説明

透明シャンプー組成物

【課題】コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れ、透明外観を有するシャンプー組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含有する透明シャンプー組成物であって、(B)/((A)+(B))で表される質量比が0.15〜0.50、(C)/((A)+(B))で表される質量比が0.007〜0.050であり、(D)成分の組成物中の含有量が0.3質量%以上である透明シャンプー組成物。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤
(C)2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物
(D)ベタイン変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明シャンプー組成物に関し、さらに詳しくは良好な洗浄力と、特にコンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れ、透明外観を有するシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シャンプーのコンディショニング効果を向上させるためには、ジメチルシリコーンやアミノ含有シリコーンを配合することが知られている(特許文献1:特開平2005−232140号公報)。これらのシリコーン類を配合すると、シャンプー組成物は白濁してしまう。
【0003】
これに対し、透明外観のシャンプーが提案されているが(特許文献2:特開2003−212732号公報参照)、十分なコンディショニング効果を得ることができず、組成物が透明であることと、コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れることを両立させることはできなかった。以上のことから、組成物が透明で、コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れるシャンプー組成物が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−232140号公報
【特許文献2】特開2003−212732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れ、透明外観を有するシャンプー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)アニオン性界面活性剤、(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤、及び(C)2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物を含有する組成物に、(D)特定のシリコーン化合物を0.3質量%以上配合し、(A)成分と(B)成分を特定比率で併用し、(C)成分を(A)成分と(B)成分との合計量に対して特定比率とすることで、組成物が透明な外観を有し、驚くべきことに乾燥後の髪の感触が顕著に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含有する透明シャンプー組成物であって、(B)/((A)+(B))で表される質量比が0.15〜0.50、(C)/((A)+(B))で表される質量比が0.007〜0.050であり、(D)成分の組成物中の含有量が0.3質量%以上である透明シャンプー組成物を提供する。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤
(C)2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物
(D)下記一般式(1)
【化1】

(式中、mは1〜50、nは1〜50を示す。)
で表されるベタイン変性シリコーン、下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1〜50を示す。)
で表されるカチオン変性シリコーン、及び下記一般式(3)又は(4)
【化3】

(式中、qは1〜50、xは1〜50、yは1〜50を示す。)
【化4】

(式中、rは1〜50、sは1〜50、tは1〜50、aは1〜50、bは1〜50を示す。)
で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン化合物
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れ、視覚的にも良好な透明外観を有するシャンプー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の(A)成分はアニオン性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸型、リン酸型が挙げられるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等のスルホン酸型、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸型が好ましい。この中でも、スルホン酸型ではα−オレフィンスルホン酸塩が、硫酸型では、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
【0010】
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜18のアルキル基のものが好ましく、特に炭素数14のテトラデセンスルホン酸塩が好ましい。アルキル硫酸エステル塩では、炭素数10〜18のアルキル基のものが好ましく、特に炭素数12〜14のものが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩では、アルキル基の炭素数10〜18のものが好ましく、特に炭素数12〜14のものが好ましい。またアルキレン部分はポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが好ましく、特にポリオキシエチレンが好ましい。またそのエチレン総平均付加モル数の範囲は2〜4が好ましい。これらの対イオンとしては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0011】
(A)アニオン性界面活性剤は、本発明のシャンプー組成物の主基剤となるものであり、その含有量は、シャンプー組成物中1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。含有量が1質量%未満では洗浄力、起泡力が不十分になる場合があり、50質量%を超えると組成物の粘度が著しく増加して容器から取り出し難くなる場合がある。
【0012】
本発明の(B)成分は両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。両性界面活性剤としては、ベタイン型、イミダゾリン型、アミノ酸型が挙げられるが、ベタイン型とイミダゾリン型が好ましい。ベタイン型ではアルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタインが好ましく、アルキルアミノ酢酸ベタインでは、アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましく、炭素数が10〜16のものがより好ましい。特に、ヤシ油脂肪酸アミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミノ酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタインが好ましい。アルキルアミドプロピルベタインでは、アルキル基が炭素数が6〜20のものが好ましく、さらに炭素数8〜18のものがより好ましく、特に、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好ましい。2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインでは、アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましく、炭素数が10〜16のものがより好ましい。特に、アルキル基がヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸及びラウリン酸から誘導されるアルキル基であるものが好ましい。イミダゾリン型では2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが好ましい。
【0013】
半極性界面活性剤としては、アミンオキシド型、アミドアミンオキシド型が挙げられるが、アミンオキシド型が好ましく、特に、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシドが好ましい。これらの両性界面活性剤や半極性界面活性剤は、皮膚に対する作用を温和化し、肌荒れを防ぎ、かつ泡立ちを増強する作用がある。
【0014】
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤の含有量は、シャンプー組成物中0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。0.1質量%未満では増粘効果や洗浄力が不十分になる場合があり、30質量%を超えると組成物の粘度が著しく増加したり、溶液安定性が悪化する場合がある。
【0015】
本発明の(C)成分は2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、2質量%水溶液の外観が透明であるとは、内径35mm、外径40mmの円柱状の透明ガラス瓶に試料を入れ、最も経路長の長い部分を通して5ポイントの黒色ゴシック文字が判読できることを意味する。
【0016】
2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸3元共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルクが好適であり、特にカチオン化セルロース、カチオン化グアーガムガ好ましい。
【0017】
カチオン化セルロースは、セルロースにカチオン性官能基を付加したもので、例えば、下記式(5)で表される塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(表示名称:ポリクオタニウム−10)が挙げられる。
【0018】
【化5】

