもっと多くの段階に分けてもよい。
【0040】
同様に第二の受信手段8の受信周期を8秒と連続と二つで考えたが、8秒、3秒、連続と3段階或いはもっと多くの段階に分けてもよい。
【0041】
また第二の受信手段8の受信周期の内容を4秒動作、4秒電源OFFとして説明したが、2秒動作、6秒電源OFFと動作と電源OFFの比率を変えてもかまわない。動作と電源OFFの比率を変えた場合は、第一の送信手段2からの10秒後との定期送信を受信できる確率が変わる。したがって定期送信3回に1回、或いは4回に1回受信することを考慮してシステム設計を行う。
【0042】
なお、電子キー20Aからの定期送信において、IDを含む信号を所定回数繰り返して送信するようにしてもかまわない。このようにすることにより、錠制御装置21Aの第二の受信手段8の受信状態の時間を電源OFFの時間に比べ小さくしても第一の送信手段2からの定期送信を受信しそこなう確率を下げることができる。そして錠制御装置21Aの消費電流を小さくできる。錠制御装置21Aを電池駆動にした場合に電池寿命を長くすることができる。
【0043】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態における送受信装置を用いた錠制御装置と錠制御システムのブロック図を示すものである。
【0044】
図1(実施の形態1)と異なる点は、第二の送受信装置である電子キー20Bの構成が図1の第二の送受信装置の構成である点と、錠制御装置21Bを構成する第一の送受信装置が図1の第一の送受信装置である点である。すなわち、電子キーと錠制御装置とで実施の形態1と構成を入れ替えている。
【0045】
以下、錠制御装置21Bの動作について説明する。
【0046】
錠制御装置21Bを構成する第一の送信手段2からは定期的に電波が送信される。送信
間隔は例えば10秒である。10秒ごとに送信元を示す識別符号(以下IDと呼ぶ)を含む信号を数百ミリ秒程度の短時間送信する。前記IDを含む信号を送信した後しばらくの間第一の受信手段3の電源をONし、受信状態を保持する。第一の受信手段3で前記IDを含む送信信号に対する応答信号を所定時間待って受信しなかった場合は、第一の受信手段3の電源をOFFしスリープモードに移行する。スリープモードでは前記IDを含む信号を定期的に送信するために、第一の間欠周期制御手段5のみが動作している。
【0047】
さて、第一の受信手段3で前記IDを含む送信信号に対する応答信号を受信した場合、第一の受信解読手段4で受信レベルや受信内容を解読する。第一の受信手段3で受信した応答信号の受信レベルが所定の大きさA以上である場合、第一の間欠周期制御手段5のタイマーが10秒から例えば1秒に変更される。したがって第一の送信手段2は1秒ごとに起動され、IDを含む信号を1秒ごとに送信する。例えば前記所定の大きさの受信レベルAとは、電子キー20Bが錠13に数10mに近づいたことを示すレベルである。
【0048】
次に電子キー20Bの動作について説明する。
【0049】
第二の受信手段8は間欠周期8秒の動作を行っている。間欠周期8秒動作の内容は、4秒間受信動作を行い、4秒間電源OFFする動作である。このような間欠受信動作により、10秒ごとに送信されるIDを含む信号を2回に1回の確率で受信できる。そして第二のアンテナ6に入力した第一の送受信装置21BからのIDを含む信号は第二の受信手段8で受信され、第二の受信解読手段9で内容が解読される。そして受信レベルが所定の大きさB以上であれば第二の送信手段7を起動して応答信号を送信させるとともに第二の間欠周期制御手段10のタイマーを変更し第二の受信手段8の間欠周期を連続動作に切り替える。すなわち第二の受信手段8を常に動作状態に保持する。例えば前記所定の大きさの受信レベルBとは、電子キーが錠に数10mに近づいたことを示すレベルである。
【0050】
さらに第二の受信手段8で受信する前記IDを含む信号の受信レベルが電子キーが錠に数mに近づいたことを示す値Cを示したとき、第二の受信解読手段9の働きにより、第二の送信手段7から開錠を要求する応答信号を送信する。
【0051】
第一の受信手段3で上記応答信号を受信すると、第一の受信解読手段4の働きにより錠制御手段11が起動される。錠制御手段11が起動されるとアクチュエータ12が動作し、錠13が開錠する。
【0052】
電子キー20Bが錠13から遠ざかり、第二の受信手段8で受信する信号の受信レベルがC以下になった場合は、施錠を要求する応答信号を第二の送信手段7から送信する。そして前記応答信号を第一の受信手段3で受信すると、錠制御手段11の制御により錠13が施錠される。
【0053】
さらに電子キーが錠13から遠ざかり、第二の受信手段8で受信する信号の受信レベルがB以下になった場合は、第二の間欠周期制御手段10のタイマーが変更され、第二の受信手段8の間欠周期をもとの8秒周期に戻すと同時に第二の送信手段7より第一の受信手段3に対して応答信号を送信する。前記応答信号を第一の受信手段3が受信すると、第一の受信解読手段4により受信内容が解読され、第二の受信手段8の間欠周期が8秒に戻ったことを知る。すると第一の間欠周期制御手段5のタイマーが変更され、第一の送信手段2の定期送信が10秒に戻る。
【0054】
上記動作により、電子キー20Bがドアから離れている場合は、電子キーは8秒ごとの間欠受信をしているので電流消費が小さい。またドア側も10秒ごとの定期送信をしているため電流消費を小さくできる。
【0055】
そして、電子キー20Bを所持した人が玄関ドア或いは自動車に近づくと錠制御装置21Bからの定期送信の間隔が10秒から1秒に変更されると同時に電子キー20Bの受信手段は間欠動作から連続受信動作に切り替わる。そのため、人がドアに数mに近づいたことを1秒という小さな時間の精度で認識でき、ドアの開錠を行うことができる。
【0056】