(式中、R´は水素原子又は下記一般式(i)で表される基を示し、分子中少なくとも一般式(i)で表される基を有する。c,dは0〜5の数であり、eは500〜20,000である。)
【化6】

(式中、Z-は陰イオンであり、Cl-が好ましい。)
【0019】
カチオン基の付加の程度によって、カチオン化セルロースのカチオン度は異なるが、そのカチオン度は、0.1meq/g〜3.0meq/gの範囲が好ましく、0.5meq/g〜1.7meq/gが最も好ましい。髪をすすいだ時の指通りが良く、かつ乾燥後の髪の感触が優れ、かつ経時安定性に優れる点から、カチオン度は上記範囲が好ましい。
【0020】
カチオン化セルロースの重量平均分子量は、髪をすすいだ時の指通りが良く、乾燥後の髪の感触が優れ、経時安定性に優れる点から、10万〜300万の範囲が好ましく、より好ましくは30万〜200万の範囲である。
【0021】
カチオン化セルロースの具体的な例としては、レオガードLP・GP・MGP、XE−511K(ライオン(株)製)、UCARE LR−30M・JR−400・JR−30M(ダウケミカル(株)製)、カチナールHC−100(東邦化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0022】
カチオン化グアーガムは、グアーガムにカチオン性官能基を付加したもので、例えば、下記式(6)で表される塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム(表示名称:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)が挙げられる。
【0023】
【化7】

(式中、R´は水素原子又は下記一般式(i)で表される基を示し、分子中少なくとも一般式(i)で表される基を有する。fは4〜5,000である。)
【化8】

(式中、Z-は陰イオンであり、Cl-が好ましい。)
【0024】
カチオン基の付加の程度によって、カチオン化グアーガムのカチオン度は異なるが、そのカチオン度は、0.5meq/g〜3.0meq/gの範囲が好ましく、1.0meq/g〜2.4meq/gが最も好ましい。髪をすすいだ時の指通りが良く、かつ乾燥後の髪の感触が優れ、かつ経時安定性に優れる点から、カチオン度は上記範囲が好ましい。
【0025】
カチオン化グアーガムの重量平均分子量は、髪をすすいだ時の指通りが良く、乾燥後の髪の感触が優れ、シャンプー組成物への溶解性、経時安定性に優れる点から、10万〜300万の範囲が好ましく、より好ましくは20万〜150万である。
【0026】
カチオン化グアーガムの具体的な例としては、ラボールガムCG−M・CG−M7・CG−M8M(大日本住友製薬(株)製)、N−Hance3000(ハーキュレス・ジャパン(株)製)、ジャガーC−13S、ジャガーC−14S、ジャガーC−17S、ジャガーC−210、ジャガーC−1620、ジャガーEXCEL(ローディア(株)製)等が挙げられる。
【0027】
なお、上記カチオン化セルロースとカチオン化グアーガムの成分のカチオン度は、化学構造が明瞭であれば簡単に計算することができるが、モノマー比率等の構造が不明な場合であっても、ケルダール法等のN含量の測定値から計算することができる。なお本発明で示したカチオン度は、ケルダール法である化粧品原料基準の一般試験法の窒素定量法第2法で測定した値を元に算出している。なお、カチオン度の単位であるmeq/gとは試料1g当たりのNカチオン基のミリ当量数を示す。
【0028】
また、上記カチオン化セルロースとカチオン化グアーガムの重量平均分子量は、一般的なGPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーを用い、分子量既知のポリマーと比較する方法によって測定することができる。具体的には、重量平均分子量は、GPC−MALLSを用いて測定した値であり、ポリマーの純分濃度が約1000ppmの移動相で希釈した試料溶液を、TSK−GELαカラム(東ソー(株)製)を用い、0.5moL/Lの過塩素酸ナトリウム溶液を移動相として、約633nmの波長を多角度光散乱検出器により測定した。標準品としては分子量既知のポリエチレングリコールを用いた。
【0029】
(C)2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物の含有量は、シャンプー組成物中0.01〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜1.5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。0.01質量%未満ではすすぎ時のきしみ改善効果が不十分になる場合があり、2質量%を超えると組成物の透明性が確保できなくなる場合がある。
【0030】
本発明の(D)成分は、下記一般式(1)で表されるベタイン変性シリコーン、下記一般式(2)で表されるカチオン変性シリコーン、及び下記一般式(3)又は(4)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン化合物である。これらの(D)成分はシャンプー組成物の溶媒である水と容易に混じり合うことから、本発明のシャンプー組成物は透明で等方性の溶液を形成する。
【0031】
一般式(1)で表されるベタイン変性シリコーンは、ジメチルシリコーンにベタイン型官能基を付加したものである。
【0032】
【化9】

(式中、mは1〜50、nは1〜50を示す。)
【0033】
一般式(1)で表されるベタイン変性シリコーンの具体的な例としては、アビルB9950(商品名:デグッサ(株)製)等が挙げられる。
【0034】
一般式(2)で表されるカチオン変性シリコーンは、ジメチルシリコーンの末端にカチオン基を付加したものである。
【0035】
【化10】

(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1〜50を示す。)
【0036】
一般式(2)で表されるカチオン変性シリコーンの具体的な例としては、アビルクォート3272(商品名;デグッサ(株)製)やクオタニウム−80(表示名称)等が挙げられる。
【0037】
一般式(3)又は(4)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンは、ジメチルシリコーンにポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を付加したものである。
【0038】
【化11】

(式中、qは1〜50、xは1〜50、yは1〜50を示す。)
【0039】
【化12】

(式中、rは1〜50、sは1〜50、tは1〜50、aは1〜50、bは1〜50を示す。)
【0040】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンのうち、一般式(3)で表される具体的な例としては、アビルB8832(商品名;デグッサ(株)製)等が挙げられる。また、式(4)で表される具体的な例としては、アビルソフトAF100(商品名;デグッサ(株)製)等が挙げられる。
【0041】
(D)シリコーン化合物の含有量はシャンプー組成物中0.3質量%以上であり、0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。0.3質量%未満ではすすぎ時の指通りが悪くなる場合があり、5質量%を超えると組成物の透明性が確保できなくなる場合がある。
【0042】
(B)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比は0.15〜0.50であり、0.20〜0.40が好ましい。(C)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比は0.007〜0.050であり、好ましくは0.008〜0.020である。これらの比率を満たすことで、本発明の(D)シリコーン化合物を配合した場合でも、コンディショニング効果及び乾燥後の髪の感触が優れるシャンプー組成物を得ることができる。また、(D)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比は、0.03〜0.50が好ましく、より好ましくは0.05〜0.40である。なお、(B)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比及び(D)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比は、小数点第3位を四捨五入した値であり、(C)成分/((A)成分+(B)成分)で表される質量比は、小数点第4位を四捨五入した値である。
【0043】
本発明における透明シャンプーの「透明」とは、内径35mm、外径40mmの円柱状の透明ガラス瓶に試料を入れ、円柱の側面から見て、最も経路長の長い部分を通して5ポイントの黒色ゴシック文字が判読できることを意味する。
【0044】
本発明のシャンプー組成物の25℃でのpHは3.0〜6.0が好ましく、25℃の粘度は0.1〜20Pa・sが好ましい。なお、シャンプー組成物のpHは化粧品原料基準の一般試験法に定められた方法を用い、組成物中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定することができる。粘度の測定法は、化粧品原料基準の一般試験法に定められたブルックフィールド型粘度計を使い測定することができる。
【0045】
本発明のシャンプー組成物には、上記必須成分、水の他、本発明の効果を損なわない範囲で、通常のシャンプー組成物に用いられる成分を必要に応じて適宜配合することができる。これらの成分としては、可溶化剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等、泡安定化剤や粘度調整剤として、POE(20)硬化ヒマシ油、ラウリン酸モノエタノールアミド等、増粘剤として、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、無水硫酸ナトリウム等、キレート剤としてEHDP、EDTA等、色素、防腐・防黴剤等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0046】
ただし、本発明のシャンプー組成物の目的である透明外観を損なう成分を含有することは好ましくない。このような成分としては、例えば、パール化剤、非水溶性のシリコーン化合物、疎水性の成分等が挙げられ、これらの成分を可溶化量を超えて配合することは好ましくない。
【0047】
本発明のシャンプー組成物には、植物抽出物を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することが好ましい。植物抽出物としては、ローマカミツレエキス、スギナエキス、ホップエキス、マツエキス、レモンエキス、ローズマリーエキス、オトギリソウエキス、セイヨウオトギリソウエキス、カミツレエキス、トウキンセンカエキス、フユボダイジュ花エキス、ヤグルマギクエキス等が挙げられる。植物抽出物を配合する場合、その含有量はシャンプー組成物中0.001〜1質量%である。