以上のように、利便性と電流消費の相反する事項を両立させることができる。
【0057】
なお、第一の送信手段2の間欠動作周期を10秒と1秒という2段階で説明したが、第一の受信手段3で受信する受信レベルの大きさにより、10秒、3秒、1秒というように3段階或いはもっと多くの段階に分けてもよい。
【0058】
同様に第二の受信手段8の受信周期を8秒と連続と二つで考えたが、8秒、3秒、連続と3段階或いはもっと多くの段階に分けてもよい。
【0059】
また第二の受信手段8の受信周期の内容を4秒動作、4秒電源OFFとして説明したが、2秒動作、6秒電源OFFと動作と電源OFFの比率を変えてもかまわない。前記比率を変えることにより消費電流をさらに小さくできる。動作と電源OFFの比率を変えた場合は、第一の送信手段2からの10秒後との定期送信を受信できる確率が変わる。したがって定期送信3回に1回、或いは4回に1回受信することを考慮してシステム設計を行う。
【0060】
なお、錠制御装置21Bからの定期送信において、IDを含む信号を所定回数繰り返して送信するようにしてもかまわない。このようにすることにより、電子キー20Bの第二の受信手段8の受信状態の時間を電源OFFの時間に比べ小さくしても第一の送信手段2からの定期送信を受信しそこなう確率を下げることができる。そして電子キー20Bの消費電流を小さくでき電池寿命を長くすることができる。
【0061】
なお、図1及び図2の電子キー20A、20Bには図示していないがスイッチがあり、前記スイッチを押すことにより、錠13を開錠或いは施錠する要求信号を電子キーから送信し、錠13の施錠開錠を制御することができるように構成してもよい。また電子キー20A、20Bのスイッチを押すと錠13が施錠されているか開錠されているかを知るための要求信号を送信するようにしてもよい。
【0062】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように本発明にかかる送受信装置、錠制御装置、及びプログラムは、利便性を損なわずに電子キー及び錠制御装置の電流消費を小さくでき電池駆動を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における電子キー及び錠制御装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における電子キー及び錠制御装置のブロック図
【図3】従来の錠制御装置及びシステムのブロック図
【符号の説明】
【0065】
1 第一のアンテナ
2 第一の送信手段
3 第一の受信手段
4 第一の受信解読手段
5 第一の間欠周期制御手段
6 第二のアンテナ
7 第二の送信手段
8 第二の受信手段
9 第二の受信解読手段
10 第二の間欠周期制御手段
11 錠制御手段
12 アクチュエータ
13 錠
20A 電子キー(第一の送受信装置)
20B 電子キー(第二の送受信装置)
21A 錠制御装置(第二の送受信装置を含む)
21B 錠制御装置(第一の送受信装置を含む)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段と、前記第一の送信手段で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段とを有し、前記第一の送信手段は前記第一の受信手段で受信する前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する前記所定の周期の時間間隔を変更する構成とした送受信装置。
【請求項2】
所定の周期で間欠的に受信動作を所定時間行う第二の受信手段と、前記第二の受信手段で受信した電波に対する応答電波を送信する第二の送信手段とを有し、前記第二の受信手段は受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて受信動作を間欠的に行う前記所定の周期の時間間隔を変更する構成とした送受信装置。
【請求項3】
所定の周期で間欠的に電波を送信する第一の送信手段と、前記第一の送信手段で送信した電波に対する応答電波を受信する第一の受信手段と、ドアの施錠或いは開錠を行う錠制御手段とを有し、前記第一の送信手段は前記第一の受信手段で受信する前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて電波を送信する前記所定の周期の時間間隔を変更する構成であり、前記錠制御手段は前記第一の受信手段で受信した前記応答電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて施錠/開錠の制御を行う錠制御装置。
【請求項4】
所定の周期で間欠的に受信動作を所定時間行う第二の受信手段と、前記第二の受信手段で受信した電波に対する応答電波を送信する第二の送信手段と、ドアの施錠或いは開錠を行う錠制御手段とを有し、前記第二の受信手段は受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて受信動作を間欠的に行う前記所定の周期の時間間隔を変更する構成であり、前記錠制御手段は前記第二の受信手段で受信した電波に含まれる情報或いは受信レベルに応じて施錠/開錠の制御を行う錠制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の送受信装置或いは錠制御装置の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−348504(P2006−348504A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173379(P2005−173379)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】