【0048】
さらに、本発明のシャンプー組成物には香料、香料組成物を配合することが好ましい。香料、香料組成物としては、特開2003−300811号公報[0021]〜[0035]に記載した香料成分等、さらに同[0050]に記載した香料用溶剤等が挙げられる。上記香料用溶剤の使用量は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合されるが、好ましくは、1〜50質量%配合される。
【0049】
また、香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、香料組成物中に0.0001〜10質量%配合されるが、好ましくは、0.001〜5質量%配合される。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0050】
香料組成物とは、上記の香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である。本発明のシャンプー組成物にはかかる香料組成物が、シャンプー組成物中0.005〜40質量%配合されるが、好ましくは0.01〜10質量%配合される。
【0051】
本発明のシャンプー組成物は、通常の方法に従って、上記必須成分、任意成分及び水(残部、好適には60〜95質量%)を混合し、各成分を混合撹拌することにより製造される。この際、(A)成分は、予め精製水やエタノール等に希釈された濃度20〜70質量%のアニオン性界面活性剤水溶液として使用すると、製造が容易になり好ましい。また、(B)、(C)、(D)成分及びその他の成分は、水溶性のものはそのまま添加しても水溶液にして添加してもよいし、油溶性のものはその他の油性成分に溶解あるいは分散、又は界面活性剤で予め可溶化して添加してもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%であり、数値は各成分の純分換算した値(AI)である。
【0053】
[実施例1〜17、比較例1〜18]
表1〜4に示す組成のシャンプー組成物を常法に基づいて調製し、シャンプー組成物を、内径35mm、外径40mmの円柱状の透明ガラス瓶に入れ、円柱の側面から見て、最も経路長の長い部分を通して5ポイントの黒色ゴシック文字が判読できる場合を「透明」とし、判読できない場合を「不透明」とした。また、以下に示す方法に従って評価を行った。結果を表中に併記する。
【0054】
(1)性能評価
2ヶ月に1度以上、継続的にカラーリングをしている20〜30代の女性20名について(髪の長さ:セミロング〜ロング)、実使用評価を行った。各シャンプー組成物を1週間連続で使用した後に、「すすぎ時の指通りの良さ」、「乾燥後の髪のなめらかさ」と「乾燥後の髪の柔らかさ」について、以下の基準に基づき評価し、結果を良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
〈基準〉
普段使っているシャンプーより良好
普段使っているシャンプーと同等
普段使っているシャンプーより悪い
〈評価基準〉
◎:良好と答えた者が20名中15名以上
○:良好と答えた者が20名中10〜14名
△:良好と答えた者が20名中5〜9名
×:良好と答えた者が20名中5名未満
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
[実施例18]
以下に示す組成のシャンプー組成物を調製した。
組成 %
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O.) 13.0
テトラデセンスルホン酸ナトリウム 1.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.0
ラウリルジメチルアミンオキシド 0.5
カチオン化セルロース(2) 0.3
ベタイン変性ジメチルシリコーン(一般式(1)) 1.0
POE(20)硬化ヒマシ油 1.0
ステアリン酸モノグリセリド 0.5
POEステアリルエーテル 0.5
ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド 1.5
ヒドロキシプロピルセルロース 0.05
グリセリン 0.5
ソルビトール 1.5
ローマカミツレエキス 0.02
スギナエキス 0.02
ホップエキス 0.02
マツエキス 0.01
レモンエキス 0.01
ローズマリーエキス 0.01
オトギリソウエキス 0.01
セイヨウオトギリソウエキス 0.01
カミツレエキス 0.01
トウキンセンカエキス 0.01
フユボダイジュ花エキス 0.01
ヤグルマギクエキス 0.01
黄色203号 0.001
赤色106号 0.001
緑色3号 0.00025
安息香酸ナトリウム 0.1
香料B 0.3
クエン酸 適量(pH=5.0に調整)
精製水 バランス
合計 100.0%
粘度 4.0Pa・s
粒子径 透明系のため測定できず
【0060】
[実施例19]
以下に示す組成のシャンプー組成物を調製した。
組成 %
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.) 10.0
ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン 2.0
ラウリルアミノ酢酸ベタイン 3.0
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.2
カチオン変性ジメチルシリコーン(一般式(2)) 1.0
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.1
プロピレングリコール 3.0
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料C 1.0
リンゴ酸 適量(pH=4.8に調整)
精製水 バランス
合計 100.0%
粘度 5.0Pa・s
粒子径 透明系のため測定できず
【0061】
[実施例20]
以下に示すシャンプー組成物を調製した。
組成 %
ポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム(2E.0.)
12.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 3.0
ヤシ油ジメチルアミンオキシド 3.0
カチオン化グアーガム(2) 0.2
側鎖ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ジメチルシリコーン
(一般式(4)) 1.5
POE(20)硬化ヒマシ油 1
ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド 2
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
グリセリン 0.5
ソルビトール 1.5
安息香酸ナトリウム 0.3
緑色3号 0.0004
香料D 0.5
グリコール酸 適量(pH=5.5に調整)
精製水 バランス
合計 100.0%
粘度 4.5Pa・s
粒子径 透明系のため測定できず
【0062】
実施例18〜20で調製したシャンプー組成物は、いずれも透明であった。また、すすぎ時の指通りが良く、乾燥後の髪がなめらかで、乾燥後の髪が柔らかいものであった。また、実施例18〜20で調製したシャンプー組成物を下記の容器に充填し、50℃の恒温室にて1ヶ月間保存後、22〜27℃の環境下に3日間放置して、内容液全量をシャーレに移し、外観、においを評価した。評価は−5℃の恒温室にて1ヶ月間保存後、22〜27℃の環境下に3日間放置した標準品と比較して行った。その結果、いずれの保存容器においても、層分離や著しい変色、結晶物等の異物の発生、著しいにおいの変化は認められなかった。
〈ボトル容器〉
(1)ボトル部:材質PP キャップ:材質PP
(2)ボトル部:材質HDPE キャップ:材質PP
(3)ボトル部:材質PET キャップ:材質PP
(4)ボトル部:材質PP/HDPE キャップ:材質PP
〈ポンプ容器〉
(5)ボトル部:材質PP ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(6)ボトル部:HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(7)ボトル部:PET ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
(8)ボトル部:PP/HDPE ディスペンサー部:使用材質PP及びPE及びSUS304
〈パウチ容器〉
(9)材質:アルミ蒸着ポリエチレンパウチ
PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PETはポリエチレンテレフタレート、HDPEは高密度ポリエチレンを示す。
【0063】
実施例及び比較例で使用した原料を下記に示す。
[調製例:ポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)の調製方法]
4Lのオートクレーブ中に合成アルコール(C12:C13=1:1)400g及びAl/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒0.4gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、反応物を得た。次に、このようにして得たアルコールエトキシレート274gを撹拌装置付きの500mLフラスコにとり、窒素置換後液体の無水硫酸(サルファン)81gを、反応温度40℃を保ちながらゆっくり滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム(2E.O.)を得た。
【0064】
【表5】

【0065】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含有する透明シャンプー組成物であって、(B)/((A)+(B))で表される質量比が0.15〜0.50、(C)/((A)+(B))で表される質量比が0.007〜0.050であり、(D)成分の組成物中の含有量が0.3質量%以上である透明シャンプー組成物。
(A)アニオン性界面活性剤
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤
(C)2質量%水溶液の外観が透明であるカチオン性高分子化合物
(D)下記一般式(1)
【化1】

(式中、mは1〜50、nは1〜50を示す。)
で表されるベタイン変性シリコーン、下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1〜50を示す。)
で表されるカチオン変性シリコーン、及び下記一般式(3)又は(4)
【化3】

(式中、qは1〜50、xは1〜50、yは1〜50を示す。)
【化4】

(式中、rは1〜50、sは1〜50、tは1〜50、aは1〜50、bは1〜50を示す。)
で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン化合物

【公開番号】特開2008−1626(P2008−1626A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172211(P2006−172211)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】